説明

携帯電子機器用の充電器

【課題】一台の充電器で認証方式が互いに異なるアップル系と、アップル系以外のスマートフォン系の2種類の携帯電子機器の充電に対応し、ユーザーの利便性を向上させる。
【解決手段】充電器100は、直流の電源電位を生成する電源10、出力トランジスタ11、USBコネクタ12、コントローラ20、及び抵抗ブリッジ回路60を含んで構成される。コントローラ20は、第1のモード(アップル系の携帯電子機器30の充電を試みるモード)で、抵抗ブリッジ回路60の第1及び第2の接続ノードN1,N2の電位を電源電位と接地電位の間の中間電位に設定し、第2のモード(アップル系以外のスマートフォン系の携帯電子機器40の充電を試みるモード)で第1及び第2の接続ノードN1,N2の電位を電源電位に設定する電位設定回路を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、USBインターフェースを介して、携帯電話等の携帯電子機器に内蔵された充電池を充電する充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、充電器の小型化軽量化を実現するため、パーソナルコンピュータのシリアルバスとして広く採用されているUSB(Universal Serial Bus)の電源端子であるVbus端子から供給されるDC5V電源を用いて、携帯電子機器に内蔵された充電池の充電を行う充電器が採用されるようになっている。
【0003】
特許文献1には、USBのVbus端子を用いた充電器において、USBインターフェースに接続されている他の周辺機器で使用しているVbus端子の電流値を気にすることなく、しかも充電電流を十分大きく取ることができるようにした充電器が開示されている。
【0004】
また、危険防止のため、携帯電子機器に対応した専用の充電器が用意されており、何らかの認証をしないと、充電ができないようにした携帯電子機器が普及しつつある。その中で、アップル系(iPod/iPhone/iPad)と、アップル系以外のスマートフォン系の2種類が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−60778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、アップル系、アップル系以外のスマートフォン系の携帯電子機器においては、認証方式が互いに異なるため、それぞれ専用の充電器を用意するか、変換アダプターを用意する必要がある。このため、ユーザーにとってコストアップとなり、変換アダプターの管理が必要などユーザーの利便性に欠けるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の携帯電子機器用の充電器は、電源電位を生成する電源と、前記電源に接続された電源線及び接地線と、Vbus端子、第1のデータ通信端子、第2のデータ通信端子及び接地端子を有し、USBケーブルを介して携帯電子機器が接続されるUSBコネクタと、前記電源線と前記Vbus端子の間に挿入されたスイッチング素子と、第1の抵抗、第2の抵抗、第3の抵抗及び第4の抵抗からなり、前記第1の抵抗と前記第2の第1の接続ノードが前記第1のデータ通信端子に接続され、前記第3の抵抗と前記第4の抵抗の第2の接続ノードが前記第2のデータ通信端子に接続された抵抗ブリッジ回路と、前記スイッチング素子のスイッチングを制御するスイッチング制御回路と、第1のモードで前記第1及び第2の接続ノードの電位を前記電源電位と接地電位の間の中間電位に設定し、第2のモードで前記第1及び第2の接続ノードの電位を前記電源電位に設定する電位設定回路を有するコントローラと、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、一台の充電器で認証方式が互いに異なるアップル系と、アップル系以外のスマートフォン系の2種類の携帯電子機器の充電に対応でき、また専用の充電ケーブルを用いることなく、データ通信ケーブル(USBケーブル)を用いた充電に対応できるため、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態による携帯電子機器用の充電器(アップル系の携帯電子機器を充電する場合)の回路図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による携帯電子機器用の充電器(アップル系以外のスマートフォン系の携帯電子機器を充電する場合)の回路図である。
