説明

携帯無線端末装置及び携帯無線端末装置用の卓上型充電台

【課題】装置を小型化すると共に、クレードルへの装着時にも良好なアンテナ特性の外部アンテナを使用することができる携帯無線端末装置を提供すること。
【解決手段】携帯無線端末装置1のホイップアンテナ4は、携帯無線端末装置1がクレードル2に装着された時には、クレードル2のアンテナ用接点7と接触するように構成されている。この場合、携帯無線端末装置1側のコネクタ5と、クレードル2側のコネクタ8とは電気的に接続されて、携帯無線端末装置1側の回路基板と、クレードル2側の回路基板とは接地電位で電気的に接続される。これにより、クレードル2側の回路基板と近接するホイップアンテナ4は、マイクロストリップライン化されて、そのアンテナ機能が無効化される。しかし、ホイップアンテナ4は伝送線路としては機能するので、クレードル2が備えるホイップアンテナ6だけを外部アンテナとして有効に機能させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯無線端末装置及び携帯無線端末装置用の卓上型充電台に係り、特に、デジタルテレビ放送、FM放送、マルチメディア放送等の放送電波の受信に適した携帯無線端末装置及び携帯無線端末装置用の卓上型充電台に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯無線端末装置によっても、デジタルテレビ放送、FM放送、マルチメディア放送等を受信して視聴できるサービスの提供が増えており、また、実際にこれらの放送を受信できる機能を搭載した携帯無線端末装置が数多く開発されている。一般に、これらの放送に使用されている周波数域は、携帯電話装置等に使用されている周波数域と比べて低い場合が多く、このため受信アンテナは大型化する傾向が有る。また、携帯無線端末装置の場合には、ホイップアンテナやイヤホンアンテナ等の外部アンテナを装着する必要があり、視聴時にはそれらを引き伸ばして使用する必要がある。
【0003】
しかしながら、携帯無線端末装置は、その携帯性を確保するために小型化されており、低い周波数域の電波を受信するためには理想的であるサイズの大きいアンテナ(具体的には、よりエレメント長の長い外部アンテナ)を搭載することは困難である。また使用者の中には、これらの放送を録画、若しくは録音しておいて、任意の時間帯で視聴するようにする利用方法も多く用いられるようになっている。一般に、放送視聴時には多くの電力量を必要とするため、クレードル(卓上型充電台)等の充電器に装着して充電を行いながら録画、録音、視聴する方法を用いる使用者も多くなっている。
【0004】
このような事情から、クレードル内に、より性能の良いアンテナを搭載して、クレードル装着時には該クレードルに搭載の該アンテナに切り替えるか、若しくは外部アンテナに切り替えることにより、良好な受信環境を実現することが考えられている。しかしながら、このような特別なアンテナに切り替える場合に、クレードルには、必然的に該アンテナ専用の接点が必要となる。また製品として標準装備されているアンテナとは異なる特別なアンテナとなるため、クレードルには、特殊なアンテナ切り替え回路を備えて、切り替え制御を行う必要が有り、小型化を進める上で大きな障害となっている。更に、防水性能を備えた携帯無線端末装置の場合には、新たな端子の追加が必要となるので、携帯無線端末装置の大型化を招くことになり、携帯無線端末装置の商品性には大きな影響を与えることになる。
【0005】
この分野に関連する公知技術として、例えば特許文献1には、簡易な構成でテレビジョン信号の信号品質を改善することを意図した技術が開示されている。具体的には、充電器に装着された携帯電話機の電話機用信号受信アンテナで第1のテレビジョン信号S1Aを受信する。そのとき、充電器の充電器用信号受信アンテナで第2のテレビジョン信号S1Bを受信して当該携帯電話機で第1のテレビジョン信号S1A及び第2のテレビジョン信号S1Bをダイバーシチ処理する。これにより、携帯電話機を単独でテレビジョン放送の受信機とする際に用いる電話機用信号受信アンテナを、当該携帯電話機及び充電器を合わせてテレビジョン放送の受信機とする際にも兼用する。このようにして、テレビジョン信号受信システムに対する信号受信アンテナの本数を減らし、簡易な構成でテレビジョン信号の信号品質を改善することができるようにするものとしている。
