説明

携帯無線装置

【課題】マイクとアンテナ素子とを近接配置させつつ、導体近接によるアンテナ性能への影響を低減し、マイク音響性能とアンテナ性能とを両立することができる携帯無線装置を提供すること。
【解決手段】携帯無線装置100は、マイク150とマイク信号線140を覆うシールドパターン170と、マイク信号線140上に装荷された遮断回路L1,L3,L4と、シールドパターン170と回路基板130のGNDの間に装荷された遮断回路L2と、を備える。遮断回路L1〜L4は、音声帯域では低インピーダンス、通信帯域では高インピーダンスとなって、マイク150への高周波信号入力を遮断する。シールドパターン170は、高周波帯域における電気長を最小限にするように、マイク信号線140とマイク150を最小限の幅で覆う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の携帯無線装置に関し、特に、バー構造を持つ携帯無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の携帯無線装置では小型化と多機能化が進んでおり、加えて、デザイン性向上のためアンテナの内蔵化が進んでいる。
【0003】
また、携帯電話機等の携帯無線装置は、アンテナと人体との距離を大きくすることでアンテナの感度劣化を防止している。人体が吸収する電磁波のエネルギを表す指標には、SAR(Specific Absorption Rate)値が用いられる。
【0004】
特許文献1には、通信中の通信モ−ドに応じ、筐体に配置された第1,第2のアンテナ部を切替えて使用し、アンテナと人体の距離を大きくして良好な通信を確保する携帯無線機が記載されている。
【0005】
スマートフォンなどのバー構造を持つ携帯無線装置においては、セルラーアンテナは低SAR化や実装体積確保のためボトム部に配置することが主流である。
【0006】
また、クラムシェル・スライド構造においてもヒンジ部にアンテナ素子を配置する際、ヒンジ周辺構造の変化(ヒンジ導体形状・上下基板接続線路等)がアンテナ性能へ大きく影響するため、下筐体ボトム部にアンテナを配置する場合がある。
【0007】
一方、携帯電話を用いて通話をする場合、バーストノイズの問題が発生する。バーストノイズは、携帯電話からの送信波が携帯電話内部の音声系ブロックにかぶり、通話をしている相手側に聞こえるノイズである。
【0008】
特許文献2には、出力端子に高周波カット用のコイルが接続された携帯電話機小型マイクが記載されている。特許文献2記載の装置は、マイクの出力端子、GND端子を高周波カット用コイルで遮断し、送信波が小型マイクに重畳して発生するバーストノイズを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−163956号公報
【特許文献2】特開2000−165982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような従来の携帯無線装置にあっては、ボトム部にマイクとアンテナ素子とを近接配置した場合の影響について考慮されていない。すなわち、バー構造又はクラムシェル・スライド構造のいずれの携帯無線装置であっても、下筐体ボトム部にマイクとアンテナ素子とを近接配置した場合、マイク本体及び信号線路がアンテナ性能へ影響を与え、アンテナ性能と音響性能とか低下してしまう。
【0011】
特に、バー構造の携帯無線装置では、セルラーアンテナは、SARにより筐体下端部に配置することが主流である。また、携帯無線装置は、表示部の大画面化により実装体積が縮小され、セルラーアンテナ素子とマイクは近接した配置となる。
【0012】
上記構成において、(1)マイクをGNDパターンにシールドするだけでは、アンテナ素子に導体(マイク)が近接してアンテナ性能が劣化する。
【0013】
加えて、(2)マイクの信号線上に遮断回路を装荷するだけでは、マイクと回路基板間にループ電流が発生しバーストノイズ影響を受けるだけでなく、マイクの信号線やマイク自体が共振してアンテナ性能へ影響を与える可能性がある。
【0014】
