説明

携帯式電源

【課題】規格電池を使用しながら、急速充電における電池の温度上昇による弊害を防止し、全体をコンパクトにする。
【解決手段】携帯式電源は、複数の電池1をセットする装着凹部6をケース2に設けている。装着凹部6は、深さを電池1の外径よりも浅くして、セットされる電池1の上部を開口部から突出させる形状としている。この装着凹部6を開閉するように、水平方向に移動するスライド扉4を連結している。スライド扉4は、閉塞プレート40の両側に側壁41を有し、装着凹部6にセットされる電池表面と側壁41との間に冷却隙間8を設けて、この冷却隙間8を外部に開口する冷却開口9をケース2と閉塞プレート40との間に設けている。携帯式電源は、閉位置にあるスライド扉4が装着凹部6の電池1の脱落を阻止すると共に、冷却開口9と冷却隙間8に流動される空気で電池1を冷却し、スライド扉4を開位置として電池1を装着凹部6に脱着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、PDA(携帯情報端末)、携帯電話、ICプレーヤなどの電子機器に内蔵される電池を緊急充電するのに使用される携帯式電源に関する。
【背景技術】
【0002】
電池を内蔵する携帯式電源は開発されている(特許文献1参照)。この公報に記載される携帯式電源は、図1に示すように、充電する電池を内蔵する電子機器をセットする第1の区画91に上に、電源アセンブリ93を配置する第2の区画92を設けている。電源アセンブリ93は、電池と昇圧回路と充電回路と電池保護回路と電池残量感知回路を備えている。さらに、第2区画92には、充電ソケット94と、コードを介して電子機器に接続して電子機器に電力を供給する電源ソケット95と、コンピュータと電子デバイス間でデータをやりとりするUSBコネクタ96とを設けている。
【特許文献1】特開2005−323486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図1の携帯式電源は、電源アセンブリに内蔵される電池で電子機器に電力を供給する。このとき、電源アセンブリの電池が放電されて電子機器の電池を充電する。携帯式電源は、接続する電子機器の内蔵電池を短時間で急速充電して便利に使用できる。電子機器に内蔵される電池を短時間で急速充電するには、内蔵電池の充電電流を大きく、すなわち携帯式電源の電池の放電電流を大きくする必要がある。とくに、電池を脱着自在にセットする携帯式電源は、電池の放電電流が大きくなる。それは、脱着自在にセットされる単三電池などの規格電池の電圧が1.2V〜1.5Vと低いことから、電子機器に内蔵される電池を充電するために電圧を昇圧して供給するからである。たとえば、電池の電圧を2倍に昇圧して、電子機器に出力するとき、電池の放電電流は電子機器の電池を充電する電流の2倍となる。このことから、脱着できる電池でもって、外部に接続される電子機器の電池を充電する携帯式電源は、電池の放電電流が相当に大きく、とくに、電子機器の電池を急速充電する携帯式電源にあっては、さらに電池の放電電流が大きくなる。電池は大電流で放電されて温度が上昇するので、効率よく冷却して温度による特性の低下を防止することが大切である。とくに、この主の用途に最適なニッケル水素電池は、温度が上昇して電気特性が低下することから、効率よく冷却して大電流による温度上昇を少なくすることが大切である。図1に示す携帯式電源は、電池を効率よく冷却することが難しく、脱着できる電池で外部に接続される電子機器に内蔵される電池を短時間で急速充電できない。
【0004】
また、単三電池などの規格電池がセットされる携帯式電源は、複数の電池を直列に接続して出力電圧を高くできる。ただ、複数の電池をセットして外部の電子機器の電池を充電する構造にあっては、各々の電池を均一に冷却することが難しくなる。とくに、非常時に携帯電話等の電子機器を充電する携帯式電源は、持ち運びながら電子機器の電池を充電することから、全体をコンパクトにすることが要求されるが、全体をコンパクトにしながら各々の電池を効率よく均一に冷却するは極めて難しい。
【0005】
