説明

携帯情報端末及び携帯情報端末の発電量のモニタリング方法

【課題】携帯情報端末のユーザーが環境と各環境発電装置の発電量との関係を把握し、ユーザーが携帯情報端末の充電に有利な環境を選択することができる携帯情報端末及び発電量のモニタリング方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、環境発電装置11〜14、制御装置2、バッテリ3及び表示装置4を有する。環境発電装置11〜14はそれぞれ異なる環境にて環境発電を行う。制御装置2は、環境発電装置11〜14により発電された電力の充電可能なバッテリ3への供給を制御する。それとともに、制御装置2は、環境発電装置11〜14のそれぞれの発電量を観測する。表示装置4は、制御装置2により観測された環境発電装置11〜14のそれぞれの発電量を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯情報端末及び携帯情報端末の発電量のモニタリング方法に関し、特に環境発電手段により発電を行う携帯情報端末及び携帯情報端末の発電量のモニタリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、携帯情報端末をはじめとする携帯情報端末のバッテリは、AC電源により充電される。そのため、外出先においてバッテリの残高が少なくなると、エンドユーザは、電源の確保が困難である。これに対し、太陽光による発電が可能な携帯情報端末が提案されている(特許文献1及び2)。
【0003】
また、複数の発電手段が搭載され、これらの複数の発電手段のいずれかを適宜選択して、バッテリを充電する携帯用電子機器が提案されている(特許文献3)。
【0004】
さらに、複数の発電手段により発電される電力量を表示し、省エネルギー意識を高め、新エネルギー発電方式に関する啓蒙に資する表示装置が提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−190295号公報
【特許文献2】特開2004−208451号公報
【特許文献3】特開2008−167562号公報
【特許文献4】特開2006−139114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、太陽電池を搭載した携帯情報端末(特許文献1及び2)は、十分な照度の光を受光できる環境でなければ、有効な発電を行うことができない。このため、時刻や場所によって光の照度が変化する状況下においては、有効な発電を行うことができない欠点が存在する。
【0007】
この欠点を克服するには、太陽電池以外の複数の環境発電手段(例えば、受信電波による発電、振動の運動エネルギーを利用した発電など)を搭載し、各環境発電手段を組み合わせて発電を行えばよい。これにより、それぞれの環境発電手段の欠点を相互に補い、変化する環境下においても継続して発電を行うことができる。
【0008】
しかし、環境発電手段を搭載しただけでは、携帯情報端末のユーザーは、環境発電が効率的に行われているかを知ることができない。また、ユーザーが携帯情報端末の配置(置き場所、置く角度など)を選択できる状況に有る場合、携帯情報端末をいかなる環境下に置けば、環境発電を有利に行うことができるのかを知ることはできない。従って、環境発電により効率的にバッテリを充電することができない。
【0009】
本発明は、上記に鑑みて為されたものであり、本発明の目的は、携帯情報端末のユーザーが環境と各環境発電装置の発電量との関係を把握し、ユーザーが携帯情報端末の充電に有利な環境を選択することができる携帯情報端末及び携帯情報端末の発電量のモニタリング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様である携帯情報端末は、充電可能なバッテリと、環境発電を行う第1の環境発電装置と、前記第1の環境発電装置とは異なる環境において環境発電を行う第2の環境発電装置と、前記第1の環境発電装置及び前記第2の環境発電装置により発電された電力の前記バッテリへ供給を制御するとともに、前記第1の環境発電装置の発電量及び前記第2の環境発電装置の発電量を観測する制御装置と、前記制御装置により観測された前記第1の環境発電装置の前記発電量及び前記第2の環境発電装置の前記発電量を表示する表示装置と、を備えるものである。
【0011】
本発明の一態様である携帯情報端末発電量のモニタリング方法は、第1の環境発電装置にて環境発電を行い、第2の環境発電装置にて、前記第1の環境発電装置と異なる環境において環境発電を行い、前記第1の環境発電装置及び前記第2の環境発電装置により発電した電力のバッテリへの供給を制御するとともに、前記第1の環境発電装置の発電量及び前記第2の環境発電装置の発電量を観測し、観測した前記第1の環境発電装置の前記発電量及び前記第2の環境発電装置の前記発電量を表示するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、携帯情報端末のユーザーが環境と各環境発電装置の発電量との関係を把握し、ユーザーが携帯情報端末の充電に有利な環境を選択することができる携帯情報端末及び携帯情報端末の発電量のモニタリング方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態1にかかる携帯情報端末100の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1にかかる携帯情報端末100にAC電源を接続する場合の構成を示す構成図である。
【図3】制御装置2の構成例を表示した携帯情報端末100の構成図である。
