説明

携帯電子機器及び画像投影ユニット

【課題】投影面に簡単により有効性の高い画像を表示させることができる携帯電子機器及び画像投影ユニットを提供することにある。
【解決手段】筐体と、筐体に設けられて、投影領域に画像を投影する画像投影部と、筐体に設けられて、外部機器から情報を取得する情報取得部と、投影領域に予め配置された第一画像に対応する特定投影画像の情報を情報取得部により取得し、取得した投影画像情報を画像投影部から投影させる処理部と、を含み、特定投影画像は、投影領域の第一画像に関連する画像であることで、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーンや壁面に画像を投影する画像投影部を有する携帯電子機器及び画像投影ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、壁面やスクリーンに画像を投影する装置としては、いわゆるプロジェクタがある。このプロジェクタは、商用電源から電力が供給され、所定位置に固定した状態で使用される、いわゆる据え置き型の装置が主流である。この据え置き型のプロジェクタは、固定した状態で、一定箇所の壁面やスクリーンに画像を投影させる。
【0003】
これに対して、近年、プロジェクタとして、小型で持ち運びが容易な携帯型のプロジェクタが提案されている。例えば、特許文献1には、上キャビネットと、下キャビネットと、上キャビネット及び下キャビネットを互いに回動可能に接続するヒンジ部とを備え、レンズと光源とを有するプロジェクタが搭載されたプロジェクタ機能付携帯端末が記載されている。
【0004】
また、画像を投影する機能を備える携帯電子機器としては、特許文献2から特許文献4のように、画像投影部で操作キーを投影し、入力検出手段で投影面への入力を検出することで、操作を行うことができる携帯電子機器が記載されている。なお、特許文献2には、入力検出手段としてタッチパネルが記載され、特許文献3には、入力検出手段として、画像投影領域上にある障害物を検出する検出デバイスが記載されている。また、特許文献4には、操作キーを含む画像を投影するスクリーンとして、白色または印刷された枚葉紙を用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−96542号公報
【特許文献2】特開2003−152851号公報
【特許文献3】特開2006−295779号公報
【特許文献4】特開2005−222544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2から特許文献4に記載されているように、投影した画像を操作部の一部として用いることで、画像投影部を有効に活用することができる。しかしながら、画像投影部で投影した画像を操作部の一部として活用するだけでは、画像投影部を十分に活用できてはいない。
【0007】
また、携帯電子装置が備える画像投影部は、固定型の画像投影部に比べると、当該画像の解像度が低くなるため、文字等の高い解像度で表示すると読みにくいことがある。
【0008】
本発明は、投影面に簡単により有効性の高い画像を表示させることができる携帯電子機器及び画像投影ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る携帯電子機器は、筐体と、前記筐体に設けられて、投影領域に画像を投影する画像投影部と、前記筐体に設けられて、外部機器から情報を取得する情報取得部と、前記投影領域に予め配置された第一画像に対応する特定投影画像の情報を前記情報取得部により取得し、取得した前記投影画像情報を前記画像投影部から投影させる処理部と、を含み、前記特定投影画像は、前記投影領域の第一画像に関連する画像であることを特徴とする。
【0010】
また、前記処理部は、外部機器から前記特定投影画像の更新の有無を含む情報を取得することが好ましい。
【0011】
また、前記筐体は、支持台と連結される連結機構を有することが好ましい。
【0012】
また、前記画像投影部が画像を投影する方向の画像を撮影する撮影部を、さらに有し、前記処理部は、前記撮影部で撮影した画像に基づいて、投影領域の第一画像を判定し、判定した結果に基づいて前記特定投影画像の情報を前記情報取得部により取得し、投影することが好ましい。
【0013】
また、前記処理部は、前記撮影部で撮影した画像に基づいて、前記投影領域の第一画像が切り替わったことを検出したら、投影する特定投影画像を切り替えることが好ましい。
【0014】
また、前記処理部は、前記撮影部で撮影した画像に基づいて、投影する前記特定投影画像の大きさを調整し、前記特定投影画像を、前記投影領域の所定の位置に投影することが好ましい。
【0015】
また、前記処理部は、前記撮影部で撮影した画像から識別情報を取得し、取得した識別情報に基づいて、前記投影領域の第一画像を判定し、前記投影領域の画像に対応する特定投影画像を前記情報取得部により取得することが好ましい。
【0016】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る画像投影ユニットは、上記に記載の携帯電子機器と、前記連結機構と連結し、前記携帯電子機器を特定の姿勢に固定する支持台と、前記支持台に固定されるとともに、前記投影領域に配置された専用スクリーンと、前記専用スクリーンに保持されるとともに、前記第一画像が配置される印刷物と、を有し、前記携帯電子機器は、前記第一画像に関連する画像を前記特定投影画像として投影することを特徴とする。
【0017】
また、前記専用スクリーンは、前記印刷物の設置位置を示す案内が表面に形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の携帯電子機器及び画像投影ユニットは、投影面に簡単により有効性の高い画像を表示させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、実施形態に係る携帯電子機器の一実施形態の概略構成を示す正面図である。
【図2】図2は、図1に示す携帯電子機器の側面図である。
【図3】図3は、図1、図2に示す携帯電子機器の機能の概略構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、図1に示す携帯電子機器のプロジェクタで画像を表示させている状態を示す説明図である。
【図5】図5は、携帯電子機器の動作の一例を説明するためのフロー図である。
【図6−1】図6−1は、携帯電子機器の動作の一例を説明するための説明図である。
【図6−2】図6−2は、携帯電子機器の動作の一例を説明するための説明図である。
【図7−1】図7−1は、携帯電子機器の動作の一例を説明するための説明図である。
【図7−2】図7−2は、携帯電子機器の動作の一例を説明するための説明図である。
【図8−1】図8−1は、携帯電子機器の動作の一例を説明するための説明図である。
【図8−2】図8−2は、携帯電子機器の動作の一例を説明するための説明図である。
【図9−1】図9−1は、携帯電子機器の動作の一例を説明するための説明図である。
【図9−2】図9−2は、携帯電子機器の動作の一例を説明するための説明図である。
【図10−1】図10−1は、携帯電子機器の動作の一例を説明するための説明図である。
