説明

携帯端末装置及びそのプログラム

【課題】携帯端末装置の表示内容を連続して切り替えるときにユーザに与える不快感を抑制すること。
【解決手段】電源からの電力供給が断たれても表示を維持する不揮発性表示部の表示内容を書き換えるための操作として、第一操作と、該第一操作及び該第一操作に連続して入力される連続操作で確定される第二操作とを可能としている。そして、第一操作の入力があったとき、この第一操作に応じた第一表示内容(2ページ目)への書き換え処理を開始し、その後連続操作が入力されて第二操作が確定したときに該第二操作に応じた第二表示内容(例えば、5ページ目)への書き換え処理を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置及びそのプログラムに関するものであり、詳細には、電源からの電力供給が断たれても表示状態を維持する不揮発性表示部を備えた携帯端末装置及びそのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子ペーパーなどのように、電源からの電力供給が断たれても表示状態を維持する不揮発性表示部を備えた携帯端末装置が提供され始めている。
【0003】
このような携帯端末装置は、例えば、文書等を閲覧するために用いられており、不揮発性表示部に表示している表示内容を切り替えるときには、前ページキーや次ページキーなどを用いて1ページずつ表示内容を切り替えるようにしている。
【0004】
しかし、一般に電子ペーパーなどの不揮発性表示部は表示内容の切り替え速度が液晶表示装置などに比べて遅く、これらのキーを用いた場合、キー操作の入力が行われる毎に前ページ又は次ページへの表示内容へ切り替えるための書き換え処理を行うため、所望のページを表示部に表示するための時間を要することがある。
【0005】
そこで、下記特許文献1には、入力キーを長押し操作することにより連続的に所定単位ずつ表示するページをジャンプすることができる装置が開示されている。
【特許文献1】特開平9−179884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、不揮発性表示部を備えた携帯端末装置に上記特許文献1の技術を採用した場合、長押し操作等が確定するまで表示部の表示は何ら変わることがない。そのため、長押し操作等の確定のために表示書き換えが遅延してしまい、携帯端末装置のユーザに不快感を与える虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、電源からの電力供給が断たれても表示を維持する不揮発性表示部と、前記不揮発性表示部の表示内容を書き換えるための操作として、第一操作と、該第一操作及び該第一操作に連続して入力される連続操作で確定される第二操作とを入力する入力部と、前記入力部へ前記第一操作の入力があったとき、前記第一操作に応じた第一表示内容への書き換え処理を開始し、その後前記連続操作が入力されて前記第二操作が確定したときに該第二操作に応じた第二表示内容への書き換え処理を開始する制御部とを備えたものである。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御部は、前記第一表示内容への表示書き換え処理が終了したときに前記入力部へ前記第二操作の入力が確定していないとき、前記表示内容のリセット処理を行い、その後、前記入力部への前記第二操作の入力が確定したときに前記第二表示内容への書き換え処理を行うものである。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記制御部は、前記第一表示内容への書き換え処理が終了したときに前記入力部へ前記第二操作の入力が確定しているとき、前記リセット処理を行わずに前記第二表示内容への書き換え処理を書き換え前後の表示内容の差分に基づいて行うものである。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記制御部は、前記入力部への前記連続操作の操作量が所定量に達したとき、前記第二操作を確定して第二表示内容への書き換え処理を開始するものである。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記制御部は、前記第二操作が確定した後、引き続き前記入力部への前記連続操作が入力されているときには、前記第二表示内容への書き換え処理を開始し、その後前記入力部へ入力される前記第二操作が確定したとき、該第二操作に応じた第三表示内容への書き換え処理を開始するものである。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明において、前記制御部は、前記第二操作に応じた第二表示内容を、前記連続操作が終了したときの該連続操作の継続時間又は該連続操作の操作数に応じて決定するものである。
【0013】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明において、前記第一操作を入力する第二入力部を備え、前記制御部は、前記第二入力部への入力があったとき、前記入力部へ前記第一操作の入力が行われる毎に、前記第一操作に応じた第一表示内容への書き換え処理を開始するものである。
【0014】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の携帯端末装置における前記制御部の機能をコンピュータに実行させるプログラムとした。
【発明の効果】
【0015】
本発明の携帯端末装置では、入力部への操作が連続操作(第二操作)であるときでも、まず、入力部への単一操作(第一操作)に応じた表示内容(第一表示内容)への書き換え処理を行っておき、その後連続操作が確定したときにこの連続操作に応じた表示内容(第二表示内容)への書き換え処理を行うようにしている。従って、入力部への連続操作が確定するまでに、不揮発性表示部の表示内容が書き換わらないという事態を回避することができ、ユーザへ与える不快感を抑制できる。しかも、入力部への操作があったとき、その操作が第一操作であるか第二操作であるかを確定する前に、第一操作に応じた第一表示内容への書き換え処理を開始するので、ユーザによる操作入力が第一操作であるときに、第一表示内容への書き換えが速く、これによってもユーザへ与える不快感を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0017】
[1.携帯端末装置の概要]
まず、図1を参照して、本実施形態の携帯端末装置1の外観及び主な動作について説明する。図1は、本実施形態の携帯端末装置1の正面図である。
【0018】
携帯端末装置1は、平面視方形状で薄型の装置であり、図1に示すように、その正面には、略A4サイズの大きさの不揮発性表示部2が設けられている。この不揮発性表示部2は、電源からの電力供給が断たれても表示状態を維持する不揮発性表示部であり、例えば電気泳動表示装置などで構成される。
【0019】
この不揮発性表示部2の右側には、ナビキー3と表示切替キー4とを含む入力部5と電源ボタン6とが配置されている。なお、ナビキー3は、その中央部に決定キー3aが設けられ、決定キー3aの上下左右にはそれぞれ、上キー3b,下キー3c,左キー3d,右キー3eが設けられている。また、表示切替キー4には、左キー4a,右キー4bが設けられている。
【0020】
そして、携帯端末装置1のユーザは、入力部5を操作して不揮発性表示部2に表示するコンテンツの選択、表示、作成などを行うことができる。本実施形態の携帯端末装置1で扱うことができる「コンテンツ」として、文字を表示させるための文書データ,静止画像を表示させるための静止画データ及び動画像を表示させるための動画データなどがある。
【0021】
また、携帯端末装置1の右側面には、メモリカード17を挿入するためのメモリカードI/F13が設けられている。携帯端末装置1では、メモリカード17に記憶されているコンテンツをメモリカードI/F13を介して読み込んで不揮発性表示部2に表示させることができ、また、携帯端末装置1で作成したコンテンツをメモリカード17に書き込んで記憶させることができる。
【0022】
ところで、不揮発性表示部2は電気泳動表示装置などから構成されているため、その表示内容の書き換え処理に時間を要する。特に、不揮発性表示部2の表示内容を連続して切り替えると、所望の表示内容を表示するまでに相当な時間がかかり、ユーザに不快感を与える虞がある。
【0023】
