説明

携帯情報端末および電子コンテンツ表示方法

【課題】電子書籍の閲覧において紙媒体の書籍に近い操作感を提供する。
【解決手段】携帯情報端末100は、複数のページに亘りユーザに情報を提示する電子コンテンツについて、当該電子コンテンツの特定のページに記述された情報をディスプレイに表示させる主情報表示制御部60と、本携帯情報端末が所定の標準姿勢から所定の角度以上傾けられた姿勢になった場合、複数のページの裁断面を示す画像を小口画像として表示させる小口表示制御部62と、小口画像に対するユーザのトレース操作を検出する操作検出部56を備える。主情報表示制御部60は、小口画像に対するトレース操作が検出された場合、そのトレース操作により指定された複数のページに記述された情報を順次切り替えて表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、データ処理技術に関し、特に、電子コンテンツをディスプレイに表示する携帯情報端末およびその表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子書籍のデータを内部に記憶し、そのデータをディスプレイに表示させる電子書籍閲覧端末が普及してきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これまでの電子書籍閲覧端末を用いて電子書籍を閲覧する場合、紙媒体の書籍を閲覧する場合の操作とは乖離した操作であり、紙媒体の書籍の閲覧に慣れたユーザにとって必ずしも直感的でない操作が必要になることがあった。本発明者は、電子書籍の閲覧において紙媒体の書籍に近い操作感を提供できるようユーザインタフェースに改善の余地があると考えた。
【0004】
本発明は、こうした本発明者の着想にもとづいてなされたものであり、その主たる目的は、電子書籍の閲覧において紙媒体の書籍に近い操作感を提供するユーザインタフェースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の携帯情報端末は、複数のページに亘りユーザに情報を提示する電子コンテンツについて、当該電子コンテンツの特定のページに記述された情報を本携帯情報端末のディスプレイに表示させる主情報表示制御部と、本携帯情報端末が所定の標準姿勢から所定の角度以上傾けられた姿勢になった場合、複数のページの裁断面を示す画像を小口画像として、特定のページに記述された情報の表示領域とは異なる領域に小口画像を表示させる小口表示制御部と、小口画像に対するユーザのトレース操作を検出する操作検出部と、を備える。主情報表示制御部は、小口画像に対するトレース操作が検出された場合、そのトレース操作により指定された複数のページに記述された情報を順次切り替えて表示させる。
【0006】
本発明の別の態様もまた、携帯情報端末である。この携帯情報端末は、複数のページに亘りユーザに情報を提示する電子コンテンツについて、当該電子コンテンツの特定のページに記述された情報を本携帯情報端末のディスプレイに表示させる主情報表示制御部と、本携帯情報端末が所定の標準姿勢から所定の角度以上傾けられた姿勢になった場合、複数のページの裁断面を示す画像を小口画像として、特定のページに記述された情報の表示領域とは異なる領域に小口画像を表示させる小口表示制御部と、小口画像に対するユーザのタップ操作を検出する操作検出部と、を備える。主情報表示制御部は、小口画像の任意の位置に対するタップ操作が検出された場合、そのタップ位置と予め対応づけられたページに記載された情報を表示させる。
【0007】
本発明のさらに別の態様もまた、携帯情報端末である。この携帯情報端末は、複数のページに亘りユーザに情報を提示する電子コンテンツについて、当該電子コンテンツの特定のページに記述された情報を本携帯情報端末のディスプレイに表示させる主情報表示制御部と、本携帯情報端末が所定の標準姿勢から所定の角度以上傾けられた姿勢になった場合、複数のページの裁断面を示す画像を小口画像として、特定のページに記述された情報の表示領域とは異なる領域に小口画像を表示させる小口表示制御部と、小口画像に対するユーザのトレース操作を検出する操作検出部と、を備える。主情報表示制御部は、小口画像に対するトレース操作が検出された場合、相対的に前のページから相対的に後ろのページへ、もしくは、相対的に後ろのページから相対的に前のページへ、各ページに記述された情報を順次切り替えて表示させる。
【0008】
本発明のさらに別の態様は、電子コンテンツ表示方法である。この方法は、複数のページに亘りユーザに情報を提示する電子コンテンツについて、当該電子コンテンツの特定のページに記述された情報を本携帯情報端末のディスプレイに表示させるステップと、本携帯情報端末が所定の標準姿勢から所定の角度以上傾けられた姿勢になった場合、複数のページの裁断面を示す画像を小口画像として、特定のページに記述された情報の表示領域とは異なる領域に小口画像を表示させるステップと、小口画像に対するユーザのトレース操作を検出するステップと、小口画像に対するトレース操作により指定された複数のページに記述された情報を順次切り替えて表示させるステップと、を携帯情報端末が実行する。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を装置、方法、システム、プログラム、プログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電子書籍の閲覧におけるユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態の携帯情報端末の外観を示す図である。
【図2】実施の形態の説明で使用する用語を定義する図である。
【図3】実施の形態における携帯情報端末の標準姿勢を示す図である。
【図4】本文表示モードにおけるユーザインタフェースを示す図である。
【図5】小口表示モード時の携帯情報端末の姿勢を示す図である。
【図6】小口表示モードにおけるユーザインタフェースを示す図である。
【図7】背表紙表示モード時の携帯情報端末の姿勢を示す図である。
【図8】背表紙表示モードにおけるユーザインタフェースを示す図である。
【図9】天表示モード時の携帯情報端末の姿勢を示す図である。
【図10】天表示モードにおけるユーザインタフェースを示す図である。
【図11】携帯情報端末のハードウェア構成を示す図である。
【図12】携帯情報端末の機能構成を示すブロック図である。
【図13】携帯情報端末の動作を示すフローチャートである。
【図14】図13のS18の小口表示処理を詳細に示すフローチャートである。
【図15】図13のS22の背表紙表示処理を詳細に示すフローチャートである。
【図16】図13のS26の天表示処理を詳細に示すフローチャートである。