【図10−2】図10−2は、携帯電子機器の動作の一例を説明するための説明図である。
【図11】図11は、携帯電子機器の動作を説明するための説明図である。
【図12−1】図12−1は、画像投影ユニットの概略構成を説明するための斜視図である。
【図12−2】図12−2は、画像投影ユニットの携帯電子機器の概略構成を説明するための説明図である。
【図13−1】図13−1は、専用スクリーン及び支持台の概略構成を説明するための斜視図である。
【図13−2】図13−2は、専用スクリーン及び支持台の概略構成を説明するための上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下においては、携帯電子機器の一例として携帯電話機を取り上げるが、本発明の適用対象は携帯電話機に限定されるものではなく、例えば、PHS(Personal Handy-phone System)、PDA、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン、ゲーム機等に対しても本発明は適用できる。
【0021】
図1は、実施形態に係る携帯電子機器の一実施形態の概略構成を示す正面図であり、図2は、図1に示す携帯電子機器の側面図である。図1、図2に示す携帯電子機器1は、無線通信機能と、出力手段と、音声取得手段と、撮像手段とを有する携帯電話機である。携帯電子機器1は、筐体1Cが複数の筐体で構成される。具体的には、筐体1Cは、第1筐体1CAと第2筐体1CBとで開閉可能に構成される。すなわち、携帯電子機器1は、折り畳み式の筐体を有する。なお、携帯電子機器1の筐体は、このような構造に限定されるものではない。例えば、携帯電子機器1の筐体は、両方の筐体を重ね合わせた状態から一方の筐体と他方の筐体とを互いにスライドできるようにしたスライド式の筐体であってもよいし、重ね合わせ方向に沿う軸線を中心に、一方の筐体を回転させるようにした回転式や、2軸ヒンジを介して両方の筐体を連結したものでもよい。
【0022】
第1筐体1CAと第2筐体1CBとは、連結部であるヒンジ機構8で連結されている。ヒンジ機構8で第1筐体1CAと第2筐体1CBとを連結することにより、第1筐体1CA及び第2筐体1CBは、ヒンジ機構8を中心としてともに回動して、互いに遠ざかる方向及び互いに接近する方向(図2の矢印Rで示す方向)に回動できるように構成される。第1筐体1CAと第2筐体1CBとが互いに遠ざかる方向に回動すると携帯電子機器1が開き、第1筐体1CAと第2筐体1CBとが互いに接近する方向に回動すると携帯電子機器1が閉じて、折り畳まれた状態となる(図2の点線で示す状態)。
【0023】
第1筐体1CAには、表示部として、図1に示すディスプレイ2が設けられる。ディスプレイ2は、携帯電子機器1が受信を待機している状態のときに待ち受け画像を表示したり、携帯電子機器1の操作を補助するために用いられるメニュー画像を表示したりする。また、第1筐体1CAには、携帯電子機器1の通話時に音声を出力する出力手段であるレシーバ16が設けられる。
【0024】
第2筐体1CBには、通話相手の電話番号や、メール作成時等に文字を入力するための操作キー13Aが複数設けられ、また、ディスプレイ2に表示されるメニューの選択及び決定や画面のスクロール等を容易に実行するための方向及び決定キー13Bが設けられる。操作キー13A及び方向及び決定キー13Bは、携帯電子機器1の操作部13を構成する。また、第2筐体1CBには、携帯電子機器1の通話時に音声を受け取る音声取得手段であるマイク15が設けられる。操作部13は、図2に示す、第2筐体1CBの操作面1PCに設けられる。操作面1PCとは反対側の面が、携帯電子機器1の背面1PBである。
【0025】
第2筐体1CBの内部には、アンテナが設けられている。アンテナは、無線通信に用いる送受信アンテナであり、携帯電子機器1と基地局との間で通話や電子メール等に係る電波(電磁波)の送受信に用いられる。また、第2筐体1CBには、マイク15が設けられる。マイク15は、図2に示す、携帯電子機器1の操作面1PC側に配置される。
【0026】
第1筐体1CAのヒンジ機構8とは反対側には、画像投影部であるプロジェクタ34、及び、画像が投影される面の画像を撮影(取得)するカメラ40が設けられる。なお、プロジェクタ34の光出射部、カメラ40の撮影窓は、第1筐体1CAの外部に露出している。このような構成により、プロジェクタ34によって画像を投影対象物に投影することができる。また、カメラ40により画像を投影する画像との距離を取得することで、プロジェクタ34が投影する画像の焦点を自動的に合わせたりすることができる。なお、カメラ40により画像を投影する領域の画像を取得することで、投影する画像の大きさ、焦点距離を調整することもできる。
【0027】
図3は、図1、図2に示す携帯電子機器の機能の概略構成を示すブロック図である。図3に示すように、携帯電子機器1は、処理部22と、記憶部24と、外部記憶部25と、送受信部(情報取得部)26と、操作部13と、音声処理部30と、表示部32と、プロジェクタ34と、カメラ40と、を有する。処理部22は、携帯電子機器1の全体的な動作を統括的に制御する機能を有する。すなわち、処理部22は、携帯電子機器1の各種の処理が、操作部13の操作や携帯電子機器1の記憶部24に記憶されるソフトウェアに応じて適切な手順で実行されるように、送受信部26や、音声処理部30や、表示部32等の動作を制御する。
【0028】
携帯電子機器1の各種の処理としては、例えば、回線交換網を介して行われる音声通話、電子メールの作成及び送受信、インターネットのWeb(World Wide Web)サイトの閲覧等がある。また、送受信部26、音声処理部30、表示部32等の動作としては、例えば、送受信部26による信号の送受信、音声処理部30による音声の入出力、表示部32による画像の表示等がある。
【0029】
処理部22は、記憶部24に記憶されているプログラム(例えば、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。処理部22は、例えば、マイクロプロセッサユニット(MPU:Micro Processing Unit)で構成され、前記ソフトウェアで指示された手順にしたがって上述した携帯電子機器1の各種の処理を実行する。すなわち、処理部22は、記憶部24に記憶されるオペレーティングシステムプログラムやアプリケーションプログラム等から命令コードを順次読み込んで処理を実行する。
【0030】
処理部22は、複数のアプリケーションプログラムを実行する機能を有する。処理部22が実行するアプリケーションプログラムとしては、例えば、プロジェクタ34やカメラ40の駆動を制御するアプリケーションプログラムや、各種の画像ファイル(画像情報)を記憶部24から読み出してデコードするアプリケーションプログラム、及びデコードして得られる画像を表示部32に表示させたりプロジェクタ34に投影させたりするアプリケーションプログラム等の複数のアプリケーションプログラムがある。
【0031】
本実施形態において、処理部22は、プロジェクタ34の動作を制御するプロジェクタ制御部22a、プロジェクタ34に表示させる画像を生成する画像処理部22b、カメラ40で取得した画像や、操作部13からの入力に基づいて投影領域の条件を判定する条件判定部22c、投影面に対する筐体1Cの姿勢、位置を演算して算出する姿勢・位置演算部22d、複数の画像データからプロジェクタ34に投影させる画像を決定する投影画像決定部22e、カメラ40の動作を制御するカメラ制御部22fを有する。プロジェクタ制御部22a、画像処理部22b、条件判定部22c、姿勢・位置演算部22d、投影画像決定部22e、カメラ制御部22fがそれぞれ有する機能は、処理部22及び記憶部24で構成されるハードウェア資源が、処理部22の制御部が割り当てるタスクを実行することにより実現される。ここで、タスクとは、アプリケーションソフトウェアが行っている処理全体、又は同じアプリケーションソフトウェアが行っている処理のうち、同時に実行できない処理単位である。
【0032】
記憶部24には、処理部22での処理に利用されるソフトウェアやデータが記憶されており、上述した、プロジェクタ34やカメラ40の駆動を制御するアプリケーションプログラムを作動させるタスクや、画像処理用プログラムを作動させるタスクが記憶されている。また、記憶部24には、これらのタスク以外にも、例えば、通信、ダウンロードされた音声データ、あるいは記憶部24に対する制御に処理部22が用いるソフトウェア、通信相手の電話番号やメールアドレス等が記述されて管理するアドレス帳、発信音や着信音等の音声ファイル、ソフトウェアの処理過程で用いられる一時的なデータ等が記憶されている。
【0033】
なお、ソフトウェアの処理過程で用いられるコンピュータプログラムや一時的なデータは、処理部22によって記憶部24に割り当てられた作業領域へ一時的に記憶される。記憶部24は、例えば、不揮発性の記憶デバイス(ROM:Read Only Memory等の不揮発性半導体メモリ、ハードディスク装置等)や、読み書き可能な記憶デバイス(例えば、SRAM:Static Random Access Memory、DRAM:Dynamic Random Access Memory)等で構成される。
【0034】
外部記憶部25は、外部メモリと、接続端子で構成され、外部メモリが筺体1Cに対して着脱可能な記憶装置である。外部メモリには、記憶部24と同様に各種ソフトウェアやデータが記憶されている。外部記憶部25は、接続端子を介して外部メモリと処理部22とを接続させることで、記憶部24と同様に、外部メモリに対して、情報の書き込み、読み取りを行う。なお、外部記憶部25は、外部メモリが着脱可能であるため、処理部22に接続する外部メモリを交換することができる。なお、外部メモリとしては、SDカード(登録商標)、メモリースティック(登録商標)、スマートメディア、USBメモリ等の各種記憶媒体を用いることができる。
【0035】
送受信部26は、アンテナ26aを有し、基地局によって割り当てられるチャネルを介し、基地局との間でCDMA(Code Division Multiple Access)方式などによる無線信号回線を確立し、基地局との間で電話通信及び情報通信を行う。操作部13は、例えば、電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、方向キー、決定キー、発信キー等、各種の機能が割り当てられた操作キー13Aと、方向及び決定キー13Bとで構成される。そして、これらのキーがユーザの操作により入力されると、その操作内容に対応する信号を発生させる。発生した信号は、ユーザの指示として処理部22へ入力される。なお、送受信部26として、近距離無線通信(Bluetooth(登録商標)、赤外線通信等)、無線LAN等を用いることもできる。
【0036】
音声処理部30は、マイク15に入力される音声信号やレシーバ16やスピーカ17から出力される音声信号の処理を実行する。すなわち、音声処理部30は、マイク15から入力される音声を増幅し、AD変換(Analog Digital変換)を実行した後、さらに符号化等の信号処理を施して、ディジタルの音声データに変換して処理部22へ出力する。また、処理部22から送られる音声データに対して復号化、DA変換(Digital Analog変換)、増幅等の処理を施してアナログの音声信号に変換してから、レシーバ16やスピーカ17へ出力する。ここで、スピーカ17は、携帯電子機器1の筐体1C内に配置されており、着信音やメールの送信音等を出力する。
【0037】
表示部32は、上述したディスプレイ2を有しており、処理部22から供給される映像データに応じた映像や画像データに応じた画像を表示パネルに表示させる。ディスプレイ2は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Monitor)や、有機EL(Organic Electro−Luminescence)パネルなどで構成された表示パネルで構成される。なお、表示部32は、ディスプレイ2に加え、サブディスプレイを有していてもよい。
【0038】
プロジェクタ34は、光源と、画像データに基づいて前記光源から射出された光を投影するか否かを切り換える光学系とで構成されている。本実施形態において、プロジェクタ34は、光源である可視光照射装置(可視光照射手段)31と、光学系である描画装置35と、焦点調整装置39とを含んで構成される。可視光照射装置31は、可視光のレーザー光を照射する。可視光領域の光は、短波長側が360nm以上400nm以下、長波長側が760nm以上830nm以下の光であり、本実施形態において、可視光照射装置31は、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の3色の光を照射する。
【0039】
描画装置35は、可視光照射装置31から照射される3色の光を合成するとともに、画像投影対象に照射する。描画装置35は、光源から射出された光を透過させるか否かを切り換える切り換え素子、及び当該切り換え素子を通過した光をラスター走査させるミラーを含んで構成される。そして、描画装置35は、ミラーによって可視光照射装置31から射出されたレーザー光の角度を変えて、画像投影対象にレーザー光を走査させることで、画像投影対象に画像を投影させる。
【0040】
前記ミラーとしては、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical System)ミラーが用いられる。MEMSミラーは、圧電素子を利用してミラーを駆動して、可視光照射装置31から照射される可視光を走査し、可視画像や不可視画像を生成する。この場合は、ミラーによって光源から照射された光の角度を変えて、画像投影対象の全面に光源から照射された光を走査させることで、画像投影対象に可視画像や不可視画像を投影させることができる。このように、プロジェクタ34は、スキャン方式のプロジェクタである。なお、プロジェクタ34の構成は、上述したレーザーを光源とするものに限定されるものではない。例えば、プロジェクタ34は、ハロゲンライトや、LED光源、LD光源を光源とし、LCD(Liquid Crystal Display)や、DMD(Digital Micro-mirror Device)を光学系に備える構成のプロジェクタを用いてもよい。
【0041】