【図4】実施の形態1にかかる携帯情報端末100における発電量のモニタリング動作を示すフローチャートである。
【図5】表示装置4における表示画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、実施の形態1にかかる携帯情報端末100の構成を示すブロック図である。図1に示すように、携帯情報端末100は、発電部1、制御装置2、バッテリ3及び表示装置4により構成される。なお、本発明は、バッテリ3の充電にかかるものであるので、例えば基地局との間の送受信を行うための構成等については省略して表示している。
【0015】
発電部1は、複数の環境発電装置を有し、例えば、環境発電装置11〜14を有する。
環境発電装置11は、例えば光発電装置であり、外部環境の光(例えば太陽光など)を受光して発電を行う。環境発電装置12は、例えば電波を利用した発電装置であり、外部環境の電波を電気エネルギーに変換する。環境発電装置13は、例えば振動を利用した発電装置であり、エンドユーザの歩行などにより携帯情報端末に加わる振動の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する。環境発電装置14は、例えば熱を利用した発電装置であり、外部環境から受ける熱を電気エネルギーに変換する。
【0016】
制御装置2は、発電部1とバッテリ3及び表示装置4との間に接続される。発電部1の環境発電装置11〜14のそれぞれで発電された電力は、制御装置2を介して、バッテリ3に供給される。これにより、バッテリ3が充電される。このとき、制御装置2は、例えば環境発電装置11〜14のうち発電量が最大の環境発電装置を選択し、選択した環境発電装置により発電された電力をバッテリ3へ供給することができる。
【0017】
なお、制御装置2は、アダプタを介して、外部のAC電源と接続することができる。図2は、携帯情報端末100にAC電源を接続する場合の構成を示す構成図である。図2に示すように、携帯情報端末100の制御装置2は、アダプタ5を介して、AC電源6と接続される。AC電源6から制御装置2に電力が供給される場合には、制御装置2はAC電源6から供給される電力により、バッテリ3を充電することができる。さらに、環境発電装置11〜14による発電と並行して、AC電源6からの電力をバッテリ3に供給することもできる。
【0018】
制御装置2は、発電部1の環境発電装置11〜14が発電する電力値をリアルタイムで記憶する。そして、環境発電装置11〜14が発電する電力の情報を、表示装置4へ出力する。図3は、制御装置2の構成例を表示した携帯情報端末100の構成図である。制御装置2は、図3に示すように、メモリ21、メモリ22、演算部23、グラフ生成部24により構成される。メモリ22は、環境発電装置11〜14のそれぞれが発電できる最大電力値Wmax11〜14が予め記憶されている。その他の構成は、図1の携帯情報端末100と同様であるので、説明を省略する。
【0019】
続いて、図3及び図4を参照して、携帯情報端末100における発電量のモニタリング動作について説明する。図4は、携帯情報端末100における発電量のモニタリング動作を示すフローチャートである。携帯情報端末100は、ユーザーによるモニタリング動作の開始指示を受けて、発電量のモニタリング動作を開始する(図4のステップS1)。
【0020】
まず、発電部1から制御装置のメモリ21に、環境発電装置11〜14のそれぞれが発電する電力値W11〜14を入力する(ステップS2)。
【0021】
次に、メモリ21が、環境発電装置11〜14のそれぞれが発電する電力値W11〜14を記憶する(ステップS3)。
【0022】
演算部23は、電力値W11〜14及び最大電力値Wmax11〜14を読み込む。そして、環境発電装置11〜14のそれぞれの発電効率を算出し、グラフ生成部24に出力する(ステップS4)。
【0023】
グラフ生成部24は、算出した発電効率に基づいて、環境発電装置11〜14のそれぞれの発電効率を表示するグラフをする(ステップS5)。そして、作成したグラフを、表示装置4へ出力する(ステップS6)。
【0024】
最後に、ユーザーの指示に基づいて、動作を選択する。モニタリング動作を終了する場合には、ステップS8へ進む。モニタリング動作を継続する場合には、ステップS2へ戻る(ステップS7)。
【0025】
他にも、演算部23は、発電部1が発電する電力値(環境発電装置11〜14が発電する電力の総和)を算出することができる。グラフ生成部24は、発電部1が発電する電力に対して、環境発電装置11〜14のそれぞれが発電する電力が占める割合を表示するグラフを作成することができる。
【0026】
表示装置4は、制御装置2から出力される情報に基づいて、環境発電装置11〜14のそれぞれが発電する電力値、発電効率、発電量の内訳などの情報を表示する。図5は、表示装置4における表示画面の例を示す図である。図5に示すように、表示装置4には、環境発電装置11〜14のそれぞれの発電量の内訳を示すグラフ31及び発電効率を示すグラフ32が表示される。よって、携帯情報端末100のユーザーは、表示装置4に表示される情報を基に、最も有利に充電を行うことができる環境に携帯情報端末100を配置することが可能となる。
【0027】
以下、図5を参照して、具体的に説明する。図5によれば、電波による発電の効率はほぼ限界に達している。また、熱による発電の効率は振動による発電の効率よりも大きいが、発電量を比較すると、熱による発電は振動による発電よりも劣る。従って、ユーザーは、より有利にバッテリ3の充電を行うには、光又は振動による発電を重視すべきであると知ることができる。これにより、ユーザーは、携帯情報端末100により大きな照度の光が照射される場所などに携帯情報端末100を配置することにより、バッテリ3を迅速に充電することが可能となる。よって、外出中のためAC電源による充電が行えない場合であっても、複数の環境発電(光、電波、振動及び熱電など)により、効率的にバッテリを充電することができる。
