説明

携帯無線端末およびアンテナ選択方法

【課題】簡易な回路構成で比較的精度よくアンテナ特性の劣化を防止することができる携帯無線端末を提供する。
【解決手段】携帯無線端末は、複数のアンテナ1,2と、人体の接近を検知すると検知信号を出力する複数の位置検出手段3,4と、複数種類のインピーダンス調整を行うことが可能な整合回路5と、検知信号を出力した位置検出手段がいずれの位置検出手段であるかに応じて複数のアンテナから一のアンテナを選択するアンテナ選択処理を実行するアンテナ選択手段6と、検知信号を出力した位置検出手段がいずれの位置検出手段であるかに応じたインピーダンス調整を整合回路5に行わせるインピーダンス整合処理を実行するインピーダンス整合手段7とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のアンテナを備えた携帯無線端末、および複数のアンテナから1つのアンテナを選択するアンテナ選択方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯無線端末の小型化および薄型化に伴って、携帯無線端末に備えられているアンテナに人体が接近したときにアンテナ特性が変化する傾向が強くなっている。すなわち、人体がアンテナに接近したことに起因して、アンテナ自体のインピーダンスが変化したりアンテナの共振周波数がずれることがある。また、接合ロスが増加してアンテナ特性が変化する。そして、アンテナ特性の変化にもとづいて、電波の受信感度の低下や送信出力の低下を招く場合がある。
【0003】
人体がアンテナに接近してもアンテナ特性が変化しないようにするために、複数の整合回路を備え、人体の接近状況に応じて整合回路を選択することが考えられる。例えば、携帯無線端末における複数の位置のそれぞれに対応する整合回路を設ける。そして、ユーザが実際に接触した位置を検知し、検知した位置に対応する整合回路を選択する。それぞれの整合回路は、対応する位置に人体が接触したときに良好なアンテナ特性が得られるように構成される。
【0004】
しかし、実際には、ユーザは、携帯無線端末における様々な位置に接触する。よって、人体の接近状況に応じて整合回路を選択する方式を採用する場合には、様々な位置のそれぞれに応じた多数の整合回路を携帯無線端末に備えることが求められる。しかし、現実には、小型化された携帯無線端末に多数の整合回路を搭載することは困難である。
【0005】
特許文献1には、移動体通信装置におけるインピーダンス整合を行うインピーダンス整合回路が記載されている。特許文献1に記載されたインピーダンス整合回路は、移動体通信装置における利用者の手の接触位置を検出する。そして、接触位置に応じて信号源インピーダンスを動的に調整して、利用者の手によって引き起こされたアンテナの負荷インピーダンスの変化を補償する。具体的には、移動体通信装置における種々の位置のそれぞれに対応する設定値が設定されたテーブルがあらかじめメモリに格納される。そして、ユーザが実際に接触した位置を検知し、検知した位置に対応するパラメータを選択し、設定値に従ってインピーダンス整合回路の回路定数等を設定する。特許文献1に記載された移動体通信装置では、1つの整合回路のみで、アンテナ特性の切替が実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2007−536797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載されたインピーダンス整合回路には、複数の整合回路を備え人体の接近状況に応じて整合回路を選択するように構成された装置における課題と同様の課題がある。すなわち、ユーザは、携帯無線端末における様々な位置に接触する。よって、人体の接近状況に応じて整合回路を選択する方式を採用する場合には、様々な位置のそれぞれに応じた多数の設定値をメモリに格納し、インピーダンス整合回路を多数の設定値の全てに対応可能にしておかなければならない。しかし、現実には、多数の設定値の全てに対応可能にインピーダンス整合回路を構成することは難しい。
【0008】
