説明

携帯無線機

【課題】アンテナ素子と地線素子を備えた携帯無線機において、広帯域化と手持ち時の高利得化を両立できる携帯無線機を提供する。
【解決手段】アンテナを、周波数f1で共振するアンテナ素子8と、周波数f1よりも高い周波数f2で共振する地線素子9の2素子で構成し、アンテナ素子8を、アンテナ放射部8aが筐体2の操作部4が設けられている側の面と略平行になるように向け、また地線素子9を、地線放射部9aが筐体2の操作部4が設けられている側の面と略垂直になるように向けるとともに、アンテナ素子8の給電端子接続部8bと地線素子9の接地端子接続部9bの間隔を給電端子10と接地端子11の間隔(第2の周波数f2の0.1λ以下)と同一にし、かつ給電端子接続部8bと接地端子接続部9bを平行に配置するようにした。これにより、広帯域化を実現できるとともに手持ち時の高利得化を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ素子と地線素子を備えた携帯無線機に関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナ素子と地線素子を備えた携帯無線機として、例えば特許文献1〜5で開示されたものが知られている。アンテナ素子と地線素子は、携帯無線機の筐体上部に配置されることが多いが、近年普及してきているスマートフォンに代表されるストレート型の携帯無線機では、SAR(比吸収率、Specific Absorption Rate)設計上の観点から、人体頭部に近接する筐体上部ではなく、人体頭部から離れた筐体下部に配置されるのが一般的となっている。なお、SARとは、単位質量の組織に単位時間に吸収されたエネルギーのことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−072486号公報
【特許文献2】特開2004−260434号公報
【特許文献3】特開2007−202040号公報
【特許文献4】特開2008−017352号公報
【特許文献5】特開平06−334420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スマートフォンなどのストレート型の携帯無線機に対し、筐体下部にアンテナを配置した場合、通話などの実使用時にアンテナが人の手で覆われることによる大幅な利得の劣化が懸念される。利得劣化の主な要因としては、携帯無線機本体の近傍界において、アンテナから放射された送信電力が手に吸収されることと、アンテナから手に誘起した電流とアンテナに流れる電流とが相殺されることが挙げられる。なお、上述した特許文献3、4及び5で開示された技術では、手持ち時での高利得化が課題となっている。また、特許文献1及び2で開示された技術では、単共振構成のために広帯域化に課題がある。
【0005】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、アンテナ素子と地線素子を備えた携帯無線機において、広帯域化と手持ち時の高利得化を両立できる携帯無線機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の携帯無線機は、筐体と、前記筐体に設けられた操作部と、前記筐体の内部に設けられ、グランド及び無線回路を有する回路基板と、前記筐体に設けられ、前記回路基板上のグランドと所定の間隔を隔てて配置されたアンテナ素子と、前記筺体に設けられ、前記回路基板上のグランドと所定の間隔を隔てて配置された地線素子と、前記回路基板上の無線回路と前記アンテナ素子に接続された給電端子と、前記回路基板上のグランドと前記地線素子に接続された接地端子と、を備え、前記アンテナ素子は第1の周波数で共振し、前記地線素子は前記第1の周波数よりも高い第2の周波数で共振し、前記給電端子と前記接地端子は近接し、前記給電端子と前記接地端子の近傍において、前記アンテナ素子と前記地線素子に平行な部位を有し、前記地線素子は、前記筐体の厚み方向において、少なくとも前記アンテナ素子よりも前記操作部より離れた部位を有することを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、アンテナ素子と地線素子が給電部付近で結合することにより、手持ち時において地線素子に流れたアンテナ電流が、手の平から離れたアンテナ素子に誘起・分散し、手にアンテナ電流が誘起され難くなる。これにより、第2の周波数において、手持ち時の利得劣化が低減する。また、地線素子がアンテナ素子と手の平の間に存在することから、シールドの役割も果たし、第1の周波数において、手持ち時の利得劣化が低減する。したがって、広帯域化と手持ち時の高利得化の両立が図れる。
