説明

搬送装置

【課題】搬送車に所定の積載物が設置されているか否か(所定の積載物の有無)を確実に特定可能であり、障害物検出手段による検出範囲を所定の積載物の有無に応じて正確に変更可能な搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送車11と、バンパーセンサ12と、制御装置15と、を有する搬送装置10であって、搬送車11に所定の積載物(自動車のボデー1・台車3)が設置されているか否かを検出して、搬送車11に前記所定の積載物が設置されている場合には積載物信号を出力する積載物検出手段(センサ13・14)を有し、前記所定の積載物の寸法は、搬送車11の寸法よりも大きく構成され、制御装置15は、前記積載物検出手段から前記積載物信号を受信した場合に、バンパーセンサ12による検出範囲を前記所定の積載物の寸法に応じた広さに変更することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送車を走行させて、前記搬送車に設置された積載物を搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無人の搬送車を走行させて、前記搬送車に設置された積載物を搬送する搬送装置の技術は公知となっている(例えば、特許文献1)。
【0003】
図10に示すように、従来の搬送装置(AGV:Automatic Guided Vehicles)1000は、積載物を設置可能な搬送車1100と、搬送車1100の周囲の障害物1001を検出する障害物検出手段(バンパーセンサ)と、を有している。
従来の搬送装置1000に関しては、搬送車1100が床面に設けられたガイドテープ1002に沿って走行するように構成されている。
従来の搬送装置1000は、搬送車1100が障害物1001に接触した場合に、このことを検出して搬送車1100を停止させるために障害物検出手段を有している。
また、従来の搬送装置1000は、搬送経路における番地(所定位置に配置された番地板1003)を検出して、検出した番地(アドレス)情報を元に(AGVの番地記憶を元に)障害物検出手段による検出範囲(防護エリア)を変更するように構成されている(図10の一点鎖線参照)。
【0004】
従来の搬送装置1000に関しては、その積載物の寸法が搬送車1100の寸法よりも大きい場合がある。このような場合に、障害物検出手段の検出範囲に関して、適正な広さを確保するためには、搬送車1100に積載物がない場合には障害物検出手段による検出範囲を搬送車1100の寸法に応じた広さに変更し、搬送車1100に積載物がある場合には障害物検出手段による検出範囲を積載物の寸法に応じた広さに変更する必要がある。
すなわち、搬送車1100に積載物が設置されているか否か(積載物の有無)に応じて障害物検出手段による検出範囲を変更する必要がある。
しかし、従来の搬送装置1000は、上記したように検出した番地(アドレス)情報を元に障害物検出手段による検出範囲を変更する構成を有しており、積載物の有無に応じて障害物検出手段による検出範囲を変更する構成を有していない。したがって、このような場合に、正確に対応することが困難となる。
【0005】
また、仮に、従来の搬送装置1000に、積載物の有無に応じて障害物検出手段による検出範囲を変更する構成を備えたとしても、積載物の有無を確実に特定(常時確認)できなければ、積載物の有無について誤判断する場合が発生しやすい。このように積載物の有無の判断に誤判断が生じると、障害物検出手段による検出範囲を積載物の有無に応じて正確に変更することが困難となる。
【0006】
なお、障害物検出手段による検出範囲に関して、積載物の有無に関係なく、一律に積載物の寸法に応じた広さに設定する構成も考えられる。しかし、搬送車1100に積載物が設置されていない場合に、搬送車1100の通路の運搬面積(障害物検出手段による検出範囲)が必要以上に大きくなり、搬送車1100の取り回しが困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−73093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、搬送車に所定の積載物が設置されているか否か(所定の積載物の有無)を確実に特定可能であり、障害物検出手段による検出範囲を所定の積載物の有無に応じて正確に変更可能な搬送装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の搬送装置は、
