説明

携帯端末

【課題】表示デバイスを有効に活用することが可能な携帯端末を提供すること。
【解決手段】携帯端末は、メインディスプレイ21及び透明サブディスプレイ22を有する第1筐体と、第2筐体と、第1筐体の一方の端部と第2筐体の他方の端部とを結合するヒンジ部と、第1筐体と第2筐体との開状態及び閉状態を検出する検出部33とを備える。さらに、携帯端末は、検出部33により開状態が検出された場合には、付加情報を第1の向きにして透明サブディスプレイ22に表示させるよう制御し、検出部33により閉状態が検出された場合には、付加情報を、第1の向きを反転させた第2の向きにして透明サブディスプレイ22に表示させるよう制御する制御部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メインディスプレイとサブディスプレイとを備える携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の携帯端末には、表示デバイスを有する第1筐体と、キー操作部を有する第2筐体と、第1筐体と第2筐体とを結合するヒンジ部とを備える折り畳み型携帯端末がある。このような携帯端末(第1の携帯端末)には、表示デバイスとしてのメインディスプレイが第1筐体の前面に配置され、表示デバイスとしてのサブディスプレイが第1筐体の背面に配置される。
【0003】
また、携帯端末(第2の携帯端末)には、表示デバイスとしての透過型液晶ディスプレイを第1筐体に有するものがある。この携帯端末は、第1筐体と第2筐体とが開状態の場合に、透過型液晶ディスプレイに表示される画像を第1筐体の一方の面に設けられた主表示部に映し、第1筐体と第2筐体とが閉状態の場合に、透過型液晶ディスプレイに表示される画像を一方の面とは反対の他方の面に設けられた副表示部に映す(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−184147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した第1の携帯端末は、第1筐体と第2筐体とが開状態の場合に、メインディスプレイのみに画像を表示させ、第1筐体と第2筐体とが閉状態の場合に、サブディスプレイのみに画像を表示させる。第1の携帯端末は、第1筐体と第2筐体とが開状態又は閉状態の場合に、それぞれサブディスプレイ又はメインディスプレイが使用されないので、表示デバイスの利用効率が悪いという課題があった。
【0006】
また、携帯端末は、通常、所定の時間、キー操作部が操作されない場合に、省電力モードに移行する。携帯端末が省電力モードに移行した場合、表示デバイスにバックライトが使用されているときには、そのバックライトは、消灯される又は輝度を落とすよう制御される。ところが、第1及び第2の携帯端末は、通話中等において省電力モードに移行した場合、基地局と携帯端末とを接続する電波の状態や、携帯端末の電源となる2次電池の充電量等をユーザが確認するためには、キー操作部を操作して省電力モードを解除する必要がある。したがって、第1及び第2の携帯端末は、省電力モードを解除するためにはキー操作部の操作が必要なため不便であり、また電波の状態や充電量等を直ぐに確認することができない。
【0007】
本発明は、表示デバイスを有効に活用することが可能な携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の携帯端末は、メインディスプレイと、透明サブディスプレイと、一方の面及び他方の面のそれぞれから前記透明サブディスプレイを視認可能にするために配置された開口部とを有する第1筐体と、キー操作部を有する第2筐体と、前記第1筐体の一方の端部と前記第2筐体の他方の端部とを結合する共に、当該結合部分に形成される回転軸を中心にして前記第1筐体を前記第2筐体に対して相対的に回転させることにより、前記第1筐体と前記第2筐体とを開状態又は閉状態に遷移可能にするヒンジ部と、前記第1筐体と前記第2筐体との開状態及び閉状態を検出する検出部と、前記検出部により開状態が検出された場合には、付加情報を第1の向きにして前記透明サブディスプレイに表示させるよう制御すると共に、前記メインディスプレイに主情報を表示させるよう制御し、前記検出部により閉状態が検出された場合には、付加情報を、第1の向きを反転させた第2の向きにして前記透明サブディスプレイに表