説明

携帯型無線機及びその通信周波数設定方法

【課題】 内部基板を利用して複数の周波数帯域に対応可能なアンテナを実現し、携帯無線機の利便性の向上を図りつつ、構成の簡易化、デザインの制約の抑制を図ること。
【解決手段】 放射素子として作動する2つの基板1,2と、当該2つの基板1,2を接続する給電線路10と、により構成されるダイポールアンテナを装備し、給電線路10に接続された無線回路12を備えた携帯無線機であって、各基板1,2を、アンテナ長方向に少なくとも2つの分離基板部1a,1b,2a,2bに分離してそれぞれ形成すると共に、各基板1,2ごとに、分離基板部間を電気的に接続/切断する接続/切断手段7,8を当該分離基板部間にそれぞれ備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型無線機にかかり、特に、複数の周波数帯域にて無線通信が可能な携帯型無線機に関する。また、その通信周波数を設定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年普及した携帯電話では、その多くに外部アンテナとしてヘリカルアンテナが用いられている。しかし、ヘリカルアンテナを用いた携帯電話では、アンテナが携帯電話機本体の外部へ突出する形状となるため、落下時の耐衝撃性が低下し、また、携帯電話機のデザインの自由度が制約されると言う問題があった。このため、特許文献1に示すように、携帯電話機に内蔵されたプリント配線基板全体をダイポールアンテナとして作動させる技術が開発されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−198232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年では、携帯無線機加入者数の増加に伴い、2つの周波数帯域で使用できる携帯無線機(Dual Band機)が求められている。このようなシステムに対応するため、アンテナもこの2つの周波数帯で動作可能な構成とすることが必要とされている。例えば、800MHz帯と2GHz帯で使用することが可能な携帯無線機である。
【0005】
そして、上述した技術を用いて、携帯電話機内に装備された直流的に切り離されている2つの基板をダイポール型のアンテナとして動作させる方法がある。このとき、一般的な折畳型携帯無線機は、展開時の長さが約200mmであり、800MHz帯で筐体長が約λ/2となり、筐体内の上部基板及び下部基板をダイポール型のアンテナとして使用するには理想的である。しかし、2GHz帯にとっては、筐体長が約λと長いため、アンテナと回路との整合が取れずに効率が悪く、800MHz帯と他周波数帯のDual Band機やDuplex機能付きのMulti Band機に十分対応することができない。従って、Multi Band機に対応すべきアンテナが必要となっているものの、上述したように筐体内の基板をダイポールアンテナとして作動させる場合には、Multi Band機に対応させるべくアンテナ長を変更することはきわめて困難である。
【0006】
このため、本発明では、上記従来例の有する不都合を改善し、特に、内部に装備された基板を利用して複数の周波数帯域に対応可能なアンテナを実現することで、携帯無線機の利便性の向上を図りつつ、構成の簡易化、デザインの制約の抑制を図ることができる携帯無線機を提供すること、をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明の一形態である無線通信機は、
放射素子として作動する2つの基板と、当該2つの基板を接続する給電線路と、により構成されるダイポールアンテナを装備し、給電線路に接続された無線回路を備えた携帯無線機であって、
各基板を、アンテナ長方向に少なくとも2つの分離基板部に分離してそれぞれ形成すると共に、各基板ごとに、分離基板部間を電気的に接続/切断する接続/切断手段を当該分離基板部間にそれぞれ備えた、
ことを特徴としている。
【0008】