搬送車と、
前記搬送車の周囲の障害物を検出する障害物検出手段と、
前記障害物検出手段に接続され、前記障害物検出手段による検出範囲を変更可能な制御装置と、を有し、
前記搬送車を走行させて、前記搬送車に設置された積載物を搬送する搬送装置であって、
前記搬送車に所定の積載物が設置されているか否かを検出して、前記搬送車に前記所定の積載物が設置されている場合には積載物信号を出力する積載物検出手段を有し、
前記所定の積載物の寸法は、前記搬送車の寸法よりも大きく構成され、
前記制御装置は、前記積載物検出手段に接続され、前記積載物検出手段から前記積載物信号を受信した場合に、前記障害物検出手段による検出範囲を前記所定の積載物の寸法に応じた広さに変更することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の搬送装置においては、
前記搬送車に設置される所定の積載物は、被搬送部材と、前記被搬送部材を前記搬送車に設置するために用いる設置部材と、で構成され、
前記被搬送部材の寸法は、前記設置部材の寸法よりも大きく構成され、
前記積載物検出手段は、
前記搬送車に前記設置部材が設置されているか否かを検出して、前記搬送車に前記設置部材が設置されている場合には設置部材信号を出力する設置部材検出手段と、
前記搬送車に前記被搬送部材が設置されているか否かを検出して、前記搬送車に前記被搬送部材が設置されている場合には被搬送部材信号を出力する被搬送部材検出手段と、を有し、
前記制御装置は、
前記設置部材検出手段から前記設置部材信号を受信せず、かつ、前記被搬送部材検出手段から前記被搬送部材信号を受信しない場合に、前記障害物検出手段による検出範囲を前記搬送車の寸法に応じた広さに変更し、
前記設置部材検出手段から前記設置部材信号を受信して、かつ、前記被搬送部材検出手段から前記被搬送部材信号を受信しない場合に、前記障害物検出手段による検出範囲を前記設置部材の寸法に応じた広さに変更し、
前記設置部材検出手段から前記設置部材信号を受信して、かつ、前記被搬送部材検出手段から前記被搬送部材信号を受信した場合に、前記障害物検出手段による検出範囲を前記被搬送部材の寸法に応じた広さに変更することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の搬送装置においては、
前記制御装置が前記設置部材検出手段から前記設置部材信号を受信しない場合には、前記被搬送部材検出手段の動作を無効にして、前記障害物検出手段による検出範囲を前記搬送車の寸法に応じた広さに変更することを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の搬送装置においては、
前記搬送車に設けられ、前記搬送車がその走行経路内における特定エリアを走行している場合には、前記特定エリアに配置された特定エリア認識部材を検出して、認識部材信号を出力する認識部材検出手段を有し、
前記制御装置は、前記認識部材検出手段に接続され、前記認識部材検出手段から前記認識部材信号を受信する場合と、受信しない場合とで、前記障害物検出手段による検出範囲を異ならせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、搬送車に所定の積載物が設置されているか否か(所定の積載物の有無)を確実に特定可能であり、障害物検出手段による検出範囲を所定の積載物の有無に応じて正確に変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る搬送装置の第一形態である搬送装置の概略構成図である。
【図2】搬送車に台車が設置された状態を示す図である。
【図3】搬送車に台車と自動車のボデーとが設置された状態を示す図であり、(a)は上方からみた図であり、(b)は側方からみた図である。
【図4】搬送車の受部に台車のカップ部が取り付けられている状態を示す図である。
