説明

携帯型電子機器

【課題】第1筐体と第2筐体が互いに連結され、第2筐体の表示面が露出した全閉状態と、両筐体の表示面が露出した全開状態の少なくとも2つの状態を選択的に設定することが可能な携帯型電子機器において、全開状態で2つの表示面を1つの画面として画像の表示を行なう場合に、画像の途切れを出来るだけ軽微なものとする。
【解決手段】本発明に係る携帯型電子機器において、少なくとも何れか一方の筐体2には、ディスプレイ22を収容するための収容室224が形成され、該収容室224の内周壁225と該収容室に収容されたディスプレイ22の外周壁との間には、該ディスプレイを全開状態の他方の筐体側へ押圧する押圧機構243が配備されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の筐体を互いに連結して構成される携帯型電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一対の筐体を互いに連結してなる携帯型電子機器において、両筐体の表面にそれぞれ表示面を配備して、両表示面によって多くの情報をユーザに提供することが可能な携帯型電子機器が知られている。
【0003】
この様な携帯型電子機器においては、例えば一対の筐体がそれぞれの側部にて互いにリンク部材によって連結され、該リンク部材の回動動作によって、一対の筐体が互いに重なって下側の筐体(第1筐体)の表示面(第1表示面)が上側の筐体(第2筐体)により覆われ、第2筐体の表示面(第2表示面)のみが露出した片面露出状態(全閉状態)と、第1筐体に対して第2筐体が移動して、両筐体の表示面が同一平面上に露出した両面露出状態(全開状態)との間で、両筐体が互いに相対移動を行なう(特許文献1参照)。
【0004】
この様な携帯型電子機器によれば、全開状態にて第1表示面と第2表示面が同一平面上に揃うため、2つの表示面を1つの大きな画面として、大画面による画像の表示が可能となる。
【0005】
又、一対の筐体がリンク機構を介して互いに連結された携帯型電子機器において、第1筐体の表面にはキーボードを配備する一方、第2筐体の表面にはディスプレイを配備して、第1筐体の表面が第2筐体の背面により覆われて第2筐体の表面のみが露出した全閉状態と、第1筐体の表面に対して第2筐体の表面が90度以上、180度未満の開き角度で傾斜して両筐体の表面が露出したチルト状態とを設定することが出来る携帯型電子機器が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−71588号公報
【特許文献2】特開平3−278212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、扁平な筐体に液晶ディスプレイ等の薄型のディスプレイを設置して筐体表面に表示面を形成した電子機器においては、筐体にディスプレイを内蔵するための収容室を形成し、該収容室にディスプレイを収容する構成が採られる。
この場合、収容室の内周壁とディスプレイの外周壁との間には、公差による隙間が形成されることは避けることが出来ないので、ディスプレイは収容室内で僅かに移動することが可能であるが、例えばディスプレイの表面を覆ってガラス板等を設置した組立状態では、ディスプレイは収容室内の一定の位置に固定され、容易に位置がずれることはない。
【0008】
しかしながら、第1筐体の表面が第2筐体の背面によって覆われて第2筐体の表面が露出した全閉状態と、両筐体の表面が同一平面上に露出した全開状態の少なくとも2つの状態を選択的に設定することが出来る携帯型電子機器において、両筐体にそれぞれ薄型のディスプレイを設置して表示面を形成した場合、上述の如く筐体に形成された収容室の内周壁とディスプレイの外周壁との間の隙間に起因して、少なくとも何れか一方の筐体においてディスプレイが他方の筐体から離間する方向へずれた位置に固定されていたとすると、両筐体に配備されている2つのディスプレイの間隔が前記ずれに応じて大きくなり、全開状態における2つの表示面の間に大きなギャップが形成されることになる。
この結果、2つの表示面に跨って1つの連続する画像を表示したとき、前記ギャップにより画像が大きく途切れてしまう問題がある。
【0009】
そこで本発明の目的は、互いに連結された第1筐体と第2筐体にそれぞれディスプレイが配備され、第2筐体のディスプレイの表示面のみを露出させた全閉状態と両筐体のディスプレイの表示面を露出させた全開状態の少なくとも2つの状態を選択的に設定することが可能な携帯型電子機器において、全開状態で2つの表示面を1つの画面として画像の表示を行なう場合に、画像の途切れを出来るだけ軽微なものとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る携帯型電子機器においては、第1筐体と第2筐体が互いに連結され、両筐体にはそれぞれディスプレイが配備されて、両筐体の表面にそれぞれ露出する表示面が形成され、第1筐体の表示面が第2筐体の背面により覆われて第2筐体の表示面が露出した全閉状態と、両筐体の表示面が同一平面上に露出した全開状態の少なくとも2つの状態を選択的に設定することが可能である。
ここで、少なくとも何れか一方の筐体には、ディスプレイを収容するための収容室が形成され、該収容室の内周壁と該収容室に収容されたディスプレイの外周壁との間には、該ディスプレイを全開状態の他方の筐体側へ押圧する押圧機構が配備されている。
【0011】
上記本発明の携帯型電子機器によれば、筐体に形成されているディスプレイの収容室の内周壁とディスプレイの外周壁との間に隙間が形成されている場合においても、組立工程で収容室にディスプレイを収容するとき、押圧機構が該ディスプレイを他方の筐体側へ押圧するので、収容室内のディスプレイは、前記隙間の範囲内で、全開状態の他方の筐体側へ移動し、その位置に保持されることになる。
従って、両筐体に配備されている2つのディスプレイの間隔が可及的に最小化され、全開状態における2つの表示面の間のギャップは小さなものとなる。
【0012】
具体的態様において、前記ディスプレイは、ディスプレイ本体と該ディスプレイ本体を包囲する合成樹脂製の枠体とを具え、該枠体には、該ディスプレイを収容する収容室の内周壁に向かって突出する複数の弾性片が形成され、該弾性片によって前記押圧機構が構成されている。
【0013】
他の具体的態様において、第1筐体と第2筐体は連結部材を介して互いに連結され、該連結部材の端部と第2筐体との間には、該連結部材の端部に対して第2筐体を回転可能且つスライド可能に支持する支持機構が介在して、前記全開状態で第1筐体と第2筐体を互いに接近離間させることが可能である。
該具体的態様によれば、全開状態において第1筐体のディスプレイと第2筐体のディスプレイとを更に接近させることが出来る。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る携帯型電子機器によれば、第1筐体と第2筐体の表示面を同一平面上に露出させた全開状態で、2つの表示面を1つの画面として画像の表示を行なう場合、画像の途切れを軽微なものとすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る携帯型電子機器の全閉状態を示す斜視図である。
【図2】図2は、該携帯型電子機器を全閉状態で裏返して示す斜視図である。
【図3】図3は、該携帯型電子機器のチルト状態を示す斜視図である。
【図4】図4は、該携帯型電子機器のチルト状態を背面側から見た斜視図である。
【図5】図5は、該携帯型電子機器の回動全開状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、該携帯型電子機器を回動全開状態で裏返して示す斜視図である。
