説明

携帯端末装置

【課題】放送波保存処理部とその他のアプリケーションとを同時に使用することができる携帯端末装置を提供することにある。
【解決手段】受信部で受信した放送波から得る第1のデータをメモリ部に保存する保存処理を行う放送波保存処理部と、所定のアプリケーションを実行し、該所定のアプリケーションによって取得した既知の容量の第2のデータをメモリ部に保存するアプリケーション実行部と、各部の状態を管理する管理部と、を有し、アプリケーション実行部は、放送波保存処理部が保存処理中である場合には、該第2のデータを取得する前に、第2のデータ分の容量をメモリ部に確保する確保要求を放送波保存処理部に行い、放送波保存処理部は、該確保要求された容量を予約領域としてメモリ部における空き領域に確保し、該確保した領域には第1のデータを保存しないことで上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送波を受信し、通話機能と、放送番組を視聴することができる機能と、を有する携帯端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末装置、例えばいわゆる携帯電話は、通話機能、メール機能、ブラウザ機能、テレビ番組を視聴する機能等、多数の機能を備えている。携帯端末装置は、処理の負荷を一定以下とするために、TV放送の録画動作と他のアプリケーションとを同時に起動させないように制限をしている。例えば、特許文献1には、TV放送を録画するTV録画再生処理部と、TV放送録画動作とは同時実行できないアプリケーションに対し、ユーザ操作に基づいてアプリケーションを実行するアプリケーションプログラム実行処理部と、予約録画優先フラグを記憶するフラグ記憶部と、ユーザ操作に基づいて予約録画優先フラグを有効化する予約録画優先指定部とにより構成される携帯通信端末が記載されている。この携帯通信端末は、予約録画優先フラグと録画開始信号とに基づいて、実行中のアプリケーションプログラムを終了させ、録画開始時刻にTV放送の録画を開始する。
【0003】
【特許文献1】特開2008−99052号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の携帯端末装置のように、予約録画優先フラグによりユーザに選択させることで、TV放送録画とアプリケーションの使用のいずれかを選択させることができる。しかしながら、特許文献1の携帯端末装置では、いずれか一方を選択する必要があり、両方を同時に実行することができない。例えば、バックグラウンドでTV放送を録画しつつ、他のアプリケーションを起動させて、画面上に表示させることができない。このように、画面上に表示されているアプリケーションが使用できないと、ユーザの使用を制限することになり、使い勝手が悪く、利便性も低くなってしまう。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、放送波保存処理部とその他のアプリケーションとを同時に使用することができる携帯端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、携帯端末装置であって、放送波を受信する受信部と、入力されたデータを保存するメモリ部と、前記受信部で受信した放送波から得るデータを、第1のデータとして前記メモリ部に保存する保存処理を行う放送波保存処理部と、少なくとも1つの所定のアプリケーションを実行し、該所定のアプリケーションによって既知の容量の第2のデータを取得し、取得した該第2のデータを前記メモリ部に保存するアプリケーション実行部と、前記アプリケーション実行部及び前記放送波保存処理部の状態を管理する管理部と、を有し、前記アプリケーション実行部は、実行中の所定のアプリケーションにより前記第2のデータを取得する際、該第2のデータの取得前に、前記放送波保存処理部が保存処理を行っている状態にあるかどうか確認し、前記放送波保存処理部が保存処理中である場合には、前記第2のデータ分の容量を前記メモリ部に確保する確保要求を前記放送波保存処理部に行い、前記放送波保存処理部は、前記確保要求がなされると、該確保要求された容量を予約領域として前記メモリ部における空き領域に確保し、該確保した領域には前記第1のデータを保存しないことを特徴とする。
【0007】
ここで、通信網に接続可能な通信部をさらに有し、前記所定のアプリケーションは、前記通信部を用いて通信網に接続し、データを取得するアプリケーションであり、前記第2のデータの容量を予め前記通信部により取得可能であることが好ましい。
【0008】
また、前記所定のアプリケーションは、前記通信部によりメールを送受信するメーラーアプリケーションであることが好ましい。
【0009】
また、前記メーラーアプリケーションは、前記通信部によりメール着信の通知を受信すると、該通知されたメールのメール本文の容量を取得し、その後、該メール本文を前記第2のデータとして前記通信部により取得することが好ましい。
【0010】
