説明

携帯端末

【課題】回路基板の基材に実装された枠部材に対して蓋部材を確実に固定できるとともに、容易に取り外せる携帯端末を提供する。
【解決手段】携帯端末10は、回路基板23の電子部品24を囲む枠部材25と、枠部材を覆う蓋部材26と、枠部材25の壁部31に設けられた凹部38と、蓋部材26の被覆部52に設けられて壁部に接触する第1接触部57および第2接触部58とを備えている。第1接触部は、蓋部材26の天板部51に対面する第1面61と、壁部に対面する第2面62とが交差する角部63を有し、角部63が凹部の表面38aに接触する。第2接触部58は、第1接触部57よりも回路基板23側、かつ、第1接触部57よりも枠部材25の中心35に近い位置に接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材に実装された電子部品が枠部材で囲まれ、枠部材が蓋部材に覆われた回路基板を用いた携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の携帯端末において、筐体に収容された回路基板は、板状の基材に複数の電子部品が実装されている。
回路基板は、これらの電子部品のうち、電気的にシールドすべき電子部品を囲むように枠部材が基材に実装されているとともに、枠部材の上部が蓋部材により覆われている。
【0003】
蓋部材は、枠部材に対してシールド性能を実現するために確実に固定できるとともに、電子部品に不具合が生じた場合の補修のために、枠部材から容易に取り外せる構造が好ましい。
前述した要望を満たすために、枠部材の壁部の外面に凸部を設けておくとともに、蓋部材において壁部を覆う被覆部に開口部あるいは凹部を設けておき、凸部および凹部を相互に係合させる構造が多用されている(例えば特許文献1、2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−127965号公報
【特許文献2】特開2003−179377号公報
【特許文献3】実開平5−63098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、前述した枠部材は、基材に対する実装強度を向上させるために、壁部の外面における基材側に面状の脚部が設けられている。
脚部は、あらかじめ壁部の外面に脚部となるべきリブを設けておき、リブを壁部の外面から所定位置において切除することにより形成される。
【0006】
近年、基材における電子部品の実装密度を向上させるために、すなわち、基材における電子部品の実装可能面積を増やすために、壁部の外面に対する脚部の突出寸法を小さくする傾向にある。
このような脚部を形成するにあたっては、リブを切除する工具が枠部材の壁部に対して極めて近い位置を通過する。
【0007】
このため、枠部材の壁部の外面に設ける凸部は、リブを部分的に切除する工具との干渉を避けるため、突出寸法を極めて小さく設定せざるを得ない。
凸部の突出寸法が小さいと、枠部材に対する蓋部材の固定強度を確保できず、枠部材から蓋部材が外れやすくなる。
【0008】
これに対して、前述した凸部および凹部の位置関係を逆転させた構造、すなわち、枠部材の壁部の外面に凹部を設けておくとともに、蓋部材の被覆部に凸部を設けておく構造が考えられる。
しかしながら、この構造では、枠部材の内側において基材に実装される電子部品との干渉を避けるために、枠部材の壁部に凹部を設けるための壁部の内面側への突出寸法に上限があり、枠部材に対する蓋部材の固定強度を確保し難いという課題がある。
【0009】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、回路基板の基材に実装された枠部材に対して蓋部材を確実に固定できるとともに、容易に取り外せる携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る携帯端末は、回路基板と、前記回路基板に実装された電子部品を囲む枠部材と、前記枠部材の上部開口を覆う天板部および前記枠部材の壁部を覆う被覆部を有する蓋部材と、前記壁部に設けられた凹部と、前記被覆部における前記壁部側の側面に設けられて前記凹部に接触する第1接触部および第2接触部とを備え、前記第1接触部が、角部を有し、前記角部が前記凹部の表面に接触し、前記第2接触部が、前記壁部に対して前記第1接触部よりも前記回路基板側、かつ、前記第1接触部よりも前記枠部材の中心に近い位置に接触することを特徴とする。
【0011】