【図7】図7は、該携帯型電子機器のスライド全開状態を示す斜視図である。
【図8】図8は、該携帯型電子機器をスライド全開状態で裏返して示す斜視図である。
【図9】図9は、該携帯型電子機器の分解斜視図である。
【図10】図10は、該携帯型電子機器を裏返した状態の分解斜視図である。
【図11】図11は、図10の状態から更に一部分解した携帯型電子機器の斜視図である。
【図12】図12は、図11の状態から更に一部を分解した携帯型電子機器の斜視図である。
【図13】図13は、該携帯型電子機器の断面図である。
【図14】図14は、図8の状態から一部を分解した携帯型電子機器の斜視図である。
【図15】図15は、携帯型電子機器の回動全開状態を示す平面図である。
【図16】図16は、回動全開状態(a)から中間状態(b)を経てスライド全開状態(c)へ移行する過程における、図15C−C線に沿う要部の断面図である。
【図17】図17は、全閉状態(a)から回動全開状態(b)を経てスライド全開状態(c)へ移行する過程におけるフレキシブルリードの変形状態を示す断面図である。
【図18】図18は、全閉状態において第2筐体に形成されている一対の凸部を示す斜視図である。
【図19】図19は、図18のE部を拡大して示す斜視図である。
【図20】図20は、全閉状態において第2筐体に形成されている一対の凸部を示す平面図である。
【図21】図21は、図20のF部を拡大して示す平面図である。
【図22】図22は、凸部が形成されている位置における第2筐体の要部を示す拡大断面図である。
【図23】図23は、全開状態での第1筐体と第2筐体の対向部に沿って配備されているフック構造を示す拡大断面図である。
【図24】図24は、第2ディスプレイのホルダー部材から第2ディスプレイと前面キャビネットを分解した状態を示す斜視図である。
【図25】図25は、第2ディスプレイのホルダー部材とフレーム部材の分解斜視図である。
【図26】図26は、第2ディスプレイのホルダー部材から第2ディスプレイと前面キャビネットを分解した状態を図24とは異なる方向から見た斜視図である。
【図27】図27は、第2ディスプレイの拡大斜視図である。
【図28】図28は、図27のB−B線に沿う拡大断面図である。
【図29】図29は、第2ディスプレイを第1筐体側へ押圧する機構を示す断面図である。
【図30】図30は、第1ディスプレイを第2筐体側へ押圧する機構を示す断面図である。
【図31】図31は、全開状態における第1ディスプレイと第2ディスプレイの近接状態を示す断面図である。
【図32】図32は、本発明に係る携帯型電子機器の全閉状態からチルト状態を経てスライド全開状態に至る過程の前半を示す一連の側面図である。
【図33】図33は、同上の過程の後半を示す一連の側面図である。
【図34】図34は、本発明に係る携帯型電子機器のスライド全開状態からチルト状態を経て全閉状態に至る過程の前半を示す一連の側面図である。
【図35】図35は、同上の過程の後半を示す一連の側面図である。
【図36】図36は、第2筐体の凸部が連結部材の貫通孔に係合する直前の状態を示す断面図である。
【図37】図37は、第2筐体の凸部が連結部材の貫通孔に係合した状態を示す断面図である。
【図38】図38は、第2筐体の背面に形成されている逃げ面の領域を表わす斜視図である。
【図39】図39は、両筐体の全閉状態における逃げ面の傾斜状態を模式的に表わす図である。
【図40】図40は、全閉状態からチルト状態への移行過程における第2筐体の推移を示す図である。
【図41】図41は、ヒンジユニットの正面図である。
【図42】図42は、ヒンジユニットの一部破断正面図である。
【図43】図43は、ヒンジユニットに内蔵されたカム機構のカム曲線の第1例とその機能を説明する図である。
【図44】図44は、ヒンジユニットに内蔵されたカム機構のカム曲線の第2例とその機能を説明する図である。
【図45】図45は、マグネットと磁気センサーの動作を説明する図である。
【図46】図46は、本発明に係る携帯型電子機器をチルト状態(a)及びスライド全開状態(b)にて机上に置いた状態を示す側面図である。
【図47】図47は、第1筐体に形成された凸部と第2筐体に形成された凹部の形状を示す拡大断面図である。
【図48】図48は、スライド全開状態からチルト状態へ直接に移行する過程の第1段階を示す断面図である。
【図49】図49は、スライド全開状態からチルト状態へ直接に移行する過程の第2段階を示す断面図である。
【図50】図50は、スライド全開状態からチルト状態へ直接に移行する過程の第3段階を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態である携帯型電子機器は、図1〜図8に示す如く、表面に第1表示面(11)を有する第1筐体(1)と、表面に第2表示面(21)を有する第2筐体(2)とが、連結機構(3)を介して互いに連結されている。ここで、第1表示面(11)及び第2表示面(21)には、画像だけでなく文字又は映像を表示することが出来る。
又、図2の如く、第1筐体(1)の背面には電池蓋(14)が配備されると共に、該電池蓋(14)から露出させて撮影レンズ(9)が配備されている。
【0017】
尚、以下の説明において携帯型電子機器の構成要素の各部位を特定する場合、図1に示された携帯型電子機器を、図中の矢印Sで示すユーザの視線に沿って見た場合の「前(手前側)」「後」「左」「右」を、他の図面においても、携帯型電子機器の姿勢に拘わらず「前」「後」「左」「右」と呼ぶ。
【0018】
図13に示す如く、第1筐体(1)の内部には、第1表示面(11)に面して第1タッチパネル(13)と第1ディスプレイ(12)が配備され、撮影レンズ(9)に面してカメラ(91)が配備されている。又、第1筐体(1)の内部には電池(15)が収容され、該電池(15)は、電池蓋(14)を取り外すことによって交換が可能となっている。
一方、第2筐体(2)の内部には、第2表示面(21)に面して第2タッチパネル(23)と第2ディスプレイ(22)が配備されている。
【0019】
第1タッチパネル(13)の表面には、第1ディスプレイ(12)及び第1タッチパネル(13)よりも大きな広さのガラス板(16)が設置され、該ガラス板(16)の表面が第1表示面(11)となって第1ディスプレイ(12)の画像が映出される。
又、第2タッチパネル(23)の表面には、第2ディスプレイ(22)及び第2タッチパネル(23)よりも大きな広さのガラス板(24)が設置され、該ガラス板(24)の表面が第2表示面(21)となって第2ディスプレイ(22)の画像が映出される(図20参照)。
尚、第1筐体(1)に設置されたガラス板(16)の両側に、第1筐体(1)の表面(110)(110)が露出している。
【0020】
本発明に係る携帯型電子機器は、図1及び図2に示す如く第1筐体(1)の表面を第2筐体(2)の裏面によって覆うと共に第2筐体(2)の表面のみを露出させた全閉状態と、図3及び図4に示す如く第2筐体(2)を後方へ移動させることによって両筐体(1)(2)の表面を露出させ且つ第1筐体(1)の表面に対して第2筐体(2)の表面を90度以上、180度未満の開き角度で傾斜させたチルト状態と、図5及び図6に示す如く第2筐体(2)を後方へ回動させることによって両筐体(1)(2)の表面を同一平面上に露出させた回動全開状態と、図7及び図8に示す如く両筐体(1)(2)の表面を同一平面上に露出させた状態で第2筐体(2)を第1筐体(1)側へスライドさせたスライド全開状態の4つの状態を選択的に設定することが出来る。
【0021】
