説明

携帯型電子機器

【課題】 従来の自由落下検出では、3軸加速度センサが3軸とも所定値以下になった場合に自由落下と判定。しかし回転を伴う落下では遠心力を検出してしまうため、自由落下の検出精度が低下してしまう。
【解決手段】 3軸加速度センサによる3方向の検出加速度が同時に所定の閾値以下になった場合に落下と判定する自由落下検出手段を持つ撮像機器において、バッテリの種類、液晶パネルの状態によって、3軸加速度センサによる落下判定基準を変える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルビデオカメラ、特に大容量の記録容量を持つ固定記録媒体であるハードディスクドライブ(HDD)を映像の記録媒体として用いたビデオカメラなどの携帯型電子機器に関して有効な発明である。
【背景技術】
【0002】
近年のデジタルビデオカメラにおいては、従来の磁気テープを映像記録媒体として用いる物に加え、ランダムアクセスが可能で、記録された映像の呼び出し・頭出しが容易であると共に、記録時にそれ以前に記録した内容を上書きしてしまう心配がないなど使い勝手を大幅に向上させた、DVD等の光ディスクを記録媒体とする物が発売されている。このビデオカメラは、前述の通り従来直径12cmで4.7ギガバイトの容量を実現していたメディアではなく、この12cmディスクと規格上の同一性を保ちつつ、直径8cmで1.4ギガバイトの容量を持つメディアを採用する事により、従来のDV方式のビデオカメラと変わらない携帯性のよいビデオカメラを実現している。
【0003】
しかしながら、前記の直径8cmのDVDメディアは、前述のように1.4ギガバイトと容量が少ないため、NTSCの標準画質(SD:縦480x横720画素)を記録する場合の一般的な記録レートである6メガビット/秒の記録条件では約30分の記録しか出来ない。また、長時間モードとして3メガビット/秒のモードがあり、この条件では1時間の記録が出来るが、画質が相当劣化してしまう。また、高画質モードの9メガビット/秒の条件においては20分の記録しか出来ない。さらに、最近ではいわゆるハイビジョン画質(HD:縦1080x横1440画素)対応のビデオカメラも普及しつつあるが、このハイビジョン画質モードの記録レート12メガビット/秒では15分の記録時間であり、2.6ギガバイトの容量を持つ2層ディスクを用いても、27分の記録しかできない。したがって、旅行や運動会、学芸会などのイベントでまとまった撮影をしようとする場合、多数のメディアを用意し、携行しなければならない。
【0004】
この問題を解決するため、最近では大容量の記録媒体であるハードディスクドライブ(HDD)を映像記録媒体として用いるビデオカメラも発売されている。このビデオカメラは、1.8インチ径のディスクで30GBもの大容量を有するHDDを内蔵し、標準画質の一般的な記録レートである6メガビット/秒の記録条件で10時間50分の記録、またハイビジョン画質モードの15メガビット/秒でも4時間の記録を実現しており、ユーザは残量を気にする事なく撮影が行える事が特徴となっている。
【0005】
しかしながら、前記HDDはディスク面に対して磁気ヘッドが回転気流によって浮いている構造となっており、万一衝撃や振動などによって磁気ヘッドがディスク面に接触してしまってディスク面を傷つけてしまった場合、その部分のデータの読み書きが出来なくなってしまう場合がある。この問題を解決するため、画像の記録媒体としてHDDを採用するビデオカメラは3次元加速度センサを用いて自由落下状態を検知するシステムを内蔵しており、撮影中にカメラ本体が自由落下状態である事を検知すると、本体の電源をシャットオフするかあるいは所定のコマンドをHDDに送信するなどして、前記HDDの磁気ヘッドを、図3に示すランプと言われる、ディスクの外側に設置されているヘッドが装着されているアームを支持する部材上に素早く移動させる事により、落下の衝撃に耐える構成となっている。
【0006】