そこで、本実施形態の携帯端末装置1では、ユーザによる左キー3d又は右キー3eの操作があったとき、そのときの表示内容よりも前のページ又は先のページの表示内容への書き換え処理を開始する。そして、ユーザによる左キー3d又は右キー3eの操作が連続するときには、この連続操作が終了したときに、その操作量に応じた表示内容への書き換え処理を開始するようにしている。
【0024】
すなわち、不揮発性表示部2の表示内容を一つ前又は一つ先のページの表示内容(以下、「第一表示内容」とも呼ぶ。)へ書き換えるときには、左キー3d又は右キー3eへの操作(以下、「第一操作」とする。)を行い、また、数ページ前又は先のページの表示内容(以下、「第二表示内容」とも呼ぶ。)へ書き換えるときには、左キー3d又は右キー3eへの操作を第一操作に連続して入力する第二操作を行う。この第二操作は、例えば、左キー3d又は右キー3eの長押しや複数回押しなどの連続操作である。
【0025】
そして、携帯端末装置1の制御部は、第一操作の入力があったとき、この第一操作に応じた第一表示内容への書き換え処理を開始する。その後、制御部は、この第一操作に連続して入力される連続操作で確定される第二操作があるときには、この連続操作が入力されて第二操作が確定したときにこの第二操作に応じた第二表示内容への書き換え処理を開始する。
【0026】
例えば、図2の左図に示すように、不揮発性表示部2にコンテンツの1ページ目の表示内容が表示されているとする。このとき、ユーザによって右キー3eが操作されると、携帯端末装置1の制御部は、その操作が連続するか否かに関わらず、2ページ目の表示内容(第一操作に応じた第一表示内容)への書き換え処理を開始する。これにより図2の中央図に示すように、不揮発性表示部2にはコンテンツの2ページ目の表示内容が表示される。
【0027】
このとき、右キー3eへのユーザ操作が連続するときには、その連続操作が確定したときに、その連続操作量に応じた頁ジャンプを行う。例えば、連続操作量が4ページ分の先送り操作に相当するときには、図2の右図に示すように、携帯端末装置1の制御部は、コンテンツの5ページ目の表示内容への書き換え処理を行って、5ページ目の表示内容(第二操作に応じた第二表示内容)を不揮発性表示部2に表示する。
【0028】
図2に示すように、2ページ目の表示内容への書き換えが終了したときに、右キー3eへの連続操作が確定しているとき、携帯端末装置1の制御部は、不揮発性表示部2のリセット処理を行わずに、5ページ目の表示内容への書き換え処理を書き換え前後の表示内容の差分に基づいて行う。
【0029】
一方、図3に示すように、2ページ目の表示内容への書き換えが終了したときに、右キー3eへの連続操作が確定していないとき、携帯端末装置1の制御部は、不揮発性表示部2のリセット処理を行う。その後、右キー3eへの連続操作が確定したときに、携帯端末装置1の制御部は、連続操作に応じた5ページ目の表示内容への書き換え処理をリセット状態からの差分に基づいて行う。
【0030】
ここで、不揮発性表示部2のリセット処理とは、不揮発性表示部2内にある後述の帯電粒子を電極に引き寄せる処理あり、例えば、不揮発性表示部2が白、ライトグレー、ダークグレー、黒の4階調の表示手段であるときには、表示領域を全面白色又は全面黒色に書き換えることによって行う。このリセット処理により、不揮発性表示部2を初期化することができ画質を向上させることができる。
【0031】
すなわち、不揮発性表示部2における表示領域の書き換え処理は、上述のようにその書き換え前後の表示内容の差分に基づいて行われるが、不揮発性表示部2内の帯電粒子の特性や温度などにより書き換え後の計算上の状態と実際の状態がズレてしまう。そのため、書き換え前後の差分だけで書き換え処理を継続していくと、このズレが大きくなり画質が劣化してしまうことになる。そこで、帯電粒子を一旦電極に引き寄せることによりその差分書き換えによるズレをキャンセルするようにしている。例えば、図6に示す画素8aの状態のように、後述する白色負帯電粒子33aを一方の電極に引き寄せ、黒色正帯電粒子33bを他方の電極に引き寄せて表示内容を全面黒色にする。
【0032】
また、本実施形態においては、リセット処理終了後に連続して表示書き換え処理が行われることから、この表示書き換え処理において、通常の表示書き換え処理で行っている処理の一部(ここでは、図8に示すシェイキングパルスの印加処理)を行わないようにしている。これは、リセット処理後、短い期間後に引き続き書き換えパルスを印加するため、シェイキングパルスの印加処理が不要となるからである。このようにすることで、表示内容への書き換えを迅速にすることができる。
【0033】
このように、携帯端末装置1では、右キー3eへの操作が連続操作(第二操作)であるときでも、まず、右キー3eへの単一操作(第一操作)に応じた表示内容(第一表示内容)への書き換え処理を行っておき、その後連続操作が確定したときにこの連続操作に応じた表示内容(第二表示内容)への書き換え処理を行うようにしている。
【0034】
従って、右キー3eへの連続操作が確定するまでに、不揮発性表示部2の表示内容が書き換わらないという事態を回避することができ、ユーザへ与える不快感を抑制できる。
【0035】
また、右キー3eへの単一操作(第一操作)に応じた表示内容(第一表示内容)への書き換えが終了したときに右キー3eへの連続操作が確定していないとき、不揮発性表示部2のリセット処理を行うようにしているので、不揮発性表示部2における表示画質の劣化を抑制することができ、しかも、連続操作の確定後に迅速に表示内容の書き換えを行うことができる。
【0036】
また、右キー3eへの単一操作(第一操作)に応じた表示内容(第一表示内容)の書き換えが終了したときに右キー3eへの連続操作が確定しているとき、不揮発性表示部2のリセット処理を行わずに表示内容(第二表示内容)への書き換えを行うので、迅速に表示内容の書き換えができる。しかも、このときの表示内容の書き換え処理を書き換え前後の表示内容の差分に基づいて行うので、これによっても表示内容の書き換えを迅速にできる。
【0037】
なお、上述においては右キー3eの操作について説明したが、左キー3dへの操作であれば表示している表示内容よりも前のページの表示内容への書き換え処理を行うことになる。
【0038】
また、右キー3eや左キー3dへの連続操作として、長押し操作や複数回押し操作などがある。長押し操作の場合、右キー3eや左キー3dへの所定時間以内の操作が単一操作(第一操作)となり、この所定期間を超える右キー3eや左キー3dへの操作が連続操作(第二操作)となる。また、複数回押し操作の場合、右キー3eや左キー3dへの1回の押下操作が単一操作(第一操作)となり、右キー3eや左キー3dへの複数回の連続押下操作が連続操作(第二操作)となる。
【0039】
また、携帯端末装置1には上述のように表示切替キー4(第二入力部の一例)が設けられており、この表示切替キー4への入力操作があったとき、表示切替キー4への入力操作が行われる毎に、この入力操作に応じた表示内容への書き換え処理を開始するようにしている。すなわち、表示切替キー4には、現ページよりも前のページに表示を切り替える左キー4aと現ページよりも先のページに表示を切り替える右キー4bとが設けられており、左キー4aを押下する毎に1ページずつ順次前のページの表示内容への書き換え処理を開始し、右キー4bを押下する毎に1ページずつ順次先のページの表示内容への書き換え処理を開始する。
【0040】
このように携帯端末装置1の入力部5として、左キー3d及び右キー3eとは機能が異なる表示切替キー4を設けているので、その状況に応じた操作を行うことができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0041】
また、次のような処理動作を携帯端末装置1の制御部に行わせるようにしてもよい。
【0042】
例えば、入力部5への連続操作の操作量が所定量に達したときには、その連続操作を確定して当該連続操作に応じた表示内容(第二表示内容)への書き換え処理を開始するようにしてもよい。
【0043】
また、入力部5への連続操作の操作量が所定量に達した後、更に連続操作が入力されているときには、一旦連続操作を確定して当該連続操作に応じた表示内容(第二表示内容)への書き換え処理を開始し、その後入力部5へ入力される連続操作が確定したとき、当該連続操作に応じた表示内容(第三表示内容)への書き換え処理を開始するようにしてもよい。
【0044】
このようにすることにより、入力部5への連続操作の操作量が大きい場合であっても、第一操作に応じた表示内容へ書き換えた後、第二操作に応じた表示内容に書き換えるまでの時間を少なくすることができ、これによりユーザの不快感を低減させることができる。
【0045】
[2.携帯端末装置の具体的構成]