また、前記メーラーアプリケーションは、前記通信部により添付データが有るメールを受信した際、該メール本文と共に前記添付データの容量を取得し、その後、該添付データを前記第2のデータとして前記通信部により取得することが好ましい。
【0011】
さらに、操作部を有し、前記所定のアプリケーションは、前記操作部への操作入力に基づき、前記通信部により前記通信網から所望のデータを取得するブラウザアプリケーションであることが好ましい。
【0012】
また、前記ブラウザアプリケーションは、前記通信網からWebページのデータを取得してある状態で、Webページデータに含まれるリンク先情報の取得の指示が前記操作部により行われると、指示されたリンク先情報のデータの容量を取得し、該リンク先情報を前記第2のデータとして前記通信部により取得することが好ましい。
【0013】
また、前記受信部は、デジタル放送波を受信し、前記放送波保存処理部は、前記受信部で受信したデジタル放送のデータを前記第1のデータとして前記メモリ部に保存する録画処理あるいは録音処理を、前記保存処理として実行することが好ましい。
【0014】
また、前記放送波保存処理部は、前記メモリ部に前記予約領域が確保された状態下で、前記アプリケーション実行部が前記第2のデータの保存を中止した場合には、該予約領域を開放し、該領域への前記第1のデータの書き込みを可能にすることが好ましい。
【0015】
また、受信した放送波のデータを一時的に記憶するバッファを有し、前記放送波保存処理部は、前記バッファに記憶させた放送波のデータを所定間隔で前記メモリ部に書き込むことで、前記第1のデータとして前記メモリ部に保存し、前記アプリケーション実行部は、前記放送波保存処理部が前記バッファに記憶されているデータを前記メモリ部に書き込んでいないときに、前記メモリ部に前記第2のデータを書き込むことが好ましい。
【0016】
また、前記メモリ部は、着脱不可能な内蔵メモリと、着脱可能な外部メモリとを有することが好ましい。
【0017】
また、さらに、画像を表示する表示部を有し、前記保存処理は、前記第1のデータを前記表示部に表示することなく前記メモリ部に保存するバックグラウンド処理であり、前記アプリケーション実行部は、前記バックグラウンド処理状態下であっても、前記所定のアプリケーションを実行し、該所定のアプリケーションに基づく画像を前記表示部に表示可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる携帯端末装置は、放送波の保存と他のアプリケーションの保存とを同時に行うことができ、放送波を保存しつつ、他のアプリケーションを使用することができ、ユーザの使用の制限をより少なくし、使い勝手をよりよくすることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明にかかる携帯端末装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。例えば、以下に示す実施形態では、放送波として、携帯電話・移動体端末向けの1セグメント部分受信サービス、いわゆるワンセグ放送を受信する場合として説明するが、放送波はこれに限定されない。放送波としては、例えば、12セグメントの地上デジタル放送や、アナログ放送、デジタルラジオ放送の場合にも用いることができる。また、以下の実施形態では、携帯端末装置が、いわゆる携帯電話の場合として説明するが、本発明はこれに限定されない。本発明の携帯端末装置は、放送波を受信する機能と、ネットワークまたは外部の端末とデータの送受信を行う機能を有する種々の携帯端末装置、例えば、PDA、ポータブルナビゲーション装置、携帯ゲーム機や携帯テレビ等にも用いることができる。
【0020】
図1は、本発明にかかる携帯端末装置の一実施形態の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように携帯端末装置10は、制御部12と、通信部14と、電話機能部16と、TVアンテナ部18と、ワンセグチューナ20と、コプロセッサ22と、メモリ部24と、表示部26と、スピーカ28と、入力部30と、を有する。
【0021】
制御部12は、携帯端末装置10の処理動作を統括して制御するものである。制御部12については、後ほど詳細に説明する。
【0022】
通信部14は、基地局によって割り当てられるチャネルを介し、基地局との間でCDMA方式などによる無線信号回線を確立し、基地局との間で電話通信及び情報通信を行う。
【0023】
電話機能部16は、ユーザ(話者)の音声を集音するマイク及び通話相手の音声を発音するスピーカを含んで構成され、通信部14から送られる通話相手の音声をスピーカから発音し、ユーザの音声をマイクで集音して通信部14から通話相手の携帯端末装置に送信することで、電話機能を実現する。
【0024】
TVアンテナ部18は、複数のチャンネルを有する地上デジタル放送、本実施形態では、ワンセグ放送の所定チャンネルの電波を受信する。
【0025】
