説明

携帯端末および情報処理方法

【課題】地上デジタル放送波における字幕の文字列および映像の視認性を好適に向上させることができるようにする。
【解決手段】本発明の携帯端末においては、文字サイズ・表示領域設定部78は、字幕データに基づく字幕文の文字サイズを文字サイズCsに設定し字幕文の表示領域を表示領域Paに設定し字幕文の表示間隔を表示間隔Piに設定し、および字幕文の表示位置を設定し、字幕文分割部77は字幕文の表示領域が表示領域Paよりも大きい場合字幕文の表示時間Ptを算出し、字幕文の最大分割数Dnを算出し、字幕文の表示領域が表示領域Pa以下の大きさになるように字幕文を分割し、各デコーダはオーディオデータ、ビデオデータ、および分割後の字幕データを所定の復号化方式で復号化し、メインディスプレイ17は、映像信号に基づく映像を映像表示領域に表示し、字幕信号に基づく字幕を表示領域Paに表示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯端末および情報処理方法に係り、特に、地上デジタル放送における字幕の文字列の視認性を向上させることができるようにした携帯端末および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理装置としての携帯電話機は、単なる通話による通信機能を備えるだけでなく、アドレス帳機能、基地局やインターネットを介したメール機能や、Webページなどを閲覧することが可能なブラウザ機能、さらにはオーディオデータを聞くことができる音楽制御機能や、携帯機器向けの地上デジタルワンセグメント(以下ワンセグ(登録商標)と称する)放送を受信することができる機能などを備え、今後は固定機向けの地上デジタルフルセグメント(以下フルセグと称する)放送を受信する機能の搭載も検討されている。
【0003】
地上デジタル放送は字幕放送に対応しており、フルセグ放送字幕(ARIB TR-B14 Aプロファイル)とワンセグ放送字幕(ARIB TR-B14 Cプロファイル)では仕様が異なり、フルセグ放送字幕のほうが一画面に表示できる文字数や装飾機能が豊富である。
【0004】
携帯端末でフルセグ放送字幕を表示する方法としては、フルセグ放送字幕を画面サイズに合わせて縮小表示する方法と、ワンセグ放送字幕に変換して表示する方法がある。
【0005】
ワンセグ放送字幕に変換する技術として、次のような技術が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に提案される技術によれば、デジタル放送用携帯字幕仕様変換装置は、固定受信機用字幕データを動作位置制御コード、文字列の表示状態等の条件によって文字列を分割し、分割を行った文字列を開始座標が基準点に近い順に並べ換え、各文字列の関連性をチェックして、関連性があると判断した文字列を結合することで文字ブロックを構築し、構築された文字ブロックが複数存在する場合には、それら文字ブロックのソートを行って送出順序を自動的に決定する。これにより、固定受信機向けの字幕表示仕様を携帯字幕仕様として、ブロック毎の表示順序が意味の通じる言葉となるように配列順序と表示タイミングを自動的に判別し編集することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−142568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
フルセグ放送字幕は画面サイズの大きい固定機を対象としているため、携帯端末で視聴する場合は、字幕の文字サイズが小さく字幕が読みにくくなったり、字幕と映像が重なることで映像が見にくくなってしまうという課題がある。
【0008】
また特許文献1の技術を利用してワンセグ放送字幕に変換したとしても、フルセグ放送字幕はワンセグ放送字幕と比べて1画面に表示できる文字数や使用できる装飾機能が多いため、文字や装飾が欠落するという課題がある。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、地上デジタル放送における字幕の文字列や映像の視認性を好適に向上させることができる携帯端末および情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の携帯端末は、上述した課題を解決するために、地上デジタル放送を受信する受信手段と、受信手段により受信された地上デジタル放送に基づくTS信号を生成し、生成されたTS信号をオーディオデータ、ビデオデータ、および字幕データに関するメディアデータごとに分離する分離手段と、字幕データに基づく字幕文の文字サイズを文字サイズCsに設定し、字幕文の表示領域を表示領域Paに設定し、字幕文の表示間隔を表示間隔Piに設定し、および字幕文の表示位置を設定する設定手段と、字幕文の文字サイズを文字サイズCsに設定することにより字幕文の表示領域が表示領域Paよりも大きくなる場合、字幕文の表示領域が表示領域Pa以下の大きさになるように字幕文を分割する分割手段と、分離されたオーディオデータ、ビデオデータ、および分割後の字幕データを所定の復号化方式で復号化する復号化手段と、復号化手段による復号化によって生成された映像信号に基づく映像を映像表示領域に表示するとともに、字幕信号に基づく字幕を表示領域Paに表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の情報処理方法は、上述した課題を解決するために、地上デジタル放送を受信する受信ステップと、受信ステップの処理により受信された地上デジタル放送に基づくTS信号を生成し、生成されたTS信号をオーディオデータ、ビデオデータ、および字幕データに関するメディアデータごとに分離する分離ステップと、字幕データに基づく字幕文の文字サイズを文字サイズCsに設定し、字幕文の表示領域を表示領域Paに設定し、字幕文の表示間隔を表示間隔Piに設定し、および字幕文の表示位置を設定する設定ステップと、字幕文の文字サイズを文字サイズCsに設定することにより字幕文の表示領域が表示領域Paよりも大きくなる場合、字幕文の表示領域が表示領域Pa以下の大きさになるように字幕文を分割する分割ステップと、分離されたオーディオデータ、ビデオデータ、および分割後の字幕データを所定の復号化方式で復号化する復号化ステップと、復号化ステップの処理による復号化によって生成された映像信号に基づく映像を映像表示領域に表示するとともに、字幕信号に基づく字幕を表示領域Paに表示する表示ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、地上デジタル放送における字幕の文字列や映像の視認性を好適に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の概念を説明する説明図。
【図2】(A)と(B)は、本発明に係る携帯端末に適用可能な携帯電話機の外観の構成を示す図。
【図3】本発明に係る情報処理装置に適用可能な携帯電話機の内部の構成を示すブロック図。
【図4】図3の地デジ処理部の内部の詳細な構成を示すブロック図。
【図5】(A)と(B)は、文字サイズ・表示領域設定部が設定する表示領域Paと字幕文表示位置の例を示す図。