上記発明によると、携帯無線機を構成する2つの基板がダイポールアンテナの放射素子として作動し、無線通信が実現できる。そして、各基板をアンテナ長方向にそれぞれ2つ以上に分離して形成しており、かつ、これらの接続/切断が可能なよう構成しているため、各基板の分離基板部間を接続あるいは切断することで、ダイポールアンテナとして作動する基板の長さ、つまり、アンテナの全長を変更することができる。従って、少なくとも2通りの無線通信周波数にて利用可能となり、携帯無線機の利便性の向上を図りつつ、構成の簡易化、デザインの制約の抑制を図ることができる。
【0009】
また、各基板に、当該各基板を分離基板部に分離するスリット部をそれぞれ形成した、ことを特徴としている。これにより、各基板をスリットにて容易に分離することができると共に、その隙間が短くよりアンテナの放射素子として作動しやすくなり、簡易な構成にて実現することができる。
【0010】
また、ダイポールアンテナを構成する基板の全長が、接続/切断手段にて分離基板部を接続/切断することにより、少なくとも2通りの無線通信周波数の波長の約2分の1になるよう設定して形成した、ことを特徴としている。特に、各基板を、それぞれ2つの分離基板部にて形成すると共に、基板の全長を、接続/切断手段による接続時に第一の周波数の波長λの約2分の1に、切断時に第二の周波数の波長λの約2分の1に、それぞれ設定して形成した、ことを特徴としている。これにより、簡易な構成にて、2つ以上の周波数に対応するMulti Band機を構成することができる。
【0011】
また、接続/切断手段として、第一の周波数帯域にてほぼ短絡し、第二の周波数帯域にて共振するインピーダンス特性を有する共振回路を備えた、ことを特徴としている。
【0012】
また、接続/切断手段の別の構成として、分離基板部間の接続/切断を切替可能なスイッチを備えた、ことを特徴としている。このとき、スイッチの切替を制御する制御回路を備え、この制御回路は、通信相手となる他の無線機から受信した通信時の周波数帯域を表す信号を検出し、この検出した信号に応じて前記スイッチを切り替える、ことを特徴としている。
【0013】
さらに、上記携帯無線機は、折畳型携帯無線機であり、2つの基板は、折畳部分を挟んで装備されている、ことを特徴としている。そして、特に、第一の周波数は800Hzであり、第二の周波数は2GHzである、ことを特徴としている。
【0014】
このようにすることで、近年、多くの携帯電話にて利用されている折畳型のものにおいては、内部基板を利用して容易に構成することができると共に、利用されている周波数帯域に適切に対応することができる。
【0015】
また、本発明の他の形態である携帯無線機の通信周波数設定方法は、
放射素子として作動する2つの基板と、当該2つの基板を接続する給電線路と、により構成されるダイポールアンテナを装備し、給電線路に接続された無線回路を備えた携帯無線機の通信周波数を設定する方法であって、
通信相手となる他の無線機から受信した通信時の周波数帯域を表す信号を検出し、
アンテナ長方向に少なくとも2つの分離基板部に分離されそれぞれ形成された各基板ごとにおける当該分離基板部間を、検出した周波数帯域にてダイポールアンテナが作動するよう電気的に接続/切断する、
ことを特徴としている。
【0016】
そして、上記分離基板部間の接続/切断を、当該分離基板部間に設けられたスイッチを切替制御することにより行う、ことを特徴としている。
【0017】
上述した通信周波数設定方法であっても、上記携帯無線機と同様に作用するため、上述した本発明の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、以上のように構成され機能するので、これによると、内部に装備された基板を利用して複数の周波数帯域に対応可能なアンテナを実現することできるため、携帯無線機の利便性の向上を図りつつ、構成の簡易化、デザインの制約の抑制を図ることができる、という従来にない優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、携帯無線機の内部に装備された基板の導通長さを変更して、複数の周波数帯域に対応可能なアンテナを実現する、ことを特徴としている。以下、実施例にて具体的な構成及び動作を説明する。
【実施例1】
【0020】
本発明の第1の実施例を、図1乃至図4を参照して説明する。図1は、実施例1における携帯無線機の構成を示す概略図である。図2は、インピーダンス特性と周波数帯域との関係を示す図である。図3乃至図4は、携帯無線機の動作状態を示す説明図である。
