説明

携帯端末

【課題】携帯端末用の端子カバーを抜けにくく、挿入しやすいものにする。
【解決手段】充電端子を露出させるための端子用開口を塞ぐ端子カバー10を備える携帯端末において、端子用開口の周縁を、周囲よりも凹んだ端子用凹部で囲み、この端子用凹部に係止用孔を形成する。端子カバー10に、端子用凹部を塞ぐ蓋部13と、この蓋部13に略直交に連続する連結部14とを設ける。この連結部14に、係止用孔に挿入されて係合される爪部15と、爪部15及び蓋部13の間に形成されて該連結部14の変形を助ける連結部変形用孔17と、連結部変形用孔17に形成され、連結部変形用孔17周縁及び爪部15の間を橋渡しする橋渡部18とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
充電端子、カード端子、ヘッドホン端子等を覆う端子カバーを備えた携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯端末、特に携帯電話機は、機能性向上に伴い、多くの端子、例えば充電端子、カード端子、ヘッドホン端子等を搭載するようになってきた。そして、各端子は、端子カバーによって開閉自在に構成されることで、防塵されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、携帯端末の外部接続端子部分において、端子カバーの取付時には本体にあるボスに傾斜面が当接し、端子カバーを押し込むと、弾性変形用穴の変形により、ボスが抜け止め用部分に位置することで、抜け止めされている。端子カバーを開く際には、ボスがガイド面に沿って移動すること引き出される。端子カバーを取り外す際には、抜止め用部分と、傾斜面と、先端面とを弾性変形させ、簡単に取り外すことができるようにしている。このことで、端子カバーが使用中に壊れたり、紛失するおそれがなく、しかも、簡単に取り外し可能に構成している。
【0004】
また、特許文献2の携帯端末の外部接続端子カバー構造では、外部接続端子部分を覆うためのカバー部材を筐体に保持する弾性端子部材の、筐体挿抜方向の移動を規制する機構(一対の爪とこの爪に係合するボス)の他に、当該挿抜方向にほぼ直交する方向の移動を規制する機構(第3の爪とストッパ及びアーム)を追加し、この直交方向への保持部材の弾性変形を防止している。
【特許文献1】特開2001−210972号公報
【特許文献2】特開2007−116562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1及び2では、端子カバーの抜止め用部分の肉が薄いため、端子カバーの外れ止め効果が十分ではない。このため、意図せず端子カバーが外れると音もなく落下して紛失したことに気がつかないおそれがある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、抜けにくく、挿入しやすい携帯端末用端子カバーを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、端子カバーの蓋部と連結された連結部に爪部と、連結部変形用孔と、橋渡し部とを設けた。
【0008】
具体的には、第1の発明では、接続端子を露出させるための端子用開口を塞ぐ端子カバーを備える携帯端末を対象とし、
上記携帯端末は、
上記端子用開口の周縁は、周囲よりも凹んだ端子用凹部に囲まれ、該端子用凹部には係止用孔が形成されており、
上記端子カバーは、上記端子用凹部を塞ぐ蓋部と、該蓋部に略直交に連続する連結部とを備え、
上記連結部は、
上記係止用孔に挿入されて係合される爪部と、
上記爪部及び上記蓋部の間に形成されて該連結部の変形を助ける連結部変形用孔と、
上記連結部変形用孔に形成され、該連結部変形用孔周縁及び上記爪部の間を橋渡しする橋渡部とを備え、
上記爪部は、上記蓋部に向かって上記連結部から離れる方向に傾斜し、
上記橋渡部は、
上記爪部の上記蓋部側の端部に連結され、上記蓋部に向かって上記連結部へ近付く方向に傾斜した傾斜部と、
該傾斜部に連結された水平部とで構成されている。
【0009】
