説明

搬送装置

【課題】主軸方向に搬送される被搬送物の軌跡の正確性を向上させる搬送装置を提供する。
【解決手段】副軸方向に延在し、レーザ加工ヘッド2を副軸方向に移動可能に保持する副軸フレーム3と、副軸方向と交差する主軸方向に延在し、副軸フレーム3を主軸方向に移動可能に保持する一対の主軸フレーム4a、4bと、を備え、レーザ加工ヘッド2を主軸方向及び副軸方向に搬送する搬送装置1であって、副軸フレーム3に副軸方向に移動可能に保持され、レーザ加工ヘッド2とは副軸フレーム3の副軸方向における中心線CCを挟んで反対側且つ副軸フレーム3の主軸方向における反対側の位置においてレーザ加工ヘッド2の副軸方向の移動に対して反対方向に移動するカウンタウエイト6を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関する。詳しくは、被搬送物を主軸方向及び副軸方向に搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被搬送物を主軸方向及び副軸方向に搬送する搬送装置として特許文献1に開示された技術がある。
特許文献1に開示された技術は、ヘッド(被搬送物)を載置した副軸ユニットの両端を左右の主軸ベース部に沿って、独立して駆動される2本のベルトにより駆動する。その際、これら2本のベルトの両端のベルト駆動プーリのそれぞれを主軸駆動サーボモータにより駆動すると共に、左右の主軸ベース部に取り付けたリニアエンコーダにより副軸ユニットの両端の位置と速度を検出して、リニアエンコーダとサーボモータとがフルクローズループにより制御されるように配置し、2本のベルトを同期駆動させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−202488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、ヘッド(被搬送物)が副軸ユニットのどちらか一方の副軸方向端部近くに偏った位置にある状態で、副軸ユニットが左右の主軸ベース部上を主軸方向に移動すると、副軸ユニットの副軸方向両端部における慣性重量に差が生じる。これにより、主軸方向に移動する副軸ユニットにモーメントが生じて副軸ユニットが振動したり捩れたりする。そうすると、ヘッドの軌跡が不安定となり、例えば、ヘッドとしてヘッドの軌跡に正確性を必要とするレーザ加工装置を装着したヘッド等を採用していると、レーザ加工の加工精度が低下するという問題が生じる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、主軸方向に搬送される被搬送物の軌跡の正確性を向上させる搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 副軸方向に延在し、被搬送物(例えば、後述のレーザ加工ヘッド2)を副軸方向に移動可能に保持する副軸フレーム(例えば、後述の副軸フレーム3)と、副軸方向と直交する主軸方向に延在し、前記副軸フレームを主軸方向に移動可能に保持する一対の主軸フレーム(例えば、後述の主軸フレーム4a、4b)と、を備え、前記被搬送物を主軸方向及び副軸方向に搬送する搬送装置であって、前記副軸フレームに副軸方向に移動可能に保持され、前記被搬送物とは前記副軸フレームの副軸方向における中心線を挟んで反対側且つ前記副軸フレームの主軸方向における反対側の位置において前記被搬送物の副軸方向の移動に対して反対方向に移動するカウンタウエイト(例えば、後述のカウンタウエイト6、6a、6b)を備えたことを特徴とする搬送装置(例えば、後述の搬送装置1、1a、1b、1c)。
【0007】
(1)の発明によれば、副軸フレームに副軸方向に移動可能に保持され、被搬送物とは副軸フレームの副軸方向における中心線を挟んで反対側且つ副軸フレームの主軸方向における反対側の位置において被搬送物の副軸方向の移動に対して反対方向に移動するカウンタウエイトを設ける。これによって、被搬送物が副軸フレームのどちらか一方の副軸方向端部近くに偏った位置にある状態で副軸フレームが一対の主軸フレーム上を主軸方向に移動するとき、副軸フレームの副軸方向両端部における慣性重量の差を小さくできる。これにより、主軸方向に移動する副軸フレームのモーメントを小さくでき、副軸フレームが振動したり捩れたりすることを抑制でき、被搬送物の軌跡が安定する。したがって、主軸方向に搬送される被搬送物の軌跡の正確性を向上させることができる。そのため、例えば、被搬送物として被搬送物の軌跡に正確性を必要とするレーザ加工装置等を装着している場合には、レーザ加工の加工精度を向上させることができる。
特に、加工加速度を高加速化する場合には、副軸フレームの副軸方向両端部に印加される慣性力が大きくなるが、副軸フレームの副軸方向両端部における慣性重量の差を小さくでき、主軸方向に移動する副軸フレームのモーメントを小さくできるので、加工精度を向上させる点で有利である。
本発明において、被搬送物とカウンタウエイトとを副軸フレームの副軸方向における中心線を挟んで反対側に位置するとしているが、上記副軸方向における中心線とは、副軸フレームの副軸方向の長さの中心線ではなく、副軸フレームの副軸方向の重量の中心線(換言すれば重心)を意味する。副軸フレームの副軸方向の重量の中心線(換言すれば重心)が、副軸フレームの副軸方向の長さの中心線に一致していてもよいことは言うまでもない。
【0008】