そこで、本発明は、人体の接触または接近を検知する位置検出手段の出力を用いてアンテナ特性の劣化を防止するように構成されている場合に、簡易な回路構成で比較的精度よくアンテナ特性の劣化を防止することができる携帯無線端末およびアンテナ選択方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による携帯無線端末は、複数のアンテナを備えた携帯無線端末であって、人体の接近を検知すると検知信号を出力する複数の位置検出手段と、複数種類のインピーダンス調整を行うことが可能な整合回路と、検知信号を出力した位置検出手段がいずれの位置検出手段であるかに応じて複数のアンテナから一のアンテナを選択するアンテナ選択処理を実行するアンテナ選択手段と、検知信号を出力した位置検出手段がいずれの位置検出手段であるかに応じたインピーダンス調整を整合回路に行わせるインピーダンス整合処理を実行するインピーダンス整合手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明によるアンテナ選択方法は、複数のアンテナを備えた携帯無線端末におけるアンテナ選択方法であって、人体の接近を検知すると検知信号を出力する複数の位置検出手段のうち検知信号を出力した位置検出手段がいずれの位置検出手段であるかに応じて複数のアンテナから一のアンテナを選択するアンテナ選択処理を実行し、複数種類のインピーダンス調整を行うことが可能な整合回路に、複数の位置検出手段のうち検知信号を出力した位置検出手段がいずれの位置検出手段であるかに応じたインピーダンス調整を行わせるインピーダンス整合処理を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡易な回路構成で比較的精度よくアンテナ特性の劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による携帯無線端末を示す斜視図である。
【図2】図1に示された携帯無線端末の構成を示すブロック図である。
【図3】ユーザと携帯無線端末との位置関係の一例を示す説明図である。
【図4】ユーザと携帯無線端末との位置関係の他の例を示す説明図である。
【図5】携帯無線端末の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明による携帯無線端末の主要部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明による携帯無線端末を示す斜視図である。図2は、図1に示された携帯無線端末の構成を示すブロック図である。図1および図2を参照して、本発明による携帯無線端末の具体的な実施形態を説明する。なお、本実施形態では、携帯無線端末として、折り畳み型の携帯電話機を例にする。
【0014】
携帯電話機10は、LCD表示部11、アンテナ(第1アンテナ)12、アンテナ(第2アンテナ)13、センサ(第1センサ)14、センサ(第2センサ)15、キー操作部16およびバッテリ17を備えている。すなわち、携帯電話機10は、複数のアンテナ12,13を有する。また、携帯電話機10は、制御部21、整合回路22、無線部23およびメモリ24を備えている。
【0015】
LCD表示部11は、ユーザが視認可能な情報を表示する。
【0016】
アンテナ12およびアンテナ13は、携帯電話機10において空間から電波を受信しやすいと考えられる箇所に、離間して配置される。アンテナ12は、例えば、上部筐体101と下部筐体102を有する携帯電話機10におけるヒンジ部分に配置され、アンテナ13は、携帯電話機10の下部筐体102に配置されている。
【0017】
整合回路22は、インピーダンス整合を行う回路であるが、アンテナ選択機能も有する。整合回路22は、アンテナ12とアンテナ13とのうちの選択されたアンテナからの受信信号を無線部23に出力する。また、整合回路22は、アンテナ12とアンテナ13とのうちの選択されたアンテナに、無線部23からの送信信号を出力する。なお、本実施形態では、アンテナ12およびアンテナ13は内蔵型アンテナであるとするが、アンテナ12,13は、内蔵型アンテナに限られない。
【0018】
センサ14は、人体の頬が接近したこと検知するために、例えば、LCD表示部11の横に設置される。センサ15は、筐体が人体の手で覆われたことを検知するために、例えば、携帯電話機10における下部筐体102の側部に設置される。センサ14およびセンサ15は、人体の携帯電話機10への接近を検知することができる近接センサである。センサ14およびセンサ15は、人体の所定の距離以内への接近を検知すると、検知信号を制御部21に出力する。なお、人体が接触している状態も一種の接近状態であるとする。
【0019】