【0006】
また、特許文献2には、クレードルに載置して充電等を行っている間でも、TV受信可能な強電波エリアでは、本体アンテナからのRF信号の再生を選択することができ、外部アンテナを接続することなく、TV視聴できる携帯無線端末装置が開示されている。具体的には、本体アンテナが伸長され、収納検出スイッチがOFF状態である場合には、切り換えスイッチの接続端子と出力端子とを接続させて本体アンテナによって受信されたRF信号をチューナ部に入力させる。本体アンテナが筐体内に収納され、収納検出スイッチがON状態である場合、切り換えスイッチの接続端子の1つと出力端子とを接続させて外部アンテナ接続端子、若しくはクレードル接続端子とから入力されたRF信号をチューナ部に入力させる構成としている。
【0007】
また、例えば特許文献3には、携帯無線端末装置が卓上充電器にセットされた状態において、安定したDTV放送の受信を実現することを意図した技術が開示されている。具体的には、地上波デジタル放送が受信可能な携帯端末用の卓上充電器において、携帯端末充電の為の充電用端子と、携帯端末と接続する無線接続手段と、地上波デジタル放送用アンテナと、地上波デジタル用外部無線信号入力端子と、切り替えスイッチを設ける。そして、携帯端末が卓上充電器にセットされた際、携帯端末に対し、無線接続手段に接続された切り替えスイッチを介して、地上波デジタル放送用アンテナ、又は地上波デジタル放送用外部無線信号入力端子のいずれか一方からの信号を選択し供給している。
【0008】
また、例えば特許文献4には、携帯無線端末装置に放送信号受信用のアンテナを設けない場合でも、良好な受信特性を維持できるとともに、携帯性に優れた構成を実現することを意図した技術が開示されている。具体的には、クレードルと携帯無線端末装置とを備えて構成される携帯無線装置において、クレードルには、放送信号受信用のアンテナを内蔵し、受信した放送信号を送信する接点と、携帯無線端末装置を装着する端末装着部とを備える。携帯無線端末装置には、放送信号をクレードルの接点を介して受信する接点を設け、受信した放送信号を復調する放送受信回路部を備える。また、受信した放送信号の帯域切り替えを行い、放送受信回路部へ出力する帯域切替え回路部を備え、受信する放送信号の帯域に合わせた周波数への切り替えを行うものとしている。
【0009】
更に、特許文献5には、切り替え回路を用いることなく、本体アンテナと外部アンテナ入力端子とを切り替えることができ、切り替え素子やインピーダンスマッチング素子等の損失による受信感度の低下を防止し得る携帯無線端末装置が開示されている。具体的には、クレードルに載置した際に、コネクト手段によってクレードルに設けられた信号接続ピンと本体アンテナとが接続されるように構成する。この構成において、携帯無線端末装置をクレードルに載置すると、信号接続ピンと本体アンテナとが接続され、信号接続ピンから供給される信号を本体アンテナ経由でチューナ部に入力させることができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−136724号公報
【特許文献2】特開2009−044622号公報
【特許文献3】特開2010−034921号公報
【特許文献4】特開2010−199743号公報
【特許文献5】特開2009−038719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記背景技術で述べた本発明に関連する携帯無線端末装置にあっては、前述のとおり、室内での使用時に、より安定した特性を得るため、クレードル等に搭載された外部アンテナを使用することが行われている。このため、外部アンテナと接続するための新たなアンテナ接続端子が必要になる。また、携帯無線端末装置に搭載されているアンテナと該外部アンテナとの切り替えを行うためのアンテナ切り替え回路と、切り替えを制御する回路が新たに必要となる。
【0012】