次に、上述した携帯端末装置1の具体的構成の例を挙げてより具体的にその構成及び動作を説明する。
【0046】
[2.1 携帯端末装置の全体構成]
まず、図4を参照して、携帯端末装置1の電気的構成について説明する。図4は携帯端末装置1の電気的構成を示す模式図である。
【0047】
図4に示すように、携帯端末装置1には、不揮発性表示部2、バッテリ7、タッチパネル9、CPU10、ROM11、RAM12、RTC(Real Time Clock)13、表示コントローラ14、充電コントローラ15、メモリカードインタフェース(I/F)16、メモリカード17、入力部5及び電源ボタン6が設けられている。
【0048】
タッチパネル9は、透過性の部材で形成され、不揮発性表示部2の表面に形成される。ユーザはタッチパネル9をタッチペンや指で接触することによって、不揮発性表示部2の表示の操作や描画などを行うことができる。すなわち、タッチパネル9は、タッチペンや指の接触入力位置を検出して、当該入力位置の情報をCPU10へ通知する。
【0049】
ROM11には各種情報及び携帯端末装置1を動作させるプログラムが記憶されており、CPU10は、このプログラムをROM11から読み出して実行することにより上述した制御部として機能し、携帯端末装置1の全体の制御を司る。RAM12は各種のデータを一時的に記憶するメモリ、RTC13は時間を計測する回路であり、それぞれCPU10による制御処理時に用いられる。なお、プログラムをROM11に予め記憶させておくのではなく、メモリカードI/F16を介して、メモリカード17など記録媒体からプログラムを取り出してROM11に記憶するようにしてもよい。この場合、メモリカード17にはプログラムが記憶され、また、ROM11としてフラッシュメモリなどを用いる。
【0050】
また、表示コントローラ14は、不揮発性表示部2への表示内容を制御する。この表示コントローラ14には、後述する画素電極62への電圧印加を行うTFT40を動作させる後述のゲートドライバ20及びソースドライバ30を制御するためのFPGA、パネル駆動に必要な電源生成部(DC−DCコンバータなど)等が備えられている。
【0051】
また、携帯端末装置1は、図示外の外部電源から電力供給を受けていない場合には、バッテリ7の電力で駆動される。バッテリ7又は外部電源からの電力供給経路は、CPU10に対するものと、ROM11,RAM12,表示コントローラ14といった周辺装置に対するものとの2系統ある。そして、充電コントローラ15は外部電源からバッテリ7への充電を制御する。
【0052】
また、メモリカードI/F16は、メモリカード17からの情報の読み取り、書き込みを制御する。CPU10は、メモリカードI/F16を制御してメモリカード17からコンテンツなどの情報を読み取り、或いはメモリカード17へ情報を書き込む。
【0053】
[2.2 不揮発性表示部2の構成]
ここで、不揮発性表示部2の物理的構成の概略について、図5及び図6を参照して説明する。図5は不揮発性表示部2である電気泳動表示装置の正面図であり、図6は不揮発性表示部2である電気泳動表示装置のA−A線(図5)における矢視方向断面図である。
【0054】
不揮発性表示部2は、電力供給が断たれても表示状態を保持することができる不揮発性の表示手段であり、ここでは電気泳動表示装置で構成される。不揮発性表示部2は、例えば1024×768個の画素8が配列されており、図5及び図6では説明の便宜上、一部の画素領域のみを図示している。
【0055】
図6に示すように不揮発性表示部2は、その上面部分に設けられる上部基板50と、その下面部分に設けられる下部基板60とが対向配置され、上部基板50と下部基板60との間に表示領域70を備える。
【0056】
上部基板50は、表示領域70に電界を発生させる上部電極52と、上部電極52の下面側に絶縁材料を塗布等して形成した絶縁膜である上部電極保護膜51と、上部電極52の上面側に設けられて携帯端末装置1の表示面として機能する表示層53とを備える。 上部電極保護膜51はポリエチレンテレフタレートなどの高い透明性及び高い絶縁性を発揮可能な樹脂フィルムにより形成される。また、上部電極52は、酸化インジウムすず(ITO)により形成された透明電極であり、透明なガラス基板で形成された表示層53に複数平行に形成され、一定の電圧が印加される。このように、上部電極保護膜51、上部電極52及び表示層53は透明体で形成されており、従って、上部基板50は利用者が表示面に垂直な方向(Z方向)から表示領域70を視認可能な表示基板として機能する。
【0057】
下部基板60は、表示領域70に電界を発生させる画素電極62と、画素電極62の上面側に絶縁材料を塗布等して形成した絶縁膜である画素電極保護膜61と、画素電極62の下面側に設けられて不揮発性表示部2を支持する筐体支持基板63とを備える。画素電極保護膜61は、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂フィルムのように高い絶縁性を発揮可能な材料により形成される。また、画素電極62は、画素8毎に設けられ、後述する画素8内のTFT(Thin Film Transistor)のドレインにそれぞれ接続される。
【0058】
表示領域70は、対向して設けられる上部基板50及び下部基板60と、スペーサー71とで形成される間隙に、負に帯電した白色の帯電粒子33a(以下、「白色負帯電粒子33a」とも呼ぶ。)、正に帯電した黒色の帯電粒子33b(以下、「黒色正帯電粒子33b」とも呼ぶ。)及び分散媒34が充填されることによって形成される。スペーサー71は、上部基板50及び下部基板60との間隙に架設され、その間隙を格子状に均等に分割して複数の小区画セルを形成するとともに、上部基板50及び下部基板60を支持する。スペーサー71は、格子状に複数の貫通孔が形成された板状部材として構成された可撓性部材であり、例えばポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂で構成される。また、帯電粒子33a,33bは、分散媒34中において帯電可能な材料が用いられ、有機化合物や無機化合物からなる顔料や染料、もしくは顔料や染料を合成樹脂で包んだものからなる。また、分散媒34としては、高絶縁性を発揮可能で、かつ粘性の低い、アルコール類,炭化水素,シリコーンオイルなどを利用できる。
【0059】
次に、図7を参照して、不揮発性表示部2の電気的構成について説明する。図7は、不揮発性表示部2の電気的構成を示すブロック図である。
【0060】
不揮発性表示部2には、ゲートドライバ20及びソースドライバ30が備えられており、ゲートドライバ20からは複数のゲート線21が、ソースドライバ30からはアンプ32を介して複数のソース線31が、それぞれ平行に延びている。また、ゲート線21とソース線31とは互いに交差して配設されており、各交差部近傍にはTFT40がそれぞれ設けられている。そして、各TFT40のゲートはゲート線21に接続され、ドレインはソース線31に接続されている。さらに、各TFT40のソースは、共通電極である上部電極52と画素電極62との間に構造上発生する画素容量41と、画素電極62に与える電圧を保持する動作の時定数を大きくするための保持容量42とに接続されている。
【0061】
このような構成の不揮発性表示部2において、ゲート線21にオン電圧が印加されていない場合は、そのゲート線21に接続された全てのTFT40はオフ状態となる。一方で、ゲートドライバ20によりゲート線21にオン電圧が印加されると、そのゲート線21に接続されている全てのTFT40がオン状態となる。このように、ゲート線21に印加する電圧を制御することで、TFT40のオン・オフの制御を行っている。そして、オン状態となっているTFT40に接続されているソース線31に、ソースドライバ30によりプラスの電圧が印加されると、このTFT40に接続された画素電極62にプラスの電圧が印加される。一方で、ソース線31に、ソースドライバ30によりマイナスの電圧が印加されると、このTFT40に接続された画素電極62にマイナスの電圧が印加される。上部電極52には、各画素共通の電圧(例えば0V)が印加されるため、画素電極62と上部電極52との間に電界が発生し、白色負帯電粒子33a及び黒色正帯電粒子33bが移動する。このように、アクティブマトリクス方式によると、1つ1つの画素の階調をそれぞれ独立に制御して画像を表示することができる。
【0062】
[2.3 不揮発性表示部2の階調表示]