【0008】
上記構成において、前記給電端子と前記接地端子の間隔が前記第2の周波数の0.1λ以下であることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、携帯無線機を手で保持したときに、第2の周波数におけるアンテナ電流を、地線素子からアンテナ素子へ誘起させることができる。
【0010】
上記構成において、前記地線素子は、前記筐体の厚み方向において、少なくとも前記アンテナ素子と前記地線素子の平行な部位よりも前記操作部より離れた部位を有することを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、携帯無線機を手で保持したときに、平行な部位が手から離れることにより、手で保持したときの利得をより改善できる。
【0012】
上記構成において、前記アンテナ素子と前記地線素子は板状に形成されていることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、アンテナ素子及び地線素子それぞれを板状にすることにより、アンテナとしての占有体積を小さくすることができる。
【0014】
上記構成において、前記アンテナ素子と前記地線素子の平行な部位が、前記筐体の厚み方向に対して平行に配置されたことを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、アンテナ素子と地線素子の平行な部位を、筐体の厚み方向に対して平行に配置することにより、携帯無線機を手で保持したときに、手の平との干渉面積を減らすことができ、手で保持したときの利得をより改善できる。
【0016】
上記構成において、前記アンテナ素子と前記地線素子の平行な部位以外は、面が略直交の関係であることを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、帯域劣化の原因となる、アンテナ素子及び地線素子の先端近傍でのアンテナ素子と地線素子間の干渉を抑制でき、広帯域化が図れる。
【0018】
上記構成において、前記地線素子を、その地線放射部が前記筐体の前記操作部が設けられている側の面と略平行になるように配置したことを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、携帯無線機を手で保持したときに、地線素子が、アンテナ素子と手の平との間に配置されるので、アンテナ素子と手の平との干渉を抑制できる。
【0020】
上記構成において、前記アンテナ素子のアンテナ放射部と前記地線素子の地線放射部が平行の関係であることを特徴とする。
【0021】
上記構成によれば、アンテナ素子と地線素子が強く結合することになり、携帯無線機を手で保持したときの利得低下をさらに抑制することができる。
【0022】
上記構成において、前記アンテナ素子と前記地線素子の平行な部位以外は、互いの向きを反対の方向に配置したことを特徴とする。
【0023】
上記構成によれば、地線素子の配置の自由度が高まり、地線素子と手の平との間の距離を確保することができる。
【0024】
上記構成において、前記アンテナ素子が複数の平面を持つ形状であることを特徴とする。
【0025】
上記構成によれば、第1の周波数における広帯域化が図れる。
【0026】
上記構成において、前記地線素子が複数の平面を持つ形状であることを特徴とする。
【0027】
上記構成によれば、第2の周波数における広帯域化が図れる。
【0028】
上記構成において、前記アンテナ素子が複数のアンテナ放射部を持つ形状であることを特徴とする。
【0029】
上記構成によれば、より多共振化が図れる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、アンテナ素子と地線素子を備えた携帯無線機において、広帯域化と手持ち時の高利得化を両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施の形態に係る携帯無線機の内部構造の一部を含む概観を示す斜視図
【図2】図1の携帯無線機の筐体厚み方向における各部材の位置関係の概略を示す模式図
【図3】図1の携帯無線機におけるアンテナ電流経路を説明するための斜視図
【図4】図1の携帯無線機のアンテナ素子及び地線素子の配置の変形例1−1を示す斜視図
【図5】アンテナ素子及び地線素子が図4に示す配置関係のときの、携帯無線機の筐体厚み方向における各部材の位置関係の概略を示す模式図
【図6】図1の携帯無線機のアンテナ素子及び地線素子の配置の変形例1−2を示す斜視図
