携帯型情報端末およびこれを用いたハンズフリーシステム
【課題】 ハンズフリー通話において電力消費を抑制することができる「携帯型情報端末およびこれを用いたハンズフリーシステム」を提供することを目的とする。
【解決手段】 ハンズフリー機能を有する車載用電子装置に接続可能でありかつバッテリーによって駆動可能な携帯型情報端末は、通話手段と、ハンズフリー通話を可能にするため車載用電子装置と無線によるデータ通信を行う無線通信手段と、通話手段の電波状態を検出する検出手段と、検出された電波状態に基づき通話エリア圏外と判定した場合には、機能待機状態である接続モード2から電力消費が小さい接続モード3または4に切替わるように無線通信手段を制御する制御手段とを有する。
【解決手段】 ハンズフリー機能を有する車載用電子装置に接続可能でありかつバッテリーによって駆動可能な携帯型情報端末は、通話手段と、ハンズフリー通話を可能にするため車載用電子装置と無線によるデータ通信を行う無線通信手段と、通話手段の電波状態を検出する検出手段と、検出された電波状態に基づき通話エリア圏外と判定した場合には、機能待機状態である接続モード2から電力消費が小さい接続モード3または4に切替わるように無線通信手段を制御する制御手段とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、スマートフォンなどの携帯型情報端末を用いたハンズフリーシステムに関し、特に、ハンズフリー通話待機時の携帯型情報端末のバッテリーの節電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの普及に伴って、走行中の車両内での携帯電話の利用が急増しており、その危険性が社会問題化している。道路交通法の改正によって、携帯電話を手に持って行う通話は禁止され、違反には罰則が適用される。一方で、車内で通話を行いたいというユーザからの要望は依然強い。このような背景から、近年、携帯電話に接続し、マイクおよびイヤホンを装備したヘッドセットを利用して、いわゆるハンズフリーで通話が行えるハンズフリーシステムないしは装置が普及している。
【0003】
従来のハンズフリーシステムでは、携帯電話がブルーツースなどに代表される近距離無線通信によって車載器に接続され、通話時に、携帯電話と車載器との間で音声データの送受が行われるようになっている。この車載器は、例えば、ナビゲーション機能、オーディオ再生機能、テレビ受信機能などを備え、ディスプレイに映像を表示したり、車内スピーカから音声を出力することでき、ハンズフリー通話の際には、ディスプレイに着信情報を表示し、車内スピーカら音声を出力し、ヘッドセットのマイクから入力された音声データを携帯電話に送信する。
【0004】
特許文献1は、近距離無線データ通信技術を適用した無線部を備えた携帯電話機を開示する。この携帯電話機は、通話が待ち受け状態である場合に、近距離無線データ通信の無線部に対して電源供給間欠制御を行い、通話中の場合に、近距離無線データ通信の無線部に対して電源供給連続制御を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−298780号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のハンズフリーシステムには、次のような課題がある。携帯電話と車載器とがブルーツースにより接続されたときには、ブルーツースによる無線機能を利用していないにもかかわらず、通信状態を維持し続けるため、知らない間に携帯電話のバッテリーを消費し続けている。すなわち、携帯電話と車載機とが接続中の機能待機状態にあり、例えば、一定の周期で互いに通信を取り合い、携帯電話は、着信があったとき、車載器に対して割込みを行い、ハンズフリー通話モードへ迅速に移行できるようになっている。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、ハンズフリー通話可能な状態において電力消費を抑制することができる携帯型情報端末およびこれを用いたハンズフリーシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る携帯型情報端末は、ハンズフリー機能を有する電子装置に接続可能であって、通話手段と、ハンズフリー通話を可能にするため、前記電子装置と無線によるデータ通信を行う無線通信手段と、前記通話手段による通話のための電波状態を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された電波状態に基づき通話圏外と判定した場合には、前記携帯型情報端末と電子装置との間で機能待機状態である第1の接続状態から前記第1の接続状態よりも電力消費が小さい第2の接続状態に切替わるように前記無線通信手段を制御する制御手段とを有する。
【0009】
好ましくは前記第2の接続状態は、前記電子装置との接続を確立する前の接続待機状態である。好ましくは前記第2の接続状態は、前記無線通信手段への電力供給を停止する電力供給停止状態である。好ましくは前記制御手段は、通話圏外が検出されたことに応答して前記第1の接続状態から前記電子装置との接続を確立する前の接続待機状態に切替え、さらに前記通話圏外の継続時間が一定時間以上となったとき、前記無線通信手段への電力供給を停止する電力供給停止状態に切替える。好ましくは前記制御手段は、通話圏外が検出されたことに応答して前記第1の接続状態から前記電子装置との接続を確立する前の接続待機状態に切替え、さらに一定の時間期間内に一定の回数以上の通話圏外が発生したとき、前記無線通信手段への電力供給を停止する電力供給停止状態に切替える。好ましくは前記制御手段は、前記検出手段の検出結果に基づき、通話圏外から通話可能な電波状態に回復したと判定したとき、前記第1の接続状態に切替える。好ましくは前記検出手段は、電波の受信感度とエリアの関係を規定した受信感度地図情報と前記携帯型情報端末の位置とを比較し、比較結果から電波状態を検出する。
【0010】
本発明のハンズフリー通話システムは、上記構成の携帯型情報端末と、前記携帯型情報端末に前記無線通信手段を介して接続された前記電子装置とを含み、前記電子装置は、ハンズフリー通話時に音声を出力するスピーカと、音声を入力するマイクロフォンとを備える。好ましくは前記電子装置は、移動体に搭載される。
【0011】
本発明に係る接続制御プログラムは、通話手段と、ハンズフリー機能を有する電子装置と無線によるデータ通信を行う無線通信手段と、前記通話手段による通話のための電波状態を検出する検出手段とを有する携帯型情報端末が実行するものであって、ハンズフリー通話を可能にするため、前記無線通信手段を介して前記電子装置と接続するステップと、前記検出手段により電波状態を検出するステップと、前記検出手段により検出された電波状態に基づき通話圏外か否かを判定するステップと、通話圏外であると判定した場合には、前記携帯型情報端末と電子装置との間で機能待機状態である第1の接続状態から前記第1の接続状態よりも電力消費が小さい第2の接続状態に切替わるように前記無線通信手段を制御するステップとを有する。
【0012】
本発明に係る接続方法は、通話手段と、ハンズフリー機能を有する電子装置と無線によるデータ通信を行う無線通信手段と、前記通話手段による通話のための電波状態を検出する検出手段とを有する携帯型情報端末におけるものであって、ハンズフリー通話を可能にするため、前記無線通信手段を介して前記電子装置と接続するステップと、前記検出手段により電波状態を検出するステップと、前記検出手段により検出された電波状態に基づき通話圏外か否かを判定するステップと、通話圏外であると判定した場合には、前記携帯型情報端末と電子装置との間で機能待機状態である第1の接続状態から前記第1の接続状態よりも電力消費が小さい第2の接続状態に切替わるように前記無線通信手段を制御するステップとを有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、通話圏外と判定された場合には、電力消費が抑制された接続モードに切替えるようにしたので、携帯型情報端末の無駄な消費を抑制し、バッテリーの残容量を長持ちさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例に係るハンズフリー通話システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例に係る携帯電話の構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す車載用電子装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】図1に示すヘッドセットの構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施例に係るハンズフリー通話システムにおける接続制御プログラムを説明する図である。
【図6】接続モードと消費電力との関係を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施例に係るハンズフリー通話システムの動作を説明するフローチャートである。
【図8】第1の実施例による携帯電話が待機状態にあるときの接続モードの遷移を示すタイミングチャートである。
【図9】本発明の第2の実施例に係るハンズフリー通話システムの動作を説明するフローチャートである。
【図10】第2の実施例による携帯電話が待機状態にあるときの接続モードの遷移を示すタイミングチャートである。
【図11】本発明の第3の実施例による携帯電話が待機状態にあるときの接続モードの遷移を示すタイミングチャートである。