次に、図6を参照して、不揮発性表示部2の各画素8における階調表示の原理について説明する。図6は階調が異なる4つの画素8a〜8d内の状態を簡略化して示した断面図である。なお、本実施形態の携帯端末装置1においては、黒色、ダークグレー、ライトグレー、白色の4つの階調を使い分けて画像を表示するが、この階調は、白色負帯電粒子33a及び黒色正帯電粒子33bの不揮発性表示部2内での平均分布によって決定される。尚、画像を表示するために使い分けることができる階調の数は4つに限られず、適宜変更が可能である。
【0063】
図6に示す画素8aのように階調を黒色とするためには、上部電極52側の電位を基準電位(0V)として画素電極62側をプラスにし、十分に電界を発生させる。これにより、黒色正帯電粒子33bが上部基板50近傍に分布し、白色負帯電粒子33aが画素電極62近傍に分布して、黒色表示の状態となる。また、画素8bのように階調を白色とするためには、上部電極52の電位を基準電位(0V)として画素電極62側をマイナスにし、十分に電界を発生させる。これにより、黒色正帯電粒子33bが画素電極62近傍に分布し、白色負帯電粒子33aが上部電極52近傍に分布して、白色表示の状態となる。
【0064】
また、印加する電圧の大きさや印加時間を調節して、白色負帯電粒子33a及び黒色正帯電粒子33bを、上部電極52と画素電極62との中間位置の近傍に位置させると、上部電極52側からは白色負帯電粒子33a及び黒色正帯電粒子33bの両方が視認できるため、階調はグレーとなる。この場合、本実施の形態では、図6に示すダークグレーの画素8b及びライトグレーの画素部8cのように、帯電粒子33a,33bの分布の度合いを変えることでダークグレーとライトグレーとを使い分けている。
【0065】
ここで、図8を参照して、画素8の階調を制御するためにソースドライバ30によってソース線31から各画素8の画素電極62に電圧が印加され、実際に表示書き換え中に画素電極62に印加される駆動パルスについて説明する。図8は画素の階調を書き換えるときに画素電極62に印加される電圧の波形を示す図である。この駆動パルスは、書き換え前後の表示内容の差分に基づいて生成されるパルスである。本実施形態では、黒色、ダークグレー、ライトグレー、白色の4つの階調を使い分けるため、書き換え前後の階調が同じ階調である場合を含めると、階調の変化は16通りとなり、各階調変化に応じた駆動パルスが画素8に印加される。なお、ここでは、白色から4つの階調へ変化させる場合を例に挙げて説明する。
【0066】
まず、駆動パルスの波形について説明する。この駆動パルスは、図8に示すように、シェイキングパルス、書き換えパルス、制動パルスから構成される。
【0067】
図8に示すように、駆動パルスのシェイキングパルスは、極性が交互に反転するパルスであり、帯電粒子33a,33bを静止状態から開放させるには十分であるが、帯電粒子33a,33bを一方の基板から他方の基板へ到達させるには不十分であるエネルギーを有するパルスである。このシェイキングパルスが画素電極62へ印加されると、上部電極52及び画素電極62の表面に付着していた帯電粒子33a,33bが剥離されると共に、帯電粒子33a,33bが静止状態から開放される。従って、シェイキングパルスを印加した後に帯電粒子33a,33bを移動させるためのパルスを印加すると、シェイキングパルスを印加させない場合に比べて帯電粒子33a,33bを素早く移動させることができる。また、帯電粒子33a,33bが移動を開始しやすくすることで、前の表示履歴の影響を小さくし、再現性のある階調を画素に表示させることができる。
【0068】
駆動パルスの書き換えパルスは、帯電粒子33a,33bを移動させるパルスであり、書き換え前後の階調の変化に応じた波形のパルスとなる。例えば、白色から黒色に階調を変化させるときには、図8(a)に示すように、駆動パルスとしてプラスの電圧を画素電極62に印加することにより、黒色正帯電粒子33bが上部電極52側へ、白色負帯電粒子33aが画素電極62側へ移動する。また、白色からダークグレーに階調を変化させるときには、図8(d)に示すように、駆動パルスとしてプラスの電圧を画素電極62に印加して、その後マイナスの電圧を画素電極62に印加することにより、一旦黒色正帯電粒子33bが上部電極52に移動した後、少し白色負帯電粒子33aが上部電極52に移動する。
【0069】
駆動パルスの制動パルスは、書き換えパルスによる帯電粒子33a,33bの運動を減衰させるためのパルスである。この制動パルスは、書き換えパルスの終端の電圧極性と反転した電圧のパルスである。例えば、白色から黒色に階調を変化させる駆動パルスにおいては、制動パルスは、図8(a)に示すように、マイナスの電圧となる。また、白色からダークグレーに階調を変化させるときにおいては、制動パルスは図8(d)に示すように、プラスの電圧となる。
【0070】
制動パルスの後には、上部電極52と画素電極62に印加する電圧を同電位(GND,0V)とすることにより、電界の発生を完全に停止させて帯電粒子33a,33bの運動を停止させる。
【0071】
このように、次に表示する階調に対応する帯電粒子33a,33bの平均位置と、現在表示中の階調に対応する帯電粒子33a,33bの平均位置との差分に応じた駆動パルスを両電極間52,62に印加することによって、階調を変更する。
【0072】
次に、リセットパルスの波形について説明する。図9は画素8の階調を初期化するときのリセットパルスの波形を示す図である。
【0073】
このリセットパルスは、上部電極52及び画素電極62のうち一方の電極に白色負帯電粒子33aを引き寄せ、他方の電極に黒色正帯電粒子33bを引き寄せるリセット処理を行うために、各画素8に印加するパルスである。ここでは、一例として、白色負帯電粒子33aを画素電極62に引き寄せ、黒色正帯電粒子33bを上部電極52に引き寄せる例を説明する。
【0074】
リセットパルスは、図9に示すように、シェイキングパルスと書き換えパルスからなり、各画素8の画素電極62に印加される。このリセットパルスにおいては、まずシェイキングパルスにより、上部電極52及び画素電極62の表面に付着していた帯電粒子33a,33bが剥離されると共に、帯電粒子33a,33bが静止状態から開放される。その後、書き換えパルスとしてプラスの電圧を画素電極62に印加して白色負帯電粒子33aを画素電極62、黒色正帯電粒子33bを上部電極52へそれぞれ移動させる。
【0075】
このリセットパルスを画素電極62に印加した後にすぐに画素8の表示内容を書き換えるときには、上記駆動パルスを用いずに、第2駆動パルスを用いる。図10は画素の階調を書き換えるときの第2駆動パルスの波形を示す図である。
【0076】
第2駆動パルスは、図10に示すように、書き換えパルス、制動パルスから構成される。すなわち、駆動パルスのようなシェイキングパルスは存在しない。これは、すでに直前にリセットパルスによりシェイキングパルスが画素8に印加されているからである。
【0077】
第2駆動パルスの書き換えパルスは、帯電粒子33a,33bを移動させるパルスであり、書き換え前後の階調の変化に応じた波形のパルスとなる。例えば、白色から黒色に階調を変化させるときには、図10(a)に示すように、第2駆動パルスとしてプラスの電圧を画素電極62に印加することにより、黒色正帯電粒子33bが上部電極52側へ、白色負帯電粒子33aが画素電極62側へ移動する。また、白色からダークグレーに階調を変化させるときには、図10(d)に示すように、駆動パルスとしてプラスの電圧を画素電極62に印加して、その後マイナスの電圧を画素電極62に印加することにより、一旦黒色正帯電粒子33bが上部電極52に移動した後、少し白色負帯電粒子33aが上部電極52に移動する。
【0078】
第2駆動パルスの制動パルスは、駆動パルスの制動パルスと同様に、書き換えパルスによる帯電粒子33a,33bの運動を減衰させるためのパルスである。この制動パルスは、書き換えパルスの終端の電圧極性と反転した電圧のパルスである。制動パルスの後には、上部電極52と画素電極62に印加する電圧を同電位(GND,0V)することにより、電界の発生を完全に停止させて帯電粒子33a,33bの運動を停止させる。
【0079】
このように、次に表示する階調に対応する帯電粒子33a,33bの平均位置と、現在表示中の階調に対応する帯電粒子33a,33bの平均位置との差分に応じた第2駆動パルスを両電極間52,62に印加することによって、階調を変更する。
【0080】
[2.3 携帯端末装置1の具体的動作]
次に、本実施形態における携帯端末装置1の具体的動作について図面を参照して説明する。なお、以下においては、左キー3d又は及び右キー3eを用いた不揮発性表示部2の表示内容の書き換え処理についてのみ説明し、その他の処理については説明を省略する。図11は不揮発性表示部2の表示内容の書き換えメイン処理のフローチャートである。