【図5】台車検出センサとボデー検出センサとの位置を示す図である。
【図6】搬送装置の制御装置を示すブロック図である。
【図7】台車検出センサとボデー検出センサとの動作条件を示す図である。
【図8】本発明に係る搬送装置の第二形態である搬送装置の制御装置を示すブロック図である。
【図9】本発明に係る搬送装置の第二形態である搬送装置の概略構成図である。
【図10】従来の搬送装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第一実施形態]
以下に、本発明に係る搬送装置の実施の一形態である搬送装置10について説明する。
【0016】
搬送装置10は、自動車のボデー1等を工場内の所定の位置へと無人で搬送するAGV(Automatic Guided Vehicles)である。
図1、図6に示すように、搬送装置10は、搬送車11、ガイドテープ検出センサ(不図示)、バンパーセンサ12、台車検出センサ13、ボデー検出センサ14、および制御装置15、を備える。
【0017】
搬送車11は、主にバッテリを電源とする駆動力で走行する電動車両であり、コンピュータ制御によって所定の走行経路を自動走行する。
図1および図3(b)に示すように、搬送車11は、その下部に走行輪11aを有している。搬送車11の進行方向の制御は、搬送車11の走行経路に対応させて床面に設けられたガイドテープ2と、搬送車11の下面に設けられた前記ガイドテープ検出センサと、によって行われる。すなわち、搬送車11は、前記ガイドテープ検出センサによってガイドテープ2を検出して、ガイドテープ2に沿って走行するように構成されている。
【0018】
図1および図5に示すように、搬送車11は、その進行方向A、および進行方向Aに対して直交する方向(幅方向B)に延在する形状を有しており、その四隅に突出部16・16・16・16をそれぞれ有している。突出部16・16・16・16は、搬送車11の進行方向Aと平行にそれぞれ突出している。
搬送車11においては、各突出部16・16・16・16の先端部に、それぞれ台車3を設置するための受部16aが設けられている。すなわち、受部16aは、搬送車11の四箇所に設けられている。
図1に示すように、搬送車11に関して、進行方向Aの寸法を(a1)とし、幅方向Bの寸法を(b1)とする。
【0019】
台車3は、自動車のボデー1を搬送車11に設置するために用いる部材であり、自動車のボデー1を支持して搬送車11に設置するための部材である。
図2および図3(b)に示すように、台車3は、着脱部4、および載置部5、を有している。
【0020】
着脱部4は、上下方向に延在する棒形状を有している。着脱部4は、四つ設けられている。着脱部4・4・4・4は、それぞれの下端部(カップ部)4a・4a・4a・4aが、搬送車11の受部16a・16a・16a・16aのそれぞれと対向するように所定間隔を空けて配置されている。カップ部4a・4a・4a・4aは、対向する受部16a・16a・16a・16aにそれぞれ着脱(取り付け・取り外し)自在に構成されている(図4参照)。
つまり、受部16aの上面には上方へ突出する半球状の突起が形成されており、カップ部4aの下面には受部16aの前記突起に嵌合可能な凹陥部が形成されていて、受部16aの突起とカップ部4aの凹陥部とが嵌合することにより、台車3が搬送車11に設置される。
【0021】
図2および図3(b)に示すように、載置部5は、複数のフレームを進行方向A、および幅方向Bに並べて互いに連結した構造を有している。載置部5により、各着脱部4・4・4・4の上端部が連結されている。載置部5は、そのフレーム上に自動車のボデー1を載置可能に構成されている。
【0022】
図1および図2に示すように、台車3は、その外形寸法(進行方向Aの寸法(a2)、幅方向Bの寸法(b2)とする)が、搬送車11の外形寸法(進行方向Aの寸法(a1)、幅方向Bの寸法(b1))よりも大きく構成されている(a2>a1、b2>b1)。
【0023】
図3(a)および図3(b)に示すように、自動車のボデー1は、搬送車11に設置された台車3(詳細には、搬送車11の受部16a・16a・16a・16aに、各着脱部4のカップ部4a・4a・4a・4aがそれぞれ嵌合することにより設置された台車3)の載置部5に載置されることによって、搬送車11に設置される。