【図12】本発明の第5の実施例に係る動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明のハンズフリー通話システムは、好ましくは、携帯型情報端末を車両内に持ち込み、そこで車載用電子装置と接続することにより実現される。但し、本発明のハンズフリー通話システムは、このような態様に限定されるものではなく、オフィス、家庭などの環境で実現されるものであってもよい。また、携帯型情報端末は、携帯電話のみならず、通話機能を備えたスマートフォン、携帯型のラップトップまたはノートタイプのパーソナルコンピュータなどの情報端末であってもよい。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明の実施例に係るハンズフリー通話システムの一構成例を示す図である。本実施例のハンズフリー通話システム10は、携帯電話20と、近距離無線通信を初めとする各種の通信機能を包含する接続手段30と、接続手段30を介して携帯電話20と接続される車載用電子装置40とを含んで構成される。携帯電話20は、通話機能を備えた各種の電子情報端末、スマートフォンであってよい。接続手段30は、好ましくはブルーツースなどの近距離無線データ通信であるが、無線LANな他の規格の無線データ通信接続、あるいは有線ケーブルによる接続を含む。
【0017】
車載用電子装置40は、車両に搭載される装置本体42と、装置本体42に無線通信等によって接続され、ユーザの頭部に装着して使用されるヘッドセット44と、スピーカ46と、ディスプレイ48とを含んで構成される。接続手段30を介して、装置本体42と携帯電話20は、相互にデータを送受信し、また、相互に制御データを介して互いを制御することができる。例えば、携帯電話20に着信があったとき、ユーザは装置本体42で携帯電話20の操作、例えば、通話の開始・終了を制御するようにしてもよい。また、ハンズフリー通話の際には、接続手段30を介して携帯電話20から装置本体42に音声データが送信され、これがスピーカ46から出力され、ヘッドセット42のマイクから入力された音声データが装置本体42から携帯電話20へ送信される。
【0018】
装置本体42とヘッドセット44とは、好適にはブルーツースやその他の無線通信手段または有線通信手段を介して、データ交換可能に接続され、ヘッドセット44側に装備されたマイク(必要に応じてイヤホン)を通して利用者が通話を行えるようになっている。好適な実施例において、車載用電子装置40は、ナビゲーション機能、オーディオ再生機能、ビデオ再生機能、テレビ放送受信機能、ラジオ放送受信機能などを包含することができ、これらの機能は、ハンズフリー通話とは独立に動作が可能である。
【0019】
図2は、携帯電話20の構成を示すブロック図である。ユーザからの入力を受け取る入力部100と、通話のための電波の受信状態を検出する検出部110と、公衆無線電話回線網やインターネットなどを介して通話を行う通話部120と、表示部130と、音声出力部140と、車載用電子装置40とブルーツース等の接続手段30を介して接続を可能にする接続部150と、制御部160と、アプリケーションまたはプログラムを記憶するプログラムメモリ170と、種々のデータを記憶するデータメモリ180と、各部を接続する内部バス190とを含んで構成される。
【0020】
入力部100は、キーボード、タッチパネル、音声入力、マウスなどのユーザインターフェースを提供し、ユーザからの入力を受け取り、これを制御部160へ提供する。検出部110は、アンテナで捕獲された信号の受信感度または電界強度を検出し、その検出結果を制御部160に提供する。また、検出部110は、電界強度を検出する以外にも、後述するように電界強度マップを利用して自車位置の受信感度または電界強度を検出するようにしてもよい。通話部120は、ユーザ操作を介して着信または発信があったとき相手方との通話を可能にする。表示部130は、携帯電話本体に設けられたディスプレイを含み、携帯電話が実行するアプリケーションやその他の情報を表示する。例えば、携帯電話がナビゲーションのアプリケーションを実行した場合には、携帯電話の位置周辺の道路地図を表示したり、オーディオを再生した場合には、楽曲名、演奏時間などの情報を表示する。音声出力部140は、携帯電話20を単体として使用する場合には、通話相手の音声を出力したり、再生されたオーディオの音声を出力する。また、携帯電話20が車載用電子装置40に接続された場合には、音声出力部150の音声出力をミュートし、スピーカ46から音声を出力させるようにしてもよい。
【0021】
接続部150は、携帯電話20と他の電子機器間の種々のデータ通信を可能にする。本実施例では、接続部150は、ブルーツース等による近距離無線データ通信により車載用電子装置40とのデータ通信を可能にする。さらに、接続部150は、近距離無線データ通信以外にも、無線LANやその他の規格のデータ通信、USBケーブルなどの有線ケーブルにより携帯電話20を他の電子機器やネットワークに接続することが可能である。制御部160は、プロセッサ、マイクロコンピュータ、またはマイクロコントローラなどの情報処理装置を含み、好ましくは、プログラムメモリ170に格納されたプログラムやアプリケーションソフトを実行し、所望の機能を実現する。
【0022】
プログラムメモリ170は、携帯電話20に必要な機能を実行するためのプログラムやアプリケーションソフトウエアを記憶する。プログラムメモリ170は、好ましくは書き換え可能な不揮発性メモリから構成され、接続部150を介してネットワーク上のサーバなどからダウンロードされたアプリケーションソフトウエアを格納したり、接続部150を介して接続された他の電子機器から取得したアプリケーションソフトウエアを格納することができる。データメモリ180は、種々のデータを記憶し、例えば、オーディオデータ、ビデオデータを記憶したり、ナビゲーション機能に必要な道路地図データを記憶することができる。データメモリ180は、書き換え可能な不揮発性メモリから構成され、接続部150を介して取得したデータを記憶することができる。携帯電話20の各部は、バッテリーからの電力により動作可能であり、バッテリーは、好ましくは外部電源を利用して充電することが可能な二次電池である。
【0023】
図3は、車載用電子装置40の構成を示すブロック図である。車載用電子装置40は、自車位置周辺の道路地図を表示したり目的地までの経路を案内する機能を備えたナビゲーション部50、CD、DVDなどのオーディオデータやビデオデータを再生する再生部52、テレビ放送やラジオ放送を受信する放送受信部54、ブルーツース等の近距離無線接続やその他の通信により携帯電話20との接続を制御する接続制御部56、ハンズフリー通話状態のときにヘッドセット44の動作を制御するヘッドセット制御部58、ユーザからの入力を受け取る入力部60、種々のデータを記憶する記憶部62等を備えている。なお、図3に示す機能は一例であって、車載用電子装置40はこれと異なる機能を含むものであっても良い。
【0024】
図4は、ヘッドセット44の構成例を示すブロックである。ヘッドセット44は、装置本体42との間で制御信号および音声データを送受するための送受信部202、携帯電話20に対する通話の開始および終了、音量調整その他の操作をユーザがおこなえるようにする操作部204、発話のためのマイク206、着信音および通話音を聞くためのイヤホン208、ヘッドセット全体の制御を司る制御部210、各部を接続するバス126とを備えている。
【0025】
装置本体42に接続された携帯電話20において着信があると、着信音が送受信部202を介してヘッドセット44へ送信され、その音はイヤホン208またはスピーカ46からユーザに伝えられる。また、着信を知らせる画面がディスプレイ48に割込み表示され、ユーザは操作部204を操作して通話開始の制御を送信し、これによって装置本体42を介して携帯電話20とヘッドセット44との接続が確立され、ハンズフリー通話が可能となる。
【0026】
携帯電話20のプログラムメモリ170には、上記したように携帯電話20の機能に必要な種々のプログラムを備えているが、ここでは、ハンズフリー通話システムにおける接続制御プログラムについて説明する。図5は、ハンズフリー通話システムにおける接続制御プログラム300の構成を示している。同図に示すように、接続制御プログラム300は、接続部150を介して携帯電話20と車載用電子装置40との間の接続を確認する接続確認部310、検出部110からの検出結果に基づき通話部120の電波状態を判定する判定部320、判定部320による判定結果に基づき接続部150の接続モードを選択する接続モード選択部330、選択された接続モードに従い接続部150の接続モードを切替える接続モード切換部340、接続モード選択部330および/または接続モード切替部340の結果に基づき接続部150への電力の供給を制御する電力供給制御部350を含んで構成される。
【0027】
接続部150は、本携帯電話20と無線通信可能な電子デバイスを探索し、探索された電子デバイスを認識し、通信可能な状態を確立する。ここでは、接続部150が車載用電子装置40との間で通信可能な状態を確立したとき、接続確認部310は、これを確認する。判定部320は、検出部110で検出された電界強度に基づき携帯電話20が通話エリア圏内にあるか否かを判定する。
【0028】
接続モード選択部330は、接続部150が動作可能な複数の接続モードの中から所望の接続モードを選択する。図6は、複数の接続モードと消費電力との関係を示している。本実施例では、接続部150により動作可能な接続モードは、4つの接続モード1〜4があり、各接続モードによって消費電力が異なる。なお、この接続モードとは、携帯電話20の消費電力との関係において区別されまたは定義されるものであり、また、本発明は、必ずしも図6に示す接続モードに限定されるものではない。
