携帯型情報読取装置
【課題】 充電台の設置方法にかかわらず携帯型情報読取端末を確実に充電することができる携帯型情報読取装置を提供する。
【解決手段】 充電台1には吸着部29が設けられており、この吸着部29は、弾性体31により移動可能に充電台1に支持されている。携帯型バーコードリーダ2の裏面には強磁性体の金属板からなる被吸着部32が設けられている。充電台1のセット位置に携帯型バーコードリーダ2を載置すると、吸着部29が被吸着部32に吸着する。これにより、充電台1の充電用端子4が携帯型バーコードリーダ2に強く接触するので、携帯型バーコードリーダ2を確実に充電することができる。このとき、携帯型バーコードリーダ2に設けられた係合部26が充電台1に設けられた係合受部27に強く押し付けられるので、充電台1に対する携帯型バーコードリーダ2の保持力を高めることができる。
【解決手段】 充電台1には吸着部29が設けられており、この吸着部29は、弾性体31により移動可能に充電台1に支持されている。携帯型バーコードリーダ2の裏面には強磁性体の金属板からなる被吸着部32が設けられている。充電台1のセット位置に携帯型バーコードリーダ2を載置すると、吸着部29が被吸着部32に吸着する。これにより、充電台1の充電用端子4が携帯型バーコードリーダ2に強く接触するので、携帯型バーコードリーダ2を確実に充電することができる。このとき、携帯型バーコードリーダ2に設けられた係合部26が充電台1に設けられた係合受部27に強く押し付けられるので、充電台1に対する携帯型バーコードリーダ2の保持力を高めることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電台のセット位置に載置された携帯型情報読取端末を充電用端子の接触により充電する携帯型情報読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばコンビニエンスストアの店員或いは流通業者など携帯型情報読取端末でバーコードに印刷された光学情報を読取るような使用環境では、携帯型情報読取端末に充電する必要があるため、非使用時には携帯型情報読取端末を充電台のセット位置に載置するようにしている。
特許文献1のものでは、バーコード読取端末の充電台を水平に設置し、その充電台にバーコード読取端末を載置することにより、バーコード読取端末に充電する方法が示されている。
【特許文献1】特開2001−134709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1のように充電台を水平に設置するものでは、充電台を置くスペースが必要である。また、バーコード読取端末は充電台に載置されているだけであるので、バーコード読取端末と充電台の充電用端子との間の導通が不安定となる虞があり、このような場合は、バーコード読取端末を確実に充電できないという事態を生じることになる。
一方、充電台を壁掛けして垂直方向を指向するように設置した場合、充電台を置くスペースは削減することができるものの、バーコード読取端末と充電台の充電用端子との間との接触が一層不安定となることは避けられない。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、充電台の設置方法にかかわらず携帯型情報読取端末を確実に充電することができる携帯型情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
携帯型情報読取端末を水平に設置された充電台のセット位置に載置すると、携帯型情報読取端末が充電台の充電用端子に接触するので、充電用端子を通じて携帯型情報読取端末に充電することができる。ここで、携帯型情報読取端末を充電台にセットした状態では、充電台の吸着部が携帯型情報読取端末の被吸着部を引き付けるので、携帯型情報読取端末は充電台のセット位置に保持される。これにより、充電用端子が携帯型情報読取端末に強く接触するので、携帯型情報読取端末を確実に充電することができる。
【0006】
一方、充電台を壁掛けした場合、携帯型情報読取端末を充電台のセット位置に載置した状態では、携帯型情報読取端末の係合部が充電台の係合受部に引掛かった状態で、充電台の吸着部が携帯型情報読取端末の被吸着部を引き付けるようになる。この場合、充電台の吸着部は移動可能であるので、吸着部は被吸着部に対する引き付け状態が安定するように移動する。これにより、携帯型情報読取端末を充電台のセット位置に安定して保持することができるので、携帯型情報読取端末に対する充電用端子の接触力が増大し、携帯型情報読取端末を確実に充電することができる。
【0007】
請求項2の発明によれば、充電台の吸着部は弾性体により充電台内への押し込み力が付与されているので、充電台の吸着部が携帯型情報読取端末の被吸着部を引き付けると、吸着部が弾性体の弾性力に抗して押し込み力に相当する力で被吸着部に吸着する。このとき、吸着部は移動可能であるので、吸着部に対して被吸着部が傾いている場合であっても、吸着部が被吸着部の表面に倣って吸着する。これにより、吸着部が被吸着部に密着して吸着するので、充電台に対する携帯型情報読取端末の保持力を高めることができる。
【0008】
請求項3の発明によれば、被吸着部或いは吸着部の構成を簡単化することができるので、コストの低減を図ることができる。
請求項4の発明によれば、携帯型情報読取端末が充電台のセット位置に載置された状態では、係合受部と係合部との係合が外れないので、携帯型情報読取端末に比較的大きな力が作用するにしても、携帯型情報読取端末が充電台から外れてしまうことを防止できる。
【0009】
請求項5の発明によれば、被吸着部に磁力が作用するにしても、被吸着部が磁化してしまうことを極力回避することができる。
請求項6の発明によれば、吸着部が被吸着部を引き付けた状態で携帯型情報読取端末をスライド移動することができるので、携帯型情報読取端末をセット位置にスライド移動することにより係合受部に対して係合部を確実に引掛けることができる。
【0010】
請求項7の発明によれば、吸着部が被吸着部を引き付けた状態で、携帯型情報読取端末を充電台のセット位置にスライド移動しようとすると、弾性圧縮手段が吸着部を反対方向に付勢するので、その付勢力に抗してセット位置にスライド移動する。すると、引掛手段により携帯型情報読取端末の後端が充電台に引掛けられるので、その引掛け状態では、携帯型情報読取端末をセット位置に確実に保持することができる。これにより、携帯型情報読取端末に大きな力が作用するにしても、携帯型情報読取端末が充電台から外れてしまうことを防止できる。
【0011】
請求項8の発明によれば、本発明を携帯型光学情報読取端末に適用することができる。
請求項9の発明によれば、本発明を読取口部にアンテナを有した携帯型非接触情報読取端末に適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第1実施例)
以下、本発明を携帯型バーコードリーダに適用した第1実施例について図1ないし図9を参照して説明する。