【図6】図3および図4の携帯電話機における字幕文表示処理を説明するフローチャート。
【図7】字幕文分割部が字幕文の文字サイズを文字サイズCsに拡大した場合の字幕文表示領域の算出方法を説明するための説明図。
【図8】字幕文分割部における字幕文表示時間算出処理を説明するフローチャート。
【図9】字幕文分割部における字幕文分割処理を説明するフローチャート。
【図10】字幕文分割部における他の字幕文分割処理を説明するフローチャート。
【図11】図3の地デジ処理部の内部の他の詳細な構成を示すブロック図。
【図12】図11の字幕文分割部における字幕文表示時間算出処理について説明する
【図13】図3の地デジ処理部の内部の他の詳細な構成を示すブロック図。
【図14】図13の地デジ処理部における字幕文分割処理を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の概念を説明する説明図である。地上デジタル放送に代表されるデジタル放送には、映像データ(ビデオデータ)や音声データ(オーディオデータ)以外に字幕データも含まれている。デジタル放送波を受信する受信機は、字幕データに含まれる字幕文を映像データに基づく映像に重畳して表示することが可能である。フルセグ放送を視聴可能な携帯電話機を例に実施例を述べる。
【0015】
図1(A)は、従来の携帯電話機がフルセグ放送波に基づく映像および字幕を表示する表示画面の表示例を表している。携帯電話機が有する比較的小さいサイズのディスプレイ上でフルセグ放送波を再生することは想定されていない。そのため、図1(A)が示すように、携帯電話機が、携帯電話機が有する小さいサイズのディスプレイ上でフルセグ放送波に含まれる字幕をそのまま再生すると、携帯電話機が有するディスプレイよりも大きいサイズのディスプレイを有する固定用の受信機がフルセグ放送波を再生する場合に比べて、字幕に含まれる文字列の文字サイズが小さくなってしまう。その結果、ユーザは、携帯電話機が表示する字幕の文字列を読むことが困難になってしまう。また、フルセグ放送波に含まれる映像データに基づく映像と、字幕文データに基づく字幕文が重なり合ってしまい、ユーザにとって映像が見にくくなってしまう。
【0016】
そこで、本実施形態では、携帯電話機がメインディスプレイに出力する字幕の文字列の文字サイズを拡大するとともに、字幕の文字列を所定の数に分割する。図1(B)は、本発明に係る携帯端末として適用可能な携帯電話機がフルセグ放送波に基づく映像および字幕を表示する表示画面の表示例を表している。これにより、携帯電話機が表示する字幕の文字列をユーザにとって読みやすくすることができるとともに、映像と字幕とが重なり合うことを解消することができる。その結果、地上デジタル放送波における字幕の文字列の視認性を好適に向上させることができる。
【0017】
図2は、本発明に係る携帯端末として適用可能な携帯電話機1の外観の構成を表している。なお、図2(A)は、携帯電話機1を約180度に見開いたときの正面から見た外観の構成を表しており、図2(B)は、携帯電話機1を見開いたときの側面から見た外観の構成を表している。
【0018】
図2(A)および(B)に示されるように、携帯電話機1は、中央のヒンジ部11を境に第1の筐体12と第2の筐体13とがヒンジ結合されており、ヒンジ部11を介して矢印X方向に折り畳み可能に形成される。携帯電話機1の内部の所定の位置には、送受信用のアンテナ(後述する図3のアンテナ31)が設けられており、内蔵されたアンテナを介して基地局(図示せず)との間で電波を送受信する。
【0019】
第1の筐体12には、その表面に「0」乃至「9」の数字キー、発呼キー、リダイヤルキー、終話・電源キー、クリアキー、および電子メールキーなどの操作キー14が設けられており、操作キー14を用いて各種指示を入力することができる。
【0020】
また、第1の筐体12には、操作キー14の下部にマイクロフォン15が設けられており、マイクロフォン15によって通話時のユーザの音声を集音する。さらに、第1の筐体12には、携帯電話機1の操作を行うサイドキー16が設けられている。
【0021】
なお、第1の筐体12は、背面側に図示しないバッテリパックが挿着されており、終話・電源キーがオン状態になると、バッテリパックから各回路部に対して電力が供給されて動作可能な状態に起動する。
【0022】
一方、第2の筐体13には、その正面にメインディスプレイ17が設けられており、電波の受信状態、電池残量、電話帳として登録されている相手先名や電話番号及び送信履歴等の他、電子メールの内容、簡易ホームページ、CCD(Charge Coupled Device)カメラで撮像した画像、外部のコンテンツサーバ(図示せず)より受信したコンテンツ、メモリカードに記憶されているコンテンツ、フルセグ放送波に基づく映像および字幕を表示することができる。また、メインディスプレイ17の上部の所定の位置にはレシーバ(受話器)18が設けられており、これにより、ユーザは音声通話することが可能である。なお、携帯電話機1の所定の位置には、レシーバ18以外の音声出力部としてのスピーカ(図3のスピーカ50)も設けられている。
【0023】
また、第1の筐体12と第2の筐体13の内部の所定の位置には、携帯電話機1の状態を検知するための磁気センサ19a、19b、19c、および19dが設けられる。なお、メインディスプレイ17は、例えば有機ELにより構成されるディスプレイでもよいし、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)でもよい。
【0024】
図3は、本発明に係る情報処理装置に適用可能な携帯電話機1の内部の構成を表している。図示せぬ基地局から送信されてきた無線信号は、アンテナ31で受信された後、アンテナ共用器(DUP)32を介して受信回路(RX)33に入力される。受信回路33は、受信された無線信号を周波数シンセサイザ(SYN)34から出力された局部発振信号とミキシングして中間周波数信号に周波数変換(ダウンコンバート)する。そして、受信回路33は、このダウンコンバートされた中間周波数信号を直交復調して受信ベースバンド信号を出力する。なお、周波数シンセサイザ34から発生される局部発振信号の周波数は、制御部41から出力される制御信号SYCによって指示される。
【0025】
受信回路33からの受信ベースバンド信号は、CDMA信号処理部36に入力される。CDMA信号処理部36は、図示せぬRAKE受信機を備える。このRAKE受信機では、受信ベースバンド信号に含まれる複数のパスがそれぞれの拡散符号(すなわち、拡散された受信信号の拡散符号と同一の拡散符号)で逆拡散処理される。そして、この逆拡散処理された各パスの信号は、位相が調整された後、コヒーレントRake合成される。Rake合成後のデータ系列は、デインタリーブおよびチャネル復号(誤り訂正復号)が行われた後、2値のデータ判定が行われる。これにより、所定の伝送フォーマットの受信パケットデータが得られる。この受信パケットデータは、圧縮伸張処理部37に入力される。
【0026】