ここで、前記3次元加速度センサによる自由落下の検知方法について説明する。3次元加速度センサは図6(a)に示すように、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸からなる3軸方向についてそれぞれセンサにかかる加速度を検知しており、該センサを内蔵している機器の姿勢を、例えばZ軸を鉛直方向に一致する姿勢で静置している場合、Z軸は重力加速度である1Gを検出しており、他のX軸、Y軸はそれぞれ0Gを検出している。機器の姿勢を変え、Y軸を鉛直方向に一致する姿勢、Z軸を鉛直方向に一致する姿勢に静置した場合はそれぞれY軸、Z軸が1Gを検出し、それぞれの場合の他の2軸は0Gを検出している。この機器が自由落下状態となると、図6の(c)に示すように鉛直方向の軸でも0Gを検出することとなり、3軸ともほぼ0Gを検出することになり、すなわち3軸ともほぼ0Gを検出している場合に、本体が自由落下していると判定することが出来る。実際には、軸方向に関わらない検出を行うために3軸方向の検出加速度値をベクトル合成したベクトル合成値を使い、このベクトル合成値のスカラ量が0.4G等、検出誤差等を考慮した所定の値を下回った場合に自由落下であると判定するのが一般的である。
【0007】
又、別の従来例としては、下記特許文献1と特許文献2をあげることが出来る。
【特許文献1】特開2005-078767号公報
【特許文献2】特開2005-346840号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、機器に実装されている前記3軸加速度センサの位置と、機器本体の重心の位置は必ずしも一致するものではない。一方、機器に何らかの力が加わり、自由落下時中に回転を伴う場合は、該機器の重心を中心とした回転となる。すなわち、前記3軸加速度センサの実装位置と前記機器の重心の位置が離れている場合、遠心力の影響を受け、自由落下中であるにもかかわらず、前記3次元加速度センサのベクトル合成値のスカラ量が所定値以下とはならず、自由落下状態が検出できないことがあった。
【0009】
本発明は前記の点に鑑みてなされたものであり、機器が回転しながら落下する場合でも自由落下を検知することができる携帯型電子機器を提供することを第1の目的とする。
【0010】
さらに、本体に装着されるバッテリの違いや、液晶パネルの開閉によって前記本体の重心位置が移動した場合でも、回転しながら落下する場合でも自由落下を検知することができる記録装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を実現するための本出願の第1の発明にかかる携帯型電子機器は、互いに直交する3軸方向の加速度を検出する加速度検出手段と、前記速度検出手段の出力値から、本体が自由落下状態であるか否かを判定する自由落下判定手段と、前記自由落下判定手段の判定結果によって、データの記録および読み出しを行う記録媒体を衝撃から保護する記録媒体衝撃保護手段と、本体を動作させる電源を供給するバッテリを有する携帯型電子機器において、前記本体に装着されているバッテリの種類を検出するバッテリ検出手段を有し、前記検出されるバッテリ検出手段の検出結果に応じて、前記自由落下判定手段が自由落下状態であると判定する、前記加速度検出手段の出力のしきい値が変わる事を特徴としてなるものである。
【0012】
さらに、本出願の第2の発明にかかる携帯型電子機器は、前記第1の発明にかかる携帯型電子機器であって、前記自由落下判定手段は、前記加速度検出手段による3方向の出力値が同時にしきい値以下となった場合に本体が自由落下状態であると判定するものであって、前記バッテリ検出手段によって検出されたバッテリ種類が特定のバッテリであった場合は、該バッテリの装着時の本体の重心位置と前記加速度検出手段が実装されている位置を結ぶ軸方向に近い、前記加速度検出手段のうちの軸方向の出力における自由落下であると判定する出力のしきい値が大きくなることを特徴としてなるものである。
【0013】
また、本出願の第3の発明にかかる携帯型電子機器は、前記第1の発明にかかる携帯田方電子機器であって、前記自由落下判定手段は、前記加速度検出手段の3方向の出力をベクトル合成して得られるベクトル合成値の絶対値が所定値以下となった場合に本体が自由落下状態であると判定するものであって、前記バッテリ検出手段によって検出されたバッテリ種類が所定のバッテリであった場合は、該バッテリの装着時の本体の重心位置と前記加速度検出手段が実装されている位置を結ぶ軸の方向近傍の前記加速度検出手段の軸方向の出力に対して1未満の係数を乗じて得られる値と、他の2方向の出力をベクトル合成して得られるベクトル合成値の絶対値が所定値以下となった場合に自由落下状態であると判定することを特徴としてなるものである。
【0014】
また、本出願の第4の発明にかかる携帯型電子機器は、前記第2または第3の発明にかかる携帯型電子機器であって、本体を動作させることが出来る前記バッテリの種類は、少なくとも2種類以上あり、1つは小型で小容量のバッテリ、1つは大型で大容量のバッテリであることを特徴としてなるものである。