また、最近の携帯無線端末装置には、益々小型化が要求されると共に防水性が求められることも多くなっている。特に、防水性が求められる場合、携帯無線端末装置内部と外部とを接続する接続端子を新設することは、携帯無線端末装置の小型化にとって困難な課題となる。更に、接続端子や接続配線については、高周波信号伝送に適した同軸コネクタや同軸ケーブル等を使用する必要性が有り、このため、小型化と防水性を実現することが一層厳しいものとなる。
【0013】
特性インピーダンス線路の観点から見ると、特許文献5に記載の公知技術では、ホイップアンテナを高周波伝送線路に変換する際に、金属管を用いた同軸ケーブル構成にしている。この方法であると、ホイップアンテナを、筐体内部に収納する方法のアンテナとしてしか使用できないことになる。
【0014】
本発明の目的は、上述した課題を解決する携帯無線端末装置及び携帯無線端末装置用の卓上型充電台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明に係る携帯無線端末装置は、少なくとも放送信号を受信する機能を有する、折畳み式または引出し式の本装置用のホイップアンテナと、本装置の接地電位の回路基板と接続されたコネクタを備え、前記本装置用のホイップアンテナは、卓上型充電台に装着された状態で、前記卓上型充電台の接地電位の回路基板とマイクロストリップラインを構成するように配置され、アンテナ機能は無効化されると共に高周波伝送線路として機能することを特徴とする。また、本発明に係る携帯無線端末装置用の卓上型充電台は、少なくとも放送信号を受信する機能を有する本装置用のホイップアンテナと、本装置の接地電位の回路基板と接続されたコネクタを備え、携帯無線端末装置が載置された際に、前記本装置の接地電位の回路基板は、前記携帯無線端末装置用のホイップアンテナをマイクロストリップラインに変じさせ、前記携帯無線端末装置用のホイップアンテナのアンテナ機能を無効化すると共に高周波伝送線路として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、携帯無線端末装置側のホイップアンテナを収納すると共に、該携帯無線端末装置をクレードルに収納して使用する場合に、接続用の接点や切替回路等の追加的な回路要素を設けなくとも、より良好なアンテナ特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯無線端末装置及び携帯無線端末装置用の卓上型充電台の全体構成を示す構成図である。
【図2】本発明に係る携帯無線端末装置1とクレードル2とが備える回路のブロック構成を例示する構成図である。
【図3】本発明に係る携帯無線端末装置1の部分的な詳細構成を示す説明図である。
【図4】本発明に係る携帯無線端末装置1のインピーダンス及び反射損失を示すグラフ図である。
【図5】一般的な携帯無線端末装置が備えるホイップアンテナの収納状態の1例を示す説明図である。
【図6】図5に示す携帯無線端末装置が備えるホイップアンテナのインピーダンス及び反射損失を示すグラフ図である。
【図7】本発明に係る携帯無線端末装置1をクレードル2に装着した場合の部分的な詳細構成を示す説明図である。
【図8】図7に示す装着状態での携帯無線端末装置1のインピーダンス及び反射損失を示すグラフ図である。
【図9】本発明の実施形態に係る携帯無線端末装置の他の構成を示す構成図である。
【図10】図9に例示するマイクロストリップラインを実現した携帯無線端末装置のインピーダンス及び反射損失を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の携帯無線端末装置及び携帯無線端末装置用の卓上型充電台の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る携帯無線端末装置及び携帯無線端末装置用の卓上型充電台の全体構成を示す構成図である。同図において、本実施形態の携帯無線端末装置1は、クレードル2(本発明の実施形態に係る携帯無線端末装置用の卓上型充電台)に装着されるところである。図1に示す携帯無線端末装置1は、主要な構成要素として、表示・操作部3と、ホイップアンテナ4(外部アンテナ)と、GND(接地)端子及び信号線端子を備えたコネクタ5とを備える。この他に、携帯無線端末装置1は、図示していない通信回路や電源回路を含むものとする。携帯無線端末装置1は、具体的には携帯電話装置、携帯情報端末装置、携帯コンピュータ端末装置、携帯ゲーム端末装置、等の情報機器であって良い。クレードル2は、図1に示す構成では、ホイップアンテナ6(外部アンテナ)と、アンテナ用接点7と、GND端子及び信号線端子を備えたコネクタ8と、GND電位の基板9と、を備えるものとする。この他に、クレードル2は、図示していない通信回路や電源回路を含むものとする。