(2) 前記カウンタウエイトの、重量及び前記副軸フレームの副軸方向の位置は、前記被搬送物の、重量及び前記副軸フレームの副軸方向の位置との関係により前記副軸フレームが主軸方向に移動する際に前記副軸フレームの副軸方向両端部における慣性重量の差が減少するように設定されたことを特徴とする(1)に記載の搬送装置。
【0009】
(2)の発明によれば、被搬送物が副軸フレームのどちらか一方の副軸方向端部近くに偏った位置にある状態で副軸フレームが一対の主軸フレーム上を主軸方向に移動するとき、副軸フレームの副軸方向両端部における慣性重量の差を減少させることができる。これにより、主軸方向に移動する副軸フレームのモーメントを減少させることができ、副軸フレームが振動したり捩れたりすることを効果的に抑制でき、被搬送物の軌跡が更に安定する。したがって、主軸方向に搬送される被搬送物の軌跡の正確性を更に向上させることができる。また、加工加速度を高加速化する場合には、副軸フレームの副軸方向両端部に印加される慣性力が大きくなるため、特に効果的に主軸方向に搬送される被搬送物の軌跡の正確性を向上させることができる。
【0010】
(3) 前記副軸フレーム上を循環し、前記被搬送物及び前記カウンタウエイトが固定される無端ベルト(例えば、後述の無端ベルト5、8)を備えたことを特徴とする(1)又は(2)に記載の搬送装置。
【0011】
(3)の発明によれば、簡単な構成で、副軸フレームに副軸方向に移動可能に保持され、被搬送物とは副軸フレームの副軸方向における中心線を挟んで反対側に位置するように被搬送物の副軸方向の移動に対して反対方向に移動するカウンタウエイトを設けることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、主軸方向に搬送される被搬送物の軌跡の正確性を向上させる搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る搬送装置の概略構成を示す上面模式図である。
【図2】第1の実施形態に係る搬送装置の動作を示す上面模式図である。
【図3】搬送装置の課題を示す模式図である。
【図4】第1の実施形態に係る搬送装置の効果を示す模式図である。
【図5】第2の実施形態に係る搬送装置の概略構成を示す上面模式図である。
【図6】第3の実施形態に係る搬送装置の概略構成を示す上面模式図である。
【図7】第4の実施形態に係る搬送装置の概略構成を示し、(a)は上面模式図であり、(b)は(a)のDD断面図である。
【図8】本発明の変形例に係る搬送装置の副軸フレーム部分のモデルを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る搬送装置1の概略構成を示す上面模式図である。
図1において、搬送装置1は、被搬送物としてのレーザ加工ヘッド2をXY方向、すなわちX方向である副軸方向及びY方向である主軸方向に搬送するものである。
レーザ加工ヘッド2は、レーザ加工装置を搭載したヘッドであり、図示しない制御装置からの制御信号によって副軸方向及び主軸方向に平面上を移動し、鉄板等から所定の形状を切り取るように鉄板等にレーザを照射し加工を行う。
【0016】
搬送装置1は、レーザ加工ヘッド2及びカウンタウエイト6をそれぞれ副軸方向に移動可能に保持する副軸フレーム3と、副軸フレーム3を主軸方向に移動可能に保持する一対の主軸フレーム4a、4bと、副軸フレーム3及び一対の主軸フレーム4a、4bの側面に掛け回された無端ベルト5と、無端ベルト5を駆動するサーボモータM1、M2と、を備える。レーザ加工ヘッド2及びカウンタウエイト6は、それぞれ無端ベルト5に固定され、無端ベルト5の移動と共に移動する。
【0017】
副軸フレーム3は、副軸方向に延在した断面略矩形の棒状部材であってよい。
一対の主軸フレーム4a、4bは、副軸フレーム3の副軸方向両端部33a、33bにおいて副軸方向と交差する主軸方向に延在した基部であり、副軸フレーム3を主軸方向に移動可能に保持する。一対の主軸フレーム4a、4bは、主軸方向に延在した断面略矩形の一対の棒状部材であってよく、副軸フレーム3を主軸方向に移動可能に保持するために、各主軸フレーム4a、4bの内側側面41a、41bに主軸方向に直線的に溝が形成され、その溝に副軸フレーム3の副軸方向両端部33a、33bに設けた突起部を遊嵌させてガイドする構成であってよい。副軸フレーム3は、一対の主軸フレーム4a、4bに対して、副軸フレーム3の副軸方向両端部33a、33bの位置が一対の主軸フレーム4a、4bの主軸方向に常に一致するように構成されている。
無端ベルト5は、副軸フレーム3のレーザ加工ヘッド2が配置される一方の側面31及びカウンタウエイト6が配置される他方の側面32、並びに、副軸フレーム3の副軸方向両端部33a、33bに配置された一対の主軸フレーム4a、4bの内側側面41a、41b(前方内側側面46a、46b及び後方内側側面47a、47b)及び外側側面42a、42bに近接させて、H字形状に掛け回されている。
副軸フレーム3の一方の側面31に保持されたレーザ加工ヘッド2は、無端ベルト5によって一方の側面31に沿って副軸方向に移動可能であり、更に、副軸フレーム3の他方の側面32に保持されたカウンタウエイト6は、無端ベルト5によって他方の側面32に沿って副軸方向に移動可能である。これにより、レーザ加工ヘッド2とカウンタウエイト6とは、互いに副軸フレーム3の主軸方向における反対側に位置する。