【0015】
さらに、本出願の第5の発明にかかる携帯型電子機器は、前記第4の発明にかかる携帯型電子機器であって、前記特定のバッテリは、前記大型で大容量のバッテリであることを特徴としてなるものである。
【0016】
また、本出願の第6の発明にかかる携帯型電子機器は、前記第4の発明にかかる携帯型電子機器であって、前記特定のバッテリは、前記小型で小容量のバッテリであることを特徴としてなるものである。
【0017】
さらに、本出願の第7の発明にかかる携帯型電子機器は、互いに直交する3軸方向の加速度を検出する加速度検出手段と、該加速度検出手段の出力値から、本体が自由落下状態であると判定する自由落下判定手段と、前記自由落下判定手段の判定結果によって、データの記録および読み出しを行う記録媒体を衝撃から保護する記録媒体衝撃保護手段と、本体を動作させる電源を供給するバッテリを有する携帯型電子機器において、前記本体に開閉可能な表示手段である液晶パネルと、該液晶パネルの開閉状態を検出する液晶パネル開閉検出手段を有し、前記検出される液晶パネルの開閉の状態に応じて、前記自由落下判定手段が自由落下状態であると判定する、前記加速度検出手段の出力のしきい値が変わる事を特徴としてなるものである。
【0018】
また、本出願の第8の発明にかかる携帯型電子機器は、前記第7の発明にかかる携帯型電子機器であって、前記自由落下判定手段は、前記加速度検出手段による3方向の加速度値が同時に所定値以下となった場合に本体が自由落下状態であると判定するものであって、前記液晶パネル開閉検出手段によって検出された前記液晶パネルが開いている状態であった場合は、該状態での本体の重心位置と前記加速度検出手段が実装されている位置を結ぶ軸方向に近い、前記加速度検出手段のうちの軸方向の出力における自由落下であると判定する出力のしきい値が大きくなることを特徴としてなるものである。
【0019】
さらに、本出願の第9の発明にかかる携帯型電子機器は、前記第7の発明にかかる電子機器であって、前記自由落下判定手段は、前記加速度検出手段の3方向の出力をベクトル合成して得られるベクトル合成値の絶対値が所定値以下となった場合に本体が自由落下状態であると判定するものであって、前記液晶パネル開閉検出手段によって検出された前記液晶パネルが開いている状態であった場合は、該状態での本体の重心位置と前記加速度検出手段が実装されている位置を結ぶ軸に近い、前記加速度検出手段のうちの軸方向の出力に対して1未満の係数を乗じて得られる値と、他の2方向の出力をベクトル合成して得られるベクトル合成値の絶対値が所定値以下となった場合に自由落下状態であると判定することを特徴としてなるものである。
【0020】
また、本出願の第10の発明にかかる携帯型電子機器は、前記第1乃至第9の発明にかかる携帯型電子機器であって、前記記録媒体はハードディスクドライブであって、前記ドライブ内には、磁気ヘッドがディスクの外にある場合に磁気ヘッドおよび前記磁気ヘッドを支持するアームを保護するアーム保持機構であるランプが備わっており、前記自由落下検出手段が本体の自由落下状態を検出した場合は、前記記録媒体保護手段が動作し、前記磁気ヘッドを前記ランプへ強制的に移動させ、前記ランプによる保持状態とすることを特徴としてなるものである。
【0021】
さらに、本出願の第11の発明にかかる携帯型電子機器は、前記再1乃至第10の発明にかかる携帯型電子機器であって、前記記録媒体に記録するデータを一時的に蓄積するデータバッファを有し、前記記録媒体保護手段が動作中で前記記録媒体のデータ記録が停止している間、前記データバッファへの記録データの蓄積は継続することを特徴としてなるものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、大容量バッテリを装着し、本体の重心がバッテリ方向に移動した状態でも、3次元加速度センサと移動後の重心位置を結ぶ方向軸の加速度センサの出力を小さく評価する自由落下判定を行うため、大容量バッテリを装着した状態で回転を伴う自由落下した場合でも、遠心力の影響を受けることなく確実に自由落下の判定が出来る携帯型電子機器を提供することが出来る。
【0023】
また、液晶パネルが開き、本体の重心が液晶パネル方向に移動した状態でも、3次元加速度センサと移動後の重心位置を結ぶ方向軸の加速度センサの出力を小さく評価する自由落下判定を行うため、液晶パネルが開いている状態で回転を伴う自由落下した場合でも、遠心力の影響を受けることなく確実に自由落下の判定が出来る携帯型電子機器を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(実施例1)
