説明

携帯電子機器用防水両面粘着テープ

【課題】 本発明は、基材層に発泡シートを用いた場合のような問題点を生じることがなく優れた防水性及び打ち抜き加工性を有する携帯電子機器用防水両面粘着テープを提供する。
【解決手段】 本発明の携帯電子機器用防水両面粘着テープAは、ポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種の合成樹脂を含有する非発泡の第一合成樹脂層1の両面に、熱可塑性エラストマー及びゴム系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種の合成樹脂を含有する非発泡の第二合成樹脂層2、2が積層一体化されてなる基材層4と、この基材層4の両面に積層一体化された粘着剤層3、3とを含有していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水性及び打ち抜き加工性に優れた携帯電子機器用防水両面粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から様々な分野において部材同士を固定一体化させるために両面粘着テープが用いられている。近年、携帯電話などのように携帯して用いられる携帯電子機器において防水機能が求められており、携帯電子機器を構成している部材同士を固定一体化させている両面粘着テープにも防水性が要求されている。
【0003】
特許文献1には、不織布基材の両面に粘着剤層が形成された両面接着テープであって、該両面接着テープの層間破壊面積率が10%以下であり、かつ両面接着テープの引張り強度がMD方向(縦方向)及びTD方向(横方向)共に20N/10mm以上である両面接着テープが開示されている。
【0004】
しかしながら、上記両面粘着テープは、その防水性が不充分であり、優れた防水性を有する両面粘着テープが所望されている。
【0005】
又、携帯電子機器用防水両面粘着テープとして、発泡シートの両面に粘着剤層を積層一体化してなる両面粘着テープも提案されており、具体的には、特許文献2に、発泡体基材と粘着剤層とを有する両面粘着テープであって、携帯電子機器の部品固定用に用いられ、厚さが70〜300μmであり、前記発泡体基材がポリオレフィン系の発泡体基材であり、前記発泡体基材の25%圧縮強度が40〜160kPa、引張強度が300〜1500N/cm2である携帯電子機器用防水両面粘着テープが提案されている。
【0006】
一方、近年、携帯電子機器は更なる小型化が求められており、この携帯電子機器の小型化に伴って両面粘着テープもその幅が狭いものや厚みが薄いものが所望されている。
【0007】
しかしながら、発泡原反シート中に粗大な気泡があると、発泡原反シートを切断して得られた発泡シートにおいて幅の狭い部分にて切断端面に気泡の切断面が露出、開口した状態となり、粗大な気泡を通じて発泡シートの切断端面間が連通した状態となって携帯電子機器用防水両面粘着テープの防水性が損なわれる虞れがあるという問題点を有する。
【0008】
更に、発泡シートは、その製造上、部分的に粗大な気泡が形成する可能性があり、上述のように、気泡の断面が発泡シートの切断端面に露出、開口した状態とならなくても、発泡シートの内部に存在した状態となることがある。このように、粗大な気泡が存在している発泡シート部分は、その弾性回復性や機械的強度も低く、被貼着体に対する密着性が低下し、或いは、発泡シートが使用中に破断するなどして携帯電子機器用防水両面粘着テープの防水性が低下するという問題点を有している。
【0009】
又、発泡シートは、その製造過程で発泡性を有する原反を発泡させて製造されていることから厚み精度が低く、携帯電子機器用防水両面粘着テープの厚みが薄いほど発泡シートの厚みの不均一性が携帯電子機器用防水両面粘着テープの防水性に及ぼす影響が大きく、携帯電子機器用防水両面粘着テープの厚みを薄くすればするほど、携帯電子機器用防水両面粘着テープの防水性の精度が低下するという問題点を有している。
【0010】
更に、発泡シートは、上述のように、製造にあたって発泡性を有する原反を発泡させて製造されていることから、発泡シートの厚みを薄くすることに限界があり、携帯電子機器用防水両面粘着テープの薄型化も不十分であるという問題点を有している。
【0011】
加えて、近年の携帯電子機器の小型化を達成するためには、各部材の寸法精度を向上させる必要があり、携帯電子機器を構成している部材同士を一体化させている両面粘着テープについても寸法精度の向上が要求されている。両面粘着テープは、通常、所望形状に打ち抜いた上で用いられ、この打ち抜き加工された両面粘着テープについて寸法精度の向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2001−152111号公報
【特許文献2】特許第4623198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、基材層に発泡シートを用いた場合のような問題点を生じることがなく優れた防水性及び打ち抜き加工性を有する携帯電子機器用防水両面粘着テープを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の携帯電子機器用防水両面粘着テープAは、ポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種の合成樹脂を含有する非発泡の第一合成樹脂層1の両面に、熱可塑性エラストマー及びゴム系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種の合成樹脂を含有する非発泡の第二合成樹脂層2、2が積層一体化されてなる基材層4と、この基材層4の両面に積層一体化された粘着剤層3、3とを含有していることを特徴とする。
【0015】
携帯電子機器用防水両面粘着テープAを構成している第一合成樹脂層1は非発泡であって、ポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種の合成樹脂を含有しており、ポリステル系樹脂を含有していることが好ましい。
【0016】
ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などが挙げられる。ポリエチレン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン系樹脂、中密度ポリエチレン系樹脂、高密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂などが挙げられ、単独で用いられても併用されてもよい。
【0017】
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン成分を50重量%を超えて含有するプロピレンと他のオレフィンとの共重合体などが挙げられ、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。又、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体は、ブロック共重合体又はランダム共重合体の何れであってもよい。
【0018】
なお、プロピレンと共重合されるオレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィンなどが挙げられる。
【0019】
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが挙げられ、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0020】
図1に示したように、第一合成樹脂層1の両面には、熱可塑性エラストマー及びゴム系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種の合成樹脂、好ましくはゴム系樹脂を含有する非発泡の第二合成樹脂層2、2が積層一体化されて基材層4が構成されており、この第二合成樹脂層2が弾性変形することによって被貼着体の表面形状に沿って携帯電子機器用防水両面粘着テープが水密状態に貼着され、携帯電子機器用防水両面粘着テープを介して接合された部材間に防水性が付与される。
【0021】
更に、携帯電子機器用防水両面粘着テープを被貼着体に貼着した後に被貼着体が変形又は変位した場合にあっても、第二合成樹脂層2が弾性変形することによって被貼着体の変形又は変位を吸収し、携帯電子機器用防水両面粘着テープを介して接合された部材間の防水性は確実に維持される。
【0022】
熱可塑性エラストマーとしては、特に限定されず、例えば、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー,ポリエステル系熱可塑性エラストマー,ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー,塩ビ系熱可塑性エラストマー,ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどが挙げられ、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーが好ましく、ポリエステル系のポリウレタン系熱可塑性エラストマーがより好ましい。なお、熱可塑性エラストマーは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。熱可塑性エラストマーは架橋されていてもよい。熱可塑性エラストマーの架橋は、2つ以上の分子鎖間又は同一の分子鎖内を化学結合又は物理架橋で結ぶ反応であればどのような方法でもよく、一般的には、硫黄系加硫剤や有機過酸化物などの架橋剤を熱可塑性エラストマーに添加して架橋する方法、熱可塑性エラストマーに電子線などの放射線を照射する方法などが挙げられ、加硫促進剤やシランカップリング剤を併用することもできる。
【0023】
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーは、分子内に部分架橋を有する不完全熱可塑性タイプと、完全に線状の高分子体である完全熱可塑性タイプとの二種類がある。不完全熱可塑性タイプは、耐熱性、耐薬品性及び機械的強度などに優れている。
【0024】
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーには、(1)カプロラクトンを開環して得られたポリラクトンエステルポリオールに、短鎖ポリオールの存在下、ポリイソシアネートを付加重合させたカプロラクトン型、(2)アジピン酸とグリコールとのアジピン酸エステルポリオールに、短鎖ポリオールの存在下、ポリイソシアネートを付加重合させたアジピン酸型(アジペート型)などのポリエステル系のポリウレタン系熱可塑性エラストマー、(3)テトラヒドロフランの開環重合で得たポリテトラメチレングリコール(PTMG)に、短鎖ポリオールの存在下、ポリイソシアネートを付加重合させたPTMG型(エーテル型)のポリウレタン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0025】
ポリエステル系のポリウレタン系熱可塑性エラストマーは、BASF社から商品名「エラストランNY585」にて市販されている。ポリエーテル系のポリウレタン系熱可塑性エラストマーは、BASF社から商品名「エラストランNY90A」「エラストランNY97A」にて市販されている。又、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーは、旭硝子社、協和発酵社、クラレ社、三洋化成社、住友バイエルウレタン社、大日精化社、ダウ・ケミカル社、日本ミラクトン社、日本ポリウレタン社、大日本インキ化学社、武田薬品社、東洋紡績社、日清紡績社、北辰化学社などからも市販されている。
【0026】
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ハードセグメントに高融点で高結晶性の芳香族ポリエステル、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を、ソフトセグメントに、ガラス転移温度が−70℃の非晶性ポリエーテル、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)を使用したマルチブロックポリマーなどが挙げられる。
【0027】
ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、東洋紡績社、東レ・デュポン社、大日本インキ化学社、日本イージープラスチックス社などから市販されている。