自動車のボデー1は、このように台車3を用いて搬送車11に設置された状態で、搬送車11によって搬送される。
なお、自動車のボデー1は、搬送車11に設置された状態にて、その前部が搬送車11の進行方向Aを向いた姿勢に配置される。
図2および図3(a)に示すように、自動車のボデー1は、その寸法(進行方向Aの寸法(a3)、幅方向Bの寸法(b3)とする)が、台車3の寸法(進行方向Aの寸法(a2)、幅方向Bの寸法(b2))よりも大きく構成されている(a3>a2、b3>b2)。
【0024】
図6に示すように、バンパーセンサ12は、搬送車11の周囲の障害物(人、柱等)を検出するためのセンサである。バンパーセンサ12は、非接触式のセンサであり、その検出範囲(防護エリア)を変更可能な構成を有する。
バンパーセンサ12は、搬送車11に設けられており、搬送車11とともに移動する。
【0025】
図5および図6に示すように、台車検出センサ13は、搬送車11に台車3が設置されているか否かを検出するためのセンサである。台車検出センサ13は、被検出物が近づいたことを検出する近接センサである。
台車検出センサ13は、搬送車11の突出部16に設けられており、搬送車11とともに移動する。
台車検出センサ13は、二箇所に設けられている。具体的には、台車検出センサ13は、例えば、進行方向A側かつ幅方向B側に位置する突出部16の受部16aと、進行方向Aの反対方向側かつ幅方向Bの反対方向側に位置する突出部16の受部16aとに設けられている(図4参照)。
台車検出センサ13は、台車検出センサ13の設けられている受部16aに対して、カップ部4aが取り付けられている場合に、この取り付けられているカップ部4aを検出する(図4参照)。
したがって、台車検出センサ13は、搬送車11に台車3が設置されている場合に、詳細には、搬送車11の受部16a・16a・16a・16aに、台車3の各着脱部4のカップ部4a・4a・4a・4aがそれぞれ嵌合している場合に、カップ部4aを検出する。
台車検出センサ13は、カップ部4aを検出した場合に、台車信号を出力する。
【0026】
図5および図6に示すように、ボデー検出センサ14は、搬送車11に自動車のボデー1が設置されているか否かを検出するためのセンサである。ボデー検出センサ14は、非接触式のセンサであり、反射タイプのビームセンサである。
ボデー検出センサ14は、搬送車11の突出部16に設けられており、搬送車11とともに移動する。
ボデー検出センサ14は、二箇所に設けられている。具体的には、ボデー検出センサ14は、例えば、進行方向Aの反端方向側かつ幅方向B側に位置する突出部16の基端部と、進行方向Aの反対方向側かつ幅方向Bの反対方向側に位置する突出部16の基端部とに設けられている。
ボデー検出センサ14は、搬送車11に自動車のボデー1が設置されているか否かの検出を、自動車のボデー1からの反射光を検出することにより行う。詳細には、ボデー検出センサ14は、搬送車11に自動車のボデー1が設置されている場合に、設置されている自動車のボデー1下部(例えば、トルクボックス穴付近)に向けてレーザを照射して、自動車のボデー1下部からの反射光を受光することで、搬送車11に自動車のボデー1が載置されていることを検出する(図3(b)参照)。
ボデー検出センサ14は、自動車のボデー1を検出した場合に、ボデー信号を出力する。
【0027】
制御装置15は、CPU、ROM、RAM、およびHDDがバスで相互に接続される構成等を有する。
図6に示すように、制御装置15は、バンパーセンサ12に接続されており、バンパーセンサ12に信号を送信して、バンパーセンサ12による検出範囲を変更可能に構成されている。
制御装置15は、台車検出センサ13に接続されており、台車検出センサ13からの前記台車信号を受信可能に構成されている。
制御装置15は、ボデー検出センサ14に接続されており、ボデー検出センサ14からの前記ボデー信号を受信可能に構成されている。
【0028】
また、制御装置15には、バンパーセンサ12による検出範囲(防護エリア)に係る情報が予め記憶されており、具体的には、防護エリア100・200・300に係る情報が予め記憶されている。