第1筐体(1)と第2筐体(2)とを互いに連結する連結機構(3)は、図9及び図10に示す如く、左右に伸びるアーム連結部(32a)の両端部に、前後方向に伸びる左右一対の連結アーム(31)(31)を突設してなるU字状の連結部材(32)を具えている。
連結アーム(31)は、両筐体の表示面に直交する面上でL字形状に屈曲するL字状を呈し、該L字形状の角部にて互いに交叉する第1アーム部(35)と第2アーム部(36)から構成されている。
【0022】
右側の連結アーム(31)の基端部(第1アーム部(35)の基端部)は、後述の如くスプリング付きのカム機構を内蔵したヒンジユニット(4)を介して、第1筐体(1)の右側面後方端部に連結され、左側の連結アーム(31)の基端部(第1アーム部(35)の基端部)は、カム機構を内蔵しないダミーのヒンジユニット(41)を介して、第1筐体(1)の左側面後方端部に連結されている。
【0023】
又、右側の連結アーム(31)の先端部(第2アーム部(36)の先端部)は、第1のヒンジ部材(5)を介して、第2筐体(2)の背面右端部に連結され、左側の連結アーム(31)の先端部(第2アーム部(36)の先端部)は、第2のヒンジ部材(51)を介して、第2筐体(2)の背面左端部に連結されている。
【0024】
ヒンジユニット(4)(41)は連結アーム(31)の基端部を第1筐体(1)に連結する第1枢軸を構成する一方、ヒンジ部材(5)(51)は連結アーム(31)の先端部を第2筐体(2)に連結する第2枢軸を構成し、第1枢軸と第2枢軸は互いに平行となっている。
【0025】
又、各連結アーム(31)の第2アーム部(36)には、第2筐体(2)との対向部に、摺接面(311)が形成されると共に、第2筐体(2)には、全閉状態で摺接面(311)と対向する摺接受け面(211)が形成されている。
【0026】
第1筐体(1)に内蔵されている電子部品と第2筐体(2)に内蔵されている電子部品とは、フレキシブルリード(7)によって互いに接続されている。該フレキシブルリード(7)は、第1筐体(1)の内部から連結アーム(31)の内部を経て第2筐体(2)の内部へ延びており、第1筐体(1)の内部に収容される第1リード部(71)と、連結アーム(31)の内部に収容される第2リード部(72)と、第2筐体(2)の内部に収容された第3リード部(73)とを有している。
【0027】
フレキシブルリード(7)の長さには、第1筐体(1)と第2筐体(2)の相対移動を許容し得る必要最小限の余裕が設けられている。
これによって、第2筐体(2)は第1筐体(1)に対して図32(a)〜(d)及び図33(a)〜(d)に示す一連の相対移動を行なうことが可能となっている。
【0028】
ヒンジユニット(4)は、図3及び図4に示すチルト状態で第1筐体(1)に対して連結部材(32)を軟係止すると共に、連結部材(32)をチルト状態での回転角度を中心とする一定の角度範囲内でチルト状態での回転角度に向けて付勢している。又、ヒンジユニット(4)は、図5及び図6に示す回動全開状態を含む一定の角度範囲内で連結部材(32)を回動全開状態での回転角度に向けて付勢している。
尚、図5及び図6に示す回動全開状態では、連結部材(32)が第1筐体(1)によって受け止められることにより、連結部材(32)は回動全開状態の回転角度に保持される。
【0029】
具体的には、ヒンジユニット(4)は、図41及び図42に示す様に、互いに相対回転可能な固定カム片(42)と可動カム片(43)を具え、固定カム片(42)に形成されたカム面(45)と可動カム片(43)に形成されたカム面(46)とが互いに対向している。
又、固定カム片(42)と可動カム片(43)の間には、両カム片(42)(43)のカム面(45)(46)を互いに圧接せしめるスプリング(47)が介在しており、該スプリング(47)の付勢と両カム面(45)(46)の摺接によって、両カム片(42)(43)を相対回転させるトルクが発生する。
【0030】
ヒンジユニット(4)の固定カム片(42)と可動カム片(43)はそれぞれ、図9に示す連結アーム(31)の第2アーム部(36)と第1筐体(1)の側部に連結される。
斯くして、連結機構(3)を構成するヒンジユニット(4)には、スプリング付きのカム機構が内蔵され、該ヒンジユニット(4)によって、第1筐体(1)に対する第2筐体(2)の回動に抵抗力或いは付勢力としてのトルクが付与される。
【0031】
ヒンジユニット(4)に内蔵されたカム機構は、図43或いは図44に示すカム曲線に従って動作する。該カム曲線は、0°〜180°の角度範囲内に、2つの山部と、この2つの山部の間に介在する1つの谷部とを有している。
カム曲線の0°側の大きな山部(第1山部)は全閉状態からチルト状態への移行過程で機能し、全閉状態では、該山部の0°側の傾斜部(カム状態P1)によって、第1筐体(1)及び第2筐体(2)を閉じ状態に保持すると共に、全閉状態とチルト状態の中間状態を経た後は、第1筐体(1)及び第2筐体(2)をチルト状態へ向けて付勢するものである。
【0032】
カム曲線の180°側の小さな山部(第2山部)はチルト状態から回動全開状態への移行過程で機能し、回動全開状態では、該山部の180°側の傾斜部(カム状態P3)によって、第1筐体(1)及び第2筐体(2)を回動全開状態に保持するものである。
又、カム曲線の谷部(カム状態P2)によって、第1筐体(1)及び第2筐体(2)がチルト状態に保持される。
【0033】
図43に示す第1例のカム曲線においては、全閉状態にてカム機構が発生すべきトルクは、第2筐体(2)のみを把持して持ち上げたときに第1筐体(1)の自重によってカム機構に作用する第1トルク値T1よりも僅かに大きな値に設定されている。
【0034】
一方、図44に示す第2例のカム曲線は、全閉状態とチルト状態の中間の状態で、第1山部の頂部の直前の傾斜部(カム状態P1′)が機能するものであって、全閉状態とチルト状態の中間の状態でカム機構が発生するトルクは、第2筐体(2)のみを把持して持ち上げたときに第1筐体(1)の自重によってカム機構に作用する第1トルク値T1よりも大きな値に設定されると共に、全閉状態にてカム機構が発生するトルクは、前記トルク値T1よりも小さな第2トルク値T2に設定されている。
【0035】
図9に示す如く、第1のヒンジ部材(5)には、その回転軸(第2枢軸)を中心としてトーションバネ(6)が取り付けられ、該トーションバネ(6)によって第2筐体(2)を、図33(b)に示すチルト状態での開き角度θを縮小する方向に回転付勢している。
【0036】
又、図10に示す如く、第1筐体(1)の両側面後端部には、連結部材(32)の連結アーム(31)(31)の第1アーム部(35)(35)を収容すべき収容部(103)(103)が凹設されている。
一方、第2筐体(2)の背面両側部には、連結部材(32)のアーム連結部(37)と第2アーム部(36)(36)とを収容すべき収容部(204)(203)(203)が凹設されている。
【0037】
更に又、連結部材(32)のアーム連結部(32a)の中央部には、横長の貫通孔(312)が開設される一方、第2筐体(2)には、収容部(204)の中央部に、全閉状態で前記貫通孔(312)に係合すべき横長の凸部(218)が形成されている。
【0038】
第2筐体(2)の両側壁(214)(214)はそれぞれ、全閉状態にて第2筐体(2)の表面から第1筐体(1)側へ向かう高さが大きな第1側壁部(212)と、第2筐体(2)の表面から第1筐体(1)側へ向かう高さが小さな第2側壁部(213)とを有し、左右一対の第1側壁部(212)(212)は、第2筐体(2)の両側の収容部(203)(203)の両側に位置している。