ワンセグチューナ20は、同調装置で構成され、TVアンテナ部18が受信した受信信号に増幅、検波、周波数変換などの信号処理を行い、デジタル信号、本実施形態では、MPEG−2 TS(Transport Stream)に変換して出力する。
【0026】
コプロセッサ22は、ワンセグチューナ20から出力されたデジタル信号を映像や音声に分割するDEMUX32と、DEMUX32で分割されたパケットをデコードする音声デコーダ部34、映像デコーダ部36、データ放送デコーダ部38と、で構成される。DEMUX32は、ワンセグチューナ20から出力されたデジタル信号(多重化された放送データ)を音声パケット、映像パケット、データ放送パケットに分離する。音声デコーダ部34は、DEMUX32で分離された音声パケットに所定の復号化処理を施し、音声データを生成する。映像デコーダ部36は、DEMUX32で分離された映像パケットに所定の復号化処理を施し、映像データを生成する。データ放送デコーダ部38は、DEMUX32で分離されたデータ放送パケットに復号化処理を施し、データ放送データを生成する。コプロセッサ22は、音声デコーダ34で生成した音声データをスピーカ28に出力し、映像デコーダ部36で生成した映像データを表示部26に出力し、データ放送デコーダ部38で生成したデータ放送データを制御部12に出力する。また、コプロセッサ22は、制御部12からの指示に応じて、制御部12に録画データも出力する。ここで、録画データは、ワンセグチューナ20から出力されたデジタル信号に、デジタル信号を特定するための録画日時、番組名、録画時間等のヘッダを付したデータである。
【0027】
メモリ部24は、携帯端末装置10に備え付け、つまり着脱不可能な内部メモリ24aと、携帯端末装置10に対して着脱可能な外部メモリ24bとで構成されている。内部メモリ24a及び外部メモリ24bには、一定容量の記憶領域を有する種々の記憶装置を用いることができ、例えば、ROM,RAM,E2PROM、不揮発性RAM,フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等を用いることができる。
【0028】
表示部26は、液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Monitor)や、有機EL(Organic Electro−Luminescence)パネルなどの表示パネルを備え、制御部12、または、コプロセッサ22から供給される映像データに応じた映像を表示パネルに表示させる。
【0029】
スピーカ28は、制御部12、またはコプロセッサ20から出力された音声データ、具体的には、着信音や、ダウンロードされた音声データ、受信した音声データ、に基づいた音声を発声させる。
【0030】
入力部30は、例えば、電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、方向キー、決定キー、発信キーなど、各種の機能が割り当てられたキーで構成され、これらのキーがユーザの操作により入力されると、その操作内容に対応する信号を発生させ、発生させた信号を制御部12に出力する。
【0031】
次に、制御部12について詳細に説明する。図2は、制御部12の概略構成を示すブロック図である。制御部12は、各部から入力、送信された信号に基づいて、各部を統括して制御する処理部(メインプロセッサ、CPU)であり、少なくとも、オペレーティングシステム(以下「OS」という。)40と、ワンセグサービス42と、ワンセグアプリ44と、ブラウザ46と、メーラ48とを有する。OS40は、各アプリケーションソフトの状態の管理するベースアプリである。また、制御部12は、上記の各部以外にも、各種アプリケーションソフトの動作を制御するアプリ、例えば、メーラ、スケジューラ、電話帳アプリ、ゲームのアプリ等の実行部も有している。なお、説明の簡略化のため、制御部12が上記の各機能部を有していると表現した。しかし、実際は、メモリ部24に格納される各種プログラムを制御部12が実行することで各機能部が実行されていることは言うまでもない。
【0032】
ワンセグサービス(放送波保存処理部)42は、コプロセッサ22から出力されたデータ放送データをワンセグアプリ44に出力し、録画データをメモリ部24に書き込む。なお、録画データには、映像のデータと音声のデータとが含まれる。また、ワンセグサービス44は、他のアプリケーションソフトから容量確保の要求があった場合は、メモリ部24の空き容量から要求があった容量を予約領域として確保し、予約領域には、録画データを書き込まない。つまり、予約領域には、録画データを保存しない。
【0033】
ワンセグアプリ44は、ユーザの操作に基づいて、視聴するテレビ番組、録画するテレビ番組を選択、制御するアプリケーションソフトである。ワンセグアプリ44は、ユーザにより選択されたチャンネルのテレビ番組の放送波を受信するようにワンセグチューナ20の動作を制御し、ユーザの操作に応じて、ワンセグサービス42から供給されるデータ放送を表示部26に表示させる。