【0029】
接続モード1は、携帯電話20と車載用電子装置40との間で音声データの送受を行うときのモードまたは消費電力状態である。例えば、ハンズフリー通話において、携帯電話20と車載用電子装置40との間で音声データが転送されるとき、あるいは、携帯電話20の音楽再生アプリケーションが実行され携帯電話20から車載用電子装置40へ音声データが転送されるときの動作が相当する。接続モード2は、携帯電話20と車載用電子装置40とが接続部150を介して接続された機能待機状態にあるときのモードまたは電力消費状態であり、双方の機器が選択された機能に迅速に移行することができるスタンバイ状態にある。例えば、ハンズフリー通話システムにおいて携帯電話20が着信の待ち受けをしている状態である。接続モード2では、携帯電話20は、接続部150を介して差h採用電子装置40に対し、接続の確認または監視をするための信号を一定のタイミングで送信する。接続モード3は、接続部150による接続のための待機状態であり、接続部150は、ブルーツースにより通信可能な電子デバイスを識別しそれと通信を確立する前の状態である。すなわち、接続部150に電力が供給され、接続部150は、ブルーツースによる無線通信を利用可能な状態に置かれるが、車載用電子装置40を識別しこれと通信をすることができる前の段階である。接続モード4は、接続部150へのバッテリー等の電力供給を停止し、事実上、接続部150によるブルーツースによる無線接続が停止された状態である。同図に示すように、電力消費は、接続モード1から接続モード4に向けて小さくなる。
【0030】
接続モード切替部340は、ハンズフリー通話が可能な状態において、判定部320による通話エリア圏外か否かの判定結果に基づき、接続部150の接続モードの切替を制御する。但し、接続モード切替部340は、通話待ち受け状態から通話を行う場合、その反対に通話を終了して通話待つ受け状態に移行する場合には、必ずしも接続モード選択部330による選択結果に基づき接続モード1と接続モード2の間の切替を行う必要はなく、接続モード1と接続モード2は、自動的にモードが切替えられる。電力供給制御部350は、接続モード切替部340により接続モード4に切替られるとき、接続部150へのバッテリー供給を停止し、他方、他の接続モード1〜3に切替えらるとき、接続部150へのバッテリー供給を開始する。
【0031】
次に、本発明の第1の実施例に係るハンズフリー通話システムの動作を図7に示すフローチャートを参照して説明する。先ず、携帯電話20は、接続部150を介して車載用電子装置40に接続される(S101)。この接続は、接続確認部310によって行われ、この初期状態では、接続モード2が選択され、携帯電話20と車載用電子装置40とは、ハンズフリー通話が可能な状態に置かれる(S102)。この状態で、通話部120による通話が実施されれば、接続モードは、自動的に接続モード1となり、ユーザは、ヘッドセット44を利用してハンズフリー通話を行うことができる。通話が終了すれば、自動的に接続モード2に切替わる。
【0032】
車両の移動に伴い、携帯電話20の通話環境は変化するが、この通話環境の変化は、検出部110によって検出される(S103)。判定部320は、検出部110により検出された受信感度に基づき通話エリア圏内か否かを判定する(S104)。例えば、アンテナからの信号の電界強度がしきい値以下であるとき、通話エリア圏外と判定し、しきい値をこれれば通話エリア圏内と判定する。通話エリア圏外であれば、携帯電話20に着信されることはないし、発信することもできない。そこで、接続モード選択部330は、バッテリーの無駄な消費を抑制するため、接続モード2よりも消費電力が小さい接続モードを選択する(S105)。つまり、接続モード3または接続モード4を選択する。
【0033】
次に、接続モード切替部340は、接続モード選択部330の選択結果に基づき接続部150を接続モード3または4に切替える(S106)。接続モード3に切替られた場合には、接続部150は、車載用電子装置40との間のデータ通信を解除し、車載用電子装置40との接続が確立される前の状態に戻す。これにより、携帯電話20から車載用電子装置40に対する定期的または非定期的なデータ通信が行われないため、携帯電話20のバッテリー消費が抑制される。他方、接続モード4に切替えられた場合には、電力供給制御部350は、接続部150への電力供給を停止し、接続部150の動作が停止される。これにより、多くのバッテリー消費が抑制される。接続モード3または接続モード4のいずれに切り替えるかは、予め用意したアルゴリズムによって決定することができる。例えば、接続モード選択部330は、携帯電話20のバッテリー残量に関する情報を取得し、バッテリー残量が一定値以下であれば、多くのバッテリー消費を抑制することができる接続モード4を選択することができる。
【0034】
一方、通話エリア圏内と判定された場合には(S104)、接続モード選択部330は、この判定結果に従い接続モード2による待機状態の選択を継続する(S107)。接続モード切替部340により接続モード3または4への切替が行われた場合には、その後も継続的に判定部320による通話エリア圏内か否かの判定が行われ、通話エリア圏内に回復したと判定した場合には(S104)、接続モード選択部330は、接続モード2を選択し、接続モード切替部340は、接続モード3または4から接続モード2へ切替える(S107)。これにより、携帯電話20は、着信または発信の待ち受け状態に戻る。こうした切替制御は、接続部150による接続が終了するまで繰り返し行われる(S108)。
【0035】
図8は、第1の実施例による携帯電話が待機状態のときの接続モードの遷移を表したタイムチャートである。同図に示すように、携帯電話20が通話エリア圏内にあるとき、接続部150は、待機モード2による機能待機状態にあり、通話エリア圏外に移行すると、接続部150は、待機モード2よりも消費電力が小さい接続モード3または4に切替えら、バッテリーの消費が抑えられる。これに対し、従来の携帯電話では、通話を行うことができない通話エリア圏外にあるときでも、接続部150が接続モード2にあり、携帯電話20と車載用電子装置40との間の通信による無駄な電力が消費されていた。
【0036】
次に、本発明の第2の実施例について図9のフローチャートを参照して説明する。第1の実施例は、接続モード2から接続モード3または4への切替制御を行う例を示したが、第2の実施例は、接続モード2から接続モード3、4への段階的な切替制御を行うものである。同図において、ステップS201ないしS204は、図7のステップS101ないしS104と同じであり、説明を省略する。第2の実施例では、判定部320によって通話エリア圏外と判定された場合に、接続モード選択部330は、接続モード2よりも1段階だけ消費電力が小さい接続モード3を選択し、接続モード切替部340は接続モード2から接続モード3への切替を行う(S205)。引き続き、判定部320は、通話エリア圏外の状態が一定時間継続しているか否かを判定し(S206)、継続していると判定した場合、接続モード選択部330は、接続モード3よりもさらに消費電力が小さい接続モード4を選択し、接続モード切替部340は接続モード3から接続モード4への切替を行う(S207)。これ以外の動作は、第1の実施例のときと同様である。
【0037】
図10は、第2の実施例による携帯電話が待機状態のときの接続モードの遷移を表したタイムチャートである。同図に示すように、携帯電話20が通話エリア圏内にあるとき、接続モード2が選択され、通話エリア圏外になると、接続モード2から接続モード3へ切替えられる。通話エリア圏外の累積期間Tが一定値を超えると、接続モード3から接続モード4へ切替えられる。通話エリア圏外となる時間が一定を越える場合には、消費電力を一層抑制することができるためバッテリーの残容量の低下を防止することができる。
【0038】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。第2の実施例では、通話エリア圏外の時間が一定値を超えるとき、接続モード3から接続モード4へ切替える制御をを行ったが、第3の実施例では、通話エリア圏外の状態が断続的に繰返される場合に接続モード3から接続モード4へ切替える制御を行うものである。図11は、第3の実施例による携帯電話が待機状態のときの接続モードの遷移を表したタイムチャートを示している。同図に示すように、通話エリア圏外と判定されると、接続モード選択部330は、接続モード3を選択し、接続モード2から接続モード3へ切替えられる。電波受信の環境が良くないエリアを走行しているとき、受信感度が変動し易く、通話エリア圏内と通話エリア圏外とが頻繁に遷移する事態が生じる。そこで、図示するように通話エリア圏内P1、P2、P3に移行しても、通話エリア圏内に回復した期間が一定の値よりも小さい場合には、接続モード3を維持し続け、接続モード2への切替を禁止する。同時に、通話エリア圏内への遷移する回数が一定の回数k以上となった場合には、接続モード4を選択し、接続モード3から接続モードへ切替えるようにする。こうすることで、接続モード2と3の頻繁な切替が抑制され、電波状態が安定しない実質的に通話することができない期間の電力消費を効果的に抑制することができる。
【0039】