ここで、第1接触部および第2接触部としては、被覆部の一部を変形させることにより被覆部と一体に成形してもよく、あるいは平坦な被覆部に対して別部材を取り付けることにより成形してもよい。
また、角部としては、例えば天板部に対面する第1面と、壁部に対面する第2面とが交差する稜線等を例示できる。従って、角部とは、凹部に対して点接触あるいは線接触する部位である。
【0012】
本発明においては、被覆部に設けられた第1接触部および第2接触部が凹部に接触するとともに、第2接触部が第1接触部よりも回路基板側で、かつ、第1接触部よりも枠部材の中心に近い位置に接触するため、第1接触部を支点として枠部材の中央部とは反対側の方向に第2接触部を押し出す反力が生じ、これに従って角部が食い込むように第1接触部を凹部に強く押し付ける力が生じることになる。
【0013】
すなわち、本発明においては、枠部材に対して蓋部材を確実に固定できるとともに、枠部材から第2接触部が離れるように被覆部を使用者が操作することにより、枠部材に対する蓋部材の固定を容易に解除できることになる。
【0014】
また、本発明においては、第1接触部および第2接触部の協働により枠部材に対して蓋部材を固定するため、壁部の内側における凹部の突出寸法が小さくとも枠部材に対して蓋部材を確実に固定できる。
従って、本発明においては、枠部材に対して蓋部材を固定するために、壁部の凹部に被覆部の凸部を係合させる従来の構造に比較して、壁部の内側における凹部の突出寸法を最小値に設定でき、枠部材の内側における電子部品の実装密度を向上できることになる。
【0015】
また、本発明は、前記第1接触部が、前記被覆部の一部を切り起こすことにより形成されていることを特徴とする。
【0016】
本発明においては、被覆部および第1接触部が一体に形成されているため、第1接触部として別体の部材を被覆部に取り付ける必要がなく、構成の簡素化が図れる。
【0017】
さらに、本発明は、前記第1接触部から前記天板部側に開口が設けられていることを特徴とする。
【0018】
本発明においては、第1接触部から天板部側に開口が設けられているため、第1接触部を形成するために被覆部に切り起こし加工を施した際、開口が設けられていない場合と異なり、第1接触部の第1面にバリが生じ難い。
すなわち、本発明においては、第1接触部の角部が明確に形成されるため、角部が凹部に対して確実に食い込み、これにより枠部材に対して蓋部材を確実に固定できる。
【0019】
また、本発明は、前記凹部が球面を有しているとともに、前記被覆部が前記第1接触部から前記第2接触部まで連続する凸状の球面を有していることを特徴とする。
【0020】
本発明においては、凹部および第2接触部が球面を有しているため、凹部および第2接触部の相対位置にずれが生じていても、確実に凹部および第2接触部が接触することになる。
【0021】
さらに、本発明は、前記凹部の曲率半径よりも前記被覆部に設けられた凸状の球面の曲率半径が大きいことを特徴とする。
【0022】
本発明においては、凹部の曲率半径よりも被覆部に設けられた凸状の球面の曲率半径が大きいため、凹部に対して凸状の球面が面接触しないことになる。
従って、本発明においては、第1接触部が凹部におけるアンダーカット領域、すなわち凹部における枠部材から蓋部材が外れる方向に向かう領域および外れる方向に沿う領域に接触するとともに、第2接触部が凹部におけるアンダーカット領域以外の領域に接触する。
【0023】
すなわち、本発明においては、凹部に対して第1接触部および第2接触部が離れた位置で接触するため、前述したように第1接触部を支点として第2接触部を押し出す反力が確実に生じるとともに、これに従って角部が食い込むように第1接触部を凹部に強く押し付ける力が生じることになる。
【0024】
また、本発明は、前記枠部材の前記壁部における前記回路基板側の縁部に前記枠部材の中心とは反対側に突出する脚部を有し、前記枠部材が前記脚部を介して前記回路基板に接触していることを特徴とする。
【0025】
本発明においては、壁部の側縁に脚部が設けられているため、回路基板に枠部材を強固に取り付けることができる。
【0026】
さらに、本発明は、回路基板と、前記回路基板に実装された電子部品を囲む枠部材と、前記枠部材の上部開口を覆う天板部および前記枠部材の壁部を覆う被覆部とを有する蓋部材と、前記壁部に設けられた凹部と、前記被覆部における前記壁部側の側面に設けられて前記壁部に接触する第1接触部および第2接触部とを備え、前記第1接触部が、角部を有し、前記角部が前記凹部の表面に接触し、前記第2接触部が、前記壁部に対して前記第1接触部よりも前記回路基板側において当該第2接触部を前記枠部材の中央部とは反対側の方向に押し出す反力が生じる位置に接触することを特徴とする。