示させるよう制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記携帯端末は、通信部と、電源部と、をさらに備え、前記キー操作部は、複数のキーと、前記第2筐体の内側に配置されて、前記キーの照明となる発光部とを備え、前記複数のキーのうちの一部の第1キーは、前記第1筐体と前記第2筐体とが閉状態となる場合に、前記透明サブディスプレイに対向する位置に配置され、前記第1キーに対応して配置された発光部は、前記通信部により検知した電話の着信、前記通信部により検知したメールの受信、及び前記電源部における容量の状態のうち少なくとも1つを報知することが好ましい。
【0010】
また、前記制御部は、前記メインディスプレイにおいて消費される電力が省電力化されるように、前記メインディスプレイを省電力モードに移行させることが可能であり、前記メインディスプレイを省電力モードに移行させるよう制御した状態において、前記通信部を利用して電話の通話が行われる場合には、前記透明サブディスプレイのみ表示を行わせることが好ましい。
【0011】
また、前記透明サブディスプレイは、前記第1筐体において、前記メインディスプレイよりも、一方の端部側、又は前記一方の端部とは反対の他方の端部側に配置されることが好ましい。
【0012】
また、前記付加情報は、任意に設定可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、表示デバイスを有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の携帯端末の一実施形態に係る携帯電話機の開状態における外観を説明するための図である。
【図2】携帯電話機の閉状態における外観を説明するための図である。
【図3】図2のA−A線における概略断面図である。
【図4】携帯電話機が機能を発揮するための構成を示す機能ブロック図である。
【図5】透明サブディスプレイに表示される付加情報を更新する場合の携帯電話機の動作について説明するためのフローチャートである。
【図6】通話時間の表示制御を行うときの携帯電話機の動作について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の携帯端末の一実施形態に係る携帯電話機1の開状態における外観を説明するための図である。また、図2は、携帯電話機1の閉状態における外観を説明するための図である。図3は、図2のA−A線における概略断面図である。なお、図3では、携帯電話機1の内部に配置される構成要素の記載を省略している。
【0016】
図1に示すように、携帯電話機1は、いわゆる折り畳み型の携帯電話機1であり、表示部側筐体(第1筐体)2と、操作部側筐体(第2筐体)3と、表示部側筐体2と操作部側筐体3とを結合するヒンジ部4とを備える。
表示部側筐体2は、種々の画像を表示する表示デバイス(メインディスプレイ21及び透明サブディスプレイ22)と、開口部23(図3参照)と、通話の相手側の音声を出力するスピーカ24とを備える。
メインディスプレイ21は、表示部側筐体2の前面(一方の面)2a側に配置される。このメインディスプレイ21は、例えば、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイや液晶ディスプレイ等であればよい。
【0017】
透明サブディスプレイ22は、表示部側筐体2の前面2a及び背面(他方の面)2bの両方から視認することができるように配置される。すなわち、透明サブディスプレイ22は、図3に示すように、表示部側筐体2の前面2a及び背面2bのそれぞれに設けられた開口部23(23a,23b)の中央付近に配置される。開口部23は、表示部側筐体2の前面2a及び背面2bのそれぞれから透明サブディスプレイ22を視認可能にするために、表示部側筐体2に配置される。なお、透明サブディスプレイ22は、開口部23の中央付近に配置されるばかりでなく、表示部側筐体2の前面2a側に配置されてもよく、又は表示部側筐体2の背面2b側に配置されてもよい。この場合、開口部23は、それぞれ、表示部側筐体2の背面2b側のみに設けられ、又は表示部側筐体2の前面2a側のみに設けられる。この透明サブディスプレイ22は、例えば、有機ELディスプレイや液晶ディスプレイ等であればよい。透明サブディスプレイ22は、前面22a及び背面22bのいずれからも画像を視認させることが可能である。
