説明

携帯情報端末

【課題】メモリ容量が少なくても、多値のカラー画像から2階調の白黒画像の印刷データを生成することが可能な携帯情報端末を提供すること。
【解決手段】携帯情報端末では、画像データとして多値のカラー画像が読み込まれたときに(S11:YES)、制御装置が、記憶装置のメモリ残量を確認し(S12)、携帯型プリンターでモノクロの印刷データを印刷する媒体(カット用紙)のサイズとその確認された記憶装置のメモリ残量とに基づいてカラー画像が記憶装置に展開される際に使用可能な最大の色数を決定し(S13)、その決定された色数に低減させる色間引きによりカラー画像を記憶装置のビットマップ上に展開して第1減色処理されたカラー画像を生成し(S15)、その第1減色処理されたカラー画像を2値化することによって記憶装置のビットマップ上に展開された2階調の白黒画像を印刷データとして生成する(S17)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データから印刷データを生成する携帯情報端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像の劣化を防止しながら、原画像の減色処理を行うことできる画像減色装置が提供されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−300412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、原画像の減色処理を行う際に使用されるメモリの使用量については考慮されていないため、携帯情報端末等のメモリ容量が少ない環境下においては、原画像の色数が多くなるほど、メモリ容量が足りなくなる場合が多発し、原画像の減色処理を継続することができず、減色された印刷データを作成することは困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した点を鑑みてなされたものであり、メモリ容量が少なくても、多値のカラー画像から2階調の白黒画像の印刷データを生成することが可能な携帯情報端末を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するためになされた請求項1に係る発明は、画像データから印刷データを生成する携帯情報端末であって、前記画像データや前記印刷データが展開されるメモリと、前記メモリを制御するプロセッサと、を備え、前記プロセッサは、前記画像データとして多値のカラー画像が読み込まれたときに、以下(1)〜(4)の処理を実行し、(1)前記メモリの残量を確認し、(2)前記印刷データのサイズと前記確認された前記メモリの残量とに基づいて前記カラー画像が前記メモリに展開される際に使用可能な最大の色数を決定し、(3)前記決定された色数に低減させる色間引きにより前記カラー画像を前記メモリに展開して減色画像を生成し、(4)前記減色画像を2値化することによって前記メモリに展開された2階調の白黒画像を前記印刷データとして生成する、ことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載する携帯情報端末であって、前記減色画像を生成する際に使用可能な色数と当該色数を前記印刷データのサイズで示すために使用する前記メモリの必要容量とを対応させて記憶させたテーブルを備え、前記プロセッサは、前記(2)の処理を実行するに際して、以下(2−A)〜(2−C)の処理を実行し、(2−A)前記テーブルに記憶された前記メモリの必要容量の中から前記メモリの残量を超えない範囲で前記メモリの残量に最も近いものを特定し、(2−B)前記特定された前記メモリの必要容量に対応する色数を前記テーブルから特定し、(2−C)前記特定された色数を、前記カラー画像が前記メモリに展開される際に使用可能な最大の色数として決定する、ことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載する携帯情報端末であって、前記プロセッサに制御される出力手段を備え、前記プロセッサは、前記(2)の処理を実行するに際して、以下(2−a)〜(2−b)の処理を実行し、(2−a)前記決定された色数が2色であるときは前記(3)以降の処理を中止し、(2−b)前記メモリの残量が不足している旨のメッセージを前記出力手段に出力させる、ことを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載する携帯情報端末であって、前記印刷データのサイズ変更に関する情報を前記プロセッサに送信する入力手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