【図3】本発明の第1の実施形態による携帯電子機器用の充電器の動作を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態による携帯電子機器用の充電器の回路図である。
【図5】本発明の第3の実施形態による携帯電子機器用の充電器の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態による携帯電子機器用の充電器100(以下、充電器100という)を図1〜図3に基づいて説明する。図1は、充電器100にアップル系の携帯電子機器30が接続された場合を示している。図2は、充電器100にアップル系以外のスマートフォン系の携帯電子機器40が接続された場合を示している。充電器100は、以下に説明するように、アップル系の携帯電子機器30、アップル系以外のスマートフォン系の携帯電子機器40のいずれが接続された場合でも、接続された携帯電子機器30,40を充電可能に構成されている。
【0011】
充電器100は、直流の電源電位を生成する電源10、出力トランジスタ11(本発明の「スイッチング素子」の一例)、USBコネクタ12、コントローラ20、及び
抵抗ブリッジ回路60を含んで構成される。電源10は、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池であり、商用交流電源であるAC100Vの電源を整流し、DC/DCコンバータで所望の電圧に変換する、別の充電器により充電することができる。
【0012】
電源10のプラス端子(+)には第1の電源線13の一端が接続されている。第1の電源線13と第2の電源線14の間に出力トランジスタ11が接続されている。出力トランジスタ11は、PNP型のバイポーラトランジスタであるが、他の種類のトランジスタであってもよい。
【0013】
電源10のマイナス端子(−)は接地線15の一端に接続されている。接地線15のもう一方の端はUSBコネクタ12のGND端子(接地端子)に接続されている。接地線15には、接地線15に流れる充電電流Iを検知するための電流検知抵抗16が挿入されている。
【0014】
USBコネクタ12は、Vbus端子、D+端子、D−端子、GND端子という4つの端子を持っている。Vbus端子(電源端子)とGND端子(接地端子)が電源系の端子であり、D+端子、D−端子はそれぞれ第1、第2のデータ通信端子である。
【0015】
USBコネクタ12の各端子は、アップル系の携帯電子機器30、アップル系以外のスマートフォン系の携帯電子機器40のUSBコネクタの対応する各端子にUSBケーブル70を介して接続可能である。
【0016】
出力トランジスタ11のエミッタは第1の電源線13の他端に接続され、出力トランジスタ11のコレクタは第2の電源線14を介して、USBコネクタ12のVbus端子に接続されている。出力トランジスタ11のベースにはコントローラ20の出力制御部21からの制御信号が印加される。
【0017】
抵抗ブリッジ回路60は、第1の抵抗R1、第2の抵抗R2、第3の抵抗R3及び第4の抵抗R4からなる。第1の抵抗R1と第2の抵抗R2との接続ノード(以下、第1の接続ノードN1という)は、D+端子(第1のデータ通信端子)に接続されている。
【0018】
第3の抵抗R3と第4の抵抗R4の接続ノード以下、第2の接続ノードN2というはD−端子(第2のデータ通信端子)に接続されている。
【0019】
コントローラ20の構成は、以下の通りである。コントローラ20は、出力制御部21、第1の出力ポート22、第2の出力ポート23、タイマー24、差動増幅器25及びA/D変換器(アナログ・デジタル変換器)26を含んで構成される。コントローラ20の動作電源として、電源10が用いられている。つまり、コントローラ20には、電源10のプラス端子(+)からの電源電位、マイナス端子(−)からの接地電位が供給されている。
【0020】
タイマー24は予め設定された所定時間が経過すると、タイマー信号を出力する回路である。出力制御部21は、出力トランジスタ11のオンオフを制御する制御信号を発生する回路である。
【0021】
また、電流検知抵抗16、差動増幅器25及びA/D変換器(アナログ・デジタル変換器)26は接地線15に流れる充電電流Iの電流検知回路を構成する。電流検知抵抗16の両端の電位差は差動増幅器25により増幅される。差動増幅器25により増幅された電位差は、A/D変換器26によりデジタル信号に変換される。これにより、接地線15に流れる充電電流Iを検知することができる。
