説明

携帯端末装置

【課題】通話品質を劣化させるエコー及びハウリングの発生を抑制して良好な通話性能を実現する携帯端末装置を提供すること。
【解決手段】携帯端末装置100は、背面筐体120と、背面筐体120の背面の全面を覆う電池カバー130と、を備え、背面筐体120の背面にマイク170の音孔125とスピーカ150のスピーカ音孔124とが同一面で配置される。背面筐体120は、マイク170の音孔125の周囲の、少なくともスピーカ150側に、凹形状の溝部129を備え、電池カバー130は、溝部129に嵌合する凸形状の突起部139を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクの音孔とスピーカの音孔とが同一面で配置された携帯電話機末などの携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の携帯端末装置には、筐体にマイクが組み込まれている。例えば、操作部筐体に対して表示部筐体をスライドさせて使用する携帯電話端末は、マイクの開口孔を操作部筐体の底面に配置している。そのため、本体が収縮状態の時に通話を行うと、スピーカからの通話相手の音声が表示部筐体の上部を回り込んで表示部筐体と操作部筐体との隙間に侵入する。隙間に進入した通話相手の音声は、2つの筐体間を反射することによりマイクに入り易く、その結果、通話相手に通話相手自身が発した音声が聞こえる現象(以下、エコーと呼ぶ)が発生する。
【0003】
スピーカ−マイク間において音/振動による結合が発生すると、通話相手側では、自分の声が自分の耳に戻ってくるエコーが発生する。
【0004】
特許文献1には、操作部筐体に対して表示部筐体をスライド可能な携帯電話端末が記載されている。特許文献1記載の携帯電話端末は、操作部筐体上に搭載されるマイク周囲に表示部筐体方向に突起を設けるとともに、スライド収縮時に前記の操作部筐体の突起部に対向する表示部筐体部分に操作部筐体方向に突起部を設け、二つの対向した突起によりマイク周囲に壁を形成している。これにより、通話時のエコーの発生を抑制させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−135889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、筐体にマイクが組み込まれた装置にあっては、以下のような課題がある。
【0007】
特許文献1記載の携帯電話端末は、カメラ機能を有する端末において見受けられる形状である。この棒状の形状の端末は、スピーカ部の発音方向と、マイク部の集音方向とが同一方向に構成される場合、筐体部と電池カバー部との間の空間を主経路とする音の回り込みにより、通話品質を劣化させるエコーやハウリングが発生しやすいという課題を有している。
【0008】
また、特許文献1記載の携帯電話端末は、特定条件下でのエコーの抑制には効果を発揮するものの、他方向からの音の回り込みや、筐体振動による信号伝達が存在した場合には、効果が少ないという課題を有している。上記特定条件下とは、スライド構造の端末に対しての構成の場合、また特定方向からの音の回り込みにのみ有効であることをいう。
【0009】
さらに、特許文献1記載の携帯電話端末は、使用者の操作により頻繁に摺動を繰り返す部分に突起が配置されていることから、摩耗による性能劣化が発生しやすいという課題も有している。
【0010】
本発明の目的は、通話品質を劣化させるエコー及びハウリングの発生を抑制して良好な通話性能を実現する携帯端末装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の携帯端末装置は、筐体と、前記筐体の背面を覆う電池カバーと、前記筐体の背面にマイクの音孔とスピーカの音孔とが同一面で配置され、前記筐体の背面と前記電池カバーとの間に空隙を有する携帯端末装置であって、前記筐体は、前記マイクの音孔と前記スピーカの音孔との間に凹部を備え、前記電池カバーは、前記凹部に嵌合して、前記空隙を塞ぐ凸部を備える、構成を採る。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、通話品質を劣化させるエコー及びハウリングの発生を抑制して良好な通話性能が可能な携帯端末装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係る携帯端末装置の電池カバーを取り付けた状態を示す背面図
【図2】図1のA−A断面図を備える電子機器の概略構成を示す斜視図
【図3】図1のB−B断面図