サーボモータM1、M2は、一対の主軸フレーム4a、4bの主軸方向端部に配置され、無端ベルト5を駆動する。サーボモータM1、M2が配置された一対の主軸フレーム4a、4bの主軸方向端部とは反対側の主軸方向端部には、プーリ7a、7bが配置され、プーリ7a、7bもサーボモータM1、M2で駆動されることにより無端ベルト5の移動をスムーズにしている。
【0018】
レーザ加工ヘッド2及びカウンタウエイト6は、このように配置されることによって、カウンタウエイト6がレーザ加工ヘッド2とは副軸フレーム3の副軸方向における中心線CCを挟んで反対側且つ副軸フレーム3の主軸方向における反対側に位置し、且つレーザ加工ヘッド2の副軸方向の移動に対して反対方向に移動するように無端ベルト5に固定される。
ここで、レーザ加工ヘッド2とカウンタウエイト6とを副軸フレーム3の副軸方向における中心線CCを挟んで反対側に配置するとしているが、前述の通り、副軸方向における中心線CCは、副軸フレーム3の副軸方向の長さの中心線ではなく、副軸フレーム3の副軸方向の重量の中心線(換言すれば重心)を意味する。副軸方向における中心線CCは、副軸フレーム3の副軸方向の長さ(副軸フレーム3の副軸方向両端部33a、33bからの距離)の中心線に一致していることが好ましい。
カウンタウエイト6の、「重量」及び「副軸フレーム3の副軸方向の位置」は、レーザ加工ヘッド2の、「重量」及び「副軸フレーム3の副軸方向の位置」との関係により副軸フレーム3が主軸方向に移動する際に副軸フレーム3の副軸方向両端部33a、33bにおける慣性重量に差が生じないように設定されていることが好ましい。これには、レーザ加工ヘッド2及びカウンタウエイト6を等しい重量とし、レーザ加工ヘッド2及びカウンタウエイト6の無端ベルト5上における固定位置を、レーザ加工ヘッド2とカウンタウエイト6とが副軸フレーム3の副軸方向における中心線CCを挟んで副軸方向における中心線CCから等距離であって反対側に位置するように設定することが好ましい。
本実施形態では、搬送装置1が副軸方向における中心線CCを基準に線対称構造であるので、レーザ加工ヘッド2及びカウンタウエイト6の無端ベルト5上における固定位置は、無端ベルト5の全長を半分に分ける位置となる。なお、一対の主軸フレーム4a、4bのどちらか一方に無端ベルト5の緩みを防ぐためのベルトテンショナ等が設けられる等、搬送装置1が副軸方向における中心線CCを基準に線対称構造ではない場合には、無端ベルト5が副軸方向における中心線CCを挟んで異なる長さとなる場合には、レーザ加工ヘッド2及びカウンタウエイト6の無端ベルト5上における固定位置は、無端ベルト5の全長を半分に分ける位置にならない。
【0019】
次に図2を参照して搬送装置1の動作を説明する。
図2は、本実施形態に係る搬送装置1の動作を示す上面模式図であり、aは、レーザ加工ヘッド2が副軸方向である副軸フレーム3の図示右側へ移動する様子を示し、bは、レーザ加工ヘッド2が副軸方向である副軸フレーム3の図示左側へ移動する様子を示し、cは、副軸フレーム3が主軸方向の移動である前進する(図示上側に移動する)様子を示し、dは、副軸フレーム3が主軸方向の移動である後退する(図示下側に移動する)様子を示す。
搬送装置1は、2つのサーボモータM1、M2の回転を組み合わせて制御することにより、上記a乃至dの移動を自由に行うことができる。
【0020】
aは、レーザ加工ヘッド2を副軸方向である副軸フレーム3の図示右側へ移動する様子を示している。レーザ加工ヘッド2を副軸方向である副軸フレーム3の右側へ移動させるためには、2つのサーボモータM1、M2を同じ速度で反時計回りに回転させる。これにより、無端ベルト5が反時計回りに回転し、レーザ加工ヘッド2が副軸フレーム3の一方の側面31において副軸方向である副軸フレーム3の右側へ移動し、同時に、カウンタウエイト6が副軸フレーム3の他の側面32において副軸方向である副軸フレーム3の左側へ移動する。
このとき、2つのサーボモータM1、M2を同じ速度で反時計回りに回転させるので、外側側面42bから前方内側側面46bへの無端ベルト5の供給速度と前方内側側面46aから外側側面42aへの無端ベルト5の排出速度とが等しく(同様に、外側側面42aから後方内側側面47aへの無端ベルト5の供給速度と後方内側側面47bから外側側面42bへの無端ベルト5の排出速度とが等しく)、副軸フレーム3は一対の主軸フレーム4a、4bに対して移動しない。すなわち、レーザ加工ヘッド2は、主軸方向に移動しない。
【0021】
bは、レーザ加工ヘッド2を副軸方向である副軸フレーム3の図示左側へ移動する様子を示している。レーザ加工ヘッド2を副軸方向である副軸フレーム3の左側へ移動させるためには、2つのサーボモータM1、M2を同じ速度で時計回りに回転させる。これにより、無端ベルト5が時計回りに回転し、レーザ加工ヘッド2が副軸フレーム3の一方の側面31において副軸方向である副軸フレーム3の左側へ移動し、同時に、カウンタウエイト6が副軸フレーム3の他の側面32において副軸方向である副軸フレーム3の右側へ移動する。
このとき、2つのサーボモータM1、M2を同じ速度で時計回りに回転させるので、外側側面42aから前方内側側面46aへの無端ベルト5の供給速度と前方内側側面46bから外側側面42bへの無端ベルト5の排出速度とが等しく(同様に、外側側面42bから後方内側側面47bへの無端ベルト5の供給速度と後方内側側面47aから外側側面42aへの無端ベルト5の排出速度とが等しく)、副軸フレーム3は一対の主軸フレーム4a、4bに対して移動しない。すなわち、レーザ加工ヘッド2は、主軸方向に移動しない。