携帯式電源は、電池をリチウムイオン電池として電圧を高くできる。ただ、リチウムイオン電池は、単三電池などの規格電池がなく、脱着できる電池とすることができない。脱着できる単三電池などの規格電池は、電圧は低いが非常時には一次電池をセットして外部に接続される電子機器の電池を充電することができる。電池を交換できない携帯式電源は、外部に電子機器を接続してこれに内蔵される電池を充電するには、内蔵する電池を常に充電状態とする必要がある。電池が充電されない状態にあると、外部に接続する電子機器に電力を供給できないからである。これに対して、電池を脱着できる携帯式電源は、万一電池が充電された状態にない緊急時には、一次電池をセットし、あるいは別に充電された電池をセットして便利に使用できる。このため、非常時に便利に使用できる特徴がある。ただ、脱着できる電池は電圧が低くて、放電電流が大きくなる弊害がある。
【0006】
本発明は、携帯式電源に要求される以上の難しい課題を解決することを目的として開発されたもので、本発明の重要な目的は、単三電池などの規格電池を脱着できる状態で使用しながら、大電流による急速充電においても、電池の温度上昇を少なくして電池の温度上昇による弊害を防止でき、しかも全体をコンパクトにできる携帯式電源を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の携帯式電源は、前述の目的を達成するために以下の構成を備える。
携帯式電源は、充電できる複数の電池1を脱着自在にセットできる装着凹部6を有するケース2と、このケース2に設けられて外部の電子機器に接続されるコネクタ3と、このコネクタ3に電池1の電圧を調整して出力し、かつケース2に内蔵されてなる電圧調整回路50とを有する。ケース2の装着凹部6は、複数の電池1を水平面内に平行に並べて収納でき、かつ上方を開口してなる凹部形状であって、凹部の深さを電池1の外径よりも浅くして、セットされる電池1の上部を開口部から突出させる形状としている。さらに、この装着凹部6を開閉するように、装着凹部6の開口部の両側に沿う水平方向にのみ移動できるようにスライド扉4を連結している。このスライド扉4は、装着凹部6の開口部を閉塞すると共に、装着凹部6にセットされる電池1が外れるのを阻止する閉塞プレート40の両側に、ケース2に移動自在に連結してなる側壁41を有する。さらにまた、スライド扉4は、装着凹部6にセットされる電池表面と側壁41との間に冷却隙間8を設けると共に、この冷却隙間8を外部に開口するように、ケース2と閉塞プレート40との間に冷却開口9を設けている。携帯式電源は、閉位置にあるスライド扉4が、閉塞プレート40で装着凹部6の電池1の脱落を阻止すると共に、装着凹部6にセットされる電池1を冷却開口9と冷却隙間8に流動される空気で冷却し、スライド扉4を開位置として電池1を装着凹部6に脱着する。
【0008】
本発明の請求項2の携帯式電源は、装着凹部6を、単三電池を脱着自在にセットする形状としている。
【0009】
本発明の請求項3の携帯式電源は、装着凹部6にセットされる電池1の長手方向に直交する方向に移動自在に、スライド扉4をケース2に連結している。
【0010】
本発明の請求項4の携帯式電源は、ケース2が、上面の片側部分を装着凹部6として、他の片側部分を電子回路を内蔵する電子回路収納部7としており、閉位置にあるスライド扉4が、電子回路収納部7と装着凹部6の表面を同一平面状に成形してなる閉塞プレート40でカバーしている。
【0011】
本発明の請求項5の携帯式電源は、ケース2のひとつの端面に、複数のコネクタ3を配設している。さらに、本発明の請求項6の携帯式電源は、コネクタ3をUSBコネクタ3Bとしている。
【0012】
さらにまた、本発明の請求項7の携帯式電源は、ケース2に、外部の電源アダプタから直流電力が供給される電源コネクタ3Aと、この電源コネクタ3Aに接続されて、電源コネクタ3Aから供給される電力で装着凹部6にセットされる電池1を充電する充電回路52を内蔵している。
【発明の効果】
【0013】
本発明の携帯式電源は、単三電池などの規格電池を脱着できる状態で使用しながら、大電流による急速充電においても、電池の温度上昇を少なくして電池の温度上昇による弊害を防止でき、しかも全体をコンパクトにできる特徴がある。それは、本発明の携帯式電源が、複数の電池を脱着自在にセットできる装着凹部を有するケースに、外部の電子機器に接続されるコネクタと、このコネクタに電池の電圧を調整して出力する電圧調整回路とを設け、さらに、装着凹部を、複数の電池を水平面内に平行に並べて収納でき、かつ上方を開口してなる凹部形状とし、凹部の深さを電池の外径よりも浅くして、セットされる電池の上部を開口部から突出させる形状とし、さらにまた、装着凹部を開閉するように、装着凹部の開口部の両側に沿う水平方向にのみ移動できるようにスライド扉を連結し、このスライド扉は装着凹部の開口部を閉塞すると共に装着凹部にセットされる電池が外れるのを阻止する閉塞プレートの両側に、ケースに移動自在に連結してなる側壁を設ける構造とし、また、スライド扉には、装着凹部にセットされる電池表面と側壁との間に冷却隙間を設けると共に、この冷却隙間を外部に開口するように、ケースと閉塞プレートとの間に冷却開口を設けて、閉位置にあるスライド扉の閉塞プレートで装着凹部の電池の脱落を阻止すると共に、装着凹部にセットされる電池を冷却開口と冷却隙間に流動される空気で冷却し、スライド扉を開位置として電池を装着凹部に脱着できるようにしているからである。
