説明

携帯通信端末

【課題】据え置いた状態で表示画面が見やすく、かつ、その表示画面を閉状態で保護しながら見ることが可能な携帯通信端末を提供する。
【解決手段】第1の筐体1と、第1の筐体1に重なった閉状態で第1の筐体1に面する面の裏面に、画面表示部21を備えた第2の筐体2と、閉状態で画面表示部21に重なる部分に透明部31を備えた画面カバー部3と、画面カバー部3を回転可能に第1の筐体1に連結したヒンジ部4と、第2の筐体2をヒンジ部4に連結し、ヒンジ部4を中心に回転するリンク部と、第2の筐体2の一端を、回転と第1の筐体1に沿ったスライド移動との並行動作可能に第1の筐体1に連結した第1のスライド機構5と、第2の筐体2の他端を、回転と画面カバー部3に沿ったスライド移動との並行動作可能に画面カバー部3に連結した第2のスライド機構6と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機に代表される携帯通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機に代表される携帯通信端末の開閉方式として、折り畳み式とスライド式が知られている。スライド式携帯電話機は、一般的に、画面表示部を備えた一方の筐体を、他方の筐体に対してスライド移動させることによって、開状態と閉状態とを切り換えている。このようなスライド式携帯電話機が特許文献1に開示されている。
【0003】
図5は、特許文献1に開示されたスライド式携帯電話機の構成を示す斜視図である。
【0004】
図5に示すスライド式携帯電話機100には、上部筐体400と下部筐体500とを連結する接続腕部700が設けられている。上部筐体400の表面には、表示機能を備えた液晶600が設けられている。下部筐体500の後端部には、伸縮可能なアンテナ200が設けられている。スライド式携帯電話機100では、図5(a)に示す閉状態から接続腕部700が回転すると、図5(b)に示すようにアンテナ200が伸びるとともに、上部筐体400の先端部が下部筐体500に沿って移動する。そして、スライド式携帯電話機100は、最終的に図5(c)に示すような開状態となる。
【0005】
スライド式携帯電話機100によれば、上部筐体400のスライド移動に連動してアンテナ200を伸縮させることによって、アンテナ200の伸縮作業を省くことが可能になる。また、上部筐体400が下部筐体500に対して傾斜した状態に変位するので、スライド式携帯電話機100を、例えば机の上に据え置いた状態で液晶600の表示画面が見やすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−298695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されたスライド式携帯電話機100は、据え置いた状態で表示画面が見やすくなるが、上部筐体400の開閉状態にかかわらず液晶600が露出している。そのため、液晶600が傷付きやすい。これに対し、折り畳み式携帯電話機は、閉状態のときに表示画面が筐体の間に隠れるので、表示画面を保護できる。しかし、折り畳み式携帯電話機は、閉状態で表示画面を見ることができない。
【0008】
そこで、本発明は、据え置いた状態で表示画面が見やすく、かつ、その表示画面を閉状態で保護しながら見ることが可能な携帯通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明による携帯通信端末は、第1の筐体と、前記第1の筐体に重なった閉状態で前記第1の筐体に面する面の裏面に、画面表示部を備えた第2の筐体と、前記閉状態で前記画面表示部に重なる部分に透明部を備えた画面カバー部と、前記画面カバー部を回転可能に前記第1の筐体に連結したヒンジ部と、前記第2の筐体を前記ヒンジ部に連結し、前記ヒンジ部を中心に回転するリンク部と、前記第2の筐体の一端を、回転と前記第1の筐体に沿ったスライド移動との並行動作可能に、前記第1の筐体に連結した第1のスライド機構と、前記第2の筐体の他端を、回転と前記画面カバー部に沿ったスライド移動との並行動作可能に前記画面カバー部に連結した第2のスライド機構と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成された本発明によれば、第2の筐体は閉状態から第1の筐体に対して傾斜した状態に変位できるので、携帯通信端末を据え置いた状態で画面表示部の表示画面が見やすくなる。また、画面カバー部には透明部が設けられているので、携帯通信端末が閉状態のときに画面表示部の表示画面を保護しながら見ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の携帯通信端末の一実施形態を示す側面図である。
【図2】図1に示す携帯通信端末の第1の筐体の平面図である。
【図3】図1に示す携帯通信端末の第2の筐体の平面図である。
【図4】図1に示す携帯通信端末の画面カバー部の平面図である。
【図5】特許文献1に開示されたスライド式携帯電話機の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本実施形態の携帯通信端末の構成について説明する。
【0013】
図1は、本発明の携帯通信端末の一実施形態を示す側面図である。図1(a)は本実施形態の携帯通信端末10の閉状態を示す側面図である。図1(b)は、携帯通信端末10が閉状態から開状態に切り替わる途中の形態を示す側面図である。図1(c)は、携帯通信端末10の開状態を示す側面図である。
【0014】
携帯通信端末10は、第1の筐体1と、第2の筐体2と、画面カバー部3と、を有している。図1(a)に示すように、携帯通信端末10が閉状態のとき、第2の筐体2を挟んで第1の筐体1と画面カバー部3とが互いに重なっている。
【0015】
図2は、第1の筐体1の平面図である。なお、図2は、第1の筐体1を、閉状態で第2の筐体2と面する表面から見たときの平面図である。第1の筐体1では、図2に示すように、表面が矩形となっており、その表面に操作部11が設けられている。操作部11は、複数の操作キーを有し、各操作キーを通じて携帯通信端末10の操作を受け付ける。