圧縮伸張処理部37は、DSP(Digital Signal Processor)などにより構成され、CDMA信号処理部36から出力された受信パケットデータを図示せぬ多重分離部によりメディアごとに分離し、分離されたメディアごとのデータに対してそれぞれ復号処理を行う。例えば通話モードにおいては、受信パケットデータに含まれる通話音声などに対応するオーディオデータをスピーチコーデックにより復号する。また、例えばテレビ電話モードなどのように、受信パケットデータに動画像データが含まれていれば、この動画像データをビデオコーデックにより復号する。さらに、受信パケットデータがダウンロードコンテンツであれば、このダウンロードコンテンツを伸張した後、伸張されたダウンロードコンテンツを制御部41に出力する。
【0027】
復号処理により得られたデジタルオーディオ信号はPCMコーデック38に供給される。PCMコーデック38は、圧縮伸張処理部37から出力されたデジタルオーディオ信号をPCM復号し、PCM復号後のアナログオーディオデータ信号を受話増幅器39に出力する。このアナログオーディオ信号は、受話増幅器39にて増幅された後、レシーバ18により出力される。
【0028】
圧縮伸張処理部37によりビデオコーデックにて復号されたデジタル動画像信号は、制御部41に入力される。制御部41は、圧縮伸張処理部37から出力されたデジタル動画像信号に基づく動画像を、表示駆動部61に内蔵された画像メモリ62(例えばVRAMなど)を介してメインディスプレイ17に表示させる。このとき、デジタル動画像信号に基づく動画像は、必要に応じて、表示駆動部61に内蔵された画像合成回路63にて合成されるとともに、合成結果の合成画像は画像データ転送回路64によってメインディスプレイ17に転送される。この画像データ転送回路64は、例えばDMA(Direct Memory Access)コントローラなどからなる。
【0029】
なお、制御部41は、受信された動画像データだけでなく、CCDカメラ20により撮像された動画像データに関しても、表示駆動部61の画像メモリ62を介してメインディスプレイ17に表示させることも可能である。
【0030】
一方、通話モードにおいて、マイクロフォン15に入力された話者(ユーザ)の音声信号(アナログオーディオ信号)は、送話増幅器40により適正レベルまで増幅された後、PCMコーデック38によりPCM符号化される。このPCM符号化後のデジタルオーディオ信号は、圧縮伸張処理部37に入力される。また、CCDカメラ20から出力される動画像信号は、制御部41によりデジタル化されて圧縮伸張処理部37に入力される。さらに、制御部41にて作成されたテキストデータである電子メールも、圧縮伸張処理部37に入力される。
【0031】
圧縮伸張処理部37は、PCMコーデック38から出力されたデジタルオーディオ信号を所定の送信データレートに応じたフォーマットで圧縮符号化する。これにより、オーディオデータが生成される。また、圧縮伸張処理部37は、制御部41から出力されたデジタル動画像信号を圧縮符号化して動画像データを生成する。そして、圧縮伸張処理部37は、これらのオーディオデータや動画像データを図示せぬ多重分離部で所定の伝送フォーマットに従って多重化した後にパケット化し、パケット化後の送信パケットデータをCDMA信号処理部36に出力する。なお、圧縮伸張処理部37は、制御部41から電子メールが出力された場合にも、この電子メールを送信パケットデータに多重化する。
【0032】
CDMA信号処理部36は、圧縮伸張処理部37から出力された送信パケットデータに対し、送信チャネルに割り当てられた拡散符号を用いてスペクトラム拡散処理を施し、スペクトラム拡散処理後の出力信号を送信回路(TX)35に出力する。送信回路35は、スペクトラム拡散処理後の信号をQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)方式などのデジタル変調方式を使用して変調する。送信回路35は、デジタル変調後の送信信号を、周波数シンセサイザ34から発生される局部発振信号と合成して無線信号に周波数変換(アップコンバート)する。そして、送信回路35は、制御部41により指示される送信電力レベルとなるように、このアップコンバートにより生成された無線信号を高周波増幅する。この高周波増幅された無線信号は、アンテナ共用器32を介してアンテナ31に供給され、このアンテナ31から図示せぬ基地局に向けて送信される。さらに、携帯電話機1には、現在の正確な現在の時刻を測定する時計回路(タイマ)47が設けられている。
【0033】
制御部41は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)などからなり、CPUは、ROMに記憶されているプログラムまたは記憶部42からRAMにロードされた、オペレーティングシステム(OS)を含む各種のアプリケーションプログラムに従って各種の処理を実行するとともに、種々の制御信号を生成し、各部に供給することにより携帯電話機1を統括的に制御する。RAMは、CPUが各種の処理を実行する上において必要なデータなどを適宜記憶する。
【0034】
記憶部42は、例えば、電気的に書換えや消去が可能な不揮発性メモリであるフラッシュメモリ素子やHDD(Hard Disc Drive)などからなり、制御部41のUI処理CPUにより実行される種々のアプリケーションプログラムや種々のデータ群を格納している。電源回路44は、バッテリ43の出力を基に所定の動作電源電圧Vccを生成して各回路部に供給する。
【0035】
また、フルセグ受信部52は、チューナとOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)復調回路を備える。フルセグ受信部52は、図示せぬ放送局からのフルセグ放送波をアンテナ51を介して受信し、受信されたフルセグ放送波に対してOFDM復調処理を施すことにより、フルセグ放送波に基づくTS(Transport Stream)信号を生成する。なお、TS信号とは、MPEG−2システムで規定されるTS形式の信号である。フルセグ受信部52は、生成されたTS信号を地デジ処理部53に供給する。地デジ処理部53は、フルセグ受信部52からのフルセグ放送波に基づくTS信号を、オーディオデータ(音声データ)とビデオデータ(映像データ)、および字幕データに関するメディアデータにそれぞれ分離する。地デジ処理部53は、分離された各メディアデータに関するPES(Packetized Elementary Stream)を復元する。地デジ処理部53は、分離されたオーディオデータを地デジ処理部53のオーディオデコーダ(図4のオーディオデコーダ79)にて所定の復号化方式でデコードするとともに、分離されたビデオデータを地デジ処理部53内のビデオデコーダ(図4のビデオデコーダ80)にて所定の復号化方式でデコードし、さらに、分離された字幕データを地デジ処理部53内の字幕デコーダ(図4の字幕デコーダ81)にて所定の復号化方式でデコードする。地デジ処理部53は、デコード後のデジタル音声信号とデコード後のデジタル映像信号(デジタル動画像信号)をそれぞれ制御部41に供給する。
【0036】
なお、フルセグ受信部52が生成するTS信号を直接制御部41に出力し、記憶部42がTS信号をTS信号ファイルとして記憶するようにしてもよい。
【0037】