【0028】
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントにポリプロピレンやポリエチレンなどの熱可塑性結晶質ポリオレフィンを使用し、ソフトセグメントに、完全加硫又は部分加硫したゴムを使用した混合物である。熱可塑性結晶質ポリオレフィンとしては、例えば、1〜4個の炭素原子を有するαーオレフィンのホモポリマー又は二種以上の共重合体であり、ポリエチレン又はポリプロピレンが好ましい。ソフトセグメント成分は、プチルゴム、ハロブチルゴム、EPDM、EPRゴム、アクリロニトリル/ブタジエンゴム、NBR、天然ゴムなどが挙げられる。
【0029】
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーは、住友化学社、三井石油化学社、日本合成ゴム社、三菱油化社、日本石油化学社、東燃化学社、モンサント社、アドバンスド・エラストマー・システムズ・エル・ピー社などから市販されている。
【0030】
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ナイロンなどのポリアミドをハードセグメントとし、これにポリエステル又はポリオールをソフトセグメントとしたブロック共重合体である。
【0031】
ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、宇部興産社、ダイセル・ヒュルス社、東レ社、三菱化成社、大日本インキ化学社などから市販されている。
【0032】
又、ゴム系樹脂としては、室温でゴム弾性(rubber elasticity)を有するものであれば、特に限定されない。ゴム系樹脂としては、例えば、クロロプレンゴム(CR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ウレタンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどが挙げられる。ゴム系樹脂シートのクッション性や耐久性に優れていることから、ゴム系樹脂は、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)が好ましい。室温でゴム弾性を有するゴム系樹脂は、単独で用いられても、二種以上が併用されてもよい。なお、本発明において、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)は、ニトリルゴムと呼ばれるゴムを含有する。又、本発明において、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)は、スチロールゴムと呼ばれるゴムも含有する。ゴム系樹脂は架橋されていてもよい。ゴム系樹脂の架橋は、2つ以上の分子鎖間又は同一の分子鎖内を化学結合又は物理架橋で結ぶ反応であればどのような方法でもよく、一般的には、硫黄系加硫剤や有機過酸化物などの架橋剤をゴム系樹脂に添加して架橋する方法、ゴム系樹脂に電子線などの放射線を照射する方法などが挙げられ、加硫促進剤やシランカップリング剤を併用することもできる。
【0033】
上述のように、基材層4は、非発泡の第一合成樹脂層の両面に非発泡の第二合成樹脂層が積層一体化されて構成されているので、発泡シートから構成されている場合に比して基材層4はその厚み精度に優れていると共に基材層4の表面も平滑性に優れている。
【0034】
従って、本発明の携帯電子機器用防水両面粘着テープを貼着させる被貼着体(以下、単に「被貼着体」という)と、携帯電子機器用防水両面粘着テープとの間に隙間が生じないように、携帯電子機器用防水両面粘着テープを被貼着体に貼着させることができ、被貼着体間に優れた防水性を付与することができる。
【0035】
本発明の携帯電子機器用防水両面粘着テープは被貼着体に貼着された状態において、主に第二合成樹脂層が被貼着体の表面に沿って変形することによって、被貼着体と携帯電子機器用防水両面粘着テープとの間に隙間が生じるのを防止して防水性を付与している。
【0036】
即ち、本発明の携帯電子機器用防水両面粘着テープは、一方の第二合成樹脂層に貼着される被貼着体の形状に沿って一方の第二合成樹脂層が変形すると共に、他方の第二合成樹脂層に貼着される被貼着体の形状に沿って他方の第二合成樹脂層が変形することによって、二つの被貼着体間の隙間が携帯電子機器用防水両面粘着テープによって水密的に閉塞されることにより防水性が付与される。
【0037】
第二合成樹脂層は、この第二合成樹脂層に押し付けられる被貼着体による押圧力によって変形するが、この際、第二合成樹脂層は、被貼着体に接する面と反対側の面が第一合成樹脂層によって受止された状態となっており、よって、第二合成樹脂層は、被貼着体による押圧力を確実に受け止めて被貼着体の表面に沿った状態に確実に変形し、被貼着体と携帯電子機器用防水両面粘着テープとの間に隙間を生じることなく、被貼着体の表面に携帯電子機器用防水両面粘着テープが貼着して優れた防水性が付与される。
【0038】
そして、第二合成樹脂層は、上述のように、被貼着体に接する面とは反対側の面が第一合成樹脂層によって受止されており、被貼着体から受ける押圧力が小さい場合にあっても容易に変形することができるので、第二合成樹脂層の厚みを薄くして第二合成樹脂層の変形の許容度を小さくしても、被貼着体の表面形状に沿って正確に変形することができる。更に、第二合成樹脂層は非発泡シートであるのでその厚みを薄くしても、発泡シートの場合のように気泡の切断端面が露出することによる防水性の低下を招くことはない。よって、本発明の携帯電子機器用防水両面粘着テープは、その厚みを薄くしても優れた防水性を発揮することができる。
【0039】
更に、本発明の携帯電子機器用防水両面粘着テープは、その第二合成樹脂層の厚みを薄くすることができるので、所望箇所に配設した後に携帯電子機器用防水両面粘着テープにこれを変形させる変形応力が加わった場合にあっても、第二合成樹脂層が過度に変形することはなく、携帯電子機器用防水両面粘着テープを所望箇所に配設させて防水性を確実に維持することができる。
【0040】