焦点調整装置39は、プロジェクタ制御部22aからの指令により、描画装置35から投影される可視画像が画像投影対象上で結像させる機能(焦点調整機能)を有する。焦点調整装置39は、例えば、可動するレンズ等で構成される焦点調整機構を備えており、レンズを動かすことで前記焦点調整機能を実現する。また、焦点調整装置39は、プロジェクタ34が投影する画像のデータに対して画像処理部22bによって所定の画像処理を施すことにより、前記焦点調整機能を実現するものであってもよい。さらに、焦点調整装置39は、焦点調整機能及び画像処理によって前記焦点調整機能を実現するものであってもよい。
【0042】
図4は、図1に示す携帯電子機器のプロジェクタで画像を表示させている状態を示す説明図である。上述したように、プロジェクタ34は、画像を投影する画像投影部であり、画像投影面が携帯電子機器1の筐体1Cの外部に露出している。携帯電子機器1は、プロジェクタ34から画像を投影することで、図4に示すように、プロジェクタ34の画像投影面と対向する位置の画像投影対象(例えば、壁面やスクリーン等)のうち、所定の領域(投影領域)PAに画像Pを投影させることができる。なお、プロジェクタ34は、処理部22により動作が制御され、処理部22から送られる種々の映像、例えば動画やプレゼンテーション資料等を投影し、投影領域PAに表示させる。
【0043】
カメラ40は、上述したようにプロジェクタ34の光射出部の近くに設けられ、投影領域を含む領域の画像を取得する撮像機構である。つまり、カメラ40は、プロジェクタ34が光を射出する方向の画像を取得する。なお、カメラ40は、プロジェクタ34により投射される画像の投射画角よりも広い画角で画像を撮影する撮影機構であり、プロジェクタ34により画像が投影される投影領域よりも広い領域の画像を撮影することができる。携帯電子機器1は、基本的に以上のような構成である。
【0044】
次に、図5を用いて携帯電子機器のプロジェクタの画像投影動作を説明する。ここで、図5は、携帯電子機器の動作の一例を示すフロー図である。なお、図5に示す動作は、プロジェクタ34が起動されたら常に行うようにしても、図5に示す動作を行うモードの実行指示が入力されたら実行するようにしてもよい。なお、図5に示す動作は、記憶部24に記憶されたアプリケーションを実行することで処理しても、外部記憶部25に記憶されたアプリケーションを実行して処理してもよい。つまり、図5に示す動作を実行させるプログラムは、いずれの領域に記憶されていてもよい。またプログラムは、外部からダウンロードして取得することができ、外部記憶部25から読み取ることで取得することもできる。なお、図5に示すフロー図では、携帯電子機器1のプロジェクタ34の画像の投影領域に特定の印刷物が配置されている。
【0045】
まず、携帯電子機器1の処理部22は、プロジェクタ34の起動指示が入力されたら、ステップS12として、カメラ40及びプロジェクタ34を起動させる。なお、起動指示の入力時に、カメラ40とプロジェクタ34が起動されている場合は、そのまま、ステップS14に進む。また、プロジェクタ34の起動処理は、プロジェクタ制御部22aで行うことができ、カメラ40の起動処理は、カメラ制御部22fで行うことができる。
【0046】
処理部22は、ステップS12でカメラ40及びプロジェクタ34を起動させたら、ステップS14として、カメラ制御部22fによりカメラ40の動作を制御し、投影領域の画像(投影面に表示されている画像)を取得する。処理部22は、ステップS14で投影領域の画像を取得したら、ステップS16として、条件判定部22cにより投影領域の条件を判定する。具体的には、処理部22は、画像処理部22bにより、撮影した投影領域の画像を解析し、投影領域に表示されている画像の構成を検出する。その後、処理部22は、画像処理部22bでの処理により検出した投影領域の表示画像の構成に基づいて、投影領域の条件を判定する。
【0047】
処理部22は、ステップS16で投影領域の条件を判定したら、ステップS17として、外部機器(例えば、サーバ)から情報を取得する。具体的には、処理部22は、ステップS16で判定した投影領域の条件(識別情報)に基づいて、投影領域に載置されている印刷物を特定し、特定した印刷物に対応する最新の情報(例えば、印刷物の情報が関連付けられた画像データ、画像データの更新の有無を表すデータ等)を外部機器から送受信部26により取得し、記憶部24または外部記憶部25に記憶する。なお、処理部22は、特定した印刷物に対応する最新の情報が記憶部24または外部記憶部25に記憶されている場合には、画像データの更新が無いことを表すデータを取得すればよく、画像データを外部機器から取得する必要はない。
【0048】
処理部22は、ステップS17で外部機器から情報を取得したら、ステップS18として、投影画像決定部22eにより投影する画像を決定する。具体的には、処理部22は、投影画像決定部22eにより、ステップS17で取得した情報に基づいて、特定した印刷物に対応する画像データを抽出し、投影する画像として決定する。なお、画像データは、記憶部24または外部記憶部25に記憶されており、特定した印刷物に対応する画像データには、印刷物の情報が関連付けて記憶されている。したがって、投影画像決定部22eは、印刷物の情報をキーとして、記憶部24または外部記憶部25に記憶されている画像データを検索することで、対応する画像データを抽出することができる。
【0049】
処理部22は、ステップS18で投影する画像を決定したら、ステップS20として、プロジェクタ制御部22aによりプロジェクタ34の動作を制御し、プロジェクタ34から、ステップS18で決定した画像を投影する。
【0050】
処理部22は、ステップS20で画像を投影したら、ステップS22として投影領域の画像の切り替えがあったか、つまり、投影領域に配置されている印刷物が切り替わったかを判定する。なおこの判定は、例えば、カメラ40により画像を取得し、その画像と前の画像とを比較することで行うことができる。処理部22は、ステップS22で画像の切り替えあり(ステップS22でYes)、つまり、ステップS14で取得した際に投影領域に配置されていた画像(印刷物)とは異なる画像(印刷物)が投影領域にあると判定したら、ステップS14に進み、上記ステップS14からステップS20の処理を行い、投影領域にある画像に合わせて、プロジェクタ34から投影する画像を切り替える。
【0051】
また、処理部22は、ステップS22で画像の切り替えなし(ステップS22でNo)と判定したら、ステップS24として投影終了の指示があるかを判定する。処理部22は、ステップS24で終了指示なし(ステップS24でNo)と判定したら、ステップS22に進み、ステップS22の処理を行う。また、処理部22は、ステップS24で投影終了(ステップS24でYes)と判定したら、ステップS26として、カメラ40及びプロジェクタ34を停止させて、本処理を終了する。なお、カメラ40及びプロジェクタ34は、それぞれカメラ制御部22f及びプロジェクタ制御部22aの制御により停止させることができる。
【0052】