本発明をビデオカメラで応用したの第1の実施例について図面を用いて説明する。
【0025】
図1は本実施例のビデオカメラのブロック図である。同図において、101は被写体を取り込む撮影レンズ、102は後述の撮像素子への光量を制御する絞り、103は、取り込んだ被写体を画像信号に変換する撮像素子、104は前記画像信号をサンプルホールドし、適正な信号レベルにするCDS/AGC、105は、前記CDS/AGCからの画像信号をA/D変換し、デジタル信号処理を行うデジタル信号処理回路、106は、デジタル信号処理回路からの生データを1フレーム分ずつ蓄積するフレームメモリ、107は、前記フレームメモリの画素を後述のMPEG2またはMPEG4方式での記録が出来るように、適切な画素数を調整する画素数調整回路、108は、各ブロック間の画像データおよび後述の音声データ行き来する画像/音声データバス、109は、前記画像データと共に後述のリムーバブルディスクに記録される音声を集音するマイクロフォン、110は前記マイクロフォンからの音声信号を適当なレベルまで増幅する増幅器、111は、前記増幅された音声信号をA/D変換するA/Dコンバータ、112は、再生モード時には後述のMPEG2コーデック114からの再生画像データ、撮影時には前記撮像素子103で撮像された映像を表示する液晶パネル、113は、前記液晶パネルを駆動する液晶ドライバ、114は、前記画像バスからのデジタル画像信号を動画としてMPEG2方式による圧縮符号化すると共に、後述のフラッシュメモリに記録されたMPEG2圧縮データを伸長するMPEG2コーデック、115は、前記MPEG2コーデックからの圧縮符号化データを後述のハードディスクドライブ119に記録する前に一時的に記録・保持するストリームバッファ、116は、後述のNTSCエンコーダからのアナログ映像信号を出力するビデオ出力端子、117は、前記液パネル118で表示される物と同一の画像をアナログ化し、前記ビデオ出力端子116に出力するNTSCエンコーダ、118は、後述の光ディスク119に対してデータの読み書きを行うディスクドライバ、119は、前記画像/音声データバス109からのMPEG2画像データを記録する光ディスク、120は、後述のUSBインターフェース121からのデータを出力するUSB端子、121は、前記光ディスク119に記録されたMPEG2方式の画像データをそのまま外部に出力するUSBコントローラ、122は、使用者が本体に対する操作を行うための操作キー、123は、機器全体のモードを制御したり、前記操作キー122を検出して各種機能の実行を制御するメインマイコン、124は、メインマイコンが一時的なデータを保管するRAM、前記125は、前記メインマイコンの所定の状態を記憶する不揮発性メモリであるEEPROM、126は、前記メインマイコン124からの制御信号や、操作キー122からの信号が行き来する制御信号バス、127は、互いに直交する3つの軸方向の加速度センサからなる3次元加速度センサ、128は、本体の装着されているバッテリの種類を検出するバッテリ種類検出スイッチである。
【0026】
上記構成において、本発明のビデオカメラの動作について図を用いて説明する。図2は、本実施例の構成を示す図で、同図において、図2(a)は前記3次元加速度センサであって、素子に対して、X軸、Y軸、Z軸の方向の加速度を検知する加速度センサが内蔵されている。図2(b)は前記3次元加速度センサの、本実施例のビデオカメラにおける実装位置であり、同図に示すように、標準のバッテリを装着した場合の重心の近くに、前記図2(a)のY軸を上にして実装されている。図2(c)は前記3次元加速度センサの出力波形を示す図である。この中で、(d)の部分は通常時の波形で、前記図2(a)におけるX軸とZ軸の出力は0Gであるが、Y軸は重力による加速度である1Gを出力している。また、右側の(e)に示す領域は自由落下中の波形で、前記Y軸に対する重力の影響がなくなるため、この軸においても0Gを出力するようになる。本実施例のビデオカメラでは、前記3つの軸の出力が同時に0.4G以下となった場合に自由落下中であると判定し、前記ハードディスクドライブ(HDD)に対して、記録ヘッドが図3(b)に示すように、ランプと呼ばれるディスク面の外に設けられているヘッド保持機構に退避するよう制御を行う。これにより、落下後の衝撃によるディスクとヘッドの接触を防止することが出来る。