【0027】
本発明においては、第1接触部を支点として枠部材の中央部とは反対側の方向に第2接触部を押し出す反力が生じ、これに従って角部が食い込むように第1接触部を凹部に強く押し付ける力が生じるため、枠部材に対して蓋部材を確実に固定できるとともに、枠部材から第2接触部が離れるように被覆部を使用者が操作することにより、枠部材に対する蓋部材の固定を容易に解除できることになる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の携帯端末によれば、回路基板の基材に実装された枠部材に対して蓋部材を確実に固定できるとともに、容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る第1実施形態の携帯端末を示す斜視図
【図2】第1実施形態の携帯端末を示す分解斜視図
【図3】第1実施形態の枠部材および蓋部材を示す斜視図
【図4】第1実施形態の枠部材および蓋部材を破断した状態を示す斜視図
【図5】第1実施形態の携帯端末を示す断面図
【図6】第1実施形態の枠部材および蓋部材を示す断面図
【図7】図6の枠部材および蓋部材を分解した状態を示す断面図
【図8】第1実施形態の枠部材から蓋部材を外す例を説明する断面図
【図9】本発明に係る第2実施形態の携帯端末の回路基板を示す断面図
【図10】本発明に係る第3実施形態の携帯端末の回路基板を示す断面図
【図11】本発明に係る第4実施形態の携帯端末の回路基板を示す断面図
【図12】本発明に係る第5実施形態の携帯端末の回路基板を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の複数の実施の形態に係る携帯端末について図面を参照して説明する。
【0031】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る携帯端末10について説明する。
図1に示すように、携帯端末10は、上部筐体11と、上部筐体11に連結部材13を介して回動自在に連結された下部筐体12とを備え、連結部材13を介して上部筐体11および下部筐体12を相対的に移動させることにより、上部筐体11および下部筐体12が互いに積層した状態と、上部筐体11および下部筐体12が離間配置される伸長状態(図示の状態)とを選択可能に構成されている。
【0032】
上部筐体11は、表面カバー11aに表示部15が設けられ、表示部15の上方に受話部16が設けられている。
下部筐体12は、表面カバー12aに操作部17および送話部18が備えられている。
【0033】
図2、図3に示すように、上部筐体11は、表面カバー11aと裏カバー11b(図1参照)との間に設けられた回路基板(基材)23と、回路基板23に実装された複数の電子部品24を囲む枠部材25と、枠部材25を覆う蓋部材26とを備えている。
回路基板23は、実装面23aに複数の電子部品24が実装されている。
【0034】
枠部材25は、一例として、平面視で略矩形状に形成された壁部31と、壁部31の上端部31aに設けられた上折曲部32と、壁部31の基端部(縁部)31bに設けられた脚部(下折曲部)33とを有する。
脚部33は、枠部材25の壁部31における回路基板23側の基端部31bに枠部材25の中心35側(中央部側)とは反対側に突出する部位である。
【0035】
そして、枠部材25は、脚部33を介して回路基板23の実装面23aに接触されている(設けられている)。
脚部33を壁部31の基端部31bに設けることで、回路基板23の実装面23aに対する接触面積を確保できる。
よって、脚部33が回路基板23の実装面23aに沿わせた状態に設けられ、回路基板23に枠部材25を強固に取り付けることができる。
【0036】
図4〜図6に示すように、壁部31は、蓋部材26を保持する凹部38が設けられている。
この凹部38は、後述する被覆部52の第1接触部57および第2接触部58が接触する球面を有している。
【0037】
具体的には、図6に示すように、凹部38は、壁部31の上端部31a側に設けられた半径(曲率半径)R1の上球面41と、上球面41の下側に設けられた半径(曲率半径)R2の中央球面42と、中央球面42の下側に設けられた半径(曲率半径)R3の下球面43とを有する。