【図4】図1のC−C断面図
【図5】本発明の実施の形態2に係る携帯端末装置の電池カバーを取り付けた状態を示す背面図
【図6】図5のA−A断面図を備える電子機器の概略構成を示す斜視図
【図7】図5のB−B断面図
【図8】図5のC−C断面図
【図9】本発明の実施の形態3に係る携帯端末装置の電池カバーを取り付けた状態を示す背面図
【図10】図9のA−A断面図を備える電子機器の概略構成を示す斜視図
【図11】図9のB−B断面図
【図12】図9のC−C断面図
【図13】本発明の実施の形態4に係る携帯端末装置の電池カバーを取り付けた状態を示す背面図
【図14】図13のA−A断面図を備える電子機器の概略構成を示す斜視図
【図15】図13のB−B断面図
【図16】図13のC−C断面図
【図17】本発明の実施の形態5に係る携帯端末装置の電池カバーを取り付けた状態を示す背面図
【図18】図17のA−A断面図を備える電子機器の概略構成を示す斜視図
【図19】図17のB−B断面図
【図20】図17のC−C断面図
【図21】本発明の実施の形態6に係る携帯端末装置の電池カバーを取り付けた状態を示す背面図
【図22】図21のA−A断面図を備える電子機器の概略構成を示す斜視図
【図23】図21のB−B断面図
【図24】図21のC−C断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る携帯端末装置の電池カバーを取り付けた状態を示す背面図である。図2は、図1のA−A断面図、図3は、図1のB−B断面図、図4は、図1のC−C断面図である。以下、本発明に係る携帯端末装置を、カメラ付き携帯電話機/PHS(Personal Handy-Phone System)の携帯通信端末で具現化する。また、PDA(Personal Digital Assistants)等の携帯情報端末に適用してもよい。
【0016】
図1乃至図4に示すように、携帯端末装置100は、前面筐体110と、背面筐体120と、電池カバー130と、プリント基板140と、スピーカ150と、カメラ160と、マイク170と、を備える。
【0017】
携帯端末装置100は、電池部分を塞ぐための蓋部分について、電池カバー130が背面筐体120全面を覆う形状である。なお、この形状は、携帯端末装置100のデザイン性を向上させることができる。
【0018】
図1に示すように、携帯端末装置100は、電池カバー130が背面筐体120に取り付けられ、背面筐体120は露出していない。
【0019】
スピーカ150は、背面筐体120の上部の中央やや左側に配置され、カメラ160は、その右隣りに配置されている。スピーカ150は、ハンズフリー通話用のラウドスピーカ配置を含み、耳に当てて使用するレシーバ用途には限定されない。
【0020】
カメラ160は、ユーザが携帯端末装置100をカメラとして使用する場合、手がカメラを塞がない位置に配置されている。
【0021】
図2乃至図4に示すように、プリント基板140は、前面筐体110内部に収容されている。プリント基板140には、スピーカ150、カメラ160、及びマイク170が取り付けられている。マイク170は、手に持って使用する場合、口の位置に配置される。なお、マイク170は、ハンズフリー通話に対応するようにスピーカ150と同一面に配置されていれば、上記配置に限定されるものではない。
【0022】
背面筐体120は、プリント基板140上に取り付けられた、スピーカ150を収容する開口部121と、カメラ160を収容する開口部122と、マイク170を収容する開口部123と、が形成されている。各開口部121,122,123は、背面筐体120の裏面に形成された各部品の外形形状と略同一であり、各部品が隙間なく収容される。
【0023】
背面筐体120には、スピーカ150に連通し電池カバー130側に開口するスピーカ150のスピーカ音孔124が形成されている。スピーカ音孔124は、図1に示すように、携帯端末装置100長径方向に長い長方形である。
【0024】
背面筐体120には、マイク170の音孔125が形成されている。また背面筐体120の下部は、底面に向かって開口部126が形成されている。このため、背面筐体120の下部表面と電池カバー130の裏面間には、隙間127が画成され、この隙間127が、携帯端末装置100底部から隙間127、音孔125乃至マイク170までの集音経路となる。
【0025】
電池カバー130には、背面筐体120のカメラ160を収容する開口部122と略同一形状の開口部132が形成され、開口部132は、開口部122と、位置、形状及び大きさが対応している。
【0026】