次に、具体例を用いて、携帯電子機器1についてより詳細に説明する。ここで、図6−1及び図6−2は、それぞれ、携帯電子機器の動作の一例を説明するための説明図である。図7−1及び図7−2は、それぞれ、携帯電子機器の動作の他の例を説明するための説明図である。図8−1及び図8−2は、それぞれ、携帯電子機器の動作の他の例を説明するための説明図である。図9−1及び図9−2は、それぞれ、携帯電子機器の動作の他の例を説明するための説明図である。図10−1及び図10−2は、それぞれ、携帯電子機器の動作の他の例を説明するための説明図である。なお、図6−1から図10−2では、携帯電子機器1を簡単な箱形状として示す。
【0053】
まず、図6−1に示す例は、投影領域に印刷物300が配置されている。ここで、印刷物300は、新聞の一紙面である。具体的には、印刷物300には、見出し(「株式一覧」)、各銘柄の前日終値が印刷されている。なお、株式市場は朝9時に開かれるので、朝9時以降は、この紙面の株価は古い情報となる。また、携帯電子機器1は、各銘柄の紙面上の位置をレイアウト情報として記憶部24または外部記憶部25に記憶している。
【0054】
携帯電子機器1は、図5に示す処理により、投影領域に印刷物300があること、つまり新聞の一紙面であることを検出したら、印刷物300に対応する最新の情報、つまり本日の各銘柄の株価の変動状況または各銘柄の最新の株価を外部機器(例えば、新聞社のサーバ)から取得し、図6−2に示すように、プロジェクタ34から投影領域に株価が変動した銘柄を知らせるマーク(画像)を投影する。例えば、携帯電子機器1は、株価が前日より上昇した銘柄に赤い光を投影してもよいし、株価が前日より下落した銘柄に青い光を投影してもよい。なお、株価の変動を知らせる画像であれば、これに限られず、例えば、携帯電子機器1は、株価が前日より上昇した銘柄に上向き矢印を投影してもよいし、株価が前日より下落した銘柄に下向き矢印を投影してもよい。また、例えば、携帯電子機器1は、株価が前日より変動した銘柄にゲージや値動きを表すグラフを投影してもよい。また、例えば、携帯電子機器1は、文字の視認性を損なわない範囲で、株価が前日より変動した銘柄に最新の株価を投影してもよい。
【0055】
これにより、読者は、株価に関する最新の情報を知ることができる。なお、ここでは、新聞の株式面を例に挙げて説明したが、これに限られず、四季報の決算欄に適用することもできる。また、先物取引やファンド等の金融商品の価格が印刷された紙面に適用することもできる。
【0056】
次に、図7−1に示す例では、投影領域に印刷物310が配置されている。ここで、印刷物310は、新聞の一紙面である。具体的には、印刷物310には、新聞の名称、見出し、各ニュースの内容の文章や画像が印刷されている。なお、各ニュースの内容の文章や画像は脱稿時のものであるので、読者が各ニュースの内容の文章や画像を見るときには、各ニュースの内容の文章や画像が更新されている可能性がある。また、携帯電子機器1は、各ニュースの紙面上の位置をレイアウト情報として記憶部24または外部記憶部25に記憶している。
【0057】
携帯電子機器1は、図5に示す処理により、投影領域に印刷物310があること、つまり新聞の一紙面であることを検出したら、印刷物310に対応する最新の情報、つまり各ニュースの最新の内容の文章や画像または各ニュースの内容の文章や画像の更新の有無を外部機器(例えば、新聞社のサーバ)から取得し、図7−2に示すように、プロジェクタ34から投影領域に各ニュースの内容の文章や画像の更新を知らせるマーク(画像)を投影する。なお、携帯電子機器1が投影する画像は、ニュースの内容の文章や画像の更新を知らせる画像であればどのような画像であってもよい。例えば、携帯電子機器1は、図7−2に示すように、ニュースの内容の文章や画像の視認性を阻害しないように、更新されているニュースの内容の文章や画像を囲む枠線311、312を投影してもよい。また、例えば、携帯電子機器1は、文字の視認性を損なわない範囲で、紙面に印刷された各ニュースの内容の文章や画像に最新の文章や画像を一部重ねて投影してもよい。また、携帯電子機器1は、ニュースの内容の文章や画像に誤りがあった場合に、誤りがあったことまたは誤りの内容を外部機器から取得し、ニュースの内容の文章や画像に誤りがあったことまたは誤りの内容を知らせる画像を投影してもよい。これにより、読者は、各ニュースに関する最新の情報を知ることができる。
【0058】
次に、図8−1に示す例では、投影領域に印刷物320が配置されている。ここで、印刷物320は、新聞の一紙面である。具体的には、印刷物320には、見出し(「TV欄」)、番組表が印刷されている。なお、番組表は脱稿時のものであるので、脱稿後の番組変更や、スポーツ中継の延長等により、読者が番組表を見るときには、番組表が更新されている可能性がある。
【0059】
携帯電子機器1は、図5に示す処理により、投影領域に印刷物320があること、つまり新聞の一紙面であることを検出したら、印刷物320に対応する最新の情報、つまり最新の番組表を外部機器から取得し、図8−2に示すように、プロジェクタ34から投影領域に放送時刻等の変更があった番組を知らせるマーク(画像)を投影する。なお、携帯電子機器1が投影する画像は、放送時刻等の変更があった番組を知らせる画像であればどのような画像であってもよい。例えば、携帯電子機器1は、放送時刻が繰り下げになった番組がある場合には、図8−2に示すように、放送時刻が繰り下げになった番組に所定の色の光を投影するとともに下向き矢印321、322を投影してもよい。また、例えば、携帯電子機器1は、放送中止になった番組がある場合には、図8−2に示すように、放送中止になった番組に×印323を投影してもよい。これにより、読者は、番組表に関する最新の情報を知ることができる。また、携帯電子機器1は、現在放送中の番組に所定の色の光を投影する(ハイライトする)ようにしてもよい。
【0060】
これにより、読者は、現在放送されている番組を知ることができる。なお、ここでは、新聞のTV番組表を例に挙げて説明したが、これに限られず、新聞のラジオ番組表に適用することもできる。また、衛星放送やCATV(ケーブルテレビ)の番組表に適用することもできる。
【0061】
次に、図9−1に示す例では、投影領域に印刷物330が配置されている。ここで、印刷物330は、新聞の折り込みチラシである。具体的には、印刷物330には、見出し(「XX電器」)、各電器製品とその販売価格が印刷されている。なお、販売価格は脱稿時のものであり、家電量販店には他社より安価であることを謳う企業もあるので、脱稿後に販売価格が変更されることにより、読者が折り込みチラシを見るときには、販売価格が更新されている可能性がある。また、携帯電子機器1は、各電器製品の販売価格の折り込みチラシ上の位置をレイアウト情報として記憶部24または外部記憶部25に記憶している。
【0062】
携帯電子機器1は、図5に示す処理により、投影領域に印刷物330があること、つまり折り込みチラシであることを検出したら、印刷物330に対応する最新の情報、つまり各電器製品の販売価格の変動状況または各電器製品の最新の販売価格を外部機器(例えば、家電量販店のサーバ、広告代理店のサーバ等)から取得し、図9−2に示すように、プロジェクタ34から投影領域に販売価格が変動した電器製品を知らせるマーク(画像)を投影する。例えば、携帯電子機器1は、図9−2に示すように、販売価格が前日より上昇した電器製品の販売価格に赤い光331を投影してもよいし、販売価格が前日より下落した電器製品の販売価格に青い光332を投影してもよい。なお、販売価格の変動を知らせる画像であれば、これに限られず、例えば、携帯電子機器1は、図9−2に示すように、販売価格が下落した電器製品に下向き矢印333を投影してもよいし、販売株価が前日より上昇した電器製品に上向き矢印334を投影してもよい。また、例えば、携帯電子機器1は、販売価格が変動した電器製品にゲージを投影してもよい。また、例えば、携帯電子機器1は、文字の視認性を損なわない範囲で、販売価格が変動した電器製品に最新の販売価格を投影してもよい。これにより、読者は、電器製品の販売価格に関する最新の情報を知ることができる。