【0022】
cは、副軸フレーム3が主軸方向の移動である前進する(図示上側に移動する)様子を示している。副軸フレーム3を主軸方向に前進させるためには、左側のサーボモータM1を所定の速度で反時計回りに回転させ右側のサーボモータM2を同じ所定の速度で時計回りに回転させる。これにより、無端ベルト5が所定の速度で外側側面42a、42bから後方内側側面47a、47bにそれぞれ供給され、無端ベルト5が同じ速度で前方内側側面46a、46bから外側側面42a、42bへそれぞれ排出されるため、副軸フレーム3は主軸方向に前進する(上側に移動する)。
このとき、外側側面42aから後方内側側面47aへの無端ベルト5の供給速度と外側側面42bから後方内側側面47bへの無端ベルト5の供給速度とが等しく(同様に、前方内側側面46aから外側側面42aへの無端ベルト5の排出速度と前方内側側面46bから外側側面42bへの無端ベルト5の排出速度とが等しく)、レーザ加工ヘッド2及びカウンタウエイト6は、副軸フレーム3に対して副軸方向に移動しない。
【0023】
dは、副軸フレーム3が主軸方向の移動である後退する(図示下側に移動する)様子を示している。副軸フレーム3を主軸方向に後退させるためには、左側のサーボモータM1を所定の速度で時計回りに回転させ右側のサーボモータM2を同じ所定の速度で反時計回りに回転させる。これにより、無端ベルト5が所定の速度で外側側面42a、42bから前方内側側面46a、46bにそれぞれ供給され、無端ベルト5が同じ速度で後方内側側面47a、47bから外側側面42a、42bへそれぞれ排出されるため、副軸フレーム3は主軸方向に後退する(下側に移動する)。
このとき、外側側面42aから前方内側側面46aへの無端ベルト5の供給速度と外側側面42bから前方内側側面46bへの無端ベルト5の供給速度とが等しく(同様に、後方内側側面47aから外側側面42aへの無端ベルト5の排出速度と後方内側側面47bから外側側面42bへの無端ベルト5の排出速度とが等しく)、レーザ加工ヘッド2及びカウンタウエイト6は、副軸フレーム3に対して副軸方向に移動しない。
【0024】
本実施形態に係る搬送装置1は、上記のa乃至dを単独で行うだけでなく、a及びcを同時に行い、レーザ加工ヘッド2を副軸方向である副軸フレーム3の右側へ移動すると共に主軸方向に前進する(上側に移動する)、或いは、a及びdを同時に行い、レーザ加工ヘッド2を副軸方向である副軸フレーム3の右側へ移動すると共に主軸方向に後退する(下側に移動する)、或いは、b及びcを同時に行い、レーザ加工ヘッド2を副軸方向である副軸フレーム3の左側へ移動すると共に主軸方向に前進する(上側に移動する)、或いは、b及びdを同時に行い、レーザ加工ヘッド2を副軸方向である副軸フレーム3の左側へ移動すると共に主軸方向に後退する(下側に移動する)ことが可能である。
例えば、a及びcを同時に行い、レーザ加工ヘッド2を副軸方向である副軸フレーム3の右側へ移動すると共に主軸方向に前進する(上側に移動する)ためには、aのための作動条件である「サーボモータM1、M2を同じ速度で反時計回りに回転させる」、すなわち「サーボモータM1速度=s、サーボモータM2速度=s(反時計回り方向を+方向)」と、cのための作動条件である「サーボモータM1を所定の速度で反時計回りに回転させサーボモータM2を同じ所定の速度で時計回りに回転させる」、すなわち「サーボモータM1速度=t、サーボモータM2速度=−t(反時計回り方向を+方向)」と、をベクトル的に足し合わせればよい。すなわち、搬送装置1を「サーボモータM1速度=s+t、サーボモータM2速度=s−t(反時計回り方向を+方向)」との作動条件で所定時間操作すればよい。
他の場合も、同様に、ベクトル的に足し合わせた作動条件で操作すればよい。
【0025】
以上説明した搬送装置1にあっては、以下の効果を奏する。
まず、図3に示すように、対比のためカウンタウエイトを持たない搬送装置100について説明する。搬送装置100においては、レーザ加工ヘッド2が副軸フレーム3の左側の副軸方向端部33a近くに偏った位置にある状態で、副軸フレーム3が一対の主軸フレーム4a、4b上を主軸方向に移動すると、副軸フレーム3の副軸方向両端部33a、33bにおける図示矢印のように左側の慣性重量が重く、逆に右側の慣性重量が軽くなり、副軸方向両端部33a、33b間における慣性重量に差が生じる。これにより、主軸方向に移動する副軸フレーム3にモーメントが生じて副軸フレーム3が振動したり捩れたりすることによって、レーザ加工ヘッド2の軌跡がぶれて不安定になり、加工精度が低下する。
図4は、本実施形態に係る搬送装置1の効果を示す図である。搬送装置100に対して搬送装置1においては、副軸フレーム3に副軸方向に移動可能に保持され、レーザ加工ヘッド2とは副軸フレーム3の副軸方向における中心線CCを挟んで反対側且つ副軸フレーム3の主軸方向における反対側の位置においてレーザ加工ヘッド2の副軸方向の移動に対して反対方向に移動するカウンタウエイト6を備えているので、レーザ加工ヘッド2が副軸フレーム3の副軸方向両端部33a、33bのどちらか一方の近くに偏った位置にある状態で副軸フレーム3が一対の主軸フレーム4a、4b上を主軸方向に移動するとき、副軸フレーム3の副軸方向両端部33a、33bにおける図示矢印のように慣性重量の差をなくすことができる。これにより、主軸方向に移動中の副軸フレーム3のモーメントをなくすことができ、副軸フレーム3が振動したり捩れたりすることが抑制できる。このため、レーザ加工ヘッド2の軌跡をぶれずに安定させることができ、主軸方向に搬送されるレーザ加工ヘッド2の軌跡の正確性を向上させることができる。これによって、レーザ加工ヘッド2によるレーザ加工の加工精度を向上させることができる。