制御装置15は、台車検出センサ13からの前記台車信号の有無、およびボデー検出センサ14からの前記ボデー信号の有無に応じて、バンパーセンサ12による検出範囲を防護エリア100・200・300間で変更する。防護エリア100・200・300に関する詳細な説明は後述する。
【0029】
以下では、バンパーセンサ12による検出範囲の変更パターン(i)〜(iii)について説明する。
【0030】
(i)制御装置15は、台車検出センサ13から前記台車信号を受信せず(台車検出センサ・OFF)、かつ、ボデー検出センサ14から前記ボデー信号を受信しないとき(ボデー検出センサ・OFF)には、バンパーセンサ12に信号を送信して、バンパーセンサ12による検出範囲を第一防護エリア100(進行方向Aの寸法(A1)、幅方向Bの寸法(B1)とする)に変更する(図1参照)。
これにより、搬送車11に積載物(台車3および自動車のボデー1)が設置されていない場合に、すなわち搬送車11が何も搬送していない場合に、バンパーセンサ12による検出範囲が第一防護エリア100となる。
第一防護エリア100は、搬送車11の寸法に応じた広さに構成され、搬送車11の寸法よりも僅かに大きく構成されている(A1>a1、B1>b1)(図1参照)。搬送車11の寸法は既知であり、第一防護エリア100の大きさは、制御装置15に予め設定されている。
なお、制御装置15は、搬送車11に積載物(台車3および自動車のボデー1)が設置されていない場合には、台車検出センサ13からの前記台車信号、およびボデー検出センサ14からの前記ボデー信号を受信していないこと、すなわち搬送車11に積載物が設置されていないことを常時確認している。
【0031】
(ii)制御装置15は、台車検出センサ13から前記台車信号を受信して(台車検出センサ・ON)、かつ、ボデー検出センサ14から前記ボデー信号を受信していないとき(ボデー検出センサ・OFF)には、バンパーセンサ12に信号を送信して、バンパーセンサ12による検出範囲を第二防護エリア200(進行方向Aの寸法(A2)、幅方向Bの寸法(B2)とする)に変更する(図2参照)。
これにより、搬送車11に台車3のみ設置されており、台車3(載置部5)に自動車のボデー1が載置されていない場合に、すなわち搬送車11が台車3のみを搬送している場合に、バンパーセンサ12による検出範囲が第二防護エリア200となる。
第二防護エリア200は、台車3の寸法に応じた広さに構成され、台車3の寸法よりも僅かに大きく構成されている(A2>a2、B2>b2)(図2参照)。台車3の寸法は既知であり、第二防護エリア200の大きさは、制御装置15に予め設定されている。
第二防護エリア200は、第一防護エリア100よりも広く構成されている(A2>A1、B2>B1)。これは、上記したように、台車3の寸法の方が搬送車11の寸法よりも大きく構成されているからである。
なお、制御装置15は、搬送車11に台車3のみが設置されている場合には、台車検出センサ13からの前記台車信号を受信しているとともに、ボデー検出センサ14からの前記ボデー信号を受信していないこと、すなわち搬送車11の積載物が台車3のみであり、自動車のボデー1が含まれていないことを常時確認している。
【0032】
(iii)制御装置15は、台車検出センサ13から前記台車信号を受信して(台車検出センサ・ON)、かつ、ボデー検出センサ14から前記ボデー信号を受信しているとき(ボデー検出センサ・ON)には、バンパーセンサ12に信号を送信して、バンパーセンサ12による検出範囲を第三防護エリア300(進行方向Aの寸法(A3)、幅方向Bの寸法(B3)とする)に変更する(図3(a)参照)。
これにより、搬送車11に台車3が設置されており、さらに、台車3(載置部5)に自動車のボデー1が載置されている場合に、すなわち搬送車11が台車3および自動車のボデー1を搬送している場合に、バンパーセンサ12による検出範囲が第三防護エリア300となる。
第三防護エリア300は、自動車のボデー1の寸法に応じた広さに構成され、自動車のボデー1の寸法よりも僅かに大きく構成されている(A3>a3、B3>b3)(図3(a)参照)。自動車のボデー1の寸法は既知であり、第三防護エリア300の大きさは、制御装置15に予め設定されている。