図4は、図3の地デジ処理部53の内部の詳細な構成を表している。地デジ処理部53は、TSバッファ71、分離部72、字幕表示時刻情報取得部73、オーディオデータバッファ74、ビデオデータバッファ75、字幕データバッファ76、字幕文分割部77、文字サイズ・表示領域設定部78、オーディオデコーダ79、ビデオデコーダ80、および字幕デコーダ81を備える。なお、図4においては、フルセグ受信部52がTS信号を地デジ処理部53に供給する場合を想定している。
【0038】
TSバッファ71は、フルセグ放送波受信部52からのTS信号を一時的に保持する(バッファリングする)。分離部72は、TSバッファ71に保持されるTS信号を読み出し、読み出されたTS信号を、オーディオデータ(音声データ)とビデオデータ(映像データ)、および字幕データに関するメディアデータにそれぞれ分離する。分離部72は、分離部72のPID(パケット識別子)フィルタ部に対して分離対象となるPIDを設定し、同一のPIDのTSパケットのペイロード(TSパケットからTSヘッダが取り除かされた残余部分)を結合することにより各メディアのPES(Packetized Elementary Stream)パケットを復元する。PESヘッダの中には、PTS(Presentation Time Stamp;同期用の再生時刻情報)が精度27MHzで記述される。また、PESヘッダの中には、DTS(Decoding Time Stamp;デコードのタイミング時刻情報)も記述される。分離部72は、分離されたオーディオデータに関するPES、ビデオデータに関するPES、および字幕データに関するPESをそれぞれオーディオデータバッファ74、ビデオデータバッファ75、および字幕データバッファ76に出力する。オーディオデータバッファ74、ビデオデータバッファ75、および字幕データバッファ76は、それぞれ、オーディオデータに関するPES、ビデオデータに関するPES、および字幕データに関するPESを一時的に保持する。なお、字幕データバッファ76が一時的に保持する字幕データは、制御データを含む字幕管理データと、字幕文に関するデータを含む字幕文データからなる。字幕文データは、字幕文に関するデータを構成する8単位符号で符号化されており、文字符号列、表示書式、文字の表示位置、改行、文字サイズ、文字色、および背景色などに関する制御データからなる。表示書式には、960×540や720×480などのような字幕プレーンのサイズや、縦書きまたは横書きなどのような記述方法が含まれる。
【0039】
オーディオデコーダ79は、PESヘッダ中のPTSが指定するデコードのタイミング時刻情報に基づいて、オーディオデータバッファ74に保持されるオーディオデータを所定の復号化方式でデコードする。オーディオデコーダ79は、デコード後のデジタル音声信号を制御部41に出力する。ビデオデコーダ80は、PESヘッダ中のDTSもしくはPTSが指定するデコードのタイミング時刻情報に基づいて、ビデオデータバッファ75に保持されるオーディオデータを所定の復号化方式でデコードする。ビデオデコーダ80は、デコード後のデジタル映像信号を制御部41に出力する。字幕デコーダ81は、字幕文分割部77が字幕文を分割する場合には、字幕文分割部77から字幕データのうちの字幕管理データおよび分割後の字幕文データを取得し、PESヘッダ中のPTSが指定するデコードのタイミング時刻情報を基準とした再生時刻PTSn(PTSn= PTS + Pi * (n -1) # nは分割した字幕文データの番号)に、各字幕管理データ分割後の字幕データを所定の復号化方式でデコードする。一方、字幕デコーダ81は、字幕文分割部77が字幕文を分割しない場合、字幕データバッファ76に保持される字幕データを取得し、PESヘッダ中のPTSが指定するデコードのタイミング時刻情報に基づいて字幕データを所定の復号化方式でデコードする。字幕デコーダ81は、デコード後のデジタル字幕信号を制御部41に出力する。なお、制御部41は、デジタル映像信号に基づく映像およびデジタル字幕信号に基づく字幕の表示領域をプレーンと呼ばれる論理的な表示領域として管理する。また、制御部41がフルセグ放送波に基づく映像および字幕をメインディスプレイ17に表示させる場合、表示駆動部61の画像合成回路52は映像と字幕を合成し、メインディスプレイ17は、映像と字幕の合成結果を表示する。
【0040】
字幕文表示時刻取得部73は、TSバッファ71に保持されるTS信号の中から字幕データに関するTS信号を抽出し、字幕データに関するTSパケットのペイロードに含まれるPESを取り出す。字幕文表示時刻取得部73は、字幕データに関するPESのPESヘッダに含まれるPTSを取得し、字幕文分割部77が分割する対象となる字幕文の次の字幕文(次々回送出される字幕文)の表示時刻を取得する。字幕文表示時刻取得部73は、次々回送出される字幕文の表示時刻に関する情報を字幕文分割部77に出力する。
【0041】
字幕文分割部77は、文字サイズ・表示領域設定部78から文字サイズCs、表示領域Pa、および字幕文表示間隔Pi(msec)に関する設定情報を取得するとともに、字幕データバッファ76から字幕管理データと字幕文データを含む字幕データおよび字幕データのPTSが示す表示時刻を取得し、字幕文の文字サイズを文字サイズCsに設定した場合における字幕文の表示領域が表示領域Paよりも大きい場合、メインディスプレイ17が表示する字幕文の表示領域が表示領域Pa以下となるように字幕文を分割する。字幕文分割部77は、分割後の字幕データを字幕デコーダ81に出力する。
【0042】
文字サイズ・表示領域設定部78は、制御部41の制御に従い、文字サイズCs、表示領域Pa、および字幕文表示間隔Pi(msec)を設定し、文字サイズCs、表示領域Pa、および字幕文表示間隔Pi(msec)に関する設定情報を字幕文分割部77に供給する。なお、文字サイズCsはドット単位で設定され、表示領域Paは横がXドットで縦がYドットのように設定される。また、文字サイズCs、表示領域Pa、および字幕文表示間隔Pi(msec)は、フルセグ放送波の番組再生中であっても、待ち受け中であっても、ユーザが操作キー14を操作することにより設定画面上で任意の値に変更することができる。勿論、文字サイズCs、表示領域Pa、および字幕文表示間隔Pi(msec)は固定値でもよい。文字サイズ・表示領域設定部78は、字幕の表示領域Paを設定する場合に、メインディスプレイ17が字幕文を表示領域Paに表示する際の原点となる字幕文表示位置を設定する。図5(A)と(B)は、文字サイズ・表示領域設定部78が設定する表示領域Paと字幕文表示位置の例を表している。図5(A)の場合、字幕の表示領域Paが表示画面の下部に設定される。このとき、文字サイズ・表示領域設定部78は、メインディスプレイ17が字幕文を表示領域Paに表示する際の原点となる字幕文表示位置Mを設定する。なお、字幕の表示領域Paは、映像が表示されない映像非表示領域である。図5(B)の場合、字幕の表示領域Paが表示画面の右部に設定される。このとき、文字サイズ・表示領域設定部78は、メインディスプレイ17が字幕文を表示領域Paに表示する際の原点となる字幕文表示位置Nを設定する。なお、字幕の表示領域Paは、映像が表示される表示領域の一部分と重なっていてもよい。勿論、映像が表示されない映像非表示領域が設定されている場合に、字幕の表示領域Paを映像非表示領域中に設定することで、より視認性を高めることができる。ユーザが操作キー14を操作することにより設定画面上で任意の値および位置を設定しない場合、文字サイズ・表示領域設定部78は、デフォルトの値および位置で設定する。なお、文字サイズ・表示領域設定部78は、表示領域Paを、メインディスプレイ17の解像度と表示する映像の解像度の差分(映像非表示領域)として設定するようにしてもよい。また、字幕の表示領域Paは、表示画面上で複数の表示領域に分割されてもよい。