特に、加工加速度を高加速化する場合には、副軸フレーム3の副軸方向両端部33a、33bに印加される慣性力が大きくなるが、副軸フレーム3の副軸方向両端部33a、33bにおける慣性重量の差を小さくでき、主軸方向に移動する副軸フレーム3のモーメントをなくすことができるので、加工精度を向上させる点で有利である。
【0026】
本実施形態では、カウンタウエイト6の、「重量」及び「副軸フレーム3の副軸方向の位置」は、レーザ加工ヘッド2の、「重量」及び「副軸フレーム3の副軸方向の位置」との関係により副軸フレーム3が主軸方向に移動する際に副軸フレーム3の副軸方向両端部における慣性重量に差が生じないように設定されている。
つまり、本実施形態では、レーザ加工ヘッド2及びカウンタウエイト6は等しい重量であり、レーザ加工ヘッド2及びカウンタウエイト6の無端ベルト5上での固定位置は、レーザ加工ヘッド2とカウンタウエイト6とが副軸フレーム3の副軸方向における中心線CCを挟んで副軸方向における中心線CCから等距離であって反対側に位置するような位置である。
本実施形態によると、副軸フレーム3が一対の主軸フレーム4a、4b上を主軸方向に移動するとき、副軸フレーム3の副軸方向両端部33a、33bにおける慣性重量の差をなくすことができる。これにより、主軸方向に移動する副軸フレーム3のモーメントをなくすことができ、副軸フレーム3が振動したり捩れたりすることをより効果的に抑制でき、レーザ加工ヘッド2の軌跡が更に安定する。したがって、主軸方向に搬送されるレーザ加工ヘッド2の軌跡の正確性を更に向上させることができる。また、加工加速度を高加速化する場合には、副軸フレーム3の副軸方向両端部33a、33bに印加される慣性力が大きくなるため、特により効果的に主軸方向に搬送されるレーザ加工ヘッド2の軌跡の正確性を向上させることができる。
【0027】
本実施形態では、上述の通り、副軸フレーム3上を循環し、レーザ加工ヘッド2及びカウンタウエイト6が固定される無端ベルト5を備えているので、簡単な構成で、副軸フレーム3に副軸方向に移動可能に保持され、レーザ加工ヘッド2とは副軸フレーム3の副軸方向における中心線CCを挟んで反対側に位置するようにレーザ加工ヘッド2の副軸方向の移動に対して反対方向に移動するカウンタウエイト6を設けることができる。
【0028】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態を説明する。本実施形態では、上記第1の実施形態で説明した事項については説明を省略し、その特徴部分を説明する。
図5は、第2の実施形態に係る搬送装置の概略構成を示す上面模式図である。
図5に示す搬送装置1aは、副軸フレーム3の側面及び一対の主軸フレーム4a、4bの側面にそれぞれ掛け回された3つの無端ベルト8、9、10を備える。
【0029】
無端ベルト8は、副軸フレーム3の一方の側面31及び他方の側面32に掛け回されている。無端ベルト8には、レーザ加工ヘッド2及びカウンタウエイト6が固定され、無端ベルト8の移動と共に移動する。
副軸フレーム3は、レーザ加工ヘッド2を副軸フレーム3の一方の側面31に保持し、無端ベルト8によって一方の側面31に沿って副軸方向に移動可能とし、カウンタウエイト6を副軸フレーム3の他方の側面32に保持し、無端ベルト8によって他方の側面32に沿って副軸方向に移動可能とする。
無端ベルト9は、主軸フレーム4aの内側側面41a及び外側側面42aに掛け回されている。無端ベルト10は、主軸フレーム4bの内側側面41b及び外側側面42bに掛け回されている。そして、副軸フレーム3が両無端ベルト9、10に接続されており、両無端ベルト9、10を回転することで、副軸フレーム3を主軸方向に移動させることができる。
サーボモータM3、M4は、副軸フレーム3の副軸方向両端部33a、33bにそれぞれ配置され、無端ベルト8を駆動する。同じ重量のサーボモータM3、M4を副軸フレーム3の副軸方向両端部33a、33bにそれぞれ設けることで、副軸フレーム3の副軸方向両端部33a、33bの重量に差が生じないようにしている。
サーボモータM5、M6は、一対の主軸フレーム4a、4bそれぞれの主軸方向端部に配置され、無端ベルト9、10をそれぞれ駆動する。サーボモータM5、M6が配置された一対の主軸フレーム4a、4bそれぞれの主軸方向端部とは反対側の主軸方向端部には、プーリ7a、7bが配置され、プーリ7a、7bもサーボモータM5、M6で駆動することにより無端ベルト9、10の移動をスムーズにさせている。
【0030】
レーザ加工ヘッド2及びカウンタウエイト6をこのように配置することによって、カウンタウエイト6は、レーザ加工ヘッド2と副軸フレーム3の副軸方向における中心線CCを挟んで反対側且つ副軸フレーム3の主軸方向における反対側に位置し、且つレーザ加工ヘッド2の副軸方向の移動に対して反対方向に移動する。
