説明

携帯端末及び指の移動情報を取得する方法

【課題】タッチセンサと指紋センサの双方を搭載可能な携帯端末を提供する。
【解決手段】携帯端末(携帯電話機10)は、第1被接触領域にて、指の接触を検知して接触情報を取得するタッチセンサ161と、第1被接触領域に隣接する第2被接触領域にて、指の凹凸を検知して指紋情報を取得する指紋センサ162と、接触情報を時系列的に処理して指の第1移動情報を生成するとともに、指紋情報を時系列的に処理して指の第2移動情報を生成し、第1移動情報と第2移動情報とを関連付けて、第1被接触領域から第2被接触領域にかけての指の移動情報を生成する制御部18と、により構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンサを備えた携帯端末および指の移動情報を取得する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タッチセンサを搭載した携帯端末が知られている。ユーザは、このタッチセンサに触れることで画面上のポインタを移動させ、スクロール等、キー操作の補助を行うことができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、指紋センサを搭載した携帯端末も知られている。ユーザは、この指紋センサに指紋を読取らせることにより、例えばロックを解除することができる(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−333951号公報
【特許文献2】特開2005−319294号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したタッチセンサと指紋センサの双方を携帯電話機に搭載しようとした場合、携帯電話機の実装スペースの制限により、搭載できない場合がほとんどである。
【0005】
本発明の目的は、タッチセンサと指紋センサの双方を搭載可能な携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1被接触領域における指の第1の接触情報を取得するタッチセンサと、前記第1被接触領域に隣接する第2被接触領域にて指紋情報及び指の第2の接触情報を取得する指紋センサと、を備える携帯端末において、前記接触情報は、時系列的に指の第1移動情報を生成するための情報であり、前記指の第2の接触情報は、当該指の第2移動情報を生成し、前記第1移動情報と前記第2移動情報とを関連付けて、前記第1被接触領域から前記第2被接触領域にかけての指の移動情報を得るための情報であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、タッチセンサと指紋センサの双方を搭載可能な携帯端末を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明の実施の形態に係る携帯端末の外観構造の一例を示す図である。ここでは、携帯端末として折り畳み型の携帯電話機10が例示されている。
【0009】
図1に示されるように、携帯電話機10は、上部筐体101と、下部筐体102と、ヒンジ部103とを有する。
【0010】
図1(a)は、携帯電話機10が開かれた状態(開状態)を示した図であり、図1(b)は携帯電話機10が折り畳まれた状態(閉状態)を示した図である。
【0011】
図1(a)に示されるように、上部筐体101には、図1(b)に示す携帯電話機10の閉状態においては外部には露出しない一面に表示部14が配置されている。
【0012】
また、図1(a)に示されるように、下部筐体102には、図1(b)に示す携帯電話機10の閉状態において外部には露出しない一面に操作部12が配置されている。
【0013】
下部筐体102には更に、タッチセンサと指紋センサとからなるセンサ入力部16が配置されている。センサ入力部16におけるタッチセンサと指紋センサの実装配置関係等、詳細は後述する。
【0014】
ヒンジ部103は、上部筐体101と下部筐体102とを開閉し、図1(a)に示す携帯電話機10の開状態と図1(b)に示す閉状態とを遷移可能とする回転軸を有するヒンジ機構である。
【0015】
なお、携帯電話機10の開状態/閉状態は、内蔵する制御部18(ここでは不図示)により監視されており、制御部18は携帯電話機10の閉状態を検出することが可能である。
【0016】
具体的には、例えば上部筐体101に配置した図示しない突起部により、下部筐体102の図示しない検出スイッチが押しているか否かを制御部18が監視することにより閉状態を検出している。
【0017】
すなわち、制御部18は、検出スイッチが押下されていれば閉状態、そうでなければ開状態と判定する。
【0018】
図2は、本発明の実施の形態に係る携帯端末(携帯電話機10)の電気系の内部構成を示すブロック図である。
【0019】