【0043】
図6のフローチャートを参照して、図3および図4の携帯電話機1における字幕文表示処理について説明する。図6の字幕文表示処理と並列して、フルセグ受信部52はフルセグ放送波を受信し、地デジ処理部53の分離部72はTS信号を各メディアに分離する。また、図6の字幕文表示処理と並列して、オーディオデコーダ79とビデオデコーダ80はそれぞれオーディオデータとビデオデータを所定の復号化方式でデコードする。
【0044】
ステップS1において、字幕文分割部77は、文字サイズ・表示領域設定部78から文字サイズCs、表示領域Pa、字幕文表示間隔Pi(msec)、および字幕文表示位置に関する設定情報を取得する。
【0045】
ステップS2において、字幕文分割部77は、字幕データバッファ76に保持される字幕データを取得するとともに、字幕データに関するPESのPESヘッダに含まれるPTSに基づいて、字幕文表示時刻に関する情報を取得する。なお、字幕文分割部77が字幕データバッファ76から取得する字幕データには、字幕管理データと字幕文データが含まれる。
【0046】
ステップS3において、字幕文分割部77は、文字サイズCsに関する設定情報に基づいて、字幕データに含まれる字幕文データに関する文字の文字サイズを拡大する。具体的には、字幕文分割部77は、字幕データに含まれる字幕文データに関する文字の文字サイズをすべて文字サイズCsに拡大する。勿論、このような場合に限られず、字幕文分割部77は、字幕データに含まれる字幕文データに関する文字の文字サイズのうち、最小サイズまたは中間サイズの文字の文字サイズを文字サイズCsに拡大し、最小サイズまたは中間サイズの文字以外の文字の文字サイズを文字サイズCsを基準に元の文字サイズに比例して拡大するようにしてもよい。なお、本発明の実施形態においては、字幕文分割部77が字幕データに含まれる字幕文データに関する文字の文字サイズをすべて文字サイズCsに拡大する場合について説明する。
【0047】
ステップS4において、字幕文分割部77は、字幕文の文字サイズを文字サイズCsに拡大した場合の字幕文表示領域を算出する。図7(A)と(B)は、字幕文分割部77が字幕文の文字サイズを文字サイズCsに拡大した場合の字幕文表示領域の算出方法を説明するための説明図である。図7(A)が示すように、字幕プレーン上に位置する各文字のXY座標のそれぞれの最小値と最大値を抽出し、抽出されたXY座標の最小値と最大値に基づいて4点によって囲まれる矩形領域を算出し、矩形領域を字幕文の表示領域として算出する。図7(A)の場合、字幕文分割部77は、4点PQRSによって囲まれる矩形領域を字幕文の表示領域として算出する。また、図7(B)が示すように表示領域が複数に分かれている場合には、字幕文分割部77は、それぞれの矩形領域を算出し、算出された各矩形領域を加算した領域を字幕文の表示領域として算出する。
【0048】
ステップS5において、字幕文分割部77は、字幕文の文字サイズを文字サイズCsに拡大した場合の字幕文表示領域が表示領域Paのサイズよりも大きいか否かを判定する。ステップS5において字幕文分割部77が字幕文の文字サイズを文字サイズCsに拡大した場合の字幕文表示領域が表示領域Paのサイズよりも大きいと判定した場合、字幕文分割部77はステップS6で、字幕文表示時間算出処理を実行する。字幕文分割部77が実行する字幕文表示時間算出処理の詳細は、図8に示される。
【0049】
図8のフローチャートを参照して、字幕文分割部77における字幕文表示時間算出処理について説明する。
【0050】
ステップS21において、字幕文分割部77は、TSバッファ71に字幕データ(すなわち、次々回送出する字幕データ)が保持されているか否かを判定する。ステップS21において字幕文分割部77がTSバッファ71に字幕データが保持されていると判定した場合、字幕文分割部77はステップS22で、字幕文表示時刻取得部73から、次々回送出される字幕文の表示時刻に関する情報を取得する。ステップS23において、字幕文分割部77は、分割対象となる字幕文の表示時刻に関する情報と、ステップS22で取得された次々回送出される字幕文の表示時刻に関する情報に基づいて、字幕文表示時間Ptを算出する。具体的には、字幕文分割部77は、[数1]が示すように、字幕文表示時間Ptを、次々回送出される字幕文の表示時刻と分割対象となる字幕文の表示時刻の差分として算出する。
[数1]
字幕文表示時間Pt
=次々回送出される字幕文の表示時刻−分割対象となる字幕文の表示時刻
【0051】
一方、ステップS21において字幕文分割部77がTSバッファ71に字幕データが保持されていないと判定した場合、字幕文分割部77はステップS24で、[数2]が示すように、予め設定されたTSバッファ71のバッファリング時間に0.5secを加算した時間を字幕表示時間Ptとして算出する。なお、0.5secは、字幕文の表示時刻とTSバッファ71へのTS信号の入力完了時刻との差分であり、ARIB規定値である。 [数2]
字幕文表示時間Pt
=TSバッファ71のバッファリング時間+0.5sec
【0052】
その後、処理は図6に戻る。なお、字幕文分割部77は、次回と次々回に送出される字幕文表示時刻に関する情報のいずれも字幕文表示時刻取得部73から取得するようにしてもよい。
【0053】
ステップS7において、字幕文分割部77は、字幕文分割処理を実行する。字幕文分割処理の詳細は、図9に示される。図9のフローチャートを参照して、字幕文分割部77における字幕文分割処理について説明する。ステップS31において、字幕文分割部77は、字幕文表示時間Ptと字幕文表示間隔Piを用いて最大字幕文分割数Dnを算出する。具板的には、字幕文分割部77は、[数3]が示すように、字幕文表示時間Ptを字幕文表示間隔Piで除算して最大字幕文分割数Dnを算出する。
[数3]
最大字幕文分割数Dn=字幕文表示時間Pt/字幕文表示間隔Pi
【0054】
ステップS32において、字幕文分割部77は、最大字幕文分割数Dnを分割個数の上限としつつ、メインディスプレイ17が表示する字幕文の表示領域が表示領域Pa以下となるように字幕文を分割する。字幕文分割部77は、分割後の字幕データを字幕管理データと合わせて字幕データとして字幕デコーダ81に出力する。その後、処理は図6に戻る。
【0055】
なお、字幕文分割部77が字幕文の表示領域が表示領域Pa以下となるように字幕文を分割する場合、字幕文分割部77は、文字数を基に均等分割してもよいし、改行情報に基づいて行単位で分割してもよい。また、字幕文分割部77は、例えば発言者ごとの文字色を基に分割してもよいし、上記の分割方法を複数組み合わせても良い。
【0056】