又、第1筐体(1)の表面と対向する第1側壁部(212)の端面と第2側壁部(213)の端面の間には、全閉状態で第1筐体(1)の表面に対して傾斜する指掛かり面(215)が形成されている。
【0039】
又、図10に示す如く、連結部材(32)の両連結アーム(31)(31)にはそれぞれ、第2筐体(2)との対向部に、第2筐体(2)を受け止めるための受け止め面(33)が形成されると共に、第2筐体(2)の背面両端部にはそれぞれ、受け止め面(33)と摺接すべきスライド面(29)が形成されている。
【0040】
図3及び図4に示すチルト状態や、図5及び図6に示す回動全開状態では、第2筐体(2)のスライド面(29)が連結アーム(31)の受け止め面(33)に当接して、連結アーム(31)に対する第2筐体(2)の回動が受け止められ、これによって、チルト状態や回動全開状態における第2筐体(2)の連結アーム(31)に対する相対姿勢が規定されることになる。
【0041】
図12に示す如く、第2筐体(2)の内部に設置された板金部材(28)上には、前後方向にスライドが可能なU字状のスライド部材(83)が配備されると共に、該スライド部材(83)を覆って、U字状の支持部材(81)が固定されている(図14参照)。
図12の如く、スライド部材(83)の左右両端部にはアーム部(84)(84)が突設されている。又、支持部材(81)の左右両端部には摺動ガイド部材(82)(82)が取り付けられている。
【0042】
そして、スライド部材(83)のアーム部(84)(84)が、支持部材(81)の摺動ガイド部材(82)(82)と板金部材(28)との間に挟持されて、板金部材(28)上のスライド部材(83)の前後方向のスライドが案内されている。
前述の第1のヒンジ部材(5)と第2のヒンジ部材(51)はそれぞれ、第2筐体(2)上の長孔(219)を貫通し、その先端部がスライド部材(83)のアーム部(84)(84)の両側部に枢支連結されている。
【0043】
これによって、スライド部材(83)のアーム部(84)(84)に対して第2筐体(2)を前後方向にスライドさせるスライド機構(8)が構成され、第2筐体(2)は、図5及び図6に示す回動全開状態と、図7及び図8に示すスライド全開状態との間で、前後にスライドすることが可能となっている。
【0044】
回動全開状態にて第2筐体(2)と対向することとなる第1筐体(1)の後方端面には、図15の如く回動全開状態における第1筐体(1)の前方端面へ向けて突出する凸部(10)が形成される一方、回動全開状態にて第1筐体(1)と対向することとなる第2筐体(2)の前方端面には、図10に示す如く凹部(20)が形成されており、凸部(10)と凹部(20)は図16(a)(b)(c)に示す如く互いに係脱が可能である。
【0045】
図16(a)に示す回動全開状態では凸部(10)と凹部(20)とは互いに離脱しているが、図16(c)に示すスライド全開状態では、凸部(10)と凹部(20)とが互いに係合し、これによって第1筐体(1)と第2筐体(2)とが互いに連結され、第1表示面(11)と第2表示面(21)とが同一平面上に揃った状態が維持される。
【0046】
具体的には図47に示す様に、凸部(10)は、その上面に第1筐体(1)の表面と平行に形成された第1係合面(10a)と、第2筐体(2)に向かって円弧状に突出する第2係合面(10b)と、凸部(10)の下面に第1筐体(1)の表面と平行に形成された第3係合面(10c)とを有している。
【0047】
又、凹部(20)は、凸部(10)の第1係合面(10a)と摺接可能な第1係合受け面(20a)と、凸部(10)の第2係合面(10b)と対向する第2係合受け面(20b)と、凸部(10)の第3係合面(10c)と摺接可能な第3係合受け面(20c)と、第3係合受け面(20c)から下方へ屈曲して延びる第4係合受け面(20d)とを有している。
【0048】
図16(a)に示す如く回動全開状態では、第1筐体(1)の端面(132)と第2筐体(2)の端面(232)との間には、充分な大きさ(例えば数mm)のギャップTが設けられているが、図16(c)に示す如くスライド全開状態では、両筐体(1)(2)の端面(132)(232)どうしが互いに当接若しくは僅かな距離(例えば0.1mm)をおいて対向することになる。
【0049】
更に上記携帯型電子機器においては、図18〜図21に示す様に、第1筐体(1)の前方端面の左右両端部に一対の凸部(200)(200)が形成されている。凸部(200)の突出高さHは、約0.3mmである。
より具体的には、図22に示す如く第2筐体(2)は、それぞれ合成樹脂製の前面キャビネット(2a)と背面キャビネット(2b)から構成され、一対の凸部(200)(200)は、前面キャビネット(2a)に形成され、前面キャビネット(2a)のガラス板(24)とは該ガラス板(24)の厚さ領域R1からずれた領域R2であって、且つ、図20に示す様に第2ディスプレイ(22)とは該ディスプレイ(22)の幅方向にずれた位置に配置されている。
【0050】
又、図23及び図24に示す如く、第2ディスプレイ(22)は、ステンレス鋼製の板金(板厚0.3mm)からなるホルダー部材(221)上に保持されており、該ホルダー部材(221)が第2筐体(2)の前面キャビネット(2a)に係止されている。
具体的には、ホルダー部材(221)は、図25に示す合成樹脂製の枠状フレーム部材(2c)に係合しており、前記第2ディスプレイが載置されるべき平板部(220)の前方側の端縁には、3つの係合受け片(222)(222)(222)が上向きに突設されている。
【0051】
一方、図23及び図24に示す様に、第2筐体(2)の前面キャビネット(2a)には、第2ディスプレイ(22)の前方側の端縁に沿って延びる側壁(217)が形成され、該側壁(217)の内面に、前記3つの係合受け片(222)(222)(222)に係合すべき3つの係合片(216)(216)(216)が第2ディスプレイ(22)に向けて突設されている。
図23の如く、係合受け片(222)と係合片(216)の係合状態では、係合受け片(222)に開設された孔(223)に係合片(216)が嵌合することによって、第2筐体(2)の前面キャビネット(2a)にホルダー部材(221)が係止される。
例えば、係合片(216)と係合受け片(222)の係合深さ(ホルダー部材(221)の板厚)Aは0.3mmに設定される。
【0052】
図24に示す様に、第2筐体(2)の枠状フレーム部材(2c)には、第2ディスプレイを収容するための収容室(224)が凹設されている。
第2ディスプレイ(22)は、図27及び図28に示す如く、ディスプレイ本体(240)と該ディスプレイ本体(240)の外周部を保持する合成樹脂製の枠体(241)とから構成され、該枠体(241)には、後方側の枠部(242)に、後方へ向けて屈曲する3つの弾性片(243)(243)(243)が一体に成型されている。
【0053】
図29に示す如く収容室(224)に第2ディスプレイ(22)が収容された状態で、各弾性片(243)の先端部は収容室(224)の内周壁(225)に圧接され、弾性片(243)の弾性反発力による押圧力F2によって、第2ディスプレイ(22)が前方(第1筐体側)へ押圧される。
【0054】
又、第1ディスプレイ(22)は、図30に示す如く、ディスプレイ本体(140)と該ディスプレイ本体(140)の外周部を保持する合成樹脂製の枠体(141)とから構成され、該枠体(141)には、前方側の枠部に、前方へ向けて屈曲する3つの弾性片(143)(143)(143)が一体に成型されている。
【0055】