【0018】
透明サブディスプレイ22は、表示部側筐体2において、メインディスプレイ21よりも、下端部2c側(一方の端部側)、又は下端部2cとは反対の上端部2d側(他方の端部側)に配置されることが好ましい。なお、本実施形態では、図1に示すように、透明サブディスプレイ22は、表示部側筐体2において、メインディスプレイ21よりも上端部2d側に配置されている。これにより、携帯電話機1は、メインディスプレイ21と透明サブディスプレイ22とがそれぞれ異なる情報を表示するので、メインディスプレイ21と透明サブディスプレイ22とを有効に活用することができる。
【0019】
操作部側筐体3は、キー操作部31と、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声を入力するマイク32とを備える。キー操作部31は、操作部側筐体3の前面3aに配置される複数のキー311を備える。複数のキー311は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定キーと、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力キーと、各種操作における決定やスクロール等を行う決定キーとを備える。
【0020】
ヒンジ部4は、表示部側筐体2の下端部2c(一方の端部)と操作部側筐体3の上端部(他方の端部)3dとを結合する共に、この結合部分に形成される回転軸を中心にして表示部側筐体2を操作部側筐体3に対して相対的に回転させることにより、表示部側筐体2と操作部側筐体3とを開状態(図1参照)又は閉状態(図2及び図3参照)に遷移可能にする。
【0021】
このように構成される携帯電話機1は、メインディスプレイ21及び透明サブディスプレイ22を有効に活用する機能を有する。
以下に、携帯電話機1に係る上記機能を発揮するための構成と動作について詳述する。まず、本実施形態に係る携帯電話機1の上記機能を発揮するための構成について、図4を参照しながら説明する。図4は、携帯電話機1が上記機能を発揮するための構成を示す機能ブロック図である。
【0022】
携帯電話機1は、検出部33と、制御部34とを備える。
検出部33は、表示部側筐体2と操作部側筐体3との開状態及び閉状態を検出する。以下では、表示部側筐体2と操作部側筐体3との開状態を「携帯電話機1の開状態」等といい、表示部側筐体2と操作部側筐体3との閉状態を「携帯電話機1の閉状態」等という場合がある。検出部33は、携帯電話機1が開状態になっているか、又は携帯電話機1が閉状態になっているかを検出することができるものであれば如何なるものであってもよい。具体的な一例としては、検出部33は、ホール素子と磁石とを利用するものであればよい。ホール素子は、操作部側筐体3に配置され、磁石は、表示部側筐体2に配置される。携帯電話機1が閉状態になった場合、ホール素子には、磁石による磁界に基づいて電界が誘起される。検出部33は、その電界を検出することに基づいて、表示部側筐体2と操作部側筐体3との閉状態を検出する。一方、検出部33は、電界を検出しない場合には、表示部側筐体2と操作部側筐体3との開状態を検出する。
【0023】
制御部34は、検出部33により開状態が検出された場合には、付加情報を第1の向きにして透明サブディスプレイ22に表示させるよう制御すると共に、メインディスプレイ21に主情報を表示させるよう制御する。また、制御部34は、検出部33により閉状態が検出された場合には、付加情報を、第1の向きを反転させた第2の向きにして透明サブディスプレイ22に表示させるよう制御する。
【0024】
付加情報とは、例えば、日付、時刻、基地局(図示せず)と携帯電話機1とを接続する電波の状態、携帯電話機1の各部に電力を供給する電源部35の状態(充電量)、メール受信、マナーモード設定、通話時間等の情報(文字や数字やアイコン)のことである。透明サブディスプレイ22に表示される付加情報は、任意に設定可能である。本実施形態において、透明サブディスプレイ22に表示される付加情報は、図1及び図2に示すように、左側から順に、充電量、電波の状態、時刻及びメール受信の情報である。携帯電話機1は、透明サブディスプレイ22に表示される付加情報を任意に設定可能としたことにより、ユーザにとって必要な付加情報をそのユーザに提供することができる。