第三防護エリア300は、第二防護エリア200よりも広く構成されている(A3>A2、B3>B2)。これは、上記したように、自動車のボデー1の寸法の方が台車3の寸法よりも大きく構成されているからである。
なお、制御装置15は、搬送車11に台車3および自動車のボデーが設置されている場合には、台車検出センサ13からの前記台車信号、およびボデー検出センサ14からの前記ボデー信号を受信していること、すなわち搬送車11に台車3および自動車のボデーが設置されていることを常時確認している。
【0033】
以上のように、搬送装置10は、搬送車11に所定の積載物(台車3/自動車のボデー)が設置されているか否かを検出するセンサ(台車検出センサ13/ボデー検出センサ14)を有している。これにより、搬送車11に所定の積載物が設置されているか否か(詳細には、(i)何も設置されていない状態、(ii)台車3のみ設置されている状態、(iii)台車3および自動車のボデー1が載置されている状態)、を常時確認可能であり、搬送車11に所定の積載物が設置されているか否か(所定の積載物の有無)を確実に特定可能である。
したがって、搬送車11に設置される積載物が変更されても、より安全にバンパーセンサ12による検出範囲(防護エリア100・200・300)を変更する(切替える)ことが可能であり、バンパーセンサ12による検出範囲を所定の積載物の有無に応じて正確に変更可能(設定可能)である。
【0034】
なお、上記(i)〜(iii)に示すように積載物のパターンが限定される場合は、積載物を検出する二つのセンサ(台車検出センサ13およびボデー検出センサ14)に関して有効条件をつけて、センサ13・14の動作条件を制御(限定)するように構成してもよい(図7参照)。
詳細に説明すると、自動車のボデー1は台車3を用いて搬送車11に設置されるので、搬送車11に台車3が設置されていない場合は、搬送車11に自動車のボデー1が設置されることはない。
すなわち、制御装置15は、台車検出センサ13から前記台車信号を受信しない場合(台車検出センサ・OFF)は、原理的には、ボデー検出センサ14から前記ボデー信号を受信することはない(ボデー検出センサは、常に(OFF)となり、(ON)となることはない)。
これにより、制御装置15は、台車検出センサ13から前記台車信号を受信しない場合(台車検出センサ・OFF)は、ボデー検出センサ14からの前記ボデー信号の有無(ON・OFF)を確認する必要がない。
その為、搬送装置10は、制御装置15が台車検出センサ13から前記台車信号を受信しない場合(台車検出センサ・OFF)には、ボデー検出センサ14の動作を無効にするといったように、制御装置15によりセンサ13・14の動作条件を制御(限定)するような構成とすることができる。
【0035】
以上のように、搬送装置10を、センサ13・14の動作条件を制御するように構成した場合は、存在しない組み合わせによるインターロック停止をおこさない点で有利である。また、搬送装置10は、センサ13・14の動作条件を限定する為、省エネ効果を有する。また、搬送装置10は、センサ13・14の動作条件を限定する為、外乱の影響を受けにくい点で有利である。
【0036】
[第二実施形態]
以下では、本発明に係る搬送装置の第二実施形態である搬送装置20について、図面を参照して説明する。
なお、搬送装置20について、搬送装置10と同様の部材に対しては同一符号を付し、詳細な説明およびそれに付随する効果等の記載は省略する。
【0037】
図8に示すように、搬送装置20は、認識テープ検出センサ21を有している。
【0038】
認識テープ検出センサ21は、搬送車11がガイドテープ2によって形成される走行経路を走行している際に、搬送車11がその走行経路内における特定エリアを走行しているか否かを検出するためのセンサである。
前記特定エリアは、工場柱等の障害物7の位置に応じて適宜決定される。
認識テープ検出センサ21は、搬送車11に設けられており、搬送車11とともに移動する。認識テープ検出センサ21は、搬送車11の下面に設けられており、床面に設けられた特定エリア認識テープ6を検出可能に構成されている。