本発明の目的は、マイクとアンテナ素子とを近接配置させつつ、導体近接によるアンテナ性能への影響を低減し、マイク音響性能とアンテナ性能とを両立することができる携帯無線装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の携帯無線装置は、回路基板と、前記回路基板に接続されたアンテナ素子と、前記アンテナ素子近傍に配置されたマイクと、を有する携帯無線装置であって、前記マイクと前記回路基板とを接続するマイク信号線を覆うシールドパターンと、前記マイク信号線上に装荷され、かつ、前記シールドパターンと前記回路基板のGNDの間に装荷され、音声帯域では低インピーダンス、通信帯域では高インピーダンスとなって、前記マイクへの高周波信号入力を遮断する遮断回路と、を備える構成を採る。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、マイクとアンテナ素子とを近接配置させつつ、導体近接によるアンテナ性能への影響を低減し、マイク音響性能とアンテナ性能とを両立することができる携帯無線装置を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る携帯無線装置の概略構成を示す斜視図
【図2】図1の携帯無線装置の構成要素の要部を示す正面図
【図3】図1の携帯無線装置の構成要素の要部を示す背面図
【図4】図1の携帯無線装置の構成要素の要部を示す側面図
【図5】上記実施の形態に係る携帯無線装置のマイク信号線及びマイクの詳細構成を示す分解斜視図
【図6】上記実施の形態に係る携帯無線装置の筐体の筐体下端部の要部拡大図
【図7】上記実施の形態に係る携帯無線装置の構成を示すブロック図
【図8】上記実施の形態に係る携帯無線装置の動作を説明するための筐体下端部の要部拡大図
【図9】上記実施の形態に係る携帯無線装置のマイクの等価回路図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
(実施の形態)
図1は、本発明の一実施の形態に係る携帯無線装置の概略構成を示す斜視図である。図2は、図1の携帯無線装置の構成要素の要部を示す正面図、図3は、その背面図、図4は、その側面図である。図4(b)は、図4(a)の要部拡大図である。
【0020】
以下、本発明に係る携帯無線装置を、PDA(Personal Digital Assistants)等の携帯情報端末で具現化する。また、カメラ付き携帯電話機/PHS(Personal Handy-Phone System)の携帯通信端末に適用してもよい。
【0021】
図1に示すように、携帯無線装置100は、バータイプの筐体110を備える。なお、携帯無線装置100が、折畳式携帯電話機の場合、筐体110は、本体側筐体である。
【0022】
携帯無線装置100は、筐体110と、表示部120と、表示部120の下の筐体110の筐体下端部(ボトム部)110aに設置された機能ボタンからなる入力部101と、を備える。
【0023】
表示部120は、大画面化のため実装体積が縮小されている。また、表示部120には、タッチパネル(図示略)が設置され、入力手段の機能も兼ね備えている。
【0024】
入力部101は、筐体下端部110aに配置されている。上記タッチパネルが、入力手段の機能も兼ね備えるため、入力部101は操作の補助的役割を担い、機能ボタン数も少なく、体積も縮小化されている。
【0025】
図2乃至図4に示すように、携帯無線装置100は、筐体110と、表示部120と、回路基板130と、筐体下端部110aに設置され、回路基板130にマイク信号線140(図4(b)参照)を通して接続されたマイク150と、筐体下端部110aに設置され、マイク信号線140に対して直交配置されたアンテナ素子160と、を備える。
【0026】
携帯無線装置100は、マイク信号線140とマイク150を覆うシールドパターン170(図4(b)参照)と、マイク信号線140の間及びシールドパターン170と回路基板130のGND間に装荷され、マイク150への高周波信号入力を遮断する遮断回路180と、を備える。
【0027】
以上から、筐体下端部110aには、アンテナ素子160が筐体110の幅方向に設置され、アンテナ素子160と垂直にマイク信号線140及びマイク150が設置される。筐体下端部110aには、回路基板130に接続されたアンテナ素子160とマイク150とが近傍に配置されることになる。
【0028】
表示部120は、筐体110の表面の略全面を覆う大型ディスプレイである。表示部120は、LCDディスプレイ又は有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイ等で構成され、受信した情報の内容やコンテンツ等を表示する。