【0081】
図11に示すように、携帯端末装置1のCPU10は、書き換えメイン処理を開始すると、まず、ユーザによる左キー3d又は右キー3eへの操作によって、表示書き換え指示入力が開始されたか否かを判定する(ステップS1)。
【0082】
表示書き換え指示入力が開始されたか否かは、ユーザによる左キー3d及び右キー3eの操作があったか否かによって判定される。左キー3dは表示内容を現ページよりも前のページの表示内容に戻す操作を行うためのキーであり、右キー3eは表示内容を現ページよりも先のページの表示内容に進める操作を行うためのキーである。
【0083】
そして、ユーザによる左キー3d又は右キー3eへの操作が行われたことを携帯端末装置1のCPU10が検出したとき、表示書き換え指示入力が開始されたと判定し(ステップS1:YES)、CPU10は一つ前又は一つ先のページの表示内容への書き換え処理を開始する(ステップS2)。例えば、左キー3dへの操作を検出したときには、表示しているページより一つ前のページの表示内容に書き換える処理を行い、右キー3eへの操作を検出したときには、表示しているページよりも一つ先のページの表示内容に書き換える処理を行う。
【0084】
このように入力が確定する前に、一つ前又は一つ先のページの表示内容への書き換え処理を行うので、ユーザの不快感を抑制することができる。すなわち、第二操作が確定するまでの時間が長い場合、第二操作が確定してから表示内容の書き換え処理を開始すると、第二操作が確定するまでの間ユーザはきちんと操作が入力されているか不安になる。そこで、本実施形態の携帯端末装置1では、入力後すぐに一つ前又は一つ先のページの表示内容への書き換え処理を行うことで、ユーザに処理を行っていることを表示して、ユーザの不快感を抑制している。しかも、第一操作に連続して入力される連続操作があるか否かに関わらず、一つ前又は一つ先のページの表示内容への書き換え処理を行うので、入力が第一操作であったときに表示する表示内容を速く表示することが可能となり、これによってもユーザの不快感を抑制することができる。
【0085】
次に、携帯端末装置1のCPU10は、N=0に設定する(ステップS3)。具体的には、RAM12のNフラグ領域に0を設定する。
【0086】
その後、携帯端末装置1のCPU10は、ユーザ入力算出処理を実行する(ステップS4)。このユーザ入力演算処理は、ステップS1で開始されたユーザの入力が第一操作か第二操作かを判定する処理であり、図12に示すステップS20〜S34又は図13に示すステップS40〜S54に示す処理であり、後で詳述する。
【0087】
次に、携帯端末装置1のCPU10は、表示書き換え指示入力が確定したか否かを判定する(ステップS5)。
【0088】
ユーザによる表示書き換え指示入力として、一つ前又は一つ先のページの表示内容に書き換える第一操作に連続して入力される連続操作でないとき、携帯端末装置1のCPU10はユーザによる左キー3d又は右キー3eへの操作を第一操作として判定して入力を確定する。一方、ユーザによる左キー3d又は右キー3eへの操作として、一つ前又は一つ先のページの表示内容に書き換える第一操作に連続して入力される連続操作があるとき、携帯端末装置1のCPU10はユーザによる左キー3d又は右キー3eへの操作を第二操作として判定し、連続操作が終了したときにその連続操作量に応じた第二操作として入力を確定する。第一操作として例えば左キー3d又は右キー3eへの1回の押下操作があり、第二操作として例えば左キー3d又は右キー3eへの複数回の連続押下操作がある。
【0089】
ステップS5において、ユーザによる表示書き換え指示入力が確定していないと判定すると(ステップS5:NO)、携帯端末装置1のCPU10は、リセット処理を開始する(ステップS6)。このリセット処理は、不揮発性表示部2の表示を初期化する処理であり、不揮発性表示部2の画素8に図9に示すリセットパルスを印加することによって行われる。このようにリセット処理を行うことによって、帯電粒子33a,33bを一旦電極に引き寄せて差分書き換えによるズレをキャンセルするようにし、不揮発性表示部2における表示画質の劣化を抑制している。
【0090】
次に、携帯端末装置1のCPU10は、Nを1に設定する(ステップS7)。具体的には、RAM12のNフラグ領域に1を設定する。
【0091】
その後、携帯端末装置1のCPU10は、ユーザ入力算出処理を実行する(ステップS8)。このユーザ入力演算処理は、ステップS1で開始されたユーザの入力が第一操作か第二操作かを判定する処理である。
【0092】
その後、携帯端末装置1のCPU10は、ステップS6で開始したリセット処理が終了したか否かを判定する(ステップS9)。リセット処理が終了していないときには(ステップS9:NO)、携帯端末装置1のCPU10は、このステップS9の処理を繰り返す。
【0093】
一方、リセット処理が終了したときには(ステップS9:YES)、携帯端末装置1のCPU10は、「書き換え処理2」を行う(ステップS10)。この「書き換え処理2」は、ユーザが第二操作によって指定した表示内容への書き換え処理である。例えば、左キー3d又は右キー3eへの5回の連続押下操作があったとき、表示しているページの5ページ前又は5ページ先の表示内容へ書き換える。
【0094】
このときに不揮発性表示部2の画素8に印加する駆動パルスは、図10に示す第2駆動パルスである。これは、すでに直前のステップS6でリセット処理を行っているからである。すなわち、シェイキングパルスを含むリセット処理後、短い期間後に引き続き書き換えパルスを印加するため、ここでの表示書き換え処理では再度シェイキングパルスの印加処理が不要となるからである。
【0095】
従って、図8に示す駆動パルスを画素8に印加するのに比べ、書き換え処理を速くすることができ、これにより、ユーザの不快感を抑制することができる。
【0096】
一方、ステップS5の処理において、ユーザによる表示書き換え指示入力が確定していると判定したとき(ステップS5:YES)、携帯端末装置1のCPU10は、ユーザによる左キー3d又は右キー3eへの操作が終了して確定した入力が「第一操作」であるか否かを判定する(ステップ11)。すなわち、ユーザによる左キー3d又は右キー3eへの操作として、一つ前又は一つ先の表示内容に書き換える第一操作の後に連続して入力される連続操作がないとき、携帯端末装置1のCPU10はユーザによる左キー3d又は右キー3eへの操作を第一操作として判定して入力を確定する。ここで、第一操作は例えば左キー3d又は右キー3eへの1回の押下操作であり、第二操作は例えば左キー3d又は右キー3eへの複数回の連続押下操作である。
【0097】
この処理において、確定した入力が第一操作でないと判定すると(ステップS11:NO)、携帯端末装置1のCPU10は、「書き換え処理1(通常書き換え処理)」を実行する(ステップS12)。この「書き換え処理1(通常書き換え処理)」は、ユーザが第二操作によって指定した表示内容への書き換え処理である。例えば、左キー3d又は右キー3eへの5回の連続押下操作があったとき、携帯端末装置1のCPU10は、表示しているページの5ページ前又は5ページ先の表示内容へ書き換える。
【0098】
このときに不揮発性表示部2の画素8に印加する駆動パルスは、図8に示す駆動パルスである。従って、図9に示すリセットパルスの後に図10に示す第2駆動パルスを画素8に印加するのに比べ、書き換え処理を速くすることができ、これにより、ユーザの不快感を抑制することができる。
【0099】
ステップS10,S12の処理が終了したとき、又はステップS11で確定した入力が第一操作であると判定したとき(ステップS11:YES)、携帯端末装置1のCPUは、書き換えメイン処理を終了する。
【0100】
このように携帯端末装置1では、ユーザによる左キー3d又は右キー3eへの操作入力があったとき、その操作入力が第一操作であるか第二操作であるかを確定する前に、第一操作に応じた一つ前又は一つ先の表示内容への書き換え処理を開始する。従って、ユーザによる操作入力が第一操作であるときに、一つ前又は一つ先の表示内容への書き換えが速い。
【0101】
しかも、一つ前又は一つ先の表示内容への書き換えが終了したときに、操作入力が確定していないときには、不揮発性表示部2のリセット処理を行い、その後操作入力が確定したときに、シェイキングパルスを含まない第2駆動パルスで不揮発性表示部2の表示内容を書き換える。従って、不揮発性表示部2における表示画質の劣化を抑制して表示画質を向上させることができ、しかも、確定した操作入力に応じた表示内容への書き換えが速くなる。
【0102】