【0014】
とくに、本発明の請求項2の携帯式電源は、装着凹部を、単三電池を脱着自在にセットする形状とする。この携帯式電源は、規格電池として市販されている単三電池の充電できる電池をセットし、あるいは単三電池の充電できない電池をセットして、外部に接続される電子機器の電池を充電できる。
【0015】
また、本発明の請求項3の携帯式電源は、スライド扉が、装着部にセットされる電池の長手方向に直交する方向に移動自在にケースに連結している。この構造の携帯式電源は、各々の電池を両端から冷却して、電池の温度むらを少なくできる。
【0016】
さらにまた、本発明の請求項4の携帯式電源は、ケースが、上面の片側部分に装着凹部として、他の片側部分を電子回路を内蔵する電子回路収納部としており、閉位置にあるスライド扉が、電子回路収納部と装着凹部の表面を同一平面状に成形してなる閉塞プレートでカバーするようにしている。この携帯式電源は、スライド扉の閉位置で、装着凹部と電子回路収納部の両方をカバーするので外観をスッキリとしてコンパクトにできる。
【0017】
また、本発明の請求項5の携帯式電源は、ケースのひとつの端面に、複数のコネクタを設けているので、各々のコネクタに電子機器や電源アダプタを接続して、便利に使用できる。また、本発明の請求項6の携帯式電源は、コネクタをUSBコネクタとするので、USBコネクタを介して種々の電子機器に接続できる。
【0018】
さらにまた、本発明の請求項7の携帯式電源は、ケースに、外部の電源アダプタから直流電力が供給される電源コネクタと、この電源コネクタに接続されて、電源コネクタから供給される電力で装着凹部にセットされる電池を充電する充電回路を内蔵する。この携帯式電源は、装着凹部に接続する電池を充電しながら、充電された電池で外部に接続され電子機器の電池を充電できる。このため、装着凹部に接続する電池を外部の充電器で充電する必要がなく、便利に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための携帯式電源を例示するものであって、本発明は携帯式電源を以下のものに特定しない。
【0020】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0021】
図2ないし図8に示す携帯式電源は、充電できる複数の電池1を脱着自在にセットできる装着凹部6を有するケース2と、このケース2に設けられて外部の電子機器に接続されるコネクタ3と、このコネクタ3に電池1の電圧を調整して出力し、かつケース2に内蔵されてなる電圧調整回路50とを有する。
【0022】
ケース2は、上面の片側半分に装着凹部6を設けている。装着凹部6は、2本の電池1を水平面内に平行に並べて収納でき、かつ上方を開口している凹部形状としている。図の装着凹部6は、スライド扉4の移動方向に、直交する姿勢で、2本の電池1を収納する。いいかえると、スライド扉4を、装着凹部6にセットされる電池1の長手方向に直交する方向に移動できるようにケース2に連結している。
【0023】
装着凹部6は、凹部の深さを電池1の外径よりも浅くして、セットされる電池1の上部を開口部から突出させる形状としている。図の携帯式電源は、2本の単三電池1を平行に並べてセットする装着凹部6をケース2の上面に設けている。装着凹部6は、2本の円筒形電池1の下面に沿う2列の嵌着溝6Aを平行に設けている。この装着凹部6は、各々の嵌着溝6Aに円筒形電池1を入れて定位置にセットできる。ただし、本発明の携帯式電源は、装着凹部にセットする電池を2本には特定しない。装着凹部は、3本以上の電池、たとえば4本の電池をセットする大きさとすることもできる。
【0024】