【図17】第3の変形例の小口表示モードにおけるユーザインタフェースを示す図である。
【図18】第3の変形例の背表紙表示モードにおけるユーザインタフェースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず本発明の概要について説明する。電子書籍でない紙媒体の書籍(以下、「紙媒体書籍」と呼ぶ。)をユーザが閲覧する場合、ユーザは以下のような操作を行なう。
(a)書籍を傾けて小口を利用してページをめくる。
(b)書籍全体の分量を小口の幅で把握する。
(c)書籍を傾けて天にしおりを挟み、後で読み返す際に利用する。
(d)書籍を傾けて背表紙見て、書籍のタイトル等を確認する。
【0013】
本発明者は、これまでの電子書籍閲覧端末は以下のような問題があり、電子書籍の閲覧において紙媒体書籍の閲覧になれたユーザにとって直感的でない操作、言い換えればユーザにとって違和感のある操作が必要なことがあったと本発明者は認識した。
(a)ページを移動するためのGUI部品が、書籍の本文の上に重ねて表示されるので、電子書籍の閲覧を阻害することがあった。
(b)表示中のページ位置を数値表記で示すため、電子書籍全体のどの部分を閲覧しているかが直感的にわかりにくいことがあった。
(c)しおりの挿入が直感的でなくわかりにくい場合があった。
(d)電子書籍のタイトル等が、書籍の本文の上に重ねて表示されるので、電子書籍の閲覧を阻害することがあった。
【0014】
実施の形態の携帯情報端末は、自端末の姿勢をセンサにより検出し、タッチパネルに対するユーザの操作を検出して、それらの検出内容にもとづいて電子書籍の表示態様を、紙媒体書籍の場合を模した態様に調整する。これにより、電子書籍の閲覧において紙媒体書籍に近い操作感をユーザに提供する。
【0015】
図1は、実施の形態の携帯情報端末100の外観を示す。携帯情報端末100は、ユーザが持ち運び可能な情報処理装置であり、ユーザによる電子書籍の閲覧を支援する。実施の形態における電子書籍は、複数のページに亘りユーザに情報を提示する電子的な書物を意味する。例えば、電子的な文芸書・ビジネス書・漫画・雑誌・写真集・カタログ・チラシ等を含む。携帯情報端末100は、電子書籍閲覧のための専用機であってもよく、汎用的な携帯型ゲーム機や、携帯電話機、スマートフォン、タブレット型情報端末であってもよい。
【0016】
携帯情報端末100はタッチパネル12とディスプレイ10を備え、タッチパネル12はディスプレイ10の全面に亘り配置される。なおディスプレイ10とタッチパネル12が一体的に構成されてよいことはもちろんであり、ディスプレイ10とタッチパネル12を総称する場合、「タッチディスプレイ14」と呼ぶこととする。また携帯情報端末100は、ユーザが携帯情報端末100を操作するための各種ボタンや十字キー等のコントローラ16をさらに備える。ただし実施の形態において、電子書籍の閲覧に関わる操作はタッチパネル12を介して行われる。
【0017】
図2は、実施の形態の説明で使用する用語を定義する図である。同図は、携帯情報端末100の姿勢、言い換えれば、3次元空間内での携帯情報端末100の傾き具合を説明するための定義を示している。Y軸は鉛直方向の軸である。Z軸はY軸に直交する軸であり、携帯情報端末100のユーザが位置する方向の軸である。典型的には電子書籍を閲覧中のユーザの視線方向の軸でもある。X軸は、Y軸およびZ軸に直行する軸である。
【0018】
以下では、X−Z平面においてX軸と携帯情報端末100により形成される角度を「ロール角」と呼ぶ。またY−Z平面においてZ軸と携帯情報端末100により形成される角度を「ピッチ角」と呼ぶ。またX−Y平面においてY軸と携帯情報端末100により形成される角度を「ヨー角」と呼ぶ。なおユーザは+Z方向に存在することとする。ユーザが電子書籍を閲覧中、典型的には、携帯情報端末100のタッチディスプレイ14が+Z方向のユーザに正対した状態となる。
【0019】
図3は、実施の形態における携帯情報端末100の標準姿勢を示す。実施の形態においては、ピッチ角が0°から60°までの間であり、ロール角0°かつヨー角0°を携帯情報端末100の標準姿勢であることとする。
【0020】
携帯情報端末100は、4種類の表示モードを有し、本端末の姿勢の変化に応じてこれらの表示モードを適宜切り替える。4種類の表示モードは、「本文表示モード」、「小口表示モード」、「背表紙表示モード」、「天表示モード」を含む。以下、個々の表示モードについて説明する。
【0021】
図4は、本文表示モードにおけるユーザインタフェースを示す。本文表示モードでは、電子書籍の本文のデータ、すなわち電子書籍に含まれる各ページの記述内容(著作内容とも言える)を表示する領域である本文表示領域20が、タッチディスプレイ14の全面に亘り表示される。図4では、電子書籍の特定の1ページにおける記述内容を示す画像が本文表示領域20に表示された状態を示している。実施の形態において本文表示モードは、後述の小口表示モード、背表紙表示モード、天表示モードのいずれにも該当しない場合に選択されるデフォルトのモードであることとする。
【0022】
また携帯情報端末100では、紙媒体書籍での小口に相当する電子書籍の部分はページの左側と定められている。また紙媒体書籍での背表紙に相当する電子書籍の部分はページの右側と定められている。また紙媒体書籍での天に相当する電子書籍の部分はページの上側と定められている。
【0023】
図5は、小口表示モード時の携帯情報端末100の姿勢を示す。ロール角が−30°以上、−80°以下の値になった場合、携帯情報端末100は小口表示モードとなる。言い換えれば、紙媒体書籍における小口に対応するものとして予め定められた電子書籍の部分(ここでは携帯情報端末100の左側)がユーザに近づく方向にて携帯情報端末100が標準姿勢から所定の角度以上傾けられた場合に小口表示モードへ移行される。
【0024】
図6は、小口表示モードにおけるユーザインタフェースを示す。小口表示モードにおいては、本文表示領域20が本文表示モード時よりも縮小され、本文表示領域20の左側に小口表示領域22が設けられる。小口表示領域22では、紙媒体書籍における小口を模した画像、すなわち紙媒体書籍の場合の複数のページの裁断面を示す画像(以下、「小口画像」とも呼ぶ。)が表示される。小口画像では、既読範囲24と未読範囲26が区別して表示され、その境界は現在ユーザが閲覧しているページの位置を示す。
【0025】
また小口画像の縦方向の各位置は電子書籍の特定のページと対応づけられている。具体的には、小口画像の相対的に上の部分は電子書籍の相対的に前のページと対応し、小口画像の相対的に下の部分は電子書籍の相対的に後ろのページと対応する。言い換えれば、小口画像において下の位置になるほど電子書籍の後ろのページに対応する。ユーザが小口画像の任意の位置をタップすると、本文表示領域20の表示対象が、そのタップ位置に対応するページの内容に切り替わる。