【0020】
以下、本実施形態の携帯無線端末装置1が有する各構成要素の機能について説明する。ホイップアンテナ4は、ここでは、棒状の折り畳み可能な外部アンテナであり、少なくとも放送信号を受信する機能を有するものとする。ホイップアンテナ4は、携帯無線端末装置1を単体で使用する場合には図1に示す位置とは反対側に折り曲げて、アンテナとして機能させる。そして、クレードル2への装着時には、収納途中図の図1に示すように収納され、該収納が完了すると、ホイップアンテナ4のアンテナエレメント(後述)の一端が、クレードル2のアンテナ用接点7と接触するように構成している。なお、前記構造において、クレードル2のアンテナ用接点7は、クレードル2のホイップアンテナ6と、高周波的な損失が僅少であるように接続されているものとする。また、前記アンテナ用接点7との接触部分についても、高周波的な損失が僅少となるように接触するように構成している。
【0021】
よって,上記の収納が完了すると、クレードル2側のホイップアンテナ6と、携帯無線端末装置1側のホイップアンテナ4とは、高周波的な損失が僅少となる状態で電気的に直接接続される。しかしながら、ホイップアンテナ4は、通常、モノポールアンテナ方式のアンテナであり、そのエレメントの長さは1/4波長(λ/4)となる。この長さは、前述のとおり、2つのホイップアンテナ4、6を接続した状態では、1/2波長(λ/2)となり、また、インピーダンスはOPEN(開放)となってしまって、全体としてのアンテナの性能(信号電波による起電力等)は極端に低下することになる。そこで、本発明の携帯無線端末装置1では、クレードル2への装着時には、ホイップアンテナ4を、アンテナとしては機能させず、単に、高周波線路機能だけを有する構成要素となるように構成する。
【0022】
即ち、携帯無線端末装置1が使用する最終的なアンテナとして、ホイップアンテナ4が収納されてクレードル2へ装着された以後は、クレードル2側のホイップアンテナ6のみがアンテナとして有効に機能する。このように、携帯無線端末装置1では、ホイップアンテナ4が収納されてクレードル2へ装着された場合、ホイップアンテナ4が有する通常のアンテナ機能は無効化される。そして、ホイップアンテナ4がホイップアンテナ6との単なる接続接点及び高周波線路として使用されることによって、クレードル2側が備えるホイップアンテナ6のアンテナ機能だけを有効にしている。
【0023】
このため、本発明の携帯無線端末装置1がクレードル2へ装着された場合には、携帯無線端末装置1側のコネクタ5と、クレードル2側のコネクタ8とは電気的に接続されるように構成している。これにより、携帯無線端末装置1側の回路基板(後述)と、クレードル2側の接地電位の回路基板(後述)とは電気的に接続され、これより、ホイップアンテナ4はマイクロストリップライン化される。なお、ホイップアンテナ4のアンテナ機能を無効化する方法を実現する構成、即ち、ホイップアンテナ4をマイクロストリップライン化するために採用される具体的な構成については、図7及び図9を参照して後述する。
【0024】
図2は、本発明に係る携帯無線端末装置1とクレードル2とが備える回路のブロック構成を例示する構成図である。同図に示す携帯無線端末装置1は、主要な回路要素として、表示・操作部3と、ホイップアンテナ4と、コネクタ5と、マッチング回路11と、無線回路12と、復調回路13と、CPU14と、を備える。但し、携帯無線端末装置1の通信用の回路構成は、図2に例示したものに限定されるものではなく、既成の任意の回路構成が可能である。以下、本発明に係る携帯無線端末装置1が備える回路要素の機能について説明する。ホイップアンテナ4は、携帯無線端末装置1に実装されており、高周波信号を受信して無線回路12へ伝送する。その際、マッチング回路11は、ホイップアンテナ4と無線回路12とのインピーダンス整合を行い、これにより、無線信号の損失を軽減する。無線回路12は、CPU14によって制御され、受信周波数の選択等を行う。復調回路13は、高周波信号を復調する。表示・操作部3は、復調回路13が復調した高周波信号が伝える内容(データ)を、CPU14を介して表示する。