なお、第1の実施例においても、第2の実施例と同様に、通話エリア圏外と判定されたときに、即座に接続モード3または4への切替を行うのではなく、一定期間、様子を見てから接続モード3または4への切替を行うようにしてもよい。つまり、通話エリア圏外への移行が一定期間継続された場合に、接続モード2から接続モード3または4への切替を行うようにし、接続モードの頻繁な切替を抑制し安定した動作を行わせることができる。また、第1の実施例においても、第3の実施例を同様に、通話エリア圏外の状態が断続的に繰返される場合に、接続モード3または4への切替を行うようにしてもよい。
【0040】
次に、本発明の第4の実施例について説明する。第1ないし第3の実施例では、通話エリア圏外か否かを携帯電話20のアンテナからの信号の電界強度を用いる例を示したが、第4の実施例は、電界強度マップを利用して通話エリア圏外か否かを判定する。携帯電話20は、現在位置を検出する機能と、データメモリ170に電界強度マップを有する。携帯電話20の現在位置を検出する機能は、携帯電話20に内蔵されたGPS受信装置により現在位置を算出してもよいし、接続部150を介してネットワーク上のサーバなどから携帯電話20の現在位置を取得するものでもよいし、車載用電子装置40に搭載されたナビゲーション部50の自車位置情報から現在位置を取得するものであってもよい。また、電界強度マップは、好ましくは、道路地図データ上に通話エリア圏内か否かの情報を含むものである。判定部320は、携帯電話20の現在位置と電界強度マップとを比較し、携帯電話20が通話エリア圏内か否かを判定することができる。
【0041】
次に、本発明の第5の実施例について説明する。携帯電話20がナビゲーション機能のアプリケーションを有しており、目的地までの経路案内が実行される場合には、判定部320は、目的地までの経路と電界強度マップとを比較し、通話エリア圏外から通話エリア圏内に移行するタイミングを予測することができる。図12に示すように、自車Mが目的地までの誘導経路Y上を走行中であって、現在位置が通話エリア圏外にあるとき、接続部150は、接続モード3または4に置かれている。電界強度マップと誘導経路とを比較し、判定部320は、通話エリア圏内に到達する時間を予測する。この予測時間は、例えば、リンクに設定された旅行時間を用いても良いし、自車の車速情報と通話エリア圏内に突入するまでの距離を実際の自車の車速から算出してもよい。接続モード切替部340は、判定部320の予測時間に基づき、実際に通話エリア圏内に突入するタイミングよりも若干早いタイミングで接続モード3または4から接続モード2への切替を行う。これにより、携帯電話20への着信等の情報を確実に得ることができる。なお、携帯電話20がナビゲーション機能を搭載していない場合には、携帯電話20は、車載用電子装置40のナビゲーション部50が有する電界強度マップ等の情報を接続手段30を介して入手するようにしてもよい。
【0042】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0043】
10:ハンズフリー通話システム 20:携帯電話
30:接続手段 40:車載用電子装置
42:装置本体 44:ヘッドセット
46:スピーカ 48:ディスプレイ
100:入力部 110:検出部
120:通話部 130:表示部
140:音声出力部 150:接続部
160:制御部 170:プログラムメモリ
180:データメモリ 300:接続制御プログラム
310:接続確認部 320:判定部
330:接続モード選択部 340:接続モード切替部
350:電力供給制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、スマートフォンなどの携帯型情報端末を用いたハンズフリーシステムに関し、特に、ハンズフリー通話待機時の携帯型情報端末のバッテリーの節電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの普及に伴って、走行中の車両内での携帯電話の利用が急増しており、その危険性が社会問題化している。道路交通法の改正によって、携帯電話を手に持って行う通話は禁止され、違反には罰則が適用される。一方で、車内で通話を行いたいというユーザからの要望は依然強い。このような背景から、近年、携帯電話に接続し、マイクおよびイヤホンを装備したヘッドセットを利用して、いわゆるハンズフリーで通話が行えるハンズフリーシステムないしは装置が普及している。
【0003】
従来のハンズフリーシステムでは、携帯電話がブルーツースなどに代表される近距離無線通信によって車載器に接続され、通話時に、携帯電話と車載器との間で音声データの送受が行われるようになっている。この車載器は、例えば、ナビゲーション機能、オーディオ再生機能、テレビ受信機能などを備え、ディスプレイに映像を表示したり、車内スピーカから音声を出力することでき、ハンズフリー通話の際には、ディスプレイに着信情報を表示し、車内スピーカら音声を出力し、ヘッドセットのマイクから入力された音声データを携帯電話に送信する。
【0004】
特許文献1は、近距離無線データ通信技術を適用した無線部を備えた携帯電話機を開示する。この携帯電話機は、通話が待ち受け状態である場合に、近距離無線データ通信の無線部に対して電源供給間欠制御を行い、通話中の場合に、近距離無線データ通信の無線部に対して電源供給連続制御を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−298780号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のハンズフリーシステムには、次のような課題がある。携帯電話と車載器とがブルーツースにより接続されたときには、ブルーツースによる無線機能を利用していないにもかかわらず、通信状態を維持し続けるため、知らない間に携帯電話のバッテリーを消費し続けている。すなわち、携帯電話と車載機とが接続中の機能待機状態にあり、例えば、一定の周期で互いに通信を取り合い、携帯電話は、着信があったとき、車載器に対して割込みを行い、ハンズフリー通話モードへ迅速に移行できるようになっている。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、ハンズフリー通話可能な状態において電力消費を抑制することができる携帯型情報端末およびこれを用いたハンズフリーシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る携帯型情報端末は、ハンズフリー機能を有する電子装置に接続可能であって、通話手段と、ハンズフリー通話を可能にするため、前記電子装置と無線によるデータ通信を行う無線通信手段と、前記通話手段による通話のための電波状態を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された電波状態に基づき通話圏外と判定した場合には、前記携帯型情報端末と電子装置との間で機能待機状態である第1の接続状態から前記第1の接続状態よりも電力消費が小さい第2の接続状態に切替わるように前記無線通信手段を制御する制御手段とを有する。
【0009】
好ましくは前記第2の接続状態は、前記電子装置との接続を確立する前の接続待機状態である。好ましくは前記第2の接続状態は、前記無線通信手段への電力供給を停止する電力供給停止状態である。好ましくは前記制御手段は、通話圏外が検出されたことに応答して前記第1の接続状態から前記電子装置との接続を確立する前の接続待機状態に切替え、さらに前記通話圏外の継続時間が一定時間以上となったとき、前記無線通信手段への電力供給を停止する電力供給停止状態に切替える。好ましくは前記制御手段は、通話圏外が検出されたことに応答して前記第1の接続状態から前記電子装置との接続を確立する前の接続待機状態に切替え、さらに一定の時間期間内に一定の回数以上の通話圏外が発生したとき、前記無線通信手段への電力供給を停止する電力供給停止状態に切替える。好ましくは前記制御手段は、前記検出手段の検出結果に基づき、通話圏外から通話可能な電波状態に回復したと判定したとき、前記第1の接続状態に切替える。好ましくは前記検出手段は、電波の受信感度とエリアの関係を規定した受信感度地図情報と前記携帯型情報端末の位置とを比較し、比較結果から電波状態を検出する。
【0010】
本発明のハンズフリー通話システムは、上記構成の携帯型情報端末と、前記携帯型情報端末に前記無線通信手段を介して接続された前記電子装置とを含み、前記電子装置は、ハンズフリー通話時に音声を出力するスピーカと、音声を入力するマイクロフォンとを備える。好ましくは前記電子装置は、移動体に搭載される。
【0011】
本発明に係る接続制御プログラムは、通話手段と、ハンズフリー機能を有する電子装置と無線によるデータ通信を行う無線通信手段と、前記通話手段による通話のための電波状態を検出する検出手段とを有する携帯型情報端末が実行するものであって、ハンズフリー通話を可能にするため、前記無線通信手段を介して前記電子装置と接続するステップと、前記検出手段により電波状態を検出するステップと、前記検出手段により検出された電波状態に基づき通話圏外か否かを判定するステップと、通話圏外であると判定した場合には、前記携帯型情報端末と電子装置との間で機能待機状態である第1の接続状態から前記第1の接続状態よりも電力消費が小さい第2の接続状態に切替わるように前記無線通信手段を制御するステップとを有する。
【0012】