カウンタウエイト6の、「重量」及び「副軸フレーム3の副軸方向の位置」は、レーザ加工ヘッド2の、「重量」及び「副軸フレーム3の副軸方向の位置」との関係により副軸フレーム3が主軸方向に移動する際に副軸フレーム3の副軸方向両端部33a、33bにおける慣性重量に差が生じないように設定されていることが好ましい。特に、レーザ加工ヘッド2及びカウンタウエイト6を等しい重量とし、レーザ加工ヘッド2及びカウンタウエイト6の無端ベルト8上における固定位置を、レーザ加工ヘッド2とカウンタウエイト6とが副軸フレーム3の副軸方向における中心線CCを挟んで副軸方向における中心線CCから等距離反対側に位置するように設定することが好ましい。
【0031】
本実施形態に係る搬送装置1aでは、サーボモータM3、M4を、同じ速度で同じ時計回り或いは反時計回りに駆動することにより無端ベルト8を回転させ、レーザ加工ヘッド2を副軸方向である副軸フレーム3の右側へ移動させたり、副軸フレーム3の左側へ移動させたりすることができる。その際、カウンタウエイト6は、レーザ加工ヘッド2とは反対方向の副軸方向に移動する。
また、両サーボモータM5、M6を、同じ速度でサーボモータM5、M6の一方を時計回り他方を反時計回りに駆動することで、両無端ベルト9、10を相対的に反対方向に回転させ、副軸フレーム3を主軸方向の移動である前進又は後退させることができる。ここで、両無端ベルト9、10の速度に差が生じないよう、両無端ベルト9、10の速度をリニアエンコーダ等で監視し、両無端ベルト9、10の速度を一致させるとよい。
本実施形態においても、上記第1の実施形態と同様な効果を奏することができる。
【0032】
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態を説明する。本実施形態では、上記第1、第2の実施形態で説明した事項については説明を省略し、その特徴部分を説明する。
図6は、第3の実施形態に係る搬送装置の概略構成を示す上面模式図である。
図6に示す搬送装置1bは、副軸フレーム3の側面及び一対の主軸フレーム4a、4bのうち一方の主軸フレーム4aの側面にそれぞれ掛け回された2つの無端ベルト8、9を備える。上記第2の実施形態とは異なり、主軸フレーム4bの側面には無端ベルトは掛け回されていない。
【0033】
無端ベルト8は、副軸フレーム3の一方の側面31及び他方の側面32に掛け回されている。無端ベルト8には、レーザ加工ヘッド2及びカウンタウエイト6が固定され、無端ベルト8の移動と共に移動する。
副軸フレーム3は、レーザ加工ヘッド2を副軸フレーム3の一方の側面31に保持し、無端ベルト8によって一方の側面31に沿って副軸方向に移動可能とし、カウンタウエイト6を副軸フレーム3の他方の側面32に保持し、無端ベルト8によって他方の側面32に沿って副軸方向に移動可能とする。
無端ベルト9は、主軸フレーム4aの内側側面41a及び外側側面42aに掛け回されている。そして、副軸フレーム3が内側側面41aにおいて無端ベルト9に接続されており、無端ベルト9を回転することで、副軸フレーム3を主軸方向に移動させることができる。一方、副軸フレーム3は、主軸フレーム4bに対して主軸方向に移動可能に保持されており、主軸フレーム4aの無端ベルト9を回転するだけで、副軸フレーム3を、主軸フレーム4a、4b間で副軸方向に平行な状態を維持しつつ主軸方向に移動できる。
サーボモータM7、M8は、副軸フレーム3の副軸方向両端部33a、33bにそれぞれ配置され、無端ベルト8を駆動する。同じ重量のサーボモータM7、M8を副軸フレーム3の副軸方向両端部33a、33bにそれぞれ設けることで、副軸フレーム3の副軸方向両端部33a、33bの重量に差が生じないようにしている。
サーボモータM9は、主軸フレーム4aの主軸方向端部に配置され、無端ベルト9を駆動する。サーボモータM9が配置された主軸フレーム4aの主軸方向端部とは反対側の主軸方向端部には、プーリ7aが配置され、プーリ7aもサーボモータM9で駆動することにより無端ベルト9の移動をスムーズにさせている。
【0034】
レーザ加工ヘッド2及びカウンタウエイト6をこのように配置することによって、カウンタウエイト6は、レーザ加工ヘッド2と副軸フレーム3の副軸方向における中心線を挟んで反対側且つ副軸フレーム3の主軸方向における反対側に位置し、且つレーザ加工ヘッド2の副軸方向の移動に対して反対方向に移動する。
カウンタウエイト6の、「重量」及び「副軸フレーム3の副軸方向の位置」は、レーザ加工ヘッド2の、「重量」及び「副軸フレーム3の副軸方向の位置」との関係により副軸フレーム3が主軸方向に移動する際に副軸フレーム3の副軸方向両端部33a、33bにおける慣性重量に差が生じないように設定されていることが好ましい。特に、レーザ加工ヘッド2及びカウンタウエイト6を等しい重量とし、レーザ加工ヘッド2及びカウンタウエイト6の無端ベルト8上における固定位置を、レーザ加工ヘッド2とカウンタウエイト6とが副軸フレーム3の副軸方向における中心線を挟んで副軸方向における中心線から等距離反対側に位置するように設定することが好ましい。
【0035】
本実施形態に係る搬送装置1bでは、サーボモータM7、M8を、同じ速度で同じ時計回り或いは反時計回りに駆動することにより無端ベルト8を回転させ、レーザ加工ヘッド2を副軸方向である副軸フレーム3の右側へ移動させたり、副軸フレーム3の左側へ移動させたりすることができる。その際、カウンタウエイト6は、レーザ加工ヘッド2とは反対方向の副軸方向に移動する。