【0022】
充電器100に携帯電子機器30又は携帯電子機器40が接続され、充電動作状態の時、接地線15には充電電流Iが流れる。充電完了又は満充電の時、充電電流Iは流れない。したがって、コントローラ20は、前記電流検知回路の電流検知結果に基づいて、携帯電子機器30,40の充電開始、充電完了を判断することができる。
【0023】
第1のモード(アップル系の携帯電子機器30の充電を試みるモード)において、図1に示すように、第1の出力ポート22は、第2の抵抗R2と第4の抵抗R4の接続ノード以下、第3の接続ノードN3というに接地電位(L)を出力し、第2の出力ポート23は、第1の抵抗R1と第3の抵抗R3の接続ノード以下、第4の接続ノードN4というに電源電位(H)を出力する。すると、抵抗ブリッジ回路60の第1の接続ノードN1の電位V1、第2の接続ノードN2の電位V2は、抵抗分圧により、電源電位と接地電位の間の所定の中間電位に設定される。
【0024】
【表1】

これにより、表1に示すように、充電器100のUSBコネクタ12のD−端子、D+端子は前記中間電位に設定される。そして、アップル系の携帯電子機器30がUSBケーブル70を介して充電器100のUSBコネクタ12に接続されると、アップル系の携帯電子機器30のUSBコネクタのD−端子、D+端子も前記中間電位に設定される。アップル系の携帯電子機器30は、自己のUSBコネクタのD−端子、D+端子が前記中間電位に設定されると、USB規格に基づいて通信可能状態と認識する。これにより、充電器100の認証が行われ、充電器33を充電可能状態にするように構成されている。
【0025】
すなわち、充電器100のUSBコネクタ12がUSBケーブル70を介して、アップ系の携帯電子機器30に接続されると、USBコネクタ12のVbus端子は、携帯電子機器30の電源線31に接続され、USBコネクタ12のGND端子は、携帯電子機器30の接地線32に接続される。アップル系の携帯電子機器30の電源線31と接地線32との間には、不図示のスイッチを介して充電池33が接続されている。前述のように、充電器100の認証が成功すると、前記スイッチがオンし、充電池33の充電経路が形成されるように構成されている。そして、出力トランジスタ11を介して、充電池33の充電を開始する。
【0026】
一方、第2のモード(アップル系以外のスマートフォン系の携帯電子機器40の充電を試みるモード)において、図2に示すように、第1の出力ポート22は、第3の接続ノードN3に電源電位(H)を出力し、第2の出力ポート23は、第4の接続ノードN4に電源電位(H)を出力する。すると、抵抗ブリッジ回路60の第1の接続ノードN1の電位V1、第2の接続ノードN2の電位V2は、いずれも電源電位に設定される。これにより、表1に示すように、充電器100のUSBコネクタ12のD−端子、D+端子は、いずれも電源電位に設定される。
【0027】
アップル系以外のスマートフォン系の携帯電子機器40においては、電源線41とD+端子の間にプルアップ抵抗44が設けられており、充電器100のD+端子とD−端子が短絡されることにより、そのD+端子のHレベル(電源電位)がアップル系以外のスマートフォン系の携帯電子機器40D−端子に送られることにより、充電器100の認証を行っている。しかしながら、アップル系以外のスマートフォン系の携帯電子機器40の外部回路から、D+端子に電源電位を印加しても同じ結果になり、充電器の認証を行うことができる。
【0028】
そこで、充電器100においては、D−端子及びD+端子を同じ電源電位(例えば、+5V)に設定することにより、充電器100の認証を可能にした。すなわち、充電器100のUSBコネクタ12がUSBケーブル70を介して、アップル系以外のスマートフォン系の携帯電子機器40に接続されると、USBコネクタ12のVbus端子は、アップル系以外のスマートフォン系の携帯電子機器40の電源線41に接続され、USBコネクタ12のGND端子は、アップル系以外のスマートフォン系の携帯電子機器40の接地線42に接続される。アップル系以外のスマートフォン系の携帯電子機器40の電源線41と接地線42との間には、不図示のスイッチを介して充電池43が接続されている。前述のように、充電器100の認証が成功すると、前記スイッチがオンし、充電池43の充電経路が形成されるように構成されている。そして、出力トランジスタ11を介して、充電池43の充電を開始する。