【0063】
なお、携帯電子機器1は、価格比較サイトのサーバから電器製品の販売価格の最安値を取得し、その最安値と折り込みチラシ上の販売価格とを比較して、折り込みチラシ上の販売価格が最安値より高いか安いかを表す画像を投影するようにしてもよい。これにより、読者は、折り込みチラシ上の販売価格が最安値より高いか安いかを知ることができる。また、携帯電子機器1は、家電量販店のサーバから各電器製品の在庫情報を取得して、各電器製品の在庫状況を表す画像を投影するようにしてもよい。これにより、読者は、所望の電器製品の在庫状況を知ることができる。
【0064】
次に、図10−1に示す例では、投影領域に印刷物340が配置されている。ここで、印刷物340は、手帳などの予定表である。具体的には、印刷物340には、月(「X月」)、日(「1日」、「2日」、・・・)が印刷されている。なお、近年、スケジュール管理サーバ上で予定を管理することが行われてきている。そのようなスケジュール管理サーバでは、他人が自分の予定を入れることも可能である。そして、スケジュール管理サーバと手帳などの予定表の両方を併用する場合には、両者のリンクの必要性がある。
【0065】
携帯電子機器1は、図5に示す処理により、投影領域に印刷物340があること、つまり予定表であることを検出したら、印刷物340に対応する最新の情報、つまり予定を外部機器(例えば、スケジュール管理サーバ)から取得し、図10−2に示すように、プロジェクタ34から投影領域に予定が更新されている時間帯を照らす画像を投影する(ハイライトする)。例えば、携帯電子機器1は、図10−2に示すように、予定が更新されている時間帯にハイライト光341、342を投影してもよい。また、携帯電子機器1は、予定の内容(打合せ内容)を外部機器から取得して、予定表に投影してもよい。これにより、ユーザは、最新の予定を知ることができる。また、携帯電子機器1は、カメラ40で印刷物340の画像を撮影し、撮影した画像に文字認識処理を施すことで印刷物340に手書きされた予定を取得し、印刷物340に手書きされた予定と外部機器から取得した予定とコンフリクトしている時間帯を照らす画像を投影(ハイライト)してもよい。
【0066】
これにより、ユーザは、予定がコンフリクトしていることを知ることができる。また、携帯電子機器1は、カメラ40で印刷物340の画像を撮影し、撮影した画像に文字認識処理を施すことで印刷物340に手書きされた予定を取得し、印刷物340に手書きされた予定を外部機器に送信してもよい。これにより、外部機器で管理されている予定を最新のものにすることができる。
【0067】
このように、携帯電子機器1は、外部機器から情報を取得し、投影領域の画像に対応する画像をプロジェクタ34から投影することで、つまり、投影領域の画像にプロジェクタ34から投影した画像を重ねて1つの画像を作成することで、簡単で有効性の高い画像を作成することができる。
【0068】
ここで、印刷物のみで画像を構成する場合、印刷した後は更新することができず、画像を動かすことができない。また、プロジェクタのみで画像を投影する場合は、鮮明な画像を表示することが困難である。また、細かい文字まで読みやすい画像を投影するためには、高価で高い性能のプロジェクタを搭載させる必要があり、装置が大型化し、構成も複雑になり、装置コストも高くなる。これに対して、携帯電子機器1は、投影領域にある印刷物の画像に合わせて、必要な画像を投影しているため、印刷物とプロジェクタの両方の利点を併せ持つことができる。例えば、印刷物で高解像度な画像を表示させることができ、プロジェクタにより一部の画像を動かす、つまり動画とすることができる。また、携帯電子機器1のプロジェクタ34により投影する画像も投影領域の一部となるため、画像処理の負荷を低減することができ、消費電力を少なくすることができる。
【0069】
また、上述したように、細かい文字、画像は、印刷物に予め印刷することができるため、プロジェクタの性能を高くしなくても、投影領域に表示される画像を鮮明で高解像度の画像とすることができる。
【0070】
ここで、携帯電子機器1がカメラ40で取得した画像から、表示領域に配置された画像(例えば、印刷物)を特定する方法としては、種々の画像処理方法を用いることができる。例えば、携帯電子機器1は、印刷物、描画された絵、記入された文字等の投影領域の画像から、特定の文字、記号等の識別情報を抽出することで、投影領域の画像を特定することができる。また、携帯電子機器1は、四辺のエッジ検出等を行うことで、投影領域内の画像を特定することができる。以下、図11を用いて、一例を説明する。ここで、図11は、携帯電子機器の動作を説明するための説明図である。なお、図11では、携帯電子機器1を簡単な箱形状として示す。図11に示す例では、投影領域に印刷物120が配置されている。印刷物120は、新聞の一紙面であり、新聞の名称が記載された文字列122、見出し、各ニュースの内容の文章が印刷されている。また、印刷物120には、2次元バーコード124が印刷されている。
【0071】
携帯電子機器1は、カメラ40で取得した画像から、文字列122を抽出することで、投影領域にある印刷物が新聞であることを特定することができる。なお、携帯電子機器1は、投影領域の全体における、文字列122の位置の情報等も加味することで、つまりレイアウト情報を加味することで、印刷物をより適切に特定することができる。また、この場合、携帯電子機器1は、さらに画像から、発行日、ページ数の情報を取得することで、印刷物を特定することができる。また、携帯電子機器1は、カメラ40で取得した画像から、2次元バーコード124を抽出することでも、印刷物を特定することができる。2次元バーコード124を用いる場合は、2次元バーコードに印刷物が新聞であること、発行日、ページ数の情報を含めることができる。これにより、携帯電子機器1は、2次元バーコード124を読み取るのみで、印刷物を特定することができる。また、2次元バーコードを用いる場合は、2次元バーコードの情報にURLを含めるようにしてもよい。また、印刷物の一部に、投影する画像のデータが保存されているURLを印刷しておいてもよい。
【0072】
携帯電子機器1は、以上のようにして、投影領域の画像を特定し、特定した画像に対応する画像を取得し、投影領域に投影することで、投影領域に、予め配置されている画像に投影画像を重ねた画像を表示させることができる。
【0073】
また、携帯電子機器1は、投影領域の画像に対応して投影する画像を加工してもよい。また、投影領域の画像に対応付けられた画像として、携帯電子機器1で加工をした画像や、作成した画像を用いてもよい。また、投影領域の画像に対応付けて予め設定されている画像を変更できるようにしてもよい。なお、対応付ける画像を変更する場合は、変更した画像に、投影領域の画像の識別情報の紐付けデータを加えた形で、記憶部24または外部記憶部25に記憶させればよい。
