説明

携帯電子機器

【課題】所有者に負担を強いることなく第三者によって勝手に使用されることを低減することができる携帯電子機器を提供する。
【解決手段】携帯電子機器は、筐体100と、当該筐体の位置もしくは回転角度の状態変化情報を検知する加速度センサ15と、機能制限の解除情報である第1の情報と、機能制限の状態変化情報である第3の情報とを記憶する記憶部16と、外部からの入力を受付可能な操作部12と、記憶部に記憶されている第1の情報と、入力検知部が受け付けた第2の情報とを比較し、一致した場合に機能制限を解除し、不一致の場合に機能制限を解除する制御部17と、を備え、制御部は、入力検知部が第2の情報を受け付けたとき、記憶部に記憶されている第3の情報と、第2の情報が受け付けられる直前に状態変化検知部で検知された第4の情報とを比較し、一致した場合に機能制限を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能制限が可能な、携帯電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、悪意のある第三者に勝手に使用されないようにするために、暗証入力による機能制限機能を有する携帯電話が数多く存在するようになった。
【0003】
例えば、特許文献1には、フォルダ型の携帯電話において、閉状態から開状態になったときにキーボードから暗証入力を要求し、キーボードから暗証入力が行われた後に携帯電話が開状態を検出している間は暗証入力を再び要求しない技術が開示されている。
【0004】
また、暗証入力によらずにキーロック等の機能制限を行う携帯電話も存在する。
例えば、特許文献2には、3軸加速度センサを使用して携帯電話の傾きを検知し、ある一定の傾きを検知するとキーを自動的にロックする技術が開示されている。
【特許文献1】特開2001−217924号公報
【特許文献2】特開2002−199443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1に開示された技術によれば、携帯電話の使用時、ロックを解除するために、キーの長押や暗証番号入力などユーザ操作が増え、所有者に大きな負担を強いている。
【0006】
また、特許文献2に開示された技術によれば、所有者の操作負担は軽減されるが、ある傾きを検知して自動的にキーロックされる。
このため、携帯電話を使用する姿勢が固定され、例えば、横になった状態ではキーロックがかかる傾きに達し、携帯電話を使用することができなくなるといった不都合が発生する。
【0007】
本発明の目的は、所有者に負担を強いることなく第三者によって勝手に使用されることを低減することができる携帯電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために本発明の携帯電子機器は、機能制限が可能な携帯電子機器であって、筐体と、前記筐体に配置され、当該筐体の位置変化もしくは回転角度変化の少なくとも一方からなる状態変化を検知する状態変化検知部と、前記機能制限の解除情報である第1の情報と、所定の状態変化を示す第3の情報とを記憶する記憶部と、外部からの入力を受付可能な入力検知部と、前記記憶部に記憶されている第1の情報と、前記入力検知部が受け付けた外部入力に基づく第2の情報とを比較し、一致した場合に前記機能制限を解除し、不一致の場合に前記機能制限を継続する制御部と、を備え、前記制御部は、前記入力検知部が前記外部入力を受け付けたとき、前記記憶部に記憶されている第3の情報と、前記外部入力が受け付けられる直前に前記状態変化検知部で検知された状態変化に基づく第4の情報とを比較し、一致した場合に前記機能制限を解除する。
【0009】
また、本発明の携帯電子機器において、前記制御部は、前記第3の情報と第4の情報が不一致の場合、前記第1の情報と第2の情報とを比較し、一致した場合に前記機能制限を解除し、不一致の場合、前記機能制限を継続してもよい。
【0010】
また、本発明の携帯電子機器において、前記制御部は、前記入力検知部が受け付けた外部入力に基く前記第2の情報が前記第1の情報と一致したときに、当該外部入力の入力が始まるまでの所定の期間内に前記状態変化検知部で検知された状態変化を前記第3の情報として前記記憶部に記憶させてもよい。
【0011】
また、本発明の携帯電子機器において、前記入力検知部により検知される外部からの入力受付は、前記状態変化検知部で検知された状態変化情報であってもよい。