図9に示すように、特定エリア認識テープ6は、前記特定エリアに配置されており(詳細には、前記特定エリアの床面に設けられており)、ガイドテープ2の側方にてガイドテープ2に沿って延在している。すなわち、特定エリア認識テープ6の配置されている領域が、前記特定エリアとなる。
搬送車11は、ガイドテープ2に沿って走行している場合において、前記特定エリアに侵入すると、ガイドテープ2上のみならず、特定エリア認識テープ6上も走行するように構成されている。
搬送車11が前記特定エリアを走行している場合に、すなわち搬送車11が特定エリア認識テープ6上を走行している場合に、認識テープ検出センサ21が特定エリア認識テープ6を検出して、認識テープ信号を出力する。
【0039】
図8に示すように、制御装置15は、認識テープ検出センサ21に接続されており、認識テープ検出センサ21から前記認識テープ信号を受信可能に構成されている。
【0040】
制御装置15には、バンパーセンサ12による検出範囲(防護エリア)に係る情報が予め記憶されており、具体的には、防護エリア400・500に係る情報が予め記憶されている。
制御装置15は、認識テープ検出センサ21からの前記認識テープ信号の有無に応じて、バンパーセンサ12による検出範囲を防護エリア400・500間で変更する。
すなわち、制御装置15は、認識テープ検出センサ21から前記認識テープ信号を受信している場合と、受信していない場合とで、バンパーセンサ12による検出範囲を異ならせる。
これにより、搬送車11が前記特定エリアを走行している場合と、前記特定エリア外を走行している場合とでは、バンパーセンサ12による検出範囲が異なる。
【0041】
図9に示すように、制御装置15は、認識テープ検出センサ21から前記認識テープ信号を受信しないとき、バンパーセンサ12に信号を送信して、バンパーセンサ12による検出範囲を第四防護エリア400(進行方向Aの寸法(A4)、幅方向Bの寸法(B4)とする)に変更する。
これにより、搬送車11が前記特定エリア外を走行している場合に、バンパーセンサ12による検出範囲が第四防護エリア400となる。
なお、制御装置15は、搬送車11が前記特定エリア外を走行している際、認識テープ検出センサ21からの前記認識テープ信号を受信していないこと、つまり搬送車11が前記特定エリア外を走行していることを常時確認している。
【0042】
制御装置15は、認識テープ検出センサ21から前記認識テープ信号を受信しているときは、バンパーセンサ12に信号を送信して、バンパーセンサ12による検出範囲を第五防護エリア500(進行方向Aの寸法(A5)、幅方向Bの寸法(B5)とする)に変更する。
これにより、搬送車11が前記特定エリアを走行している場合に、バンパーセンサ12による検出範囲が第五防護エリア500となる。
第五防護エリア500は、第四防護エリア400よりも狭く構成されていることとする(A5<A4、B5<B4)。
なお、制御装置15は、搬送車11が前記特定エリアを走行している際、認識テープ検出センサ21からの前記認識テープ信号を受信していること、つまり搬送車11が前記特定エリアを走行していることを常時確認している。
【0043】
以上のように、搬送装置20は、認識テープ検出センサ21を有している。これにより、搬送車11が前記特定エリアを走行しているか否かを常時確認可能であり、搬送車11が前記特定エリアを走行しているか否かを確実に特定可能である。
したがって、運営上バンパーセンサ12による検出範囲を切替える必要がある場合に、例えば図9に示すように工場柱等の障害物7がガイドテープ2の近傍にある領域が予めわかっており、搬送車11がこの領域を走行するときだけバンパーセンサ12による検出範囲を防護エリア400から防護エリア500に変更する(切替える)必要がある場合、この領域を特定エリアに設定することで(この領域に特定エリア認識テープ6を配置することで)、より安全にバンパーセンサ12による検出範囲を変更することが可能であり、バンパーセンサ12による検出範囲を搬送車11の走行位置に応じて(特定エリアか否かで)正確に変更可能(設定可能)である。
【0044】