すなわち、本発明の携帯情報端末では、画像データとして多値のカラー画像が読み込まれたときに、プロセッサが、(1)メモリの残量を確認し、(2)印刷データのサイズとその確認されたメモリの残量とに基づいてカラー画像がメモリに展開される際に使用可能な最大の色数を決定し、(3)その決定された色数に低減させる色間引きによりカラー画像をメモリに展開して減色画像を生成し、(4)その減色画像を2値化することによってメモリに展開された2階調の白黒画像を印刷データとして生成しており、メモリの残量を考慮して決定された色数による減色と、2値化による減色とによって、2回に分けて減色させていることから、メモリ容量が少なくても、多値のカラー画像から2階調の白黒画像の印刷データを生成することが可能である。
【0011】
また、本発明の携帯情報端末では、プロセッサが、上記の(2)印刷データのサイズとその確認されたメモリの残量とに基づいてカラー画像がメモリに展開される際に使用可能な最大の色数を決定するに際して、(2−A)テーブルに記憶されたメモリの必要容量の中からメモリの残量を超えない範囲でメモリの残量に最も近いものを特定し、(2−B)その特定されたメモリの必要容量に対応する色数をテーブルから特定し、(2−C)その特定された色数を、カラー画像がメモリに展開される際に使用可能な最大の色数として決定するので、1回目の減色の際にテーブルによる色数の調整が可能となる。
【0012】
また、本発明の携帯情報端末では、プロセッサが、上記の(2)印刷データのサイズとその確認されたメモリの残量とに基づいてカラー画像がメモリに展開される際に使用可能な最大の色数を決定するに際して、(2−a)決定された色数が2色であるときは上記の(3)以降の処理を中止し、(2−b)メモリの残量が不足している旨のメッセージを出力手段に出力させるので、メモリの残量が僅かな状態で減色を行うことを事前回避できる。
【0013】
また、本発明の携帯情報端末では、印刷データのサイズ変更に関する情報をプロセッサに送信する入力手段を備えているので、2回に分けて行われる減色を、生成された印刷データが印刷される媒体のサイズに適合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る携帯情報端末でモノクロの印刷データを作成するためのプログラムのフローチャートを表した図である。
【図2】同携帯情報端末を含んだ情報システムのブロック図である。
【図3】同携帯情報端末が有する複数のテーブルであって、メモリの必要容量と各画素に使用可能なビット数との関係をモノクロの印刷データを印刷する媒体(カット用紙)のサイズ毎に整理したテーブルを表した図である。
【図4】同携帯情報端末で減色数の決定処理を実行するためのフローチャートを表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る携帯情報端末101を含んだ情報システム1のブロック図である。図2のブロック図に表すように、情報システム1は、携帯型プリンター11や、本実施の形態に係る携帯情報端末101、ネットワークIに加え、そのネットワークIに結ばれた各サーバー201,301〜303,…等で構成される。
【0016】
携帯型プリンター11は、制御装置12や、通信モジュール13、印刷部14、記憶装置15、ROM16、RAM17、電源キー18等を有する。制御装置12は、上記各構成部品等を制御するマイクロコントローラであって、各種制御プログラムを実行するものである。通信モジュール13は、ホスト端末である携帯情報端末101と通信するための装置であって、例えば、Bluetooth(登録商標)、IrDA(赤外線)、USB等の各通信規格を使用する。印刷部14は、プリンタコマンド(印刷指令や印刷データ等)に基づきカット用紙(例えば、A4サイズ)に印刷を行う。記憶装置15には、FLASH・ROM等が使用され、カット用紙に印刷する内容等が記憶される。ROM16は、各種制御プログラム等が記憶されている。RAM17は、各制御プログラムを制御装置12で実行するときの作業領域を提供する。電源キー18は、押下ボタン等が使用される。
【0017】