又、本発明の携帯電子機器用防水両面粘着テープは、通常、配設する場所に応じて所望形状に打ち抜き加工された上で用いられる。携帯電子機器用防水両面粘着テープの打ち抜き加工時には、切断刃が一方の第二合成樹脂層にその厚み方向に進入するが、上述の通り、第二合成樹脂層は第一合成樹脂層によって受止されているので、第二合成樹脂層に切断刃を容易に進入させて第二合成樹脂層を正確に切断することができる。なお、携帯電子機器用防水両面粘着テープが打ち抜き加工される場合には、通常、携帯電子機器用防水両面粘着テープは硬質な載置面上に載置されており、携帯電子機器用防水両面粘着テープの他方の第二合成樹脂層は載置面上に受止された状態で切断刃によって正確に切断される。
【0041】
従って、本発明の携帯電子機器用防水両面粘着テープは、打ち抜き加工によって容易に且つ正確に所望形状に切断された上で用いられ、携帯電子機器用防水両面粘着テープによって所望箇所を確実に防水処理することができる。
【0042】
本発明の携帯電子機器用防水両面粘着テープの基材層4を構成している第一合成樹脂層1及び第二合成樹脂層2は非発泡シートであるので発泡シートと異なり、内部に気泡(発泡セル)は存在せず、内部に粗大な気泡が存在するようなことはなく、基材層4は弾性回復性及び機械的強度が全体的に略均一に形成されている。従って、本発明の携帯電子機器用防水両面粘着テープは全体的に被貼着体に対して均一に且つ確実に密着することができ優れた防水性を発揮する。
【0043】
更に、携帯電子機器用防水両面粘着テープの基材層は、上述のように気泡(発泡セル)が存在していないので、全体的に略均一にして充分な機械的強度を有しており、携帯電子機器用防水両面粘着テープを介して接合一体化している被貼着体に衝撃力が加わった場合にあっても、携帯電子機器用防水両面粘着テープの基材層が破損したりすることはなく、外部からの衝撃力にもかかわらず、携帯電子機器用防水両面粘着テープによって被貼着体同士を防水性が確保された状態に確実に接合一体化させておくことができる。
【0044】
又、携帯電話や携帯用電子端末などの小型の携帯電子機器には防水性付与のために内部において携帯電子機器用防水両面粘着テープが用いられ、これら携帯電子機器用防水両面粘着テープは電子機器端末自体が小型であることから幅が狭いものが用いられている。基材層には気泡が存在していないので、基材層の幅を狭くしても、基材層が発泡シートである場合のように、基材層の幅方向の端面間が基材層に含まれる気泡を通じて連通状態となるようなことはなく、よって、本発明の携帯電子機器用防水両面粘着テープは、その幅を狭くしても優れた防水性を維持することができ、携帯電子機器の防水性の付与のために好適に用いることができる。本発明の携帯電子機器用防水両面粘着テープの幅は、細すぎると、携帯電子機器用防水両面粘着テープの当初の防水性に問題はないが、携帯電子機器用防水両面粘着テープを長期間に亘って使用した際に防水性が低下することがあるので、0.5〜2mmが好ましい。
【0045】
第一合成樹脂層1の厚みは、薄いと、第一合成樹脂層が第二合成樹脂層を十分に受止することができないために、携帯電子機器用防水両面粘着テープの打ち抜き加工時に第二合成樹脂層が過度に変形して、携帯電子機器用防水両面粘着テープを所望形状に打ち抜き加工できないことがあり、厚いと、第一合成樹脂層の剛性が高くなり、第一合成樹脂層の被貼着体の表面に対する追従性が低下し、その結果、第一合成樹脂層上に積層一体化させている第二合成樹脂層の被貼着体の表面形状に対する追従性も低下して防水性が低下することがあるので、5〜38μmが好ましく、10〜25μmがより好ましい。
【0046】
第二合成樹脂層2の厚みは、薄いと、第二合成樹脂層が被貼着体の表面形状に沿って十分に変形することができず、携帯電子機器用防水両面粘着テープの防水性が低下することがあり、厚いと、第二合成樹脂層に変形応力が加わった場合に第二合成樹脂層が過度に変形して携帯電子機器用防水両面粘着テープを配設している空間部の近傍に悪影響を与えることがあり、或いは、携帯電子機器用防水両面粘着テープの打ち抜き加工時に第二合成樹脂層が過度に変形して、携帯電子機器用防水両面粘着テープを所望形状に打ち抜き加工できないことがあるので、5〜100μmが好ましく、10〜60μmがより好ましい。
【0047】
第二合成樹脂層2、2のそれぞれの厚みと、第一合成樹脂層1の厚みとの比(第二合成樹脂層/第一合成樹脂層)は、小さいと、第二合成樹脂層が被貼着体の表面形状に沿って十分に変形することができず、携帯電子機器用防水両面粘着テープの防水性が低下することがあり、大きいと、第二合成樹脂層に変形応力が加わった場合に第二合成樹脂層が過度に変形して携帯電子機器用防水両面粘着テープを配設している空間部の近傍に悪影響を与えることがあり、或いは、携帯電子機器用防水両面粘着テープの打ち抜き加工時に第二合成樹脂層が過度に変形して、携帯電子機器用防水両面粘着テープを所望形状に打ち抜き加工できないことがあるので、0.9〜9.5が好ましく、1.3〜4がより好ましい。
【0048】
なお、第一合成樹脂層及び第二合成樹脂層には、その物性を損なわない範囲内において、充填材、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、顔料、染料などの添加剤が含有されていてもよい。第一合成樹脂層及び第二合成樹脂層の表面にはそれぞれコロナ放電処理などの表面処理が施されていてもよい。
【0049】
次に、基材層の製造方法について説明する。基材層の製造方法は、特に限定されず、例えば、(1) ポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種の合成樹脂を含有する非発泡の第一合成樹脂シート、及び、熱可塑性エラストマー及びゴム系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種の合成樹脂を含有する非発泡の第二合成樹脂シートをそれぞれ汎用の要領で製造し、第一合成樹脂シートの両面に第二合成樹脂シートを熱融着によって積層一体化して基材層を製造する方法、(2) ポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種の合成樹脂を含有する非発泡の第一合成樹脂シートを汎用の要領で製造し、この第一合成樹脂シートの両面に、熱可塑性エラストマー及びゴム系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種の合成樹脂を含有する非発泡の第二合成樹脂層を押出ラミネートすることによって基材層を製造する方法、(3) ポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種の合成樹脂を含有する第一合成樹脂用組成物を第一押出機に供給して発泡剤の非存在下にて溶融混練すると共に、熱可塑性エラストマー及びゴム系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種の合成樹脂を含有する第二合成樹脂用組成物を第二押出機に供給して発泡剤の非存在下にて溶融混練し、第一、第二押出機を共に接続させている共押出ダイに第一合成樹脂用組成物及び第二合成樹脂用組成物を供給して共押出することによって、第一合成樹脂用組成物からなる第一合成樹脂層の両面に第二合成樹脂用組成物からなる第二合成樹脂層が積層一体化されてなる基材層を製造する方法、(4)ポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種の合成樹脂を含有する非発泡の第一合成樹脂シートを汎用の要領で製造する一方、熱可塑性エラストマー及びゴム系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種の合成樹脂を溶剤に溶解させてなる塗布液を作製し、この塗布液を第一合成樹脂シートの両面に塗布、乾燥させることによって基材層を製造する方法などが挙げられる。
【0050】
本発明の携帯電子機器用防水両面粘着テープAにおいて、上記基材層4の両面には粘着剤層3、3が積層一体化されている。なお、基材層4の第二合成樹脂層2、2の少なくとも片面、好ましくは両面には粘着剤層との密着性を向上させるために表面処理が施されていることが好ましい。表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、クロム酸処理、オゾン暴露処理、火炎暴露処理、高圧電撃暴露処理、イオン化放射線処理などの酸化処理、下塗り剤や剥離剤などによるコーティング処理などが挙げられる。
【0051】
粘着剤層を構成している粘着剤としては、特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、エポキシ系粘着剤などが挙げられ、アクリル系粘着剤が好ましい。なお、粘着剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0052】
アクリル系粘着剤としては、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを必須のモノマー成分(モノマー主成分)とし、必要に応じて、これと共重合可能な共重合性モノマー(極性基含有モノマーや多官能性モノマーなど)を重合又は共重合させてなるアクリル系ポリマーをベースポリマー(主剤)とする粘着剤などが挙げられる。なお、重合方法は、汎用の方法を用いることができ、特に限定されず、例えば、UV重合法、溶液重合法、エマルジョン重合法などが挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
【0053】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどが挙げられる。
【0054】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルはアクリル系ポリマーのモノマー主成分として用いられているので、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合は、例えば、アクリル系ポリマーを調製するためのモノマー成分全量に対して60重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましい。
【0055】
アクリル系ポリマーは、そのモノマー成分として、極性基含有モノマーや多官能性モノマーなどの各種共重合性モノマーが含有されていてもよい。モノマー成分として共重合性モノマーが含有されていることによって、例えば、被貼着体への接着力を向上させたり、粘着剤の凝集力を高めたりすることができる。なお、共重合性モノマーは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0056】
極性基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー又はその無水物(無水マレイン酸など);(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどの水酸基含有モノマー;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有モノマー;アクリロニトリルやメタアクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー;N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリンの他、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾールなどの複素環含有ビニル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェートなどのリン酸基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマーなどが挙げられる。
【0057】
多官能性モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。
【0058】
アクリル系ポリマーは、極性基含有モノマーや多官能性モノマー以外にも共重合性モノマーが含有されていてもよく、このような共重合性モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィン又はジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニルなどが挙げられる。
【0059】
なお、粘着剤層には、その物性を損なわない範囲内において適宜、添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂などの粘着付与剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、カーボンブラックなどの顔料や染料などの着色剤などが挙げられる。又、粘着剤層は、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤などの汎用の架橋剤によって架橋されていてもよい。