【0021】
[構成]
本発明である携帯無線機は、2つの周波数帯域に対応できる携帯電話機であり、特に、800Hz帯(第一の周波数帯域)と2GHz帯(第二の周波数帯域)とに対応するものである。また、図1に示すように、携帯無線機は、上部筐体3と下部筐体4とを有する折畳型携帯電話であり、この図は、各筐体3,4が開いたときの状態を示している。但し、折畳型携帯電話は本発明の一例であって、折畳型であることに限定されない。また、上述した対応可能な周波数帯域も本発明の一例であって、上記周波数帯域に限定されず、さらに異なる周波数帯域に対応するものであってもよい。以下、携帯無線機の構成について詳述する。
【0022】
まず、上部筐体3の内部には上部基板1が、下部筐体4の内部には下部基板2が、それぞれ装備されている。そして、上部基板1は、当該基板1を上下に分離するスリット部5が形成されており、第一上部基板部1a(分離基板部)と第二上部基板部1b(分離基板部)とにより構成されている。また、下部基板2にも同様に、当該基板2を上下に分離するスリット部6が形成されていて、第一下部基板部2aと第二下部基板部2bとにより構成されている。
【0023】
また、上部基板1と下部基板2とは、第一上部基板部1aと第一下部基板部2aとを接続するFPCなどからなる上下基板接続部9によって接続されている。また、これら基板部1a,2aの間には給電線路10も接続されており、この給電線路10には、第一下部基板部2a上に搭載された整合回路11が接続されている。この整合回路11は、回路からの反射による損失を低減するためのものである。また、この整合回路11には、さらに、無線回路12、制御回路13が接続されている。
【0024】
上記構成によると、まず、上部基板1と下部基板2とが給電線路10を介して接続されることによってダイポールアンテナが構成される。そして、給電線路10に接続された無線回路12によって、上記基板1,2によるダイポールアンテナを介した無線通信が実現されることとなる。さらに、制御回路13によって無線機自体の通信状態が制御される。
【0025】
ここで、上述したように、上部基板1あるいは下部基板2は、それぞれスリット部5,6によって上下に分離されているが、分離された各基板部(1aと1b、あるいは、2aと2b)を電気的に接続/切断が可能なよう構成されている。その構成について以下に詳述する。
【0026】
まず、上部基板1のスリット部5には、第一上部基板部1aと第二上部基板部1bとを連結する並列共振回路7(接続/切断手段)が装備されている。この並列共振回路7は、コイルとコンデンサで構成されており、上述した2GHzである第二の周波数帯域にて共振し、800Hzである第一の周波数帯域ではほぼ短絡となるようなインピーダンス特性に設定されている。このインピーダンス特性の様子を図2に示す。
【0027】
そして、上部基板1と下部基板2とは、折畳型携帯電話の折畳部分を挟んでほぼ対象となるよう同一形状にて形成されており、携帯電話が開いたときには、長さが約200mmあるため、各基板1,2を合わせたときの全長もほぼ同一の長さとなる。すると、この長さは、800Hz帯域における波長λの約2分の1となっている。従って、上述したように上部基板1と下部基板2とを放射素子とするダイポールアンテナとして、800Hz帯域での無線通信が可能となる。但し、上述したように、上部基板1と下部基板2とは、それぞれがスリット部5,6にて上下に分離して構成されているため(1aと1b、2aと2b)、これらが接続された状態で無ければならない。つまり、スリット部5,6に配設された並列共振回路7,8がほぼ短絡状態となり、第一上部基板部1aと第二上部基板部1bとが接続され上部基板1が一体的となり、同様に、第一下部基板部2aと第二下部基板部2bとが接続され下部基板2が一体的となった場合に、800Hz帯域での無線通信が可能となる。
【0028】