【0029】
回路基板130は、携帯無線装置100の各種機能を実現する回路部品が実装されたプリント基板である。回路基板130の下端には、アンテナ素子160を接続する基板端部130aが形成されている。
【0030】
マイク信号線140及びマイク150の詳細構成については、図5及び図6により後述する。
【0031】
アンテナ素子160は、金属フレームからなる導体部161と、給電部162とを有し、給電部162は、回路基板130の基板端部130aに接続される。アンテナ素子160を構成する金属フレームには、高い導電性を有し、かつ軽量で強度が高い金属、例えばマグネシウム合金を用いる。導体部161は、筐体下端部110aにおいて、基板端部130aに接続された給電部162から、筐体110の幅方向に延びている。アンテナ素子160の導体部161は、マイク150の収音孔152(図5参照)を迂回するように配置されている。
【0032】
シールドパターン170の及び遮断回路180の詳細構成については、図5及び図6により後述する。
【0033】
図5は、マイク信号線140及びマイク150の詳細構成を示す分解斜視図である。また、図6は、筐体110の筐体下端部110aの要部拡大図である。
【0034】
図5及び図6に示すように、マイク150は、矩形状筐体151と、矩形状筐体151の表面端部に開孔した収音孔152とを有する。マイク150は、マイク信号線140が配線されたマイク基板145上に取り付けられる。
【0035】
マイク信号線140は、マイク150と回路基板130とをアンテナ素子160に直交するように繋ぐ信号線である。マイク信号線140は、マイク基板145上にパターン配線されたマイク信号線141と、このマイク信号線141を回路基板130まで遮断回路180を介して接続するマイク信号線142とからなる。換言すれば、マイク信号線141とマイク信号線142の間には遮断回路180が装荷されている。
【0036】
また、図5に示すように、マイク150は、マイク信号線141が配線されたマイク基板145上に接続される。マイク基板145の裏面には、シールドパターン170が、マイク信号線141とマイク150を最小限の幅で覆うように配置されている。本実施の形態では、シールドパターン170は、マイク基板145の裏面に形成された銅箔層により構成される。シールドパターン170は、マイク信号線141を覆うものであればよく、基板の銅箔層には限定されない。例えば、シールドパターン170は、マイク基板145の裏面に、マイク基板145とは別体で導電シートであってもよい。
【0037】
また、図6に示すように、シールドパターン170は、マイク信号線141とマイク150とを覆う最小限の幅に形成される。最小限の幅に形成することで、電気長を短くする。また、シールドパターン170は、マイク150下端部から遮断回路180までを覆っている。
【0038】
シールドパターン170は、上記マイク信号線141とマイク150とを覆う構成に加え、遮断回路180を介して回路基板130のGNDに接続される構成を採る。なお、遮断回路180を介して接続されるGNDは、回路基板130以外のGNDでもよい。
【0039】
遮断回路180は、マイク基板145上のマイク信号線141と回路基板130上のマイク信号線142との間に装荷される遮断回路L1,L3,L4と、シールドパターン170と回路基板130のGND間に装荷される遮断回路L2とから構成される。
【0040】
遮断回路180(遮断回路L1〜L4)は、インダクタンスLにより構成され、音声帯域では低インピーダンス、通信帯域では高インピーダンスとなって、マイク150への高周波信号入力を遮断する。
【0041】
図7は、携帯無線装置100の構成を示すブロック図である。
【0042】
図7に示すように、携帯無線装置100は、筐体下端部110aより筐体110長手上方向に対して、マイク150と、マイク信号線141と、アンテナ素子160と、遮断回路180と、マイク信号線142とが、この順に配置される構成を採る。
【0043】
マイク信号線141,142は、アンテナ素子160に対して垂直に配置される。
【0044】
アンテナ素子160の導体部161は、遮断回路180より筐体110底部側のマイク150近傍に配置される。
【0045】