本発明に係る接続方法は、通話手段と、ハンズフリー機能を有する電子装置と無線によるデータ通信を行う無線通信手段と、前記通話手段による通話のための電波状態を検出する検出手段とを有する携帯型情報端末におけるものであって、ハンズフリー通話を可能にするため、前記無線通信手段を介して前記電子装置と接続するステップと、前記検出手段により電波状態を検出するステップと、前記検出手段により検出された電波状態に基づき通話圏外か否かを判定するステップと、通話圏外であると判定した場合には、前記携帯型情報端末と電子装置との間で機能待機状態である第1の接続状態から前記第1の接続状態よりも電力消費が小さい第2の接続状態に切替わるように前記無線通信手段を制御するステップとを有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、通話圏外と判定された場合には、電力消費が抑制された接続モードに切替えるようにしたので、携帯型情報端末の無駄な消費を抑制し、バッテリーの残容量を長持ちさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例に係るハンズフリー通話システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例に係る携帯電話の構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す車載用電子装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】図1に示すヘッドセットの構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施例に係るハンズフリー通話システムにおける接続制御プログラムを説明する図である。
【図6】接続モードと消費電力との関係を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施例に係るハンズフリー通話システムの動作を説明するフローチャートである。
【図8】第1の実施例による携帯電話が待機状態にあるときの接続モードの遷移を示すタイミングチャートである。
【図9】本発明の第2の実施例に係るハンズフリー通話システムの動作を説明するフローチャートである。
【図10】第2の実施例による携帯電話が待機状態にあるときの接続モードの遷移を示すタイミングチャートである。
【図11】本発明の第3の実施例による携帯電話が待機状態にあるときの接続モードの遷移を示すタイミングチャートである。
【図12】本発明の第5の実施例に係る動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明のハンズフリー通話システムは、好ましくは、携帯型情報端末を車両内に持ち込み、そこで車載用電子装置と接続することにより実現される。但し、本発明のハンズフリー通話システムは、このような態様に限定されるものではなく、オフィス、家庭などの環境で実現されるものであってもよい。また、携帯型情報端末は、携帯電話のみならず、通話機能を備えたスマートフォン、携帯型のラップトップまたはノートタイプのパーソナルコンピュータなどの情報端末であってもよい。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明の実施例に係るハンズフリー通話システムの一構成例を示す図である。本実施例のハンズフリー通話システム10は、携帯電話20と、近距離無線通信を初めとする各種の通信機能を包含する接続手段30と、接続手段30を介して携帯電話20と接続される車載用電子装置40とを含んで構成される。携帯電話20は、通話機能を備えた各種の電子情報端末、スマートフォンであってよい。接続手段30は、好ましくはブルーツースなどの近距離無線データ通信であるが、無線LANな他の規格の無線データ通信接続、あるいは有線ケーブルによる接続を含む。
【0017】
車載用電子装置40は、車両に搭載される装置本体42と、装置本体42に無線通信等によって接続され、ユーザの頭部に装着して使用されるヘッドセット44と、スピーカ46と、ディスプレイ48とを含んで構成される。接続手段30を介して、装置本体42と携帯電話20は、相互にデータを送受信し、また、相互に制御データを介して互いを制御することができる。例えば、携帯電話20に着信があったとき、ユーザは装置本体42で携帯電話20の操作、例えば、通話の開始・終了を制御するようにしてもよい。また、ハンズフリー通話の際には、接続手段30を介して携帯電話20から装置本体42に音声データが送信され、これがスピーカ46から出力され、ヘッドセット42のマイクから入力された音声データが装置本体42から携帯電話20へ送信される。
【0018】
装置本体42とヘッドセット44とは、好適にはブルーツースやその他の無線通信手段または有線通信手段を介して、データ交換可能に接続され、ヘッドセット44側に装備されたマイク(必要に応じてイヤホン)を通して利用者が通話を行えるようになっている。好適な実施例において、車載用電子装置40は、ナビゲーション機能、オーディオ再生機能、ビデオ再生機能、テレビ放送受信機能、ラジオ放送受信機能などを包含することができ、これらの機能は、ハンズフリー通話とは独立に動作が可能である。
【0019】
図2は、携帯電話20の構成を示すブロック図である。ユーザからの入力を受け取る入力部100と、通話のための電波の受信状態を検出する検出部110と、公衆無線電話回線網やインターネットなどを介して通話を行う通話部120と、表示部130と、音声出力部140と、車載用電子装置40とブルーツース等の接続手段30を介して接続を可能にする接続部150と、制御部160と、アプリケーションまたはプログラムを記憶するプログラムメモリ170と、種々のデータを記憶するデータメモリ180と、各部を接続する内部バス190とを含んで構成される。
【0020】
入力部100は、キーボード、タッチパネル、音声入力、マウスなどのユーザインターフェースを提供し、ユーザからの入力を受け取り、これを制御部160へ提供する。検出部110は、アンテナで捕獲された信号の受信感度または電界強度を検出し、その検出結果を制御部160に提供する。また、検出部110は、電界強度を検出する以外にも、後述するように電界強度マップを利用して自車位置の受信感度または電界強度を検出するようにしてもよい。通話部120は、ユーザ操作を介して着信または発信があったとき相手方との通話を可能にする。表示部130は、携帯電話本体に設けられたディスプレイを含み、携帯電話が実行するアプリケーションやその他の情報を表示する。例えば、携帯電話がナビゲーションのアプリケーションを実行した場合には、携帯電話の位置周辺の道路地図を表示したり、オーディオを再生した場合には、楽曲名、演奏時間などの情報を表示する。音声出力部140は、携帯電話20を単体として使用する場合には、通話相手の音声を出力したり、再生されたオーディオの音声を出力する。また、携帯電話20が車載用電子装置40に接続された場合には、音声出力部150の音声出力をミュートし、スピーカ46から音声を出力させるようにしてもよい。
【0021】
接続部150は、携帯電話20と他の電子機器間の種々のデータ通信を可能にする。本実施例では、接続部150は、ブルーツース等による近距離無線データ通信により車載用電子装置40とのデータ通信を可能にする。さらに、接続部150は、近距離無線データ通信以外にも、無線LANやその他の規格のデータ通信、USBケーブルなどの有線ケーブルにより携帯電話20を他の電子機器やネットワークに接続することが可能である。制御部160は、プロセッサ、マイクロコンピュータ、またはマイクロコントローラなどの情報処理装置を含み、好ましくは、プログラムメモリ170に格納されたプログラムやアプリケーションソフトを実行し、所望の機能を実現する。
【0022】
プログラムメモリ170は、携帯電話20に必要な機能を実行するためのプログラムやアプリケーションソフトウエアを記憶する。プログラムメモリ170は、好ましくは書き換え可能な不揮発性メモリから構成され、接続部150を介してネットワーク上のサーバなどからダウンロードされたアプリケーションソフトウエアを格納したり、接続部150を介して接続された他の電子機器から取得したアプリケーションソフトウエアを格納することができる。データメモリ180は、種々のデータを記憶し、例えば、オーディオデータ、ビデオデータを記憶したり、ナビゲーション機能に必要な道路地図データを記憶することができる。データメモリ180は、書き換え可能な不揮発性メモリから構成され、接続部150を介して取得したデータを記憶することができる。携帯電話20の各部は、バッテリーからの電力により動作可能であり、バッテリーは、好ましくは外部電源を利用して充電することが可能な二次電池である。
【0023】
図3は、車載用電子装置40の構成を示すブロック図である。車載用電子装置40は、自車位置周辺の道路地図を表示したり目的地までの経路を案内する機能を備えたナビゲーション部50、CD、DVDなどのオーディオデータやビデオデータを再生する再生部52、テレビ放送やラジオ放送を受信する放送受信部54、ブルーツース等の近距離無線接続やその他の通信により携帯電話20との接続を制御する接続制御部56、ハンズフリー通話状態のときにヘッドセット44の動作を制御するヘッドセット制御部58、ユーザからの入力を受け取る入力部60、種々のデータを記憶する記憶部62等を備えている。なお、図3に示す機能は一例であって、車載用電子装置40はこれと異なる機能を含むものであっても良い。
【0024】
図4は、ヘッドセット44の構成例を示すブロックである。ヘッドセット44は、装置本体42との間で制御信号および音声データを送受するための送受信部202、携帯電話20に対する通話の開始および終了、音量調整その他の操作をユーザがおこなえるようにする操作部204、発話のためのマイク206、着信音および通話音を聞くためのイヤホン208、ヘッドセット全体の制御を司る制御部210、各部を接続するバス126とを備えている。
【0025】