【0029】
なお、コントローラ20は、マイクロコンピュータで構成することができる。その場合、第1の出力ポート22及び第2の出力ポート23の出力は、マイクロコンピュータのROMに格納されたプログラムにより制御可能である。
【0030】
次に、充電器100の動作を図3のフローチャートに基づいて説明する。なお、以下の動作は、コントローラ20に内蔵されたROMに記憶されたプログラムをコントローラ20に内蔵されたCPUにより実行することで、行うことができる。
【0031】
先ず、充電器100に、USBケーブル70を介して充電対象の携帯電子機器を接続する。第1のステップS1において、コントローラ20は、出力トランジスタ11をオンする。次に、ステップS2において、充電器100は、第1のモード(アップル系の携帯電子機器30の充電を試みるモード)に設定される。
この場合、充電器100に接続された携帯電子機器がアップル系の携帯電子機器30であれば、前述のD−端子、D+端子が中間電位に設定されることにより、充電器100の認証が成功し、充電が開始されることになる。充電器100に接続された携帯電子機器がアップル系の携帯電子機器30以外のものであれば、認証は失敗し、充電は開始されない。
【0032】
ステップS3において、コントローラ20は、前記電流検知回路の電流検知結果に基づいて、携帯電子機器の充電が開始されたか否かを判断する。コントローラ20は、例えば、所定値以上の電流が所定時間以上、検知された時に充電が開始されたと判断する。前記所定時間はタイマー24によって検出される。
【0033】
携帯電子機器の充電が開始されたと判断されると、ステップS4において、コントローラ20は、前記電流検知回路の電流検知結果に基づいて、充電が完了したか否かを判断する。コントローラ20は、例えば、電流ゼロが検知された場合に充電が完了したと判断する。充電が完了したと判断されると、ステップS5において、コントローラ20は、出力トランジスタ11をオフすることにより、充電動作を停止する。
【0034】
一方、ステップS3において、携帯電子機器の充電が開始されなかったと判断された場合は、第1のモードを終了し、その所定時間後に、ステップS6において、充電器100は、第2のモード(アップル系以外のスマートフォン系の携帯電子機器40の充電を試みるモード)に設定される。この場合、充電器100に接続された携帯電子機器がアップル系以外のスマーフォン系の携帯電子機器40であれば、前述のD−端子、D+端子が電源電位に設定されることにより、充電器100の認証が成功し、充電が開始されることになる。充電器100に接続された携帯電子機器がアップル系以外のスマートフォン系の携帯電子機器40以外のものであれば、認証は失敗し、充電は開始されない。
【0035】
携帯電子機器の充電が開始されたと判断されると、ステップS4において、コントローラ20は、前記電流検知回路の電流検知結果に基づいて、充電が完了したか否かを判断する。コントローラ20は、例えば、電流ゼロが検知された場合に充電が完了したと判断する。充電が完了したと判断されると、ステップS5において、コントローラ20は、出力トランジスタ11をオフすることにより、充電動作を停止する。
【0036】
一方、ステップS7において、携帯電子機器の充電が開始されなかったと判断された場合は、ステップS8において第2のモードを終了する。
【0037】
このように、充電器100を第1モードに設定して充電を試み、充電を開始しなければ、第2モードに切り替えて充電を試みる。いずれのモードでも充電を開始しなければ、その携帯電子機器は未対応機種か、すでに充電を完了しているので、充電処理を終了する。これにより、一台の充電器100でアップル系の携帯電子機器30と、アップル系以外のスマートフォン系の携帯電子機器40の充電に対応できるため、ユーザーの利便性を向上させることができる。また、充電器100は、基本的には従来のものに抵抗ブリッジ回路60を設ければよいので、コストを抑えることができる。なお、第1モードと第2モードの設定の順番は逆にしてもよい。
【0038】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態の充電器100Aを図4に基づいて説明する。この充電器100Aが、第1の実施形態の充電器100と異なる点は、抵抗ブリッジ回路60の第4の接続ノードN4を第2の電源線14に接続し、第2の出力ポート23を不要にした点である。
【0039】