【0026】
またユーザが小口画像に対して指でなぞる操作(以下「トレース操作」とも呼ぶ。)を行うと、本文表示領域20において、トレース操作の開始位置に対応するページから、トレース操作の終了位置に対応するページまで、各ページの内容が順次切り替わる。言い換えれば、トレース操作において小口画像に対して指を最初に触れた位置に対応するページから、指を最終的に離した位置に対応するページまでの間の各ページが順次切り替えて表示される。これにより、ページの内容を確認しながら小口をめくる操作を実現する。
【0027】
また小口画像には、ユーザが指定したページをユーザに示唆するためのページガイド30が表示される。ページガイド30は、ユーザが触れた位置に対応するページが全体のページのどこに位置するかを示すものである。例えば、一連のトレース操作中にユーザが接触位置28aに触れているとき、ページガイド30aが表示され、ユーザが接触位置28bにふれているとき、ページガイド30bが表示される。これにより、ユーザはタップ操作やトレース操作において指定したページが電子書籍全体のどこに位置するかを容易に把握することができる。
【0028】
携帯情報端末100によれば、電子書籍の閲覧において紙媒体書籍の閲覧の場合と近い操作感をユーザに提供することができる。例えば、当該端末をユーザが右に傾けることで紙媒体書籍と同じように、小口画像を表示させ、またユーザのタップ操作で任意のページへ移動し、またトレース操作で複数のページの表示を順次切り替える。また、電子書籍全体の分量および既読・未読の範囲をユーザが直感的に認識しやすくなる。また、小口画像は、書籍の本文とは別領域に表示されるため、書籍本文の閲覧を阻害することがない。また小口画像の縦方向の各位置が電子書籍の特定のページと対応づけられることにより、小口画像の横幅を比較的小さく設定できる。例えばユーザの1本の指が入る程度の横幅があればよい。これにより、本文表示領域20の縮小の程度を抑制でき、小口画像に対するタップ操作・トレース操作と、電子書籍の本文の視認性とを両立させやすくなる。
【0029】
なお、小口画像に対するタップ操作、トレース操作をはじめ、他の表示モードにおけるユーザによるタッチディスプレイ14への操作について、実施の形態ではユーザの指によりなされることとする。変形例として、スタイラス等、所定の入力デバイスを用いてもよいことはもちろんである。
【0030】
図7は、背表紙表示モード時の携帯情報端末100の姿勢を示す。ロール角が+30°以上、+80°以下の値になった場合、携帯情報端末100は背表紙表示モードとなる。言い換えれば、紙媒体書籍における背表紙に対応するものとして予め定められた電子書籍の部分(ここでは携帯情報端末100の右側)がユーザに近づく方向にて携帯情報端末100が標準姿勢から所定の角度以上傾けられた場合に背表紙表示モードへ移行される。この方向は、小口表示モードの条件となる回転方向の反対方向とも言える。
【0031】
図8は、背表紙表示モードにおけるユーザインタフェースを示す。背表紙表示モードにおいては、本文表示領域20が本文表示モード時よりも縮小され、本文表示領域20の右側に背表紙表示領域32が設けられる。背表紙表示領域32では、紙媒体書籍における背表紙を模した画像(以下、「背表紙画像」とも呼ぶ。)が表示される。背表紙画像は、本文表示領域20で表示中の電子書籍に関する情報、例えば電子書籍のタイトル、巻数、著者名を示す情報を含む。
【0032】
携帯情報端末100によれば、当該端末をユーザが左に傾けることで紙媒体書籍と同じように、背表紙画像を表示させて、書籍の関連情報をユーザへ提示することができる。また、背表紙画像は、書籍の本文とは別領域に表示されるため、書籍本文の閲覧を阻害することがない。
【0033】
図9は、天表示モード時の携帯情報端末100の姿勢を示す。ピッチ角が+60°より大きく、かつ90°以下の値になった場合、携帯情報端末100は天表示モードとなる。言い換えれば、紙媒体書籍における天に対応するものとして予め定められた電子書籍の部分(ここでは携帯情報端末100の上側)がユーザに近づく方向にて携帯情報端末100が標準姿勢から所定の角度以上傾けられた場合に天表示モードへ移行される。
【0034】
図10は、天表示モードにおけるユーザインタフェースを示す。天表示モードにおいては、本文表示領域20が本文表示モード時よりも縮小され、本文表示領域20の上側に天表示領域34が設けられる。天表示領域34では、紙媒体書籍における天を模した画像(以下、「天画像」とも呼ぶ。)が表示される。
【0035】
天画像にはユーザが設定したしおりを示すしおりオブジェクト36が追加的に表示される。図10の天画像では、35ページに対して設定されたしおりオブジェクト36aと、180ページに対して設定されたしおりオブジェクト36bを示している。ユーザがしおりオブジェクト36aにタップすると、本文表示領域20の表示対象が35ページの内容に切り替わり、ユーザがしおりオブジェクト36bにタップすると、本文表示領域20の表示対象が180ページの内容に切り替わる。またユーザが天画像に対してトレース操作を行うと、そのときに本文表示領域20で表示対象のページに対する新たなしおりが設定される。
【0036】
携帯情報端末100によれば、当該端末をユーザが垂直に近い状態に傾けた場合、言い換えれば、紙媒体書籍の場合の天がユーザに近づく方向で当該端末をユーザが傾けた場合、紙媒体書籍と同じように天画像を表示させる。そしてユーザは、設定済みのしおりを選択してページを移動することができ、また、閲覧中のページに対して新規のしおりを設定することができる。
【0037】
図11は、携帯情報端末100のハードウェア構成を示す。携帯情報端末100は、タッチディスプレイ14で総称されるディスプレイ10およびタッチパネル12と、電源部40と、CPU42と、メインメモリ44と、フラッシュメモリ46と、姿勢検知センサ48を備える。これらのデバイスはバスを介して直接もしくは間接的に接続される。
【0038】
フラッシュメモリ46は、OS、各種ドライバソフトウェア、および電子書籍の閲覧アプリケーションを保持する。CPU42は、フラッシュメモリ46に格納されたOSにより携帯情報端末100全体を統括的に制御するとともに、閲覧アプリケーションにもとづいて電子書籍の表示処理を実行する。なおCPU42は、積和演算等、グラフィック処理に特化したGPUを含むものであってよい。メインメモリ44は、CPU42で実行されるプログラムモジュールの一時的な格納領域であり、CPU42の処理データが一時的に格納される作業領域としても使用される。メインメモリ44は、例えばRAM等により構成される。電源部40は、ACアダプタや充電池を備え、CPU42の制御にしたがって各デバイスへ電力を提供する。