【0034】
ブラウザ46は、通信部14を介して外部のコンピュータネットワークと接続し、Webページを取得するアプリケーションソフトである。ブラウザ46は、Webページからデータをダウンロードする場合は、まず、Webページからダウンロードするデータの容量の情報を取得する。データの容量の情報を取得したのち、取得した容量のデータをメモリ部24に保存する準備が完了したら、Webページからデータをダウンロードする。また、ブラウザ46は、コンピュータネットワークから着信音等の容量が既知のデータをダウンロードする際に、ワンセグサービス42で放送データを録画中であることを検出したら、ダウンロードするデータの容量情報とその容量を確保する確保要求とをワンセグサービス42に通知する。その後、ブラウザ46は、ワンセグサービス42によりメモリ部24の容量が確保されたことを確認したら、コンピュータネットワークから当該データをダウンロードする。
【0035】
メーラ48は、メールの作成、及びメールの送受信を行うアプリケーションソフト、つまり、メーラーアプリケーションである。メーラ48は、通信部14を介して、基地局から携帯通信端末10にメールが送られている旨の情報が通知されていることを確認したら、基地局に対して、メールの送信者、メールの容量情報及び添付データの有無等の情報を求める。メーラ48は、基地局から送られたメールの容量情報に基づいて、その容量のデータを保存できる空き容量がメモリ部24にあるかを確認する。また、メーラ48は、メールの送信者が受信を拒否している送信者でないかを確認する。つまり、受信拒否しているアドレスから送られたデータであるか否かを確認する。また、添付のデータがある場合は、そのデータを受信可能であるか、また、添付データの保存できる空き容量がメモリ部24にあるかを確認する。メーラ48は、これらを確認し、メールを受信可能であると判定したら、通信部14を介して基地局にメールの送信要求を出力する。基地局は、メールの送信要求を受けたら、当該携帯通信端末10にメールを送信する。メーラ48は、通信部14を介して、基地局から送られたメールを取得する。メーラ48は、メールを取得したら、メールを受信した旨のメッセージを表示部26に表示したり、スピーカ28から着信音を鳴らしたり、受信したメールを表示部26に表示させたり、受信したメールをメモリ部24に保存したりする。また、メーラ48は、ワンセグサービス42で放送データを録画中であることを検出したら、メール受信前に、受信するメールの容量とその容量を確保する確保要求をワンセグサービス42に通知する。その後、メーラ48は、ワンセグサービス42でメモリ部24の容量が確保されたことを確認したら、基地局に送信要求を出力する。
【0036】
次に、携帯端末装置10の動作について説明する。図3は、携帯端末装置10の処理動作の一例を示すシーケンス図である。ここで、図3に示す例は、録画するテレビ番組に対してメモリ部の残量に余裕がある場合である。
【0037】
まず、ステップST10として、ユーザの操作により、ワンセグアプリ44に所定のチャンネルの所定のテレビ番組の録画指示が入力され、ワンセグアプリ44からワンセグサービス42に録画開始の指示が入力される。ワンセグサービス42は、録画開始の指示が入力されたらコプロセッサ22に録画開始指示を入力し、所定のテレビ番組の録画データを生成させる。また、ワンセグサービス42は、録画を開始したら、ステップST12として、OS40に端末状態、つまり、ワンセグサービス42でテレビ番組を録画している状態であることを登録する。
【0038】
次に、ワンセグサービス42は、ステップST14として、コプロセッサ22から出力される録画データを制御部12のキャッシュメモリにバッファリングする。ここで、本実施形態では、キャッシュメモリがバッファとなっている。その後、コプロセッサ22から出力される録画データを一定時間分バッファリングしたら、ステップST16として、バッファリングした録画データをメモリ部24に書き込む。ワンセグサービス42は、録画が終了、中断、あるいは他の部分からの新たな指示が入力されるまで、ステップST14のバッファリングと、ステップST16の書き込みを繰り返す。
【0039】
次に、ブラウザ46を起動しWebページのデータを取得する。なお、ブラウザ46を起動させるタイミングは、特に限定されず、ワンセグサービス42による録画開始前に起動しWebページのデータを取得してもよいし、録画中に起動しWebページのデータを取得してもよい。その後、ワンセグサービス42がテレビ番組を録画している間に、ステップST18として、ユーザからブラウザ46にWebページに含むリンク先のデータであって容量が既知のデータ(例えば、着信音のデータ、ゲームソフト等)をダウンロードする指示が入力される。なお、ダウンロードする指示が入力されたデータの容量情報は、ダウンロードの指示が入力された後、データを格納するサーバとのデータ取得のための通信が開始された際に取得しても、リンク元となるWebページの取得時にWebページのデータと同時に取得してもよい。データの容量情報を取得することで、容量既知のデータとすることができる。