また、電池カバー130には、背面筐体120のスピーカ音孔124と連通する電池カバー音孔134が形成され、電池カバー音孔134は、背面筐体120と、位置、形状及び大きさが対応している。
【0027】
このように、携帯端末装置100は、電池カバー130が、背面筐体120に対して全面を覆う構成であり、かつ、背面筐体120に収容されたスピーカ150のスピーカ音孔124とマイク170のマイク音孔125とが同一方向となるように配置されている。すなわち、携帯端末装置100は、スピーカ150の発音方向と、マイク170の集音方向とが同一方向に配置されている。
【0028】
また、背面筐体120と電池カバー130との間には、空間128が形成されている。上記空間128は、背面筐体120全面を電池カバー130で覆う場合、電池や各部品の高さ・収納スペースの不一致及び開閉の余裕度を持たせる必要性から生まれる。
【0029】
以上の構成において、本実施の形態の特徴は下記の通りである。
【0030】
背面筐体120には、マイク音孔125周囲に凹形状の溝部129が形成されている。また、電池カバー130には、溝部129に対向する位置に、溝部129が嵌合する凸形状の突起部139が形成されている。
【0031】
すなわち、本実施の形態の携帯端末装置100は、背面筐体120に、マイク音孔125周囲に凹形状の溝部129を形成し、電池カバー130に、溝部129に嵌合する凸形状の突起部139を形成することを特徴とする。
【0032】
本実施の形態では、溝部129は、背面筐体120の底部が開口しマイク音孔125周囲をコの字型に囲むように形成される。溝部129に嵌合する突起部139についても同様に、溝部129に嵌合するようコの字型に形成される。溝部129及び突起部139は、少なくともスピーカ150側の一辺には形成されている。
【0033】
溝部129及び突起部139は、凹凸形状の嵌合による立ち壁を構成している。
【0034】
溝部129及び突起部139は、マイク音孔125の外周1mm程度の箇所に設置する。溝部129の深さは、0.8〜0.9mm、幅は0.4〜0.7mmであることが好ましい。
【0035】
以下、上述のように構成された携帯端末装置100の送受信動作について説明する。
【0036】
図2白抜き矢印は、音が電池カバー130外側を伝搬するエコー経路を示している。図2破線矢印は、音が電池カバー130内側を伝搬する場合のエコー経路を示している。
【0037】
[音が電池カバー130外側を伝搬するエコー経路]
図2白抜き矢印に示すように、スピーカ150より発生した通話相手の音声は、背面筐体120のスピーカ音孔124及び電池カバー130の電池カバー音孔134を通り、電池カバー130の外側を回り込んで電池カバー130の底部から背面筐体120の下部表面と電池カバー130との間の隙間127に侵入する。そして、さらに背面筐体120のマイク170の音孔125を通ってマイク170に拾われる。
【0038】
ここで、低減対象の音とは、通話帯域(300〜3.4kHz)を含む可聴音声帯域(20〜20kHz)の音が対象である。
【0039】
[音が電池カバー130内側を伝搬する場合のエコー経路]
図2破線矢印に示すように、スピーカ150より発生した声が背面筐体120と電池カバー130との間の空間128を通りマイク170の音孔125を通ってマイク170に拾われると、通話品質を劣化させるエコーやハウリングが発生しやすい。
【0040】
本実施の形態では、背面筐体120のマイク音孔125周囲に凹形状の溝部129を形成し、かつ電池カバー130に溝部129に嵌合する突起部139を設けることで、背面筐体120と電池カバー130との間の空間128を通る音を減衰させる。これにより、スピーカ150からマイク170まで、電池カバー130内側を伝搬する場合のエコーを低減することができ、通話時のエコー発生を抑制することができる。
【0041】
以上詳細に説明したように、携帯端末装置100は、背面筐体120と、背面筐体120の背面の全面を覆う電池カバー130と、を備え、背面筐体120の背面にマイク170の音孔125とスピーカ150のスピーカ音孔124とが同一面で配置される。背面筐体120は、マイク170の音孔125の周囲の、少なくともスピーカ150側に、凹形状の溝部129を備え、電池カバー130は、溝部129に嵌合する凸形状の突起部139を備える。
【0042】
この構成によれば、マイク音孔125周囲に形成された溝部129及び突起部139が、スピーカ150からマイク170まで、電池カバー130内側の空間128を伝搬する音を低減するので、通話時のエコーやハウリングの発生を抑制することができる。同様の理由で、電池カバー130を伝搬するによる振動による結合に対して、電池カバー130の変位量を減衰させることができる。