また、サーボモータM9を時計回りや反時計回りに駆動することで、無端ベルト9を回転させ、副軸フレーム3を主軸方向の移動である前進又は後退させることができる。ここで、主軸フレーム4bは副軸フレーム3を保持するが、副軸フレーム3の主軸方向の移動を妨げることはない。
本実施形態においても、上記第1の実施形態と同様な効果を奏することができる。
【0036】
(第4の実施形態)
次に第4の実施形態を説明する。本実施形態では、上記第1〜第3の実施形態で説明した事項については説明を省略し、その特徴部分を説明する。
図7は、第4の実施形態に係る搬送装置の概略構成を示し、aは上面模式図であり、bはaのDD断面図である。
図7に示す搬送装置1cは、副軸フレーム3の側面及び主軸フレーム4cの側面にそれぞれ掛け回された2つの無端ベルト8、11を備える。上記実施形態とは異なり、主軸フレームは1つだけ設けられており、一対ではない。
【0037】
無端ベルト8は、副軸フレーム3の一方の側面31及び他方の側面32に掛け回されている。無端ベルト8には、レーザ加工ヘッド2及びカウンタウエイト6が固定され、無端ベルト8の移動と共に移動する。
副軸フレーム3は、レーザ加工ヘッド2を副軸フレーム3の一方の側面31に保持し、無端ベルト8によって一方の側面31に沿って副軸方向に移動可能とし、カウンタウエイト6を副軸フレーム3の他方の側面32に保持し、無端ベルト8によって他方の側面32に沿って副軸方向に移動可能とする。
主軸フレーム4cは、副軸フレーム3の副軸方向中央部において副軸方向と交差する主軸方向に延在した基部であり、副軸フレーム3を主軸方向に移動可能に保持する。主軸フレーム4cは、主軸方向に延在した断面略矩形の一対の棒状部材であってよく、副軸フレーム3を主軸方向に移動可能に保持するために、副軸フレーム3の下部に接触する主軸フレーム4cの上部に主軸方向に直線的に一条突起43が形成され、その一条突起45を、副軸フレーム3の下部に設けられた2又ガイド34が跨ることでガイドする構成であってよい。
無端ベルト11は、主軸フレーム4cの両側面44a、44bに掛け回されている。そして、副軸フレーム3が側面44a又は側面44bのいずれかにおいて無端ベルト11に接続されており、無端ベルト11を回転することで、副軸フレーム3を主軸方向に移動させることができる。
サーボモータM10は、副軸フレーム3の副軸方向端部33aに配置され、無端ベルト8を駆動する。サーボモータM10が配置された副軸フレーム3の副軸方向端部33aとは反対側の副軸方向端部33bには、プーリ7cが配置され、プーリ7cもサーボモータM10で駆動することにより無端ベルト8の移動をスムーズにさせている。同じ重量のサーボモータM10及びプーリ7cを副軸フレーム3の副軸方向両端部33a、33bにそれぞれ設けることで、副軸フレーム3の副軸方向両端部33a、33bの重量に差が生じないようにしている。
サーボモータM11は、主軸フレーム4cの主軸方向端部に配置され、無端ベルト11を駆動する。サーボモータM11が配置された主軸フレーム4cの主軸方向端部とは反対側の主軸方向端部には、プーリ7dが配置され、プーリ7cもサーボモータM11で駆動することにより無端ベルト11の移動をスムーズにさせている。
【0038】
レーザ加工ヘッド2及びカウンタウエイト6をこのように配置することによって、カウンタウエイト6は、レーザ加工ヘッド2と副軸フレーム3の副軸方向における中心線を挟んで反対側且つ副軸フレーム3の主軸方向における反対側に位置し、且つレーザ加工ヘッド2の副軸方向の移動に対して反対方向に移動する。
カウンタウエイト6の、「重量」及び「副軸フレーム3の副軸方向の位置」は、レーザ加工ヘッド2の、「重量」及び「副軸フレーム3の副軸方向の位置」との関係により副軸フレーム3が主軸方向に移動する際に副軸フレーム3の副軸方向両端部33a、33bにおける慣性重量に差が生じないように設定されていることが好ましい。特に、レーザ加工ヘッド2及びカウンタウエイト6を等しい重量とし、レーザ加工ヘッド2及びカウンタウエイト6の無端ベルト8上における固定位置を、レーザ加工ヘッド2とカウンタウエイト6とが副軸フレーム3の副軸方向における中心線を挟んで副軸方向における中心線から等距離反対側に位置するように設定することが好ましい。
【0039】
本実施形態に係る搬送装置1cでは、サーボモータM10を時計回り或いは反時計回りに駆動することにより無端ベルト8を回転させ、レーザ加工ヘッド2を副軸方向である副軸フレーム3の右側へ移動させたり、副軸フレーム3の左側へ移動させたりすることができる。その際、カウンタウエイト6は、レーザ加工ヘッド2とは反対方向の副軸方向に移動する。
また、サーボモータM11を時計回りや反時計回りに駆動することで、無端ベルト11を回転させ、副軸フレーム3を主軸方向の移動である前進又は後退させることができる。
本実施形態においても、上記第1の実施形態と同様な効果を奏することができる。
【0040】
(変形例)
次に本発明の変形例を説明する。本変形例は、上記第1〜第4の実施形態で説明した事項については説明を省略し、その特徴部分を説明する。
上記実施形態では、レーザ加工ヘッド及びカウンタウエイトは等しい重量であり、レーザ加工ヘッド及びカウンタウエイトの無端ベルト上での固定位置は、レーザ加工ヘッド2とカウンタウエイト6とが副軸フレーム3の副軸方向における中心線CCを挟んで副軸方向における中心線CCから等距離であって反対側に位置するように設定されていた。本発明はこれに限られず、カウンタウエイトの、「重量」及び「副軸フレームの副軸方向の位置」は、レーザ加工ヘッドの、「重量」及び「副軸フレームの副軸方向の位置」との関係により副軸フレームが主軸方向に移動する際に副軸フレームの副軸方向両端部における慣性重量の差が減少するように設定すればよい。