【0012】
また、本発明の携帯電子機器において、前記状態変化検知部は、軸方向の加速度と、各軸周りの角加速度とを計測可能な加速度センサであってもよい。
【0013】
また、本発明の携帯電子機器において、前記制御部は、前記入力検知部が受けつけた外部入力に基いた第2の情報が、前記第1の情報と一致したとき、前記第3の情報に基いて、
前記記憶部に記憶される前記第3の状態変化情報を最新の情報に更新してもよい。
【0014】
また、本発明の携帯電子機器において、前記制御部は、所定の文字記号情報と、当該所定の文字記号情報の描画軌跡の情報である第2の状態変化情報と、を有し前記制御部は、前記所定の文字や記号の空中での描画軌跡による機能制限操作が行われたことを前記状態変化検知部で検知した場合に、前記機能制限の解除を行うものである。
【0015】
また、本発明の携帯電子機器において、前記制御部は、前記機能制限を解除するにあたり、前記状態変化検知部によって検知された文字記号に基く描画情報が前記記憶部が有する前記所定の文字記号情報と一致した場合に、前記機能制限のうちの第1の機能制限を解除し、前記描画情報の他に、前記状態変化検知部が検知した描画軌跡に基く第1の状態変化情報と、前記記憶部が記憶している第2の状態変化情報とが一致した場合、前記第1の機能制限及び第2の機能制限を解除する。
【0016】
また、本発明の携帯電子機器において、通信部と、表示部と、を備え、前記記憶部は、
前記表示部に表示可能な個人情報を記憶し、前記制御部は、前記通信部による情報の送受信を制限する前記第1の機能制限と、前記表示部への個人情報の表示を制限する前記第2の機能制限とを制御するものである。
【0017】
また、本発明の携帯電子機器において、前記個人情報は、前記通信部が受信するメール、前記通信部を介して行われる通話履歴および使用者のプロフィール情報の少なくとも一つを含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明の携帯電子機器によれば、所有者に負担を強いることなく第三者によって勝手に使用されることを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明の実施の形態1に係る携帯端末の外観構造の一例を示す図である。ここでは、携帯電子機器として折り畳み型の携帯電話10が例示されている。
【0020】
図1に示されるように、携帯電話10は、上部筐体101と、下部筐体102と、ヒンジ部103とを有して構成される。
【0021】
図1(a)は、携帯電話10が開かれた状態(開状態)を示した図であり、図1(b)は携帯電話10が折り畳まれた状態(閉状態)を示した図である。
【0022】
図1(a)に示されるように、上部筐体101には、図1(b)に示す携帯電話10の閉状態においては外部には露出しない一面に表示部14が配置されている。
また、下部筐体102には、図1(b)に示す携帯電話10の閉状態において外部には露出しない一面に操作部(入力検知部)12が配置されている。
下部筐体102内部には、更に、上部筐体101および下部筐体102の向きを検知する、例えば、6軸の加速度センサ15(入力検知部、状態変化検知部)が実装されている。なお、加速度センサ15の詳細については後述する。
【0023】
ヒンジ部103は、上部筐体101と下部筐体102とを開閉し、図1(a)に示す携帯電話10の開状態と図1(b)に示す閉状態とを遷移可能とする回転軸を有するヒンジ機構である。
なお、携帯電話10の開状態/閉状態は、内蔵する不図示の制御部により監視されており、後述する制御部は、携帯電話10の開閉状態を検出することが可能である。
具体的に、制御部は、例えば上部筐体101に配置した図示しない突起部により、下部筐体102の図示しない検出スイッチが押しているか否かを監視することにより閉状態を検出している。
すなわち、制御部は、検出スイッチが押下されていれば閉状態、押下されていなければ開状態と判定する。
なお、開閉検出は、スイッチに限らず、各種センサであってもよい。
【0024】
図2は、本発明の実施の形態に係る携帯電子機器(携帯電話10)の電気系の内部構成を示すブロック図である。
図2に示されるように、携帯電話10は、通信部11と、操作部12と、音声CODEC(COder DECorder)部13と、表示部14と、加速度センサ15と、記憶部16と、制御部17と、により構成される。