図のケース2は、平面形状を四角形として、上面の片側半分に装着凹部6を設けて、残りの片側半分を電子回路を内蔵する電子回路収納部7としている。ケース2は、電子回路収納部7を装着凹部6を設けた部分よりも厚くして、電子回路収納部7の内部に電子回路を内蔵している。電子回路収納部7は、装着凹部6にセットされる電池1の頂上面にほぼ等しい高さとしている。このケース2は、閉塞プレート40を平面状とするスライド扉4で電子回路収納部7と装着凹部6の両方をカバーできる。また、閉位置にあるスライド扉4の閉塞プレート40が、装着凹部6にセットされる電池1の頂上面に接近し、あるいは接触して、これでもって電池1が装着凹部6から外れたり、位置がずれるのを阻止できる。
【0025】
ケース2は、プラスチックで別々に成形している底ケース2Aと、この底ケース2Aの上に連結しているトップケース2Bとを備える。底ケース2Aは、図5に示すように、上方を開口する箱形にプラスチックを成形している。さらに、この底ケース2Aは、四角形の底プレート20の3辺に周壁21を設けた形状に成形している。周壁21は、底プレート20の両側に連結している側壁21Aと、これらの側壁21Aの一端を連結している端面壁21Bからなる。底プレート20の両側に連結している側壁21Aは、底プレート20に連結される下部を湾曲形状に成形して、内側に突出する補強リブ22を一体的に成形して設けている。さらに、底ケース2Aは、3辺の周壁21の内側に回路基板5を入れて定位置に配置している。
【0026】
底ケース2Aは、側壁21Aの上端縁を、トップケース2Bの側壁31Aの下端にインロー構造で連結される。図9はインロー構造で連結する底ケース2Aとトップケース2Bの側壁21A、31Aの連結構造を示す拡大断面図である。このインロー構造は、底ケース2Aの側壁21Aに沿って縦溝23を設け、この縦溝23に嵌入する凸条33をトップケース2Bの側壁31Aに設け、凸条33を縦溝23に入れて連結している。図9の底ケース2Aの側壁21Aの上面に設けている縦溝23は、片側(図9において左側)を開放して、開放部に補強リブ22を突出して設けている。この側壁21Aは、補強リブ22でトップケース2Bの凸条33が内側にずれるのを阻止して、定位置に連結できる。さらに、この図のインロー構造は、トップケース2Bの側壁31Aの下端に外側に突出するように鍔部32を設け、この鍔部32の外側縁に下方に突出する凸条33を設けている。このインロー構造は、鍔部32の上面を超音波ホーンで押圧して、凸条33を縦溝23に確実に超音波溶着できる。この構造は、底ケース2Aの側壁21Aの上面とトップケース2Bの鍔部32が両外側に突出するが、この突出面にスライド扉4を案内して、スライド扉4の外側面を底ケース2Aの側壁21Aの外側面と同一面にできる。
【0027】
トップケース2Bは、上プレート30の周囲に周壁31を連結する形状に成形している。上プレート30は、一方の片側部に四角形の装着凹部6を設けて、他方の片側部を高く成形して、ここを電子回路収納部7としている。装着凹部6の外側部には、電子回路収納部7よりも低くしている段差部35を設けている。図のトップケース2Bは、装着凹部6の両側と冷却開口9を設ける部分の3辺には、所定の幅の段差部35を設けている。図3、及び図6ないし図8に示すように、段差部35は、装着凹部6にセットされる電池1の上部を突出させる高さとしている。装着凹部6の両側に設ける段差部35は、スライド扉4で設けられる冷却隙間8の横幅を特定する。図8の断面図に示すように、スライド扉4の側壁41が段差部35の外側に位置するからである。したがって、段差部35の幅を広くして、冷却隙間8の横幅を広くできる。また、この段差部35の上下位置は冷却隙間8の上下幅を特定する。したがって、段差部35を低くして冷却隙間8の上下幅を広くできる。段差部35は、好ましくは横幅を約5mmとする。ただし、段差部の横幅は、3mm〜10mmとすることもできる。また、段差部35は、電子回路収納部7の表面から約5mm低くして、上下幅を5mmとする冷却開口9を設ける。ただし、段差部は、電子回路収納部の表面から3mm〜10mm低くして、冷却開口を設けることができる。
【0028】
トップケース2Bの周壁31は、底ケース2Aの側壁21Aにインロー構造で連結される側壁31Aと、底ケース2Aの端面壁31Bに連結される端面壁31Bとからなる。図5に示すケース2は、トップケース2Bの側壁31Aと端面壁31Bに、下方に突出する係止片34を設け、底ケース2Aの側壁21Aと端面壁21Bの内面に、この係止片34を係止する係止部24を設けており、両方の周壁21、31を係止構造で連結している。さらに、底ケース2Aとトップケース2Bは、周壁21と周壁31とを超音波溶着して連結され、あるいは接着して連結される。