図1は携帯型バーコードリーダが充電台に載置された状態を示す側面図、図2はその正面図である。これらの図1及び図2において、充電台1は長尺形状をなし、その長手方向が垂直方向を指向するように壁に設置されている。この充電台1のセット位置には携帯型バーコードリーダ(携帯型情報読取端末に相当)2が載置されており、その載置状態で商用交流電源3(図3参照)からの給電に応じて携帯型バーコードリーダ2に充電するようになっている。つまり、充電台1及び携帯型バーコードリーダ2には充電用端子4、受電用電極5(図3参照)がそれぞれ設けられおり、充電台1のセット位置に携帯型バーコードリーダ2が載置された状態では、それらの充電用端子4及び受電用電極5同士が導通接触することにより携帯型バーコードリーダに充電が行われるようになっている。
また、充電台1及び携帯型バーコードリーダ2には光通信機能が設けられており、充電台1のセット位置に携帯型バーコードリーダ2が載置された状態で当該携帯型バーコードリーダ2に記憶された読取情報が光通信により充電台1側に送信可能となっている。
【0013】
図4は、携帯型バーコードリーダ2の構成を概略的に示している。この図4において、携帯型バーコードリーダ2は、ケース6内に、カタログや伝票、商品ラベル等の読取対象に記録された例えばQRコード(登録商標)等の二次元コードを読取るための読取部7や制御部8(図3参照)等を組込んで構成されている。制御部8は、マイクロコンピュータを中心として構成され、システム全体の制御を行うと共に、読取部7による撮影画像データから二次元コードの読取処理(デコード処理)等を行う処理手段として機能するようになっている。
【0014】
ケース6は、手で把持し易い形状に形成された本体部6aの先端側が傾斜するように折曲形成され、その先端部分が読取口部6bとされている。このケース6の上面部には、複数のキースイッチ9aからなるキー入力部9が設けられ、使用者が読取プログラムを選択設定したり、コード種類を指定したりすることができるようになっている。
【0015】
ケース6の側面部には、読取指示用のトリガスイッチ10(図2参照)が設けられている。このトリガスイッチ10は、例えば2段階での押圧操作が可能とされ、第1段の押圧操作(いわゆる半押し状態)で、ガイド光の照射動作が実行され、第2段の押圧操作で読取動作が実行されるようになっている。
ケース6の上面部には、例えばLCDからなる表示部11が設けられている。キースイッチ9aや表示部11等は、ケース6内に配設されたプリント基板12に実装されており、このプリント基板12には制御部8等も実装されている。
【0016】
読取部7は、例えばCCD撮像素子からなる撮像手段としてのエリアセンサ(撮像手段に相当)13、このエリアセンサ13の前部に位置する撮像レンズ14、コード読取時の照明光源となる複数個の照明用LED15及びその前部に位置する照明用レンズ16等を備えて構成される。撮像レンズ14は読取部7の中心部に配置され、複数個の照明用レンズ16がその周囲に配置されている。
【0017】
以上のような構成により、読取口部6bを、例えばQRコード(バーコードも可能)が記録された読取対象(伝票、ラベル、カタログ等)に近接させた状態で、読取操作、つまりトリガスイッチ10のオン操作を行うことにより、照明用LED15により読取対象に照明がなされた状態で、エリアセンサ13により読取対象の画像の取込み(撮像)がなされる。そして、その撮影画像のデータから、制御部8によりQRコードの読取り(デコード)の処理が行われるようになっている。
【0018】
図3は充電台1及び携帯型バーコードリーダ2の電気的構成を概略的に示す機能ブロック図である。この図3において、充電台1は、電源回路17、充電回路18、充電検出回路19、通信制御回路20から構成されている。一方、携帯型バーコードリーダ2は、制御部8、エリアセンサ13、警音部21、通信回路22、電源用の二次電池23から構成されている。
充電台1において、充電回路18は、電源回路17からの給電状態で充電用端子4、受電用電極5を通じて充電台1に載置された携帯型バーコードリーダ2の二次電池23に充電する。
【0019】
通信制御回路20は上位のパソコン24と接続されており、携帯型バーコードリーダ2が読取ったコード情報をパソコン24に送信するようになっている。
携帯型バーコードリーダ2において、二次電池23は図示しない電源スイッチがオンに切換えられた状態で携帯型バーコードリーダ2の内部回路に給電すると共に、電源スイッチのオンオフ状態にかかわらず充電台1の充電回路18により充電されるようになっている。
【0020】
さて、本実施例では、上記構成の携帯型バーコードリーダ2は充電台1のセット位置への載置状態で保持されるように構成されており、その構成について説明する。
図5は充電台1の側面図、図6はその正面図である。これらの図5及び図6において、充電台1の図示上部には凹部25が形成されており、携帯型バーコードリーダ2が充電台1のセット位置に載置された状態では、凹部25に携帯型バーコードリーダ2の読取口部6b(図1参照)が位置するようになっている。
【0021】
携帯型バーコードリーダ2の読取口部6bの底面には三角形状の係合部26(図1参照)が突出形成されていると共に、充電台1の凹部25の内壁面において携帯型バーコードリーダ2の係合部26に対応する部位には図7に示すように奥方となるほど図示下方(充電台1の後端側)となるように傾斜した係合受部27が形成されており、携帯型バーコードリーダ2が充電台1のセット位置に載置された状態では、係合部26が係合受部27に引掛るようになっている。
【0022】
一方、充電台1において、係合受部27の図示下方となる部位及び充電用端子4の図示上方となる部位には吸着手段28が設けられている。
図7は、吸着手段28の構成を示している。この図7において、吸着手段28は、永久磁石からなる吸着部(強磁性体に相当)29を主体として構成されている。つまり、充電台1には外部と連通した空間部30が形成されており、その空間部30に吸着部29が配設されている。この吸着部29は、断面形状(正面から見た形状)が矩形状をなすと共に、両端にフランジ29a(図7参照)を有しており、一方のフランジ29aが空間部30に位置し、他方のフランジ29aが充電台1の外方に露出している、吸着部29のフランジ29a間の連結部29bにはマイクロセルポリマー(通称ポロン)からなる弾性体31が介装されており、これにより吸着部29の抜け止めが図られている。この弾性体31の弾性力は、後述するように吸着部29が充電台1から突出しようとする際の力にほぼ相当するように設定されている。このような構成により、吸着部29には、弾性体31により奥方への弾性力が付与されており、所定範囲で軸方向に移動可能であると共に首振可能な状態である所謂遊びが付与されている。
【0023】
図1に戻って、携帯型バーコードリーダ2の底面において読取口部6bと連なるケース6の端部及び受電用電極5の近傍には金属板からなる被吸着部(強磁性体に相当)32が固定されており、携帯型バーコードリーダ2が充電台1にセットされた状態で吸着部29に近接して対向するようになっている。この被吸着部32としては、保磁力が小さい軟鋼板を用いるのが望ましい。これは、被吸着部32が吸着部29の磁力により磁化されてしまい、磁気カードなどに悪影響を与えてしまうことを防止するためである。