【0039】
ディスプレイ10は、CPU42の制御にしたがって各種情報を表示する。具体的にはCPU42により指定された電子書籍のデータをビデオ信号に変換し、そのビデオ信号に応じた各種情報を画面表示する。例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであってもよい。タッチパネル12は、不図示の座標検出装置を備え、ユーザの指でタップされたタップ位置、および、ユーザの指でトレースされた軌跡点を検出して、タップ位置およびトレースの軌跡点の位置を示す座標情報をCPU42へ通知する。
【0040】
姿勢検知センサ48は加速度センサを含むものであり、図2で示した3軸における携帯情報端末100の姿勢(例えば回動方向や向き)を検出し、携帯情報端末100の姿勢を示す情報をCPU42へ通知する。携帯情報端末100の姿勢検出には公知の技術が用いられてもよい。姿勢検知センサ48は、携帯情報端末100の姿勢検知の精度を一層高めるために、ジャイロセンサ等、他の種類のセンサをさらに含んで構成されてもよい。
【0041】
図12は、携帯情報端末100の機能構成を示すブロック図である。携帯情報端末100は、ディスプレイ10と、タッチパネル12と、姿勢検知センサ48と、書籍閲覧処理部50と、データ保持部70と、タッチパネルドライバ80と、ディスプレイドライバ82と、センサドライバ84を含む。
【0042】
本明細書のブロック図において示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。実施の形態では、書籍閲覧処理部50は電子書籍の閲覧アプリケーションとしてフラッシュメモリ46に格納され、各機能ブロックに対応するプログラムモジュールがメインメモリ44へ適宜読み出されてCPU42により実行される。またデータ保持部70は、フラッシュメモリ46およびメインメモリ44により実現されてよい。
【0043】
タッチパネルドライバ80、ディスプレイドライバ82およびセンサドライバ84は、ハードウェアとしてのディスプレイ10、タッチパネル12および姿勢検知センサ48と書籍閲覧処理部50とを仲介するドライバソフトウェアである。
【0044】
データ保持部70は、書籍情報保持部72としおり情報保持部74を含む。書籍情報保持部72は、電子書籍のIDと、本文データ(例えば、複数のページそれぞれに記述された文字データ)と、本文以外の当該書籍の関連情報(例えば、書籍のタイトル、巻数、著者名)と、電子書籍の総ページ数とを対応づけて保持する。書籍情報保持部72の各データは、典型的には、電子書籍のデータがインターネットを介してダウンロードされて携帯情報端末100にインストールされた際に格納されるが、実施の形態では予め格納されていることとする。しおり情報保持部74は、しおりのIDと、しおりを設定した電子書籍のIDと、天画像における設定位置を示す座標情報と、しおりを設定したページ番号とを対応づけて保持する。
【0045】
書籍閲覧処理部50は、端末姿勢判定部52と、表示モード決定部54と、操作検出部56と、表示制御部58を含む。端末姿勢判定部52は、姿勢検知センサ48からセンサドライバ84を介して入力された携帯情報端末100の姿勢を示す情報を逐次メインメモリ44へ格納する。そして、その情報にもとづいて図2のX軸・Y軸・Z軸で形成される3次元空間における携帯情報端末100の姿勢を判定する。例えば、携帯情報端末100に作用する重力の方向と携帯情報端末100とがなす角度を算出することにより、ピッチ角・ロール角・ヨー角の大きさを判定する。
【0046】
表示モード決定部54は、端末姿勢判定部52により判定された携帯情報端末100の姿勢にもとづいて電子書籍の表示モードを決定する。具体的には、ロール角が−30°から−80°の場合、小口表示モードに決定し、ロール角が+30°から+80°の場合、背表紙表示モードに決定し、ピッチ角が60°から90°の場合、天表示モードに決定する。携帯情報端末100の姿勢がこれら以外の場合は本文表示モードに決定する。
【0047】
操作検出部56は、タッチパネル12からタッチパネルドライバ80を介して入力された座標情報にもとづいて、タッチパネル12に対するユーザの操作内容を検出する。例えば、小口表示モードにおいては、小口画像に対するユーザの操作がタップ操作とトレース操作のいずれであるかを示す情報をメインメモリ44に格納する。また、タップ操作の場合のタップ位置、トレース操作の場合の開始位置、途中位置、終了位置を検出してメインメモリ44に格納する。また天表示モードにおいては、天画像に対するしおり選択操作としてユーザがタップしたしおりを示す情報をメインメモリ44に格納する。また天画像に対するしおり挿入操作としてユーザがトレースした位置を示す情報をメインメモリ44に格納する。
【0048】
表示制御部58は、表示モード決定部54により決定された表示モードと、操作検出部56により検出されたタッチパネル12に対する操作内容とにしたがって、ディスプレイ10における電子書籍の表示態様を制御する。表示制御部58は、主情報表示制御部60と、小口表示制御部62と、背表紙表示制御部64と、天表示制御部66を含む。
【0049】
主情報表示制御部60は、ディスプレイ10に本文表示領域20を設けて、本文表示領域20に電子書籍の各ページの本文を表示させる。主情報表示制御部60は、本文表示モードにおいてはディスプレイ10の全面に本文表示領域20を設ける。その一方、小口表示モード・背表紙表示モード・天表示モードにおいては、本文表示モード時の本文表示領域20よりも小さく本文表示領域20を設ける。
【0050】
小口表示制御部62は、小口表示モードにおいて、縮小された本文表示領域20と重ならないよう本文表示領域20の左側に小口表示領域22を設け、その小口表示領域22に小口画像を表示させる。小口表示制御部62は、書籍情報保持部72に保持された電子書籍の総ページ数に応じて小口画像全体の厚みを調整する。具体的には、電子書籍の総ページ数が多いほど、多くのページの裁断面を示す小口画像であり、言い換えれば、横に厚い小口画像を表示させる。
【0051】
また小口表示制御部62は、小口モードに移行したときに本文表示領域20に表示中であったページ(以下、「閲覧中ページ」とも呼ぶ。)の位置をユーザが識別可能なよう既読範囲24と未読範囲26の境界を小口画像に設定する。具体的には、電子書籍の先頭ページから閲覧中ページまでに対応する小口画像の部分を既読範囲24として、閲覧中ページの次のページから末尾のページまでに対応する小口画像の部分を未読範囲26として、既読範囲24を未読範囲26と異なる表示態様、例えばグレー色にて表示させる。
【0052】