【0025】
図3は、本発明に係る携帯無線端末装置1の部分的な詳細構成を示す説明図である。同図では、携帯無線端末装置1のアンテナ特性を決定する構成要素として、ホイップアンテナ4を構成するアンテナエレメント21と、携帯無線端末装置1側の基板22のみを示している。図3に示すとおり、通常、ホイップアンテナ4を構成するアンテナエレメント21は、使用する周波数のλ/4(1/4波長)の長さで構成されているが、ここでは、640M〔Hz〕を使用周波数とする。図4は、本発明に係る携帯無線端末装置1のインピーダンス及び反射損失を示すグラフ図である。同図に示すとおり、インピーダンス及び反射損失は、ほぼ640M〔Hz〕にて同調されている。
【0026】
図5は、一般的な携帯無線端末装置が備えるホイップアンテナの収納状態の1例を示す説明図である。但し、ホイップアンテナ等の符号は、本発明と区別していない。図6は、図5に示す携帯無線端末装置が備えるホイップアンテナのインピーダンス及び反射損失を示すグラフ図である。図5に例示するホイップアンテナの収納状態であっても、同調周波数のずれは起こるものの、アンテナとして機能しており、よって、図6に示すインピーダンス及び反射損失が生じる。また、アンテナエレメント21とGNDとが接近することで、アンテナ長も電気的には若干短くはなるが、それも、ほぼλ/4程度に過ぎない。一方、この一般的な携帯無線端末装置を収納するクレードルに装着されるアンテナも、前述のとおり、λ/4のエレメント長となる。
【0027】
図7は、本発明に係る携帯無線端末装置1をクレードル2に装着した場合の部分的な詳細構成を示す説明図である。同図では、携帯無線端末装置1側のアンテナエレメント21及び基板22に加えて、クレードル2側のアンテナエレメント23と、クレードル側の基板24(基板9の、ここでの実施例)とを示している。図7に示すとおり、携帯無線端末装置1をクレードル2に装着した場合には、携帯無線端末装置1側のアンテナエレメント21と、クレードル2側のアンテナエレメント23とが、図1に示すアンテナ用接点7を介して接続される。この場合には、アンテナエレメントの総長は、ほぼλ/2(半波長)となり、電気的な線路長もほぼ同じ長さとなる。
【0028】
図8は、図7に示す装着状態での携帯無線端末装置1のインピーダンス及び反射損失を示すグラフ図である。同図に示すとおり、エレメント長が、使用周波数のλ/2となった場合には、反共振状態となり、インピーダンスはOPEN(開放)となり、また、反射損失は非常に大きくなるので、アンテナ特性(性能)は極端に低下する。したがってアンテナ収納状態とはいえ、そのまま接続することで携帯端末およびクレードルの両者のエレメント長の合計がλ/2となることで、アンテナとして機能しなくなることが理解される。よって、アンテナエレメント23をアンテナエレメント21と接続して使用する場合、ホイップアンテナ6のみをアンテナとして機能させ、ホイップアンテナ4についてはアンテナとして機能させなくする対策が必要となる。
【0029】
以下、上記の対策を含めて、本発明に係る携帯無線端末装置1の動作を説明する。但し、一般に、無線携帯端末の基板は、アンテナにとってはGNDとして機能しているため、以下の説明では基板=GNDとして説明する。図1に示す携帯無線端末装置1のホイップアンテナ4を収納した状態で、携帯無線端末装置1をクレードル2に装着すると、図2に示すコネクタ5及びコネクタ8において携帯無線端末装置1とクレードル2とが共にGNDに接続され、両者は、同電位となる。より具体的には、図7に示す携帯無線端末装置1の基板22及びクレードル2の基板24がGND電位となると共に、携帯無線端末装置1や、クレードル2の筐体を構成する外板(図示は省略)まで、GND電位となる。
【0030】