また、主情報とは、例えば、携帯電話機1に登録される電話帳情報やスケジュール情報等のことである。
【0025】
制御部34は、検出部33により携帯電話機1の開状態が検出された場合には、図1に示すように、表示部側筐体2の上端部2d側を文字等の上方向とすると共に、表示部側筐体2の前面2a側から文字等を読むことができるようにして、付加情報を透明サブディスプレイ22に表示させるよう制御する。また、制御部34は、検出部33により携帯電話機1の開状態が検出された場合には、主情報をメインディスプレイ21に表示させるよう制御する。
【0026】
一方、制御部34は、検出部33により携帯電話機1の閉状態が検出された場合には、図2に示すように、表示部側筐体2の下端部2c側を文字等の上方向とすると共に、表示部側筐体2の背面2b側から文字等を読むことができるようにして、付加情報を透明サブディスプレイ22に表示させるよう制御する。また、制御部34は、検出部33により携帯電話機1の閉状態が検出された場合には、メインディスプレイ21をオフ状態(電源部35からメインディスプレイ21に電力を供給しない状態)にする。
【0027】
このような携帯電話機1は、検出部33により開状態が検出された場合には、制御部34が、表示部側筐体2の上端部2d側を文字等の上方向にして、付加情報を透明サブディスプレイ22に表示させるよう制御する一方、検出部33により閉状態が検出された場合には、制御部34が、表示部側筐体2の下端部2c側を文字等の上方向にして、付加情報を透明サブディスプレイ22に表示させるよう制御する。これにより、携帯電話機1は、開状態及び閉状態のいずれの場合でも透明サブディスプレイ22に付加情報を表示させることができ、透明サブディスプレイ22を有効に活用することができる。
【0028】
また、携帯電話機1は、表示部側筐体2の前面2a側から視認可能な2つの表示デバイス(透明サブディスプレイ22及びメインディスプレイ21)を備え、付加情報を透明サブディスプレイ22に表示し、主情報をメインディスプレイ21に表示するので、付加情報と主情報とが共にメインディスプレイに表示されるときに発生する付加情報と主情報との重なりを解消することができ、さらに、メインディスプレイ21を有効に活用することができる。
【0029】
携帯電話機1は、基地局(図示せず)との間で通信を行う通信部36を備える。
また、キー操作部31は、複数のキー311と、操作部側筐体3の内側に配置されて、キー311の照明となる発光部312とを備える。複数のキー311のうちの一部の第1キー311a(本実施形態では3つの第1キー311a)は、図3に示すように、表示部側筐体2と操作部側筐体3とが閉状態となる場合に、透明サブディスプレイ22に対向する位置に配置される。これにより、第1キー311aは、表示部側筐体2と操作部側筐体3とが閉状態となる場合に、透明サブディスプレイ22を介して視認可能となる。第1キー311aは、上記の入力キーや、上記の機能設定キーである。特に、本実施形態の場合、3つの第1キー311aのうちの2つは、電話機能を利用するためのオンフックキーと、メール機能を利用するためのメールキーであることが好ましい。
【0030】
第1キー311aの照明となる発光部312aは、1つの第1キー311aに対して1つ割り当てられる。また、第1キー311a以外のキー311の照明となる発光部312は、単数又は複数のキー311に対して1つ割り当てられる。発光部312は、例えば、発光ダイオード等から構成され、キー311の裏面側に配置される。
【0031】
第1キー311aに対応して配置された発光部312a(第1キー311aの照明となる発光部312a)は、通信部36により検知した電話の着信、通信部36により検知したメールの受信、及び電源部35における容量の状態のうち少なくとも1つを報知する。この発光部312aによる報知は、携帯電話機1が閉状態のときに行われることが好ましい。すなわち、電話の着信があった場合、制御部34は、着信したことをユーザに知らせるために、3つの第1キー311aのうちの所定の第1キー(上記のオンフックキー)に対応して配置された発光部312aを点滅させるよう制御する。
【0032】