【0029】
さらに、図5ないし図7に示すケース2は、底ケース2Aの3辺に周壁21を設けてひとつの辺を開口して、この開口辺をトップケース2Bに一体的に成形している端面プレート36で塞いでいる。トップケース2Bは、端面プレート36と上プレート30とのコーナー部に、スライド扉4の終端縁に設けているストッパ凸条42を案内する係止凹部37を設けている。スライド扉4は、閉位置に移動されてストッパ凸条42を係止凹部37に案内する。いいかえると、ストッパ凸条42が係止凹部37に案内されて、スライド扉4は閉位置に停止される。
【0030】
端面プレート36は、複数のコネクタ3を配置している。図のケース2は、ひとつの端面である端面プレート36に複数のコネクタ3を配置している。図のケース2は、2個のコネクタ3を端面プレート36に配置している。コネクタ3は、電源コネクタ3AとUSBコネクタ3Bからなり、ふたつのコネクタ3の間にスイッチ11を設けている。端面プレート36はコネクタ3を配設するためにコネクタ窓38を開口している。このコネクタ窓38の内側に、電源コネクタ3AとUSBコネクタ3Bを固定している。これらのコネクタ3は、コネクタ窓38を貫通する電源プラグやUSBコネクタのプラグを挿入できるように、ケース2に内蔵される回路基板5に固定している。
【0031】
スイッチ11も回路基板5に固定されて、操作部12を端面プレート36に設けたスリット窓39から外部に表出している。スイッチ11は、回路基板5に実装している電池1の残容量検出回路55に表示信号を出力して、残容量を表示させる。残容量検出回路55は、発光ダイオード56等のパイロットランプの点灯色や点灯数で電池1の残容量を表示する。残容量検出回路55は、スイッチ11から表示信号が入力されると、一定の時間、発光ダイオード56を点灯して残容量を表示する。また、スイッチ11は、電圧調整回路50を動作状態に切り換えることもできる。スイッチ11のオンオフ信号で残容量を表示し、また、電圧調整回路50の動作状態を切り換える携帯式電源は、スイッチ11を短く押すと残容量を表示し、スイッチ11を長く押すと電圧調整回路50を動作状態に切り換えることができる。電圧調整回路50は、スイッチ11から入力されるオン信号が設定時間よりも長いことを判定して、動作状態に切り換えられる。この携帯式電源は、スイッチ11を長く押さない状態で電圧調整回路50を動作しない状態に保持できるので、USBコネクタ3Bに電子機器を接続しない状態で、電池1の無駄な消費を防止できる。それは、電圧調整回路50が動作状態にあると負荷に電子機器を接続しない状態で電力を消費するからである。
【0032】
スライド扉4はプラスチック製で、平面状の閉塞プレート40の両側に側壁41を一体的に成形して設けている。閉塞プレート40は、スライド扉4の閉位置において、ケース2に設けている装着凹部6の開口部を閉塞すると共に、装着凹部6にセットされる電池1が外れるのを阻止する。図のスライド扉4は、内面がトップケース2Bの電子回路収納部7の上面に沿う形状として、閉塞プレート40の両側に湾曲するように側壁41を設けている。側壁41は、その下端を、トップケース2Bの段差部35の外側縁に移動できるように連結している。図3と図5の斜視図、及び図8と図9の断面図に示すように、トップケース2Bは、段差部35の外側面に、スライド扉4を移動できるように連結するガイド溝27を設けている。このガイド溝27に沿って移動できるように、スライド扉4は側壁41の下端縁に沿って、内側に突出するガイド凸条43を設けている。ガイド凸条43をガイド溝27に案内し、スライド扉4はケース2に抜けない状態で移動できるように連結される。
【0033】
スライド扉4は、側壁41の下端縁をガイド凸条43でケース2のガイド溝27に連結する構造で、側壁41と電池表面との間に冷却隙間8を設けている。すなわち、電池1は段差部35の内側に配設され、スライド扉4の側壁41は段差部35の外側に配設されることで、側壁41と電池1との間に冷却隙間8を設けている。さらに、スライド扉4は、平面状の閉塞プレート40の両側に側壁41を設ける形状として、冷却隙間8を外部に開口する冷却開口9を、ケース2の段差部35と閉塞プレート40との間に設けている。
【0034】