一方、一つ前又は一つ先の表示内容への書き換えが終了したときに、操作入力が確定しているときには、不揮発性表示部2のリセット処理を行わずに、シェイキングパルスを含む駆動パルスで不揮発性表示部2の表示内容を書き換える。従って、リセット処理を事前に行う場合に比べ、確定した操作入力に応じた表示内容への書き換えが速くなる。
【0103】
このように、携帯端末装置1では、不揮発性表示部2の表示内容を書き換えるための操作として、第一操作に加え、第一操作及びこの第一操作に連続して入力される連続操作で確定される第二操作を行うことができるようにした場合であっても、表示内容への書き換えを迅速にしてユーザへ不快感を与えることを抑制している。
【0104】
ここで、ステップS4で開始されるユーザ入力算出処理について、図12及び図13を参照して説明する。図12は第1モードのユーザ入力算出処理のフローチャート、図13は第2モードのユーザ入力算出処理のフローチャートである。携帯端末装置1においては、左キー3d又は右キー3eへの長押し操作によるページジャンプが行える第1モードと左キー3d又は右キー3eへの連続押下操作によるページジャンプが行える第2モードを有しており、これらは、ユーザがナビキー3を操作することにより選択することができる。
【0105】
(第1モードのユーザ入力算出処理)
まず、第1モードが選択されているときのユーザ入力算出処理を図12を参照して説明する。
【0106】
図12に示すように、携帯端末装置1のCPU10は、フラグNが0か否か、すなわちRAM12のNフラグ領域に0が記憶されているか否かを判定する(ステップS20)。
【0107】
この処理において、フラグNが0であると判定すると(ステップS20:YES)、CPU10は、RTC13を用いたカウントを開始する(ステップS21)。
【0108】
次に、携帯端末装置1のCPU10は、ステップS2で開始した「一つ前又は一つ先の表示内容」への書き換え処理が終了したか否かを判定する(ステップS22)。
【0109】
この処理において、一つ前又は一つ先の表示内容への書き換え処理が終了したと判定すると(ステップS22:YES)、CPU10は、ユーザ入力演算処理を終了する。このようにCPU10は、表示書き換え指示入力が終了するまでに、「次の表示内容」への書き換えが終了したとき、ユーザ入力演算処理を終了する。
【0110】
一方、ステップS22において、一つ前又は一つ先の表示内容への書き換え処理が終了していないと判定したとき(ステップS22:NO)、又はステップS20において、フラグNが0ではないと判定したとき(ステップS20:NO)、携帯端末装置1のCPU10は、ステップS1で検出した表示書き換え指示入力が終了したか否かを判定する(ステップS23)。なお、表示書き換え指示入力が終了したか否かの判定は、例えば、左キー3d又は右キー3eの押下が解除されたときに、表示書き換え指示入力が終了したと判定することによって行う。
【0111】
この処理において、表示書き換え指示入力が終了していないと判定すると(ステップS23:NO)、携帯端末装置1のCPU10は、フラグNが0か否か、すなわちRAM12のNフラグ領域に0が記憶されているか否かを判定する(ステップS24)。
【0112】
ステップS24の処理において、フラグNが0であると判定すると(ステップS24:YES)、携帯端末装置1のCPU10は、処理をステップS22へ移行する。一方、フラグNが0ではないと判定すると(ステップS24:NO)、携帯端末装置1のCPU10は、処理をステップS23へ移行する。
【0113】
一方、ステップS23の処理において、表示書き換え指示入力が終了したと判定すると(ステップS23:YES)、携帯端末装置1のCPU10は、ステップS21で開始したRTC13を用いたカウントを停止する(ステップS25)。
【0114】
次に、携帯端末装置1のCPU10は、RTC13を用いたカウントのカウント値が1秒以内であるか否かを判定する(ステップS26)。この処理において、カウント値が1秒以内であると判定すると(ステップS26:YES)、携帯端末装置1のCPU10は、表示書き換え指示入力が、1ページ分の切り替え操作である第一操作であると判定して、書き換える表示内容を一つ前又は一つ先のページの表示内容に確定する(ステップS27)。例えば、左キー3dによる操作のときには、表示しているページの1ページ前の表示内容へ書き換える。又、右キー3eによる操作のときには、表示しているページの1ページ先の表示内容へ書き換える。
【0115】
また、カウント値が1秒を超えているとき(ステップS26:NO)、携帯端末装置1のCPU10は、カウント値が2秒以内であるか否かを判定する(ステップS28)。この処理において、カウント値が2秒以内であると判定すると(ステップS28:YES)、携帯端末装置1のCPU10は、表示書き換え指示入力が、2ページ分の切り替え操作である第二操作であると判定して、書き換える表示内容を二つ前又は二つ先のページの表示内容に確定する(ステップS29)。例えば、左キー3dによる操作のときには、表示しているページの2ページ前の表示内容へ書き換える。又、右キー3eによる操作のときには、表示しているページの2ページ先の表示内容へ書き換える。
【0116】
また、カウント値が2秒を超えているとき(ステップS28:NO)、携帯端末装置1のCPU10は、カウント値が3秒以内であるか否かを判定する(ステップS30)。この処理において、カウント値が3秒以内であると判定すると(ステップS30:YES)、携帯端末装置1のCPU10は、表示書き換え指示入力が、3ページ分の切り替え操作である第二操作であると判定して、書き換える表示内容を三つ前又は三つ先のページの表示内容に確定する(ステップS31)。例えば、左キー3dによる操作のときには、表示しているページの3ページ前の表示内容へ書き換える。又、右キー3eによる操作のときには、表示しているページの3ページ先の表示内容へ書き換える。
【0117】
また、カウント値が3秒を超えているとき(ステップS30:NO)、携帯端末装置1のCPU10は、カウント値が4秒以内であるか否かを判定する(ステップS32)。この処理において、カウント値が4秒以内であると判定すると(ステップS32:YES)、携帯端末装置1のCPU10は、表示書き換え指示入力が、4ページ分の切り替え操作である第二操作であると判定して、書き換える表示内容を四つ前又は四つ先のページの表示内容に確定する(ステップS33)。例えば、左キー3dによる操作のときには、表示しているページの4ページ前の表示内容へ書き換える。又、右キー3eによる操作のときには、表示しているページの4ページ先の表示内容へ書き換える。
【0118】
また、カウント値が4秒を超えているとき(ステップS32:NO)、携帯端末装置1のCPU10は、表示書き換え指示入力が、5ページ分の切り替え操作である第二操作であると判定して、書き換える表示内容を五つ前又は五つ先のページの表示内容に確定する(ステップS34)。例えば、左キー3dによる操作のときには、表示しているページの5ページ前の表示内容へ書き換える。又、右キー3eによる操作のときには、表示しているページの5ページ先の表示内容へ書き換える。
【0119】
ステップS27,S29,S31,S33,S34の処理が終了したとき、携帯端末装置1のCPU10は、ユーザ入力演算処理を終了する。
【0120】
(第2モードのユーザ入力算出処理)
次に、第2モードが選択されているときのユーザ入力算出処理を図13を参照して説明する。なお、ステップS40,S42〜S44までの処理は、図12のステップS20,S22〜S24までの処理と同一の処理であるため、ここでの説明は省略する。
【0121】
ステップS41において、携帯端末装置1のCPU10は、RTC13を用いたカウントを開始するのではなく、左キー3d又は右キー3eの入力回数(押下回数)の検知を開始する。
【0122】
そして、ステップS43において、表示書き換え指示入力が終了したと判定すると(ステップS43:YES)、携帯端末装置1のCPU10は、ステップS41で開始した入力回数(押下回数)の検知を停止する(ステップS45)。なお、表示書き換え指示入力が終了したか否かの判定は、例えば、左キー3d又は右キー3eが入力されてから次の入力がなく所定期間(例えば3秒)経過したときに、表示書き換え指示入力が終了したと判定することによって行う。
【0123】
その後、携帯端末装置1のCPU10は、検知した入力回数が1回,2回,3回,4回,5回以上のいずれであるか否かを判定する(ステップS46,S48,S50,S52)。
【0124】