また、携帯無線装置100は、マイク信号線141とマイク150を、少なくともマイク150端部から遮断回路180まで覆うシールドパターン170を備える。シールドパターン170は、例えばマイク基板145裏面の銅箔層により形成する。
【0046】
また、マイク信号線140上(すなわちマイク信号線141とマイク信号線142間)に遮断回路L1,L3,L4を装荷し、シールドパターン170と回路基板130のGND間に遮断回路L2を装荷する。
【0047】
遮断回路180(遮断回路L1〜L4)は、音声帯域では低インピーダンス、通信帯域では高インピーダンスとなるインダクタンスLにより構成する。
【0048】
以下、上述のように構成された携帯無線装置100の動作について説明する。
【0049】
図8は、携帯無線装置100の動作を説明するための筐体下端部110aの要部拡大図である。
【0050】
[マイク信号線140とアンテナ素子160の直交配置]
図8に示すように、マイク信号線140(マイク信号線141,142)は、アンテナ素子160(より詳細には、導体部161)に対して垂直に配置する。また、アンテナ素子160の導体部161は、遮断回路180より筐体下端部110a底部側のマイク基板145上に配置する。
【0051】
マイク信号線140とアンテナ素子160とを直交配置(特に、垂直配置)することにより、マイク信号線140を流れるマイク電流とアンテナ素子160の導体部161を流れるアンテナ電流とは直交する。マイク電流とアンテナ電流とを直交させることで、アンテナ性能への影響を低減することができる。
【0052】
[マイク信号線141等を導体部161から高周波的に浮かせる構成]
マイク150とマイク信号線141とグランドパターンを、遮断回路180によりアンテナ素子160の導体部161に対し、高周波的に浮かせる構成を採る。
【0053】
マイク150とマイク信号線141とグランドパターンは、遮断回路180により高周波的に浮いた状態となるので、導体近接によるアンテナ性能への影響を低減することができる。
【0054】
[アンテナ素子160/遮断回路180/マイク信号線140/マイク150/シールドパターン170の配置]
図6に示すように、筐体110の筐体下端部110a中央には、マイク150の音孔(図示略)を配置する。アンテナ素子160の給電部162は、筐体下端部110aの基板端部130aに配置する。そして、アンテナ素子160は、上記音孔(図示略)を迂回するように構成する。
【0055】
迂回したアンテナ素子160と筐体110との位置関係は、以下の通りである。筐体下端部110a底面から、筐体平面視で見た場合、マイク150、マイク信号線141、アンテナ素子160、遮断回路180乃至マイク信号線142となるように配置される。シールドパターン170は、少なくともマイク150から遮断回路180までを覆う大きさに形成する。
【0056】
この構成により、マイク150とアンテナ素子160を少ない面積で実装することができ、高いアンテナ性能と音響性能を得ることができる。
【0057】
[遮断回路180の装荷]
図9は、マイク150の等価回路図である。
【0058】
図9に示すように、遮断回路180(遮断回路L1,L3,L4)は、マイク基板145上のマイク信号線141と回路基板130上のマイク信号線142との間に装荷され、マイク信号線141を回路基板130から高周波的に切り離す。
【0059】
遮断回路180(遮断回路L1〜L4)は、インダクタンスLにより構成され、音声帯域では低インピーダンス、通信帯域では高インピーダンスとなる。遮断回路L1,L3,L4は、マイク基板145上のマイク信号線141と回路基板130上のマイク信号線142との間に装荷され、遮断回路L2は、シールドパターン170と回路基板130のGND間に装荷される。この構成により、図9に示すように、マイク基板145上のマイク信号線141とシールドパターン170とは、容量的に結合されている。
【0060】
遮断回路180は、通信帯域では高インピーダンスとすることで、導体部161を、マイク150とマイク信号線141とグランドパターンから、高周波的に浮かせることが可能になる。アンテナ素子160の導体部161に対する近接導体の遮断効果を高めることができ、アンテナ性能への影響を低減することができる。また、回路基板130経由してマイク150へ進入する高周波信号入力を抑えることができ、バーストノイズ発生を抑制することができる。