【0074】
また、携帯電子機器1は、カメラ40で取得した画像データから投影領域(投影面)までの距離、及び投影領域の画像との位置関係を算出し、プロジェクタ34から投影する画像の投影領域内における位置、大きさを調整するようにしてもよい。また、携帯電子機器1は、プロジェクタ34で画像を投影した状態の投影領域の画像を取得し、その取得結果に基づいて、プロジェクタ34から投影する画像の投影領域内における位置、大きさを調整するようにしてもよい。このように、投影する画像の投影領域内における位置、大きさを調整することで、より適正な画像を投影領域内に表示させることができる。
【0075】
また、携帯電子機器1は、カメラ40で取得した画像と、投影する画像とを組み合わせた画像、つまり投影領域に表示される画像(投影された状態の予測画像)を表示部32に表示させるようにしてもよい。これにより、投影領域に投影される画像を表示部32で確認することができる。なお、携帯電子機器1は、投影許可操作が入力されてから、プロジェクタ34から画像を投影するようにしてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、投影領域に対して、携帯電子機器1を移動自在な状態としたが、本発明はこれに限定されず、投影領域となる専用スクリーンを設け、専用スクリーンに対して、携帯電子機器1を特定の位置に固定するユニットとしてもよい。ここで、図12−1は、画像投影ユニットの概略構成を説明するための斜視図であり、図12−2は、画像投影ユニットの携帯電子機器の概略構成を説明するための説明図である。図13−1は、専用スクリーン及び支持台の概略構成を説明するための斜視図であり、図13−2は、専用スクリーン及び支持台の概略構成を説明するための上面図である。なお、図13−1及び図13−2は、共に専用スクリーンに印刷物を載置した状態を示す。図12−1に示す画像投影ユニット200は、携帯電子機器201と、支持台202と、専用スクリーン204とを有する。
【0077】
携帯電子機器201は、図12−2に示すように、直方体形状の筐体201Cを有する。また、筺体201Cの一面には、支持台202と連結するための連結機構220が設けられている、また、筺体201Cの長手方向の端面には、プロジェクタ234の光射出部が設けられている。なお、携帯電子機器201は、これらの点を除いて、他の構成は、基本的に携帯電子機器1と同様であるので、説明は省略する。
【0078】
図13−1及び図13−2に示すように、支持台202は、携帯電子機器201を所定位置に固定する支持機構であり、筺体201Cの連結機構220と連結する連結機構222が設けられている。例えば、連結機構220がねじ穴である場合、支持台202の連結機構222は、ねじである。また、支持台202は、専用スクリーン204に固定されている。
【0079】
図13−1及び図13−2に示すように、専用スクリーン204は、板状部材であり、表面が携帯電子機器201の固定位置と対面している。専用スクリーン204は、図12−1に示すように、表面に、支持台202に固定された携帯電子機器201のプロジェクタ234から出力された画像が投影される。つまり、プロジェクタ234の投影領域205が専用スクリーン204の表面の所定の領域となる。
【0080】
また、専用スクリーン204は、表面に印刷物206を設置する設置領域が設けられている。さらに、専用スクリーン204は、表面に案内表示210が形成されている。ここで、案内表示210は、専用スクリーン204の表面に載置する印刷物206の載置位置の基準を示している。案内表示210が表示されている位置が、一方向の中心となるように印刷物206を載置することで、投影領域205と印刷物206との関係が一定となる。
【0081】
画像投影ユニット200は、以上の構成であり、携帯電子機器201を支持台202に固定し、かつ、印刷物206を専用スクリーン204の所定の位置に載置することで、投影領域205にある印刷物206にプロジェクタ234から印刷物206に対応する画像を投影することができる。
【0082】
ここで、画像投影ユニット200は、投影領域205と、印刷物206の位置(撮影領域の画像の位置)との位置関係が一義に決まる。これにより、相対的な位置調整をすることなく、投影領域に適切な画像を表示させることができる。また、投影領域の画像と、投影する画像との位置ずれの発生も低減することができる。
【0083】
また、専用スクリーン204と支持台202とが一体であるため、携帯電子機器201のプロジェクタ234から投影される光が専用スクリーン204上以外の領域を照射する恐れを低減することができる。これにより、プロジェクタ234をより安全に利用することができる。
【0084】
また、画像投影ユニット200の場合は、投影領域との調整が必要ないため、投影する画像を自身で選択する場合等は、携帯電子機器201にカメラを設けない構成とすることもできる。
【0085】
なお、上記実施形態では、投影領域の画像が新聞の紙面で、投影する画像が株価の変動状況を表す画像、ニュースの内容の文章や画像の更新状況を表す画像、投影する画像が番組の放送時刻の変更状況を表す画像である例と、投影領域の画像が折り込みチラシで、投影する画像が電器製品の販売価格の変動状況を表す画像である例と、投影領域の画像が手帳などの予定表で、投影する画像が予定の更新状況を表す画像である例として説明したが、投影領域の画像、つまり、印刷物等の投影領域に予め形成、配置されている画像と、投影する画像、つまりプロジェクタから投影する画像との組み合わせは、種々の組み合わせとすることができる。
【0086】
まず、携帯電子機器は、投影領域の画像(印刷物等)が列車やバスの時刻表である場合、現在時刻を参酌して、列車やバスの次発の部分を照らす画像を投影(ハイライト)してもよい。これにより、ユーザは、次発の列車やバスを知ることができる。また、携帯電子機器は、ダイヤ改正があった場合には、最新のダイヤ情報を外部機器(例えば、鉄道会社のサーバ、バス会社のサーバ、出版社のサーバ等)から取得して、ダイヤ改正されている部分を照らす画像を投影(ハイライト)してもよい。これにより、ユーザは、ダイヤ改正されている列車やバスを知ることができる。また、携帯電子機器は、運行・遅延情報を外部機器(例えば、鉄道会社のサーバ、バス会社のサーバ等)から取得して、取得した運行・遅延情報を投影してもよい。これにより、ユーザは、最新の運行・遅延情報を知ることができる。
【0087】
また、携帯電子機器は、投影領域の画像(印刷物等)が新聞のスポーツ面である場合、脱稿時点で決まっていない競技の得点や獲得メダル数等の情報を外部機器(例えば、新聞社のサーバ)から取得して、取得した情報の内容を投影してもよい。これにより、読者は、脱稿後に決まった競技の得点や獲得メダル数等の情報を知ることができる。
【0088】