【0041】
図8は、本発明の変形例に係る搬送装置の副軸フレーム部分のモデルを示す模式図であり、aは、カウンタウエイト6aの重量がレーザ加工ヘッド2の重量よりも軽い場合を示し、bは、カウンタウエイト6bの重量がレーザ加工ヘッド2の重量よりも重い場合を示す。
aに示すようにカウンタウエイト6aの重量がレーザ加工ヘッド2の重量よりも軽い場合には、レーザ加工ヘッド2の副軸フレーム3の副軸方向における中心線CCを挟んだ移動範囲MR1を超えてカウンタウエイト6aの移動範囲MR2を設定する。
bに示すようにカウンタウエイト6bの重量がレーザ加工ヘッド2の重量よりも重い場合には、レーザ加工ヘッド2の副軸フレーム3の副軸方向における中心線CCを挟んだ移動範囲MR3よりも狭くカウンタウエイト6bの移動範囲MR4を設定する。
レーザ加工ヘッド2及びカウンタウエイト6a(6b)は、副軸フレーム3上でそれぞれ独立して副軸方向に移動可能に保持されていて、それぞれ独立した駆動手段(例えば、一対の無端ベルト)によって副軸フレーム3上を移動可能に構成されている。
以上のような図8に示す副軸フレーム部分のモデルの場合であっても、副軸フレーム3の副軸方向両端部33a、33bにおける慣性重量の差をなくすことができ、主軸方向に移動する副軸フレーム3のモーメントをなくすことができ、副軸フレーム3が振動したり捩れたりすることが抑制でき、レーザ加工ヘッド2の軌跡を安定させることができる。これらのモデルは、第1〜第4の実施形態に組み合わせて適用することができる。
なお、いずれの実施形態及び変形例に関しても、副軸フレーム3の副軸方向両端部33a、33bにおける慣性重量の差をなくすと説明したが、副軸フレーム3の副軸方向両端部33a、33bにおける慣性重量の差を必要なだけ小さくできるのであれば(例えば、レーザ加工ヘッド2の軌跡の正確性を必要なだけ確保できるのであれば)、必ずしも副軸フレーム3の副軸方向両端部33a、33bにおける慣性重量の差を完全になくすものでなくてもよい。
【0042】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲で変形、改良等を行っても、本発明の範囲に包含される。
上記実施形態では、レーザ加工ヘッド及びカウンタウエイトは、同じサーボモータから駆動力を得るものであったが、レーザ加工ヘッド及びカウンタウエイトにそれぞれ別々の駆動源を設けてもよい。
また、副軸フレーム上を循環し、レーザ加工ヘッド及びカウンタウエイトが固定される無端ベルトは、副軸フレームのみを循環するものだけでなく、副軸フレームを含む他のフレーム等を循環するものでもよい。
また、副軸フレームを駆動する手段、及び被搬送物やカウンタウエイトを駆動する手段は、サーボモータと無端ベルトによるものに限らず、例えば、流体シリンダや電動シリンダ等、フレーム上を往復動させることができるものであればよい。
【符号の説明】
【0043】
1、1a、1b、1c…搬送装置
2…レーザ加工ヘッド(被搬送物)
3…副軸フレーム
4a、4b、4c…主軸フレーム
5、8、9、10、11…無端ベルト
6、6a、6b…カウンタウエイト
7a、7b、7c、7d…プーリ
31…一方の側面
32…他方の側面
33a、33b…副軸方向端部
34…2又ガイド
41a、41b…内側側面
42a、42b…外側側面
44a、44b…側面
46a、46b…前方内側側面
47a、47b…後方内側側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
副軸方向に延在し、被搬送物を副軸方向に移動可能に保持する副軸フレームと、
副軸方向と交差する主軸方向に延在し、前記副軸フレームを主軸方向に移動可能に保持する主軸フレームと、を備え、
前記被搬送物を主軸方向及び副軸方向に搬送する搬送装置であって、
前記副軸フレームに副軸方向に移動可能に保持され、前記被搬送物とは前記副軸フレームの副軸方向における中心線を挟んで反対側且つ前記副軸フレームの主軸方向における反対側の位置において前記被搬送物の副軸方向の移動に対して反対方向に移動するカウンタウエイトを備えたことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記カウンタウエイトの、重量及び前記副軸フレームの副軸方向の位置は、前記被搬送物の、重量及び前記副軸フレームの副軸方向の位置との関係により前記副軸フレームが主軸方向に移動する際に前記副軸フレームの副軸方向両端部における慣性重量の差が減少するように設定されたことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記副軸フレーム上を循環し、前記被搬送物及び前記カウンタウエイトが固定される無端ベルトを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−86921(P2013−86921A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228711(P2011−228711)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】