【0027】
図4は、本実施例のビデオカメラに、大容量バッテリまたは長時間バッテリと呼ばれる、前記標準バッテリの2倍〜3倍の容量を持つバッテリを装着している図である。前記大容量バッテリは前述のとおり容量が大きいので、その分連続撮影時間が長くなるというものであるが、バッテリそのものの重量も、容量にほぼ比例して重くなるため、図4(a)に示すように、全体の重心は後方に移動する。この場合、前記3次元加速度センサと重心の位置が離れてしまう。一般的に、物体が回転しながら落下する場合は重心を中心とした回転となるので、この状態では回転しながら落下した場合に遠心力の影響を受けることになる。このため、自由落下中であっても図4(c)に示すように、重心と前記3次元加速度センサを結ぶ線と同一の向きであるX軸が遠心力を検出してしまい、0.4G以下とはならない状態となってしまう。
【0028】
本実施例のビデオカメラでは、前記の大容量バッテリを検出した場合、前記X軸のみ、自由落下であると判定するしきい値を0.4Gより大きい0.8Gとし、同時に前記X軸が0.8G以下、他の2軸である前記Y軸と前記Z軸が0.4G以下の加速度を検出している場合に本体が落下中であると判定する。これにより、回転による遠心力の影響を受けずに、自由落下の検出が可能となる。
【0029】
なお、本実施例のビデオカメラでは、X軸、Y軸、Z軸のそれぞれについて所定のしきい値を同時に下回る加速度値を検出した場合に本体が自由落下していると判定する構成となっているが、この方法では、3軸それぞれが直交している中間方向に落下する場合、見かけの所定値が大きくなってしまうので、前記のX軸、Y軸、Z軸の加速度値をベクトル合成し、そのスカラ量が所定値を下回る構成としてもよい。この構成においては、大容量のバッテリが検出された場合、遠心力の影響を受けるX軸の出力に係数0.5をかけ、その値と他のY軸、Z軸の出力をベクトル合成し、そのスカラ量が0.4となった場合に本体が自由落下していると判定することにより、回転による遠心力の影響を受けずに、自由落下の検出が可能となる。
【0030】
(実施例2)
本発明をビデオカメラで応用したの第2の実施例について図面を用いて説明する。
【0031】
本実施例のビデオカメラのブロック図は、前記実施例1のビデオカメラのブロック図を示す図1と同様である。
【0032】
この構成において、本発明のビデオカメラの動作について図を用いて説明する。図5は、本実施例の構成を示す図で、同図において、図5(a)は本発明のビデオカメラを上から見た図で、前記液晶パネル112が閉じている状態である。前記3次元加速度センサは、同図に示すように、前記液晶パネル112が閉じている場合の重心の近くに、前記図5(a)のY軸を上にして実装されている。この状態での前記3次元加速度センサの出力は、前記実施例1の図2(c)と同様である。同図2において、(d)の部分は通常時の波形で、前記(a)におけるX軸とZ軸の出力は0Gであるが、Y軸は重力による加速度である1Gを出力している。また、右側の(e)に示す領域は自由落下中の波形で、前記Y軸に対する重力の影響がなくなるため、この軸においても0Gを出力するようになる。本実施例のビデオカメラでは、前記3つの軸の出力が同時に0.4G以下となった場合に自由落下中であると判定し、前記ハードディスクドライブ(HDD)に対して、記録ヘッドが図3(b)に示すように、ランプと呼ばれるディスク面の外に設けられているヘッド保持機構に退避するよう制御を行う。これにより、落下後の衝撃によるディスクとヘッドの接触を防止することが出来る。
【0033】
図5(b)は、本発明のビデオカメラを上から見た図で、前記液晶パネル112が開いている状態である。この場合、同図に示すように、全体の重心はZ軸方向に移動する。この場合、前記3次元加速度センサと重心の位置が離れてしまい、この状態では回転しながら落下した場合に遠心力の影響を受けることになる。このため、自由落下中であっても図5(c)に示すように、重心と前記3次元加速度センサを結ぶ線と同一の向きであるZ軸が遠心力を検出してしまい、0.4G以下とはならない状態となってしまう。
【0034】
本実施例のビデオカメラでは、前記液晶パネル112が開いていることを検出した場合、前記Z軸のみ、自由落下であると判定するしきい値を0.4Gより大きい0.8Gとし、同時に前記Z軸が0.8G以下、他の2軸である前記X軸と前記Y軸が0.4G以下の加速度を検出している場合に本体が落下中であると判定する。これにより、回転による遠心力の影響を受けずに、自由落下の検出が可能となる。