なお、一例として、半径R1、半径R2および半径R3は、R1<R2、R1=R3の関係が成立している。
【0038】
上球面41は、上球面41の中心位置41aから壁部31に向けて実装面23aと平行に延びた直線46と壁部31との交点P1から上球面41および中央球面42の交点(接触点)P2まで球面状に連続する範囲の面である。
【0039】
中央球面42は、上球面41および中央球面42の交点(接触点)P2から中央球面42および下球面43の交点(接触点)P3まで球面状に連続する範囲の面である。
この中央球面42は、上球面41側の上半部42aと、下球面43側の下半部42bとを有する。
【0040】
下球面43は、中央球面42および下球面43の交点(接触点)P3から下球面43の中心位置43aから壁部31に向けて実装面23aと平行に延びた直線48と壁部31との交点(接触点)P4まで球面状に連続する範囲の面である。
上球面41の中心位置41aおよび下球面43の中心位置43a間の間隔が、凹部38の間隔Hである。
【0041】
蓋部材26は、枠部材25の上部開口49を覆う天板部51と、枠部材25の壁部31を覆う被覆部52(図4、図5も参照)とを有する。
被覆部52は、壁部31側の内側面(側面)52aに設けられた凸状の球面54を有し、凸状の球面54の上部54aから天板部51側に開口56が設けられ、凸状の球面54に第1接触部57および第2接触部58を有する。
開口56は、第1接触部57から天板部51側に向けて設けられている。よって、後述するように、第1接触部57の第1面61が開口56の下縁56aで形成される。
【0042】
凸状の球面54は、第1接触部57から第2接触部58まで連続する面である。そして、凸状の球面54は、凹部38の曲率半径R2よりも曲率半径R4が大きい球面である。
以上説明したように、凹部38および第2接触部58が球面を有しているため、凹部38および第2接触部58の相対位置にずれが生じていても、確実に凹部38および第2接触部58を接触することができる。
【0043】
加えて、凹部38の曲率半径R2よりも被覆部52に設けられた凸状の球面54の曲率半径R4が大きいため、凹部38に対して凸状の球面54が面接触しないことになる。
従って、第1接触部57が凹部38におけるアンダーカット領域(上球面41および中央球面42の上半部42a)に接触するとともに、第2接触部58が凹部38におけるアンダーカット領域以外の領域(下球面43および中央球面42の下半部42b)に接触する。
アンダーカット領域である上球面41および上半部42aは、凹部38における枠部材25から蓋部材26が外れる方向に向かう領域および外れる方向に沿う領域である。
【0044】
図7に示すように、第1接触部57は、角部63(図6も参照)を有し、角部63が凹部38の表面38aのうち第1接触位置65に接触する部位である。
角部63は、天板部51に対面する第1面61と、壁部31に対面する第2面62とが交差する稜線であり、凹部38に対して点接触あるいは線接触する。
この第1接触部57は、球面状の凹部38の表面38aに凸状の球面54を接触させることで第1接触位置65に角部63が接触する。
【0045】
第1接触部57の第1面61は、前述したように、開口56の下縁56aで形成される面である。
よって、第1接触部57を被覆部52の一部で形成できるので、第1接触部57および第2接触部58として別途、別体の部材を被覆部52に取り付ける必要がなく、構成の簡素化が図れる。
【0046】
ここで、被覆部52の上部52cから天板部51側までの範囲において開口56が打抜きで形成されている。よって、第1接触部57を形成するために被覆部52に切り起こし加工を施した際、開口56が設けられていない場合と異なり、第1接触部57の第1面61にバリが生じ難くできる。
すなわち、第1面61にバリを生じ難くすることで、第1接触部57の角部63が明確に形成されるため、角部63が凹部38に対して確実に食い込み、これにより枠部材25に対して蓋部材26を確実に固定できる。
【0047】
第2接触部58は、凹部38の表面38aのうち、壁部31に対して第1接触部57よりも回路基板23側、かつ、第1接触部57よりも枠部材25の中心35(図2参照)に距離Sだけ近い位置66(以下、「第2接触位置66」という)に接触する部位である。
この第2接触部58は、球面状の凹部38の表面38aに凸状の球面54を接触させることで第2接触位置66に接触されている。
【0048】