装置本体42に接続された携帯電話20において着信があると、着信音が送受信部202を介してヘッドセット44へ送信され、その音はイヤホン208またはスピーカ46からユーザに伝えられる。また、着信を知らせる画面がディスプレイ48に割込み表示され、ユーザは操作部204を操作して通話開始の制御を送信し、これによって装置本体42を介して携帯電話20とヘッドセット44との接続が確立され、ハンズフリー通話が可能となる。
【0026】
携帯電話20のプログラムメモリ170には、上記したように携帯電話20の機能に必要な種々のプログラムを備えているが、ここでは、ハンズフリー通話システムにおける接続制御プログラムについて説明する。図5は、ハンズフリー通話システムにおける接続制御プログラム300の構成を示している。同図に示すように、接続制御プログラム300は、接続部150を介して携帯電話20と車載用電子装置40との間の接続を確認する接続確認部310、検出部110からの検出結果に基づき通話部120の電波状態を判定する判定部320、判定部320による判定結果に基づき接続部150の接続モードを選択する接続モード選択部330、選択された接続モードに従い接続部150の接続モードを切替える接続モード切換部340、接続モード選択部330および/または接続モード切替部340の結果に基づき接続部150への電力の供給を制御する電力供給制御部350を含んで構成される。
【0027】
接続部150は、本携帯電話20と無線通信可能な電子デバイスを探索し、探索された電子デバイスを認識し、通信可能な状態を確立する。ここでは、接続部150が車載用電子装置40との間で通信可能な状態を確立したとき、接続確認部310は、これを確認する。判定部320は、検出部110で検出された電界強度に基づき携帯電話20が通話エリア圏内にあるか否かを判定する。
【0028】
接続モード選択部330は、接続部150が動作可能な複数の接続モードの中から所望の接続モードを選択する。図6は、複数の接続モードと消費電力との関係を示している。本実施例では、接続部150により動作可能な接続モードは、4つの接続モード1〜4があり、各接続モードによって消費電力が異なる。なお、この接続モードとは、携帯電話20の消費電力との関係において区別されまたは定義されるものであり、また、本発明は、必ずしも図6に示す接続モードに限定されるものではない。
【0029】
接続モード1は、携帯電話20と車載用電子装置40との間で音声データの送受を行うときのモードまたは消費電力状態である。例えば、ハンズフリー通話において、携帯電話20と車載用電子装置40との間で音声データが転送されるとき、あるいは、携帯電話20の音楽再生アプリケーションが実行され携帯電話20から車載用電子装置40へ音声データが転送されるときの動作が相当する。接続モード2は、携帯電話20と車載用電子装置40とが接続部150を介して接続された機能待機状態にあるときのモードまたは電力消費状態であり、双方の機器が選択された機能に迅速に移行することができるスタンバイ状態にある。例えば、ハンズフリー通話システムにおいて携帯電話20が着信の待ち受けをしている状態である。接続モード2では、携帯電話20は、接続部150を介して差h採用電子装置40に対し、接続の確認または監視をするための信号を一定のタイミングで送信する。接続モード3は、接続部150による接続のための待機状態であり、接続部150は、ブルーツースにより通信可能な電子デバイスを識別しそれと通信を確立する前の状態である。すなわち、接続部150に電力が供給され、接続部150は、ブルーツースによる無線通信を利用可能な状態に置かれるが、車載用電子装置40を識別しこれと通信をすることができる前の段階である。接続モード4は、接続部150へのバッテリー等の電力供給を停止し、事実上、接続部150によるブルーツースによる無線接続が停止された状態である。同図に示すように、電力消費は、接続モード1から接続モード4に向けて小さくなる。
【0030】
接続モード切替部340は、ハンズフリー通話が可能な状態において、判定部320による通話エリア圏外か否かの判定結果に基づき、接続部150の接続モードの切替を制御する。但し、接続モード切替部340は、通話待ち受け状態から通話を行う場合、その反対に通話を終了して通話待つ受け状態に移行する場合には、必ずしも接続モード選択部330による選択結果に基づき接続モード1と接続モード2の間の切替を行う必要はなく、接続モード1と接続モード2は、自動的にモードが切替えられる。電力供給制御部350は、接続モード切替部340により接続モード4に切替られるとき、接続部150へのバッテリー供給を停止し、他方、他の接続モード1〜3に切替えらるとき、接続部150へのバッテリー供給を開始する。
【0031】
次に、本発明の第1の実施例に係るハンズフリー通話システムの動作を図7に示すフローチャートを参照して説明する。先ず、携帯電話20は、接続部150を介して車載用電子装置40に接続される(S101)。この接続は、接続確認部310によって行われ、この初期状態では、接続モード2が選択され、携帯電話20と車載用電子装置40とは、ハンズフリー通話が可能な状態に置かれる(S102)。この状態で、通話部120による通話が実施されれば、接続モードは、自動的に接続モード1となり、ユーザは、ヘッドセット44を利用してハンズフリー通話を行うことができる。通話が終了すれば、自動的に接続モード2に切替わる。
【0032】
車両の移動に伴い、携帯電話20の通話環境は変化するが、この通話環境の変化は、検出部110によって検出される(S103)。判定部320は、検出部110により検出された受信感度に基づき通話エリア圏内か否かを判定する(S104)。例えば、アンテナからの信号の電界強度がしきい値以下であるとき、通話エリア圏外と判定し、しきい値をこれれば通話エリア圏内と判定する。通話エリア圏外であれば、携帯電話20に着信されることはないし、発信することもできない。そこで、接続モード選択部330は、バッテリーの無駄な消費を抑制するため、接続モード2よりも消費電力が小さい接続モードを選択する(S105)。つまり、接続モード3または接続モード4を選択する。
【0033】
次に、接続モード切替部340は、接続モード選択部330の選択結果に基づき接続部150を接続モード3または4に切替える(S106)。接続モード3に切替られた場合には、接続部150は、車載用電子装置40との間のデータ通信を解除し、車載用電子装置40との接続が確立される前の状態に戻す。これにより、携帯電話20から車載用電子装置40に対する定期的または非定期的なデータ通信が行われないため、携帯電話20のバッテリー消費が抑制される。他方、接続モード4に切替えられた場合には、電力供給制御部350は、接続部150への電力供給を停止し、接続部150の動作が停止される。これにより、多くのバッテリー消費が抑制される。接続モード3または接続モード4のいずれに切り替えるかは、予め用意したアルゴリズムによって決定することができる。例えば、接続モード選択部330は、携帯電話20のバッテリー残量に関する情報を取得し、バッテリー残量が一定値以下であれば、多くのバッテリー消費を抑制することができる接続モード4を選択することができる。
【0034】
一方、通話エリア圏内と判定された場合には(S104)、接続モード選択部330は、この判定結果に従い接続モード2による待機状態の選択を継続する(S107)。接続モード切替部340により接続モード3または4への切替が行われた場合には、その後も継続的に判定部320による通話エリア圏内か否かの判定が行われ、通話エリア圏内に回復したと判定した場合には(S104)、接続モード選択部330は、接続モード2を選択し、接続モード切替部340は、接続モード3または4から接続モード2へ切替える(S107)。これにより、携帯電話20は、着信または発信の待ち受け状態に戻る。こうした切替制御は、接続部150による接続が終了するまで繰り返し行われる(S108)。
【0035】
図8は、第1の実施例による携帯電話が待機状態のときの接続モードの遷移を表したタイムチャートである。同図に示すように、携帯電話20が通話エリア圏内にあるとき、接続部150は、待機モード2による機能待機状態にあり、通話エリア圏外に移行すると、接続部150は、待機モード2よりも消費電力が小さい接続モード3または4に切替えら、バッテリーの消費が抑えられる。これに対し、従来の携帯電話では、通話を行うことができない通話エリア圏外にあるときでも、接続部150が接続モード2にあり、携帯電話20と車載用電子装置40との間の通信による無駄な電力が消費されていた。
【0036】
次に、本発明の第2の実施例について図9のフローチャートを参照して説明する。第1の実施例は、接続モード2から接続モード3または4への切替制御を行う例を示したが、第2の実施例は、接続モード2から接続モード3、4への段階的な切替制御を行うものである。同図において、ステップS201ないしS204は、図7のステップS101ないしS104と同じであり、説明を省略する。第2の実施例では、判定部320によって通話エリア圏外と判定された場合に、接続モード選択部330は、接続モード2よりも1段階だけ消費電力が小さい接続モード3を選択し、接続モード切替部340は接続モード2から接続モード3への切替を行う(S205)。引き続き、判定部320は、通話エリア圏外の状態が一定時間継続しているか否かを判定し(S206)、継続していると判定した場合、接続モード選択部330は、接続モード3よりもさらに消費電力が小さい接続モード4を選択し、接続モード切替部340は接続モード3から接続モード4への切替を行う(S207)。これ以外の動作は、第1の実施例のときと同様である。
【0037】