上記の構成によると、連結部を係止用孔に挿入するときに、爪部が係止用孔の周縁に当接して傾斜部側に押圧され、その力は傾斜部から水平部にスムーズに伝達されるので、端子カバーの挿入が容易になる。爪部が引っ張られたときには、爪部と連結部変形用孔周縁との間を橋渡しする橋渡部によって爪部が容易にめくり上がらないので、端子カバーが意図せず抜け出すことはない。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、
上記連結部変形用孔周縁における、上記橋渡部と上記蓋部との間には、該橋渡部の変形を容易にする橋渡部変形用孔が形成されている。
【0011】
上記の構成によると、端子カバーを挿入するときに、爪部が係止用孔の周縁に当接して下方へ押圧されるが、その力は傾斜部から水平部に伝達され、橋渡部変形用孔が変形することで橋渡部が容易に係止用孔内に挿入される。
【0012】
第3の発明では、第2の発明において、
上記連結部の先端には、蓋部に近付くにつれて拡がって上記係止用孔よりも幅が広くなり、再び係止用孔よりも幅が狭くなる鉤部が形成され、
上記連結部における、上記鉤部よりも蓋部側には、上記鉤部の幅よりも狭く、上記係止用孔の幅よりも広い突起部が形成されている。
【0013】
上記の構成によると、鉤部と突起部とで幅に差を設け、端子カバーを引き出して開くときに、係止用孔に対して突起部を通過させるのを容易にして端子カバーを開きやすくし、鉤部を通過させにくくすることで、端子カバーを取り外しにくくして端子カバーの紛失を防止している。
【0014】
第4の発明では、第1乃至第3のいずれか1つの発明において、
上記端子カバーは、弾性部材で構成されている。
【0015】
上記の構成によると、端子カバーは、容易に弾性変形するので、挿入しやすく、耐久性のあるものとなる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明の端子カバーによれば、端子用凹部を塞ぐ蓋部を設け、さらにこの蓋部に略直交に連続し、係止用孔に挿入されて係合される爪部と、爪部及び蓋部の間に形成されて変形を助ける連結部変形用孔と、連結部変形用孔周縁及び爪部の間を橋渡しする橋渡部とを有する連結部を設けたことにより、抜けにくく、挿入しやすい端子カバーが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
−携帯電話機の構成−
図1〜図3は、本発明の実施形態のスライド式携帯端末としての携帯電話機1を示し、この携帯電話機1は、表面側に表示部2を備えた第1の筐体3が、表面側に操作部4を備えた第2の筐体5上をスライド機構6によってスライド可能に構成されている。このことで、携帯電話機1は、第1の筐体3を第2の筐体5上にスライドさせることにより、図1に示す操作部4が第1の筐体3の裏面側に隠れる閉じ状態と、図2に示す表示部2が現れる開き状態とに開閉自在に構成されている。
【0019】
表示部2は、液晶ディスプレイを備えている。表示部2は、有機ELディスプレイを備えていてもよく、また、タッチパネルにより構成してもよい。表示部2は、第1の筐体3のほぼ全体を占めているが、第1の筐体3の一部に操作キーを備えていてもよい。
【0020】
第2の筐体5には充電池9(図6にのみ示す)が内蔵されている。この充電池9に充電するための接続端子としての充電端子7が第2の筐体5の下端部に内蔵されている。図4に示すように、この充電端子7は、左右方向に延びる矩形状の端子用開口8から露出している。この充電端子7に図示しない充電器の端子が接続されて充電が可能となっている。この端子用開口8は、端子カバー10で防塵、防水、外観向上等の目的で開閉自在に覆われている。
【0021】
端子用開口8の周縁は、周囲よりも凹んだ矩形状の端子用凹部11に囲まれている。この端子用凹部11における端子用開口8の下方には、左右方向に延びる直線状の係止用孔12が開口されている。
【0022】
図5に示すように、端子カバー10は、端子用凹部11を塞ぐ矩形板状の蓋部13を備えている。端子カバー10は、合成樹脂やエラストマーなどの弾性部材で構成されている。この蓋部13における、上記係止用孔12に対応する部分には、蓋部13に略直交に連続する連結部14が設けられている。
【0023】
連結部14は、蓋部13と反対側の先端部に係止用孔12に挿入され、この係止用孔12に係合される爪部15を備えている。爪部15は、蓋部13に向かって連結部14から離れる方向に傾斜する平坦な爪部本体15aと、この爪部本体15aを連結部14に連結する、側面視三角形状の一対の側壁15bと備えている。連結部14の肉厚は蓋部13の肉厚よりも薄く、変形しやすいものとなっている。