【0024】
次に、上記構成の作用について説明する。
充電台1を壁掛けで使用したい場合は、図1に示すように充電台1を当該充電台1の長手方向がほぼ垂直方向を指向するように壁に設置する。携帯型バーコードリーダ2を充電台1のセット位置に載置するには、携帯型バーコードリーダ2の係合部26を充電台1の係合受部27に引掛けた状態で、携帯型バーコードリーダ2を充電台1に接近させる。すると、吸着部29の吸着部29から発生していた磁力が被吸着部32に鎖交するようになるので、図9に示すように吸着部29のフランジ29aに被吸着部32が引き付けられるようになる。
【0025】
ここで、吸着部29は、弾性体31により充電台1内に押し込まれているので、弾性体31の弾性力に抗して充電台1から突出した状態で吸着部29に吸着するようになる。この場合、吸着部29は、弾性体31により首振可能に支持されているので、吸着部29が被吸着部32に対して傾いているにしても、吸着部29が被吸着部32の表面に倣った状態で密着して吸着するようになる。
【0026】
以上のようにして充電台1の吸着部29が携帯型バーコードリーダ2の被吸着部32に密着状態で吸着すると、携帯型バーコードリーダ2が充電台1のセット位置に保持され、充電台1の充電用端子4が携帯型バーコードリーダ2の受電用電極5に強く接触するようになる。また、このような吸着部29による被吸着部32に対する吸着状態では、係合受部27に対して係合部26が強く押し付けられるので、充電台1に対する携帯型バーコードリーダ2の保持力を高めることができる。
【0027】
一方、充電台1が水平に設置されている場合は、充電台1のセット位置に携帯型バーコードリーダ2を載置すると、吸着部29が被吸着部32に吸着し、携帯型バーコードリーダ2が充電台1のセット位置に保持されるので、このようなセット方法であっても、充電台1の充電用端子4が携帯型バーコードリーダ2の受電用電極5に強く接触するようになると共に、充電台1に対する携帯型バーコードリーダ2の保持力を高めることができる。
【0028】
このような実施例によれば、充電台1に遊びを有した吸着部29を設けると共に、携帯型バーコードリーダ2に被吸着部32を設け、携帯型バーコードリーダ2が充電台1のセット位置に載置された状態では、吸着部29が被吸着部32を引き付けるようにしたので、充電用端子4を携帯型バーコードリーダ2の受電用電極5に強く接触させることができる。従って、バーコード読取端末と充電台の充電用端子との間との接触が不安定となる虞があるものと違って、充電台1の設置方法にかかわらず充電台1のセット位置に載置された携帯型バーコードリーダ2に確実に充電することができる。
【0029】
しかも、係合受部27が充電台1の奥方となるにしたがって充電台1の後端側に傾斜するように形成し、吸着部29が被吸着部32を吸着した状態では、係合部26が係合受部27に強く押し付けられるようにしたので、充電台1に対する携帯型バーコードリーダ2の保持力を高めることができる。従って、充電台1に保持された携帯型バーコードリーダ2に比較的大きな力が作用するにしても、携帯型バーコードリーダ2が充電台1から外れてしまうことを防止できる。
【0030】
尚、携帯型バーコードリーダ2の電源として、図10に示すような電池パック33を使用している場合は、図11に示すように電池パック33の受電用電極5から離れた位置に被吸着部32を内蔵するか、または図12に示すように被吸着部32を表面が露出するように嵌め込むようにしてもよい。このような構成を採用した場合、電池パック33単体で実施することが可能となる仕組みを提供することができる。
【0031】
(第2実施例)
次に、本発明の第2実施例について図13ないし図16を参照して説明するに、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。この第2実施例は、携帯型バーコードリーダ2を充電台1のセット位置にスライド移動可能に構成したことを特徴とする。
図13は、充電台1のセット位置に携帯型バーコードリーダ2を位置しようとする状態を示し、図14は、その状態における吸着部の断面を示している。また、図15は、充電台1のセット位置に携帯型バーコードリーダ2を位置させた状態を示し、図16は、その状態における吸着部の断面を示している。これらの図13ないし図16において、充電台1内には当該充電台1の長手方向に沿って延びる閉鎖空間部42が形成されている。この閉鎖空間部42には永久磁石からなる吸着部43が配置されており、この吸着部43が充電台1の長手方向に沿って移動可能となっている。
【0032】
携帯型バーコードリーダ2を充電台1のセット位置に載置しようとすると、充電台1の吸着部43が携帯型バーコードリーダ2の被吸着部32を引き付けるので、携帯型バーコードリーダ2が充電台1に強く密着するようになる。この状態で、携帯型バーコードリーダ2の係合部26が充電台1の係合受部27に引掛かるようにスライド移動すると、その移動に伴って吸着部29が充電台1の長手方向に沿って移動するので、吸着部29による被吸着部32に対する引き付け状態が維持される。
【0033】
そして、携帯型バーコードリーダ2を充電台1のセット位置に位置すると、充電台1の充電用端子4が携帯型バーコードリーダ2の受電用電極5に強く接触するようになるので、両者の間の導通を確実に図ることができ、携帯型バーコードリーダ2を確実に充電することができる。
【0034】
このような実施例によれば、吸着部29を充電台1の長手方向に沿って移動可能に設け、吸着部29が被吸着部32を引き付けた状態で携帯型バーコードリーダ2をスライド移動可能としたので、携帯型バーコードリーダ2を充電台1のセット位置に確実に保持することができる。
しかも、このような充電台1に対して携帯型バーコードリーダ2をスライド移動可能としたことから、係合部26が係合受部27に確実に引掛かり、充電台1に対して携帯型バーコードリーダ2を確実に保持することができる。
【0035】
(第3実施例)
次に、本発明の第3実施例について図17ないし図20を参照して説明するに、第2実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。この第3実施例は、携帯型バーコードリーダ2を充電台1のセット位置に機構的に保持するようにしたことを特徴とする。
図17は、充電台1のセット位置に携帯型バーコードリーダ2を位置しようとする状態を示し、図18は、その状態における吸着部の断面を示している。また、図19は、充電台1のセット位置に携帯型バーコードリーダ2を位置させた状態を示し、図20は、その状態における吸着部の断面を示している。これらの図17ないし図20において、携帯型バーコードリーダ2の後端部には引掛部51が突出形成されていると共に、充電台1には携帯型バーコードリーダ2の引掛部51と共に引掛手段を構成する凹状の引掛受部52が形成されている。