図3は、ユーザと携帯無線端末との位置関係の一例を示す説明図である。図3には、ユーザが通話を行うときのユーザと携帯無線端末との位置関係が例示されている。図3に示すように、ユーザが通話を行っているときには、センサ14はユーザの耳部またはユーザの頭部の接近を検知して検知信号を出力する。また、ユーザが携帯電話機10の下部筐体102を持って通話しているときには、センサ15は、ユーザの手の接近を検知して検知信号を出力する。
【0020】
図4は、ユーザと携帯無線端末との位置関係の他の例を示す説明図である。図4には、電子メールの作成時等のキー操作が行われているときのユーザと携帯無線端末との位置関係が例示されている。図4に示すように、ユーザがキー操作部16においてキー操作を行っているときには、センサ15はユーザの手の接近を検知して検知信号を出力する。
【0021】
制御部21は、センサ14およびセンサ15から出力される検知信号の組み合わせにもとづいて、携帯電話機10におけるユーザが接近している位置を判定することができる。メモリ24には、携帯電話機10における位置を示す位置データと、位置データに対応する選択データとが記憶されている。選択データは、選択されるべきアンテナを示すデータと、整合回路における回路設定を示すデータとを含む。
【0022】
キー操作部16は、ユーザによるキー操作に対応する操作信号を制御部21に出力する。バッテリ17は、携帯電話機10における各ブロックに電力を供給する。制御部21は、携帯電話機10における各ブロックを制御する。
【0023】
整合回路22は、アンテナ12またはアンテナ13と、無線部23とのインピーダンス整合を行う回路である。整合回路22は、例えば、複数のリアクタンス素子を含む。また、制御部21からの制御信号に従ってスイッチングを行う電界効果トランジスタ(FET)やPINダイオード等のスイッチ回路を含む。整合回路22において、スイッチ回路によるスイッチングによって、受信信号および送信信号の信号線に接続されるリアクタンス素子が選択される。その結果、インピーダンスが変化する。
【0024】
無線部23は、アンテナ12またはアンテナ13から整合回路22を介して入力された受信信号を対象にして周波数変換処理や復調処理を行う。そして、周波数変換処理や復調処理によって得られた受信データを制御部21に出力する。また、無線部23は、制御部21からの送信データを対象にして変調処理や周波数変換処理を行う。変調処理や周波数変換処理によって得られた送信信号は、整合回路22を介してアンテナ12またはアンテナ13に出力される。
【0025】
図5は、図1に示された携帯電話機10の動作を示すフローチャートである。図5を参照して、携帯電話機10において、アンテナを選択し、かつ、整合回路の設定を変更する処理を説明する。
【0026】
メモリ24には、携帯電話機10における複数の位置のそれぞれを示す位置データと、位置データに対応する選択データ(選択されるべきアンテナを示すデータと整合回路における回路設定を示すデータ)が記憶されている。図5に示す処理が実行される場合には、第1位置、第2位置、第3位置および初期状態を示す位置データ(第1位置データ、第2位置データ、第3位置データおよび初期状態データ)がメモリ24に記憶される。第1位置、第2位置および第3位置は、それぞれ、人体が接近している位置である。初期状態は、携帯電話機10に人体が接近していない状態である。
【0027】
第1位置データは、携帯電話機10における上部筐体101の位置、および下部筐体102の位置を表している。すなわち、第1位置データは、人体が上部筐体101と下部筐体102の双方に接近していることを示すデータに相当する。第2位置データは、携帯電話機10における上部筐体101の位置を表している。すなわち、第2位置データは、人体が上部筐体101のみに接近していることを示すデータに相当する。第3位置データは、携帯電話機10における下部筐体102の位置を表している。すなわち、第3位置データは、人体が下部筐体102のみに接近していることを示すデータに相当する。
【0028】
また、メモリ24には、第1位置データに対応する選択データとして、例えば、アンテナ12を選択することを示すデータ、およびアンテナ12を使用する場合であって人体が上部筐体101と下部筐体102の双方に接近したときにアンテナ特性を最良にする整合回路における回路設定を示すデータが記憶されている。第2位置データに対応する選択データとして、例えば、アンテナ13を選択することを示すデータ、およびアンテナ13を使用する場合であって人体が上部筐体101に接近したときにアンテナ特性を最良にする整合回路における回路設定を示すデータが記憶されている。第3位置データに対応する選択データとして、例えば、アンテナ12を選択することを示すデータ、およびアンテナ12を使用する場合であって人体が下部筐体102に接近したときにアンテナ特性を最良にする整合回路における回路設定を示すデータが記憶されている。