この状態で、携帯無線端末装置1が備えるホイップアンテナ4のアンテナエレメント21とクレードル2が備えるホイップアンテナ6のアンテナエレメント23とがアンテナ用接点7(図1)を介して接続される。このように構成することにより、上記接続時には、携帯無線端末装置1が備えるホイップアンテナ4は単なる信号ラインとなり、また、クレードル2が備えるホイップアンテナ6は外部アンテナとして機能する。更に、基板24(基板9の、ここでの実施例)がGND電位となることにより、ホイップアンテナ4についてはマイクロストリップラインが形成される。このマイクロストリップラインは、ライン幅(ホイップアンテナ4の幅)、ラインとGND電位の基板9との距離、及びライン・GND間の誘電体特性によって特性インピーダンスが決定する。ここで、収納時のホイップアンテナ4とGND電位である基板24との間の距離を適切に設計すれば、携帯無線端末装置1のホイップアンテナ4のアンテナ機能を無効化し、必要な特性インピーダンスを有するマイクロストリップラインを形成することができる。なおまた、必要な特性インピーダンスは、一般的に50(Ω)である。
【0031】
図9は、本発明の実施形態に係る携帯無線端末装置の他の構成を示す構成図である。同図に示す構成では、図7に示す基板24の横方向の長さを携帯無線端末装置1のアンテナエレメント21側まで延長してマイクロストリップラインを形成したものである。このように構成することにより、アンテナエレメント21のアンテナとしての機能を、より強力に無効化することができる。その理由は、アンテナエレメント21がGND電位の基板24に接近する範囲が、図7に示す場合よりも拡大されるからである。
【0032】
図10は、図9に例示するマイクロストリップラインを実現した携帯無線端末装置のインピーダンス及び反射損失を示すグラフ図である。同図に示すとおり、図9に例示するマイクロストリップラインでは、図7に示したマイクロストリップラインよりも、一層効果的なマイクロストリップラインが形成されている。これにより、インピーダンス及び反射損失の特性は、携帯無線端末装置1単独のインピーダンス及び反射損失の特性(図4)と比べて、ほぼ同等の特性が得ることができる。この場合、携帯無線端末装置1のホイップアンテナ4はアンテナ機能としては無効化されており、単なる線路機能だけとなっていることが確認できる。
【0033】
以上、説明したとおり、携帯無線端末装置1とクレードル2とが共にGNDに接続された状態で、アンテナエレメント21とアンテナエレメント23とが接続されるので、マイクロストリップラインを形成することができる。また、このマイクロストリップラインでは、携帯無線端末装置1が備えるホイップアンテナ4は、アンテナ機能としては無効化されている。これにより、インピーダンス及び反射損失の特性は、携帯無線端末装置1単独のインピーダンス及び反射損失の特性とほぼ同一にできる効果が得られる。更に、このマイクロストリップラインの形成に際しては、新たな接続接点、アンテナ切り替え回路、切り替え制御回路、及び同軸ケーブル等を設ける必要が無いので、装置全体を小型化できると共に、コストアップを低減する効果が得られる。
【0034】
前述の実施形態では、折り畳式のホイップアンテナを備える携帯無線端末装置について説明した。しかしながら、現在、携帯無線端末装置としては、ホイップアンテナを装置の筐体内部に収納し、使用時には、収納したホイップアンテナを装置の外部に引き出すタイプのホイップアンテナ(引出し式ホイップアンテナ)も、広く普及している。このような、ホイップアンテナを装置の筐体内部に収納するタイプの携帯無線端末装置の場合には、クレードル2のGNDだけではなく、携帯無線端末装置自体のGNDをも使用して、前述の実施形態と同様にマイクロストリップラインを構成することができる。このように構成した場合、使用時に、収納したホイップアンテナが装置の外部に引き出された場合には、マイクロストリップラインの上記構成は崩れるため、通常のアンテナとして機能する。勿論、収納時には、前述のとおり、マイクロストリップラインとして機能するため、同様に、装置全体を小型化できると共に、コストアップを低減する効果が得られる。
【符号の説明】
【0035】
1 携帯無線端末装置
2 クレードル(本発明の携帯無線端末装置用の卓上型充電台)
3 表示・操作部
4 ホイップアンテナ(携帯無線端末装置1の外部アンテナ)
5,8 コネクタ