【0036】
一方、充電台1の閉鎖空間部42に配置された吸着部29は圧縮コイルスプリング(弾性圧縮手段に相当)53により充電台1の先端側に付勢されている。
さて、携帯型バーコードリーダ2を充電台1のセット位置に位置すると、図19に示すように吸着部43が携帯型バーコードリーダ2の被吸着部32を引き付ける。この状態で、携帯型バーコードリーダ2を図示下方(充電台1の後端側)に移動すると、それに伴って吸着部43がスライド移動するので、圧縮コイルスプリング53による弾性力により反対方向への付勢力が発生する。この付勢力は携帯型バーコードリーダ2にも作用するので、付勢力に抗して携帯型バーコードリーダ2を図示下方に移動し、携帯型バーコードリーダ2の引掛部51を充電台1の引掛受部52に引掛ける。すると、携帯型バーコードリーダ2は充電台1のセット位置に保持され、この保持状態では、吸着部29が圧縮コイルスプリング53の弾性力で充電台1の先端側に移動しようとするので、携帯型バーコードリーダ2には充電台1の先端側への付勢力が作用する。このとき、携帯型バーコードリーダ2の引掛部51が充電台1の引掛受部52に引掛かっているので、充電台1に対する携帯型バーコードリーダ2の保持力を高めることができる。
【0037】
このような実施例によれば、携帯型バーコードリーダ2を吸着するための吸着部43を圧縮コイルスプリング53で付勢すると共に、引掛部51を引掛受部52に引掛けるようにしたので、吸着部43により吸着された携帯型バーコードリーダ2を充電台1のセット位置に確実に保持することができる。従って、携帯型バーコードリーダ2を充電台1のセット位置に確実に保持することができるので、携帯型バーコードリーダ2に大きな力が作用するにしても、携帯型バーコードリーダ2が充電台1から外れてしまうことを防止できる。
【0038】
(その他の実施例)
本発明は、上記実施例に限定されることなく、次のように変形または拡張できる。
図21に示すように充電台1においてセット位置に載置された携帯型バーコードリーダ2の端部が当接する部位に吸着部29を設けると共に、携帯型バーコードリーダ2の端部に被吸着部32を設けるようにしてもよい。この場合、吸着部29が被吸着部32を吸着した状態では、携帯型バーコードリーダ2の係合部26が充電台1の係合受部27に一層強く押し付けられるので、携帯型バーコードリーダ2の充電台1のセット位置への保持力を高めることができる。
【0039】
吸着部29の断面形状(正面から見た形状)は、丸形状、楕円形状、正四角形状であってもよい。
被吸着部32を永久磁石から構成するようにしてもよい。
吸着部29及び被吸着部32を一組だけ設けるようにしてもよい。
本発明を、読取口部6bにアンテナを有した非接触読取端末に適用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1実施例における全体を示す側面図
【図2】全体の正面図
【図3】全体の電気的構成を示す機能ブロック図
【図4】携帯型バーコードリーダの縦断面図
【図5】充電台の側面図
【図6】充電台の正面図
【図7】拡大して示す吸着部の断面図
【図8】携帯型バーコードリーダの近接状態で示す図7相当図
【図9】携帯型バーコードリーダの吸着状態で示す図7相当図
【図10】変形例を示す携帯型バーコードリーダの側面図
【図11】電池パックの斜視図
【図12】異なる変形例を示す図11相当図
【図13】本発明の第2実施例におけるセット状態となる過程を示す図1相当図
【図14】拡大して示す吸着部の縦断面図
【図15】セット状態で示す図13相当図
【図16】図14相当図
【図17】本発明の第3実施例におけるセット状態となる過程を示す図1相当図
【図18】拡大して示す吸着部の縦断面図
【図19】セット状態で示す図17相当図
【図20】図18相当図
【図21】本発明の変形例を示す図1相当図
【符号の説明】
【0041】
図面中、1は充電台、2は携帯型バーコードリーダ(携帯型読取情報端末)、6はケース、6aは本体部、6bは読取口部、13はエリアセンサ(撮像手段)、26は係合部、27は係合受部、29は吸着部(強磁性体、永久磁石)、30は空間部、31は弾性体、32は被吸着部、33は電池パック、51は引掛部(引掛手段)、52は引掛受部(引掛手段)、53は圧縮コイルスプリング(弾性圧縮手段)である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電台のセット位置に載置された携帯型情報読取端末を充電用端子の接触により充電する携帯型情報読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばコンビニエンスストアの店員或いは流通業者など携帯型情報読取端末でバーコードに印刷された光学情報を読取るような使用環境では、携帯型情報読取端末に充電する必要があるため、非使用時には携帯型情報読取端末を充電台のセット位置に載置するようにしている。
特許文献1のものでは、バーコード読取端末の充電台を水平に設置し、その充電台にバーコード読取端末を載置することにより、バーコード読取端末に充電する方法が示されている。
【特許文献1】特開2001−134709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1のように充電台を水平に設置するものでは、充電台を置くスペースが必要である。また、バーコード読取端末は充電台に載置されているだけであるので、バーコード読取端末と充電台の充電用端子との間の導通が不安定となる虞があり、このような場合は、バーコード読取端末を確実に充電できないという事態を生じることになる。
一方、充電台を壁掛けして垂直方向を指向するように設置した場合、充電台を置くスペースは削減することができるものの、バーコード読取端末と充電台の充電用端子との間との接触が一層不安定となることは避けられない。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、充電台の設置方法にかかわらず携帯型情報読取端末を確実に充電することができる携帯型情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
携帯型情報読取端末を水平に設置された充電台のセット位置に載置すると、携帯型情報読取端末が充電台の充電用端子に接触するので、充電用端子を通じて携帯型情報読取端末に充電することができる。ここで、携帯型情報読取端末を充電台にセットした状態では、充電台の吸着部が携帯型情報読取端末の被吸着部を引き付けるので、携帯型情報読取端末は充電台のセット位置に保持される。これにより、充電用端子が携帯型情報読取端末に強く接触するので、携帯型情報読取端末を確実に充電することができる。
【0006】
一方、充電台を壁掛けした場合、携帯型情報読取端末を充電台のセット位置に載置した状態では、携帯型情報読取端末の係合部が充電台の係合受部に引掛かった状態で、充電台の吸着部が携帯型情報読取端末の被吸着部を引き付けるようになる。この場合、充電台の吸着部は移動可能であるので、吸着部は被吸着部に対する引き付け状態が安定するように移動する。これにより、携帯型情報読取端末を充電台のセット位置に安定して保持することができるので、携帯型情報読取端末に対する充電用端子の接触力が増大し、携帯型情報読取端末を確実に充電することができる。