ステップS5において字幕文分割部77が字幕文の文字サイズを文字サイズCsに拡大した場合の字幕文表示領域が表示領域Paのサイズ以下であると判定した場合、ステップS6の字幕文表示時間算出処理とステップS6の字幕文分割処理はスキップされる。ステップS8において、字幕デコーダ81は、字幕文分割部77が字幕文を分割する場合には、字幕文分割部77から字幕データのうちの字幕管理データおよび分割後の字幕文データを取得し、PESヘッダ中のPTSが指定するデコードのタイミング時刻情報に基づいて、字幕管理データと分割後の字幕文データを含む字幕データを所定の復号化方式でデコードする。字幕デコーダ81は、字幕文分割部77が字幕文を分割しない場合、字幕データバッファ76に保持される字幕データを取得し、PESヘッダ中のPTSが指定するデコードのタイミング時刻情報に基づいて字幕データを所定の復号化方式でデコードする。字幕デコーダ81は、デコード後のデジタル字幕信号を制御部41に出力する。
【0057】
ステップS9において、制御部41は、地デジ処理部53からのデジタル音声信号とともに、デジタル映像信号とデジタル字幕信号を取得し、取得されたデジタル音声信号PCMコーデック38に出力するとともに、取得されたデジタル映像信号とデジタル字幕信号を表示駆動部61に出力する。表示駆動部61の画像合成回路52は、制御部41の制御に従い、デジタル映像信号とデジタル字幕信号を合成してデジタル映像合成信号を生成する。ステップS10において、メインディスプレイ17は、映像と字幕の合成結果であるデジタル映像合成信号に基づく映像と字幕を表示する。なお、映像は映像表示領域に表示され、字幕は字幕の表示領域Paに表示される。このとき、映像表示領域と字幕の表示領域Paは重なっていてもよい。
【0058】
なお、図9の場合、字幕文分割部77は、最大字幕文分割数Dnを分割個数の上限としつつ、メインディスプレイ17が表示する字幕文の表示領域が表示領域Pa以下となるように字幕文を分割する。しかし、分割後の字幕文の表示領域が表示領域Paよりも大きい場合には、字幕文の表示領域を縮小するようにしてもよい。すなわち、図10に示されるように、ステップS53において字幕文分割部77が分割後の字幕文の表示領域が表示領域Paよりも大きいと判定した場合、ステップS54において字幕文分割部77が、文字サイズの縮小や、改行を削除してスペースに変換することや複数の行を連結することによって、字幕文の表示領域を表示領域Pa以下になるように縮小するようにしてもよい。
【0059】
ところで、図4においては、フルセグ受信部52がTS信号を地デジ処理部53に供給する場合を想定しているが、このような場合に限られず、例えばフルセグ受信部52がTS信号を直接制御部41に出力し、制御部41が記憶部42に一旦記憶させた後、地デジ処理部53が記憶部42のTS信号ファイルからTS信号を読み出してデコードするようにしてもよい。これにより、処理を簡略化することができ、デバイスサイズを小型化することができる。この場合における地デジ処理部53の構成は、図11に示される。
【0060】
図11は、図3の地デジ処理部53の内部の他の詳細な構成を表している。なお、図4の地デジ処理部53の構成と対応するものについては同一の符号を付しており、その説明は繰り返しになるので省略する。
【0061】
TSバッファ71は、記憶部42のTS信号ファイル91が記憶するTS信号を一時的に保持する(バッファリングする)。なお、図11の地デジ処理部53の場合、字幕文分割部77は、記憶部42が記憶する字幕情報ファイル92から次回の字幕文の表示時刻に関する情報と、次々回の字幕文の表示時刻に関する情報を取得する。字幕情報は、フルセグ受信部52が受信する放送局からのフルセグ放送波に付加情報として予め含まれており、記憶部42がTS信号ファイル91にTS信号を記憶する際に同時に字幕情報ファイル92に字幕情報を記憶する。字幕情報には、各字幕文の表示時刻に関する情報が少なくとも含まれている。なお、携帯電話機1がフルセグ放送波を受信してTS信号を生成した後に、TS信号から字幕情報を生成し、生成されたTS信号と字幕情報をそれぞれTS信号ファイル91と字幕情報ファイル92に記憶するようにしてもよい。
【0062】
図12のフローチャートを参照して、図11の字幕文分割部77における字幕文表示時間算出処理について説明する。なお、図3および図11の携帯電話機1における字幕文表示処理は図6が示す字幕文表示処理と同様であり、その説明は繰り返しなるので重複する部分については省略する。
【0063】
ステップS71において、字幕文分割部77は、字幕情報ファイル92から、次回送出される字幕文(すなわち、分割対象である字幕文)の表示時刻に関する情報、および次々回送出される字幕文の表示時刻に関する情報を取得する。ステップS72において、字幕文分割部77は、分割対象となる字幕文の表示時刻に関する情報と、次々回送出される字幕文の表示時刻に関する情報に基づいて、字幕文表示時間Ptを算出する。算出方法は、図8のステップS22の処理と同様である。
【0064】
ところで、図4と図11の地デジ処理部53の場合、字幕文分割部77は、字幕文表示時間Ptを字幕文表示間隔Piで除算して最大字幕文分割数Dnを算出し、最大字幕文分割数Dnを分割個数の上限としつつ、メインディスプレイ17が表示する字幕文の表示領域が表示領域Pa以下となるように字幕文を分割する。しかし、このような場合に限られない。すなわち、字幕文分割部77は、メインディスプレイ17が表示する字幕文の表示領域が表示領域Pa以下となるように字幕文を所定の分割数Dn´に分割する。そして、字幕文分割部77は、字幕文表示間隔Piに分割数Dn´を乗じた時間が字幕文表示時間Ptよりも大きい場合、字幕文の再生速度を調整するようにする。すなわち、字幕文表示間隔Piに分割数Dn´を乗じた時間が字幕文表示時間Ptよりも大きい場合、携帯電話機1は、映像の再生速度を基準となる基準再生速度Tよりも遅くすることにより、再生速度が基準再生速度Tよりも遅くなった分に応じて字幕文表示時間Ptを延長させて字幕文表示時間Pt´とし、字幕文表示間隔Piに分割数Dn´を乗じた時間が字幕文表示時間Pt´以下になるようにする。この場合における地デジ処理部53の構成は、図13に示される。
【0065】
図13は、図3の地デジ処理部53の内部の他の詳細な構成を表している。なお、図4の地デジ処理部53の構成と対応するものについては同一の符号を付しており、その説明は繰り返しになるので省略する。
【0066】
字幕文分割部77は、文字サイズ・表示領域設定部78から文字サイズCs、表示領域Pa、および字幕文表示間隔Pi(msec)に関する設定情報を取得するとともに、字幕データバッファ76から字幕管理データと字幕文データを含む字幕データおよび字幕データのPTSが示す表示時刻を取得し、メインディスプレイ17が表示する字幕文の表示領域が表示領域Pa以下となるように字幕文を所定の分割数Dn´に分割する。字幕文分割部77は、字幕文表示間隔Piに分割数Dn´を乗じた時間が字幕文表示時間Ptよりも大きい場合、字幕文の再生速度を調整するために再生速度制御部101に対して再生速度制御開始信号を生成し、生成された再生速度制御信号を再生速度制御部101に出力する。字幕文分割部77は、分割後の字幕データを字幕デコーダ81に出力する。