本実施の形態に係る携帯情報端末101は、携帯電話機・PDA・スマートフォンなどの携帯型の情報端末であって、制御装置102や、通信モジュール103、入力装置104、出力装置105、ネットワーク通信装置106、記憶装置107、ROM108、RAM109等を有する。制御装置102は、上記各構成部品等を制御するマイクロコントローラであって、各種制御プログラムを実行するものである。通信モジュール103は、携帯型プリンター11と通信するための装置であって、例えば、Bluetooth(登録商標)、IrDA(赤外線)、USB等の各通信規格を使用する。入力装置104は、キーパッドに設けられた各種操作ボタン等である。出力装置105は、液晶ディスプレイであり、3インチ程度の大きさのものが使用される。ネットワーク通信装置106は、ネットワークIに接続するための装置である。記憶装置107は、256MB程度のFLASH・ROM等が使用される。ROM108は、各種制御プログラム等が記憶されている。RAM109は、各制御プログラムを制御装置102で実行するときの作業領域を提供する。尚、携帯電話機・スマートフォンなどで音声通話機能を実現する構成等の説明は省略する。
【0018】
ネットワークIは、インターネットである。検索サーバー201は、ネットワークI上で機能するサーチエンジンを組み込んだWeb上の検索サイトである。各サーバー301〜303,…は、ネットワークIで提供されるWeb上の公開サーバーである。各サーバー301〜303,…には、ネットワークIを介して閲覧可能なWebコンテンツ(文書や画像など)が記憶される。
【0019】
図1は、本実施の形態に係る携帯情報端末101でモノクロの印刷データを作成するためのプログラムのフローチャートを表した図である。図1によれば、本実施の形態に係る携帯情報端末101でモノクロの印刷データを作成するためには、先ず、S11において、制御装置102は、多値のカラー画像を読み込んだか否かを判断する。この判断は、ネットワーク通信装置106からの入力信号に基づいて行われる。
【0020】
尚、本実施の形態に係る携帯情報端末101に多値のカラー画像を読み込むには、例えば、ユーザーが、ネットワークIであるインターネット上の検索サーバー201で所望する多値のカラー画像を検索し、その検索結果に基づいて、ネットワークIであるインターネット上の各サーバー301〜303,…のいずれかから読み込む操作を行う。
【0021】
ここで、多値のカラー画像を読み込んでいない場合には(S11:NO)、制御装置102は、このプログラムを終了させる。一方、多値のカラー画像を読み込んでいる場合には(S11:YES)、制御装置102はS12に進む。
【0022】
S12では、メモリ残量のチェック処理が行われる。この処理では、制御装置102は、記憶装置107の未使用領域の残量(メモリ残量)を確認する。このとき、制御装置102は、データ作成のための計算を行うために必要なメモリ領域を除外して、記憶装置107の未使用領域の残量(メモリ残量)を確認する。その後は、制御装置102はS13に進む。
【0023】
S13では、減色数の決定処理が行われる。この処理を、制御装置102は、図4に表されたフローチャートに基づいて実行する。図4は、本実施の形態に係る携帯情報端末101で減色数の決定処理を実行するためのフローチャートを表した図である。図4によれば、本実施の形態に係る携帯情報端末101で減色数の決定処理を実行するためには、先ず、S21において、サイズの確認処理が行われる。この処理では、制御装置102は、例えば、出力装置105である液晶ディスプレイにおいて、モノクロの印刷データを印刷する媒体(カット用紙)のサイズを入力させる旨のメッセージを表示する。ユーザーは、入力装置104であるキーパッドを介して、「A4サイズ」、「A5サイズ」、「A6サイズ」等、携帯型プリンター11で印刷可能なカット用紙のサイズから所望のサイズを入力する。このようにして、制御装置102は、モノクロの印刷データを印刷する媒体(カット用紙)のサイズを確認する。尚、そのサイズは、一つのサイズ(例えば、「A4サイズ」)に予め設定されていてもよい。
【0024】
その後は、S22において、メモリの必要容量の決定処理が行われる。この処理は、制御装置102は、図3に表された複数のテーブル110,111,112,…を使用して、メモリの必要容量を決定する。図3は、メモリの必要容量(MB)と各画素に使用可能なビット数(bit)との関係をモノクロの印刷データを印刷する媒体(カット用紙)のサイズ毎に整理した複数のテーブルである。図3に表された各テーブル110,111,112,…は、ROM108に記憶されている。
【0025】