【0040】
ブラウザ46は、ダウンロードの指示が入力されたら、ステップST20として、OS40からメモリ部24の残りサイズ、つまり、空き容量を検出し、メモリ残量を確認する。ブラウザ46は、メモリ部24の残り容量(つまり、残りサイズ)を確認することで、ダウンロードする対象のデータ(以下「ダウンロードデータ」という。)を保存できる容量が残っているかを判定する。なお、メモリ部24の残り容量のサイズが、ダウンロードデータのサイズよりも小さい場合は、表示部26にメモリ部24の容量が足りない旨を表示させ、ダウンロードすることなく、処理を終了させる。
【0041】
ブラウザ46は、ステップST20で、メモリ部24の残りサイズがダウンロードデータよりも大きいことを検出したら、ステップST22として、OS40から端末状態の情報を取得する。ブラウザ46は、取得した端末状態からワンセグサービス42が録画中であることを取得したら、ステップST24として、ワンセグサービス42に容量確保要求を送る。ここで、容量確保要求とは、メモリ部24にダウンロードデータを書き込むことができるように、ダウンロードデータの容量分の空き領域をメモリ部24の記憶領域に確保することを要求する指示であり、情報としてダウンロードデータの容量が添付されている。
【0042】
ワンセグサービス42は、ブラウザ46から容量確保要求を入力されたら、ステップST26として、録画中判定処理を開始する。録画中判定処理については後ほど詳細に説明する。ワンセグサービス42は、録画中判定処理で、メモリ部24の空き領域のうち、ダウンロードデータの容量に相当する領域を録画データの予約領域(書き込み禁止領域)として、容量を確保する。その後、ワンセグサービス42は、ステップST28として、要求された容量を確保した旨の情報をブラウザ46に送る。ブラウザ46は、ワンセグサービス42によりダウンロードデータ分の容量がメモリ部24内に確保されたことを確認したら、ステップST30として、ダウンロードデータを外部からダウンロードする。ブラウザ46は、ダウンロードデータのダウンロードが終了したら、ステップST32として、ダウンロードしたデータをメモリ部24の予約領域に書き込む、つまり保存する。なお、ブラウザ46は、ワンセグサービス42がメモリ部24に書き込みを行っていないときに、ダウンロードデータをメモリ部24に書き込む。ブラウザ46は、ダウンロードデータの書き込みが終了したら、ステップST34として、ワンセグサービス42に容量確保要求の取り消しの指示を送る。ワンセグサービス42は、ブラウザ46から、容量確保要求の取り消しの指示が送られたら録画中判定処理を終了し、ステップST14の録画データバッファリングとステップST16の録画データの書き込みを繰り返す。また、ワンセグサービス42は、指定されたテレビ番組の録画が終了したら、または、指定された時間の録画が終了したら、または、メモリ部24の空き領域がなくなったら録画を終了する。
【0043】
次に、ワンセグサービス42のステップST26の録画中判定処理について詳細に説明する。図4は、録画中判定処理の処理工程の一例を示すフロー図である。まず、ステップST40として、ブラウザ46からワンセグサービス42に容量確保要求が入力される。なお、このステップST40は、上述したステップST24と同一のステップである。次に、ワンセグサービス42は、ステップST42として、ブラウザ46から要求された確保容量サイズA、つまり、ダウンロードデータのサイズに相当する容量を予約領域として、メモリ部26の空き領域に確保する。具体的には、メモリ部26内の空き容量のうち確保容量サイズAに相当する容量部分を、ワンセグサービス42からの録画データの書き込みを禁止する領域として確保することで、メモリ部26内の該当空き領域を予約領域とする。次に、ワンセグサービス42は、ステップST44として、メモリ部26内の残りサイズBと、バッファリングされている録画データのサイズCとを検出する。ここで、メモリ部26内の残りサイズBは、確保容量サイズAの有無を加味しない検出時の純粋な空き領域である。つまり、残りサイズBは、確保容量サイズAも含むサイズとなる。また、バッファリングされている録画データのサイズCとは、キャッシュメモリにバッファリングされており、メモリ部24に書き込む予定のデータのサイズである。
【0044】
次に、ワンセグサービス42は、ステップST46として、残りサイズBから確保容量サイズAを引いたサイズが、バッファリングされている録画データのサイズCよりも大きいか、つまり、B−A>Cであるかを判定する。ワンセグサービス42は、ステップST46で、B−A≦Cであると判定したら、バッファリングしているデータはメモリ部24に書き込みできないと判定し、ステップST48に進む。また、ワンセグサービス42は、ステップST46で、B−A>Cであると判定したら、バッファリングしている録画データをメモリ部24に書き込み可能と判定し、ステップST52に進む。なお、図3に示す例は、残りサイズBに余裕がある場合であるので、ワンセグサービス42は、ステップST46からステップST52に進む。