そして、収容室(124)に第1ディスプレイ(12)が収容された状態で、各弾性片(143)の先端部は収容室(124)の内周壁(125)に圧接され、弾性片(143)の弾性反発力による押圧力F1によって、第1ディスプレイ(12)が後方(第2筐体側)へ押圧される。
【0056】
この結果、図31に示す全開状態では、第1ディスプレイ(12)が第2筐体(2)側へ押圧力F1で押圧されると共に、第2ディスプレイ(22)が第1筐体(1)側へ押圧力F2で押圧され、第1ディスプレイ(12)と第2ディスプレイ(22)は、それぞれの収容室(124)(224)内の遊びの範囲内で互いに接近し、両ディスプレイ(12)(22)の間のギャップtは最小化される。
【0057】
更に、図4に示す第2筐体(2)の背面(231)には、全閉状態からチルト状態への移行時に図3に示す第1筐体(1)の表面(110)(110)に沿って移動することとなる下端部(前方側の端部)に、図39に示す逃げ面(230)が形成されており、該逃げ面(230)は、全閉状態にて第1筐体(1)の表面から離間する方向に傾斜している。
又、該逃げ面(230)は、図38にハッチングで示す様に第2筐体(2)の背面(231)の全幅に跨って左右方向に延びる帯状領域に形成されている。
【0058】
図7に示す如く、第1筐体(1)には、右前方端部に磁気センサー(92)が内蔵されると共に、第2筐体(2)には、右前方端部にマグネット(93)が内蔵されており、図45(a)に示す様に、全閉状態では第1筐体(1)の磁気センサー(92)と第2筐体(2)のマグネット(93)とが互いに対向して近接することになる。
【0059】
図45(a)の全閉状態では、磁気センサー(92)がマグネット(93)からの磁気を強く受けてオンとなり、図45(b)に示す様に第2筐体(2)の背面下端部が第1筐体(1)の表面上を摺動して連結アーム(31)が所定の回転角度θ1(例えば21°)に達したとき、磁気センサー(92)はマグネット(93)から離間してマグネット(93)からの磁気が弱まるためにオンからオフとなる。
そして、図45(c)に示す様に連結アーム(31)が所定の回転角度θ1を上回っている状態で、磁気センサー(92)はオフを維持する。
【0060】
第1筐体(1)に内蔵されている制御回路(図示省略)は、磁気センサー(92)からのオン/オフ信号を受けて、図45(a)〜(b)に示す様に連結アーム(31)の回転角度が所定の回転角度θ1未満の場合は、チルト状態での機器制御は開始せず、図45(b)〜(c)に示す様に連結アーム(31)の回転角度が所定の回転角度θ1以上となったとき、チルト状態での機器制御を開始する。
【0061】
又、ヒンジユニット(4)に内蔵されたカム機構に、図44に示す第2例のカム曲線を採用した場合には、前記所定角度θ1は、第2筐体(2)のみを把持して持ち上げることにより両筐体(1)(2)が全閉状態とチルト状態の中間の状態まで開いたときの連結アーム(31)の回転角度よりも僅かに大きく設定される。
【0062】
上記携帯型電子機器によれば、図1及び図2に示す如く第1筐体(1)と第2筐体(2)とが重なって第2表示面(21)のみを露出させた全閉状態と、図3及び図4に示す如く前記全閉状態から第2筐体(2)を後方へ移動させて第1表示面(11)と第2表示面(21)の両方を露出させ且つ第1表示面(11)に対して第2表示面(21)を90度以上、180度未満の開き角度で傾斜させたチルト状態と、図5及び図6に示す如く前記チルト状態から第2筐体(2)を後方へ回動させて第1表示面(11)と第2表示面(21)の両方を同一平面上に露出させた回動全開状態と、図7及び図8に示す如く前記回動全開状態から第2筐体(2)を第1筐体(1)側へスライドさせて第1表示面(11)と第2表示面(21)を互いに接近させた位置で両表示面(11)(21)を同一平面上に露出させたスライド全開状態の4つの状態を選択的に設定することが出来る。
【0063】
図1及び図2に示す全閉状態では、図10に示す第1筐体(1)の収容部(103)(103)に連結アーム(31)(31)の第1アーム部(35)(35)が収容されると共に、第2筐体(2)の収容部(204)(203)(203)には、連結部材(32)のアーム連結部(37)と第2アーム部(36)(36)とが収容されて、連結機構(3)は両筐体(1)(2)の両側面や後方端面から突出することなく、機器全体がコンパクトに収まっている。
又、全閉状態では、図18に示す様に、第1筐体(1)の前方端面と第2筐体(2)の前方端面とが揃い、凸部(200)(200)は、両筐体(1)(2)の前方端面から前方へ向かって突出することになる。
【0064】
図3に示すチルト状態、図5に示す回動全開状態、及び図7に示すスライド全開状態の何れの状態においても、連結機構(3)は略全体が両筐体(1)(2)の背面側に隠れており、ユーザの通常の視線(図1の矢印S)からは、連結機構(3)の突出部分が見え難くなっている。
又、スライド全開状態では、図10に示す第1筐体(1)の収容部(103)(103)に第2筐体(2)の連結アーム(31)(31)の第1アーム部(35)(35)が収容されると共に、第2筐体(2)の凸部(200)(200)が収容されることになる。
【0065】
図32(a)〜(d)及び図33(a)〜(d)に示す様に、上記携帯型電子機器を全閉状態からチルト状態及び回動全開状態を経てスライド全開状態まで移行させる過程で、図32(a)に示す全閉状態で第2筐体(2)を後方へ押圧して僅かに移動させれば、その後は同図(b)〜(d)に示す様に、前記トーションバネ(6)の付勢によって、第2筐体(2)は破線の矢印の如く反時計方向へ回動し、これに伴って連結アーム(31)は実線の矢印の如く時計方向へ回転する。
これによって、第2筐体(2)は第2表示面(21)を上方若しくは斜め上方に向けたまま後方へ移動することになる。
【0066】
ヒンジユニット(4)に内蔵されたカム機構に、図43に示す第1例のカム曲線を採用した場合は、第2筐体(2)のみを把持して持ち上げたとしても、第1筐体(1)の自重によって、両筐体(1)(2)が全閉状態からチルト状態まで開くことはない。
両筐体(1)(2)を全閉状態からチルト状態まで移行させるときは、第1トルク値T1を上回るトルクをカム機構に作用させればよい。
【0067】
一方、ヒンジユニット(4)に内蔵されたカム機構に、図44に示す第2例のカム曲線を採用した場合、第2筐体(2)のみを把持して持ち上げると、第1筐体(1)の自重によって、両筐体(1)(2)が全閉状態とチルト状態の中間の状態まで僅かに開くことはあるが、チルト状態まで大きく開くことはない。
全開状態からチルト状態へ向けて両筐体(1)(2)を開く操作を行なうときは、第2トルク値T2を上回るトルクをカム機構に作用させればよい。従って、図32(a)に示す全閉状態で第2筐体(2)を後方へ押圧する際に必要な押圧力は小さなものとなる。
【0068】
又、第2筐体(2)のみを把持して持ち上げることにより両筐体(1)(2)が全閉状態とチルト状態の中間の状態(カム状態P1′)まで開いたとしても、そのときの連結アーム(31)の回転角度は図45(b)に示す所定角度θ1よりも小さいので、磁気センサー(92)はオフとならず、よってチルト状態での機器制御、例えば第1ディスプレイを起動する制御は開始されない。
従って、無用な機器動作による消費電力の増大を防止することが出来る。
【0069】
上述の如く、全閉状態からチルト状態へ移行する過程で、第34図に示す様に第2筐体(2)は水平姿勢から斜め姿勢へ徐々に姿勢を立ち上げつつ後方へ移動し、この過程で、第2筐体(2)の背面の下端部(前方側の端部)が、第1筐体(1)の表面(110)上を摺動することになる。
【0070】