【0060】
非発泡の基材層の両面に粘着剤層を積層一体化して携帯電子機器用防水両面粘着テープを製造する方法としては、特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤などの粘着剤を酢酸エチルなどの溶剤中に加えて均一になるまで攪拌して得られた粘着剤層溶液を、基材層の両面のそれぞれに汎用の要領で塗工した後に乾燥させることにより基材層の両面に粘着剤層を積層一体化して携帯電子機器用防水両面粘着テープを製造する方法、(2)汎用の塗工法によって、離型処理が施された合成樹脂フィルムの離型処理面上に上述の粘着剤層溶液を塗工し、乾燥させることにより、合成樹脂フィルム上に粘着剤層を形成し、この粘着剤層を基材層の両面のそれぞれに転写、積層一体化させて携帯電子機器用防水両面粘着テープを製造する方法などが挙げられる。
【0061】
粘着剤層の厚みは、薄いと、携帯電子機器用防水両面粘着テープの粘着性が低下して防水性が低下することがあり、厚いと、防水性が損なわれることがあるので、10〜80μmが好ましく、15〜65μmがより好ましい。
【0062】
携帯電子機器用防水両面粘着テープは薄いことが求められているが、携帯電子機器用防水両面粘着テープの全体厚みが薄過ぎると、携帯電子機器用防水両面粘着テープの被貼着体への密着性が低下して携帯電子機器用防水両面粘着テープの防水性が低下することがあるので、35〜400μmが好ましく、80〜200μmがより好ましい。
【0063】
なお、携帯電子機器用防水両面粘着テープの各層間には、プライマー層や着色層などが介在していてもよい。
【0064】
次に、本発明の携帯電子機器用防水両面粘着テープの使用要領について説明する。本発明の携帯電子機器用防水両面粘着テープは、携帯電子機器を構成している部材同士を一体化するために用いられ、何れの部材同士を一体化してもよいが、下記に説明するように、携帯電子機器用防水両面粘着テープは液晶表示モジュールユニットBを構成するために用いられることが好ましい。
【0065】
上記バックライト筐体5は、図2に示したように、合成樹脂製の矩形枠状に形成され、上端部には液晶表示パネルを載置するための平面矩形枠状のパネル配設用段部51がバックライト筐体5の上端面に開口した状態に形成されていると共に、下端部には反射板を配設するための反射板配設用段部52が下端面に開口した状態に平面矩形枠状に形成されている。
【0066】
そして、バックライト筐体5のパネル配設用段部51上には、バックライト筐体5の上端開口部よりも僅かに小さい大きさの平面矩形状の液晶表示パネル6が配設されていると共に、バックライト筐体5内には複数枚の光学フィルムが互いに積層された状態で配設されている。
【0067】
具体的には、導光板7、拡散シート8、及び、輝度を向上させるための一枚或いは複数枚のプリズムシート9,9・・・が、この順序で積層された上で、プリズムシート9を液晶表示パネル6に対向させ且つプリズムシート9がパネル配設用段部51のパネル受止面51aに略面一となるようにバックライト筐体5内に配設されている。なお、上記以外の光学フィルムが適宜、積層されていてもよい。
【0068】
なお、バックライト筐体5の反射板配設用段部52には反射板10が配設一体化されていると共に、バックライト筐体5内にはLED(図示せず)が光源として配設されている。
【0069】
上記液晶表示パネル6とこれに対向するプリズムシート9とは公知の両面粘着テープCを介して一体化されている。
【0070】
そして、両面粘着テープCは、バックライト筐体5のパネル配設用段部51のパネル受止面51a上に配設された状態において、バックライト筐体5のパネル配設用段部51のパネル受止面51aの内周部から、パネル配設用段部51のパネル受止面51aで囲まれた開口部内に配設されたプリズムシート9の外周部に達する程度の幅寸法を全周に亘って有しており、バックライト筐体5のパネル配設用段部のパネル受止面51a及びプリズムシート9と、液晶表示パネル6とがこれらの全周において両面粘着テープCを介して貼着一体化されている。
【0071】
上記では、液晶表示パネル6に対向する光学フィルムがプリズムシート9であるとして説明したが、液晶表示パネル6に対向する光学フィルムは必ずしもプリズムシートである必要はなく、他の光学フィルムであってもよい。
【0072】
更に、バックライト筐体5の上端開口端面には、矩形枠状に打ち抜き加工された携帯電子機器用防水両面粘着テープAが一方の粘着剤層3によって貼着一体化されており、この携帯電子機器用防水両面粘着テープAの他方の粘着剤層3を介して透明保護板11が積層一体化されて液晶表示モジュールユニットBが構成されている。
【0073】
上述のように、携帯電子機器用防水両面粘着テープは、配設される場所に応じて、所望形状に予め打ち抜き加工された上で用いられるが、携帯電子機器用防水両面粘着テープは打ち抜き加工性に優れているので所望形状に正確な形状に打ち抜き加工されており、所定の箇所に正確に配設することができ、液晶表示モジュールユニットBにおいては液晶表示パネル6の視認性を阻害することなく、液晶表示パネル6の上方に携帯電子機器用防水両面粘着テープAを介して透明保護板11を配設一体化させることができる。
【0074】
そして、バックライト筐体5の上端開口端面上に携帯電子機器用防水両面粘着テープAを介して透明保護板11を配設する場合に、携帯電子機器用防水両面粘着テープAにはその厚み方向に押圧力が加わるが、この押圧力によって携帯電子機器用防水両面粘着テープA、特に第二合成樹脂層が大きく変形し、液晶表示パネル6の上方にはみ出して液晶表示パネル6の視認性を阻害するようなことはない。
【0075】
更に、液晶表示モジュールユニットBの使用中においても、透明保護板11を介して携帯電子機器用防水両面粘着テープAにその厚み方向に押圧力が加わることがあるが、このような場合にあっても、携帯電子機器用防水両面粘着テープA、特に第二合成樹脂層が大きく変形し、液晶表示パネル6の上方にはみ出して液晶表示パネル6の視認性を阻害するようなことはなく、液晶表示パネル6の視認性を長期間に亘って安定的に維持することができる。