図2に示されるように、携帯電話機10は、制御部18を制御中枢とし、通信部11、操作部12、CODEC(COder DECorder)部13、表示部14、撮像部15、センサ入力部16、記憶部17、制御部18のそれぞれが、アドレス、データ、コントロールのためのラインが複数本からなるシステムバス19に共通に接続され、構成されている。
【0020】
通信部11は、無線通信システムを捕捉し、通信ネットワークに接続される図示しない基地局との間で無線通信を行い、各種データの送受信を行う。
【0021】
各種データとは、音声通話時の音声データ、メール送受信時のメールデータ、ウェブ閲覧時のウェブページデータ等である。
【0022】
操作部12は、例えば、電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、方向キー、決定キー、発信キー、ファンクションキーなど、各種の機能が割り当てられたキーを有している。
【0023】
操作部12は、これらのキーが操作者によって操作された場合に、その操作内容に対応する信号を発生し、これを操作者の指示として制御部18に出力する。
【0024】
CODEC部13は、スピーカから出力される音声信号やマイクロフォンにおいて入力される音声信号の入出力処理を行う。
【0025】
すなわち、CODEC部13は、マイクロフォンから入力された音声を増幅し、アナログ−デジタル変換を行い、更に符号化等の信号処理を施し、デジタルの音声データに変換して制御部18に出力する。
【0026】
また、CODEC部13は、制御部18から供給される音声データに復号化、デジタル−アナログ変換、増幅等の信号処理を施し、アナログの音声信号に変換してスピーカに出力する。
【0027】
表示部14は、多数の画素(複数色の発光素子の組み合わせ)を縦横に配して構成される、例えばLCD(Liquid Crystal Display Device)や有機EL(Electro-Luminescence)デバイスを用いて構成されている。
【0028】
表示部14は、制御部18により生成され記憶部17の所定の領域(VRAM領域)に書き込まれた文書等の表示対象データに応じた画像を表示する。
【0029】
表示部14は、例えば、通信部11による無線発信時における発信先の電話番号、着信時における発信元の電話番号、受信メールや送信メールの内容、Webページ、日付、時刻、電池残量、発信成否、文書、待ち受け画面等を表示する。
【0030】
撮像部15は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の光電変換素子とその制御回路等により構成される携帯電話機10に内蔵されたカメラである。
【0031】
センサ入力部16は、上記したように、タッチセンサ161と指紋センサ162により構成される。
【0032】
図3に、タッチセンサ161と指紋センサ162との実装位置関係、および指の移動軌跡の一例が示されている。ここでは、タッチセンサ161内に指紋センサ162が実装配置されるものとする。
【0033】
なお、図3中、接触する指の移動に関し、タッチセンサ161が反応する範囲を第1被接触領域A、指紋センサ162が反応する範囲を第2被接触領域Bという。このため、第1被接触領域内に第2被接触領域が割当てられる。
【0034】
上記のように実装配置した場合、タッチセンサ161のみ、もしくは指紋センサ162のみで指の移動量を検出すれば、ユーザの指の動きに関するデータをとりこぼしてしまう。
【0035】
具体的に、図3において、第2被接触領域B上で指を動かしても、動かしたことが検出できないため、指を、下→右→下方向に順次移動しても、ソフトウェア(制御部18)からは、一端指を移動してから指を離して、再度指を置いたと判定される。
【0036】
図3中、太線矢印は指の移動軌跡、ハッチングが付された矢印はソフトウェアが検知したタッチセンサ161の指の移動軌跡である。
【0037】
このため、本発明の実施の形態に係る携帯端末(携帯電話機10)では、タッチセンサ161(第1被接触領域A)と指紋センサ162(第2被接触領域B)のそれぞれにおいて指の移動データをともに検出し、それぞれの移動データに応じて指の接触位置を判定することとした。
【0038】
基本的には、指紋センサ162の方が指の移動範囲が狭く、第1被接触領域Aと第2被接触領域Bを移動させた際に出力される位置データは不連続となるため、指紋センサ162から出力されるデータに対して補正を行い連続値とすることで、タッチセンサ161と指紋センサ162の一体化を実現できる。
【0039】
タッチセンサ161は、例えば、第1被接触領域Aにて、指の接触を検知して接触情報を取得する機能を有し、指紋センサ162は、第1被接触領域Aに隣接する第2被接触領域Bにて、指の凹凸を検知して指紋検出を行う機能を有する。
【0040】