しかしながら、第2筐体(2)の背面の下端部には逃げ面(230)が形成されているので、この様な逃げ面(230)が形成されていない場合と比較して、第2筐体(2)の背面の下端部が第1筐体(1)の表面(110)上を摺動するときの接触圧は低いものとなる。
従って、全閉状態からチルト状態への移行時に第1筐体(1)の表面(110)が受け得る傷を軽減することが出来る。
【0071】
図18(a)に示す全閉状態から同図(b)の開き状態まで第2筐体(2)を開く場合、一方の手で第1筐体(1)を把持し、他方の手の指先を第2筐体(2)の両側部に掛けて該筐体(2)を他方の手で挟持した状態で、該筐体(2)を斜めの姿勢まで持ち上げる操作を行なうことも可能である。
この際、全閉状態では、図32(a)に示す様に連結アーム(31)の先端部(第2筐体と連結されている部分)が第2筐体(2)の側壁(214)の第1側壁部(212)によって覆われているので、第2筐体(2)を挟持する手の指先は、第2筐体(2)の両側壁(214)(214)に接触することになり、指先に痛みを感じることなく、確実に第2筐体(2)を挟持することが出来る。
【0072】
特に、第1側壁部(212)の端面と第2側壁部(212)の端面の間には指掛かり面(215)が形成されているので、全閉状態で第2筐体(2)を手の指先で挟持するとき、指先を指掛かり面(215)に掛けることが出来、これによって第2筐体(2)を確実に持ち上げることが出来る。
【0073】
その後、図32(d)の状態を少し過ぎた時点で、前記ヒンジユニット(4)の付勢によって、連結アーム(31)は図33(a)の如く更に時計方向へ回転し、同図(b)の如くチルト状態の回転角度にて軟係止される。又、第2筐体(2)は前記トーションバネ(6)の付勢によって反時計方向に回動し、前記スライド面(29)が連結アーム(31)の受け止め面(33)に当接することによって、図33(b)に示すチルト状態の姿勢に保持される。
【0074】
従って、ユーザは、図32(a)に示す全閉状態で第2筐体(2)を後方へ押圧して僅かに移動させるだけで、その後は図33(b)に示すチルト状態まで自動的に第2筐体(2)が移動することになる。
【0075】
次に、図33(b)に示すチルト状態で第2筐体(2)を後方へ押圧して、連結アーム(31)を僅かに時計方向へ回転させれば、その後は、第2筐体(2)のスライド面(29)が連結アーム(31)の受け止め面(33)に当接したまま、連結アーム(31)が前記ヒンジユニット(4)の付勢によって図33(c)に示す回動全開状態の回転角度まで回転し、この回転角度で第1筐体(1)によって受け止められる。
この連結アーム(31)の回転に伴って第2筐体(2)は後方へ向けて回動し、最終的に第1表示面(11)と第2表示面(21)とが同一平面上に揃うことになる。
【0076】
更に、図33(c)に示す回動全開状態から第2筐体(2)を第1筐体(1)側へ引き寄せれば、図16(a)〜(b)に示す様に、第2筐体(2)のスライド面(29)が連結アーム(31)の受け止め面(33)上を摺動することによって、第2筐体(2)は水平姿勢のまま第1筐体(1)に接近する。
これと同時に、第1筐体(1)の凸部(10)に対して第2筐体(2)の凹部(20)が対向位置にて接近する。
尚、第2筐体(2)のスライド面(29)が連結アーム(31)の受け止め面(33)上を摺動する過程では、前記トーションバネ(6)の付勢力により、スライド面(29)が受け止め面(33)に圧接され、これによって第2筐体(2)の水平姿勢が安定したものとなる。
【0077】
更に第2筐体(2)を第1筐体(1)側へ引き寄せれば、図16(b)〜(c)に示す様に、第2筐体(2)のスライド面(29)が連結アーム(31)の受け止め面(33)から離間し、その直後に、第1筐体(1)の凸部(10)と第2筐体(2)の凹部(20)が係合を開始する。
そして、最終的には、図16(c)に示す如く第1筐体(1)の凸部(10)に第2筐体(2)の凹部(20)が深く係合する。
【0078】
この様にして、第2筐体(2)は図33(d)に示すスライド全開位置まで水平に移動し、第1筐体(1)と当接する。
この結果、図7に示す如く第1表示面(11)と第2表示面(21)とが互いに接近して、両表示面(11)(21)によって1つの大きな画面が形成されることになる。
【0079】
スライド全開状態では、図16(c)の如く第1筐体(1)の凸部(10)と第2筐体(2)の凹部(20)との係合によって、両筐体(1)(2)が互いに連結される。従って、この状態で第2表示面(21)を強くタッチ操作したとしても、第2筐体(2)は第1筐体(1)に対して一定の姿勢に保持されることになる。
【0080】
図17(a)(b)(c)は、全閉状態から回動全開状態を経てスライド全開状態に至る過程のフレキシブルリード(7)の屈曲変形の様子を表わしている。
図17(a)に示す全閉状態では、前述の如く、連結アーム(31)の第2アーム部(36)に形成された摺接面(311)と第2筐体(2)に形成された摺接受け面(211)とが互いに当接して、二点鎖線の矢印で示す方向に第2筐体(2)がスライドすることを阻止している。
【0081】
次に図17(b)に示す回動全開状態では、連結アーム(31)の回動に伴って、フレキシブルリード(7)は、第2リード部(72)と第3リード部(73)の間で大きく屈曲変形している。
そして図17(b)に示す状態から図中に矢印で示す様に第2筐体(2)を前方(図中の左方)へ距離Tだけスライドさせることによって、図17(c)に示すスライド全開状態に至る。この過程でフレキシブルリード(7)は、第2リード部(72)と第3リード部(73)の間の屈曲部が更に大きな曲率となって前方へ変位することになる。
【0082】
上記携帯型電子機器においては、図17(a)に示す全閉状態において第2筐体(2)が図中に鎖線の矢印で示す方向に移動することが阻止されているので、仮にスライド機構(8)の動作によって第2筐体(2)がスライドする場合にフレキシブルリード(7)に与えるべき余裕長さだけ、フレキシブルリード(7)の長さを短縮することが出来る。
【0083】
従って、フレキシブルリード(7)は、図17(a)〜(c)に示す連結アーム(31)の回動に伴うフレキシブルリード(7)の屈曲変形だけを考慮した長さに形成することが出来る。これによって、図17(a)に示す全閉状態でのフレキシブルリード(7)の弛みを必要最小限に抑制することが出来る。
【0084】
上記携帯型電子機器においては、図23に示す如く、合成樹脂製の前面キャビネット(2a)に係合片(216)が一体に突設されると共に、ステンレス鋼製のホルダー部材(221)に係合受け片(222)が一体に突設されているので、合成樹脂製の係合片(216)とステンレス鋼製の係合受け片(222)とが互いに係合することになる。
【0085】
尚、上述の合成樹脂製の係合片とステンレス鋼製の係合受け片からなるフック構造は、第1筐体(1)における第1ディスプレイ(12)の係止にも採用されている(図示省略)。
【0086】
従って、ともに合成樹脂製の係合片と係合受け片とが互いに係合していた従来の構成と比べて、係合受け片が合成樹脂製からステンレス鋼製に変更されたことに伴う板厚の減少分(上述の例では第1筐体側と第2筐体側の両方で約1.0mm)だけ、全開状態における第1ディスプレイ(12)と第2ディスプレイ(22)との間のギャップが小さくなる。
【0087】
然も、上述の如く、第1ディスプレイ(12)と第2ディスプレイ(22)は、前述の弾性片(143)(243)による押圧によって互いに接近し、両ディスプレイ(12)(22)の間のギャップは最小化されている。