また小口表示制御部62は、小口画像の相対的に上の部分の座標を、電子書籍の相対的に前のページに対応づけ、小口画像の相対的に下の部分の座標を、電子書籍の相対的に後ろのページに対応づける。実施の形態では、小口画像における特定のY座標に対応するページ=特定のY座標÷小口画像の高さ×書籍の総ページ数(小数点以下切り捨て)、と対応づけられる。特定のY座標は、小口画像の最上部を1として最下部を全ページ数に応じた最大値とした場合の縦位置を示すものである。また小口画像の高さは、例えば小口画像におけるY座標の最大値である。
【0053】
小口表示制御部62は、小口画像に対するタップ操作が検出された場合、そのタップ位置に対応するページを特定し、そのページに対応する小口画像の位置にページガイド30を表示させる。このとき主情報表示制御部60は、タップ位置に対応するページを特定し、そのページの内容を書籍情報保持部72から取得して本文表示領域20に表示させる。この場合、本文表示領域20に表示されるページの番号=タップ位置のY座標÷小口画像の高さ×書籍の総ページ数(小数点以下切り捨て)、となる。
【0054】
小口表示制御部62は、小口画像に対するトレース操作が検出された場合、トレース操作の開始位置に対応するページを特定し、そのページに対応する小口画像の位置にページガイド30を表示させる。また、トレース操作が終了するまでのトレース位置に対応する複数のページを順次特定し、各ページに対応する小口画像の位置にページガイド30を順次表示させる。言い換えれば、小口画像に対するトレース操作が検出された場合、トレース操作の開始位置に対応するページからトレース操作の終了位置に対応するページまでの、各ページに対応する小口画像の位置にページガイド30を順次表示させる。
【0055】
このとき主情報表示制御部60は、トレース操作の開始位置に対応するページを特定し、そのページの内容を書籍情報保持部72から取得して本文表示領域20に表示させる。また、トレース操作が終了するまでのトレース位置に対応する複数のページを順次特定し、各ページの内容を順次切り替えて本文表示領域20に表示させる。言い換えれば、トレース操作の開始位置に対応するページからトレース操作の終了位置に対応するページまでの複数のページの内容を順次切り替えて本文表示領域20に表示させる。
【0056】
具体的には、主情報表示制御部60は、トレース操作に関わるページを以下のように特定し、各ページの内容を順次切り替えて表示させる。
1.トレース操作開始時のページの番号=小口画像における最初のタッチ位置を示すY座標÷小口画像の高さ×書籍の総ページ数(小数点以下切り捨て)
2.トレース操作中のページの番号=小口画像におけるトレース中のタッチ位置を示すY座標÷小口画像の高さ×書籍の総ページ数(小数点以下切り捨て)
3.トレース操作終了時のページの番号=小口画像における最後のタッチ位置を示すY座標÷小口画像の高さ×書籍の総ページ数(小数点以下切り捨て)
トレース操作の終了後は、上記3のページを表示した状態となる。
【0057】
既述したように、小口画像におけるY座標は小口画像の上端を0とし、小口画像の下に行くほど大きな値になる。したがって、主情報表示制御部60は、小口画像上でトレースされた距離が長いほど多くのページの内容を順次切り替えて表示させる。ユーザは多くのページを進めたければ長くトレースすることになり、紙媒体書籍と同様の操作を行うことになる。また、ユーザが小口画像に対して上から下へのトレース操作を行うと、主情報表示制御部60は、電子書籍において相対的に前のページから相対的に後ろのページのそれぞれを順次切り替えて表示させる。その一方、ユーザが小口画像に対して下から上へのトレース操作を行うと、主情報表示制御部60は、電子書籍において相対的に後ろのページから相対的に前のページのそれぞれを順次切り替えて表示させる。
【0058】
背表紙表示制御部64は、背表紙表示モードにおいて、縮小された本文表示領域20とは重ならないよう本文表示領域20の右側に背表紙表示領域32を設け、その背表紙表示領域32に背表紙画像を表示させる。背表紙表示制御部64は、書籍情報保持部72に保持された電子書籍の総ページ数に応じて背表紙画像全体の厚みを調整する。具体的には、電子書籍の総ページ数が多いほど、横幅が厚い背表紙画像を表示させる。
【0059】
背表紙表示制御部64は、主情報表示制御部60により本文表示領域20に表示中の電子書籍のIDをキーとして、その電子書籍のタイトル・巻数・著者名を書籍情報保持部72から取得する。そして、それらのタイトル・巻数・著者名を示す文字列を設定した背表紙画像を表示させる。
【0060】
天表示制御部66は、天表示モードにおいて、縮小された本文表示領域20とは重ならないよう本文表示領域20の上側に天表示領域34を設け、その天表示領域34に天画像を表示させる。天表示制御部66は、書籍情報保持部72に保持された電子書籍の総ページ数に応じて天画像全体の厚みを調整する。具体的には、電子書籍の総ページ数が多いほど、縦幅が厚い天画像を表示させる。
【0061】
天表示制御部66は、主情報表示制御部60により本文表示領域20に表示中の電子書籍のIDをキーとして、その電子書籍に設定済みのしおりの情報(しおりIDと、しおりの設定位置を示すページ番号と座標情報)をしおり情報保持部74から取得する。そして、上記ページ番号を示すしおりの画像を、上記座標情報が示す天画像の位置へ付加的に表示させる。
【0062】
天表示制御部66は、ユーザによる天画像に対する所定のしおり挿入操作、典型的にはトレース操作が検出された場合、本文表示領域20に表示中のページの番号を主情報表示制御部60から取得する。そして、そのページ番号を示すしおりの画像を、操作検出部56により検出されたトレース位置に対応する天画像の位置へ新規に表示させる。天表示制御部66はさらに、しおりのIDを採番し、しおりを挿入した電子書籍(言い換えれば閲覧中の電子書籍)のIDと、しおりIDと、ページ番号と、天画像におけるしおりの位置を示す座標情報とを対応づけてしおり情報保持部74に格納する。
【0063】
主情報表示制御部60は、ユーザによる天画像に対する所定のしおり選択操作、典型的には天画像に設定済みのしおり画像に対するタップ操作が検出された場合、そのしおりと予め対応づけられたページ番号を天表示制御部66から取得する。このページ番号は、ユーザにより選択されたしおりに表示されたページ番号であるとも言える。主情報表示制御部60は、取得したページ番号で特定されるページの内容を書籍情報保持部72から取得して本文表示領域20に表示させる。
【0064】
以上の構成による携帯情報端末100の動作を以下説明する。