6 ホイップアンテナ(クレードル2の外部アンテナ)
7 アンテナ用接点
9 基板(クレードル2の基板)
11 マッチング回路
12 無線回路
13 復調回路
14 CPU
21 アンテナエレメント(ホイップアンテナ4のアンテナエレメント)
22 基板(携帯無線端末装置1の基板)
23 アンテナエレメント(ホイップアンテナ6のアンテナエレメント)
24 クレードル基板(基板9の実施例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも放送信号を受信する機能を有する、折畳み式または引出し式の本装置用のホイップアンテナと、本装置の接地電位の回路基板と接続されたコネクタを備え、
前記本装置用のホイップアンテナは、卓上型充電台に装着された状態で、前記卓上型充電台の接地電位の回路基板とマイクロストリップラインを構成するように配置され、アンテナ機能は無効化されると共に高周波伝送線路として機能することを特徴とする携帯無線端末装置。
【請求項2】
前記本装置用のホイップアンテナは、棒状のアンテナエレメントで構成されており、前記卓上型充電台に装着された状態では、該アンテナエレメントの一端が、前記卓上型充電台のホイップアンテナに電気的に接続されているアンテナ用接点と、電気的な接触をなすことを特徴とする請求項1記載の携帯無線端末装置。
【請求項3】
前記電気的な接触は、高周波損失を生じないような接触であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の携帯無線端末装置。
【請求項4】
前記電気的な接触は、本装置が前記卓上型充電台から取り外された際には解除されることを特徴とする請求項2または請求項3記載の携帯無線端末装置。
【請求項5】
前記本装置のコネクタは、前記卓上型充電台に装着された状態では、前記卓上型充電台の接地電位の回路基板に電気的に接続されている前記卓上型充電台側のコネクタと、電気的に接続されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の携帯無線端末装置。
【請求項6】
前記コネクタ間の接続は、本装置が前記卓上型充電台から取り外された際には解除されることを特徴とする請求項4または請求項5記載の携帯無線端末装置。
【請求項7】
少なくとも放送信号を受信する機能を有する本装置用のホイップアンテナと、本装置の接地電位の回路基板と接続されたコネクタを備え、
携帯無線端末装置が載置された際に、前記本装置の接地電位の回路基板は、前記携帯無線端末装置用のホイップアンテナをマイクロストリップラインに変じさせ、前記携帯無線端末装置用のホイップアンテナのアンテナ機能を無効化すると共に高周波伝送線路として機能させることを特徴とする携帯無線端末装置用の卓上型充電台。
【請求項8】
本装置用のホイップアンテナと電気的に接続されたアンテナ用接点を更に備え、前記携帯無線端末装置が載置された状態では、前記アンテナ用接点が、前記携帯無線端末装置用のホイップアンテナを構成する棒状のアンテナエレメントの一端と、電気的な接触をなすことを特徴とする請求項7記載の携帯無線端末装置用の卓上型充電台。
【請求項9】
前記本装置のコネクタは、前記携帯無線端末装置が載置された状態では、前記携帯無線端末装置の回路基板に電気的に接続されている前記携帯無線端末装置側のコネクタと、電気的に接続されることを特徴とする請求項7または請求項8記載の携帯無線端末装置用の卓上型充電台。
【請求項10】
前記本装置の接地電位の回路基板を、前記携帯無線端末装置用のホイップアンテナとの距離間隔が縮小される方向に延長させて配置したことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の携帯無線端末装置用の卓上型充電台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−110560(P2013−110560A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253678(P2011−253678)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】