従って、図7の如く2つの表示面(11)(21)が同一平面上に揃った状態(スライド全開状態)で両表示面(11)(21)を1つの画面として大画像を表示する場合に、途切れの軽微な良好な画像表示が実現される。
【0088】
上記携帯型電子機器においては、スライド全開状態の第2筐体(2)に対してチルト状態に向かう回動力を加えることにより、第1筐体(1)と第2筐体(2)を、スライド全開状態から回動全開状態を経ることなく直接にチルト状態へ移行させることが出来る。
図34及び図35は、スライド全開状態からチルト状態を経て全閉状態に至る過程において、第2筐体(2)の摺接受け面(211)に対して連結アーム(31)の摺接面(311)が摺動する様子を、第2筐体(2)を基準として表わしたものである。
【0089】
スライド全開状態では、図34(a)に示す如く連結アーム(31)の摺接面(311)と第2筐体(2)の摺接受け面(211)とは互いに離間しており、この状態から連結アーム(31)が矢印の様に回動することにより、図34(b)に示す如く第2筐体(2)の摺接受け面(211)に連結アーム(31)の摺接面(311)が摺接する。
【0090】
その後、連結アーム(31)が図35(d)に示す全閉状態まで回動することにより、図34(b)(c)及び図35(a)〜(d)に示す如く第2筐体(2)の摺接受け面(211)に対して連結アーム(31)の摺接面(311)が摺動し、この摺動に伴うカム機能によって、連結アーム(31)の第2筐体(2)側の枢軸(ヒンジ部材(5)(51))が第2筐体(2)に対して前記スライド機構のスライド方向(図の左方向)へ相対移動を行なう。
【0091】
そして、図35(d)に示す全閉状態では、第2筐体(2)の摺接受け面(211)に連結アーム(31)の摺接面(311)が摺接したまま、連結アーム(31)の第2筐体(2)側の枢軸(ヒンジ部材(5)(51))はスライド移動端に達することになる。
【0092】
上述の如くスライド全開状態からチルト状態を経て全閉状態に至る過程において、第2筐体(2)の摺接受け面(211)に対して連結アーム(31)の摺接面(311)が摺動することにより、第2筐体(2)が連結部材(32)に対して前記スライド機構のスライド方向(図の右方向)へ相対移動を行ない、図35(c)〜(d)に示す最終段階にて、図36及び図37に示す様に、第2筐体(2)の凸部(218)が連結部材(32)の貫通孔(312)に嵌入し、第2筐体(2)の凸部(218)が連結部材(32)の貫通孔(312)と係合することになる。
【0093】
第2筐体(2)の凸部(218)が連結部材(32)の貫通孔(312)と係合した状態では、連結アーム(31)の摺接面(311)と第2筐体(2)の摺接受け面(211)とは互いに摺接した状態を維持し、若しくは連結アーム(31)の摺接面(311)が第2筐体(2)の摺接受け面(211)から僅かに離間した状態となる。
【0094】
従って、全閉状態では、図35(d)に示す如く第2筐体(2)の摺接受け面(211)が連結アーム(31)の摺接面(311)に当接若しくは対向することにより、第2筐体(2)の前方(図の左方向)への移動が阻止されると共に、図37に示す如く第2筐体(2)の凸部(218)の後方端面が連結部材(32)の貫通孔(312)の後方側の内周面に当接することにより、第2筐体(2)の後方(図の右方向)への移動が阻止される。
この様にして、全閉状態における第1筐体(1)に対する第2筐体(2)の位置が一定の位置若しくは一定の範囲内に規定され、第2筐体(2)の位置が確定することになる。
【0095】
上述の如く、上記携帯型電子機器によれば、スライド全開状態の第2筐体(2)に対してチルト状態に向かう回動力を加えて、第2筐体(2)をスライド全開状態から回動全開状態を経ることなく全閉状態へ移行させる操作を行なったとしても、全閉状態では、第1筐体(1)に対して第2筐体(2)を所定の位置に移動させて、第2筐体(2)の凸部(218)を連結部材(32)の貫通孔(312)と係合させることが出来る。
【0096】
尚、上述の例では、第2筐体(2)に凸部(218)を、連結部材(32)に凹部となる貫通孔(312)を設けているが、これに限らず、例えば、第2筐体(2)に凹部を、連結部材(32)に凸部を設けてもよい。又、凹部と凸部に限定されず、全閉状態で第2筐体のスライドを阻止し得る係止構造であればよい。
【0097】
又、上記携帯型電子機器においては、図46(a)の如くチルト状態で机上に置いた場合や、図46(b)の如くスライド全開状態で机上に置いた場合、連結アーム(31)の角部が第1筐体(1)の背面よりも突出して、第1筐体(1)の前方端部と連結アーム(31)の角部とが接地されることになる。
ここで、何れの状態でも図示の如く連結アーム(31)の接地点よりも第1筐体(1)側に重心Gがくる様に、第1筐体(1)と第2筐体(2)に対する部品の配置や連結アーム(31)のL字形状が設計されており、これによって両筐体(1)(2)の姿勢の安定化が図られている。
【0098】
従って、図46(a)の如くチルト状態で机上に置いた場合には、例えば後方の第2筐体(2)のディスプレイを見ながら前方の第1筐体(1)のタッチパネルを操作することが出来る。
【0099】
又、図46(b)の如くスライド全開状態で机上に置いた場合には、連結アーム(31)の角部の突出量に応じて、両表示面(11)(21)が僅かにユーザ側へ向いた姿勢となり、例えば両表示面(11)(21)によって1つの画面を形成して、大画面による画像の鑑賞が可能となる。この場合、両表示面(11)(21)は互いに充分に接近しているので、両表示面(11)(21)には殆ど途切れのない画像を表示することが出来る。
【0100】
更に又、上記携帯型電子機器においては、機器を床面に落下させたとき、第2筐体(2)の前方端面が下向きとなる落下姿勢となった場合には、該前方端面に形成されている一対の凸部(200)(200)の内、何れか一方の凸部(200)が先ず床面と衝突し、その直後に他方の凸部(200)が床面と衝突することになる。
【0101】
ここで、図20に示す様に、第2ディスプレイ(22)は、第2筐体(2)の前方端面に可及的に接近させた配備されており、該第2ディスプレイ(22)を覆ってガラス板(24)が配備されているため、ガラス板(24)の前方端面と第2筐体(2)の前方端面との間の距離は非常に小さくなっており、仮に第2筐体(2)の前方端面に衝撃力が作用した場合、該衝撃力がガラス板(24)に伝わって、ガラス板(24)が破損する場合がある。
【0102】
しかしながら、上記携帯型電子機器においては、一対の凸部(200)(200)が第2筐体(2)のガラス板(24)とは厚さ方向にずれた位置であって、且つ、第2ディスプレイ(22)とは幅方向にずれた位置に配置されており、該凸部(200)がその高さに応じた緩衝作用を発揮するので、凸部(200)が形成されていない前方端面にて床面と衝突した場合と比較して、第2ディスプレイ(22)を覆うガラス板(24)や第2ディスプレイ(22)に作用する衝撃力は、大幅に緩和されることになる。
この結果、衝撃力の作用によるガラス板(24)や第2ディスプレイ(22)の破損が低減されることになる。
【0103】
尚、第1筐体(1)のガラス板(16)に対しても同様に落下による衝撃力が作用することはあるが、全閉状態において第1筐体(1)の後方端面は、図9に示す連結部材(32)によって覆われるため、第1筐体(1)のガラス板(16)への衝撃力を緩和することが出来る。
【0104】
更に上記の携帯型電子機器によれば、図48(a)に示すスライド全開状態において第2筐体(2)に対して回転力だけを与えれば、この状態から回動全開状態を経ることなく直接に、図50図(d)に示すチルト状態まで移行させることが出来る。
【0105】