【0043】
上記エコー及びハウリングの発生を抑制効果に加えて、さらに以下の効果がある。
【0044】
本実施の形態では、マイク音孔125周囲に形成された溝部129及び突起部139が、エコー及びハウリング発生を抑制するので、背面筐体120自体の、例えば厚みを確保するなどのエコー及びハウリング対策を緩和することができ、端末の薄型化に寄与することができる。背面筐体120自体のエコー及びハウリング対策とは、例えば、マイク音孔125の天井部分を、背面筐体120により構成することである。なお、マイク音孔125の天井部分を電池カバー130により構成する場合には、背面筐体120による天井の厚み分、端末を薄型にすることが可能となる。
【0045】
本実施の形態では、構成部品を増加することないので、コスト低減を図ることができる。また、実施が容易という利点がある。
【0046】
また、スピーカ150周囲における、背面筐体120と電池カバー130の形状の変更はないので、この部分に設計変更は生じない利点がある。
【0047】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係る携帯端末装置の電池カバーを取り付けた状態を示す背面図である。図6は、図5のA−A断面図、図7は、図5のB−B断面図、図8は、図5のC−C断面図である。本実施の形態の説明に当り、図1乃至図4と同一構成部分には同一番号を付して重複箇所の説明を省略する。
【0048】
図5乃至図8に示すように、携帯端末装置200は、背面筐体120のマイク音孔125周囲に形成された溝部129と、電池カバー130に形成され、溝部129が嵌合する突起部139と、溝部129に嵌挿され、突起部139により押圧される弾性体201と、を有する。
【0049】
弾性体201は、溝部129の底部に貼り付けて設置される。弾性体201は、例えばポリウレタン系,ポリオレフィン系の発泡体、又はシリコンゴム,エラストマ樹脂などのゴム系が材料として使用可能である。
【0050】
このように、本実施の形態では、携帯端末装置200は、背面筐体120の溝部129に弾性体201を嵌挿し、その上から電池カバー130の突起部139で押圧する構成を採るので、弾性体201がエコー及びハウリングを吸収ことで、エコー抑制効果を更に向上させることができる。
【0051】
また、弾性体201は、溝部129の底部に貼り付けて設置されるが、このときの組み立て精度は、比較的低くて済む。このため、弾性体201の貼り付けは、容易であり、作業性を向上させるという製造上の利点がある。なお、弾性体201の貼り付け位置は、使用者の操作により摺動を繰り返す箇所ではないので、摩耗等による劣化は発生しづらい。
【0052】
(実施の形態3)
図9は、本発明の実施の形態3に係る携帯端末装置の電池カバーを取り付けた状態を示す背面図である。図10は、図9のA−A断面図、図11は、図9のB−B断面図、図12は、図9のC−C断面図である。本実施の形態の説明に当り、図1乃至図4と同一構成部分には同一番号を付して重複箇所の説明を省略する。
【0053】
図9乃至図12に示すように、携帯端末装置300は、前面筐体110と、背面筐体320と、電池カバー330と、プリント基板140と、スピーカ150と、カメラ160と、マイク170と、を備える。
【0054】
背面筐体320は、プリント基板140上に取り付けられた、スピーカ150を収容する開口部321と、カメラ160を収容する開口部322と、マイク170を収容する開口部323と、が形成されている。各開口部321,322,323は、背面筐体320の裏面に形成された各部品の外形形状と略同一であり、各部品が隙間なく収容される。
【0055】
背面筐体320には、スピーカ150に連通し電池カバー330側に開口するスピーカ150のスピーカ音孔324が形成されている。スピーカ音孔324は、図9に示すように、携帯端末装置300長径方向に長い長方形である。
【0056】
背面筐体320には、マイク170の音孔325が形成されている。また背面筐体320の下部は、底面に向かって開口部326が形成されている。このため、背面筐体320の下部表面と電池カバー330の裏面間には、隙間127が画成され、この隙間127が、携帯端末装置300底部から隙間127、音孔325乃至マイク170までの集音経路となる。
【0057】