【0016】
図3は、第2の筐体2の平面図である。なお、図3は、第2の筐体2を、閉状態で第1の筐体1と面する面の裏面から見たときの平面図である。第2の筐体2では、図3に示すように、第1の筐体1と同様に裏面が矩形となっており、その裏面に画面表示部21が設けられている。本実施形態では、画面表示部21は、操作部11で受け付けられた操作や予め定められたプログラムなどに基づいて所定の液晶画像を表示する。
【0017】
図4は、画面カバー部3の平面図である。なお、画面カバー部3は、図4に示すように透明部31を備えている。透明部31は、閉状態のときに第2の筐体2の画面表示部21と重なる部分に設けられている。そのため、閉状態のときに画面表示部21を保護しながら、画面表示部21の表示画面を見ることが可能となる。また、画面表示部21は、閉状態のとき透明部31の押圧によるタッチパネル操作を受付可能なので、閉状態で携帯通信端末10を操作することも可能となる。
【0018】
画面カバー部3はヒンジ部4によって第1の筐体1に回転可能に連結されている。ヒンジ部4の内部には、操作部11と画面表示部21とを電気的に接続する信号線が配線されている。
【0019】
第2の筐体2の一端は、第1のスライド機構5によって、回転と第1の筐体1に沿ったスライド移動との並行動作可能に連結されている。第1のスライド機構5は、図1(b)に示すように溝部51と、連結部材52とを有する。溝部51は、第1の筐体1の側面に形成されている。連結部材52には、第2の筐体2の一端が回転可能に連結されている。連結部材52が溝部51に沿ってスライド移動することによって、第2の筐体2の一端が、回転しながら第1の筐体1に沿ってスライド移動する。
【0020】
また、第2の筐体2の他端は、第2のスライド機構6によって、回転と画面カバー部3に沿ったスライド移動との並行動作可能に連結されている。第2のスライド機構6は、図1(b)に示すように溝部61と、連結部材62とを有する。溝部61は、画面カバー部3の側面に形成されている。連結部材62には、第2の筐体の他端が回転可能に連結されている。連結部材62が溝部61に沿ってスライド移動することによって、第2の筐体の他端が、回転しながら画面カバー部3に沿ってスライド移動する。
【0021】
また、第2の筐体2は、リンク部7によってヒンジ部4に連結されている。リンク部7は、ヒンジ部4を中心として画面カバー部3と同じ方向に回転する。このとき、第2の筐体2がヒンジ部4の連結箇所を中心として画面カバー部3と反対方向に回転できるように、第2の筐体2は、リンク部7に連結されている。
【0022】
次に、本実施形態の携帯通信端末10の動作について説明する。なお、ここでは、携帯通信端末10が閉状態から開状態に切り替わる動作について説明する。
【0023】
図1(a)に示す閉状態から画面カバー部3がヒンジ部4を中心として時計回りに回転すると、図1(b)に示すように、画面カバー部3の回転に連動してリンク部7も第2の筐体2を支持しながら同じ方向に回転する。
【0024】
リンク部7が回転すると、第1のスライド機構5の連結部材52が溝部52に沿ってヒンジ部4に近づく方向A(図1(b)参照)に移動する。これにより、第2の筐体2の一端が回転しながら方向Aにスライド移動する。第2の筐体2の一端のスライド移動に連動して、第2のスライド機構6の連結部材62が溝部62に沿ってヒンジ部4から離れる方向B(図1(b)参照)に移動する。これにより、第2の筐体2の他端が回転しながら方向Bにスライド移動する。上述したこれらの動作によって、第2の筐体2は、図1(b)に示すように閉状態から第1の筐体1に対して傾斜した状態に変位する。
【0025】
画面カバー部3の回転が限界に達すると図1(c)に示すように携帯通信端末10は開状態となる。携帯通信端末10が開状態になると、操作部11を通じて携帯通信端末10の操作が可能になる。
【0026】
上述したように、本実施形態の携帯通信端末10によれば、第2の筐体2は、閉状態から第1の筐体1に対して傾斜した状態に変位できるので、携帯通信端末10を据え置いた状態で画面表示部21の表示画面が見やすくなる。また、画面カバー部3には透明部31が設けられているので、携帯通信端末10が閉状態のときに画面表示部21の表示画面を保護しながら見ることが可能となる。
【符号の説明】
【0027】
1 第1の筐体
2 第2の筐体
3 画面カバー部
4 ヒンジ部
5 第1のスライド機構
6 第2のスライド機構
7 リンク部
10 携帯通信端末
11 操作部
21 画面表示部
31 透明部
51、61 溝部
52、62 連結部材
100 スライド式携帯電話機
200 アンテナ
400 上部筐体
500 下部筐体
600 液晶
700 接続腕部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と、
前記第1の筐体に重なった閉状態で前記第1の筐体に面する面の裏面に、画面表示部を備えた第2の筐体と、
前記閉状態で前記画面表示部に重なる部分に透明部を備えた画面カバー部と、
前記画面カバー部を回転可能に前記第1の筐体に連結したヒンジ部と、
前記第2の筐体を前記ヒンジ部に連結し、前記ヒンジ部を中心に回転するリンク部と、
前記第2の筐体の一端を、回転と前記第1の筐体に沿ったスライド移動との並行動作可能に、前記第1の筐体に連結した第1のスライド機構と、
前記第2の筐体の他端を、回転と前記画面カバー部に沿ったスライド移動との並行動作可能に、前記画面カバー部に連結した第2のスライド機構と、
を有する携帯通信端末。
【請求項2】
前記画面表示部が、前記透明部の押圧によるタッチパネル操作を受け付ける、請求項1に記載の携帯通信端末。
【請求項3】
前記第1の筐体が、前記閉状態で前記第2の筐体に面する面に、前記携帯通信端末の操作を受け付ける操作部を備えている、請求項1または2に記載の携帯通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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