一方で、上述したようにダイポールアンテナを構成する基板1,2の全長(アンテナ長)は、上記とは異なる周波数帯域である2GHzでは、その波長λとほぼ同一となってしまい、アンテナと回路との整合がとれず、無線通信が困難となる。従って、上述した上部基板1と下部基板2との全長を波長λの約2分の1に変化させることで2GHz帯にて通信可能となる。このため、第一上部基板部1aと第一下部基板部2aとを合わせたときの全長が波長λの約2分の1となるよう、上記スリット部5,6の位置が設定されている。そして、2GHz帯域では、スリット部5,6に配設された並列共振回路7,8が共振状態となり、高いインピーダンスを有するため、第一上部基板部1aと第二上部基板部1bとは切断状態となり、かつ、第一下部基板部2aと第二下部基板部2bとも切断された状態となる。すると、上述したように、第一上部基板部1aと第一下部基板部2aとによるダイポールアンテナが形成され、2GHz帯での無線通信が可能となる。
【0029】
[動作]
次に、上記構成の携帯無線機の動作を、図3乃至図4を参照して説明する。まず、第一の周波数帯域、つまり、本実施例では800Hzの場合、各並列共振回路7,8は所定のインピーダンスを持つ。このため、第一上部基板部1aと第二上部基板部1bは並列共振回路7を介して接続され、同様に、第一下部基板部2aと第二下部基板部2bは並列共振回路8を介して接続される。従って、図3に示すように、全ての基板部1a,1b,2a,2bが放射素子となり、上部基板1及び下部基板2全体がダイポールアンテナとして動作する。これにより、上述したように、800Hz帯域での無線通信が可能となる。
【0030】
一方、第二の周波数帯域、つまり、本実施例では2GHzの場合、各並列共振回路7,8は共振状態となり、高いインピーダンスとなる。このため、各基板1,2のうち、第二上部基板部1b及び第二下部基板部2bには高周波電流がほとんど流れない。従って、図4に示すように、第一上部基板部1aと第一下部基板部2aのみがダイポールアンテナとして作動するため、アンテナ長が短くなり、上述したように、2GHz帯域での無線通信が可能となる。
【0031】
以上のように、本発明によると、まず、携帯無線機の内部に装備される2つの基板1,2がダイポールアンテナの放射素子として作動するため、別途、ヘリカルアンテナなどを備え付ける必要が無く、無線通信を実現することができる。従って、構成の簡素化、及び、製造コストの低下を図ることができる。さらに、各基板1,2をアンテナ長方向にそれぞれ2つ以上に分離して形成し、これらを所定の周波数にて接続/切断されるようインピーダンス特性が設定された並列共振回路7,8を備えることで、ダイポールアンテナとして作動する基板1,2の長さ、つまり、アンテナの全長を自動的に変更設定することができる。従って、少なくとも2通りの無線通信周波数にて利用可能となり、Multi Band機を構成することができる。
【0032】
なお、上記では、上部基板1及び下部基板2にそれぞれ1つのスリット部5,6を設けて2つの基板部に分離する場合を説明したが、さらに多くのスリット部5,6を設けてさらに多くの基板部に分離して構成してもよい。そして、それぞれのスリット部5,6に、上述した並列共振回路を設けて、通信周波数に応じてインピーダンス特性を設定することにより、それらの接続/切断状態を制御してもよい。これにより、放射素子として作動する各基板部の接続状態を種々のパターンに設定することができ、その結果、種々のアンテナ長に設定することができる。従って、複数の周波数帯域に対応可能な携帯無線機を構成することができる。また、上記では、特定の周波数を利用する場合を例示したが、これに限定されず、他の周波数帯域に対応可能なよう基板の長さや形状を設定して構成してもよい。
【実施例2】
【0033】
次に、本発明の第2の実施例を、図5乃至図8を参照して説明する。図5は、実施例2における携帯無線機の構成を示す概略図である。図6乃至図7は、携帯無線機の動作状態を示す説明図である。図8は、携帯無線機の制御回路による動作を示すフローチャートである。
【0034】
[構成]
本実施例における携帯無線機は、上述した実施例1に示した折畳型携帯電話とほぼ同一の構成を採っている。但し、各スリット部5,6に、並列共振回路7,8に替えて、スイッチ14,15が備えられている点で異なる。また、これに伴い、制御回路13が、上記スイッチ14,15の動作を制御する点でも異なる。以下、詳述する。
【0035】