【0025】
通信部11は、無線通信システムを捕捉し、通信ネットワークに接続される図示しない基地局との間で無線通信を行い、各種データの送受信を行う。各種データとは、音声通話時の音声データ、メール送受信時のメールデータ、ウェブ閲覧時のページデータ等である。
【0026】
操作部12は、例えば、電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、方向キー、決定キー、発信キー、ファンクションキーなど、各種の機能が割り当てられたキーを有している。
操作部12は、これらのキーが所有者によって操作された場合に、その操作内容に対応する信号を発生し、これを所有者の指示として制御部17に出力する。
ここでは、操作部12は、機能解除キー等の操作入力を受け付けるものとする。
【0027】
音声CODEC部13は、スピーカ131から出力される音声信号やマイクロフォンにおいて入力される音声信号の入出力処理を行う。
すなわち、マイクロフォン132から入力された音声を増幅し、アナログ−デジタル変換を行い、更に符号化等の信号処理を施し、デジタルの音声データに変換して制御部17に出力する。
また、音声CODEC部13は、制御部17から供給される音声データに復号化、デジタル−アナログ変換、増幅等の信号処理を施し、アナログの音声信号に変換してスピーカに出力する。
【0028】
表示部14は、多数の画素(複数色の発光素子の組み合わせ)を縦横に配して構成される、例えばLCD(Liquid Crystal Display Device)や有機EL(Electro-Luminescence)
を用いて構成されたメインディスプレイ141およびサブディスプレイを含んで構成される。
表示部14は、制御部17により生成され、記憶部16の所定の領域(VRAM領域)に書き込まれた文書等の表示対象データに応じた画像を表示する。
表示部14は、例えば、通信部11による無線発信時における発信先の電話番号、着信時における発信元の電話番号、受信メールや送信メールの内容、Webページ、日付、時刻、電池残量、発信成否、文書、待ち受け画面等を表示する。
【0029】
加速度センサ15は、携帯電話10の、例えば、下部筐体102に実装され、上部筐体101および下部筐体102(以下、纏めて筐体100という)の位置もしくは回転角度の少なくとも一方からなる状態変化情報を検知する。
加速度センサの検出方式としては、加速度を静電容量の変化として検知する静電容量型と、ピエゾ抵抗型がある。
ピエゾ抵抗型は、イオン打ち込み装置等の半導体製造プロセスによりシリコン単結晶基板に形成されたピエゾ抵抗素子が、機械的な外力等で引っ張りや圧縮応力が加わったとき、すなわち、加速度が印加されたときに抵抗値が増減する特性を用いて筐体100の傾きを検知する。
【0030】
例えば、3軸加速度センサの場合、X、Y、Zの加速度ベクトルの合計から姿勢(地面に対する傾き)を測定するものであり、加速度そのものによる検出電圧と、ゼロオフセット電圧)との和として傾きが検出される。ゼロオフセット電圧は、重力加速度のみで加速度が印加されていない状態での基準電圧との差分電圧である。
なお、最近では、X、Y、Z3軸の加速度の他に、X、Y、Zの軸周りの角加速度を計測可能な6軸加速度センサが出現しており、以降で説明する位置や回転角度を正確に計測する。このために、ここでは、加速度センサ15として、6軸加速度センサを使用することとする。
【0031】
記憶部16は、携帯電話10の各種処理に利用される各種データを記憶する。
記憶部16には、例えば、制御部17が実行するコンピュータのプログラムが記憶される。
記憶部16には、通信相手の電話番号や電子メールアドレス等の個人情報を管理するアドレス帳、着信音やアラーム音を再生するための音声ファイル、待ち受け画面用の画像ファイル、各種の設定データ、プログラムの処理過程で利用される一時的なデータが記憶される。
ここでは、記憶部16には、特に、機能制限の解除情報である第1の情報と、状態変化情報である第3の情報とがあらかじめ記憶される他、加速度センサ15により検知される状態変化に基く状態変化情報が逐一時系列で記憶される。
【0032】
なお、記憶部16は、例えば、不揮発性の記憶デバイス(不揮発性半導体メモリ、ハードディスク装置、光ディスク装置など)やランダムアクセス可能な記憶デバイス(例えばSRAM、DRAM)などによって構成される。
【0033】