図13は、携帯情報端末100の動作を示すフローチャートである。携帯情報端末100において電子書籍の閲覧アプリケーションが起動されなければ(S10のN)、以降の処理をスキップして本図のフローを終了する。電子書籍の閲覧アプリケーションが起動されると(S10のY)、端末姿勢判定部52は携帯情報端末100の姿勢の判定を開始する。主情報表示制御部60は、ユーザにより指定された電子書籍の本文、言い換えれば、特定のページの内容をディスプレイ10全体に表示させる(S14)。
【0065】
端末姿勢判定部52においてロール角−30°〜−80°と判定された場合(S16のY)、表示モード決定部54は小口表示モードへの移行を決定し、表示制御部58は後述の小口表示処理を実行する(S18)。端末姿勢判定部52においてロール角30°〜80°と判定された場合(S16のNかつS20のY)、表示モード決定部54は背表紙表示モードへの移行を決定し、表示制御部58は後述の背表紙表示処理を実行する(S22)。端末姿勢判定部52においてピッチ角が60°〜90°と判定された場合(S20のNかつS24のY)、表示モード決定部54は天表示モードへの移行を決定し、表示制御部58は後述の天表示処理を実行する(S26)。端末姿勢判定部52においてその他の姿勢と判定された場合(S24のN)、表示モード決定部54は本文表示モードへの移行を決定し、主情報表示制御部60は、電子書籍の特定のページの内容をディスプレイ10全体に表示させる(S28)。なお、本段落における「移行」は、それまでの表示モードを「維持」することも含む概念である。
【0066】
電子書籍の閲覧アプリケーションがユーザにより終了された場合(S30のY)、本図のフローを終了する。閲覧アプリケーションの実行が継続される場合(S30のN)、端末姿勢判定部52は再度、携帯情報端末100の姿勢を判定してS16に戻る。例えば、本文表示モードから小口表示モードへ移行後、携帯情報端末100の姿勢が標準姿勢に戻ると、表示モードも小口表示モードから本文表示モードへ戻ることになる。その一方、携帯情報端末100の姿勢が小口表示モードの条件を維持する場合は小口表示モードが維持されることになる。
【0067】
図14は、図13のS18の小口表示処理を詳細に示すフローチャートである。主情報表示制御部60が書籍の本文をディスプレイ10全体に表示させていた場合(S40のY)、主情報表示制御部60は本文表示領域20を縮小させる(S42)。本文表示領域20を縮小表示済みであれば(S40のN)、S42をスキップする。小口画像が未表示の場合(S44のN)、小口表示制御部62は小口表示領域22に小口画像を表示させる(S46)。小口画像を表示済みであれば(S44のY)、S46をスキップする。
【0068】
操作検出部56が小口画像に対するタップ操作を検出すると(S48のY)、主情報表示制御部60はそのタップ位置に対応するページの内容を本文表示領域20に表示させる(S50)。タップ操作が未検出であれば(S48のN)、S50をスキップする。操作検出部56が小口画像に対するトレース操作を検出すると(S52のY)、主情報表示制御部60はそのトレース操作により指定された複数のページについて、各ページの内容を順次切り替えて本文表示領域20に表示させる(S54)。トレース操作が未検出であれば(S52のN)、S54をスキップする。図14には不図示であるが、小口表示制御部62は、タップ操作もしくはトレース操作に関わるページについて、書籍全体での位置を示すページガイド30を小口画像に表示させる。
【0069】
図15は、図13のS22の背表紙表示処理を詳細に示すフローチャートである。主情報表示制御部60が書籍の本文をディスプレイ10全体に表示させていた場合(S60のY)、主情報表示制御部60は本文表示領域20を縮小させる(S62)。本文表示領域20を縮小表示済みであれば(S60のN)、S62をスキップする。背表紙画像が未表示の場合(S64のN)、背表紙表示制御部64は背表紙表示領域32に背表紙画像を表示させる(S66)。背表紙画像を表示済みであれば(S64のY)、S66をスキップする。
【0070】
図16は、図13のS26の天表示処理を詳細に示すフローチャートである。主情報表示制御部60が書籍の本文をディスプレイ10全体に表示させていた場合(S70のY)、主情報表示制御部60は本文表示領域20を縮小させる(S72)。本文表示領域20を縮小表示済みであれば(S70のN)、S72をスキップする。天画像が未表示の場合(S74のN)、天表示制御部66は天表示領域34に天画像を表示させる(S76)。天画像を表示済みであれば(S74のY)、S76をスキップする。閲覧中の電子書籍に対して設定済みのしおりがあれば(S78のY)、天表示制御部66は設定済みのしおりの情報をしおり情報保持部74から取得して、しおり画像を天画像上に付加的に表示させる(S80)。閲覧中の電子書籍に対してしおりが未設定であれば(S78のN)、S80をスキップする。
【0071】
天画像に設定済みのしおりに対するユーザの選択操作を検出した場合(S82のY)、主情報表示制御部60は、そのしおりに対応づけられたページの内容を本文表示領域20に表示させる(S84)。しおりの選択操作が未検出であれば(S82のN)、S84をスキップする。天画像に対する新規のしおりの挿入操作を検出した場合(S86のY)、天表示制御部66は新たなしおりの画像を天画像に表示させるとともに、新たに設定したしおりの情報をしおり情報保持部74へ格納する(S88)。新規のしおりの挿入操作が未検出であれば(S86のN)、S88をスキップする。
【0072】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下変形例を示す。
【0073】
第1の変形例を説明する。実施の形態では、小口画像の縦方向の各位置が電子書籍の特定のページと対応づけられていることとした。変形例では、小口画像の横方向の各位置が電子書籍の特定のページと対応づけられてもよい。例えば、小口画像の相対的に右の部分が電子書籍の相対的に前のページと対応づけられ、小口画像の相対的に左の部分が電子書籍の相対的に後ろのページと対応づけられてもよい。また、小口画像における特定のX座標に対応するページ=特定のX座標÷小口画像の幅×書籍の総ページ数(小数点以下切り捨て)、と対応づけられてもよい。特定のX座標は、先頭ページ部分を1として最終ページ部分を最大値とした場合の縦位置を示すものである。また小口画像の幅は、例えば小口画像におけるX座標の最大値である。
【0074】
この変形例では、ユーザが小口画像に対して右から左へのトレース操作を行うと、主情報表示制御部60は、電子書籍において相対的に前のページから相対的に後ろのページのそれぞれを順次切り替えて表示させる。その一方、ユーザが小口画像に対して左から右へのトレース操作を行うと、主情報表示制御部60は、電子書籍において相対的に後ろのページから相対的に前のページのそれぞれを順次切り替えて表示させる。この変形例においても、電子書籍の閲覧において紙媒体書籍の閲覧の場合と近い操作感をユーザに提供することができる。