タッチセンサ161は、例えば、小型化に適した静電容量タイプを用いるものとし、この場合、構造的には、平面上に、XY方向のそれぞれに絶縁体を挟んで複数の電極が格子状に配置された造りになっている。
【0041】
電極は、いずれも一定容量のキャパシタの役割をはたし、指が電極に近づくと導体である指に影響され、電磁誘導により電界の一部が指方向に捻じ曲げられ、これにより、容量が変化(例えば、数pF)する。
【0042】
このため、後述する制御部18は、上記した容量変化が格子状に配置されたどの位置で発生したかをXY方向のそれぞれに走っている電極間での電位を参照することにより検出することができる。
【0043】
指紋センサ162もタッチセンサ161同様、例えば、静電容量方式を用いたタイプを使用するものとし、この場合、構造的には、硬い保護膜の下に多数の電極が並んでおり、この電極に、指表面と電極の距離に応じた電荷が溜まる構造になっている。
【0044】
指紋センサ162は、各電極の電荷量をセンスしてAD(Analog-Digital)変換を行うことにより指紋イメージを出力する。例えば、電極のピッチを数十μmとすれば、200μm以上の指の凹凸を高い精度で検出ができる。
【0045】
最近では、小型化、省電力化のために固定型に代わり、図3(a)〜(d)に示したように、縦横任意の方向から電極を指でなぞって検出するスイープ型が知られている。
【0046】
なお、固定型、スイープ型いずれのタイプも、後述する制御部18が実行する指紋認証ソフトウェアにより、パターンマッチング処理、あるいは特徴点抽出を行い、登録データと照合を行う。
【0047】
記憶部17は、携帯電話機10の各種処理に利用される各種データを記憶する。
【0048】
記憶部17は、例えば、制御部18が実行するコンピュータのプログラム、通信相手の電話番号や電子メールアドレス等の個人情報を管理するアドレス帳、着信音やアラーム音を再生するための音声ファイル、待ち受け画面用の画像ファイル、各種の設定データ、プログラムの処理過程で利用される一時的なデータが記憶される。
【0049】
なお、記憶部17は、例えば、不揮発性の記憶デバイス(不揮発性半導体メモリ、ハードディスク装置、光ディスク装置など)やランダムアクセス可能な記憶デバイス(例えばSRAM、DRAM)などによって構成される。
【0050】
制御部18は、携帯電話機10の全体的な動作を統括的に制御する。
【0051】
すなわち、制御部18は、携帯電話機10の各種処理が操作部12の操作に応じて適切な手順で実行されるように、上述した各制御ブロックの動作を制御する。
【0052】
制御部18が制御する各種処理としては、回線交換網を介して行われる音声通話、電子メールの作成と送受信、インターネットのWeb(World Wide Web)サイトの閲覧などが挙げられる。
【0053】
また、制御部18が制御する各制御ブロックの動作としては、通信部11における信号の送受信、CODEC部13における音声入出力、表示部14における画像の表示、撮像部15における撮像処理等を挙げることができる。
【0054】
制御部18は、記憶部17に格納されたプログラム、たとえばオペレーティングシステム、アプリケーションプログラム等に基づいて処理を実行するコンピュータ(マイクロプロセッサ)を備えている。
【0055】
制御部18は、このプログラムにおいて指示された手順に従って上述した処理を実行する。すなわち、制御部18は、記憶部17に格納されるオペレーティングシステムやアプリケーションプログラム等のプログラムから命令コードを順次読み込んで処理を実行する。
【0056】
制御部18は、ここでは更に、第2被接触領域Bが、第1被接触領域Aに隣接する場合、あるいは第1被接触領域A内に配置される場合のそれぞれにおいて、接触情報を時系列的に処理して指の第1移動情報を生成する機能を有する。
【0057】
さらに制御部18は、指紋情報を時系列的に処理して指の第2移動情報を生成し、第1移動情報と第2移動情報とを関連付けて、第1被接触領域から第2被接触領域にかけての指の移動情報を生成する機能を有する。
【0058】
ここで、「第1の移動情報」とは、タッチセンサ161により出力される接触情報に基づき生成される直交座標値である。
【0059】
「第2の移動情報」とは、指紋センサ162により出力される指紋情報に基づき生成される時間データが付された座標データである。
【0060】
このため、制御部18が実行するプログラムの構造は、図4に機能展開して示されるように、主制御部180と、接触情報取得部181と、指紋情報検知部182と、指紋認証部183と、移動軌跡監視部184と、直交座標判定部185と、により構成される。
【0061】
接触情報取得部181は、タッチセンサ161により検出される接触の有無および接触位置に関する情報を取得して移動軌跡監視部184および直交座標判定部183に出力する。
【0062】