この第2接触部58は、壁部31に対して第1接触部57よりも回路基板23側において第2接触部58を枠部材25の中心35(中央部)とは反対側の方向に押し出す反力F1が生じる位置に接触する部位である。
【0049】
このように、第2接触部58が第2接触位置66に接触することにより、第1接触部57を支点として第2接触部58を枠部材25の中央部(中心35(図2参照))とは反対側の方向に押し出す反力F1が生じ、この反力F1の分力F2を第1接触部57に向けて発生させることができる。
分力F2を第1接触部57に向けて発生させることで、角部63が食い込むように第1接触部57を第1接触位置65に強く押し付けることができる。
【0050】
このように、第1接触部57および第2接触部58の協働により枠部材25に対して蓋部材26を固定するため、壁部31の内側における凹部38の突出寸法が小さくとも枠部材25に対して蓋部材26を確実に固定できる。
従って、枠部材25に対して蓋部材26を固定するために、従来の構造(すなわち、壁部の凹部に被覆部の凸部を係合させる従来の構造)に比較して、壁部31の内側における凹部38の突出寸法を最小値に設定でき、枠部材25の内側における電子部品24の実装密度を向上できる。
【0051】
加えて、前述したように、第1接触部57が凹部38におけるアンダーカット領域(上球面41および中央球面42の上半部42a)に接触するとともに、第2接触部58が凹部38におけるアンダーカット領域以外の領域(下球面43および中央球面42の下半部42b)に接触する(図6参照)。
すなわち、凹部38に対して第1接触部57および第2接触部58が離れた位置で接触するため、前述したように第1接触部57を支点として第2接触部58を押し出す反力F1が確実に生じるとともに、これに従って角部63が食い込むように第1接触部57を凹部38に強く押し付ける力が生じる。
【0052】
つぎに、枠部材25から蓋部材26を外す例を図8に基づいて説明する。
図8に示すように、枠部材25に対して蓋部材26が確実に固定された状態において、被覆部52の下端52b(回路基板23側端部)を作業者が壁部31から離れるように矢印A方向に湾曲変形させる。
被覆部52の下端52bを湾曲変形することで、第2接触部58を壁部31(すなわち、凹部38の第2接触位置66)から離す。
【0053】
第2接触部58を第2接触位置66から離すことで、第1接触部57が凹部38の第1接触位置65から離れ、枠部材25に対する蓋部材26の固定が解除される。
これにより、枠部材25に対して蓋部材26が確実に固定されるとともに、作業者が蓋部材26に対して所定の操作をおこなうことにより枠部材25から蓋部材26を容易に取り外すことが可能になり、取外し性の向上を図ることができる。
【0054】
すなわち、第1実施形態においては、枠部材25に対して蓋部材26を確実に固定できるとともに、枠部材25から第2接触部58が離れるように被覆部52を使用者が操作することにより、枠部材25に対する蓋部材26の固定を容易に解除できる。
【0055】
つぎに、第2実施形態〜第5実施形態を図9〜図12に基づいて説明する。
なお、第2実施形態〜第5実施形態において第1実施形態の携帯端末10と同一・類似部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【0056】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る回路基板70について説明する。
図9に示すように、第2実施形態の回路基板70は、第1接触部71が、被覆部52の一部(具体的には、凸状の球面54の上部54a)を壁部31側に切り起こすことにより形成されたもので、その他の構成は第1実施形態の携帯端末10の回路基板23と同様である。
【0057】
凸状の球面54の上部(被覆部の一部)54aを壁部31側に切り起こすことにより、上部54aが被覆部52から壁部31側に押し出される。
よって、上部54aが被覆部52から切断され、天板部51に対面する第1面72が形成される。
第1接触部71は、第1面72と、壁部31に対面する第2面62とが交差する角部73を有し、角部73が凹部38の表面38aのうち第1接触位置65に接触する。
【0058】
第2実施形態によれば、凸状の球面54の上部54aを壁部31側に切り起こすことにより第1面72(すなわち、第1接触部71)が形成される。
よって、第1接触部71を被覆部52の一部を用いて形成できるので、第1接触部71および第2接触部58を被覆部52を利用して形成することができる。