図3に表されたテーブル110は、モノクロの印刷データを印刷する媒体(カット用紙)のサイズが「A4サイズ」のテーブルである。モノクロの印刷データを印刷する媒体(カット用紙)のサイズが「A4サイズ」の場合には、2400画素×3300画素の印刷データを生成する必要があるので、このテーブル110によると、メモリの必要容量が4MBであれば各画素に使用可能なビット数は4bit、メモリの必要容量が8MBであれば各画素に使用可能なビット数は8bit、メモリの必要容量が16MBであれば各画素に使用可能なビット数は16bit、メモリの必要容量が24MBであれば各画素に使用可能なビット数は24bit、…の関係にある。
【0026】
図3に表されたテーブル111は、モノクロの印刷データを印刷する媒体(カット用紙)のサイズが「A5サイズ」のテーブルである。図3に表されたテーブル111は、モノクロの印刷データを印刷する媒体(カット用紙)のサイズが「A6サイズ」のテーブルである。これらのテーブル111,112においても、メモリの必要容量(MB)と各画素に使用可能なビット数(bit)との関係が整理されている。尚、このようなテーブルは、モノクロの印刷データを印刷する媒体(カット用紙)のサイズが「A4サイズ」、「A5サイズ」、「A6サイズ」以外のものについても、ROM108に記憶されている。
【0027】
すなわち、S22では、制御装置102は、ROM108に記憶されている各テーブル110,111,112,…のうち、上記のS21で確認した(カット用紙の)サイズのテーブルを使用して、その使用するテーブルに記憶されたメモリの必要容量(MB)の中から、上記S21でチェックされた記憶装置107のメモリ残量を超えない範囲でそのメモリの残量に最も近いものを特定する。例えば、上記のS21で確認した(カット用紙の)サイズが「A4サイズ」であり、上記S22でチェックされた記憶装置107のメモリ残量が「10MB」であれば、制御装置102は、テーブル110より、メモリの必要容量として「8MB」を決定する。その後は、制御装置102はS23に進む。
【0028】
S23では、色数の特定処理が行われる。この処理では、制御装置102は、上記のS22で決定されたメモリの必要容量(MB)に対応する各画素に使用可能なビット数(bit)から色数を特定する。例えば、上記のS22で決定されたメモリの必要容量(MB)に対応する各画素に使用可能なビット数が4bitであれば色数は2の4乗である16色であり、各画素に使用可能なビット数が8bitであれば色数は2の8乗である256色であり、各画素に使用可能なビット数が16bitであれば色数は2の16乗である65536色であり、各画素に使用可能なビット数が24bitであれば色数は2の24乗である16777216色である。
【0029】
例えば、上記のS21で確認した(カット用紙の)サイズが「A4サイズ」であり、上記のS22でメモリの必要容量として「8MB」が決定されていたときは、このS23では、制御装置102は、テーブル110より、メモリの必要容量が「8MB」に対応する各画素に使用可能なビット数として8bitを特定し、その特定した8bitにより、256色の色数を特定する。その後は、制御装置102は上記の図1のS14に進む。
【0030】
S14では、ビットマップの領域確保処理が行われる。この処理では、制御装置102は、上記のS22で決定したメモリの必要容量(MB)を記憶装置107に確保して、モノクロの印刷データを作成するための空のビットマップを上記のS22で決定したメモリの必要容量(MB)の大きさで記憶装置107に生成させる。その後は、制御装置102はS15に進む。
【0031】
S15では、第1減色処理が行われる。この処理では、制御装置102は、読み込んでいる多値のカラー画像を、上記のS14で記憶装置107に生成された空のビットマップに、上記のS23で特定された色数に減色(色間引き)させながら展開する。その後は、制御装置102はS16に進む。
【0032】
S16では、編集処理が行われる。この処理では、制御装置102は、上記のS15で第1減色処理されたカラー画像を出力装置105である液晶ディスプレイに表示し、入力装置104であるキーパッドを介したユーザーの編集操作に基づいて、上記のS15で第1減色処理されたビットマップ上のカラー画像に文字データなどを書き込む編集作業が行われる。その後は、制御装置102はS17に進む。
【0033】
S17では、第2減色処理が行われる。この処理では、制御装置102は、上記のS16で編集作業済みとなったビットマップ上のカラー画像を二値化処理することにより、モノクロの印刷データを生成する。この二値化処理は、ディザリングや誤差拡散などの公知の手法が用いられる。その後は、制御装置102はこのプログラムを終了させる。