電池カバー330には、背面筐体320のカメラ160を収容する開口部322と略同一形状の開口部332が形成され、開口部332は、開口部322と、位置、形状及び大きさが対応している。
【0058】
また、電池カバー330には、背面筐体320のスピーカ音孔324と連通する電池カバー音孔334が形成され、電池カバー音孔334は、背面筐体320と、位置、形状及び大きさが対応している。
【0059】
このように、携帯端末装置300は、電池カバー330が、背面筐体320に対して全面を覆う構成であり、かつ、背面筐体320に収容されたスピーカ150のスピーカ音孔324とマイク170のマイク音孔325とが同一方向となるように配置されている。すなわち、携帯端末装置300は、スピーカ150の発音方向と、マイク170の集音方向とが同一方向に配置されている。
【0060】
また、背面筐体320と電池カバー330との間には、空間128が形成されている。上記空間128は、背面筐体320全面を電池カバー330で覆う場合、電池や各部品の高さ・収納スペースの不一致及び開閉の余裕度を持たせる必要性から生まれる。
【0061】
以上の構成において、本実施の形態の特徴は下記の通りである。
【0062】
背面筐体320には、スピーカ音孔324周囲に凹形状の溝部329が形成されている。また、電池カバー330には、溝部329に対向する位置に、溝部329が嵌合する凸形状の突起部339が形成されている。
【0063】
すなわち、本実施の形態の携帯端末装置300は、背面筐体320に、スピーカ音孔324周囲に凹形状の溝部329を形成し、電池カバー330に、溝部329に嵌合する凸形状の突起部339を形成することを特徴とする。
【0064】
本実施の形態では、溝部329は、スピーカ音孔324周囲を囲むように形成される。溝部329に嵌合する突起部339についても同様に、溝部329に嵌合するように形成される。溝部329及び突起部339は、少なくともマイク170側の一辺には形成されている。
【0065】
溝部329及び突起部339は、スピーカ音孔324の外周1mm程度の箇所に設置する。溝部329の深さは、0.8〜0.9mm、幅は0.4〜0.7mmであることが好ましい。
【0066】
以下、上述のように構成された携帯端末装置300の送受信動作について説明する。
【0067】
図10白抜き矢印は、音が電池カバー330外側を伝搬するエコー経路を示している。図10破線矢印は、音が電池カバー330内側を伝搬する場合のエコー経路を示している。
【0068】
[音が電池カバー330外側を伝搬するエコー経路]
音が電池カバー330外側を伝搬するエコー経路については、実施の形態1と同様である。
【0069】
[音が電池カバー330内側を伝搬する場合のエコー経路]
図10波線矢印に示すように、スピーカ150より発生した声が背面筐体320と電池カバー330との間の空間128を通りマイク170の音孔325を通ってマイク170に拾われると、通話品質を劣化させるエコーやハウリングが発生しやすい。
【0070】
本実施の形態では、背面筐体320と電池カバー330との間の空間を通る音の伝達経路を、背面筐体320のスピーカ音孔324周囲に凹形状の溝部329を形成し、かつ電池カバー330に溝部329に嵌合する突起部339を設けることで、スピーカ音孔324周囲で減衰させる。これにより、スピーカ150からマイク170まで、電池カバー330内側を伝搬する場合のエコーを低減することができ、通話時のエコー発生を抑制することができる。同様の理由で、電池カバー330を伝搬するによる振動による結合に対して、電池カバー330の変位量を減衰させることができ、通話時のエコーやハウリングの発生を抑制することができる。
【0071】
本実施の形態では、音の発生源により近いスピーカ音孔324周囲に溝部329及び突起部339を設けているので、音及び振動が電池カバー330に伝搬する前に、減衰させることができる。ハウリングの発生をより抑制することができる効果が期待できる。また、マイク170周囲における、背面筐体320と電池カバー330の形状の変更はないので、この部分に設計変更は生じない利点がある。
【0072】
(実施の形態4)
図13は、本発明の実施の形態4に係る携帯端末装置の電池カバーを取り付けた状態を示す背面図である。図14は、図13のA−A断面図、図15は、図13のB−B断面図、図16は、図13のC−C断面図である。本実施の形態の説明に当り、図9乃至図12と同一構成部分には同一番号を付して重複箇所の説明を省略する。
【0073】
図13乃至図16に示すように、携帯端末装置400は、背面筐体320のスピーカ音孔324周囲に形成された溝部329と、電池カバー330に形成され、溝部329が嵌合する突起部339と、溝部329に嵌挿され、突起部339により押圧される弾性体401と、を有する。