【0045】
ワンセグサービス42は、ステップST46でメモリ部24に録画データを書き込みできないと判定したら、ステップST48で、コプロセッサ22に向けて録画停止要求を出力し、受信しているテレビ番組の録画データの生成を中止する。その後、ワンセグサービス42は、ステップST50として、録画終了処理を行い、ワンセグサービス42によるテレビ番組の終了を修了する。
【0046】
また、ワンセグサービス42は、ステップST46でメモリ部24に録画データを書き込み可能と判定したら、ステップST52で、バッファリングしている録画データをメモリ部24に書き込む。その後、ワンセグサービス42は、ステップST54として、ブラウザ46から容量確保要求の取り消しの指示が入力されているかを判定する。ワンセグサービス42は、ステップST54で、取り消しの指示が入力されていないと判定した場合は、ステップST44に進み、確保容量サイズAをメモリ部24内に確保しつつ、録画データの書き込みを続ける。また、ワンセグサービス42は、ステップST54で、取り消しの指示が入力されていると判定したら、録画中判定処理を終了し、通常のワンセグサービスの録画に戻る。
【0047】
このように、携帯端末装置10は、容量確保要求に基づいてワンセグサービス42が要求された容量をメモリ部24に空き容量として確保することで、ワンセグサービス42でテレビ番組を録画している間に他のアプリケーションソフト(本実施形態では、一例としてブラウザ46)からメモリ部24にデータを書き込み、保存することができる。例えば、バックグラウンドでテレビ番組を録画しつつ(つまり、表示部26には受信しているテレビ番組を表示させずに録画データをバッファリングしメモリ部24に書き込みしつつ)他のアプリケーションソフトのデータもメモリ部24に書き込むことができる。このように、ダウンロードしたデータをメモリ部24に書き込み、保存できるため、ダウンロードする毎に課金が発生するアプリケーションソフトや、データを再受信することができず一度受信したデータはメモリ部に保存する必要があるアプリケーションソフトも、ワンセグサービス42と同時に利用することができる。したがって、テレビ番組の録画中に使用することができるアプリケーションソフトが増え、ユーザによる使用の制約をより少なくすることができ、携帯端末装置としての使い勝手をよりよくすることができる。なお、バックグラウンドでのテレビ番組の録画は、タイマー等により録画を開始するように設定すればよい。また、携帯端末装置10は、テレビ番組をバックグラウンドで録画している場合は、他のアプリケーションソフトにより表示される画像を表示部26に表示させてもよい。つまり、他のアプリケーションソフトをフォアグラウンドで処理しつつ、テレビ番組をバックグラウンドで録画してもよい。
【0048】
また、バックグラウンドでの録画中に限定されず、フォアグラウンドでの録画中、つまり、番組を表示部で表示させつつ録画も行っている場合にも適用できる。これにより、番組を表示部26で表示させつつ録画も行い、さらに、他のアプリケーションソフトも操作することが可能となり、また、他のアプリケーションソフトのデータをメモリ部24に保存することができる。
【0049】
ここで、録画中判定処理は、ブラウザ46でのデータの保存が中止された場合に対応するために以下のような処理を行ってもよい。図5は、録画中判定処理の処理工程の他の例を示すフロー図である。ここで、図5に示すフロー図は、データの保存が中止されたか否かを判定する工程が加えられている以外は、図4に示すフロー図と同様の工程であるので、同様の工程には、同一のステップ番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0050】
まず、図5に示すように、ステップST40として、ブラウザ46からワンセグサービス42に容量確保要求が入力される。その後、ワンセグサービス42は、ステップST42として、ブラウザ46から要求された確保容量サイズAをメモリ部26内に確保し、ステップST46として、メモリ部26内の残りサイズBと、バッファリングされている録画データのサイズCとを検出する。
【0051】
次に、ワンセグサービス42は、ステップST60として、ブラウザ46から保存中止の指示が入力されているかを検出する。保存中止の指示とは、ブラウザ46がメモリ部24に書き込む予定であったデータの保存が中止されたことを示す指示である。例えば、ユーザが、ブラウザ46によりダウンロード指示した着信音をメモリ部24に保存させることなく、ブラウザ46による処理を終了する場合にブラウザ46からワンセグサービス42に入力される。ワンセグサービス42は、ステップST60で、保存中止の指示が入力されていることを検出したら、ステップST62として、確保容量サイズAに0を入力して、つまりA=0として、ステップST46に進む。また、ワンセグサービス42は、ステップST60で、保存中止の指示が入力されていないことを検出したら、そのままステップST46に進む。ワンセグサービス42は、ステップST46以降は、上述した図4に示すフロー図と同様の工程で処理を行う。