【発明の効果】
【0076】
本発明の携帯電子機器用防水両面粘着テープは、上述の如き構成を有しているので、打ち抜き加工性に優れており、所望形状に正確に打ち抜き加工した上で用いることができると共に、被貼着体の表面に良好に密着することができ、必要な箇所に優れた防水性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の携帯電子機器用防水両面粘着テープを示した縦断面図である。
【図2】本発明の携帯電子機器用防水両面粘着テープを用いて構成された液晶表示モジュールユニットである。
【図3】防水性試験において作製した試験片を示した平面図である。
【図4】防水性試験において作製した試験体を示した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
次に本発明の実施例を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0079】
(実施例1〜3)
攪拌機、冷却器、温度計及び窒素ガス導入口を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、アクリル酸ブチル60重量部、アクリル酸3重量部及びアクリル酸2−エチルヘキシル37重量部を含有するモノマー、粘着付与剤(荒川化学社製 商品名「アルコンA100」)並びに酢酸エチル5重量部からなる反応液を仕込み、窒素ガスを用いて30分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ内を窒素ガスで置換し、反応液を攪拌しながらオイルバスにて反応液が120℃になるまで昇温した。反応液が120℃に到達した時点で、上記反応液にベンゾイルパーオキサイド0.15重量部をシクロヘキサン1.35重量部に溶解させてなる重合開始剤溶液を6時間かけて加えながら上記モノマーを共重合させ、重合完了後に上記反応液に更に酢酸エチルを加えてアクリル系粘着剤溶液を製造した。
【0080】
次に、一面が離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、このポリエチレンテレフタレートフィルムの離型処理面に上記アクリル系粘着剤溶液を乾燥後の厚みが50μmとなるように塗布して110℃で5分間乾燥させて、ポリエチレンテレフタレートフィルムの離型処理面にアクリル系粘着剤からなる粘着剤層が積層されてなる積層シートを作製した。同様の要領で積層シートを合計二個作製した。
【0081】
一方、一定厚みを有するポリエチレンテレフタレートシートを一枚用意すると共に、一定厚みを有するニトリル−ブタジエンゴム(NBR)シートを二枚用意した。
【0082】
次に、ポリエチレンテレフタレートシートの両面のそれぞれにニトリル−ブタジエンゴム(NBR)シートを重ね合わせて積層体を作製し、この積層体を40℃に加熱しながら厚み方向に押圧することによって、非発泡のポリエチレンテレフタレートシートの両面に非発泡のニトリル−ブタジエンゴム(NBR)シートを積層一体化して基材層を作製した。なお、基材層において、ポリエチレンテレフタレートシートからなる第一合成樹脂層の厚み及びニトリル−ブタジエンゴム(NBR)シートからなる第二合成樹脂層の厚みは表1に示した通りであった。
【0083】
基材層の一面に一方の積層シートをその粘着剤層が基材層に対向した状態となるように積層して粘着剤層を基材層に転写、積層一体化させると共に、基材層の他面に他方の積層シートをその粘着剤層が基材層に対向した状態となるように積層して粘着剤層を基材層に転写、積層一体化させて、基材層の両面に厚みが20μmの粘着剤層が積層一体化されてなる携帯電子機器用防水両面粘着テープを得た。
【0084】
(実施例4)
ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)シートの代わりに、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーシート(BASF社製 商品名「エラストラン S80A」)を用いたこと以外は実施例1と同様にして携帯電子機器用防水両面粘着テープを得た。
【0085】
(比較例1)
ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(BASF社製 商品名「エラストラン S95A」)を押出機に供給して溶融混練し押出機の先端に取り付けたTダイから押出して厚みが60μmのポリウレタン系熱可塑性エラストマーシートを作製した。
【0086】
このポリウレタン系熱可塑性エラストマーシートを基材層として用いたこと以外は実施例1と同様にして携帯電子機器用防水両面粘着テープを得た。
【0087】
(比較例2)
ポリエチレンテレフタレートフィルムの離型処理面にアクリル系粘着剤からなる粘着剤層が積層されてなる積層シートを実施例1と同様にして合計二個、作製した。
【0088】
一定厚みを有するポリエチレンテレフタレートシートを一枚用意すると共に、一定厚みを有するニトリル−ブタジエンゴム(NBR)シートを一枚用意した。
【0089】
次に、ポリエチレンテレフタレートシートの一面にニトリル−ブタジエンゴム(NBR)シートを重ね合わせて積層体を作製し、この積層体を40℃に加熱しながら厚み方向に押圧することによって、非発泡のポリエチレンテレフタレートシートの一面に非発泡のニトリル−ブタジエンゴム(NBR)シートを積層一体化して基材層を作製した。なお、基材層において、ポリエチレンテレフタレートシートからなる第一合成樹脂層の厚み及びニトリル−ブタジエンゴム(NBR)シートからなる第二合成樹脂層の厚みは表1に示した通りであった。
【0090】
基材層の第一合成樹脂層上に一方の積層シートをその粘着剤層が基材層に対向した状態となるように積層して粘着剤層を基材層に転写、積層一体化させると共に、基材層の第二合成樹脂層上に他方の積層シートをその粘着剤層が基材層に対向した状態となるように積層して粘着剤層を基材層に転写、積層一体化させて、基材層の両面に厚みが50μmの粘着剤層が積層一体化されてなる携帯電子機器用防水両面粘着テープを得た。
【0091】
(比較例3)
厚みが38μmのポリエチレンテレフタレートシートを用意し、このポリエチレンテレフタレートシートを基材層としたこと以外は実施例1と同様にして携帯電子機器用防水両面粘着テープを得た。