【0067】
再生速度制御部101は、字幕文表示間隔Piに分割数Dn´を乗じた時間が字幕文表示時間Ptよりも大きい場合、字幕文分割部77からの再生速度制御信号に基づいて、映像の再生速度を基準となる基準再生速度Tよりも遅くすることにより、再生速度が基準再生速度Tよりも遅くなった分に応じて字幕文表示時間Ptを延長させて字幕文表示時間Pt´とし、字幕文表示間隔Piに分割数Dn´を乗じた時間が字幕文表示時間Pt´以下にする。より具体的には、再生速度制御部101は、字幕文分割部77からの再生速度制御信号に基づいて、オーディオデコーダ79、ビデオデコーダ80、および字幕デコーダ81を制御し、各デコーダのデコード速度を基準となる基準デコード速度よりも遅延させ、映像の再生速度を基準となる基準再生速度Tよりも遅延させる。
【0068】
図14のフローチャートを参照して、図13の地デジ処理部53における字幕文分割処理について説明する。なお、図3および図13の携帯電話機1における字幕文表示処理は図6が示す字幕文表示処理と同様であり、その説明は繰り返しなるので重複する部分については省略する。
【0069】
ステップS101において、字幕文分割部77は、メインディスプレイ17が表示する字幕文の表示領域が表示領域Pa以下となるように字幕文を所定の分割数Dn´に分割する。ステップS102において、字幕文分割部77は、字幕文表示間隔Piに分割数Dn´を乗じた時間が字幕文表示時間Ptよりも大きいか否かを判定する。ステップS102において字幕文分割部77が字幕文表示間隔Piに分割数Dn´を乗じた時間が字幕文表示時間Ptよりも大きいと判定した場合、字幕文分割部77はステップS103で、字幕文の再生速度を調整するために再生速度制御部101に対して再生速度制御開始信号を生成し、生成された再生速度制御信号を再生速度制御部101に出力する。再生速度制御開始信号は再生速度制御を開始する旨の信号であり、再生速度制御開始信号には、少なくとも字幕文の分割数Dn´に関する情報が含まれる。字幕文分割部77は、分割後の字幕データを字幕管理データと合わせて字幕データとして字幕デコーダ81に出力する。
【0070】
再生速度制御部101は、字幕文表示間隔Piに分割数Dn´を乗じた時間が字幕文表示時間Ptよりも大きい場合、字幕文分割部77からの再生速度制御信号を取得する。再生速度制御部101は、文字サイズ・表示領域設定部78から字幕文表示間隔Piに関する設定情報を取得し、字幕文分割部77からの再生速度制御開始信号に基づいて、映像の再生速度を基準となる基準再生速度Tよりも遅くすることにより、再生速度が基準再生速度Tよりも遅くなった分に応じて字幕文表示時間Ptを延長させて字幕文表示時間Pt´とし、字幕文表示間隔Piに分割数Dn´を乗じた時間が字幕文表示時間Pt´以下にする。より具体的には、再生速度制御部101はステップS104で、字幕文分割部77からの再生速度制御信号に基づき、字幕文表示間隔Piに関する情報と分割数Dn´に関する情報を用いて、図6のステップS6における字幕文表示時間算出処理により算出された字幕文表示時間Ptが字幕文表示間隔Piに分割数Dn´を乗じた時間以上になるような調整再生速度T´の基準再生速度Tに対する倍率α(=調整再生速度T´/基準再生速度T)を算出する。調整再生速度Tの算出方法は、[数4]に示される。
[数4]
倍率α=字幕文表示時間Pt/(字幕文表示間隔Pi×分割数Dn´)
【0071】
例えば字幕文表示時間Ptが8sであるとし、かつ、字幕文表示間隔Pi×分割数Dn´が10sであるとすると、倍率αは0.8となる。すなわち、字幕文表示時間算出処理により算出された字幕文表示時間Ptが字幕文表示間隔Piに分割数Dn´を乗じた時間以上になるような調整再生速度T´は、基準再生速度Tの0.8倍以下の速度となる。そして、再生速度制御部101は、算出された倍率αを参照して、字幕文表示時間算出処理により算出された字幕文表示時間Ptが字幕文表示間隔Piに分割数Dn´を乗じた時間以上になるような調整再生速度T´を設定する。これにより、再生速度が基準再生速度Tよりも遅くなった分に応じて字幕文表示時間Ptを延長させて字幕文表示時間Pt´にすることができる。
【0072】
再生速度制御部101は、設定された調整再生速度T´の基準再生速度Tに対する倍率αに基づいてオーディオデコーダ79、ビデオデコーダ80、および字幕デコーダ81を制御し、各デコーダのデコード速度を基準となる基準デコード速度よりも遅延させ、字幕の再生速度に合わせて映像および音声の再生速度を基準再生速度Tよりも遅延させる。
【0073】
一方、ステップS102において字幕文分割部77が字幕文表示間隔Piに分割数Dn´を乗じた時間が字幕文表示時間Pt以下であると判定した場合、ステップS103およびステップS104の処理はスキップされる。その後、処理は図6に戻る。これにより、遅延した調整再生速度T´で映像、字幕および音声が再生される。
【0074】
なお、映像の再生速度だけでなく音声の再生速度も遅延させるようにしたが、このような場合に限られず、ビデオデコーダ80と字幕デコード81のデコード速度のみを遅延させ、字幕の再生速度に合わせて映像の再生速度のみを遅延させるようにしてもよい。
【0075】
本発明の実施形態においては、フルセグ受信部52は、地上デジタル放送波を受信し、地デジ処理部53の分離部72は、受信された地上デジタル放送波に基づくTS信号を生成し、生成されたTS信号をオーディオデータ、ビデオデータ、および字幕データに関するメディアデータごとに分離し、文字サイズ・表示領域設定部78は、字幕データに基づく字幕文の文字サイズを文字サイズCsに設定し、字幕文の表示領域を表示領域Paに設定し、字幕文の表示間隔を表示間隔Piに設定し、および字幕文の表示位置を設定し、字幕文分割部77は、字幕文の文字サイズを文字サイズCsに設定することにより字幕文の表示領域が表示領域Paよりも大きくなる場合、字幕文の表示時間Ptを算出し、字幕文の表示時間Ptと字幕文表示間隔Piを用いて字幕文の最大分割数Dnを算出し、算出された字幕文の最大分割数Dnを上限としつつ、字幕文の表示領域が表示領域Pa以下の大きさになるように字幕文を分割し、各デコーダは、分離されたオーディオデータ、ビデオデータ、および分割後の字幕データを所定の復号化方式で復号化し、メインディスプレイ17は、復号化によって生成された映像信号に基づく映像を映像表示領域に表示するとともに、字幕信号に基づく字幕を表示領域Paに表示することができる。
【0076】
これにより、地上デジタル放送波における字幕の文字列の視認性を好適に向上させることができる。
【0077】
なお、本発明の実施形態において説明した一連の処理は、ソフトウェアにより実行させることもできるが、ハードウェアにより実行させることもできる。
【0078】