指紋情報検知部182は、第1被接触領域Aに隣接する第2被接触領域Bにて、指の凹凸を検知して指紋情報を検出して移動軌跡監視部184および直交座標判定部185に出力する。
【0063】
指紋認証部183は、検出された指紋情報から、例えば、特徴点(端点、分岐点)を抽出し、当該抽出された特徴点情報を記憶部17の所定の領域に保持し、特徴点からなる登録データと照合することにより指紋認証を行う。
【0064】
移動軌跡監視部184は、接触情報取得部181により出力される接触情報を時系列的に処理して指の第1移動情報を生成するとともに、指紋情報検知部182により出力される指紋情報を時系列的に処理して指の第2移動情報を生成し、生成された第1移動情報と第2移動情報のそれぞれを直交座標判定部185へ出力する。
【0065】
上記したように、第1移動情報、第2移動情報は、いずれも座標データに時間データが付されたデータである。
【0066】
直交座標判定部185は、移動軌跡監視部184により出力される第1移動情報と第2移動情報とを関連付け、第1被接触領域Aから第2被接触領域Bにかけての指の移動情報を生成する。
【0067】
直交座標判定部185は、例えば、第1移動情報と第2移動情報を直交座標値に変換するときに、タッチセンサ161と指紋センサ162のそれぞれが有する縦横サイズ比にしたがい、第2移動情報の直交座標値を第1移動情報の直交座標値に置換して連続した線形の座標データを生成する。詳細は後述する。
【0068】
なお、主制御部180は、制御部18としての機能を実現するために、上記した各機能ブロック181〜185のシーケンス制御を行う。
【0069】
制御部18としての機能には、第2被接触領域Bが、第1被接触領域Aに隣接する場合、あるいは第1被接触領域内Aに配置される場合のそれぞれにおいて、接触情報を時系列的に処理して指の第1移動情報を生成する機能が含まれる。
【0070】
また、指紋情報を時系列的に処理して指の第2移動情報を生成し、第1移動情報と第2移動情報とを関連付けて、第1被接触領域から第2被接触領域にかけての指の移動情報を生成する機能が含まれる。
【0071】
主制御部180はまた、上記した、通信部11、操作部12、CODEC部13、表示部14、撮像部15、センサ入力部16(タッチセンサ161、指紋センサ162)、記憶部17等、周辺制御ブロックとのインタフェースも司る。
【0072】
ここで、上記した直交座標判定部185による座標変換の原理について、タッチセンサ161内に指紋センサ162が実装配置される場合を例示し、図5〜図7を参照しながら詳述する。
【0073】
図5は、タッチセンサ161と指紋センサ162が実装配置されたセンサ入力部16が有する被接触領域(第1被接触領域Aと第2被接触領域)を直交座標系にマッピングして示した図である。
【0074】
図5に示されるように、タッチセンサ161(第1被接触領域Aの座標X.Yを有するタッチセンサ161と、第2被接触領域Bの座標x,yを有する指紋センサ162との直交座標上での位置関係は、(X,Y)=(60,45)=(x,y)=(0,0),(X,Y)=(60,55)=(x,y)=(0,10),(X,Y)=(140,45)=(x,y)=(20,0),(X,Y)=(140,55)=(x,y)=(20,10)である。
【0075】
図6、図7は、タッチセンサ161と指紋センサ162のそれぞれが出力する座標データ(ここではY(y)座標)を時間軸上に時系列に示した図である。
【0076】
図6に示されるように、タッチセンサ161が有する座標データと、指紋センサ162が有する座標データは、その最小値と最大値が全く異なり、互いの座標データに相関性が無いのが普通である。
【0077】
但し、仕様上、ポインティング位置と座標データとの対応はそれぞれわかっているため、図7に示されるように、タッチセンサ161に比較して移動量が小さい指紋センサ162の座標データをタッチセンサ161の座標データに置換することで指の動きに対し連続した線形の座標データを生成することができる。
【0078】
ここでは、タッチセンサ161と指紋データ162の座標データのサイズ比に基づいて決定されるオフセット量にしたがい、指紋センサ162の座標データにオフセット加算して補正を行うことにより、指紋センサ162を触れたときの座標データを補完している。
【0079】
上記したオフセット量は、タッチセンサ161、指紋センサ162のセンサ数(サイズ)に依存して決まるため、使用するセンサモジュールにより異なる。
【0080】
なお、図6において□枠内に表示されたグラフは、タッチセンサ161と指紋センサ162が同時に反応するタイミングでの座標データを拡大して示したものである。
【0081】
この中で、符号aで示されるラインは、タッチセンサ161と指紋センサ162の境界部分を示す。
【0082】
これから明らかなように、ポイントbでは、指紋センサ162に指が多少触れているため、タッチセンサ161にも触れていると認識され、座標データが出力される。但し、指紋センサ162上を指が移動していないため座標データは変化しない。