【0061】
また、遮断回路180は、音声帯域では低インピーダンスとすることで、信号の伝達へ影響を及ぼすことがない。
【0062】
[アンテナ素子160/遮断回路180/マイク信号線140/マイク150/シールドパターン170の構成]
図5に示すように、シールドパターン170は、マイク基板145の裏面に形成された銅箔層である。シールドパターン170は、マイク基板145上のマイク信号線141とマイク150を、マイク基板145の裏面に形成された銅箔層で覆う。
【0063】
また、マイク信号線140上(すなわちマイク信号線141とマイク信号線142間)に遮断回路L1,L3,L4を装荷し、シールドパターン170と回路基板130のGND間に遮断回路L2を装荷する。
【0064】
この構成により、以下のようにアンテナ性能及び音響性能をいずれも向上させることができる。
【0065】
(1)アンテナ性能
携帯無線装置100は、上述したシールドパターン170と遮断回路180を備えることにより、マイク150とマイク信号線140の高周波帯域(音声に対して高周波)における電気長を最小限にすることができ、これらのアンテナ素子160への影響(導体近接及び共振発生)を抑えることができる。アンテナ素子160への影響を抑えることでアンテナ性能を向上させることができる。
【0066】
(2)音響性能
遮断回路180は、回路基板130経由で、マイク150へ進入する高周波信号入力を抑えることができ、バーストノイズ発生を抑制することができる。
【0067】
これに加えて、マイク150及びマイク信号線140を覆う形のシールドパターン170が、音声帯域において低インピーダンスでGNDと繋がっている。このため、音響帯域における電気信号を損失なく伝送することが可能になる。
【0068】
以上詳細に説明したように、本実施の形態の携帯無線装置100は、回路基板130に接続されたアンテナ素子160とマイク150とが、筐体下端部110aに近接して配置される。アンテナ素子160は、導体部161と、回路基板130に接続された給電部162とを有し、マイク信号線140は、導体部161に直交して配置される。
【0069】
携帯無線装置100は、マイク150とマイク信号線140を覆うシールドパターン170と、マイク信号線140上に装荷された遮断回路L1,L3,L4と、シールドパターン170と回路基板130のGNDの間に装荷された遮断回路L2と、を備える。
【0070】
遮断回路L1〜L4は、インダクタンスから構成され、音声帯域では低インピーダンス、通信帯域では高インピーダンスとなって、マイク150への高周波信号入力を遮断する。シールドパターン170は、高周波帯域における電気長を最小限にするように、マイク信号線140とマイク150を最小限の幅で覆う。シールドパターン170は、マイク信号線141が配線されたマイク基板145の裏面を銅箔層により全面で覆い、かつ、遮断回路L2を介して回路基板130のGNDに接続されていることから、マイク信号線140と容量的に結合されている。
【0071】
以上、シールドパターン170と遮断回路180を備えることにより、マイク150とマイク信号線140の高周波帯域における電気長を最小限にすることができ、これらのアンテナ素子160への影響(導体近接及び共振発生)を抑えることができる。アンテナ素子160への影響を抑えることでアンテナ性能を向上させることができる。
【0072】
また、遮断回路180は、回路基板130経由で、マイク150へ進入する高周波信号入力を抑えることができ、バーストノイズ発生を抑制することができる。
【0073】
さらに、シールドパターン170は、音声帯域において低インピーダンスで回路基板130のGNDと繋がっているため、音響帯域におけるノイズをキャンセルする効果を得ることができる。
【0074】
このように、携帯無線装置100は、マイク150とアンテナ素子160とを近接配置させつつ、導体近接によるアンテナ性能への影響を低減することができ、マイク音響性能とアンテナ性能とを両立させることができる。
【0075】
また、本実施の形態では、マイク信号線140は、アンテナ素子160に対して垂直に配置し、かつ、アンテナ素子160の導体部161は、筐体下端部110aに配置することで、導体近接によるアンテナ性能への影響を低減することができる。
【0076】