図10は、第2の実施例による携帯電話が待機状態のときの接続モードの遷移を表したタイムチャートである。同図に示すように、携帯電話20が通話エリア圏内にあるとき、接続モード2が選択され、通話エリア圏外になると、接続モード2から接続モード3へ切替えられる。通話エリア圏外の累積期間Tが一定値を超えると、接続モード3から接続モード4へ切替えられる。通話エリア圏外となる時間が一定を越える場合には、消費電力を一層抑制することができるためバッテリーの残容量の低下を防止することができる。
【0038】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。第2の実施例では、通話エリア圏外の時間が一定値を超えるとき、接続モード3から接続モード4へ切替える制御をを行ったが、第3の実施例では、通話エリア圏外の状態が断続的に繰返される場合に接続モード3から接続モード4へ切替える制御を行うものである。図11は、第3の実施例による携帯電話が待機状態のときの接続モードの遷移を表したタイムチャートを示している。同図に示すように、通話エリア圏外と判定されると、接続モード選択部330は、接続モード3を選択し、接続モード2から接続モード3へ切替えられる。電波受信の環境が良くないエリアを走行しているとき、受信感度が変動し易く、通話エリア圏内と通話エリア圏外とが頻繁に遷移する事態が生じる。そこで、図示するように通話エリア圏内P1、P2、P3に移行しても、通話エリア圏内に回復した期間が一定の値よりも小さい場合には、接続モード3を維持し続け、接続モード2への切替を禁止する。同時に、通話エリア圏内への遷移する回数が一定の回数k以上となった場合には、接続モード4を選択し、接続モード3から接続モードへ切替えるようにする。こうすることで、接続モード2と3の頻繁な切替が抑制され、電波状態が安定しない実質的に通話することができない期間の電力消費を効果的に抑制することができる。
【0039】
なお、第1の実施例においても、第2の実施例と同様に、通話エリア圏外と判定されたときに、即座に接続モード3または4への切替を行うのではなく、一定期間、様子を見てから接続モード3または4への切替を行うようにしてもよい。つまり、通話エリア圏外への移行が一定期間継続された場合に、接続モード2から接続モード3または4への切替を行うようにし、接続モードの頻繁な切替を抑制し安定した動作を行わせることができる。また、第1の実施例においても、第3の実施例を同様に、通話エリア圏外の状態が断続的に繰返される場合に、接続モード3または4への切替を行うようにしてもよい。
【0040】
次に、本発明の第4の実施例について説明する。第1ないし第3の実施例では、通話エリア圏外か否かを携帯電話20のアンテナからの信号の電界強度を用いる例を示したが、第4の実施例は、電界強度マップを利用して通話エリア圏外か否かを判定する。携帯電話20は、現在位置を検出する機能と、データメモリ170に電界強度マップを有する。携帯電話20の現在位置を検出する機能は、携帯電話20に内蔵されたGPS受信装置により現在位置を算出してもよいし、接続部150を介してネットワーク上のサーバなどから携帯電話20の現在位置を取得するものでもよいし、車載用電子装置40に搭載されたナビゲーション部50の自車位置情報から現在位置を取得するものであってもよい。また、電界強度マップは、好ましくは、道路地図データ上に通話エリア圏内か否かの情報を含むものである。判定部320は、携帯電話20の現在位置と電界強度マップとを比較し、携帯電話20が通話エリア圏内か否かを判定することができる。
【0041】
次に、本発明の第5の実施例について説明する。携帯電話20がナビゲーション機能のアプリケーションを有しており、目的地までの経路案内が実行される場合には、判定部320は、目的地までの経路と電界強度マップとを比較し、通話エリア圏外から通話エリア圏内に移行するタイミングを予測することができる。図12に示すように、自車Mが目的地までの誘導経路Y上を走行中であって、現在位置が通話エリア圏外にあるとき、接続部150は、接続モード3または4に置かれている。電界強度マップと誘導経路とを比較し、判定部320は、通話エリア圏内に到達する時間を予測する。この予測時間は、例えば、リンクに設定された旅行時間を用いても良いし、自車の車速情報と通話エリア圏内に突入するまでの距離を実際の自車の車速から算出してもよい。接続モード切替部340は、判定部320の予測時間に基づき、実際に通話エリア圏内に突入するタイミングよりも若干早いタイミングで接続モード3または4から接続モード2への切替を行う。これにより、携帯電話20への着信等の情報を確実に得ることができる。なお、携帯電話20がナビゲーション機能を搭載していない場合には、携帯電話20は、車載用電子装置40のナビゲーション部50が有する電界強度マップ等の情報を接続手段30を介して入手するようにしてもよい。
【0042】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0043】
10:ハンズフリー通話システム 20:携帯電話
30:接続手段 40:車載用電子装置
42:装置本体 44:ヘッドセット
46:スピーカ 48:ディスプレイ
100:入力部 110:検出部
120:通話部 130:表示部
140:音声出力部 150:接続部
160:制御部 170:プログラムメモリ
180:データメモリ 300:接続制御プログラム
310:接続確認部 320:判定部
330:接続モード選択部 340:接続モード切替部
350:電力供給制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンズフリー機能を有する電子装置に接続可能な携帯型情報端末であって、
通話手段と、
ハンズフリー通話を可能にするため、前記電子装置と無線によるデータ通信を行う無線通信手段と、
前記通話手段による通話のための電波状態を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された電波状態に基づき通話圏外と判定した場合には、前記携帯型情報端末と電子装置との間で機能待機状態である第1の接続状態から前記第1の接続状態よりも電力消費が小さい第2の接続状態に切替わるように前記無線通信手段を制御する制御手段と、
を有する携帯型情報端末。
【請求項2】
前記第2の接続状態は、前記電子装置との接続を確立する前の接続待機状態である、請求項1に記載の携帯型情報端末。
【請求項3】
前記第2の接続状態は、前記無線通信手段への電力供給を停止する電力供給停止状態である、請求項1または2に記載の携帯型情報端末。
【請求項4】
前記制御手段は、通話圏外が検出されたことに応答して前記第1の接続状態から前記電子装置との接続を確立する前の接続待機状態に切替え、さらに前記通話圏外の継続時間が一定時間以上となったとき、前記無線通信手段への電力供給を停止する電力供給停止状態に切替える、請求項1ないし3いずれか1つに記載の携帯型情報端末。
【請求項5】
前記制御手段は、通話圏外が検出されたことに応答して前記第1の接続状態から前記電子装置との接続を確立する前の接続待機状態に切替え、さらに一定の時間期間内に一定の回数以上の通話圏外が発生したとき、前記無線通信手段への電力供給を停止する電力供給停止状態に切替える、請求項1ないし4いずれか1つに記載の携帯型情報端末。
【請求項6】
前記制御手段は、前記検出手段の検出結果に基づき、通話圏外から通話可能な電波状態に回復したと判定したとき、前記第1の接続状態に切替える、請求項1ないし5いずれか1つに記載の携帯型情報端末。
【請求項7】
前記検出手段は、電波の受信感度とエリアの関係を規定した受信感度地図情報と前記携帯型情報端末の位置とを比較し、比較結果から電波状態を検出する、請求項1ないし6いずれか1つに記載の携帯型情報端末。
【請求項8】
請求項1ないし7いずれか1つに記載の携帯型情報端末と、前記携帯型情報端末に前記無線通信手段を介して接続された前記電子装置とを含み、
前記電子装置は、ハンズフリー通話時に音声を出力するスピーカと、音声を入力するマイクロフォンとを備える、ハンズフリー通話システム。
【請求項9】
前記電子装置は、移動体に搭載される、請求項8に記載のハンズフリー通話システム。
【請求項10】
通話手段と、ハンズフリー機能を有する電子装置と無線によるデータ通信を行う無線通信手段と、前記通話手段による通話のための電波状態を検出する検出手段とを有する携帯型情報端末が実行する接続制御プログラムであって、
ハンズフリー通話を可能にするため、前記無線通信手段を介して前記電子装置と接続するステップと、
前記検出手段により電波状態を検出するステップと、
前記検出手段により検出された電波状態に基づき通話圏外か否かを判定するステップと、
通話圏外であると判定した場合には、前記携帯型情報端末と電子装置との間で機能待機状態である第1の接続状態から前記第1の接続状態よりも電力消費が小さい第2の接続状態に切替わるように前記無線通信手段を制御するステップと、
を有する接続制御プログラム。
【請求項11】
前記第2の接続状態は、前記電子装置との接続を確立する前の接続待機状態である、請求項10に記載の接続制御プログラム。
【請求項12】
前記第2の接続状態は、前記無線通信手段への電力供給を停止する電力供給停止状態である、請求項10に記載の接続制御プログラム。
【請求項13】
前記制御するステップは、通話圏外が検出されたことに応答して前記第1の接続状態から前記電子装置との接続を確立する前の接続待機状態に切替え、さらに前記通話圏外の継続時間が一定時間以上となったとき、前記無線通信手段への電力供給を停止する電力供給停止状態に切替えるステップを含む、請求項10ないし12いずれか1つに記載の接続制御プログラム。