【0083】
また、ポイントcでは、指紋センサ162を触れている指が多少触れるためタッチセンサ161も反応する。
【0084】
但し、タッチセンサ161が触れている位置の座標データは、変化しなくなる。
【0085】
また、図7において、符号A、(C)で示される時間帯は、タッチセンサ161(指紋センサ162)の座標データのみで座標を判定し、符号Bで示される時間帯は、指紋センサ162の座標データのみで座標値を判定する領域である。但し、このとき、直交座標値判定部185は、オフセット補正を行うことは上記したとおりである。
【0086】
なお、図7中、直線表記は、タッチセンサ161の座標出力データ、点線表記は、指紋センサ162の出力データ、一点鎖線表記は、指紋センサ162の座標出力データをオフセット補正した座標出力データである。
【0087】
図8は、本発明の実施の形態に係る携帯端末(携帯電話機10)の動作を示すフローチャートである。
【0088】
以下、図8のフローチャートを参照しながら、図1〜図7に示す本発明の実施の形態に係る携帯端末(携帯電話機10)の動作について詳細に説明する。
【0089】
制御部18(主制御部180)は、接触情報取得部181により、タッチセンサ161が有する第1被接触領域Aに指が触れているか否かを判定する(ステップS101)。
【0090】
ここで、第1被接触領域Aに指が触れていると判定された場合(ステップS101“YES”)、主制御部10は、接触情報取得部181を介して取得される接触情報を移動軌跡監視部184へ出力し、移動軌跡監視部184は、接触情報取得部181から取得した接触情報を時系列的に処理して指の第1移動情報を生成して直交座標判定部185へ出力する(ステップS102)。
【0091】
一方、第1被接触領域Aに指が触れていないと判定された場合(ステップS101“NO”)、主制御部180は、ステップS103の処理を行う。
【0092】
ステップS103において、主制御部180は、指紋情報検知部182により、指紋センサ162が有する第2被接触領域に指が触れているか否かを判定する。
【0093】
ここで、第2被接触領域Bに指が触れていると判定された場合(ステップS103“YES”)、主制御部180は、指紋情報検知部182を介して検出される指紋情報を移動軌跡監視部184へ出力する。
【0094】
移動軌跡監視部184は、指紋情報検知部182から取得した指紋情報を時系列的に処理して指の第2移動情報を生成して直交座標判定部185へ出力する(ステップS104)。
【0095】
一方、第2被接触領域Bに指が触れていないと判定された場合(ステップS103“NO”)、主制御部180は、ステップS105の処理を行う。
【0096】
ステップS105において、主制御部180は、接触情報取得部181、あるいは指紋情報検知部182、指紋センサ162により、第1被接触領域A、第2被接触領域Bのいずれにも指が触れていないかを判定する。
【0097】
ここで、第1被接触領域A、第2被接触領域Bのいずれにも指が触れていないと判定された場合(ステップS105“YES“)、主制御部180は、更に、接触情報取得部181(タッチセンサ161)により座標データを取得し、かつ、その座標データを取得したタイミングが図7に示すA、Cの時間帯か否かを移動軌跡監視部184により出力されるデータから判定する(ステップS106)。
【0098】
ここで、接触情報取得部181(タッチセンサ161)により座標データを取得し、かつ、その座標データを取得したタイミングが図7に示すA、Cの時間帯であった場合(ステップS106“YES”)、直交座標判定部185は、タッチセンサ161により出力される座標データを現在指が触れている位置として確定し、上記した一例の処理を終了する(ステップS107)。
【0099】
一方、接触情報取得部181(タッチセンサ161)により座標データを取得し、かつ、その座標データを取得したタイミングが図7に示すBの時間帯であった場合(ステップS106“NO”)、直交座標判定部185は次の処理を行う。
【0100】
すなわち、直交座標判定部185は、指紋情報検知部182から取得される指紋センサ162の位置データに対してオフセット補正を行った後、現在の指が触れている位置として確定し、上記した一連の処理を終了する(ステップS108)。
【0101】
なお、図8のフローチャートには図示されていないが、指紋情報検知部182により出力される指紋情報は、指紋認証部183にも出力されている。
【0102】
このとき指紋認証部183は、検出された指紋情報から、例えば、特徴点(端点、分岐点)を抽出し、当該抽出された特徴点情報を記憶部17の所定の領域に保持し、特徴点からなる登録データと照合することにより指紋認証を行う。
【0103】