また、メールを受信した場合、制御部34は、メールを受信したことをユーザに知らせるために、3つの第1キー311aのうちの所定の第1キーに対応して配置された発光部312aを点滅させるよう制御する。本実施形態の場合、透明サブディスプレイ22にメールを受信したことを表すアイコン(メール受信アイコン)が表示されるので、制御部34は、携帯電話機1が閉状態のときに、透明サブディスプレイ22に表示されるメール受信アイコンと平面視して重なる位置に配置される所定の第1キー311aの発光部312aを点滅させるよう制御してもよい。なお、この所定の第1キー311aは、上記のメールキーであることが好ましい。
【0033】
さらに、電源部35の容量が小さくなった場合(充電量が少なくなった場合)、制御部34は、充電量が少なくなったことをユーザに知らせるために、3つの第1キー311aのうちの所定の第1キーに対応して配置された発光部312aを点滅させるよう制御する。本実施形態の場合、透明サブディスプレイ22に充電量を表すアイコン(充電量アイコン)が表示されるので、制御部34は、携帯電話機1が閉状態のときに、充電量アイコンと平面視して重なる位置に配置される所定の第1キー311aの発光部312aを点滅させるよう制御してもよい。
【0034】
なお、第1キー311aに対応して配置される発光部312aは、複数の色を発光することができるものであってもよい。この場合、制御部34は、報知する内容に応じて、発光部312aから出射される光の色を変えるよう制御する。
【0035】
具体的な一例として充電量の報知を行う場合を説明すると、制御部34は、充電量に応じて、発光部312aから出射される光の色を変えるよう制御する。発光部312aは、緑色を発光する緑色発光ダイオードと、赤色を発光する赤色発光ダイオードとから構成される。制御部34は、充電量が十分にあるときには緑色発光ダイオードを発光させ、充電量が半分程度になったときには緑色発光ダイオード及び赤色発光ダイオードのそれぞれを発光させてオレンジ色の光を得て、充電量が少なくなったときには赤色発光ダイオードを発光させる。これにより、充電量の状態を容易に知らせることができる。
【0036】
このような携帯電話機1は、携帯電話機1が開状態の場合に、第1キー311aに対応して配置された発光部312aをその第1キー311aの照明として利用し、携帯電話機1が閉状態の場合に、第1キー311aに対応して配置された発光部312aを電話が着信したこと、メールを受信したこと又は電源部35の充電量についての報知手段として利用する。したがって、携帯電話機1は、第1キー311aに対応して配置される発光部312aの利用効率を高めることができる。
【0037】
なお、従来の携帯電話機は、上記の電話の着信等を報知する報知手段をキー(発光部)とは別に設ける必要があった。この点、本実施形態の携帯電話機1は、第1キー311aに対応して配置される発光部312aが報知手段を兼ねるため、携帯電話機1に搭載される部品の配置に余裕ができ、携帯電話機1の小型化にも寄与する。
【0038】
また、制御部34は、メインディスプレイ21において消費される電力が省電力化されるように、メインディスプレイ21を省電力モードに移行させることが可能である。制御部34は、メインディスプレイ21を省電力モードに移行させるよう制御した状態において、通信部36を利用して電話の通話が行われる場合には、透明サブディスプレイ22のみ表示を行わせる。
【0039】
すなわち、携帯電話機1が省電力モードに移行した場合、制御部34は、メインディスプレイ21については省電力化を行うよう制御し、透明サブディスプレイ22については省電力化を行わずに、透明サブディスプレイ22に付加情報を表示させるよう制御する。
【0040】
制御部34は、メインディスプレイ21がバックライト(図示せず)を備える場合(例えば、液晶ディスプレイの場合)において、メインディスプレイ21を省電力化するときには、例えば、バックライトを消灯させる又はバックライトの輝度を低くするよう制御すればよい。
また、制御部34は、メインディスプレイ21がバックライトを備えていない場合(例えば、有機ELディスプレイの場合)において、メインディスプレイ21を省電力化するときには、例えば、自発光素子(有機EL素子:図示せず)への電力供給を停止し又は自発光素子へ供給される電力を小さくするよう制御すればよい。
【0041】
このような携帯電話機1は、省電力モードに移行した場合、メインディスプレイ21の省電力を行う一方、透明サブディスプレイ22には付加情報を表示させ続けるので、透明サブディスプレイ22の利用効率を高めることができる。
【0042】