以上の携帯式電源は、図2と図6に示すように、閉位置にあるスライド扉4の閉塞プレート40でもって、装着凹部6にセットしている電池1の脱落を阻止し、さらに、装着凹部6にセットされる電池1を冷却開口9と冷却隙間8に流す空気で冷却する。また、図3と図7に示すように、スライド扉4を開位置として電池1を装着凹部6に脱着する。
【0035】
ケース2に内蔵される回路基板5は、電池1の正負の端面電極に接続されるリード板10を固定している。リード板10は、弾性変形できる金属板で制作される。図のリード板10は、L字状に折曲されて一方の折曲片を固定部、他方の折曲片を電池1の端面電極に接触される接点部としている。これらのリード板10は、トップケース2Bの装着凹部6の内面に開口して設けた電極窓28から、装着凹部6の内側に表出させている。一方のリード板10Aは、トップケース2Bに設けている一対の保持リブ29で定位置に配置される。一対の保持リブ29は、一方の側壁31Aの内面であって、電極窓28の開口縁部と側壁31Aとの間に、平行で上下に伸びる姿勢で設けられて、その間隔をリード板10Aの幅にほぼ等しくしている。一対の保持リブ29の間に一方のリード板10A、たとえば電池1の正極に接触するリード板10Aを嵌着して、定位置に配置している。また、他方のリード板10Bは、先端部を折り返して折曲部とすると共に、この折曲部に山形凸部を設けて、この山形凸部を電極窓28から装着凹部6の内側に突出させている。このリード板10Bは、たとえば電池1の負極を押圧する状態で端面電極に接触する。
【0036】
さらに、回路基板5に実装する電子回路を図10に示す。この回路基板5は、電源コネクタ3から入力される電力で円筒形電池1を充電する充電回路52と、この充電回路52で充電される電池1の電圧を所定の電圧に安定化して出力する電圧調整回路50であるDC/DCコンバータ51とを備える。充電回路52は、電源コネクタ3Aに接続される電源アダプタから供給される電力で電池1を充電する。電池1をリチウムイオン電池とする携帯式電源にあっては、この充電回路52が定電流定電圧充電して電池を満充電する。また、電池をニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池とする携帯式電源にあっては、充電回路が定電流充電して電池を満充電する。さらに、充電回路52は、電池1の満充電を検出して充電を停止する。
【0037】
回路図に示す携帯式電源は、電池1と電圧調整回路50との間に、電源スイッチ53を接続している。この電源スイッチ53は、スイッチング回路54でオンオフに制御される。スイッチング回路54は、スイッチ11から入力される信号で電源スイッチ53をオンオフに切り変える。スイッチング回路54は、スイッチ11から一定の時間オン信号が入力されると電源スイッチ53をオンに切り換えて、電池1の出力を電圧調整回路50に出力する。この状態で電圧調整回路50は動作状態となって、出力側に接続しているUSBコネクタ3Bに安定化された電力を供給する。スイッチング回路54は、USBコネクタ3Bに接続している電子機器が外されると、USBコネクタ3Bから電子機器が外されたことを、出力電流で検出できる。電子機器が外されると出力電流が0Aとなるからである。
【0038】
さらに、図の回路基板5は、電池1の残容量を検出する残容量検出回路55も実装している。この残容量検出回路55は、電池1の電圧や電池1の電流から残容量を演算して、発光ダイオード56の発光色や点灯個数で残容量を表示する。この残容量検出回路55は、スイッチ11からオン信号が入力されると、発光ダイオード56を点灯して所定の時間にわたって残容量を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】従来の携帯式電源を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例にかかる携帯式電源の斜視図である。
【図3】図2に示す携帯式電源のスライド扉を開いた状態を示す斜視図である。
【図4】図2に示す携帯式電源を下側から見た背面斜視図である。
【図5】図2に示す携帯式電源の分解斜視図である。
【図6】図2に示す携帯式電源のA−A線断面図である。
【図7】図3に示す携帯式電源のA−A線断面図である。
【図8】図6に示す携帯式電源のB−B線断面図である。
【図9】底ケースとトップケースの連結構造を示す拡大断面図である。
【図10】本発明の一実施例にかかる携帯式電源の回路図である。
【符号の説明】
【0040】
1…電池
2…ケース 2A…底ケース
2B…トップケース
3…コネクタ 3A…電源コネクタ