【0029】
なお、本実施形態では、アンテナ選択の基準は、携帯電話機10において人体が接触している箇所から遠い方のアンテナを選択するということである。しかし、そのような基準ではなく、例えば、実験によって、携帯電話機10における人体が接触している複数の箇所のそれぞれと複数のアンテナのそれぞれとの各組合わせについてアンテナ特性を示す信号(例えば、受信電界強度)を観測し、最もアンテナ特性がよいアンテナを、人体が接触している箇所に対応するアンテナとするようにしてもよい。
【0030】
携帯電話機10が通信中である場合に(ステップS11)、制御部21は、第1センサとしてのセンサ14から人体の接近を検知して検知信号が出力されているか否か確認する(ステップS12)。なお、通信中は、通話中またはデータ送受信中である。また、第1センサとしてのセンサ14は、人体の頬が接近したこと検知するために、例えば、LCD表示部11の横に設置されている(図1参照)。
【0031】
センサ14から検知信号が出力されていることを確認した場合には、制御部21は、第2センサとしてのセンサ15から人体の接近を検知して検知信号が出力されているか否か確認する(ステップS13)。なお、第2センサとしてのセンサ15は、下部筐体102が人体の手で覆われたことを検知するために、携帯電話機10における下部筐体102の側部に設置されている(図1参照)。センサ15から検知信号が出力されていることを確認した場合には、ステップS15に移行する。センサ15から検知信号が出力されていないことを確認した場合には、ステップS16に移行する。
【0032】
ステップS12の処理で、センサ14から検知信号が出力されていないことを確認した場合には、制御部21は、センサ15から検知信号が出力されているか否か確認する(ステップS14)。センサ15から検知信号が出力されていることを確認した場合には、ステップS17に移行する。センサ15から検知信号が出力されていないことを確認した場合には、ステップS18に移行する。
【0033】
ステップS15では、制御部21は、メモリ24から、第1位置データに対応する選択データを読み出す。その選択データは、例えば、アンテナ12を選択することを示すデータ、およびアンテナ12を使用する場合であって人体が上部筐体101と下部筐体102の双方に接近したときにアンテナ特性を最良にする整合回路における回路設定を示すデータである。そして、制御部21は、メモリ24から読み出した選択データを整合回路22に出力する。整合回路22は、入力したデータにもとづいて、回路定数の設定を行うとともに、データで示される方のアンテナを選択する。具体的には、以後、データで示される方のアンテナを信号の入出力対象にする。
【0034】
ステップS16では、制御部21は、メモリ24から、第2位置データに対応する選択データを読み出す。その選択データは、例えば、アンテナ13を選択することを示すデータ、およびアンテナ13を使用する場合であって人体が上部筐体101に接近したときにアンテナ特性を最良にする整合回路における回路設定を示すデータである。そして、制御部21は、メモリ24から読み出した選択データを整合回路22に出力する。整合回路22は、入力したデータにもとづいて、回路定数の設定を行うとともに、データで示される方のアンテナを選択する。
【0035】
ステップS17では、制御部21は、メモリ24から、第3位置データに対応する選択データを読み出す。その選択データは、例えば、アンテナ12を選択することを示すデータ、およびアンテナ12を使用する場合であって人体が下部筐体102に接近したときにアンテナ特性を最良にする整合回路における回路設定を示すデータである。そして、制御部21は、メモリ24から読み出した選択データを整合回路22に出力する。整合回路22は、入力したデータにもとづいて、回路定数の設定を行うとともに、データで示される方のアンテナを選択する。
【0036】