このように、被覆部52および第1接触部71が一体に形成されているため、第1接触部71および第2接触部58として別途、別体の部材を被覆部52に取り付ける必要がなく、構成の簡素化が図れる。
すなわち、第2実施形態の回路基板70によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0059】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る回路基板80について説明する。
図10に示すように、第3実施形態の回路基板80は、第1接触部81および第2接触部82を平坦な被覆部52に別途、別体の部材として取り付けたもので、その他の構成は第1実施形態の携帯端末10の回路基板23と同様である。
【0060】
第1接触部81は、平坦な被覆部52のうち壁部31側の内側面52aに、壁部31に突出するように設けられ、凹部38の第1接触位置65に接触する角部84を有する突部である。
第2接触部82は、平坦な被覆部52のうち壁部31側の内側面52aで、かつ、第1接触部81の下方に、壁部31に突出するように設けられ、凹部38の第2接触位置66に接触する突部である。
【0061】
第3実施形態の回路基板80によれば、第1接触部81および第2接触部82を平坦な被覆部52に別途、別体の部材として取り付けることで、第1接触部81を第1接触位置65に接触する位置に一層確実に設けるとともに、第2接触部82を第2接触位置66に接触する位置に一層確実に設けることができる。
これにより、第1接触部81の第1接触位置65に対する位置決めが容易になるとともに、第2接触部82の第2接触位置66に対する位置決めを容易にできる。
【0062】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る回路基板90について説明する。
図11に示すように、第4実施形態の回路基板90は、壁部31の凹部91を断面略コ字状に形成したもので、その他の構成は第1実施形態の携帯端末10の回路基板23と同様である。
【0063】
凹部91は、回路基板23の実装面23aに対して平行に延びる上水平面92と、上水平面92に対して実装面23a側に設けられた下水平面93と、上水平面92および下水平面93を連結するとともに実装面23aに対して垂直に延びる垂直面94とを有する。
【0064】
上水平面92および下水平面93は、凹部91の表面91aのうち、枠部材25から被覆部52が外れる方向(回路基板23に沿う方向)に向かう領域である。
垂直面94は、枠部材25に被覆部52が沿う方向(回路基板23に直交する方向)の領域である。
上水平面92、下水平面93および垂直面94で断面略コ字状に形成されている。
【0065】
上水平面92および垂直面94は、第1接触部57の角部63が接触する第1接触位置96を有する。
また、下水平面93および垂直面94は、第2接触部58が接触する第2接触位置97を有する。
第2接触位置97は、第1接触位置96に対して実装面23a側に設けられている。
【0066】
第4実施形態の回路基板90によれば、第1接触部57を第1接触位置96に接触させるとともに、第2接触部58を第2接触位置97に接触させることで、第2接触位置97から第2接触部58に作用する反力を利用して第1接触部57を第1接触位置96に確実に固定できる。
すなわち、第4実施形態の回路基板90によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0067】
(第5実施形態)
第5実施形態に係る回路基板100について説明する。
図12に示すように、第5実施形態の回路基板100は、枠部材25の壁部31を裾広がりの傾斜状に形成するとともに、蓋部材26の被覆部52を裾広がりの傾斜状に形成したもので、その他の構成は第1実施形態の携帯端末10の回路基板23と同様である。
【0068】
壁部31は、回路基板23の実装面23aに対してθ傾斜させることで、裾広がりに傾斜した状態に設けられている。
被覆部52は、壁部31と同様に、回路基板23の実装面23aに対してθ傾斜させることで、裾広がりに傾斜した状態に設けられている。
【0069】
ここで、第2接触部58が第2接触位置66に接触することにより、第2接触位置66から第2接触部58に作用する反力F1が生じ、この反力F1の分力F2を第1接触部57に向けて発生させることができる。
分力F2を第1接触部57に向けて発生させることで、第1接触部57を第1接触位置65に強く押し付けることができ、枠部材25に対して蓋部材26を確実に固定できる。