なお、この第二実施形態における、搬送車11が前記特定エリアを走行している場合と、前記特定エリア外を走行している場合とでバンパーセンサ12による検出範囲を異ならせる構成は、前述の第一実施形態の構成と合わせて搬送装置に備えさせることが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 自動車のボデー
3 台車
10・20 搬送装置
11 搬送車
12 バンパーセンサ
13 台車検出センサ
14 ボデー検出センサ
15 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送車と、
前記搬送車の周囲の障害物を検出する障害物検出手段と、
前記障害物検出手段に接続され、前記障害物検出手段による検出範囲を変更可能な制御装置と、を有し、
前記搬送車を走行させて、前記搬送車に設置された積載物を搬送する搬送装置であって、
前記搬送車に所定の積載物が設置されているか否かを検出して、前記搬送車に前記所定の積載物が設置されている場合には積載物信号を出力する積載物検出手段を有し、
前記所定の積載物の寸法は、前記搬送車の寸法よりも大きく構成され、
前記制御装置は、前記積載物検出手段に接続され、前記積載物検出手段から前記積載物信号を受信した場合に、前記障害物検出手段による検出範囲を前記所定の積載物の寸法に応じた広さに変更することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記搬送車に設置される所定の積載物は、被搬送部材と、前記被搬送部材を前記搬送車に設置するために用いる設置部材と、で構成され、
前記被搬送部材の寸法は、前記設置部材の寸法よりも大きく構成され、
前記積載物検出手段は、
前記搬送車に前記設置部材が設置されているか否かを検出して、前記搬送車に前記設置部材が設置されている場合には設置部材信号を出力する設置部材検出手段と、
前記搬送車に前記被搬送部材が設置されているか否かを検出して、前記搬送車に前記被搬送部材が設置されている場合には被搬送部材信号を出力する被搬送部材検出手段と、を有し、
前記制御装置は、
前記設置部材検出手段から前記設置部材信号を受信せず、かつ、前記被搬送部材検出手段から前記被搬送部材信号を受信しない場合に、前記障害物検出手段による検出範囲を前記搬送車の寸法に応じた広さに変更し、
前記設置部材検出手段から前記設置部材信号を受信して、かつ、前記被搬送部材検出手段から前記被搬送部材信号を受信しない場合に、前記障害物検出手段による検出範囲を前記設置部材の寸法に応じた広さに変更し、
前記設置部材検出手段から前記設置部材信号を受信して、かつ、前記被搬送部材検出手段から前記被搬送部材信号を受信した場合に、前記障害物検出手段による検出範囲を前記被搬送部材の寸法に応じた広さに変更することを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記制御装置が前記設置部材検出手段から前記設置部材信号を受信しない場合には、前記被搬送部材検出手段の動作を無効にして、前記障害物検出手段による検出範囲を前記搬送車の寸法に応じた広さに変更することを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記搬送車に設けられ、前記搬送車がその走行経路内における特定エリアを走行している場合には、前記特定エリアに配置された特定エリア認識部材を検出して、認識部材信号を出力する認識部材検出手段を有し、
前記制御装置は、前記認識部材検出手段に接続され、前記認識部材検出手段から前記認識部材信号を受信する場合と、受信しない場合とで、前記障害物検出手段による検出範囲を異ならせることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の搬送装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−58792(P2012−58792A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198392(P2010−198392)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】