【0075】
第2の変形例を説明する。実施の形態では、小口画像の縦方向の各位置が電子書籍の特定のページと対応づけられていることとした。変形例では、小口画像の各位置と電子書籍の特定のページが対応づけられていなくてもよい。この場合、小口画像に対するある一方向(例えば上から下)へのトレース操作が検出された場合、主情報表示制御部60は、電子書籍において相対的に前のページから相対的に後ろのページのそれぞれを順次切り替えて表示させてもよく、現在閲覧中のページからそれより後ろのページへ順次切り替えて表示させてもよい。また、小口画像に対する反対方向(例えば下から上)へのトレース操作が検出された場合、主情報表示制御部60は、電子書籍において相対的に後ろのページから相対的に前のページのそれぞれを順次切り替えて表示させてもよく、現在閲覧中のページからそれより前のページへ順次切り替えて表示させてもよい。
【0076】
さらに第2の変形例の別態様として、小口画像に対するトレース操作が検出された場合、そのトレースの距離が長いほど、主情報表示制御部60は、電子書籍における多くのページを順次切り替えて表示させてもよい。例えば、トレースの距離が複数グループに予め分類され、トレースの距離が長いグループほど多くのページ数と予め対応づけられてもよい。主情報表示制御部60は、トレース操作が検出された場合、そのトレースの距離に対応するグループを特定し、そのグループに対応づけられたページ数分、現在閲覧中のページから順次切り替えて表示させてもよい。トレースの方向に応じて、現在閲覧中のページからそれより後ろのページへ切り替えてもよく、逆に現在閲覧中のページからそれより前のページへ切り替えてもよいことはもちろんである。
【0077】
第3の変形例を説明する。実施の形態では小口表示領域22を本文表示領域20の左側に設け、背表紙表示領域32を本文表示領域20の右側に設けることとした。変形例では、小口表示領域22を本文表示領域20の右側に設け、背表紙表示領域32を本文表示領域20の左側に設けてもよい。この場合、表示モードの切り替え条件も実施の形態に記載した条件とは逆になる。
【0078】
また、電子書籍に関する属性情報として小口の位置もしくは綴じ位置を示す情報が取得された場合は、小口の位置が示す方向もしくは綴じ位置の反対方向に小口表示領域22を設けてもよい。そして小口の位置の反対方向もしくは綴じ位置が示す方向に背表紙表示領域32を設けてもよい。
【0079】
また、表示制御部58(およびそれに含まれる各機能ブロック)は、電子書籍の本文の記述方向を判定してもよい。電子書籍の本文が縦書きであれば、小口表示領域22を本文表示領域20の左側に設け、背表紙表示領域32を本文表示領域20の右側に設けてもよい。その一方、電子書籍の本文が横書きであれば、小口表示領域22を本文表示領域20の右側に設け、背表紙表示領域32を本文表示領域20の左側に設けてもよい。また、電子書籍のコンテンツが洋書であれば、例えば電子書籍の属性情報が洋書であることを示す場合は、小口表示領域22を本文表示領域20の左側に設け、背表紙表示領域32を本文表示領域20の右側に設けてもよい。また、電子書籍のコンテンツが英語表記であれば、例えば電子書籍の属性情報が英語表記であることを示す場合は、小口表示領域22を本文表示領域20の左側に設け、背表紙表示領域32を本文表示領域20の右側に設けてもよい。
【0080】
図17は、第3の変形例の小口表示モードにおけるユーザインタフェースを示す。同図は、横書きのコンテンツを表示する本文表示領域20の右側に小口表示領域22を設ける例を示している。また図17は図6に対応するものであり、同一もしくは対応する要素には図6と同じ符号を付している。この場合、既読範囲24は未読範囲26の左側に位置する。また、小口表示領域22に対する上から下へのトレース操作に伴って、ページガイド30は左から右へ移動する。第3の変形例においては、図7で示したように、ロール角が+30°以上、+80°以下の値になった場合、携帯情報端末100は小口表示モードとなる。
【0081】
図18は、第3の変形例の背表紙表示モードにおけるユーザインタフェースを示す。同図は、横書きのコンテンツを表示する本文表示領域20の左側に背表紙表示領域32を設ける例を示している。また図18は図8に対応するものであり、同一もしくは対応する要素には図8と同じ符号を付している。第3の変形例においては、図5で示したように、ロール角が−30°以上、−80°以下の値になった場合、携帯情報端末100は背表紙表示モードとなる。
【0082】
第4の変形例を説明する。実施の形態では、小口表示モードにおいて携帯情報端末100の姿勢が小口表示モードの条件から外れた場合には他の表示モードへ移行することとした。例えば、小口表示モードにおいて携帯情報端末100の姿勢が標準姿勢となった場合、本文表示モードへ移行することとした。変形例では、小口表示モードにおいて小口画像に対するタップ操作もしくはトレース操作中、すなわち小口画像に対するユーザの指の接触が検出されている間は、表示モード決定部54は、携帯情報端末100の姿勢が小口表示モードの条件から外れた場合でも他の表示モードへの移行を抑制してもよい。言い換えれば、小口表示モードのまま維持してもよい。この変形例によれば、小口画像に対する操作中に、ユーザが意図せず携帯情報端末100の姿勢が変化してしまった場合でも小口表示モードが維持され、ユーザの利便性を向上することができる。
【0083】
第5の変形例を説明する。実施の形態の携帯情報端末100は電子書籍を表示することとしたが、携帯情報端末100の表示対象はこれに限定されない。例えば、複数の写真の画像や、動画の複数のサムネイル画像を、複数のページに亘り表示する電子コンテンツについても携帯情報端末100の表示対象に含まれ、実施の形態で提案した電子コンテンツの表示方法を適用することができる。
【0084】
なお、携帯情報端末100における表示モード変更の条件は、開発者の経験や、携帯情報端末100を使用した実験等により適切な内容が決定されてよい。例えば、実施の形態で記載した閾値とは別の閾値を使用してもよいことはもちろんである。
【0085】
上述した実施の形態および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【0086】
請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【符号の説明】
【0087】