【0052】
このように、保存中止の指示が入力された場合は、確保容量サイズAを0とすることでワンセグサービス42が利用できる容量を適切に検出することができ、メモリ部24の空き容量を適切に検出した状態でテレビ番組を録画することができ、メモリ部24を有効に利用することができる。
【0053】
なお、携帯端末装置10では、録画時に、録画開始からの時間を測定し、一定時間ごとにワンセグサービス42でバッファリングしたデータをメモリ部24に書き込むようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ワンセグサービス42にバッファリングしたデータが一定容量となったらメモリ部24に書き込むようにしてもよい。
【0054】
また、携帯端末装置10では、ワンセグサービス42でテレビ番組録画中に、ブラウザ46でデータのダウンロードを行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、実データをダウンロードする前に容量が既知のデータをメモリに書き込む種々のアプリケーションソフトの場合に用いることができる。例えば、メーラ48で、容量既知のメールを受信する場合も同様の制御により、ワンセグサービス42でテレビ番組録画中にメールを受信し、メモリ部24に書き込むことができる。
【0055】
具体的には、まず基地局から新しいメールの受信を要求する呼出しの信号を通信部14が検出すると、メーラ48は、当該呼出信号に応答して、メール本文受信動作に入る。次に、通信部14により基地局を介して新たなメールが蓄積されるメールサーバにアクセスし、新たなメールの本文のサイズを確認する。ここで、確認したメール本文のサイズを確保容量サイズAと設定し、この設定後に、メールサーバからメール本文をダウンロードすることで実現可能となる。
【0056】
また、メールの本文とは別にメールに添付されているデータ(文書データ、画像データ、音楽データ)の場合も、添付データの取得前に、メール本文のデータと共に添付データの容量の情報を取得すれば、容量を既知のものとすることができ、添付データのサイズを確保容量サイズAと設定することで、上述のブラウザ46でのデータのダウンロードと同様の方法で、ワンセグサービス42でテレビ番組録画中に、添付データを取得することができる。なお、説明の簡略化のために、各例を個別に説明したが、それぞれの実施形態を共に備えていてもよいことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上のように、本発明にかかる携帯端末装置は、放送波の受信以外の機能も有する多機能な携帯端末装置に有用であり、特に、TV視聴機能を有する携帯電話として用いることに適している。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の携帯端末装置の一実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す携帯端末装置の制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図3】携帯端末装置の処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【図4】録画中判定処理の処理工程の一例を示すフロー図である。
【図5】録画中判定処理の処理工程の他の例を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0059】
10 携帯端末装置
12 制御部
14 通信部
16 電話機能部
18 TVアンテナ部
20 ワンセグチューナ
22 コプロセッサ
24 メモリ部
26 表示部
28 スピーカ
30 入力部
32 DEMUX
34 音声デコーダ部
36 映像デコーダ部
38 データ放送デコーダ部
40 OS(オペレーティングシステム)
42 ワンセグサービス
44 ワンセグアプリ
46 ブラウザ
48 メーラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送波を受信する受信部と、
入力されたデータを保存するメモリ部と、
前記受信部で受信した放送波から得るデータを、第1のデータとして前記メモリ部に保存する保存処理を行う放送波保存処理部と、
少なくとも1つの所定のアプリケーションを実行し、該所定のアプリケーションによって既知の容量の第2のデータを取得し、取得した該第2のデータを前記メモリ部に保存するアプリケーション実行部と、
前記アプリケーション実行部及び前記放送波保存処理部の状態を管理する管理部と、を有し、