また、ステップS105の判定処理において、第1被接触領域A、第2被接触領域Bのいずれにも指が触れていないと判定された場合(ステップS105“NO“)、上記した一例の処理を終了する。
【0104】
以上説明のように、本発明の実施の形態に係る携帯端末によれば、タッチセンサ161と比較して指紋センサ162は基本的に移動範囲が狭く、タッチセンサ161と指紋センサ162との間を指が移動した際の座標データが不連続になる。
【0105】
このため、制御部18は、指紋センサ162の座標データをタッチセンサ161の座標データに合わせて補正を行うことで線形の座標データを出力することができる。
【0106】
その結果、このため、指紋センサ一体型のタッチセンサをセンサ入力部16として実装することができ、このことは、実装スペース上の制限を有する携帯電話機に用いて特に顕著な効果が得られる。
【0107】
また、タッチセンサ161と指紋センサ162の出力を同時に検出することで、ユーザの利便性を損なうことなく指紋センサ一体型のタッチセンサを作ることができ、センサ入力部16をモジュール化することにより実装面積が一層少なくなり、携帯端末としての設計の自由度があがる。また、モジュール化することで、組み込み工数の削減が可能である。
【0108】
なお、上記した本発明の実施の形態に係る携帯端末によれば、タッチセンサ161内に指紋センサ162を実装素位置するものとして説明したが、例えば、指紋センサ162をタッチセンサ161の上端に実装配置する等、両者が隣接していればいずれの実装形態をとっても構わない。
【0109】
また、上記した本発明の実施の形態に係る携帯端末として、携帯電話機10のみ例示したが、携帯電話機10に限らず、PDA(Personal Digital Assistants)、やゲーム機等にも同様に適用が可能である。
【0110】
なお、本発明の実施の形態に係る携帯端末が有する各構成ブロックの機能は、全てをソフトウェアによって実現しても、あるいはその少なくとも一部をハードウェアで実現してもよい。
【0111】
例えば、第2被接触領域が、第1被接触領域に隣接する場合、あるいは第1被接触領域内に配置される場合のそれぞれにおいて、接触情報を時系列的に処理して指の第1移動情報を生成するとともに、指紋情報を時系列的に処理して指の第2移動情報を生成し、第1移動情報と第2移動情報とを関連付けて、第1被接触領域から第2被接触領域にかけての指の移動情報を生成する制御部18におけるデータ処理は、1または複数のプログラムによりコンピュータ上で実現してもよく、また、その少なくとも一部をハードウェアで実現してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の実施の形態に係る携帯端末の外観構造の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る携帯端末の電気系の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る携帯端末のセンサ入力部の実装配置、および指の移動軌跡の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る携帯端末の制御部が実行するプログラムの構造を機能展開して示したブロック図である。
【図5】図2に示すセンサ入力部が有する被接触領域(第1被接触領域Aと第2被接触領域B)を直交座標系にマッピングして示した図である。
【図6】タッチセンサと指紋データがそれぞれ出力する座標データを時間軸上に時系列に示した図である。
【図7】タッチセンサと指紋データがそれぞれ出力する座標データを時間軸上に時系列に示した図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0113】
10…携帯電話機、11…通信部、12…操作部、13…CODEC部、14…表示部、15…撮像部、16…センサ入力部、17…記憶部、18…制御部、19…システムバス、102…下部筐体、161…タッチセンサ、162…指紋センサ、181…接触情報取得部、182…指紋情報検知部、183…指紋認証部、184…移動軌跡監視部、185…直交座標判定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1被接触領域における指の第1の接触情報を取得するタッチセンサと、
前記第1被接触領域に隣接する第2被接触領域にて指紋情報及び指の第2の接触情報を取得する指紋センサと、を備える携帯端末において、
前記第1の接触情報は、時系列的に指の第1移動情報を生成するための情報であり、
前記指の第2の接触情報は、当該指の第2移動情報を生成し、前記第1移動情報と前記第2移動情報とを関連付けて、前記第1被接触領域から前記第2被接触領域にかけての指の移動情報を得るための情報である
携帯端末。
【請求項2】
第1被接触領域における指の第1の接触情報を取得するタッチセンサと、