ステップS18では、制御部21は、メモリ24から、初期状態に対応する選択データを読み出す。その選択データは、例えば、アンテナ12(アンテナ13でもよい。)を選択することを示すデータ、およびアンテナ12を使用する場合であって人体が携帯電話機10に接近していない場合にアンテナ特性を最良にする整合回路における回路設定を示すデータである。そして、制御部21は、メモリ24から読み出した選択データを整合回路22に出力する。整合回路22は、入力したデータにもとづいて、回路定数の設定を行うとともに、データで示される方のアンテナを選択する。なお、初期状態は、例えば、ユーザが、携帯電話機10を机上に置いたままパーソナルコンピュータとの通信を行ったり、地上デジタルテレビジョン放送を視聴したりする状態である。
【0037】
ステップS15〜S18におけるそれぞれの処理が終了すると、ステップS11に戻る。すなわち、ステップS15〜S18は、通信中に常時実行される。よって、通話中にユーザが携帯電話機10の持ち方を変えたこと等によって、センサ14またはセンサ15からの検知信号の出力状況が変わった場合には、制御部21は、ステップS12〜S18における処理を行なって、整合回路22にアンテナおよび回路定数を切り替えさせる。なお、切り替えは、アンテナおよびインピーダンス整合の変更が通信に影響を与えない時点において実行されることが好ましい。また、通信中ではなくなったときには、ステップS15〜S18の処理を実行しない状態に移行する。
【0038】
本実施形態の携帯無線端末は、アンテナと人体との位置関係を自動的に判定し、判定した位置関係に応じてアンテナを選択する。さらに、選択したアンテナと、アンテナと人体との位置関係とに応じてインピーダンス整合を行う。よって、人体の接触または接近を検知する位置検出手段の出力を用いてアンテナ特性の劣化を防止するように構成されている場合に、インピーダンス整合のみで対応する場合や複数のアンテナから使用アンテナを選択することのみで対応する場合に比べて、簡易な回路構成で比較的精度よくアンテナ特性の劣化を防止することができる。
【0039】
なお、本実施形態の携帯無線端末には、2つのアンテナ12,13が設けられているが、アンテナの数は2つに限られず、3つ以上のアンテナが設けられていてもよい。
【0040】
また、人体の接近を検知する位置検出手段として2個のセンサ(センサ14およびセンサ15)を用いたが、センサの個数は2個に限られない。センサの個数を2個よりも多くすると、人体の接近を検出できる箇所が増加する。制御部21は、よりきめ細かく整合回路の設定を行うことができるので、アンテナ特性の劣化をより効果的に防止することができる。
【0041】
例えば、スライド式の携帯電話機では、LCD表示部の周辺に多くのセンサを設置したり、ストレート式の携帯電話機では、手で覆われる機会が多い部分に多くのセンサを設置したりする。
【0042】
なお、センサとして、近接センサの他、照度センサ、赤外線センサ、温度センサまたは圧力センサのように人体の接近を識別可能な機能を備えた汎用的なセンサを利用することができる。また、それらのセンサを組み合わせて使用してもよい。
【0043】
また、本実施形態では、アンテナ選択の基準は、携帯電話機10において人体が接触している箇所から遠い方のアンテナを選択することであり、位置データに応じて選択されるアンテナがあらかじめ定められているが、制御部21は、検知信号を出力したセンサ14,15がいずれのセンサであるかに応じて複数のアンテナ12,13から一のアンテナを選択するアンテナ選択処理を実行する際に、双方のアンテナ12,13で受けた電波にもとづく受信電界強度を整合回路22から入力し、受信電界強度が高い方のアンテナを選択するようにしてもよい。
【0044】
また、本実施形態では、携帯無線端末として携帯電話機10を例にしたが、本発明を適用な可能な携帯無線端末は携帯電話機10に限られず、携帯電話機10以外の、無線通信を行うことが可能な携帯型の端末装置であってもよい。
【0045】
図6は、本発明による携帯無線端末の主要部を示すブロック図である。図6に示すように、携帯無線端末は、複数のアンテナ1,2(例えば、図2に示すアンテナ12およびアンテナ13に相当)を備えた携帯無線端末であって、人体の接近を検知すると検知信号を出力する複数の位置検出手段3,4(例えば、図2に示すセンサ14およびセンサ15に相当)と、複数種類のインピーダンス調整を行うことが可能な整合回路5(例えば、図2に示す整合回路22に相当)と、検知信号を出力した位置検出手段がいずれの位置検出手段であるかに応じて複数のアンテナから一のアンテナを選択するアンテナ選択処理を実行するアンテナ選択手段6(例えば、図2に示す制御部21および整合回路22に相当)と、検知信号を出力した位置検出手段がいずれの位置検出手段であるかに応じたインピーダンス調整を整合回路5に行わせるインピーダンス整合処理を実行するインピーダンス整合手段7(例えば、図2に示す制御部21に相当)とを備えている。