そして、検知した入力回数が1回であると判定すると(ステップS46:YES)、携帯端末装置1のCPU10は、表示書き換え指示入力が、1ページ分の切り替え操作である第一操作であると判定して、書き換える表示内容を一つ前又は一つ先のページの表示内容に確定する(ステップS47)。
【0125】
また、検知した入力回数が2回であると判定すると(ステップS48:YES)、携帯端末装置1のCPU10は、表示書き換え指示入力が、2ページ分の切り替え操作である第二操作であると判定して、書き換える表示内容を二つ前又は二つ先のページの表示内容に確定する(ステップS49)。
【0126】
また、検知した入力回数が3回であると判定すると(ステップS50:YES)、携帯端末装置1のCPU10は、表示書き換え指示入力が、3ページ分の切り替え操作である第二操作であると判定して、書き換える表示内容を三つ前又は三つ先のページの表示内容に確定する(ステップS51)。
【0127】
また、検知した入力回数が4回であると判定すると(ステップS52:YES)、携帯端末装置1のCPU10は、表示書き換え指示入力が、4ページ分の切り替え操作である第二操作であると判定して、書き換える表示内容を四つ前又は四つ先のページの表示内容に確定する(ステップS53)。
【0128】
また、検知した入力回数が4回を超えていると判定すると(ステップS52:NO)、携帯端末装置1のCPU10は、入力部5への操作が、5ページ分の切り替え操作である第二操作であると判定して、書き換える表示内容を五つ前又は五つ先のページの表示内容に確定する(ステップS54)。
【0129】
ステップS47,S49,S51,S53,S54の処理が終了したとき、携帯端末装置1のCPU10は、ユーザ入力演算処理を終了する。
【0130】
以上のように、本実施形態における携帯端末装置1では、第1モードが選択されているときに右キー3e又は左キー3dが操作されたとき、その連続操作の操作量(操作継続時間)を検出して、当該操作量に応じたページ分切り替えた表示内容を書き換え先の表示内容として確定する。また、第2モードが選択されているときに右キー3e又は左キー3dが操作されたとき、その連続入力の操作量(入力回数)を検出して、当該操作量に応じたページ分切り替えた表示内容を書き換え先の表示内容として確定する。
【0131】
また、連続操作の操作量が所定量に達したとき、ナビキー3への操作を所定ページ分(例えば、5ページ分)切り替えた第二操作として確定するようにしている。このように連続操作の操作量に限度を設けることによって、ユーザの利便性を向上させており、また、第二操作の確定までの時間を制限して、ユーザへ与える不快感を低減させている。
【0132】
さらに、連続操作の操作量が所定量を超えて更に連続操作が入力されているときには、一旦連続操作を確定して当該連続操作に応じた表示内容(五つ前又は五つ先のページの表示内容)への書き換え処理を開始し、その後連続操作が確定したとき、当該連続操作に応じた表示内容への書き換え処理を開始するようにしてもよい。例えば、第1モードが選択されているときにカウント値が8秒超で9秒以内のとき、一旦五つ前又は五つ先のページの表示内容への切り替え処理を行い、その後連続操作が確定したときに残りの三つ前又は三つ先のページの表示内容への切り替え処理を行う。また、第2モードが選択されているときに連続入力回数が8回のとき、一旦五つ前又は五つ先のページの表示内容への切り替え処理を行い、その後連続操作が確定したときに残りの三つ前又は三つ先のページの表示内容への切り替え処理を行う。
【0133】
なお、上述においては、表示内容の切り替えの例として、複数ページあるコンテンツのページ切り替えについて説明したが、表示内容を書き換える操作であれば適用することができ、これに限られない。例えば、図14に示すように、カーソルなどを移動させる場合にも同様に適用することができる。同図に示す例では、1行単位でカーソルの移動を示しており、ユーザによる下キー3cの連続操作でカーソルを移動させている。すなわち、ユーザによる下キー3cへの入力があったとき、携帯端末装置1のCPU10は、不揮発性表示部2の表示内容を、まずカーソルを一つ下段に移動させた表示内容(図14に示す2ページ目の表示内容)に書き換える。その後、ユーザによる下キー3cへの入力が連続操作であったとき、携帯端末装置1のCPU10は、連続操作量に応じた行分だけカーソルを下段に移動させた表示内容(図14に示す例では5ページ目の表示内容)に書き換える。
【0134】
また、表示内容の切り替えとして、不揮発性表示部2の表示内容を上キー3bや下キー3cなどでスクロールする操作するときにも適用できる。例えば、ユーザによる下キー3cへの入力があったとき、携帯端末装置1のCPU10は、下方向に所定長さスクロールしたときの表示内容へ不揮発性表示部2の表示内容を書き換え、その後、下キー3cの長押し操作があったとき、携帯端末装置1のCPU10は、長押し時間に応じた長さのスクロールをしたときの表示内容へ不揮発性表示部2の表示内容を書き換える。
【0135】
また、上述においては、一つ前又は一つ先の表示内容に書き換える操作を第一操作として説明したが、二つ以上前又は二つ以上先の表示内容に書き換える操作を第一操作としてもよい。つまり、1ページ単位ではなく複数ページ単位で操作できるようにしてもよい。
【0136】
[3 その他の実施形態]
上述の実施形態においては、ナビキー3による表示切り替え動作について説明したが、タッチパネル9への操作による表示切り替えを可能とすることもできる。以下、タッチパネル9での表示切り替えについて説明する。
【0137】
携帯端末装置1では、タッチパネル9へスタイラスペンや指などで接触することによって、その接触位置(以下、「入力位置」とする。)をタッチパネル9が検出する。タッチパネル9が検出した入力位置の情報は、CPU10に通知される。CPU10は、この入力位置の情報に基づいて、不揮発性表示部2の表示内容を書き換える。そして、携帯端末装置1が描画モードや手書き文字入力モードのとき、CPU10は、入力位置の情報に基づいてユーザがスタイラスペンなどで入力した画や文字を不揮発性表示部2に表示する。
【0138】
例えば、タッチパネル9にスタイラスペンが接触したとき、携帯端末装置1のCPU10は、この接触位置を最初の入力位置として、この入力位置に対応する不揮発性表示部2の表示位置を黒色とした表示内容を次に表示すべき表示内容(第一表示内容)として確定して表示内容の書き換え処理を行う。その後ユーザがスタイラスペンを動かして接触位置を移動していくと、携帯端末装置1のCPU10は、リセット処理を行った後、その接触位置の移動が停止するまで待つ。接触位置の移動が停止すると、携帯端末装置1のCPU10は、その移動軌跡を黒色とした表示内容を次に表示すべき表示内容(第二表示内容)として確定して表示内容の書き換え処理を行う。
【0139】
図15にタッチパネル9の操作により、不揮発性表示部2の表示内容が書き換えられている様子を示す。同図では、不揮発性表示部2が白紙表示の状態において、ユーザがスタイラスペンでタッチパネル9に接触したとき、その接触位置を黒色とした表示内容(2ページ目)に書き換えられる様子が示される。また、その後、リセット処理を行って、接触位置の移動が停止したときに、その停止位置までの軌跡を黒色とした表示内容(5ページ目)に書き換えられる様子が示される。
【0140】
このように、携帯端末装置1のCPU10は、スタイラスペン等による最初のタッチパネル9への接触操作を第一操作とし、その後タッチパネル9への接触位置が移動したときの操作を第二操作として、上述したナビキー3への操作と同様の処理を行うことができるようにしている。
【0141】
ここで、タッチパネル9を用いた操作入力に対するユーザ入力算出処理を図16を参照して説明する。なお、書き換えメイン処理については、図11の処理と同様であるため、ここでは説明を省略する。但し、描画や手書き文字入力の場合には、一つ前の表示内容への操作はない。
【0142】
図16に示すように、携帯端末装置1のCPU10は、フラグNが0か否か、すなわちRAM12のNフラグ領域に0が記憶されているか否かを判定する(ステップS60)。
【0143】
この処理において、フラグNが0であると判定すると(ステップS60:YES)、携帯端末装置1のCPU10は、ユーザによるタッチパネル9への入力位置の履歴(以下、「入力位置履歴」とする。)をRAM12へ記憶する処理を開始する(ステップS61)。
【0144】
次に、携帯端末装置1のCPU10は、ステップS2で開始した「一つ先の表示内容」への書き換え処理が終了したか否かを判定する(ステップS62)。
【0145】