【0074】
弾性体401は、例えばポリウレタン系,ポリオレフィン系の発泡体、又はシリコンゴム,エラストマ樹脂などのゴム系が材料として使用可能である。
【0075】
このように、本実施の形態では、携帯端末装置400は、背面筐体320の溝部329に弾性体401を嵌挿し、その上から電池カバー330の突起部339で押圧する構成を採るので、弾性体401がエコー及びハウリングを吸収ことで、エコー抑制効果を更に向上させることができる。
【0076】
(実施の形態5)
図17は、本発明の実施の形態5に係る携帯端末装置の電池カバーを取り付けた状態を示す背面図である。図18は、図17のA−A断面図、図19は、図17のB−B断面図、図20は、図17のC−C断面図である。本実施の形態の説明に当り、図1乃至図16と同一構成部分には同一番号を付して重複箇所の説明を省略する。
【0077】
図17乃至図20に示すように、携帯端末装置500は、前面筐体110と、背面筐体520と、電池カバー530と、プリント基板140と、スピーカ150と、カメラ160と、マイク170と、を備える。
【0078】
背面筐体520は、プリント基板140上に取り付けられた、スピーカ150を収容する開口部521と、カメラ160を収容する開口部522と、マイク170を収容する開口部523と、が形成されている。各開口部521,522,523は、背面筐体520の裏面に形成された各部品の外形形状と略同一であり、各部品が隙間なく収容される。
【0079】
背面筐体520には、スピーカ150に連通し電池カバー530側に開口するスピーカ150のスピーカ音孔524が形成されている。スピーカ音孔524は、図17に示すように、携帯端末装置500長径方向に長い長方形である。
【0080】
背面筐体520には、マイク170の音孔525が形成されている。また背面筐体520の下部は、底面に向かって開口部526が形成されている。このため、背面筐体520の下部表面と電池カバー530の裏面間には、隙間127が画成され、この隙間127が、携帯端末装置500底部から隙間127、音孔525乃至マイク170までの集音経路となる。
【0081】
電池カバー530には、背面筐体520のカメラ160を収容する開口部522と略同一形状の開口部532が形成され、開口部532は、開口部522と、位置、形状及び大きさが対応している。
【0082】
また、電池カバー530には、背面筐体520のスピーカ音孔524と連通する電池カバー音孔534が形成され、電池カバー音孔534は、背面筐体520と、位置、形状及び大きさが対応している。
【0083】
このように、携帯端末装置500は、電池カバー530が、背面筐体520に対して全面を覆う構成であり、かつ、背面筐体520に収容されたスピーカ150のスピーカ音孔524とマイク170のマイク音孔525とが同一方向となるように配置されている。すなわち、携帯端末装置500は、スピーカ150の発音方向と、マイク170の集音方向とが同一方向に配置されている。
【0084】
また、背面筐体520と電池カバー530との間には、空間128が形成されている。上記空間128は、背面筐体520全面を電池カバー530で覆う場合、電池や各部品の高さ・収納スペースの不一致及び開閉の余裕度を持たせる必要性から生まれる。
【0085】
以上の構成において、本実施の形態の特徴は下記の通りである。
【0086】
本実施の形態は、実施の形態1と実施の形態3とを組み合わせたものである。
【0087】
背面筐体520には、マイク音孔525周囲に凹形状の溝部529が形成されている。また、電池カバー530には、溝部529に対向する位置に、溝部529が嵌合する凸形状の突起部539が形成されている。
【0088】
さらに、背面筐体520には、スピーカ音孔524周囲に凹形状の溝部549が形成されている。また、電池カバー530には、溝部549に対向する位置に、溝部559が嵌合する凸形状の突起部559が形成されている。
【0089】
したがって、実施の形態1と実施の形態3とを組み合わせた効果を得ることができ、通話時のエコーやハウリングの発生をより一層効果的に抑制することができる。
【0090】
さらに、相乗効果として、以下の効果がある。
【0091】