即ち、図48(a)に示すスライド全開状態では、凸部(10)の第1係合面(10a)と凹部(20)の第1係合受け面(20a)とが互いに当接して、第2筐体(2)が受け止められているが、凸部(10)の第3係合面(10c)と凹部(20)の第3係合受け面(20c)との間には、僅かな隙間が形成されている。
この状態で第2筐体(2)に対して起き上がり方向の回転力を与えると、図48(b)の如く、第1筐体(1)の端面(132)と第2筐体(2)の端面(232)とが互いに当接し、この当接部を中心とする回転トルクが第2筐体(2)に作用することになる。
【0106】
この結果、前記当接部を中心として第2筐体(2)が回転し、これに伴って凸部(10)の第1係合面(10a)上を凹部(20)の第1係合受け面(20a)が摺動し、これによって第2筐体(2)が僅かに後退すると共に傾斜する。そして、前記当接部を中心として第2筐体(2)が更に回転することによって、図49(a)の如く凸部(10)と凹部(20)の係合が浅くなり、凸部(10)の第3係合面(10c)に凹部(20)の第3係合受け面(20c)が摺接する。
【0107】
更に第2筐体(2)に対して回転力を与えると、図49(b)の如く凸部(10)の第2係合面(10b)に沿って凹部(20)の第4係合受け面(20d)が摺動し、これに伴うカム作用によって、第2筐体(2)が第1筐体(1)から離間する方向に押し出される。
【0108】
そして、更に第2筐体(2)に対して回転力を与えると、図49(c)の如く凸部(10)の第2係合面(10b)に沿って凹部(20)の第4係合受け面(20d)が更に摺動し、図49(d)の如く、凹部(20)が凸部(10)から完全に離脱することになる。
上述の如く、図48(a)に示すスライド全開状態において第2筐体(2)に対して回転力を与えることにより、凹部(20)が凸部(10)から離脱する過程では、第2筐体(2)には、第1筐体(1)から離間する水平方向の移動と、チルト状態での傾斜姿勢へ向かう回転とが、同時に進行することになる。
【0109】
更に図50(a)(b)(c)に示す様に第2筐体(2)が回転することによって、第1筐体(1)の端面(132)に沿って第2筐体(2)の端面(232)が摺動し、最終的に図50(d)に示す如くチルト状態に移行する。
尚、第2筐体(2)がスライド全開状態からチルト状態へ移行する過程の後半においては、前記ヒンジユニット(4)のカム作用によって、第2筐体(2)に対してチルト状態へ向かう付勢力が作用するので、第2筐体(2)は自動的にチルト状態まで移行することになる。
【0110】
この様にして、凸部(10)と凹部(20)に形成されている係合面(10a)(10b)(10c)と係合受け面(20a)(20b)(20c)(20d)の係合関係により、図48(a)に示されるスライド全開状態では、両筐体(1)(2)のスライド方向とは直交する上下の相対移動が拘束されると共に、図48(b)から図50(d)に示されるチルト状態への移行過程では、両筐体(1)(2)を互いに離間させつつ第2筐体(2)をチルト状態の傾斜姿勢まで回転させる変位が許容される。
【0111】
上記携帯型電子機器によれば、ユーザは、スライド全開状態からチルト状態へ移行させる際、第2筐体(2)を第1筐体(1)から引き離す操作を行なうことなく単に第2筐体(2)に対して回転力を与える操作を行なうだけで、全開状態から直接にチルト状態へ移行させることが出来るので、スライド全開状態からチルト状態を設定するための操作が簡易なものとなる。
【符号の説明】
【0112】
(1) 第1筐体
(10) 凸部
(10a) 第1係合面
(10b) 第2係合面
(10c) 第3係合面
(11) 第1表示面
(12) 第1ディスプレイ
(16) ガラス板
(110) 表面
(124) 収容室
(125) 内周壁
(143) 弾性片
(2) 第2筐体
(20) 凹部
(20a) 第1係合受け面
(20b) 第2係合受け面
(20c) 第3係合受け面
(20d) 第4係合受け面
(21) 第2表示面
(22) 第2ディスプレイ
(29) スライド面
(24) ガラス板
(211) 摺接受け面
(200) 凸部
(214) 側壁
(215) 指掛かり面
(216) 係合片
(218) 凸部
(221) ホルダー部材
(222) 係合受け片
(223) 孔
(230) 逃げ面
(231) 背面
(224) 収容室
(225) 内周壁
(243) 弾性片
(3) 連結機構
(31) 連結アーム
(35) 第1アーム部
(36) 第2アーム部
(33) 受け止め面
(311) 摺接面
(312) 貫通孔
(4) ヒンジユニット
(42) 固定カム片
(43) 可動カム片
(47) スプリング
(5) ヒンジ部材
(6) トーションバネ
(7) フレキシブルリード
(8) スライド機構
(83) スライド部材
(92) 磁気センサー
(93) マグネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と第2筐体が互いに連結され、両筐体にはそれぞれディスプレイが配備されて、両筐体の表面にそれぞれ露出する表示面が形成され、第1筐体の表示面が第2筐体の背面により覆われて第2筐体の表示面が露出した全閉状態と、両筐体の表示面が同一平面上に露出した全開状態の少なくとも2つの状態を選択的に設定することが可能な携帯型電子機器において、
少なくとも何れか一方の筐体には、ディスプレイを収容するための収容室が形成され、該収容室の内周壁と該収容室に収容されたディスプレイの外周壁との間には、該ディスプレイを全開状態の他方の筐体側へ押圧する押圧機構が配備されていることを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項2】
前記ディスプレイは、ディスプレイ本体と該ディスプレイ本体を包囲する合成樹脂製の枠体とを具え、該枠体には、該ディスプレイを収容する前記収容室の内周壁に向かって突出する複数の弾性片が形成され、該弾性片によって前記押圧機構が構成されている請求項1に記載の携帯型電子機器。
【請求項3】
第1筐体と第2筐体は連結部材を介して互いに連結され、該連結部材の端部と第2筐体との間には、該連結部材の端部に対して第2筐体を回転可能且つスライド可能に支持する支持機構が介在して、前記全開状態で第1筐体と第2筐体を互いに接近離間させることが可能である請求項1又は請求項2に記載の携帯型電子機器。
【請求項4】
前記連結部材は、第1筐体及び第2筐体の両側部に配備された左右一対の連結アームを具え、該連結アームは、その一方の端部が第1枢軸により第1筐体に連結されると共に、他方の端部が前記第1枢軸と平行な第2枢軸により第2筐体に連結されている請求項1乃至請求項3の何れかに記載の携帯型電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate

【図42】
image rotate

【図43】
image rotate

【図44】
image rotate

【図45】
image rotate

【図46】
image rotate

【図47】
image rotate

【図48】
image rotate

【図49】
image rotate

【図50】
image rotate


【公開番号】特開2012−165180(P2012−165180A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23916(P2011−23916)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】