【0007】
請求項2の発明によれば、充電台の吸着部は弾性体により充電台内への押し込み力が付与されているので、充電台の吸着部が携帯型情報読取端末の被吸着部を引き付けると、吸着部が弾性体の弾性力に抗して押し込み力に相当する力で被吸着部に吸着する。このとき、吸着部は移動可能であるので、吸着部に対して被吸着部が傾いている場合であっても、吸着部が被吸着部の表面に倣って吸着する。これにより、吸着部が被吸着部に密着して吸着するので、充電台に対する携帯型情報読取端末の保持力を高めることができる。
【0008】
請求項3の発明によれば、被吸着部或いは吸着部の構成を簡単化することができるので、コストの低減を図ることができる。
請求項4の発明によれば、携帯型情報読取端末が充電台のセット位置に載置された状態では、係合受部と係合部との係合が外れないので、携帯型情報読取端末に比較的大きな力が作用するにしても、携帯型情報読取端末が充電台から外れてしまうことを防止できる。
【0009】
請求項5の発明によれば、被吸着部に磁力が作用するにしても、被吸着部が磁化してしまうことを極力回避することができる。
請求項6の発明によれば、吸着部が被吸着部を引き付けた状態で携帯型情報読取端末をスライド移動することができるので、携帯型情報読取端末をセット位置にスライド移動することにより係合受部に対して係合部を確実に引掛けることができる。
【0010】
請求項7の発明によれば、吸着部が被吸着部を引き付けた状態で、携帯型情報読取端末を充電台のセット位置にスライド移動しようとすると、弾性圧縮手段が吸着部を反対方向に付勢するので、その付勢力に抗してセット位置にスライド移動する。すると、引掛手段により携帯型情報読取端末の後端が充電台に引掛けられるので、その引掛け状態では、携帯型情報読取端末をセット位置に確実に保持することができる。これにより、携帯型情報読取端末に大きな力が作用するにしても、携帯型情報読取端末が充電台から外れてしまうことを防止できる。
【0011】
請求項8の発明によれば、本発明を携帯型光学情報読取端末に適用することができる。
請求項9の発明によれば、本発明を読取口部にアンテナを有した携帯型非接触情報読取端末に適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第1実施例)
以下、本発明を携帯型バーコードリーダに適用した第1実施例について図1ないし図9を参照して説明する。
図1は携帯型バーコードリーダが充電台に載置された状態を示す側面図、図2はその正面図である。これらの図1及び図2において、充電台1は長尺形状をなし、その長手方向が垂直方向を指向するように壁に設置されている。この充電台1のセット位置には携帯型バーコードリーダ(携帯型情報読取端末に相当)2が載置されており、その載置状態で商用交流電源3(図3参照)からの給電に応じて携帯型バーコードリーダ2に充電するようになっている。つまり、充電台1及び携帯型バーコードリーダ2には充電用端子4、受電用電極5(図3参照)がそれぞれ設けられおり、充電台1のセット位置に携帯型バーコードリーダ2が載置された状態では、それらの充電用端子4及び受電用電極5同士が導通接触することにより携帯型バーコードリーダに充電が行われるようになっている。
また、充電台1及び携帯型バーコードリーダ2には光通信機能が設けられており、充電台1のセット位置に携帯型バーコードリーダ2が載置された状態で当該携帯型バーコードリーダ2に記憶された読取情報が光通信により充電台1側に送信可能となっている。
【0013】
図4は、携帯型バーコードリーダ2の構成を概略的に示している。この図4において、携帯型バーコードリーダ2は、ケース6内に、カタログや伝票、商品ラベル等の読取対象に記録された例えばQRコード(登録商標)等の二次元コードを読取るための読取部7や制御部8(図3参照)等を組込んで構成されている。制御部8は、マイクロコンピュータを中心として構成され、システム全体の制御を行うと共に、読取部7による撮影画像データから二次元コードの読取処理(デコード処理)等を行う処理手段として機能するようになっている。
【0014】
ケース6は、手で把持し易い形状に形成された本体部6aの先端側が傾斜するように折曲形成され、その先端部分が読取口部6bとされている。このケース6の上面部には、複数のキースイッチ9aからなるキー入力部9が設けられ、使用者が読取プログラムを選択設定したり、コード種類を指定したりすることができるようになっている。
【0015】
ケース6の側面部には、読取指示用のトリガスイッチ10(図2参照)が設けられている。このトリガスイッチ10は、例えば2段階での押圧操作が可能とされ、第1段の押圧操作(いわゆる半押し状態)で、ガイド光の照射動作が実行され、第2段の押圧操作で読取動作が実行されるようになっている。
ケース6の上面部には、例えばLCDからなる表示部11が設けられている。キースイッチ9aや表示部11等は、ケース6内に配設されたプリント基板12に実装されており、このプリント基板12には制御部8等も実装されている。
【0016】
読取部7は、例えばCCD撮像素子からなる撮像手段としてのエリアセンサ(撮像手段に相当)13、このエリアセンサ13の前部に位置する撮像レンズ14、コード読取時の照明光源となる複数個の照明用LED15及びその前部に位置する照明用レンズ16等を備えて構成される。撮像レンズ14は読取部7の中心部に配置され、複数個の照明用レンズ16がその周囲に配置されている。
【0017】
以上のような構成により、読取口部6bを、例えばQRコード(バーコードも可能)が記録された読取対象(伝票、ラベル、カタログ等)に近接させた状態で、読取操作、つまりトリガスイッチ10のオン操作を行うことにより、照明用LED15により読取対象に照明がなされた状態で、エリアセンサ13により読取対象の画像の取込み(撮像)がなされる。そして、その撮影画像のデータから、制御部8によりQRコードの読取り(デコード)の処理が行われるようになっている。
【0018】
図3は充電台1及び携帯型バーコードリーダ2の電気的構成を概略的に示す機能ブロック図である。この図3において、充電台1は、電源回路17、充電回路18、充電検出回路19、通信制御回路20から構成されている。一方、携帯型バーコードリーダ2は、制御部8、エリアセンサ13、警音部21、通信回路22、電源用の二次電池23から構成されている。
充電台1において、充電回路18は、電源回路17からの給電状態で充電用端子4、受電用電極5を通じて充電台1に載置された携帯型バーコードリーダ2の二次電池23に充電する。
【0019】
通信制御回路20は上位のパソコン24と接続されており、携帯型バーコードリーダ2が読取ったコード情報をパソコン24に送信するようになっている。