【0046】
また、上記の実施形態では、以下の(1)〜(2)に示すような携帯無線端末も開示されている。
【0047】
(1)第1筐体(例えば、図1に示す上部筐体101に相当)と第2筐体(例えば、図1に示す下部筐体102に相当)とを含む折り畳み型の携帯電話機であり、位置検出手段が、少なくとも第1筐体と第2筐体とに設置されている携帯電話機。
【0048】
(2)アンテナ選択手段が、通信中に常時アンテナ選択処理を実行し、インピーダンス整合手段は、通信中に常時インピーダンス整合処理を実行する(図5参照)携帯電話機。
【符号の説明】
【0049】
1,2 アンテナ
3,4 位置検出手段
5 整合回路
6 アンテナ選択手段
7 インピーダンス整合手段
10 携帯電話機
11 LCD表示部
12 アンテナ
13 アンテナ
14 センサ
15 センサ
16 キー操作部
17 バッテリ
21 制御部
22 整合回路
23 無線部
24 メモリ
101 上部筐体
102 下部筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナを備えた携帯無線端末であって、
人体の接近を検知すると検知信号を出力する複数の位置検出手段と、
複数種類のインピーダンス調整を行うことが可能な整合回路と、
検知信号を出力した位置検出手段がいずれの位置検出手段であるかに応じて複数のアンテナから一のアンテナを選択するアンテナ選択処理を実行するアンテナ選択手段と、
検知信号を出力した位置検出手段がいずれの位置検出手段であるかに応じたインピーダンス調整を前記整合回路に行わせるインピーダンス整合処理を実行するインピーダンス整合手段とを備えた
ことを特徴とする携帯無線端末。
【請求項2】
携帯無線端末は、第1筐体と第2筐体とを含む折り畳み型の携帯電話機であり、
位置検出手段は、少なくとも前記第1筐体と前記第2筐体とに設置されている
請求項1記載の携帯無線端末。
【請求項3】
アンテナ選択手段は、通信中に常時アンテナ選択処理を実行し、
インピーダンス整合手段は、通信中に常時インピーダンス整合処理を実行する
請求項1または請求項2記載の携帯無線端末。
【請求項4】
アンテナ選択手段は、検知信号を出力した位置検出手段が設置されている位置から遠い方に設置されているアンテナを選択する
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の携帯無線端末。
【請求項5】
アンテナ選択手段は、受けた電波にもとづく受信電界強度が高い方のアンテナを選択する
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の携帯無線端末。
【請求項6】
複数のアンテナを備えた携帯無線端末におけるアンテナ選択方法であって、
人体の接近を検知すると検知信号を出力する複数の位置検出手段のうち検知信号を出力した位置検出手段がいずれの位置検出手段であるかに応じて複数のアンテナから一のアンテナを選択するアンテナ選択処理を実行し、
複数種類のインピーダンス調整を行うことが可能な整合回路に、前記複数の位置検出手段のうち検知信号を出力した位置検出手段がいずれの位置検出手段であるかに応じたインピーダンス調整を行わせるインピーダンス整合処理を実行する
ことを特徴とするアンテナ選択方法。
【請求項7】
通信中に常時アンテナ選択処理を実行し、
通信中に常時インピーダンス整合処理を実行する
請求項6記載のアンテナ選択方法。
【請求項8】
アンテナ選択処理で、検知信号を出力した位置検出手段が設置されている位置から遠い方に設置されているアンテナを選択する
請求項6または請求項7記載のアンテナ選択方法。
【請求項9】
アンテナ選択処理で、受けた電波にもとづく受信電界強度が高い方のアンテナを選択する
請求項6または請求項7記載のアンテナ選択方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−239182(P2010−239182A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81937(P2009−81937)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】