52 端末姿勢判定部、 54 表示モード決定部、 56 操作検出部、 58 表示制御部、 60 主情報表示制御部、 62 小口表示制御部、 64 背表紙表示制御部、 66 天表示制御部、 72 書籍情報保持部、 74 しおり情報保持部、 100 携帯情報端末。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のページに亘りユーザに情報を提示する電子コンテンツについて、当該電子コンテンツの特定のページに記述された情報を本携帯情報端末のディスプレイに表示させる主情報表示制御部と、
本携帯情報端末が所定の標準姿勢から所定の角度以上傾けられた姿勢になった場合、複数のページの裁断面を示す画像を小口画像として、前記特定のページに記述された情報の表示領域とは異なる領域に小口画像を表示させる小口表示制御部と、
前記小口画像に対するユーザのトレース操作を検出する操作検出部と、
を備え、
前記主情報表示制御部は、前記小口画像に対するトレース操作が検出された場合、そのトレース操作により指定された複数のページに記述された情報を順次切り替えて表示させることを特徴とする携帯情報端末。
【請求項2】
前記主情報表示制御部は、前記小口画像に対して所定の一方向へトレース操作がなされた場合、相対的に前のページから相対的に後ろのページへ、各ページに記述された情報を順次切り替えて表示させることを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末。
【請求項3】
前記主情報表示制御部は、前記小口画像に対するトレース操作の開始位置に対応するページに記述された情報を表示させ、トレースの距離が長いほど多くのページに記述された情報を順次切り替えて表示させることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯情報端末。
【請求項4】
前記主情報表示制御部は、前記小口画像に対するトレース操作の開始位置に対応するページから、トレース操作の終了位置に対応するページまでの各ページに記述された情報を順次切り替えて表示させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の携帯情報端末。
【請求項5】
前記電子コンテンツは電子書籍であり、
前記小口表示制御部は、紙媒体の書籍における小口に対応するものとして予め定められた前記電子書籍の部分がユーザに近づく第1の方向にて本携帯情報端末が前記所定の角度以上傾けられた姿勢になった場合、前記小口画像を表示させることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の携帯情報端末。
【請求項6】
本携帯情報端末が所定の標準姿勢から前記第1の方向とは反対の第2の方向にて所定の角度以上傾けられた姿勢になった場合、前記電子書籍に関連する情報を示す画像を背表紙画像として、前記特定のページに記述された情報の表示領域とは異なる領域に背表紙画像を表示させる背表紙表示制御部をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の携帯情報端末。
【請求項7】
複数のページに亘りユーザに情報を提示する電子コンテンツについて、当該電子コンテンツの特定のページに記述された情報を本携帯情報端末のディスプレイに表示させる主情報表示制御部と、
本携帯情報端末が所定の標準姿勢から所定の角度以上傾けられた姿勢になった場合、複数のページの裁断面を示す画像を小口画像として、前記特定のページに記述された情報の表示領域とは異なる領域に小口画像を表示させる小口表示制御部と、
前記小口画像に対するユーザのタップ操作を検出する操作検出部と、
を備え、
前記主情報表示制御部は、前記小口画像の任意の位置に対するタップ操作が検出された場合、そのタップ位置と予め対応づけられたページに記載された情報を表示させることを特徴とする携帯情報端末。
【請求項8】
複数のページに亘りユーザに情報を提示する電子コンテンツについて、当該電子コンテンツの特定のページに記述された情報を本携帯情報端末のディスプレイに表示させる主情報表示制御部と、
本携帯情報端末が所定の標準姿勢から所定の角度以上傾けられた姿勢になった場合、複数のページの裁断面を示す画像を小口画像として、前記特定のページに記述された情報の表示領域とは異なる領域に小口画像を表示させる小口表示制御部と、
前記小口画像に対するユーザのトレース操作を検出する操作検出部と、
を備え、
前記主情報表示制御部は、前記小口画像に対するトレース操作が検出された場合、相対的に前のページから相対的に後ろのページへ、もしくは、相対的に後ろのページから相対的に前のページへ、各ページに記述された情報を順次切り替えて表示させることを特徴とする携帯情報端末。
【請求項9】
複数のページに亘りユーザに情報を提示する電子コンテンツについて、当該電子コンテンツの特定のページに記述された情報を本携帯情報端末のディスプレイに表示させるステップと、
本携帯情報端末が所定の標準姿勢から所定の角度以上傾けられた姿勢になった場合、複数のページの裁断面を示す画像を小口画像として、前記特定のページに記述された情報の表示領域とは異なる領域に小口画像を表示させるステップと、
前記小口画像に対するユーザのトレース操作を検出するステップと、
前記小口画像に対するトレース操作により指定された複数のページに記述された情報を順次切り替えて表示させるステップと、
を携帯情報端末が実行することを特徴とする電子コンテンツ表示方法。
【請求項10】
複数のページに亘りユーザに情報を提示する電子コンテンツについて、当該電子コンテンツの特定のページに記述された情報を本携帯情報端末のディスプレイに表示させる主情報表示制御機能と、
本携帯情報端末が所定の標準姿勢から所定の角度以上傾けられた姿勢になった場合、複数のページの裁断面を示す画像を小口画像として、前記特定のページに記述された情報の表示領域とは異なる領域に小口画像を表示させる小口表示制御機能と、
前記小口画像に対するユーザのトレース操作を検出する操作検出機能と、
を携帯情報端末に実現させ、
前記主情報表示制御機能は、前記小口画像に対するトレース操作が検出された場合、そのトレース操作により指定された複数のページに記述された情報を順次切り替えて表示させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−97549(P2013−97549A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239310(P2011−239310)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(310021766)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (417)
【Fターム(参考)】