【0035】
なお、本実施例のビデオカメラでは、X軸、Y軸、Z軸のそれぞれについて所定のしきい値を同時に下回る加速度値を検出した場合に本体が自由落下していると判定する構成となっているが、この方法では、3軸それぞれが直交している中間方向に落下する場合、見かけの所定値が大きくなってしまうので、前記のX軸、Y軸、Z軸の加速度値をベクトル合成し、そのスカラ量が所定値を下回る構成としてもよい。この構成においては、前記液晶パネル112が開いていることが検出された場合、遠心力の影響を受けるZ軸の出力に係数0.5をかけ、その値と他のX軸、Y軸の出力をベクトル合成し、そのスカラ量が0.4となった場合に本体が自由落下していると判定することにより、回転による遠心力の影響を受けずに、自由落下の検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施例1および実施例2のビデオカメラのブロック図である。
【図2】実施例1および実施例2のビデオカメラの概要を示す図である。
【図3】実施例1および実施例2のハードディスクドライブの詳細を示す図である。
【図4】実施例1のビデオカメラの概要を示す図である。
【図5】実施例2のビデオカメラの概要を示す図である。
【図6】3次元加速度センサによる出力を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
101 撮影レンズ
102 絞り
103 撮像素子
104 CDS/AGC
105 デジタル信号処理回路
106 フレームメモリ
107 画素数調整回路
108 画像/音声データバス
109 マイクロフォン
110 増幅器
111 A/Dコンバータ
112 液晶ディスプレイ
113 液晶ドライバ
114 MPEG2コーデック
115 ストリームバッファ
116 ビデオ出力端子
117 NTSCエンコーダ
118 ディスクドライバ
119 ハードディスクドライブ
120 USB端子
121 USBコントローラ
122 操作キー
123 メインマイコン
124 RAM
125 EEPROM
126 制御バス
127 3次元加速度センサ
128 バッテリ種類検出スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する3軸方向の加速度を検出する加速度検出手段と、前記速度検出手段の出力値から、本体が自由落下状態であるか否かを判定する自由落下判定手段と、前記自由落下判定手段の判定結果によって、データの記録および読み出しを行う記録媒体を衝撃から保護する記録媒体衝撃保護手段と、本体を動作させる電源を供給するバッテリを有する携帯型電子機器において、
前記本体に装着されているバッテリの種類を検出するバッテリ検出手段を有し、前記検出されるバッテリ検出手段の検出結果に応じて、前記自由落下判定手段が自由落下状態であると判定する、前記加速度検出手段の出力のしきい値が変わる事を特徴とする携帯型電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯型電子機器であって、
前記自由落下判定手段は、前記加速度検出手段による3方向の出力値が同時にしきい値以下となった場合に本体が自由落下状態であると判定するものであって、前記バッテリ検出手段によって検出されたバッテリ種類が特定のバッテリであった場合は、該バッテリの装着時の本体の重心位置と前記加速度検出手段が実装されている位置を結ぶ軸方向に近い、前記加速度検出手段のうちの軸方向の出力における自由落下であると判定する出力のしきい値が大きくなることを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項3】
請求項1に記載の携帯型電子機器であって、
前記自由落下判定手段は、前記加速度検出手段の3方向の出力をベクトル合成して得られるベクトル合成値の絶対値が所定値以下となった場合に本体が自由落下状態であると判定するものであって、前記バッテリ検出手段によって検出されたバッテリ種類が特定のバッテリであった場合は、該バッテリの装着時の本体の重心位置と前記加速度検出手段が実装されている位置を結ぶ軸に近い、前記加速度検出手段のうちの軸方向の出力に対して1未満の係数を乗じて得られる値と、他の2方向の出力をベクトル合成して得られるベクトル合成値の絶対値が所定値以下となった場合に自由落下状態であると判定することを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の携帯型電子機器であって、