前記アプリケーション実行部は、実行中の所定のアプリケーションにより前記第2のデータを取得する際、該第2のデータの取得前に、前記放送波保存処理部が保存処理を行っている状態にあるかどうか確認し、前記放送波保存処理部が保存処理中である場合には、前記第2のデータ分の容量を前記メモリ部に確保する確保要求を前記放送波保存処理部に行い、
前記放送波保存処理部は、前記確保要求がなされると、該確保要求された容量を予約領域として前記メモリ部における空き領域に確保し、該確保した領域には前記第1のデータを保存しないことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
通信網に接続可能な通信部をさらに有し、
前記所定のアプリケーションは、前記通信部を用いて通信網に接続し、データを取得するアプリケーションであり、前記第2のデータの容量を予め前記通信部により取得可能であることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記所定のアプリケーションは、前記通信部によりメールを送受信するメーラーアプリケーションであることを特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記メーラーアプリケーションは、前記通信部によりメール着信の通知を受信すると、該通知されたメールのメール本文の容量を取得し、その後、該メール本文を前記第2のデータとして前記通信部により取得することを特徴とする請求項3に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記メーラーアプリケーションは、前記通信部により添付データが有るメールを受信した際、該メール本文と共に前記添付データの容量を取得し、その後、該添付データを前記第2のデータとして前記通信部により取得することを特徴とする請求項3に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
操作部を有し、
前記所定のアプリケーションは、前記操作部への操作入力に基づき、前記通信部により前記通信網から所望のデータを取得するブラウザアプリケーションであることを特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項7】
前記ブラウザアプリケーションは、前記通信網からWebページのデータを取得してある状態で、Webページデータに含まれるリンク先情報の取得の指示が前記操作部により行われると、指示されたリンク先情報のデータの容量を取得し、該リンク先情報を前記第2のデータとして前記通信部により取得することを特徴とする請求項6に記載の携帯端末装置。
【請求項8】
前記受信部は、デジタル放送波を受信し、
前記放送波保存処理部は、前記受信部で受信したデジタル放送のデータを前記第1のデータとして前記メモリ部に保存する録画処理あるいは録音処理を、前記保存処理として実行することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項9】
前記放送波保存処理部は、前記メモリ部に前記予約領域が確保された状態下で、前記アプリケーション実行部が前記第2のデータの保存を中止した場合には、該予約領域を開放し、該領域への前記第1のデータの書き込みを可能にすることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項10】
受信した放送波のデータを一時的に記憶するバッファを有し、
前記放送波保存処理部は、前記バッファに記憶させた放送波のデータを所定間隔で前記メモリ部に書き込むことで、前記第1のデータとして前記メモリ部に保存し、
前記アプリケーション実行部は、前記放送波保存処理部が前記バッファに記憶されているデータを前記メモリ部に書き込んでいないときに、前記メモリ部に前記第2のデータを書き込むことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項11】
前記メモリ部は、着脱不可能な内蔵メモリと、着脱可能な外部メモリとを有することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項12】
さらに、画像を表示する表示部を有し、
前記保存処理は、前記第1のデータを前記表示部に表示することなく前記メモリ部に保存するバックグラウンド処理であり、
前記アプリケーション実行部は、前記バックグラウンド処理状態下であっても、前記所定のアプリケーションを実行し、該所定のアプリケーションに基づく画像を前記表示部に表示可能であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−87608(P2010−87608A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−251570(P2008−251570)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】