マイク音孔525周囲の溝部529及び突起部539により、エコーやハウリングの発生が低減されるので、同様の目的を有するスピーカ150周囲の溝部549及び突起部559の凹凸形状をより軽減することができる。上記軽減とは、凹部の深さを浅くする、凹部の幅を狭くする、スピーカ150周囲を囲む辺数を減らす、である。同様に、スピーカ音孔524周囲の溝部549及び突起部559により、マイク音孔525周囲の溝部529及び突起部539の凹凸形状をより軽減することができる。
【0092】
(実施の形態6)
図21は、本発明の実施の形態6に係る携帯端末装置の電池カバーを取り付けた状態を示す背面図である。図22は、図21のA−A断面図、図23は、図21のB−B断面図、図24は、図21のC−C断面図である。本実施の形態の説明に当り、図9乃至図12と同一構成部分には同一番号を付して重複箇所の説明を省略する。
【0093】
図21乃至図24に示すように、携帯端末装置600は、前面筐体110と、背面筐体620と、電池カバー630と、プリント基板140と、スピーカ150と、カメラ160と、マイク170と、を備える。
【0094】
背面筐体620は、プリント基板140上に取り付けられた、スピーカ150を収容する開口部621と、カメラ160を収容する開口部622と、マイク170を収容する開口部623と、が形成されている。各開口部621,622,623は、背面筐体620の裏面に形成された各部品の外形形状と略同一であり、各部品が隙間なく収容される。
【0095】
背面筐体620には、スピーカ150に連通し電池カバー630側に開口するスピーカ150のスピーカ音孔624が形成されている。スピーカ音孔624は、図21に示すように、携帯端末装置600長径方向に長い長方形である。
【0096】
背面筐体620には、マイク170の音孔625が形成されている。また背面筐体620の下部は、底面に向かって開口部626が形成されている。このため、背面筐体620の下部表面と電池カバー630の裏面間には、隙間127が画成され、この隙間127が、携帯端末装置600底部から隙間127、音孔625乃至マイク170までの集音経路となる。
【0097】
電池カバー630には、背面筐体620のカメラ160を収容する開口部622と略同一形状の開口部632が形成され、開口部632は、開口部622と、位置、形状及び大きさが対応している。
【0098】
また、電池カバー630には、背面筐体620のスピーカ音孔624と連通する電池カバー音孔634が形成され、電池カバー音孔634は、背面筐体620と、位置、形状及び大きさが対応している。
【0099】
このように、携帯端末装置600は、電池カバー630が、背面筐体620に対して全面を覆う構成であり、かつ、背面筐体620に収容されたスピーカ150のスピーカ音孔624とマイク170のマイク音孔625とが同一方向となるように配置されている。すなわち、携帯端末装置600は、スピーカ150の発音方向と、マイク170の集音方向とが同一方向に配置されている。
【0100】
また、背面筐体620と電池カバー630との間には、空間128が形成されている。上記空間128は、背面筐体620全面を電池カバー630で覆う場合、電池や各部品の高さ・収納スペースの不一致及び開閉の余裕度を持たせる必要性から生まれる。
【0101】
以上の構成において、本実施の形態の特徴は下記の通りである。
【0102】
図23に示すように、背面筐体620には、スピーカ音孔624のカメラ160側以外の周囲に凹形状の第1溝部629が形成されると共に、スピーカ音孔624のカメラ160側の周囲に凹形状の第2溝部649が形成される。また、電池カバー630には、第1溝部629に対向する位置に、第1溝部629が嵌合する凸形状の第1突起部639が形成されると共に、第2溝部649に対向する位置に、第2溝部649が嵌合する凸形状の第2突起部659が形成される。
【0103】
すなわち、携帯端末装置600は、背面筐体620に、スピーカ音孔624のカメラ160側以外の周囲に凹形状の第1溝部629及び第2溝部649を形成し、電池カバー630に、第1溝部629及び第2溝部649に嵌合する凸形状の第1突起部639及び第2突起部659を形成することを特徴とする。
【0104】
本実施の形態では、カメラ160側に隣接する第2溝部649は、カメラ160側以外の第1溝部629より、凹部の深さが深い。これに伴い、第2溝部649に嵌合する第2突起部659は、第1溝部629に嵌合する第1突起部639より、凸部の長さが長い。したがって、スピーカ150のスピーカ音孔624に隣接する開口部(ここではカメラ160を収容する開口部622)側は、スピーカ音孔624の他の周囲より、より効果的に遮蔽されている。
【0105】