本体を動作させることが出来る前記バッテリの種類は、少なくとも2種類以上あり、1つは小型で小容量のバッテリ、1つは大型で大容量のバッテリであることを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項5】
請求項4に記載の携帯型電子機器であって、
前記特定のバッテリは、前記大型で大容量のバッテリであることを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項6】
請求項4に記載の携帯型電子機器であって、
前記特定のバッテリは、前記小型で小容量のバッテリであることを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項7】
互いに直交する3軸方向の加速度を検出する加速度検出手段と、該加速度検出手段の出力値から、本体が自由落下状態であると判定する自由落下判定手段と、前記自由落下判定手段の判定結果によって、データの記録および読み出しを行う記録媒体を衝撃から保護する記録媒体衝撃保護手段と、本体を動作させる電源を供給するバッテリを有する携帯型電子機器において、
前記本体に開閉可能な表示手段である液晶パネルと、該液晶パネルの開閉状態を検出する液晶パネル開閉検出手段を有し、前記検出される液晶パネルの開閉の状態に応じて、前記自由落下判定手段が自由落下状態であると判定する、前記加速度検出手段の出力のしきい値が変わる事を特徴とする携帯型電子機器。
【請求項8】
請求項7に記載の携帯型電子機器であって、
前記自由落下判定手段は、前記加速度検出手段による3方向の加速度値が同時に所定値以下となった場合に本体が自由落下状態であると判定するものであって、前記液晶パネル開閉検出手段によって検出された前記液晶パネルが開いている状態であった場合は、該状態での本体の重心位置と前記加速度検出手段が実装されている位置を結ぶ軸方向に近い、前記加速度検出手段のうちの軸方向の出力における自由落下であると判定する出力のしきい値が大きくなることを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項9】
請求項7に記載の携帯型電子機器であって、
前記自由落下判定手段は、前記加速度検出手段の3方向の出力をベクトル合成して得られるベクトル合成値の絶対値が所定値以下となった場合に本体が自由落下状態であると判定するものであって、前記液晶パネル開閉検出手段によって検出された前記液晶パネルが開いている状態であった場合は、該状態での本体の重心位置と前記加速度検出手段が実装されている位置を結ぶ軸に近い、前記加速度検出手段のうちの軸方向の出力に対して1未満の係数を乗じて得られる値と、他の2方向の出力をベクトル合成して得られるベクトル合成値の絶対値が所定値以下となった場合に自由落下状態であると判定することを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれかに記載の携帯型電子機器であって、
前記記録媒体はハードディスクドライブであって、前記ドライブ内には、磁気ヘッドがディスクの外にある場合に磁気ヘッドおよび前記磁気ヘッドを支持するアームを保護するアーム保持機構であるランプが備わっており、前記自由落下検出手段が本体の自由落下状態を検出した場合は、前記記録媒体保護手段が動作し、前記磁気ヘッドを前記ランプへ強制的に移動させ、前記ランプによる保持状態とすることを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項11】
請求項1〜請求項10のいずれかに記載の携帯型電子機器であって、
前記記録媒体に記録するデータを一時的に蓄積するデータバッファを有し、前記記録媒体保護手段が動作中で前記記録媒体のデータ記録が停止している間、前記データバッファへの記録データの蓄積は継続することを特徴とする携帯型電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−141496(P2009−141496A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−313664(P2007−313664)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】