この処理において、一つ先の表示内容への書き換え処理が終了したと判定すると(ステップS62:YES)、携帯端末装置1のCPU10は、ユーザ入力演算処理を終了する。このようにCPU10は、表示書き換え指示入力が終了するまでに、一つ先の表示内容への書き換えが終了したとき、ユーザ入力演算処理を終了する。
【0146】
一方、ステップS62の処理において、一つ先の表示内容への書き換え処理が終了していないと判定したとき(ステップS62:NO)、又はステップS60でフラグNが0ではないと判定すると(ステップS62:NO)、携帯端末装置1のCPU10は、タッチパネル9への表示書き換え指示入力が終了したか否かを判定する(ステップS63)。
【0147】
この処理において、表示書き換え指示入力が終了していないと判定すると(ステップS63:NO)、ステップS62の処理に移行する。一方、表示書き換え指示入力が終了していると判定すると(ステップS63:YES)、携帯端末装置1のCPU10は、入力位置履歴のRAM12への記憶処理を停止する(ステップS64)。
【0148】
ステップS64の処理が終了すると、携帯端末装置1のCPU10は、RAM12に記憶された入力位置履歴が最初の入力位置のみであるか否かを判定する(ステップS65)。この処理において、最初の入力位置のみがRAM12に記憶されていると判定すると(ステップS65:YES)、携帯端末装置1のCPU10は、一つ先の表示内容を書き換える表示内容として確定する(ステップS67)。すなわち、RAM12に記憶されている最初の入力位置に基づいて表示内容を作成して表示内容を書き換える。
【0149】
一方、ステップS67において、最初の入力位置のみがRAM12に記憶されていないと判定すると(ステップS65:NO)、携帯端末装置1のCPU10は、RAM12に記憶されている入力位置履歴に基づいて表示内容を作成して表示内容を書き換える(ステップS66)。
【0150】
ステップS66,S67の処理が終了したとき、又はステップS62で一つ先の表示内容への書き換え処理が終了していると判定したとき(ステップS62:YES)、携帯端末装置1のCPU10は、ユーザ入力算出処理を終了する。
【0151】
以上のように、携帯端末装置1のCPU10は、スタイラスペン等による最初のタッチパネル9への接触操作を第一操作として当該第一操作に対応する第一表示内容への書き換え処理を行い、その後タッチパネル9への連続操作がなされて接触位置を移動する操作(第二操作)があったとき、その操作に応じた第二表示内容への書き換え処理を行うようにしている。従って、ユーザによる操作入力が第一操作であるときに、一つ先の表示内容への書き換えが速い。
【0152】
しかも、一つ先の表示内容への書き換えが終了したときに、操作入力が確定していないときには、不揮発性表示部2のリセット処理を行い、その後操作入力が確定したときに、シェイキングパルスを含まない第2駆動パルスで不揮発性表示部2の表示内容を書き換えるようにしている。従って、不揮発性表示部2における表示画質の劣化を抑制することができ、しかも、確定した操作入力に応じた表示内容への書き換えが速くなる。
【0153】
一方、一つ先の表示内容への書き換えが終了したときに、操作入力が確定しているときには、不揮発性表示部2のリセット処理を行わずに、シェイキングパルスを含む駆動パルスで不揮発性表示部2の表示内容を書き換えるようにしている。従って、リセット処理を事前に行う場合に比べ、確定した操作入力に応じた表示内容への書き換えが速くなる。
【0154】
このように、携帯端末装置1では、タッチパネル9を用いた描画や手書き文字入力の場合にも、表示内容への書き換えを迅速にしてユーザへの不快感を抑制することができる。
【0155】
以上、本発明の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本発明の一実施形態の携帯端末装置の正面図である。
【図2】図1に示す携帯端末装置の表示書き換え処理の説明図である。
【図3】図1に示す携帯端末装置の表示書き換え処理の説明図である。
【図4】図1に示す携帯端末装置の電気的構成を示す模式図である。
【図5】図1に示す携帯端末装置の不揮発性表示部の正面図である。
【図6】図5における矢視方向断面図である。
【図7】図1に示す携帯端末装置の不揮発性表示部の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】画素の階調を書き換えるときの駆動パルスの波形を示す図である。
【図9】画素の階調を初期化するときのリセットパルスの波形を示す図である。
【図10】画素の階調を書き換えるときの第2駆動パルスの波形を示す図である。
【図11】不揮発性表示部の表示内容の書き換え処理のフローチャートである。
【図12】第1モードのユーザ入力算出処理のフローチャートである。
【図13】第2モードのユーザ入力算出処理のフローチャートである。
【図14】図1に示す携帯端末装置のその他の表示書き換え処理の説明図である。
【図15】図1に示す携帯端末装置のその他の表示書き換え処理の説明図である。
【図16】タッチパネルにおけるユーザ入力算出処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0157】
1 携帯端末装置
2 不揮発性表示部
3 ナビキー
3d,4a 左キー(入力部)
3e,4b 右キー(第二入力部)
5 入力部
9 タッチパネル
10 CPU(制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源からの電力供給が断たれても表示を維持する不揮発性表示部と、
前記不揮発性表示部の表示内容を書き換えるための操作として、第一操作と、該第一操作及び該第一操作に連続して入力される連続操作で確定される第二操作とを入力する入力部と、
前記入力部へ前記第一操作の入力があったとき、前記第一操作に応じた第一表示内容への書き換え処理を開始し、その後前記連続操作が入力されて前記第二操作が確定したときに該第二操作に応じた第二表示内容への書き換え処理を開始する制御部と、を備えた携帯端末装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第一表示内容への表示書き換え処理が終了したときに前記入力部へ前記第二操作の入力が確定していないとき、前記表示内容のリセット処理を行い、その後、前記入力部への前記第二操作の入力が確定したときに前記第二表示内容への書き換え処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第一表示内容への書き換え処理が終了したときに前記入力部へ前記第二操作の入力が確定しているとき、前記リセット処理を行わずに前記第二表示内容への書き換え処理を書き換え前後の表示内容の差分に基づいて行うことを特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記入力部への前記連続操作の操作量が所定量に達したとき、前記第二操作を確定して第二表示内容への書き換え処理を開始することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第二操作が確定した後、引き続き前記入力部への前記連続操作が入力されているときには、前記第二表示内容への書き換え処理を開始し、その後前記入力部へ入力される前記第二操作が確定したとき、該第二操作に応じた第三表示内容への書き換え処理を開始することを特徴とする請求項4に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第二操作に応じた第二表示内容を、前記連続操作が終了したときの該連続操作の継続時間又は該連続操作の操作数に応じて決定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項7】
前記第一操作を入力する第二入力部を備え、
前記制御部は、前記第二入力部への入力があったとき、前記入力部へ前記第一操作の入力が行われる毎に、前記第一操作に応じた第一表示内容への書き換え処理を開始することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の携帯端末装置における前記制御部の機能をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−44508(P2010−44508A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−207168(P2008−207168)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】