携帯型バーコードリーダ2において、二次電池23は図示しない電源スイッチがオンに切換えられた状態で携帯型バーコードリーダ2の内部回路に給電すると共に、電源スイッチのオンオフ状態にかかわらず充電台1の充電回路18により充電されるようになっている。
【0020】
さて、本実施例では、上記構成の携帯型バーコードリーダ2は充電台1のセット位置への載置状態で保持されるように構成されており、その構成について説明する。
図5は充電台1の側面図、図6はその正面図である。これらの図5及び図6において、充電台1の図示上部には凹部25が形成されており、携帯型バーコードリーダ2が充電台1のセット位置に載置された状態では、凹部25に携帯型バーコードリーダ2の読取口部6b(図1参照)が位置するようになっている。
【0021】
携帯型バーコードリーダ2の読取口部6bの底面には三角形状の係合部26(図1参照)が突出形成されていると共に、充電台1の凹部25の内壁面において携帯型バーコードリーダ2の係合部26に対応する部位には図7に示すように奥方となるほど図示下方(充電台1の後端側)となるように傾斜した係合受部27が形成されており、携帯型バーコードリーダ2が充電台1のセット位置に載置された状態では、係合部26が係合受部27に引掛るようになっている。
【0022】
一方、充電台1において、係合受部27の図示下方となる部位及び充電用端子4の図示上方となる部位には吸着手段28が設けられている。
図7は、吸着手段28の構成を示している。この図7において、吸着手段28は、永久磁石からなる吸着部(強磁性体に相当)29を主体として構成されている。つまり、充電台1には外部と連通した空間部30が形成されており、その空間部30に吸着部29が配設されている。この吸着部29は、断面形状(正面から見た形状)が矩形状をなすと共に、両端にフランジ29a(図7参照)を有しており、一方のフランジ29aが空間部30に位置し、他方のフランジ29aが充電台1の外方に露出している、吸着部29のフランジ29a間の連結部29bにはマイクロセルポリマー(通称ポロン)からなる弾性体31が介装されており、これにより吸着部29の抜け止めが図られている。この弾性体31の弾性力は、後述するように吸着部29が充電台1から突出しようとする際の力にほぼ相当するように設定されている。このような構成により、吸着部29には、弾性体31により奥方への弾性力が付与されており、所定範囲で軸方向に移動可能であると共に首振可能な状態である所謂遊びが付与されている。
【0023】
図1に戻って、携帯型バーコードリーダ2の底面において読取口部6bと連なるケース6の端部及び受電用電極5の近傍には金属板からなる被吸着部(強磁性体に相当)32が固定されており、携帯型バーコードリーダ2が充電台1にセットされた状態で吸着部29に近接して対向するようになっている。この被吸着部32としては、保磁力が小さい軟鋼板を用いるのが望ましい。これは、被吸着部32が吸着部29の磁力により磁化されてしまい、磁気カードなどに悪影響を与えてしまうことを防止するためである。
【0024】
次に、上記構成の作用について説明する。
充電台1を壁掛けで使用したい場合は、図1に示すように充電台1を当該充電台1の長手方向がほぼ垂直方向を指向するように壁に設置する。携帯型バーコードリーダ2を充電台1のセット位置に載置するには、携帯型バーコードリーダ2の係合部26を充電台1の係合受部27に引掛けた状態で、携帯型バーコードリーダ2を充電台1に接近させる。すると、吸着部29の吸着部29から発生していた磁力が被吸着部32に鎖交するようになるので、図9に示すように吸着部29のフランジ29aに被吸着部32が引き付けられるようになる。
【0025】
ここで、吸着部29は、弾性体31により充電台1内に押し込まれているので、弾性体31の弾性力に抗して充電台1から突出した状態で吸着部29に吸着するようになる。この場合、吸着部29は、弾性体31により首振可能に支持されているので、吸着部29が被吸着部32に対して傾いているにしても、吸着部29が被吸着部32の表面に倣った状態で密着して吸着するようになる。
【0026】
以上のようにして充電台1の吸着部29が携帯型バーコードリーダ2の被吸着部32に密着状態で吸着すると、携帯型バーコードリーダ2が充電台1のセット位置に保持され、充電台1の充電用端子4が携帯型バーコードリーダ2の受電用電極5に強く接触するようになる。また、このような吸着部29による被吸着部32に対する吸着状態では、係合受部27に対して係合部26が強く押し付けられるので、充電台1に対する携帯型バーコードリーダ2の保持力を高めることができる。
【0027】
一方、充電台1が水平に設置されている場合は、充電台1のセット位置に携帯型バーコードリーダ2を載置すると、吸着部29が被吸着部32に吸着し、携帯型バーコードリーダ2が充電台1のセット位置に保持されるので、このようなセット方法であっても、充電台1の充電用端子4が携帯型バーコードリーダ2の受電用電極5に強く接触するようになると共に、充電台1に対する携帯型バーコードリーダ2の保持力を高めることができる。
【0028】
このような実施例によれば、充電台1に遊びを有した吸着部29を設けると共に、携帯型バーコードリーダ2に被吸着部32を設け、携帯型バーコードリーダ2が充電台1のセット位置に載置された状態では、吸着部29が被吸着部32を引き付けるようにしたので、充電用端子4を携帯型バーコードリーダ2の受電用電極5に強く接触させることができる。従って、バーコード読取端末と充電台の充電用端子との間との接触が不安定となる虞があるものと違って、充電台1の設置方法にかかわらず充電台1のセット位置に載置された携帯型バーコードリーダ2に確実に充電することができる。
【0029】
しかも、係合受部27が充電台1の奥方となるにしたがって充電台1の後端側に傾斜するように形成し、吸着部29が被吸着部32を吸着した状態では、係合部26が係合受部27に強く押し付けられるようにしたので、充電台1に対する携帯型バーコードリーダ2の保持力を高めることができる。従って、充電台1に保持された携帯型バーコードリーダ2に比較的大きな力が作用するにしても、携帯型バーコードリーダ2が充電台1から外れてしまうことを防止できる。
【0030】
尚、携帯型バーコードリーダ2の電源として、図10に示すような電池パック33を使用している場合は、図11に示すように電池パック33の受電用電極5から離れた位置に被吸着部32を内蔵するか、または図12に示すように被吸着部32を表面が露出するように嵌め込むようにしてもよい。このような構成を採用した場合、電池パック33単体で実施することが可能となる仕組みを提供することができる。
【0031】
(第2実施例)
次に、本発明の第2実施例について図13ないし図16を参照して説明するに、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。この第2実施例は、携帯型バーコードリーダ2を充電台1のセット位置にスライド移動可能に構成したことを特徴とする。