このように、本実施の形態では、スピーカ音孔624の発音方向に対して、スピーカ音孔624以外の開口部632がある場合であっても、音量の劣化と歪みの発生を抑制することができ、良好な音響性能を確保することができる。
【0106】
特に、カメラ160側に隣接する第2溝部649は、カメラ160側以外の第1溝部629より、凹部の深さが深いので、スピーカ音孔624以外の開口部632に因る影響を低減することができ、音量の劣化と歪みの発生を抑制することができる。その結果、良好な音響性能を確保することができる。
【0107】
なお、本実施の形態では、スピーカ音孔624に隣接する開口部として、カメラ160の開口部622を例に説明したが、スピーカ音孔624に隣接する開口部であれば、どのような開口部でもよい。例えば、LED用開口部が挙げられる。
【0108】
また、本実施の形態では、スピーカ音孔624に隣接する開口部を、より効果的に遮蔽する方法として、溝部を深くする例を示したが、溝部の幅を大きくする、段階的に形成する、あるいは、これらの組み合わせでもよい。また、実施の形態4のように弾性体を嵌挿してもよい。
【0109】
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。
【0110】
上記実施の形態では、携帯端末装置として携帯電話機の携帯端末に適用した例について説明しているが、携帯電話機に限らずPDA等の携帯情報端末、パーソナルコンピュータ又はその融合された装置、さらにはMP3プレーヤー、HDDプレーヤーなどの携帯機器に適用可能である。
【0111】
また、上記実施の形態では携帯端末装置、携帯電話機という名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、携帯端末、エコー抑制構造、電子機器等であってもよいことは勿論である。
【0112】
さらに、上記携帯端末装置を構成する各部、例えば筐体、電池カバーの種類・材質、その形状及び取付方法などはどのようなものでもよい。また、電池カバーはスライド止めが一般的であるが、これには限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明に係る携帯端末装置は、エコーやハウリングの発生を抑制して良好な通話性能を実現する携帯端末装置を提供できまた、携帯端末装置として携帯端末以外の各種電子機器に組み込むことも可能である。
【符号の説明】
【0114】
100,200,300,400,500,600 携帯端末装置
110 前面筐体
120,320,420,520,620 背面筐体
124,324,524,624 スピーカ音孔
125,325,525,625 音孔
129,329,529 溝部
130,330,430,530,630 電池カバー
139,339,539 突起部
140 プリント基板
150 スピーカ
160 カメラ
170 マイク
201,401 弾性体
629 第1溝部
639 第1突起部
649 第2溝部
659 第2突起部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体の背面を覆う電池カバーと、前記筐体の背面にマイクの音孔とスピーカの音孔とが同一面で配置され、前記筐体の背面と前記電池カバーとの間に空隙を有する携帯端末装置であって、
前記筐体は、前記マイクの音孔と前記スピーカの音孔との間に凹部を備え、
前記電池カバーは、前記凹部に嵌合して、前記空隙を塞ぐ凸部を備える、携帯端末装置。
【請求項2】
前記筐体は、前記マイクの音孔を、前記筐体の端部側を除く三面で囲う、前記凹部を備える、請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記筐体は、前記凹部に埋設された弾性体を備え、
前記電池カバーは、前記弾性体を介して前記凹部に嵌合する、請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記筐体は、
前記スピーカの音孔に隣接した開口部を有し、
前記スピーカの音孔と前記開口部との間に、前記凹部の溝又は幅より、溝又は幅が大きい第2凹部を備え、
前記電池カバーは、
前記第2凹部に嵌合する第2凸部を備える、請求項1記載の携帯端末装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−195835(P2012−195835A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59390(P2011−59390)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】