また、本実施の形態では、筐体下端部110a中央に、マイク150の音孔を配置するとともに、アンテナ素子160給電部162は、筐体下端部110aまで延びた基板端部130aに配置する。また、アンテナ素子160は、上記音孔を迂回するように配置する。これにより、マイク150及びアンテナ素子160を、少ない面積で筐体110に実装しつつ、高いアンテナ性能とマイク性能を得ることができる。
【0077】
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。
【0078】
回路基板に接続されたアンテナ素子と、アンテナ素子近傍に配置されたマイクとを有する携帯無線装置であればどのような装置にも適用できる。例えば、バー構造を持つ携帯無線装置は勿論のこと、携帯電話機/PHS(Personal Handy-Phone System)、PDA(Personal Digital Assistants)等の携帯情報端末、ノート型パソコン等の情報処理装置にも適用可能である。
【0079】
また、上記各実施の形態では、携帯無線装置という名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、携帯無線機、無線装置等でもよいことは勿論である。
【0080】
また、上記携帯無線装置を構成する筐体、アンテナ素子、マイク信号線の種類、数及び接続方法などは前述した実施の形態に限られない。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明に係る携帯無線装置は、マイクとアンテナ素子とを近接配置させつつ、導体近接によるアンテナ性能への影響を低減し、マイク音響性能とアンテナ性能とを両立した携帯無線装置を提供できる。バー構造を持つ携帯電話機等の携帯無線装置などに有用である。
【符号の説明】
【0082】
100 携帯無線装置
110 筐体
110a 筐体下端部
130 回路基板
130a 基板端部
140,141,142 マイク信号線
145 マイク基板
150 マイク
160 アンテナ素子
161 導体部
162 給電部
170 シールドパターン
180,L1,L2,L3,L4 遮断回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、前記回路基板に接続されたアンテナ素子と、前記アンテナ素子近傍に配置されたマイクと、を有する携帯無線装置であって、
前記マイクと前記回路基板とを接続するマイク信号線を覆うシールドパターンと、
前記マイク信号線上に装荷され、かつ、前記シールドパターンと前記回路基板のGNDの間に装荷され、音声帯域では低インピーダンス、通信帯域では高インピーダンスとなって、前記マイクへの高周波信号入力を遮断する遮断回路と、
を備える携帯無線装置。
【請求項2】
前記アンテナ素子と前記マイクとは、筐体下端部に近接配置される、請求項1記載の携帯無線装置。
【請求項3】
前記アンテナ素子は、導体部と、前記回路基板に接続された給電部と、を有し、
前記マイク信号線は、前記導体部に直交する、請求項1記載の携帯無線装置。
【請求項4】
前記マイクは、前記マイク信号線が配線されたマイク基板上に設置され、
前記シールドパターンは、前記マイク基板の裏面に形成された銅箔層からなる、請求項1記載の携帯無線装置。
【請求項5】
前記シールドパターンは、前記マイク信号線と前記マイクを最小限の幅で覆う、請求項1記載の携帯無線装置。
【請求項6】
前記シールドパターンは、高周波帯域における電気長を最小限にするように、前記マイク信号線と前記マイクを覆う、請求項1記載の携帯無線装置。
【請求項7】
前記シールドパターンは、音声帯域において、低インピーダンスで前記回路基板のGNDに繋がる、請求項1記載の携帯無線装置。
【請求項8】
前記シールドパターンは、前記マイク信号線と容量的に結合される、請求項1記載の携帯無線装置。
【請求項9】
前記遮断回路は、インダクタンスである、請求項1記載の携帯無線装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−239118(P2012−239118A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108200(P2011−108200)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】