【0024】
爪部15と蓋部13との間には、連結部14の変形を助ける、左右に長い連結部変形用孔17が形成されている。
【0025】
連結部変形用孔17の左右中央には、この連結部変形用孔17周縁と爪部15との間を橋渡しする橋渡部18が形成されている。橋渡部18は、爪部15の蓋部13側端部に連結され、蓋部13に向かって連結部14へ近付く方向に傾斜した傾斜部18aを備えている。この傾斜部18aは、水平に延びる水平部18bに連結され、その水平部18bの他端が連結部変形用孔17の周縁に接続されている。水平部18bは、連結部14と同一平面に配置されている。
【0026】
図6に示すように、爪部15の高さh1は、係止用孔12の高さh2よりも高くなっている(h1>h2)。このため、爪部15が係止用孔12を通過する際には、必ず係止用孔12の周縁に当接するようになっている。
【0027】
そして、連結部変形用孔17周縁における、橋渡部18の水平部18bの延長上の蓋部13の手前には、橋渡部変形用孔19が形成されている。橋渡部変形用孔19は、左右に伸びる長円形状を有し、橋渡部18の変形を容易にする役割を果たしている。
【0028】
図7に示すように、連結部14の先端には、蓋部13に近付くにつれて幅が広がり、再び幅が狭くなる鉤部20が形成されている。鉤部20の最大幅W1は、係止用孔の幅W2よりも大きくなっている(W1>W2)。鉤部20の蓋部13側は、切欠21が形成され、鉤部20が係止用孔12を通過するときには、変形しやすくなっている。鉤部20の蓋部13側の幅は、係止用孔12の幅W2よりも狭くなり、再び左右方向に突出する突起部22の位置でその幅W3が係止用孔12の幅W2よりも広くなっている(W3>W1)。また、突起部22の幅W3は鉤部20の幅W1よりも狭くなっている(W3>W2>W1)。
【0029】
−携帯電話機の作用−
次に、本実施形態にかかる携帯端末の作動について説明する。
【0030】
図6(a)及び図7(a)に示すように、端子カバー10を係止用孔12に挿入する前では、爪部15の高さh1は、係止用孔12の高さh2よりも高くなっており、鉤部20の最大幅W1は、係止用孔の幅W2よりも大きくなっている。
【0031】
このため、図6(b)及び図7(b)に示すように、爪部15及び鉤部20が係止用孔12を通過する際に係止用孔12の周縁に当接する。
【0032】
さらに端子カバー10を挿入すると、図5及び図8(a)に示すように、係止用孔12に当接した爪部15が変形して傾斜部18aを押し上げる。この力は、白抜き矢印で示すように、水平部18bに伝達され、橋渡部変形用孔19を変形させる。同時に鉤部20が係止用孔12に当接し、切欠21側へ変形すると共に、連結部変形用孔17を変形させる。このため、端子カバー10の挿入が容易になる。
【0033】
図8(b)に示すように、鉤部20が係止用孔12を通過すると、連結部14は弾性を有するので元の形に戻り、鉤部20が係止用孔12に引っ掛かかるので、この状態で連結部14を撓ませれば、端子カバー10は抜けずに充電端子7に充電が可能となる。鉤部20のかえり部分により、端子カバー10は抜けにくくなっている。さらに、橋渡部18と側壁15bとによって、爪部15が引っ張られても容易に爪部15が容易にめくり上がらないので、端子カバー10はさらに抜けにくくなっている。
【0034】
さらに、端子カバー10を挿入すると、突起部22が係止用孔12の周縁に当接しながら変形し、図7(c)に示すように、蓋部13の表面と端子用凹部11の周囲とが略連続した閉じた状態となる。
【0035】
このように、弾性部材で構成した端子カバー10は容易に弾性変形するので、挿入しやすい。そして、突起部22の幅W3を鉤部20の幅W1よりも狭くすることで、端子カバー10を引き出して開くときに、係止用孔12に対して突起部22を通過させるのを容易にして端子カバー10を開きやすくし、鉤部20を通過させにくくすることで、端子カバー10を取り外しにくくして端子カバー10の紛失を防止している。
【0036】
−実施形態の効果−