【0028】
従って、本構成及び本モニタリング方法によれば、携帯情報端末のユーザーが環境と各環境発電装置の発電量との関係を把握し、ユーザーが携帯情報端末の充電に有利な環境を選択することができる携帯情報端末及び携帯情報端末の発電量のモニタリング方法を提供することができる。
【0029】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、発電部1に設けられる環境発電装置は4つに限られず、2以上の任意の数とすることができる。
【0030】
また、制御装置2はバッテリ3へ電力を供給する環境発電装置を選択するにあたり、発電量だけでなく、例えば発電効率などに基づいて選択することができる。すなわち、制御装置2は、例えば最大の発電効率を有する環境発電装置を選択してもよい。
【0031】
さらに、制御装置2がバッテリ3へ電力を供給する環境発電装置を選択するに際し、選択する環境発電装置は1つに限られず、2以上の任意の数の環境発電装置を選択してもよい。この場合、選択した2以上の環境発電装置により発電された電力を合算してバッテリ3へ供給することが可能である。このとき、制御装置2は、発電量又は発電効率が大きい順に、2以上の環境発電装置を選択することができる。なお、制御装置2が、複数の環境装置の全てを選択できることは勿論である。
【0032】
また、上述の実施の形態は携帯情報端末について説明したが、上述の実施の形態は、例えば携帯電話、携帯ゲーム機、携帯音楽再生装置、携帯録音装置及びディジタルカメラ装置などの携帯情報端末に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 発電部
2 制御装置
3 バッテリ
4 表示装置
5 アダプタ
6 AC電源
11〜14 環境発電装置
21、22 メモリ
23 演算部
24 グラフ生成部
31、32 グラフ
100 携帯情報端末
S1〜8 ステップ
W11〜14 電力値
Wmax11〜14 最大電力値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電可能なバッテリと、
環境発電を行う第1の環境発電装置と、
前記第1の環境発電装置とは異なる環境において環境発電を行う第2の環境発電装置と、
前記第1の環境発電装置及び前記第2の環境発電装置により発電された電力の前記バッテリへ供給を制御するとともに、前記第1の環境発電装置の発電量及び前記第2の環境発電装置の発電量を観測する制御装置と、
前記制御装置により観測された前記第1の環境発電装置の前記発電量及び前記第2の環境発電装置の前記発電量を表示する表示装置と、を備える、
携帯情報端末。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記第1の環境発電装置の最大発電量及び前記第2の環境発電装置の最大発電量が予め記憶された第1のメモリと、
前記第1の環境発電装置の前記発電量及び前記第2の環境発電装置の前記発電量が格納される第2のメモリと、
前記第1の環境発電装置の前記最大発電量及び前記発電量に基づいて前記第1の環境発電装置の発電効率を算出し、前記第2の環境発電装置の前記最大発電量及び前記発電量に基づいて前記第2の環境発電装置の発電効率を算出する演算部と、を備え、
前記表示装置は、前記第1の環境発電装置の前記発電効率及び前記第2の環境発電装置の前記発電効率を更に表示することを特徴とする、
請求項1に記載の携帯情報端末。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記第1の環境発電装置又は前記第2の環境発電装置により発電された電力を前記バッテリへ供給することを特徴とする、
請求項1又は2に記載の携帯情報端末。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記第1の環境発電装置及び前記第2の環境発電装置のうち、前記発電量又は前記発電効率が大きい一方により発電された電力を前記バッテリへ供給することを特徴とする、
請求項3に記載の携帯情報端末。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記第1の環境発電装置により発電された電力と前記第2の環境発電装置により発電された電力とを合計して前記バッテリへ供給することを特徴とする、
請求項1又は2に記載の携帯情報端末。
【請求項6】
第1の環境発電装置にて環境発電を行い、
第2の環境発電装置にて、前記第1の環境発電装置と異なる環境において環境発電を行い、
前記第1の環境発電装置及び前記第2の環境発電装置により発電した電力のバッテリへの供給を制御するとともに、前記第1の環境発電装置の発電量及び前記第2の環境発電装置の発電量を観測し、
観測した前記第1の環境発電装置の前記発電量及び前記第2の環境発電装置の前記発電量を表示する、
携帯情報端末の発電量のモニタリング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−172377(P2011−172377A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33521(P2010−33521)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】