第1のモード(アップル系の携帯電子機器30の充電を試みるモード)において、第1の出力ポート22は、第3の接続ノードN3に接地電位(L)を出力する。すると、抵抗ブリッジ回路60の第1の接続ノードN1の電位V1、第2の接続ノードN2の電位V2は、抵抗分圧により、電源電位と接地電位の間の所定の中間電位に設定される。これにより、表2に示すように、充電器100AのUSBコネクタ12のD−端子、D+端子は前記中間電位に設定され、第1の実施形態の充電器100と同じ結果になる。
【0040】
一方、第2のモード(アップル系以外のスマートフォン系の携帯電子機器40の充電を試みるモード)において、第1の出力ポート22は、第3の接続ノードN3に電源電位(H)を出力する。すると、抵抗ブリッジ回路60の第1の接続ノードN1の電位V1、第2の接続ノードN2の電位V2は、いずれも電源電位に設定される。これにより、表2に示すように、充電器100AのUSBコネクタ12のD−端子及びD+端子は同じ電源電位(例えば、+5V)に設定され、第1の実施形態の充電器100と同じ結果になる。
【表2】

【0041】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態の充電器100Bを図5に基づいて説明する。本実施形態の充電器100Bは、第1の実施形態の充電器100の電源10を、DC/DCコンバータ50、整流器51、リレー52で構成し、さらに、バックアップコンデンサ53を付け加え、DC/DCコンバータ50、整流器51及びリレー52の動作をコントローラ20により制御するようにしたものである。
【0042】
DC/DCコンバータ50、整流器51、リレー52は充電用の電源10を構成し、バックアップコンデンサ53は、コントローラ20の電源を構成する。
【0043】
リレー52は、商用交流電源であるAC100Vの電源のオンオフを切り替える回路であり、リレー52がオンすると、AC+端子、AC−端子(ACプラグ端子)を介して入力されるAC100Vの電源電圧を整流器51に供給する。
【0044】
整流器51は、リレー52を介して供給されるAC100Vの電源電圧を整流する。DC/DCコンバータ50は、整流器51の出力電圧を平滑化すると共に、整流器51の出力電圧を所定のDC電圧に変換する回路である。バックアップコンデンサ53は、DC/DCコンバータ50の出力によって充電され、携帯電子機器の充電をしていない待機状態ではコントローラ20の電源として用いられる。
【0045】
すなわち、待機状態では、コントローラ20は、バックアップコンデンサ53の電圧によって動作する。コントローラ20は、バックアップコンデンサ53の電圧が低下した時だけ、リレー52をオンし、整流器51、DC/DCコンバータ50を動作させてバックアップコンデンサ53を充電するようにしている。これにより、充電器100Bの待機状態の消費電力を削減することができる。
【0046】
特に、リレー52がオフの時は、コントローラ20はバックアップコンデンサ53を動作電源電位として動作し、DC/DCコンバータ50及び整流器51は動作を停止しているので、充電器100Bの待機電力を実質的にゼロにすることができる。
【0047】
そして、携帯電子機器がUSBコネクタ12に接続されたと判断された時は、コントローラ20により、出力トランジスタ11はオン状態に設定されると共に、リレー52がオン状態に設定され、DC/DCコンバータ50の動作が開始する構成されている。これにより、DC/DCコンバータ50の出力がUSBコネクタのVbus端子に出力される。
【符号の説明】
【0048】
10 電源 11 出力トランジスタ 12 USBコネクタ
13 第1の電源線 14 第2の電源線
15,32,42 接地線 16 電流検知抵抗 20 コントローラ
21 出力制御部 22 第1の出力ポート
23 第2の出力ポート 24 タイマー 25 差動増幅器
26 A/D変換器
30 アップル系の携帯電子機器
40 アップル系以外のスマートフォン系の携帯電子機器
31,41 電源線 33,43 充電池
50 DC/DCコンバータ 51 整流器 52 リレー
53 バックアップコンデンサ
60 抵抗ブリッジ回路 70 USBケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電位を生成する電源と、
前記電源に接続された電源線及び接地線と、
Vbus端子、第1のデータ通信端子、第2のデータ通信端子及び接地端子を有し、