また、携帯電子機器は、投影領域の画像(印刷物等)が旅行のガイド本である場合、ツアーの情報で更新されているものを外部機器(例えば、出版社のサーバ)から取得して、取得した情報を投影してもよい。これにより、読者は、最新のツアー情報を知ることができる。また、携帯電子機器は、店舗のメニュー改定やキャンペーンなどの情報を外部機器(例えば、出版社のサーバ、店舗のサーバ等)から取得して、店舗のメニュー改定やキャンペーンなどの情報を読者に知らせるマークやハイライトを投影してもよい。これにより、読者は、店舗のメニュー改定やキャンペーンなどの情報を知ることができる。
【0089】
また、携帯電子機器は、投影領域の画像が雑誌である場合、音楽CDの売り上げランキングや書籍の売り上げランキングのランキング表を空白としておき、音楽CDの売り上げランキングや書籍の売り上げランキングの情報を外部機器(例えば、出版社のサーバ)から取得して、取得したランキング情報を空白のランキング表内に投影してもよい。これにより、読者は、最新のランキング情報を知ることができる。また、携帯電子機器は、商品の在庫状況の情報を外部機器(例えば、ネット通販ショップのサーバ)から取得して、取得した商品の在庫状況の情報を投影してもよい。これにより、読者は、最新の在庫状況を知ることができる。
【0090】
また、携帯電子機器は、投影領域の画像が地図である場合、新しく建設された道の情報を外部機器(例えば、出版社のサーバ)から取得して、新しく建設された道を地図上に投影してもよい。これにより、ユーザは、最新の道情報を知ることができる。また、携帯電子機器は、渋滞情報や工事情報を外部機器(例えば、高速道路会社のサーバ、VICSのサーバ等)から取得して、取得した情報を投影してもよい。これにより、ユーザは、最新の渋滞情報や工事情報を知ることができる。
【0091】
また、携帯電子機器は、投影領域の画像が専門書籍の画像である場合、文字や図表の改版内容を外部機器(例えば、出版社のサーバ)から取得して、取得した情報を投影してもよい。これにより、読者は、最新の改版内容を知ることができる。
【0092】
また、携帯電子機器は、投影領域の画像が取扱説明書である場合、取扱説明書に従って物を組み立てるのに要する時間(終了時刻)をリアルタイムで投影してもよい。これにより、ユーザは、終了時刻を予め知ることができる。
【0093】
また、携帯電子機器は、投影領域の画像が診察券である場合、診察時間、混雑状況の情報を外部機器(例えば、病院のサーバ)から取得して、取得した情報を投影してもよい。なお、診察時間、混雑状況の情報を診察券に投影してもよいし、任意の場所(例えば、待合室の壁面)に投影してもよい。これにより、ユーザは、最新の診察時間、混雑状況を知ることができる。
【0094】
また、携帯電子機器は、投影領域の画像が電光掲示板である場合、渋滞・工事状況、避難経路、混雑状況(車内および各駅・各停留所の混雑状況)の情報を外部機器(例えば、高速道路会社のサーバ、鉄道会社のサーバ、バス会社のサーバ等)から取得し、取得した情報を投影してもよい。これにより、ユーザは、最新の渋滞・工事状況、避難経路、混雑状況を知ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
以上のように、本発明に係る携帯電子機器及び画像投影ユニットは、プロジェクタのような、画像を投影できる装置を備えるものに有用である。
【符号の説明】
【0096】
1 携帯電子機器
1C 筐体
2 ディスプレイ
13 操作部
13A 操作キー
13B 方向及び決定キー
22 処理部
22a プロジェクタ制御部
22b 画像処理部
22c 条件判定部
22d 姿勢・位置演算部
22e 投影画像決定部
22f カメラ制御部
24 記憶部
25 外部記憶部
30 音声処理部
31 可視光照射装置
32 表示部
34 プロジェクタ
35 描画装置
39 焦点調整装置
40 カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に設けられて、投影領域に画像を投影する画像投影部と、
前記筐体に設けられて、外部機器から情報を取得する情報取得部と、
前記投影領域に予め配置された第一画像に対応する特定投影画像の情報を前記情報取得部により取得し、取得した前記投影画像情報を前記画像投影部から投影させる処理部と、を含み、
前記特定投影画像は、前記投影領域の第一画像に関連する画像であることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記処理部は、外部機器から前記特定投影画像の更新の有無を含む情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記筐体は、支持台と連結される連結機構を有することを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記画像投影部が画像を投影する方向の画像を撮影する撮影部を、さらに有し、
前記処理部は、前記撮影部で撮影した画像に基づいて、前記投影領域の第一画像を判定し、判定した結果に基づいて前記特定投影画像の情報を前記情報取得部により取得し、投影することを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記処理部は、前記撮影部で撮影した画像に基づいて、前記投影領域の第一画像が切り替わったことを検出したら、投影する特定投影画像を切り替えることを特徴とする請求項4に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記処理部は、前記撮影部で撮影した画像に基づいて、投影する前記特定投影画像の大きさを調整し、前記特定投影画像を、前記投影領域の所定の位置に投影することを特徴とする請求項4または5に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記処理部は、前記撮影部で撮影した画像から識別情報を取得し、取得した識別情報に基づいて、前記投影領域の第一画像を判定し、前記投影領域の画像に対応する特定投影画像を前記情報取得部により取得することを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項8】
請求項3に記載の携帯電子機器と、
前記連結機構と連結し、前記携帯電子機器を特定の姿勢に固定する支持台と、
前記支持台に固定されるとともに、前記投影領域に配置された専用スクリーンと、
前記専用スクリーンに保持されるとともに、前記第一画像が配置される印刷物と、を有し、
前記携帯電子機器は、前記第一画像に関連する画像を前記特定投影画像として投影することを特徴とする画像投影ユニット。
【請求項9】
前記専用スクリーンは、前記印刷物の設置位置を示す案内が表面に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の画像投影ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図11】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【公開番号】特開2011−250206(P2011−250206A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122089(P2010−122089)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】