また、本発明の実施形態では、フローチャートのステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。さらに、本発明の実施形態に記載した構成を適宜組み合わせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1…携帯電話機、11…ヒンジ部、12…第1の筐体、13…第2の筐体、14…スピーカ、15…サイドキー、16…防犯ブザースイッチ、16a…防犯ブザースイッチ16の端部、17…プルトップ式タブ、19…レシーバ、20…マイクロフォン、21…操作キー、22…メインディスプレイ、23…サブディスプレイ、24…CCDカメラ、25…センサ群、31…アンテナ、32…アンテナ共用器(DUP)、33…受信回路(RX)、34…周波数シンセサイザ(SYN)、35…送信回路(TX)、36…CDMA信号処理部、37…圧縮伸張処理部、38…PCMコーデック、39…受話増幅器、40…送話増幅器、41…制御部、42…記憶部、43…バッテリ、44…電源回路、47…時計回路、50…スピーカ、51…アンテナ、52…フルセグ受信部、53…地デジ処理部、61…表示駆動部、62…画像メモリ、63…画像合成回路、64…画像データ転送回路、71…TSバッファ、72…分離部、73…字幕文表示時刻取得部、74…オーディオデータバッファ、75…ビデオデータバッファ、76…字幕データバッファ、77…字幕文分割部、78…文字サイズ・表示領域設定部、79…オーディオデコーダ、80…ビデオデコーダ、81…字幕デコーダ、91…TS信号ファイル、92…字幕情報ファイル、101…再生速度制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上デジタル放送波を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記地上デジタル放送波に基づくTS信号を生成し、生成された前記TS信号をオーディオデータ、ビデオデータ、および字幕データに関するメディアデータごとに分離する分離手段と、
字幕データに基づく字幕文の文字サイズを文字サイズCsに設定し、前記字幕文の表示領域を表示領域Paに設定し、前記字幕文の表示間隔を表示間隔Piに設定し、および前記字幕文の表示位置を設定する設定手段と、
前記字幕文の文字サイズを前記文字サイズCsに設定することにより字幕文の表示領域が前記表示領域Paよりも大きくなる場合、字幕文の表示領域が前記表示領域Pa以下の大きさになるように前記字幕文を分割する分割手段と、
分離された前記オーディオデータ、前記ビデオデータ、および前記分割後の前記字幕データを所定の復号化方式で復号化する復号化手段と、
前記復号化手段による復号化によって生成された映像信号に基づく映像を映像表示領域に表示するとともに、字幕信号に基づく字幕を前記表示領域Paに表示する表示手段とを備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記字幕文の文字サイズを前記文字サイズCsに設定することにより字幕文の表示領域が前記表示領域Paよりも大きくなる場合、前記字幕文の表示時間Ptを算出し、前記字幕文の表示時間Ptと前記字幕文表示間隔Piを用いて前記字幕文の最大分割数Dnを算出する算出手段をさらに備え、
前記分割手段は、前記算出手段により算出された前記字幕文の最大分割数Dnを上限としつつ、前記字幕文の表示領域が前記表示領域Pa以下の大きさになるように前記字幕文を分割することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記TS信号を保持する保持手段をさらに備え、
前記算出手段は、前記保持手段により前記TS信号が保持される場合、前記表示手段がn+1番目に表示する前記字幕文の表示時刻を前記保持手段により保持される前記TS信号から取得し、前記表示手段がn番目に表示する前記字幕文の表示時刻と前記表示手段がn+1番目に表示する前記字幕文の表示時刻との差分を前記字幕文の表示時間Ptとして算出することを特徴とする請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記算出手段は、前記保持手段により前記TS信号が保持されていない場合、前記保持手段による前記TS信号の保持時間に基づいて前記字幕文の表示時間Ptを算出することを特徴とする請求項2に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記算出手段は、前記字幕文の表示時間Ptを前記字幕文表示間隔Piで除算することにより前記字幕文の最大分割数Dnを算出することを特徴とする請求項2に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記分割手段が前記字幕文の表示領域を前記表示領域Paの大きさごとに分割した場合における分割数Dn´に前記字幕文表示間隔Piを乗じた時間が字幕文表示時間Ptよりも大きい場合、前記表示手段が表示する前記映像の基準再生速度に対して所定の倍率を有する調整再生速度を用いて、前記表示手段が前記分割数Dn´で分割された前記字幕文を前記字幕文表示間隔Piで表示しつつ前記映像の再生速度を調整するように制御する再生速度制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の携帯端末。
【請求項7】
前記分割手段が前記字幕文を前記字幕文の最大分割数Dnで分割した際に分割後の字幕文の表示領域が前記表示領域Paよりも大きい場合、字幕文の表示領域が前記表示領域Pa以下になるように字幕文の表示領域を縮小する縮小手段をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の携帯端末。
【請求項8】
地上デジタル放送波を受信する受信ステップと、
前記受信ステップの処理により受信された前記地上デジタル放送波に基づくTS信号を生成し、生成された前記TS信号をオーディオデータ、ビデオデータ、および字幕データに関するメディアデータごとに分離する分離ステップと、
字幕データに基づく字幕文の文字サイズを文字サイズCsに設定し、前記字幕文の表示領域を表示領域Paに設定し、前記字幕文の表示間隔を表示間隔Piに設定し、および前記字幕文の表示位置を設定する設定ステップと、
前記字幕文の文字サイズを前記文字サイズCsに設定することにより字幕文の表示領域が前記表示領域Paよりも大きくなる場合、字幕文の表示領域が前記表示領域Pa以下の大きさになるように前記字幕文を分割する分割ステップと、
分離された前記オーディオデータ、前記ビデオデータ、および前記分割後の前記字幕データを所定の復号化方式で復号化する復号化ステップと、
前記復号化ステップの処理による復号化によって生成された映像信号に基づく映像を映像表示領域に表示するとともに、字幕信号に基づく字幕を前記表示領域Paに表示する表示ステップとを含むことを特徴とする情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−55230(P2011−55230A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201944(P2009−201944)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(310022372)富士通東芝モバイルコミュニケーションズ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】