【0034】
尚、図1のフローチャートには表されていないが、制御装置102は、上記のS17で生成されたモノクロの印刷データを含ませた印刷コマンドを通信モジュール103を介して携帯型プリンター11に送信し、上記のS17で生成されたモノクロの印刷データを携帯型プリンター11に印刷させる。
【0035】
以上詳細に説明した通り、本実施の形態に係る携帯情報端末101では、画像データとして多値のカラー画像が読み込まれたときに(S11:YES)、制御装置102が、(1)記憶装置107のメモリ残量を確認し(S12)、(2)携帯型プリンター11でモノクロの印刷データを印刷する媒体(カット用紙)のサイズとその確認された記憶装置107のメモリ残量とに基づいてカラー画像が記憶装置107に展開される際に使用可能な最大の色数を決定し(S13)、(3)その決定された色数に低減させる色間引きによりカラー画像を記憶装置107のビットマップ上に展開して第1減色処理されたカラー画像を生成し(S15)、(4)その第1減色処理されたカラー画像を2値化することによって記憶装置107のビットマップ上に展開された2階調の白黒画像を印刷データとして生成している(S17)。
【0036】
すなわち、本実施の形態に係る携帯情報端末101では、記憶装置107のメモリ残量を考慮して決定された色数による減色(S15の第1減色処理)と、2値化による減色(S17の第2減色処理)とによって、2回に分けて減色させていることから、記憶装置107のメモリ容量が少なくても、多値のカラー画像から2階調の白黒画像の印刷データを生成することが可能である(S11〜S17)。
【0037】
つまり、読み込んだ多値のカラー画像の全データを記憶装置に展開して2値化する場合と比べると、本実施の形態に係る携帯情報端末101では、読み込んだ多値のカラー画像のデータを一旦決定された色数まで減色させることによって(S15)、読み込んだ多値のカラー画像のデータを記憶装置107に展開するためのメモリの必要容量(MB)が各段に少なくて済んでいる。よって、使用可能なメモリ容量が十分でない記憶装置107を備えた本実施の形態に係る携帯情報端末101でも、読み込んだ多値のカラー画像のデータを展開するために使用される記憶装置107のメモリ容量を減らした上で2値化するので、メモリ不足のエラーを発生させることなく、携帯型プリンター11でモノクロで印刷される印刷データを安定的に生成させることができ(S11〜S17)、利便性が向上する。また、多くのカラー画像の場合、一旦決定された色数(例えば、256色)まで減色させても(S15)、見かけ上の画像劣化を少なく抑えられるため、一旦決定された色数(例えば、256色)まで減色させた後でさらに2値化処理しても(S17)、最終的に生成されるモノクロの印刷データの画質劣化が抑えられる。
【0038】
また、本実施の形態に係る携帯情報端末101では、制御装置102が、上記の(2)携帯型プリンター11でモノクロの印刷データを印刷する媒体(カット用紙)のサイズとその確認された記憶装置107のメモリ残量とに基づいて、カラー画像が記憶装置107に展開される際に使用可能な最大の色数を決定するに際しては(S13)、ROM108に記憶されている各テーブル110,111,112,…の中から、携帯型プリンター11でモノクロの印刷データを印刷する媒体(カット用紙)のサイズのテーブルに基づいて(S21)、(2−A)そのテーブルに記憶されたメモリの必要容量(MB)の中から記憶装置107のメモリ残量を超えない範囲で記憶装置107のメモリの残量に最も近いものを特定し(S22)、(2−B)その特定されたメモリの必要容量(MB)に対応する各画素に使用可能なビット数(bit)から色数をそのテーブルから特定し(S23)、(2−C)その特定された色数を、カラー画像が記憶装置107に展開される際に使用可能な最大の色数として決定するので(S13)、1回目の減色(S15の第1減色処理)の際に、ROM108に記憶されている各テーブル110,111,112,…による色数の調整が可能となる。
【0039】
また、本実施の形態に係る携帯情報端末101では、携帯型プリンター11でモノクロの印刷データを印刷する媒体(カット用紙)のサイズを変更する情報は、入力装置104であるキーパッドを介して、「A4サイズ」、「A5サイズ」、「A6サイズ」等、携帯型プリンター11で印刷可能なカット用紙のサイズをユーザーが入力することにより、制御装置102に送信される(S21)。従って、上記のS17で生成されたモノクロの印刷データが携帯型プリンター11で印刷されるカット用紙のサイズに適合させながら、2回に分けて行われる減色(S15の第1減色処理とS17の第2減色処理)を行うことができる。