また、携帯電話機1は、メインディスプレイ21と透明サブディスプレイ22とのそれぞれを備えるので、メインディスプレイ21が省電力化されている場合でも、ユーザがキー操作部31を操作することなく、電波状態、充電量、通話時間等の付加情報をユーザに知らせることができる。すなわち、携帯電話機1は、消費電力を配慮しながらもいつでも付加情報を確認させることができる。
【0043】
次に、上述した携帯電話機1の動作について説明する。
まず、電話の発着信やメールの送受信等の種々の処理の発生を携帯電話機1が待ち受けている場合に、透明サブディスプレイ22に表示される付加情報を更新するときの携帯電話機1の動作について説明する。図5は、透明サブディスプレイ22に表示される付加情報を更新する場合の携帯電話機1の動作について説明するためのフローチャートである。
【0044】
ステップS101において、制御部34は、透明サブディスプレイ22に表示される時計の時刻が進むことにより、時計表示の更新が必要であるか否かを判断する。時計表示の更新が必要な場合(Yes)には、ステップS104に進む。時計表示の更新が必要ではない場合(No)には、ステップS102に進む。
【0045】
ステップS102において、制御部34は、電源部35の充電量が変わることにより、透明サブディスプレイ22に表示される充電量アイコン(バッテリピクト)の更新が必要であるか否かを判断する。バッテリピクトの更新が必要な場合(Yes)には、ステップS104に進む。バッテリピクトの更新が必要ではない場合(No)には、ステップS103に進む。
【0046】
ステップS103において、制御部34は、基地局(図示せず)と携帯電話機1とを接続する電波の状態が変わることにより、透明サブディスプレイ22に表示される電波の状態を表すアイコン(アンテナピクト)の更新が必要であるか否かを判断する。アンテナピクトの更新が必要な場合(Yes)には、ステップS104に進む。アンテナピクトの更新が必要ではない場合(No)には、ステップS101に戻る。
【0047】
ステップS104において、制御部34は、ステップS101、ステップS102又はステップS103により更新が必要である判断された付加情報について、更新された付加情報(更新後の表示用データ)を作成する。
【0048】
ステップS105において、制御部34は、携帯電話機1が開状態であるか否かを判断する。携帯電話機1が開状態である場合(Yes)には、ステップS106に進む。携帯電話機1が開状態ではない場合(No)には、ステップS107に進む。
【0049】
ステップS106において、制御部34は、ステップS104の処理により作成された表示用データを透明サブディスプレイ22に表示させるよう、透明サブディスプレイ22の付加情報を更新する。このとき、制御部34は、表示部側筐体2の上端部2d側を付加情報(文字等)の上方向とすると共に、表示部側筐体2の前面2a側から文字等を読むことができるようにして、その付加情報を透明サブディスプレイ22に表示(反転表示)させる。
【0050】
ステップS107において、制御部34は、ステップS104の処理により作成された表示用データを透明サブディスプレイ22に表示させるよう、透明サブディスプレイ22の付加情報を更新する。このとき、制御部34は、表示部側筐体2の下端部2c側を付加情報(文字等)の上方向とすると共に、表示部側筐体2の背面2b側から文字等を読むことができるようにして、その付加情報を透明サブディスプレイ22に表示(通常表示)させる。
これにより、携帯電話機1は、開状態及び閉状態のいずれの場合でも透明サブディスプレイ22に付加情報を表示させることができ、透明サブディスプレイ22を有効に活用することができる。
【0051】
次に、通話を開始した場合に、通話時間の表示制御を行うときの携帯電話機1の動作について説明する。図6は、通話時間の表示制御を行うときの携帯電話機1の動作について説明するためのフローチャートである。
【0052】
ステップS201において、制御部34は、メインディスプレイ21が省電力中であるか否かを判断する。すなわち、制御部34は、メインディスプレイ21の省電力化を行うための制御をしているか否か判断する。メインディスプレイ21が省電力中の場合(Yes)には、ステップS202に進む。メインディスプレイ21が省電力中ではない場合(No)には、ステップS203に進む。
【0053】