【図7】アンテナ素子及び地線素子が図6に示す配置関係のときの、携帯無線機の筐体厚み方向における各部材の位置関係の概略を示す模式図
【図8】図1の携帯無線機のアンテナ素子及び地線素子の配置の変形例1−3を示す斜視図
【図9】アンテナ素子及び地線素子が図8に示す配置関係のときの、携帯無線機の筐体厚み方向における各部材の位置関係の概略を示す模式図
【図10】図1の携帯無線機のアンテナ素子の形状の変形例2−1を示す斜視図
【図11】図1の携帯無線機の地線素子の形状の変形例2−2を示す斜視図
【図12】図1の携帯無線機のアンテナ素子の形状の変形例2−3を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0033】
図1は、本発明の一実施の形態に係る携帯無線機の内部構造の一部を含む概観を示す斜視図である。また、図2は、図1の携帯無線機の筐体厚み方向における各部材の位置関係の概略を示す模式図である。図1及び図2において、本実施の形態の携帯無線機1は、スマートフォンと呼ばれるストレート型の携帯無線機であり、薄型方形状に形成された筐体2と、筐体2の正面側に設けられた操作・表示部3と、筐体2の正面側に設けられ、操作・表示部3から離れた位置に設けられた操作部4と、筐体2の内部に設けられ、グランド6及び無線回路7を有する回路基板5と、筐体2に設けられ、回路基板5上のグランド6と所定の間隔を隔てて配置されたアンテナ素子8と、筺体2に設けられ、回路基板5上のグランド6と所定の間隔を隔てて配置された地線素子9と、回路基板5上の無線回路7とアンテナ素子8に接続された給電端子10と、回路基板5上のグランド6と地線素子9に接続された接地端子11とを備えている。
【0034】
操作・表示部3は、液晶あるいは有機EL(Organic Electro-Luminescence)等のディスプレイ(図示略)と、該ディスプレイの表示面の直上に配置され、ユーザの手指がタッチした位置に対応する座標を座標情報として出力するタッチパネル(図示略)とから構成される。操作部4はボタンスイッチである。
【0035】
アンテナ素子8は、長さ39mm幅4mmを有するアンテナ放射部8aと長さ8mm幅2mmを有する給電端子接続部8bとからなり、本体部位であるアンテナ放射部8aが長方形板状に形成され、アンテナ放射部8aの一端側の部位である給電端子接続部8bがアンテナ放射部8aに対して直交方向に形成されている。給電端子接続部8bは、アンテナ放射部8aと同様に長方形板状に形成されている。この場合、アンテナ素子8の共振周波数は1.6GHzである。地線素子9は、長さ12mm幅2mmを有する地線放射部9aと長さ10mm幅5mmを有する接地端子接続部9bとからなり、本体部位である地線放射部9aが長方形板状に形成され、地線放射部9aの一端側の部位である接地端子接続部9bが地線放射部9aに対して直交方向に形成されている。接地端子接続部9bは長方形状を成し、地線放射部9aよりも幅広に形成されている。地線素子9の接地端子接続部9bの幅はアンテナ素子8の給電端子接続部8bの幅よりも広くなっている。この場合、地線素子9の共振周波数は2.2GHzである。よって、地線素子9は、アンテナ素子8の共振周波数である第1の周波数f1よりも高い第2の周波数f2で共振させることから、アンテナ素子8よりも短く形成されている。
【0036】
アンテナ素子8は、アンテナ放射部8aが筐体2の操作部4が設けられている側の面と略平行に配置され、地線素子9は、地線放射部9aが筐体2の操作部4が設けられている側の面と略垂直になるように配置される。さらに、アンテナ素子8と地線素子9は、給電端子接続部8bと接地端子接続部9bの間隔が給電端子10と接地端子11の間隔と同一で、かつ給電端子接続部8bと接地端子接続部9bが平行になるように配置される。給電端子10と接地端子11の間隔は2mmと、第2の周波数f2の0.1λ以下で近接しており、この間隔とすることで、携帯無線機1を手で保持したときに、第2の周波数f2におけるアンテナ電流を、地線素子9からアンテナ素子8へ誘起させることができる。
【0037】
また、アンテナ素子8と地線素子9との位置関係は、筐体2の操作部4が設けられている側の面から離れる方向にアンテナ素子8、地線素子9の順となる。すなわち、筐体2の厚み方向13(図2参照)の配置順として、筐体2の操作部4が設けられている側の面→アンテナ素子8→地線素子9となる。この場合、上述したように、地線素子9の接地端子接続部9bの幅がアンテナ素子8の給電端子接続部8bの幅よりも広くなっているので、地線素子9は、筐体2の厚み方向13において、アンテナ素子8よりも操作部4より離れた部位9cを有することになる。また、図2中に符号14で示す部位が、アンテナ素子8の給電端子接続部8bと地線素子9の接地端子接続部9bが平行になっている部位である。また、図2中に符号15で示すエリアはアンテナ実装エリアである。