制御部17は、携帯電話10の全体的な動作を統括的に制御する。
すなわち、制御部17は、携帯電話10の各種処理(回線交換網を介して行われる音声通話、電子メールの作成と送受信、インターネットのWeb(World Wide Web)サイトの閲覧など)が操作部12の操作に応じて適切な手順で実行されるように、上述した各制御ブロックの動作を制御する。
制御部17の制御対象は、通信部11における信号の送受信、操作部12からの操作入力の取り込み、CODEC部13における音声入出力、表示部14における画像の表示、加速度センサ15からの傾きや加速度情報の取得等である。
上記した制御部17は、記憶部16に格納されたオペレーティングシステムやアプリケーションプログラム等のプログラムに基づいて処理を実行するマイクロプロセッサを備えており、これらプログラムにおいて指示された手順に従って上述した処理を実行する。
すなわち、制御部17は、記憶部16に格納されるオペレーティングシステムやアプリケーションプログラム等のプログラムから命令コードを順次読み込んで処理を実行する。
【0034】
制御部17は、ここでは特に、記憶部16に記憶されている第1の情報と、操作部12が受け付けた外部入力に基く第2の情報とを比較し、一致した場合に機能制限を解除する。なお、第1の情報は、加速センサ15で検知可能な「動き」の情報で、当該「動き」の情報を検出するのは操作部12ではなく加速度センサであってもよい。
制御部17は、不一致の場合に機能制限を解除する他、操作部12が第2の情報に対応した外部入力を受け付けたとき、記憶部16に記憶されている第3の情報と、第2の情報によって受け付けられる直前に加速度センサ15で検知された状態変化に基く第4の情報とを比較し、一致した場合に機能制限を解除制御する。
また、制御部17は、第3の情報と第4の情報が不一致の場合、第1の情報と第2の情報とを比較し、一致した場合に機能制限を解除し、不一致の場合、機能制限を継続制御する。
また、制御部17は、操作部12が第2の情報に対応した外部入力を受け付けたときに、当該第2の情報の入力が始まるまでの所定の期間内に加速度センサ15で検知された状態変化情報を第3の情報として記憶部16に記憶させる制御を行う。
【0035】
なお、ここでは、操作部12と加速度センサ15は、独立して存在するものとして説明するが、操作部12により検知される外部からの入力受付は、加速度センサ15で検知された状態変化であってもよい。
【0036】
また、上記した「第1の情報」とは、キーロック解除のための暗証情報、「第2の情報」とは、キーロック解除を行うために外部から入力される暗証情報をいう。
また、「第3の情報」とは、第1の情報と第2の情報との比較照合が行われた際の照合操作直前のユーザの動作癖を示す時系列情報をいう。
また、「第4の情報」とは、第3の情報が記憶部16に記憶されている状態で再度キーロック解除が行われようとした場合に、直前の行動として加速度センサ15により検知されるユーザの所定期間内における行動癖を示す情報をいう。
具体的には、「第4の情報」とは、例えば、「携帯電話10を胸ポケットに入れていて、携帯電話10を取るときは右手で取り、右腕の前で画面を確認後、携帯電話10を使用する」といった時系列情報をいう。
【0037】
制御部17は、更に、文字記号の空中での描画軌跡による機能制限操作が行われたことを加速度センサ15で検知した場合に、機能制限の解除を行う。
このとき、制御部17は、機能制限を解除するにあたり、文字記号の描画軌跡が一致した場合に、機能制限のうちの第1の機能制限を解除し、描画軌跡の他に状態情報の変化が一致した場合に第2の機能制限を解除する。
ここで、「第1の機能制限」とは、例えば、通信部11による情報の送受信を制限することである。
「第2の機能制限」とは、例えば、表示部14への個人情報(通信部11が受信するメール、あるいは通信部11を介して行われる通話履歴および使用者のプロフィール情報)の表示を制限することをいう。
【0038】
(実施例1の説明)
図3は、本発明の実施の形態に係る携帯電子機器(携帯電話10)の動作の一例を示すフローチャートである。以下、図3のフローチャートを参照しながら本発明の実施の形態に係る携帯電子機器の実施例1の動作について詳細に説明する。
【0039】
ここでは、携帯電話10の操作部12によるキー入力が、所有者による所定の操作によりロックされたキーロック状態になっているものとして説明する(ステップS301“Yes”)。