スイッチ14,15は、第一上部基板部1aと第二上部基板部1bとの接続/切断の切替を、また、第一下部基板部2aと第二下部基板部2bとの接続/切断の切替を可能とする。従って、上述した実施例1では、各基板部間に装備した並列共振回路7,8のインピーダンス特性を設定して、各基板部間の電気的接続/切断を実現していたが、本実施例では、スイッチ14,15にて各基板間の電気的接続/切断を可能としている。また、このスイッチ14,15のオンオフは、制御回路13からの指令により制御される。
【0036】
そして、制御回路13(制御装置)には、所定のプログラムが組み込まれることにより次のような機能を実現するための処理部が構築されている。まず、制御回路13は、通信相手から送信される周波数帯域に関する信号を無線回路12を介して受信する。そして、この受信した信号に従って、無線回路12を切り替えて必要な周波数帯域を決定する。さらに、決定した周波数帯域による無線通信を実現するよう、ダイポールアンテナとして機能する基板1,2の全長を変化設定するために、スイッチ14,15をオン・オフする信号を出力する。つまり、制御回路13は、通信相手から指定された周波数帯域を検出して、当該周波数帯域にて作動するようスイッチを切り替える切替制御機能を備えている。
【0037】
[動作]
次に、上記構成の携帯無線機の動作を、図6乃至図8を参照して説明する。まず、通信相手から送信される周波数帯域に関する信号を無線回路12で受信し、制御回路13に入力される(ステップS1)。制御回路13では、その入力された信号に従って、無線回路12を切り替えて必要な周波数帯域を決定する(ステップS2)。さらに、決定された周波数帯域に従って、スイッチ14,15のオンオフを切り替える(ステップS3、S4,S5)。例えば、通信相手から第一周波数帯域(800Hz)の指定があった場合には、各スイッチ14,15がオンになるよう切り替える(ステップS4)。すると、第一上部基板部1aと第二上部基板部1bはスイッチ14を介して接続され、同様に、第一下部基板部2aと第二下部基板部2bはスイッチ15を介して接続される。従って、図6に示すように、全ての基板部1a,1b,2a,2bが放射素子となり、上部基板1及び下部基板2全体がダイポールアンテナとして動作する。これにより、800Hz帯域での無線通信が可能となる。
【0038】
一方、第二の周波数帯域(2GHz)の指定があった場合には、各スイッチ14,15をオフにする(ステップS5)。すると、第二上部基板部1b及び第二下部基板部2bには、高周波電流が流れない。従って、図6に示すように、第一上部基板部1aと第一下部基板部2aのみがダイポールアンテナとして作動するため、アンテナ長が短くなり、2GHz帯域での無線通信が可能となる。このように、異なる周波数帯域において、最適長のダイポールアンテナを構成することができ、インピーダンス特性が良好となる。
【0039】
ここで、上述した実施例1,2では、給電線路10にて各基板1,2を接続する場合を説明したが、給電経路として上下基板接続部9を使用しても、上述同様な効果を得ることができる。
【0040】
また、本発明では、分離された各基板部の接続/切断を実行する具体的な構成として、並列共振回路7,8やスイッチ14,15を挙げて説明したが、これらに限定されず、他の構成を設けて実現してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、1台で複数の周波数帯域にて無線通信を行うことができる携帯電話に利用することができ、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施例1における携帯無線機の構成を示す概略図である。
【図2】図1に開示した並列共振回路のインピーダンス特性と周波数帯域との関係を示す図である。
【図3】実施例1における携帯無線機の動作状態を示す説明図である。
【図4】実施例1における携帯無線機の動作状態を示す説明図である。
【図5】実施例2における携帯無線機の構成を示す概略図である。
【図6】実施例2における携帯無線機の動作状態を示す説明図である。
【図7】実施例2における携帯無線機の動作状態を示す説明図である。