【0038】
アンテナ素子8と地線素子9を板状に形成したことで、アンテナとしての占有体積を小さくすることができる。また、地線素子9に、筐体2の厚み方向13に延設させた部位9cを設けたことで、携帯無線機1を手で保持したときに、部位9cがアンテナ素子8よりも手の平に近く配置されたことで、アンテナ素子8と手の平の干渉を抑制し、かつ平行な部位14を手から離すことができ、手で保持したときの利得がより改善する。また、アンテナ素子8と地線素子9の平行な部位14を、筐体2の厚み方向に対して平行に配置したことで、携帯無線機1を手で保持したときに、手の平との干渉面積を減らすことができ、手で保持したときの利得がより改善する。また、アンテナ素子8の給電端子接続部8bと地線素子9の接地端子接続部9bのそれぞれを、筐体2の操作部4が設けられている側の面と略直交の関係となるようにしたことで、帯域劣化の原因となる、アンテナ素子8及び地線素子9の先端近傍でのアンテナ素子8と地線素子9間の干渉を抑制でき、広帯域化が図れる。
【0039】
図3は、本実施の形態の携帯無線機1におけるアンテナ電流経路を説明するための斜視図である。図3の(a)は、携帯無線機1を手で保持していないときで、第1の周波数f1の高周波信号で励振を行った場合のアンテナ電流経路を示している。この場合、アンテナ素子8が励振状態となり、アンテナ素子8にのみアンテナ電流Iaが流れる。図3の(b)は、携帯無線機1を手で保持していないときで、第2の周波数f2の高周波信号で励振を行った場合のアンテナ電流経路を示している。この場合、地線素子9が励振状態となり、地線素子9にアンテナ電流Ibが流れ、また僅かであるが、アンテナ素子8にアンテナ電流Ia’が流れる。図3の(c)は、携帯無線機1を手で保持したときで、第1の周波数f1の高周波信号で励振を行った場合のアンテナ電流経路を示している。この場合、アンテナ素子8が励振状態となり、アンテナ素子8にのみアンテナ電流Iaが流れる。図3の(d)は、携帯無線機1を手で保持したときで、第2の周波数f2の高周波信号で励振を行った場合のアンテナ電流経路を示している。この場合、アンテナ素子8が励振状態となり、アンテナ素子8にアンテナ電流Iaが流れ、また僅かであるが、地線素子9にアンテナ電流Ib’が流れる。図3の(b)と(d)から分るように、手持ち時にはアンテナ電流がアンテナ素子8へ誘起・分散する。
【0040】
このように本実施の形態の携帯無線機1によれば、第1の周波数f1で共振するアンテナ素子8を、アンテナ放射部8aが筐体2の操作部4が設けられている側の面と平行になるように向けるとともに、第1の周波数f1よりも高い第2の周波数f2で共振する地線素子9を、地線放射部9aが筐体2の操作部4が設けられている側の面と垂直になるように向け、さらに、アンテナ素子8の給電端子接続部8bと地線素子9の接地端子接続部9bの間隔を給電端子10と接地端子11の間隔(第2の周波数f2の0.1λ以下)と同一にし、かつ給電端子接続部8bと接地端子接続部9bを平行に配置するようにした。
【0041】
したがって、アンテナ素子8と地線素子9が給電部付近(給電端子10と接地端子11がある部分)で結合することになり、携帯無線機1を手で保持し、かつ第2の周波数f2の高周波信号で励振を行ったときに、地線素子9に流れたアンテナ電流が、手の平からアンテナ素子8に誘起・分散し、手にアンテナ電流が誘起され難くなって、利得の劣化が低減する。また、地線素子9がアンテナ素子8と手の平の間に存在することからシールドの役割を果たすことになり、携帯無線機1を手で保持し、かつ第1の周波数f1の信号で励振を行ったときの利得の劣化が低減する。以上により、広帯域化と手持ち時の高利得化を両立するアンテナ構成を実現できる。
【0042】
なお、本実施の形態では、アンテナ素子8を、アンテナ放射部8aが筐体2の操作部4が設けられている側の面と略平行になるように配置し、地線素子9を、地線放射部9aが筐体2の操作部4が設けられている側の面と略垂直になるように配置したが、アンテナ素子8と地線素子9それぞれの筐体操作面に対する向きは様々な変形例が考えられる。
また、本実施の形態では、アンテナ素子8及び地線素子9それぞれが1つの平面を持つものであったが、それぞれが複数の面を持つようにしても良い。
【0043】
なお、本実施の形態では、アンテナ素子8及び地線素子9それぞれが長方形で構成されているが、それぞれがスリットやメアンダ構成として、電気長を調整するようにしても良い。