図13は、充電台1のセット位置に携帯型バーコードリーダ2を位置しようとする状態を示し、図14は、その状態における吸着部の断面を示している。また、図15は、充電台1のセット位置に携帯型バーコードリーダ2を位置させた状態を示し、図16は、その状態における吸着部の断面を示している。これらの図13ないし図16において、充電台1内には当該充電台1の長手方向に沿って延びる閉鎖空間部42が形成されている。この閉鎖空間部42には永久磁石からなる吸着部43が配置されており、この吸着部43が充電台1の長手方向に沿って移動可能となっている。
【0032】
携帯型バーコードリーダ2を充電台1のセット位置に載置しようとすると、充電台1の吸着部43が携帯型バーコードリーダ2の被吸着部32を引き付けるので、携帯型バーコードリーダ2が充電台1に強く密着するようになる。この状態で、携帯型バーコードリーダ2の係合部26が充電台1の係合受部27に引掛かるようにスライド移動すると、その移動に伴って吸着部29が充電台1の長手方向に沿って移動するので、吸着部29による被吸着部32に対する引き付け状態が維持される。
【0033】
そして、携帯型バーコードリーダ2を充電台1のセット位置に位置すると、充電台1の充電用端子4が携帯型バーコードリーダ2の受電用電極5に強く接触するようになるので、両者の間の導通を確実に図ることができ、携帯型バーコードリーダ2を確実に充電することができる。
【0034】
このような実施例によれば、吸着部29を充電台1の長手方向に沿って移動可能に設け、吸着部29が被吸着部32を引き付けた状態で携帯型バーコードリーダ2をスライド移動可能としたので、携帯型バーコードリーダ2を充電台1のセット位置に確実に保持することができる。
しかも、このような充電台1に対して携帯型バーコードリーダ2をスライド移動可能としたことから、係合部26が係合受部27に確実に引掛かり、充電台1に対して携帯型バーコードリーダ2を確実に保持することができる。
【0035】
(第3実施例)
次に、本発明の第3実施例について図17ないし図20を参照して説明するに、第2実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。この第3実施例は、携帯型バーコードリーダ2を充電台1のセット位置に機構的に保持するようにしたことを特徴とする。
図17は、充電台1のセット位置に携帯型バーコードリーダ2を位置しようとする状態を示し、図18は、その状態における吸着部の断面を示している。また、図19は、充電台1のセット位置に携帯型バーコードリーダ2を位置させた状態を示し、図20は、その状態における吸着部の断面を示している。これらの図17ないし図20において、携帯型バーコードリーダ2の後端部には引掛部51が突出形成されていると共に、充電台1には携帯型バーコードリーダ2の引掛部51と共に引掛手段を構成する凹状の引掛受部52が形成されている。
【0036】
一方、充電台1の閉鎖空間部42に配置された吸着部29は圧縮コイルスプリング(弾性圧縮手段に相当)53により充電台1の先端側に付勢されている。
さて、携帯型バーコードリーダ2を充電台1のセット位置に位置すると、図19に示すように吸着部43が携帯型バーコードリーダ2の被吸着部32を引き付ける。この状態で、携帯型バーコードリーダ2を図示下方(充電台1の後端側)に移動すると、それに伴って吸着部43がスライド移動するので、圧縮コイルスプリング53による弾性力により反対方向への付勢力が発生する。この付勢力は携帯型バーコードリーダ2にも作用するので、付勢力に抗して携帯型バーコードリーダ2を図示下方に移動し、携帯型バーコードリーダ2の引掛部51を充電台1の引掛受部52に引掛ける。すると、携帯型バーコードリーダ2は充電台1のセット位置に保持され、この保持状態では、吸着部29が圧縮コイルスプリング53の弾性力で充電台1の先端側に移動しようとするので、携帯型バーコードリーダ2には充電台1の先端側への付勢力が作用する。このとき、携帯型バーコードリーダ2の引掛部51が充電台1の引掛受部52に引掛かっているので、充電台1に対する携帯型バーコードリーダ2の保持力を高めることができる。
【0037】
このような実施例によれば、携帯型バーコードリーダ2を吸着するための吸着部43を圧縮コイルスプリング53で付勢すると共に、引掛部51を引掛受部52に引掛けるようにしたので、吸着部43により吸着された携帯型バーコードリーダ2を充電台1のセット位置に確実に保持することができる。従って、携帯型バーコードリーダ2を充電台1のセット位置に確実に保持することができるので、携帯型バーコードリーダ2に大きな力が作用するにしても、携帯型バーコードリーダ2が充電台1から外れてしまうことを防止できる。
【0038】
(その他の実施例)
本発明は、上記実施例に限定されることなく、次のように変形または拡張できる。
図21に示すように充電台1においてセット位置に載置された携帯型バーコードリーダ2の端部が当接する部位に吸着部29を設けると共に、携帯型バーコードリーダ2の端部に被吸着部32を設けるようにしてもよい。この場合、吸着部29が被吸着部32を吸着した状態では、携帯型バーコードリーダ2の係合部26が充電台1の係合受部27に一層強く押し付けられるので、携帯型バーコードリーダ2の充電台1のセット位置への保持力を高めることができる。
【0039】
吸着部29の断面形状(正面から見た形状)は、丸形状、楕円形状、正四角形状であってもよい。
被吸着部32を永久磁石から構成するようにしてもよい。
吸着部29及び被吸着部32を一組だけ設けるようにしてもよい。
本発明を、読取口部6bにアンテナを有した非接触読取端末に適用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1実施例における全体を示す側面図
【図2】全体の正面図
【図3】全体の電気的構成を示す機能ブロック図
【図4】携帯型バーコードリーダの縦断面図
【図5】充電台の側面図
【図6】充電台の正面図
【図7】拡大して示す吸着部の断面図
【図8】携帯型バーコードリーダの近接状態で示す図7相当図
【図9】携帯型バーコードリーダの吸着状態で示す図7相当図
【図10】変形例を示す携帯型バーコードリーダの側面図
【図11】電池パックの斜視図
【図12】異なる変形例を示す図11相当図
【図13】本発明の第2実施例におけるセット状態となる過程を示す図1相当図
【図14】拡大して示す吸着部の縦断面図
【図15】セット状態で示す図13相当図
【図16】図14相当図
【図17】本発明の第3実施例におけるセット状態となる過程を示す図1相当図
【図18】拡大して示す吸着部の縦断面図
【図19】セット状態で示す図17相当図
【図20】図18相当図
【図21】本発明の変形例を示す図1相当図
【符号の説明】
【0041】
図面中、1は充電台、2は携帯型バーコードリーダ(携帯型読取情報端末)、6はケース、6aは本体部、6bは読取口部、13はエリアセンサ(撮像手段)、26は係合部、27は係合受部、29は吸着部(強磁性体、永久磁石)、30は空間部、31は弾性体、32は被吸着部、33は電池パック、51は引掛部(引掛手段)、52は引掛受部(引掛手段)、53は圧縮コイルスプリング(弾性圧縮手段)である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に回路部を有すると共に手で把持可能な長尺形状の本体部と、この本体部の前端に設けられた読取口部とを備え、前記読取口部を読取対象に対向させた状態で読取操作が行われる携帯型情報読取端末と、