3B…USBコネクタ
4…スライド扉
5…回路基板
6…装着凹部 6A…嵌着溝
7…電子回路収納部
8…冷却隙間
9…冷却開口
10…リード板 10A…リード板
10B…リード板
11…スイッチ
12…操作部
20…底プレート
21…周壁 21A…側壁
21B…端面壁
22…補強リブ
23…縦溝
24…係止部
27…ガイド溝
28…電極窓
29…保持リブ
30…上プレート
31…周壁 31A…側壁
31B…端面壁
32…鍔部
33…凸条
34…係止片
35…段差部
36…端面プレート
37…係止凹部
38…コネクタ窓
39…スリット窓
40…閉塞プレート
41…側壁
42…ストッパ凸条
43…ガイド凸条
50…電圧調整回路
51…DC/DCコンバータ
52…充電回路
53…電源スイッチ
54…スイッチング回路
55…残容量検出回路
56…発光ダイオード
91…第1の区画
92…第2の区画
93…電源アセンブリ
94…充電ソケット
95…電源ソケット
96…USBコネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電できる複数の電池(1)を脱着自在にセットできる装着凹部(6)を有するケース(2)と、このケース(2)に設けられて外部の電子機器に接続されるコネクタ(3)と、このコネクタ(3)に電池(1)の電圧を調整して出力し、かつケース(2)に内蔵されてなる電圧調整回路(50)とを有する携帯式電源であって、
前記ケース(2)の装着凹部(6)は、複数の電池(1)を水平面内に平行に並べて収納でき、かつ上方を開口してなる凹部形状であって、凹部の深さを電池(1)の外径よりも浅くして、セットされる電池(1)の上部を開口部から突出させる形状としており、
さらに、この装着凹部(6)を開閉するように、装着凹部(6)の開口部の両側に沿う水平方向にのみ移動できるようにスライド扉(4)を連結しており、このスライド扉(4)は装着凹部(6)の開口部を閉塞すると共に装着凹部(6)にセットされる電池(1)が外れるのを阻止する閉塞プレート(40)の両側に、ケース(2)に移動自在に連結してなる側壁(41)を有し、
さらに又、スライド扉(4)は、装着凹部(6)にセットされる電池表面と側壁(41)との間に冷却隙間(8)を設けると共に、この冷却隙間(8)を外部に開口するように、ケース(2)と閉塞プレート(40)との間に冷却開口(9)を設けており、
閉位置にある前記スライド扉(4)が、閉塞プレート(40)で装着凹部(6)の電池(1)の脱落を阻止すると共に、装着凹部(6)にセットされる電池(1)を冷却開口(9)と冷却隙間(8)に流動される空気で冷却し、スライド扉(4)を開位置として電池(1)が装着凹部(6)に脱着されるようにしてなる携帯式電源。
【請求項2】
前記装着凹部(6)が、単三電池を脱着自在にセットする形状である請求項1に記載される携帯式電源。
【請求項3】
前記スライド扉(4)が、装着凹部(6)にセットされる電池(1)の長手方向に直交する方向に移動自在にケース(2)に連結されてなる請求項1に記載される携帯式電源。
【請求項4】
前記ケース(2)が、上面の片側部分に装着凹部(6)として、他の片側部分を電子回路を内蔵する電子回路収納部(7)としており、閉位置にある前記スライド扉(4)が、電子回路収納部(7)と装着凹部(6)の表面を同一平面状に成形してなる閉塞プレート(40)でカバーするようにしてなる請求項1に記載される携帯式電源。
【請求項5】
前記ケース(2)のひとつの端面に、複数のコネクタ(3)を配設している請求項1に記載される携帯式電源。
【請求項6】
前記コネクタ(3)がUSBコネクタ(3B)である請求項1に記載される携帯式電源。
【請求項7】
前記ケース(2)に、外部の電源アダプタから直流電力が供給される電源コネクタ(3A)と、この電源コネクタ(3A)に接続されて、電源コネクタ(3A)から供給される電力で装着凹部(6)にセットされる電池(1)を充電する充電回路(52)を内蔵する請求項1に記載される携帯式電源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−131090(P2009−131090A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−305081(P2007−305081)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】