また、本実施の形態では、ストレート型端末にアンテナを搭載した場合を示しているが、2つ折りモデルやスライドモデルのように、筐体が複数に分割される端末においても、同様に広帯域化と手持ち時の高利得化の効果が得られる。
【0044】
以下、アンテナ素子8及び地線素子9の配置の変形例1−1〜1−3と、アンテナ素子8及び地線素子9が複数の平面を持つ変形例2−1〜2−3について説明する。
【0045】
(変形例1−1)
図4は、アンテナ素子8及び地線素子9の配置の変形例1−1を示す斜視図である。図4に示すように、変形例1−1では、アンテナ素子8を、アンテナ放射部8aが筐体2の操作部4が設けられている側の面と略垂直になるように配置し、地線素子9を、その地線放射部9aが筐体2の操作部4が設けられている側の面と略平行になるように配置したものである。図5は、図4に示す配置関係のときの、携帯無線機1の筐体厚み方向における各部材の位置関係の概略を示す模式図である。このようにアンテナ素子8及び地線素子9を配置することで、携帯無線機1を手で保持したときに、地線素子9が、アンテナ素子8と手の平との間に配置されるので、よりアンテナ素子8と手の平との干渉を抑制できる。
【0046】
(変形例1−2)
図6は、アンテナ素子8及び地線素子9の配置の変形例1−2を示す斜視図である。図6に示すように、変形例1−2では、アンテナ素子8を、そのアンテナ放射部8aが筐体2の操作部4が設けられている側の面と略垂直になるように配置するとともに、地線素子9を、その地線放射部9aが筐体2の操作部4が設けられている側の面と略垂直になるように配置したものである。このように配置することで、アンテナ素子8のアンテナ放射部8aと地線素子9の地線放射部9aが平行になる。図7は、図6に示す配置関係のときの、携帯無線機1の筐体厚み方向における各部材の位置関係の概略を示す模式図である。このようにアンテナ素子8及び地線素子9を配置することで、アンテナ素子8と地線素子9が強く結合することになり、携帯無線機1を手で保持したときの利得低下をさらに抑制することができる。
【0047】
(変形例1−3)
図8は、アンテナ素子8及び地線素子9の配置の変形例1−3を示す斜視図である。図8に示すように、変形例1−3では、アンテナ素子8については、前述した実施の形態と同様に、アンテナ放射部8aが筐体2の操作部4が設けられている側の面と略平行になるように配置するが、地線素子9については、接地端子接続部9bがアンテナ素子8の給電端子接続部8bと対向するように(すなわち、アンテナ素子8と180度逆向きになるように)配置したものである。図9は、図8に示す配置関係のときの、携帯無線機1の筐体厚み方向における各部材の位置関係の概略を示す模式図である。このようにアンテナ素子8及び地線素子9を配置することで、地線素子9の配置の自由度が高まり、地線素子9と手の平との間の距離を確保することができる。
【0048】
(変形例2−1)
図10は、アンテナ素子8の形状の変形例2−1を示す斜視図である。図10に示すように、変形例2−1では、アンテナ素子8が、筐体2の操作部4が設けられている側の面に対して略垂直となる面8aと略平行となる面8aの2つの平面を有するものである。地線素子9については前述した実施の形態と同様に1つの平面を有する。このようにアンテナ素子8を2つの平面を持つ形状とすることで、第1の周波数f1における広帯域化が図れる。なお、アンテナ素子8が有する平面数は2つに限定されるものではない。
【0049】
(変形例2−2)
図11は、地線素子9の形状の変形例2−2を示す斜視図である。図11に示すように、変形例2−2は、地線素子9が、筐体2の操作部4が設けられている側の面に対して略垂直となる面9bと略平行となる面9bの2つの平面を有するものである。このように地線素子9を2つの平面を持つ形状とすることで、第2の周波数f2における広帯域化が図れる。なお、地線素子9が有する平面数は2つに限定されるものではない。
【0050】
(変形例2−3)
図12は、アンテナ素子8の形状の変形例2−3を示す斜視図である。図12に示すように、変形例2−3は、アンテナ素子8がアンテナ放射部8aに加え、給電端子接続部8bに接続され、第3の周波数f3で共振する第2のアンテナ放射部8cの2つの放射部を有するものである。このようにアンテナ素子8を2つのアンテナ放射部を持つ形状とすることで、より多共振化が図れる。なお、アンテナ素子8が有するアンテナ放射部の数は2つに限定されるものではない。また、第3の周波数f3は任意の場合において手持ち時の高利得化が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、アンテナ素子と地線素子を備えた携帯無線機において、広帯域化と手持ち時の高利得化を両立できるといった効果を有し、スマートフォンに代表されるストレート型の携帯無線機への適用が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 携帯無線機