前記携帯型情報読取端末が載置可能な長尺形状をなし、前記携帯型情報読取端末がセット位置に載置された状態で、充電用端子の接触により前記携帯型情報読取端末に充電する充電台とを備えた携帯型情報読取装置において、
前記携帯型情報読取端末は、
前記読取口部の前記充電台と接する側の面に設けられた係合部と、
前記本体部に設けられた強磁性体からなる被吸着部とを備え、
前記充電台は、
前記セット位置に載置された前記携帯型情報読取端末の係合部を受ける係合受部と、
前記セット位置に載置された前記携帯型情報読取端末の被吸着部を引き付ける磁力を発生する移動可能な強磁性体からなる吸着部とを備え、
前記携帯型情報読取端末が前記充電台のセット位置に載置された状態では、前記吸着部が前記被吸着部を引き付けることにより、前記携帯型情報読取端末に対する前記充電用端子の接触力を増大させることを特徴とする携帯型情報読取装置。
【請求項2】
前記吸着部は、弾性体により充電台内への押し込み力が付与された状態で前記充電台に移動可能に支持され、
前記携帯型情報読取端末が前記充電台のセット位置に載置された状態では、前記吸着部が前記被吸着部の表面に倣って密着し、前記押し込み力に相当する力で吸着することを特徴とする請求項1記載の携帯型情報読取装置。
【請求項3】
前記吸着部と前記被吸着部は、少なくとも一方が永久磁石を含んで構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の携帯型情報読取装置。
【請求項4】
前記吸着部と前記被吸着部は、前記係合受部と前記係合部との係合が外れないように設けられていることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の携帯型情報読取装置。
【請求項5】
前記被吸着部は、保磁力が小さな材質からなることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の携帯型情報読取装置。
【請求項6】
前記吸着部は、さらに前記充電台の内部に形成された空間部に前記充電台の長手方向に沿って移動可能に配設されていることを特徴とする請求項1ないし5記載の携帯型情報読取装置。
【請求項7】
前記空間部に配置され、前記吸着部が前記充電台の後端側に移動するのに伴って弾性圧縮する弾性圧縮手段と、
前記携帯型情報読取端末が前記充電台のセット位置に載置された状態では、前記携帯型情報読取端末の後端側を前記充電台に引掛ける引掛手段とを備えたことを特徴とする請求項6記載の携帯型情報読取装置。
【請求項8】
前記携帯型情報読取端末は、内部に撮像手段を備え、前記読取口部を通じて前記撮像手段に光学情報を撮像する携帯型光学情報読取端末であることを特徴とする請求項1ないし7の何れかに記載の携帯型情報読取装置。
【請求項9】
前記携帯型読取情報端末は、前記読取口部にアンテナを有した携帯型非接触読取端末であることを特徴とする請求項1ないし7の何れかに記載の携帯型情報読取装置。
【請求項1】
内部に回路部を有すると共に手で把持可能な長尺形状の本体部と、この本体部の前端に設けられた読取口部とを備え、前記読取口部を読取対象に対向させた状態で読取操作が行われる携帯型情報読取端末と、
前記携帯型情報読取端末が載置可能な長尺形状をなし、前記携帯型情報読取端末がセット位置に載置された状態で、充電用端子の接触により前記携帯型情報読取端末に充電する充電台とを備えた携帯型情報読取装置において、
前記携帯型情報読取端末は、
前記読取口部の前記充電台と接する側の面に設けられた係合部と、
前記本体部に設けられた強磁性体からなる被吸着部とを備え、
前記充電台は、
前記セット位置に載置された前記携帯型情報読取端末の係合部を受ける係合受部と、
前記セット位置に載置された前記携帯型情報読取端末の被吸着部を引き付ける磁力を発生する移動可能な強磁性体からなる吸着部とを備え、
前記携帯型情報読取端末が前記充電台のセット位置に載置された状態では、前記吸着部が前記被吸着部を引き付けることにより、前記携帯型情報読取端末に対する前記充電用端子の接触力を増大させることを特徴とする携帯型情報読取装置。
【請求項2】
前記吸着部は、弾性体により充電台内への押し込み力が付与された状態で前記充電台に移動可能に支持され、
前記携帯型情報読取端末が前記充電台のセット位置に載置された状態では、前記吸着部が前記被吸着部の表面に倣って密着し、前記押し込み力に相当する力で吸着することを特徴とする請求項1記載の携帯型情報読取装置。
【請求項3】
前記吸着部と前記被吸着部は、少なくとも一方が永久磁石を含んで構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の携帯型情報読取装置。
【請求項4】
前記吸着部と前記被吸着部は、前記係合受部と前記係合部との係合が外れないように設けられていることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の携帯型情報読取装置。
【請求項5】
前記被吸着部は、保磁力が小さな材質からなることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の携帯型情報読取装置。
【請求項6】
前記吸着部は、さらに前記充電台の内部に形成された空間部に前記充電台の長手方向に沿って移動可能に配設されていることを特徴とする請求項1ないし5記載の携帯型情報読取装置。
【請求項7】
前記空間部に配置され、前記吸着部が前記充電台の後端側に移動するのに伴って弾性圧縮する弾性圧縮手段と、
前記携帯型情報読取端末が前記充電台のセット位置に載置された状態では、前記携帯型情報読取端末の後端側を前記充電台に引掛ける引掛手段とを備えたことを特徴とする請求項6記載の携帯型情報読取装置。
【請求項8】
前記携帯型情報読取端末は、内部に撮像手段を備え、前記読取口部を通じて前記撮像手段に光学情報を撮像する携帯型光学情報読取端末であることを特徴とする請求項1ないし7の何れかに記載の携帯型情報読取装置。
【請求項9】
前記携帯型読取情報端末は、前記読取口部にアンテナを有した携帯型非接触読取端末であることを特徴とする請求項1ないし7の何れかに記載の携帯型情報読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2006−246566(P2006−246566A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−55813(P2005−55813)
【出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
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