【0070】
よって、壁部31および被覆部52を回路基板23の実装面23aに対してθ傾斜させて裾広がりに傾斜した状態に設けた場合でも、枠部材25に対して蓋部材26を確実に固定できる。
これにより、枠部材25および蓋部材26の設計の自由度を高めることができる。
【0071】
なお、本発明に係る携帯端末10は、前述した第1実施形態〜第5実施形態に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、第1実施形態〜第5実施形態で使用した回路基板23、電子部品24、枠部材25、蓋部材26、壁部31、脚部33、凹部38,91、凹部の表面38a,91a、上部開口49、天板部51、被覆部52、内側面52a、凸状の球面54、凸状の球面の上部54a、開口56、第1接触部57,71,81、第2接触部58,82、第1面61,72、第2面62および角部63,73,84などの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
10 携帯端末
23,70,80,90,100 回路基板
24 電子部品
25 枠部材
26 蓋部材
31 壁部
31b 基端部(縁部)
33 脚部
35 枠部材の中心(中央部)
38,91 凹部
38a,91a 凹部の表面
49 上部開口
51 天板部
52 被覆部
52a 内側面(側面)
54 凸状の球面
54a 凸状の球面の上部(被覆部の一部)
56 開口
57,71,81 第1接触部
58,82 第2接触部
61,72 第1面
62 第2面
63,73,84 角部
F1 反力
F2 分力
R2 凹部の曲率半径
R4 凸状の球面の曲率半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
前記回路基板に実装された電子部品を囲む枠部材と、
前記枠部材の上部開口を覆う天板部および前記枠部材の壁部を覆う被覆部を有する蓋部材と、
前記壁部に設けられた凹部と、
前記被覆部における前記壁部側の側面に設けられて前記凹部に接触する第1接触部および第2接触部とを備え、
前記第1接触部が、角部を有し、前記角部が前記凹部の表面に接触し、
前記第2接触部が、前記壁部に対して前記第1接触部よりも前記回路基板側、かつ、前記第1接触部よりも前記枠部材の中心に近い位置に接触する携帯端末。
【請求項2】
前記第1接触部が、前記被覆部の一部を切り起こすことにより形成されている請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記第1接触部から前記天板部側に開口が設けられている請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記凹部が球面を有しているとともに、前記被覆部が前記第1接触部から前記第2接触部まで連続する凸状の球面を有している請求項1に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記凹部の曲率半径よりも前記被覆部に設けられた凸状の球面の曲率半径が大きい請求項4に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記枠部材の前記壁部における前記回路基板側の縁部に前記枠部材の中心とは反対側に突出する脚部を有し、
前記枠部材が前記脚部を介して前記回路基板に接触している請求項1に記載の携帯端末。
【請求項7】
回路基板と、
前記回路基板に実装された電子部品を囲む枠部材と、
前記枠部材の上部開口を覆う天板部および前記枠部材の壁部を覆う被覆部とを有する蓋部材と、
前記壁部に設けられた凹部と、
前記被覆部における前記壁部側の側面に設けられて前記壁部に接触する第1接触部および第2接触部とを備え、
前記第1接触部が、角部を有し、前記角部が前記凹部の表面に接触し、
前記第2接触部が、前記壁部に対して前記第1接触部よりも前記回路基板側において当該第2接触部を前記枠部材の中央部とは反対側の方向に押し出す反力が生じる位置に接触する携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−49726(P2011−49726A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195090(P2009−195090)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】