前記第1被接触領域内に配置された第2被接触領域にて指紋情報及び指の第2の接触情報を取得する指紋センサと、を備える携帯端末において、
前記第1の接触情報は、時系列的に指の第1移動情報を生成するための情報であり、
前記指の第2の接触情報は、当該指の第2移動情報を生成し、前記第1移動情報と前記第2移動情報とを関連付けて、前記第1被接触領域から前記第2被接触領域にかけての指の移動情報を得るための情報である
携帯端末。
【請求項3】
前記第1被接触領域から前記第2被接触領域にかけての指の移動情報は、
前記第1被接触領域における前記第1移動情報を第1の直交座標系に変換するとともに、前記第2被接触領域における前記第2移動情報を第2の直交座標系に変換し、前記第2の直交座標系の任意の値を前記第1の直交座標系に変換して合成された指の移動情報を生成することにより得られる
請求項1または請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記第1被接触領域から前記第2被接触領域にかけての指の移動情報は、
ある時刻において、指が前記第1被接触領域、あるいは前記第2被接触領域のいずれか一方のみに接触した後、当該接触が継続した状態で、前記第1被接触領域と前記第2被接触領域の双方に接触した場合、
前記双方に接触した時刻における前記指の移動情報として、前記ある時刻において接触していた領域からの移動情報を優先して生成することにより得られる
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記タッチセンサ及び前記指紋センサは、静電容量の変化を検出するものである請求項1ないし4のいずれかに記載の携帯端末。
【請求項6】
携帯端末は、さらに制御部を備え、
前記第1被接触領域から前記第2被接触領域にかけての指の移動情報は、前記制御部により演算される
請求項1ないし5のいずれかに記載の携帯端末。
【請求項7】
タッチセンサにより、第1被接触領域における指の第1の接触情報を取得するステップと、
指紋センサにより、前記第1被接触領域に隣接する第2被接触領域にて指紋情報及び指の第2の接触情報を取得するステップと、
前記第1の接触情報から、時系列的に指の第1移動情報を生成するステップと、
前記指の第2の接触情報から、当該指の第2移動情報を生成するステップと、
前記第1移動情報と前記第2移動情報とを関連付けて、前記第1被接触領域から前記第2被接触領域にかけての指の移動情報を得るステップと、
を含む指の移動情報を取得する方法。
【請求項8】
タッチセンサにより、第1被接触領域における指の第1の接触情報を取得するステップと、
指紋センサにより、前記第1被接触領域内に配置された第2被接触領域にて指紋情報及び指の第2の接触情報を取得するステップと、
前記第1の接触情報から、時系列的に指の第1移動情報を生成するステップと、
前記指の第2の接触情報から、当該指の第2移動情報を生成するステップと、
前記第1移動情報と前記第2移動情報とを関連付けて、前記第1被接触領域から前記第2被接触領域にかけての指の移動情報を得るステップと、
を含む指の移動情報を取得する方法。
【請求項9】
前記第1被接触領域から前記第2被接触領域にかけての指の移動情報は、
前記第1被接触領域における前記第1移動情報を第1の直交座標系に変換するとともに、前記第2被接触領域における前記第2移動情報を第2の直交座標系に変換し、前記第2の直交座標系の任意の値を前記第1の直交座標系に変換して合成された指の移動情報を生成することにより得られる
請求項7または請求項8に記載の指の移動情報を取得する方法。
【請求項10】
前記第1被接触領域から前記第2被接触領域にかけての指の移動情報は、
ある時刻において、指が前記第1被接触領域、あるいは前記第2被接触領域のいずれか一方のみに接触した後、当該接触が継続した状態で、前記第1被接触領域と前記第2被接触領域の双方に接触した場合、
前記双方に接触した時刻における前記指の移動情報として、前記ある時刻において接触していた領域からの移動情報を優先して生成することにより得られる
請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の指の移動情報を取得する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−248907(P2011−248907A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141974(P2011−141974)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【分割の表示】特願2008−114242(P2008−114242)の分割
【原出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】