加速度センサ15は、常時、検出される筐体100のXYZ方向における加速度およびXYZ各軸周りの角速度を計測している(ステップS302)。
制御部17は、所定のサンプリング周期でこれを取込み、記憶部16のログ領域に携帯電話10所有者の行動履歴として蓄積している(ステップS303)。
なお、このときに使用されるログ領域は、制御部17による制御の下で容量制限の観点からリングバッファとして用いるものとする。
【0040】
この状態で、所有者は、キーロックを解除するために、例えば、筐体100を上下方向に数回振る、あるいは、左方向に数回連続で回転させる等、あらかじめ規定された固有の動作を行ったとする。
このとき、制御部17は、記憶部16のログ領域を参照することで、加速度センサ15により取得されるXYZ方向の加速度および各軸周りの角速度に関するデータから、移動距離、移動速度を算出する。
そして、制御部17は、筐体100を上下方向に数回振った、あるいは、左方向に数回連続で回転させた行動を認識することにより(ステップS304“Yes”)、キーロックを解除する(ステップS305)。
なお、ログが不一致の場合、制御部17は、キーロックを継続制御する(ステップS306)。
【0041】
上記した実施例1によれば、例えば、「携帯電話10を2回振った後に数回回転させる」といった所有者による携帯電話10の動き(状態変化情報)をロック解除のキーとする。このことにより、第三者による模倣が困難になり、例え、同じ動きが真似られたとしても、携帯電話10を、どれぐらいの速度で、どれぐらいの距離を、どのような角速度で、どこを回転中心にしたかを含めて判定できることから、真似が困難になる。
また、携帯電話10の所有者は、携帯電話10を操作する際の「癖」をそのままロック解除のキーにすれば済むため、再現性良く機能制限を解除できる。
【0042】
なお、上記した実施例1によれば、加速度センサ15で検知されたユーザの行動癖を鍵に、キーロックを解除しているが、操作部12により、キーロック解除のための暗証情報入力が検知された場合も同様にキーロックを解除できることは言うまでもない。
また、実施例1では、所有者固有の動作を検知してキーロックを解除するものとして説明したが、キーロックの設定の際も所有者の固有の動作を検知することで実現が可能である。この場合における固有動作は、キーロック解除時と同じであっても、また、異なっていてもよい。
【0043】
(実施例2)
図4は、本発明の実施の形態に係る携帯電子機器(携帯電話10)の実施例2の動作を示すフローチャートである。
【0044】
図4のフローチャートは、ロックを解除するために、更に、「携帯電話10を胸ポケットに入れておき、携帯電話10を取るときは右手で取り、右腕の前で画面を確認後、携帯電話10を使用する」といった一連の行動軌跡を監視する例を示す。
すなわち、所有者が携帯電話10を使用する際に行う一連の行動軌跡を監視することにより、キー漏洩の虞を極力回避した場合の実施例を示す。
以下、図4のフローチャートを参照しながら本発明の実施の形態に係る携帯電子機器の実施例2の動作について詳細に説明する。
【0045】
実施例1同様、携帯電話10の操作部12は、所有者による所定の操作によりキーがロックされたキーロック状態になっているものとして説明する(ステップS401“Yes”)。
加速度センサ15は、常時、XYZ方向の加速度および各軸周りの角速度を計測しており(ステップS402)、制御部17は、所定のサンプリング周期でこれを取込んで記憶部16のログ領域に所有者の行動履歴として蓄積している(ステップS403)。
なお、このときに使用されるログ領域は容量の観点からリングバッファとして用いる。
【0046】
この状態で、所有者は、キーロックを解除するために、例えば、筐体100を上下方向に数回振る、あるいは、左方向に数回連続で回転させる等、あらかじめ規定された固有の動作を行ったとする(ステップS404“Yes”)。
このとき、制御部17は、記憶部16のログ領域を参照することで、加速度センサ15により取得されるXYZ方向の加速度および各軸周りの角速度に関するデータから、移動距離、移動速度を算出し、筐体100を上下方向に数回振った、あるいは、左方向に数回連続で回転させたことを認識してキーロックを解除する。しかし、制御部17は、その前に、サンプリング間隔にしたがいログを所定時間だけ遡って所有者の行動軌跡を取得する(ステップS405)。