【0092】
得られた携帯電子機器用防水両面粘着テープの保持力、防水性及び打ち抜き加工性について下記の要領で測定し、その結果を表1に示した。なお、表1において、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)は「NBR」と、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーは「PU」と、ポリエチレンテレフタレートは「PET」と表記した。
【0093】
(保持力)
携帯電子機器用防水両面粘着テープの保持力を85℃、500g、一時間の条件にしたこと以外はJIS Z0237に準拠して測定した。
【0094】
(防水性)
携帯電子機器用防水両面粘着テープを外形寸法が縦46mm×横61mmの平面長方形状で且つ縦42mm×横57mmの平面長方形状の貫通孔が形成されてなる四角枠状(額縁状)に打ち抜いて図3に示した平面形状を有する試験片12を作製した。なお、各四辺の幅はそれぞれ2mmであった。
【0095】
次に、二枚のポリメタクリル酸メチルから形成された合成樹脂板13、14を用意した。幅が1mmで且つ厚みが50μmのポリエチレンテレフタレートシートを基材とし且つこの基材の片面に粘着剤層が積層一体化されてなる片面粘着テープ15を用意し、この片面粘着テープ15を合成樹脂板13の上面に四角枠状に貼着した。この片面粘着テープ15で形成された四角枠は、外形寸法が縦45mm×横60mmの平面長方形状で且つ内形寸法が縦43mm×横58mmの平面長方形状の枠形状として形成されていた。
【0096】
試験片12の一方の粘着剤層上のポリエチレンテレフタレートフィルムを除去して粘着剤層を露出させた上で、合成樹脂板13上の四角枠状の片面粘着テープ15を覆うように試験片12を貼着した。
【0097】
しかる後、試験片12の他方の粘着剤層上のポリエチレンテレフタレートフィルムを除去して粘着剤層を露出させた上で、試験片12上に合成樹脂板14を積層して荷重5kgの力で10秒間に亘って押圧して、合成樹脂板13、14を試験片12を介して積層一体化させて試験体を作製した。試験体を23℃にて1日間に亘って放置した。なお、合成樹脂板13の中央部には、直径1cmの円形状の貫通孔13aが両面間に亘って貫通状態に形成されており、この貫通孔13aを通じて、二枚の合成樹脂板13、14の対向面と試験片12とで囲まれた空間部16が外部と連通した状態となっていた。
【0098】
図4に示したように、試験体の試験片12が完全に水没し且つ上側の合成樹脂板13の貫通孔13aの上端開口部が水面よりも上方に位置した状態となるように試験体を水中に沈めた。なお、二枚の合成樹脂板13、14が水平状態となるように調整した。
【0099】
しかる後、合成樹脂板13の貫通孔13aを通じて試験体の空間部5内に圧力1MPaでもって空気を30分間に亘って圧入し、合成樹脂板13、14と試験片12との界面から空気が漏出しているか否かを目視観察した。30分間において、空気漏れが発生しなかった場合を「○」、空気漏れが発生した場合を「×」とした。30分間の空気の圧入において空気漏れの生じなかった試験片について、更に、合成樹脂板13の貫通孔13aを通じて試験体の空間部5内に圧力1MPaでもって空気を2時間に亘って圧入した。2時間経過後も空気漏れが発生しなかった場合を「◎」とした。なお、合成樹脂板13の貫通孔13aから空気を圧入するにあたって、合成樹脂板13の貫通孔13aから空気が漏出しないようにした。
【0100】
(打ち抜き加工性)
携帯電子機器用防水両面粘着テープを外形寸法が縦46mm×横61mmの平面長方形状で且つ縦42mm×横57mmの平面長方形状の貫通孔が形成されてなる四角枠状(額縁状)に打ち抜いて図3に示した平面形状を有する試験片を作製した。なお、各四辺の幅はそれぞれ2mmであった。
【0101】
得られた試験片において、縦方向及び横方向の中央部のそれぞれの幅を測定し、これらの測定値の相加平均値を算出し、この相加平均値を試験片の幅として下記基準に基づいて評価した。
◎・・・試験片の幅が2mm以上で且つ2.15mm未満であった。
○・・・試験片の幅が2.15mm以上で且つ2.3mm未満であった。
×・・・試験片の幅が2.3mm以上であった。
【0102】
【表1】

【符号の説明】
【0103】
1 第一合成樹脂層
2 第二合成樹脂層
3 粘着剤層
4 基材層
5 バックライト筐体
5 空間部
51 パネル配設用段部
51a パネル受止面
52 反射板配設用段部
6 液晶表示パネル
7 導光板
8 拡散シート
9 プリズムシート
10 反射板
11 透明保護板
12 試験片
13 合成樹脂板
13a 貫通孔
14 合成樹脂板
15 片面粘着テープ
16 空間部
A 携帯電子機器用防水両面粘着テープ
B 液晶表示モジュールユニット
C 両面粘着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種の合成樹脂を含有する非発泡の第一合成樹脂層の両面に、熱可塑性エラストマー及びゴム系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種の合成樹脂を含有する非発泡の第二合成樹脂層が積層一体化されてなる基材層と、この基材層の両面に積層一体化された粘着剤層とを含有していることを特徴とする携帯電子機器用防水両面粘着テープ。
【請求項2】
第二合成樹脂層のそれぞれの厚みが第一合成樹脂層の厚みの0.9〜9.5倍であることを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器用防水両面粘着テープ。
【請求項3】
第一合成樹脂層がポリエチレンテレフタレートを含有していると共に、第二合成樹脂層がゴム系樹脂を含有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携帯電子機器用防水両面粘着テープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−10867(P2013−10867A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144635(P2011−144635)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】