【0040】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、本実施の形態に係る携帯情報端末101では、制御装置102が、上記の(2)携帯型プリンター11でモノクロの印刷データを印刷する媒体(カット用紙)のサイズとその確認された記憶装置107のメモリ残量とに基づいて、カラー画像が記憶装置107に展開される際に使用可能な最大の色数を決定するに際しては(S13)、ROM108に記憶されている各テーブル110,111,112,…とは無関係にして、カラー画像が記憶装置107に展開される際に使用可能な最大の色数を決定してもよい。このとき、(2−a)決定された色数が2色であるときは、制御装置102は、上記の(3)以降、すなわち、上記の図1のS15以降の処理を中止し、(2−b)記憶装置107のメモリ残量が不足している旨のメッセージを出力手段である液晶ディスプレイに出力させれば、記憶装置107のメモリ残量が僅かな状態で減色(S15の第1減色処理やS17の第2減色処理)を行うことを事前回避できる。
【符号の説明】
【0041】
101 携帯情報端末
102 制御装置
104 入力装置
105 出力装置
107 記憶装置
110 テーブル
111 テーブル
112 テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データから印刷データを生成する携帯情報端末であって、
前記画像データや前記印刷データが展開されるメモリと、
前記メモリを制御するプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記画像データとして多値のカラー画像が読み込まれたときに、以下(1)〜(4)の処理を実行し、
(1)前記メモリの残量を確認し、
(2)前記印刷データのサイズと前記確認された前記メモリの残量とに基づいて前記カラー画像が前記メモリに展開される際に使用可能な最大の色数を決定し、
(3)前記決定された色数に低減させる色間引きにより前記カラー画像を前記メモリに展開して減色画像を生成し、
(4)前記減色画像を2値化することによって前記メモリに展開された2階調の白黒画像を前記印刷データとして生成する、
ことを特徴とする携帯情報端末。
【請求項2】
請求項1に記載する携帯情報端末であって、
前記減色画像を生成する際に使用可能な色数と当該色数を前記印刷データのサイズで示すために使用する前記メモリの必要容量とを対応させて記憶させたテーブルを備え、
前記プロセッサは、前記(2)の処理を実行するに際して、以下(2−A)〜(2−C)の処理を実行し、
(2−A)前記テーブルに記憶された前記メモリの必要容量の中から前記メモリの残量を超えない範囲で前記メモリの残量に最も近いものを特定し、
(2−B)前記特定された前記メモリの必要容量に対応する色数を前記テーブルから特定し、
(2−C)前記特定された色数を、前記カラー画像が前記メモリに展開される際に使用可能な最大の色数として決定する、
ことを特徴とする携帯情報端末。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する携帯情報端末であって、
前記プロセッサに制御される出力手段を備え、
前記プロセッサは、前記(2)の処理を実行するに際して、以下(2−a)〜(2−b)の処理を実行し、
(2−a)前記決定された色数が2色であるときは前記(3)以降の処理を中止し、
(2−b)前記メモリの残量が不足している旨のメッセージを前記出力手段に出力させる、
ことを特徴とする携帯情報端末。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載する携帯情報端末であって、
前記印刷データのサイズ変更に関する情報を前記プロセッサに送信する入力手段を備えたことを特徴とする携帯情報端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−211293(P2011−211293A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74445(P2010−74445)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】