【請求項14】
前記制御するステップは、通話圏外が検出されたことに応答して前記第1の接続状態から前記電子装置との接続を確立する前の接続待機状態に切替え、さらに一定の時間期間内に一定の回数以上の通話圏外が発生したとき、前記無線通信手段への電力供給を停止する電力供給停止状態に切替えるステップを含む、請求項10ないし12いずれか1つに記載の接続制御プログラム。
【請求項15】
前記制御手段は、前記検出手段の検出結果に基づき、通話圏外から通話可能な電波状態に回復したと判定したとき、前記第1の接続状態に切替える、請求項10ないし14いずれか1つに記載の接続制御プログラム。
【請求項16】
通話手段と、ハンズフリー機能を有する電子装置と無線によるデータ通信を行う無線通信手段と、前記通話手段による通話のための電波状態を検出する検出手段とを有する携帯型情報端末における接続制御方法であって、
ハンズフリー通話を可能にするため、前記無線通信手段を介して前記電子装置と接続するステップと、
前記検出手段により電波状態を検出するステップと、
前記検出手段により検出された電波状態に基づき通話圏外か否かを判定するステップと、
通話圏外であると判定した場合には、前記携帯型情報端末と電子装置との間で機能待機状態である第1の接続状態から前記第1の接続状態よりも電力消費が小さい第2の接続状態に切替わるように前記無線通信手段を制御するステップと、
を有する接続制御方法。
【請求項17】
前記第2の接続状態は、前記電子装置との接続を確立する前の接続待機状態である、請求項16に記載の接続制御方法。
【請求項18】
前記第2の接続状態は、前記無線通信手段への電力供給を停止する電力供給停止状態である、請求項16に記載の接続制御方法。
【請求項19】
前記制御するステップは、通話圏外が検出されたことに応答して前記第1の接続状態から前記電子装置との接続を確立する前の接続待機状態に切替え、さらに前記通話圏外の継続時間が一定時間以上となったとき、前記無線通信手段への電力供給を停止する電力供給停止状態に切替えるステップを含む、請求項16ないし18いずれか1つに記載の接続制御方法。
【請求項20】
前記制御するステップは、通話圏外が検出されたことに応答して前記第1の接続状態から前記電子装置との接続を確立する前の接続待機状態に切替え、さらに一定の時間期間内に一定の回数以上の通話圏外が発生したとき、前記無線通信手段への電力供給を停止する電力供給停止状態に切替えるステップを含む、請求項16ないし18いずれか1つに記載の接続制御方法。
【請求項1】
ハンズフリー機能を有する電子装置に接続可能な携帯型情報端末であって、
通話手段と、
ハンズフリー通話を可能にするため、前記電子装置と無線によるデータ通信を行う無線通信手段と、
前記通話手段による通話のための電波状態を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された電波状態に基づき通話圏外と判定した場合には、前記携帯型情報端末と電子装置との間で機能待機状態である第1の接続状態から前記第1の接続状態よりも電力消費が小さい第2の接続状態に切替わるように前記無線通信手段を制御する制御手段と、
を有する携帯型情報端末。
【請求項2】
前記第2の接続状態は、前記電子装置との接続を確立する前の接続待機状態である、請求項1に記載の携帯型情報端末。
【請求項3】
前記第2の接続状態は、前記無線通信手段への電力供給を停止する電力供給停止状態である、請求項1または2に記載の携帯型情報端末。
【請求項4】
前記制御手段は、通話圏外が検出されたことに応答して前記第1の接続状態から前記電子装置との接続を確立する前の接続待機状態に切替え、さらに前記通話圏外の継続時間が一定時間以上となったとき、前記無線通信手段への電力供給を停止する電力供給停止状態に切替える、請求項1ないし3いずれか1つに記載の携帯型情報端末。
【請求項5】
前記制御手段は、通話圏外が検出されたことに応答して前記第1の接続状態から前記電子装置との接続を確立する前の接続待機状態に切替え、さらに一定の時間期間内に一定の回数以上の通話圏外が発生したとき、前記無線通信手段への電力供給を停止する電力供給停止状態に切替える、請求項1ないし4いずれか1つに記載の携帯型情報端末。
【請求項6】
前記制御手段は、前記検出手段の検出結果に基づき、通話圏外から通話可能な電波状態に回復したと判定したとき、前記第1の接続状態に切替える、請求項1ないし5いずれか1つに記載の携帯型情報端末。
【請求項7】
前記検出手段は、電波の受信感度とエリアの関係を規定した受信感度地図情報と前記携帯型情報端末の位置とを比較し、比較結果から電波状態を検出する、請求項1ないし6いずれか1つに記載の携帯型情報端末。
【請求項8】
請求項1ないし7いずれか1つに記載の携帯型情報端末と、前記携帯型情報端末に前記無線通信手段を介して接続された前記電子装置とを含み、
前記電子装置は、ハンズフリー通話時に音声を出力するスピーカと、音声を入力するマイクロフォンとを備える、ハンズフリー通話システム。
【請求項9】
前記電子装置は、移動体に搭載される、請求項8に記載のハンズフリー通話システム。
【請求項10】
通話手段と、ハンズフリー機能を有する電子装置と無線によるデータ通信を行う無線通信手段と、前記通話手段による通話のための電波状態を検出する検出手段とを有する携帯型情報端末が実行する接続制御プログラムであって、
ハンズフリー通話を可能にするため、前記無線通信手段を介して前記電子装置と接続するステップと、
前記検出手段により電波状態を検出するステップと、
前記検出手段により検出された電波状態に基づき通話圏外か否かを判定するステップと、
通話圏外であると判定した場合には、前記携帯型情報端末と電子装置との間で機能待機状態である第1の接続状態から前記第1の接続状態よりも電力消費が小さい第2の接続状態に切替わるように前記無線通信手段を制御するステップと、
を有する接続制御プログラム。
【請求項11】
前記第2の接続状態は、前記電子装置との接続を確立する前の接続待機状態である、請求項10に記載の接続制御プログラム。
【請求項12】
前記第2の接続状態は、前記無線通信手段への電力供給を停止する電力供給停止状態である、請求項10に記載の接続制御プログラム。
【請求項13】
前記制御するステップは、通話圏外が検出されたことに応答して前記第1の接続状態から前記電子装置との接続を確立する前の接続待機状態に切替え、さらに前記通話圏外の継続時間が一定時間以上となったとき、前記無線通信手段への電力供給を停止する電力供給停止状態に切替えるステップを含む、請求項10ないし12いずれか1つに記載の接続制御プログラム。
【請求項14】
前記制御するステップは、通話圏外が検出されたことに応答して前記第1の接続状態から前記電子装置との接続を確立する前の接続待機状態に切替え、さらに一定の時間期間内に一定の回数以上の通話圏外が発生したとき、前記無線通信手段への電力供給を停止する電力供給停止状態に切替えるステップを含む、請求項10ないし12いずれか1つに記載の接続制御プログラム。
【請求項15】
前記制御手段は、前記検出手段の検出結果に基づき、通話圏外から通話可能な電波状態に回復したと判定したとき、前記第1の接続状態に切替える、請求項10ないし14いずれか1つに記載の接続制御プログラム。
【請求項16】
通話手段と、ハンズフリー機能を有する電子装置と無線によるデータ通信を行う無線通信手段と、前記通話手段による通話のための電波状態を検出する検出手段とを有する携帯型情報端末における接続制御方法であって、
ハンズフリー通話を可能にするため、前記無線通信手段を介して前記電子装置と接続するステップと、
前記検出手段により電波状態を検出するステップと、
前記検出手段により検出された電波状態に基づき通話圏外か否かを判定するステップと、
通話圏外であると判定した場合には、前記携帯型情報端末と電子装置との間で機能待機状態である第1の接続状態から前記第1の接続状態よりも電力消費が小さい第2の接続状態に切替わるように前記無線通信手段を制御するステップと、
を有する接続制御方法。
【請求項17】
前記第2の接続状態は、前記電子装置との接続を確立する前の接続待機状態である、請求項16に記載の接続制御方法。
【請求項18】
前記第2の接続状態は、前記無線通信手段への電力供給を停止する電力供給停止状態である、請求項16に記載の接続制御方法。
【請求項19】
前記制御するステップは、通話圏外が検出されたことに応答して前記第1の接続状態から前記電子装置との接続を確立する前の接続待機状態に切替え、さらに前記通話圏外の継続時間が一定時間以上となったとき、前記無線通信手段への電力供給を停止する電力供給停止状態に切替えるステップを含む、請求項16ないし18いずれか1つに記載の接続制御方法。
【請求項20】
前記制御するステップは、通話圏外が検出されたことに応答して前記第1の接続状態から前記電子装置との接続を確立する前の接続待機状態に切替え、さらに一定の時間期間内に一定の回数以上の通話圏外が発生したとき、前記無線通信手段への電力供給を停止する電力供給停止状態に切替えるステップを含む、請求項16ないし18いずれか1つに記載の接続制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−222583(P2012−222583A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85910(P2011−85910)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】
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