したがって、本実施形態にかかる携帯電話機1によると、端子カバー10に端子用凹部11を塞ぐ蓋部13を設け、さらに、この蓋部13に略直交に連続し、係止用孔12に挿入されて係合される爪部15と、爪部15及び蓋部13の間に形成されて変形を助ける連結部変形用孔17と、連結部変形用孔17周縁及び爪部15の間を橋渡しする橋渡部18とを有する連結部14を設けたことにより、抜けにくく、挿入しやすい端子カバーが得られる。
【0037】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0038】
すなわち、上記実施形態では、接続端子は、充電端子7としたが、カード端子、ヘッドホン端子等でもよい。
【0039】
上記実施形態では、携帯端末は、携帯電話機としたが、PHS、PDA、PC、モバイルツール、電子辞書、電卓、ゲーム機等であってもよい。
【0040】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態にかかる携帯電話機の閉じた状態を示す斜視図である。
【図2】携帯電話機の開いた状態を示す斜視図である。
【図3】携帯電話機の開いた状態を示す正面図である。
【図4】端子用開口及びその周辺の拡大斜視図である。
【図5】端子カバーの拡大斜視図で、(a)が内側且つ表側から見たもので、(b)が内側かつ裏側から見たものである。
【図6】図3のVI−VI線断面図であり、(a)が挿入前、(b)が挿入中、(c)が挿入完了状態を示す。
【図7】図6に対応する平面図であり、(a)が挿入前、(b)が挿入中、(c)が挿入完了状態を示す。
【図8】図7に対応する平面図であり、(a)は、橋渡部変形用孔が変形する様子を示し、(b)は、鉤部が引っ掛かかり、充電端子に充電可能な状態を示す。
【符号の説明】
【0042】
1 携帯電話機(携帯端末)
2 表示部
3 第1の筐体
4 操作部
5 第2の筐体
6 スライド機構
7 充電端子(接続端子)
8 端子用開口
9 充電池
10 端子カバー
11 端子用凹部
12 係止用孔
13 蓋部
14 連結部
15 爪部
17 連結部変形用孔
18 橋渡部
18a 傾斜部
18b 水平部
19 橋渡部変形用孔
20 鉤部
21 切欠
22 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続端子を露出させるための端子用開口を塞ぐ端子カバーを備える携帯端末であって、
上記端子用開口の周縁は、周囲よりも凹んだ端子用凹部に囲まれ、該端子用凹部には係止用孔が形成されており、
上記端子カバーは、上記端子用凹部を塞ぐ蓋部と、該蓋部に略直交に連続する連結部とを備え、
上記連結部は、
上記係止用孔に挿入されて係合される爪部と、
上記爪部及び上記蓋部の間に形成されて該連結部の変形を助ける連結部変形用孔と、
上記連結部変形用孔に形成され、該連結部変形用孔周縁及び上記爪部の間を橋渡しする橋渡部とを備え、
上記爪部は、上記蓋部に向かって上記連結部から離れる方向に傾斜し、
上記橋渡部は、
上記爪部の上記蓋部側の端部に連結され、上記蓋部に向かって上記連結部へ近付く方向に傾斜した傾斜部と、
該傾斜部に連結された水平部とで構成されている
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末であって、
上記連結部変形用孔周縁における、上記橋渡部と上記蓋部との間には、該橋渡部の変形を容易にする橋渡部変形用孔が形成されている
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の携帯端末であって、
上記連結部の先端には、蓋部に近付くにつれて拡がって上記係止用孔よりも幅が広くなり、再び係止用孔よりも幅が狭くなる鉤部が形成され、
上記連結部における、上記鉤部よりも蓋部側には、上記鉤部の幅よりも狭く、上記係止用孔の幅よりも広い突起部が形成されている
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の携帯端末であって、
上記端子カバーは、弾性部材で構成されている
ことを特徴とする携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−62066(P2010−62066A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228222(P2008−228222)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】