2 筐体
3 操作・表示部
4 操作部
5 回路基板
6 グランド
7 無線回路
8 アンテナ素子
8a アンテナ放射部
8b 給電端子接続部
8c 第2のアンテナ放射部
9 地線素子
9a 地線放射部
9b 接地端子接続部
10 給電端子
11 接地端子
13 筐体の厚み方向
14 平行な部位
15 アンテナ実装エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に設けられた操作部と、
前記筐体の内部に設けられ、グランド及び無線回路を有する回路基板と、
前記筐体に設けられ、前記回路基板上のグランドと所定の間隔を隔てて配置されたアンテナ素子と、
前記筺体に設けられ、前記回路基板上のグランドと所定の間隔を隔てて配置された地線素子と、
前記回路基板上の無線回路と前記アンテナ素子に接続された給電端子と、
前記回路基板上のグランドと前記地線素子に接続された接地端子と、
を備え、
前記アンテナ素子は第1の周波数で共振し、
前記地線素子は前記第1の周波数よりも高い第2の周波数で共振し、
前記給電端子と前記接地端子は近接し、
前記給電端子と前記接地端子の近傍において、前記アンテナ素子と前記地線素子に平行な部位を有し、
前記地線素子は、前記筐体の厚み方向において、少なくとも前記アンテナ素子よりも前記操作部より離れた部位を有することを特徴とする携帯無線機。
【請求項2】
前記給電端子と前記接地端子の間隔が前記第2の周波数の0.1λ以下であることを特徴とする請求項1に記載の携帯無線機。
【請求項3】
前記地線素子は、前記筐体の厚み方向において、少なくとも前記アンテナ素子と前記地線素子の平行な部位よりも前記操作部より離れた部位を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携帯無線機。
【請求項4】
前記アンテナ素子と前記地線素子は板状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の携帯無線機。
【請求項5】
前記アンテナ素子と前記地線素子の平行な部位が、前記筐体の厚み方向に対して平行に配置されたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の携帯無線機。
【請求項6】
前記アンテナ素子と前記地線素子の平行な部位以外は、面が略直交の関係であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の携帯無線機。
【請求項7】
前記地線素子を、その地線放射部が前記筐体の前記操作部が設けられている側の面と略平行になるように配置したことを特徴とする請求項6に記載の携帯無線機。
【請求項8】
前記アンテナ素子のアンテナ放射部と前記地線素子の地線放射部が平行の関係であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の携帯無線機。
【請求項9】
前記アンテナ素子と前記地線素子の平行な部位以外は、互いの向きを反対の方向に配置したことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の携帯無線機。
【請求項10】
前記アンテナ素子が複数の平面を持つ形状であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の携帯無線機。
【請求項11】
前記地線素子が複数の平面を持つ形状であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の携帯無線機。
【請求項12】
前記アンテナ素子が複数のアンテナ放射部を持つ形状であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の携帯無線機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−178726(P2012−178726A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40671(P2011−40671)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】