ステップS202において、制御部34は、通話時間を透明サブディスプレイ22に表示するよう制御する。
ステップS203において、制御部34は、通話時間をメインディスプレイ21に表示するよう制御する。
これにより、携帯電話機1は、消費電力を配慮しながらもいつでも通話時間をユーザに確認させることができる。
【0054】
なお、上述した実施形態では、メインディスプレイ21及び透明サブディスプレイ22の2つの表示デバイスを備える携帯電話機1について説明した。しかしながら、本発明は、この実施形態に限定されることはない。すなわち、携帯電話機は、1つの表示デバイスを備え、その表示デバイスのうちの一部の領域をメインディスプレイとし、他の領域を透明サブディスプレイとしてもよい。
【0055】
また、上述した実施形態では、本発明が携帯電話機1に適用される場合を例示して説明した。しかしながら、本発明は、この実施形態に限定されることはなく、例えば、PHS(Personal Handyphone System)等の携帯端末にも適用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 携帯電話機(携帯端末)
2 表示部側筐体(第1筐体)
21 メインディスプレイ
22 透明サブディスプレイ
33 検出部
34 制御部
311a 第1キー
312 発光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインディスプレイと、透明サブディスプレイと、一方の面及び他方の面のそれぞれから前記透明サブディスプレイを視認可能にするために配置された開口部とを有する第1筐体と、
キー操作部を有する第2筐体と、
前記第1筐体の一方の端部と前記第2筐体の他方の端部とを結合する共に、当該結合部分に形成される回転軸を中心にして前記第1筐体を前記第2筐体に対して相対的に回転させることにより、前記第1筐体と前記第2筐体とを開状態又は閉状態に遷移可能にするヒンジ部と、
前記第1筐体と前記第2筐体との開状態及び閉状態を検出する検出部と、
前記検出部により開状態が検出された場合には、付加情報を第1の向きにして前記透明サブディスプレイに表示させるよう制御すると共に、前記メインディスプレイに主情報を表示させるよう制御し、前記検出部により閉状態が検出された場合には、付加情報を、第1の向きを反転させた第2の向きにして前記透明サブディスプレイに表示させるよう制御する制御部と、を備える携帯端末。
【請求項2】
通信部と、
電源部と、をさらに備え、
前記キー操作部は、複数のキーと、前記第2筐体の内側に配置されて、前記キーの照明となる発光部とを備え、
前記複数のキーのうちの一部の第1キーは、前記第1筐体と前記第2筐体とが閉状態となる場合に、前記透明サブディスプレイに対向する位置に配置され、
前記第1キーに対応して配置された発光部は、前記通信部により検知した電話の着信、前記通信部により検知したメールの受信、及び前記電源部における容量の状態のうち少なくとも1つを報知する請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記制御部は、
前記メインディスプレイにおいて消費される電力が省電力化されるように、前記メインディスプレイを省電力モードに移行させることが可能であり、
前記メインディスプレイを省電力モードに移行させるよう制御した状態において、前記通信部を利用して電話の通話が行われる場合には、前記透明サブディスプレイのみ表示を行わせる請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記透明サブディスプレイは、前記第1筐体において、前記メインディスプレイよりも、一方の端部側、又は前記一方の端部とは反対の他方の端部側に配置される請求項1から3のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記付加情報は、任意に設定可能である請求項1から4のいずれか1項に記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−155439(P2011−155439A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15098(P2010−15098)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】