USBケーブルを介して携帯電子機器が接続されるUSBコネクタと、
前記電源線と前記Vbus端子の間に挿入されたスイッチング素子と、
第1の抵抗、第2の抵抗、第3の抵抗及び第4の抵抗からなり、前記第1の抵抗と前記第2の第1の接続ノードが前記第1のデータ通信端子に接続され、前記第3の抵抗と前記第4の抵抗の第2の接続ノードが前記第2のデータ通信端子に接続された抵抗ブリッジ回路と、
前記スイッチング素子のスイッチングを制御するスイッチング制御回路と、第1のモードで前記第1及び第2の接続ノードの電位を前記電源電位と接地電位の間の中間電位に設定し、第2のモードで前記第1及び第2の接続ノードの電位を前記電源電位に設定する電位設定回路を有するコントローラと、を備えることを特徴とする携帯電子機器用の充電器。
【請求項2】
前記電位設定回路は、前記第1のモードで前記第2の抵抗と前記第4の抵抗の第3の接続ノードに接地電位を印加し、前記第2のモードで前記第3の接続ノードに電源電位を印加する第1の出力ポートと、前記第1の抵抗と前記第3の抵抗の第4の接続ノードに電源電位を印加する第2の出力ポートと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器用の充電器。
【請求項3】
前記電位設定回路は、前記第1のモードで前記第2の抵抗と前記第4の抵抗の第3の接続ノードに接地電位を印加し、前記第2のモードで前記第3の接続ノードに電源電位を印加する第2の出力ポートを備え、前記第1の抵抗と前記第3の抵抗の第4の接続ノードは、前記Vbus端子に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器用の充電器。
【請求項4】
前記接地線に流れる電流を検知する電流検知回路を備え、前記コントローラは、前記電流検知回路の電流検知結果に基づいて、前記携帯電子機器の充電開始、充電完了を判断することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の携帯電子機器用の充電器。
【請求項5】
前記コントローラは、前記スイッチング素子をオンさせると共に、前記第1のモードの電位設定を行い、前記USBコネクタに接続された携帯電子機器の充電が開始しないと判断した場合には、前記第2のモードの電位設定を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の携帯電子機器用の充電器。
【請求項6】
前記コントローラは、前記スイッチング素子をオンさせると共に、前記第2のモードの電位設定を行い、前記USBコネクタに接続された携帯電子機器の充電が開始しないと判断した場合には、前記第1のモードの電位設定を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の携帯電子機器用の充電器。
【請求項7】
前記電源は、ACプラグ端子と、リレーと、前記ACプラグ端子及び前記リレーを介して供給されるAC電圧を整流する整流器と、この整流器の出力電圧を所定のDC電圧に変換するDC/DCコンバータと、このDC/DCコンバータに接続された前記電源線と前記接地線の間に接続され、前記コントローラに電源を供給するバックアップコンデンサとを備え、
前記コントローラは、待機時に前記電源線の電位が所定値より低くなった時に前記リレーをオンし、前記整流器及び前記DC/DCコンバータを動作させて前記バックアップコンデンサを充電することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の携帯電子機器用の充電器。
【請求項8】
前記コントローラは、携帯電子機器の充電時に前記リレーをオンし、前記整流器及び前記DC/DCコンバータを動作させることを特徴とする請求項7に記載の携帯電子機器用の充電器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−191744(P2012−191744A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52909(P2011−52909)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(300057230)セミコンダクター・コンポーネンツ・インダストリーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (119)
【Fターム(参考)】