【図8】実施例2における携帯無線機の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
1 上部基板(基板)
2 下部基板(基板)
3 上部筐体
4 下部筐体
5,6 スリット部
7,8 並列共振回路(接続/切断手段)
9 上下基板接続部
10 給電線路
11 整合回路
12 無線回路
13 制御回路
14,15 スイッチ(接続/切断手段)
1a 第一上部基板部(分離基板部)
1b 第二上部基板部(分離基板部)
2a 第一下部基板部(分離基板部)
2b 第二下部基板部(分離基板部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射素子として作動する2つの基板と、当該2つの基板を接続する給電線路と、により構成されるダイポールアンテナを装備し、前記給電線路に接続された無線回路を備えた携帯無線機であって、
前記各基板を、アンテナ長方向に少なくとも2つの分離基板部に分離してそれぞれ形成すると共に、前記各基板ごとに、前記分離基板部間を電気的に接続/切断する接続/切断手段を当該分離基板部間にそれぞれ備えた、
ことを特徴とする携帯無線機。
【請求項2】
前記各基板に、当該各基板を前記分離基板部に分離するスリット部をそれぞれ形成した、ことを特徴とする請求項1記載の携帯無線機。
【請求項3】
ダイポールアンテナを構成する前記基板の全長が、前記接続/切断手段にて前記分離基板部を接続/切断することにより、少なくとも2通りの無線通信周波数の波長の約2分の1になるよう設定して形成した、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の携帯無線機。
【請求項4】
前記各基板を、それぞれ2つの前記分離基板部にて形成すると共に、
前記基板の全長を、前記接続/切断手段による接続時に第一の周波数の波長λの約2分の1に、切断時に第二の周波数の波長λの約2分の1に、それぞれ設定して形成した、
ことを特徴とする請求項3記載の携帯無線機。
【請求項5】
前記接続/切断手段は、前記第一の周波数帯域にてほぼ短絡し、前記第二の周波数帯域にて共振するインピーダンス特性を有する共振回路を備えた、
ことを特徴とする請求項4記載の携帯無線機
【請求項6】
前記接続/切断手段は、前記分離基板部間の接続/切断を切替可能なスイッチを備えた、
ことを特徴とする請求項4記載の携帯無線機。
【請求項7】
前記スイッチの切替を制御する制御回路を備え、
この制御回路は、通信相手となる他の無線機から受信した通信時の周波数帯域を表す信号を検出し、この検出した信号に応じて前記スイッチを切り替える、
ことを特徴とする請求項6記載の携帯無線機。
【請求項8】
前記携帯無線機は、折畳型携帯無線機であり、
前記2つの基板は、折畳部分を挟んで装備されている、
ことを特徴とする請求項4,5,6又は7記載の携帯無線機。
【請求項9】
前記第一の周波数は800Hzであり、前記第二の周波数は2GHzである、ことを特徴とする請求項8記載の携帯無線機。
【請求項10】
放射素子として作動する2つの基板と、当該2つの基板を接続する給電線路と、により構成されるダイポールアンテナを装備し、前記給電線路に接続された無線回路を備えた携帯無線機の通信周波数を設定する方法であって、
通信相手となる他の無線機から受信した通信時の周波数帯域を表す信号を検出し、
アンテナ長方向に少なくとも2つの分離基板部に分離されそれぞれ形成された前記各基板ごとにおける当該分離基板部間を、前記検出した周波数帯域にて前記ダイポールアンテナが作動するよう電気的に接続/切断する、
ことを特徴とする携帯無線機の通信周波数設定方法。
【請求項11】
前記分離基板部間の接続/切断を、当該分離基板部間に設けられたスイッチを切替制御することにより行う、
ことを特徴とする請求項10記載の携帯無線機の通信周波数設定方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−74366(P2007−74366A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−259150(P2005−259150)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】