ここで、所定期間とは、操作部12がキーロック解除を行うために外部から入力される暗証情報(第2の情報)を受け付けたときに、当該暗証情報の入力が始まるまでの任意の時間をいう。
【0047】
すなわち、制御部17は、ログを参照することにより、携帯電話10の所有者がロックを解除する動作の直前に、例えば、筐体100が、「携帯電話10を胸ポケットに入れておき、携帯電話10を取るときは右手で取り、右腕の前で画面を確認後、携帯電話10を使用する」といった、行動軌跡を描いたか否かを判定する(ステップS406)。
ここで、ログが一致した場合(ステップS406“Yes”)、キーロックを解除し(ステップS407)、ログが不一致の場合(ステップS406“No”)、キーロック動作を継続する(ステップS408)。
なお、上記したキーロック解除動作直前の行動軌跡に関するログが不一致の場合、ユーザは、キーロックを解除する暗証情報を入力することでもキーロックの解除が可能である。このとき、制御部17は、操作部12により受け付けられた外部入力に基く暗証情報と、あらかじめ記憶部16に記憶されてあるキーロック解除のための暗証情報とを比較照合し、その結果、一致した場合に限る。不一致の場合はキーロック動作が継続される。
【0048】
上記した実施例2によれば、例えば、「携帯電話10を胸ポケットに入れていて、携帯電話10を取るときは右手で取り、右腕の前で画面を確認後、携帯電話10を使用する」といった、ロック解除動作の直前の行動軌跡を加速度センサ15により検知する。
このことによって、携帯電話10を使用する際の一連の動作そのものをロック解除のキーとして利用出来るため、機能制限解除を行っていること自体を第三者に悟られにくくなり、したがって、ロック解除キー漏洩の虞をより一層低減することができる。
【0049】
また、制御部17は、機能制限を解除する前のユーザの行動癖を第3の状態変化情報として学習する。すなわち、制御部17は、キーロックを解除する固有の動作の直前のユーザの癖とも言える行動軌跡を、都度、更新して記憶部16のログ領域に記憶する。
このことにより、その癖を検出した時点で機能制限の解除を許可し、このことにより、ユーザは、機能制限解除を意識することなく携帯電話10を使用することができる。
なお、機能制限を解除する前のユーザの行動癖としては、他に、「携帯電話10をズボンの右ポケットに入れていて、携帯電話10を取るときは右手で引き上げ、右耳に電話を当てて通話を行う」、「携帯電話10を使用する場合は、大きく上限に振ってから行う」等がある。
いずれの行動も加速度センサ15(6軸加速度センサ)で検出が可能なものである。
【0050】
(実施例3)
上記した実施例1、実施例2は、携帯電話10所有者の固有の動作を機能制限解除のための鍵として用いたが、以下に説明する実施例3では、所有者が携帯電話10を用いて空中に文字や記号の軌跡を描くことにより、機能制限の解除を行うものとして説明する。
この場合も、実施例1、実施例2同様、加速度センサ15による加速度検知を必要とし、文字や記号による機能制限解除機能を付加することにより、ユーザにとって覚え易い暗証を利用することが可能となる。
【0051】
また、制御部17は、文字や記号の情報のみが一致していた場合に、例えば、電話の発着信の機能制限(第1の機能制限)を解除し、更に、文字や記号の他に、動きも一致した場合に、例えば、アドレス帳や受信メールの閲覧もロック(第2の機能制限)を解除するように制御する。つまり、文字や記号を知った他人によって携帯電話10が使用された場合、他人は第1の機能制限を解除することは可能だが、ユーザの癖が鍵である第2の機能制限を解除することはできない。
これにより、第三者に携帯電話10を貸す場合に発着信のみを他者に許すことが可能となり、アドレス帳などの個人情報は他人に悟られずに済むため、ユーザに利便性を提供できる。
また、表示部14が表示可能な個人情報の制御に用いても同様の効果がえられる。なお、ここでいう個人情報とは、通信部11によって受信した受信メール、通信部11によって行われた通話履歴及び、あるいは使用者のプロフィール情報である。
【0052】
以上説明のように本発明の実施の形態に係る携帯電子機器によれば、加速度センサを使用して、携帯電話10の所有者による固有の動作を検出することにより、キーロック設定、あるいは解除がボタン操作無しに行えるため、所有者の操作負荷が軽減される。
また、所有者の行動軌跡を、加速度センサを用いて検知し、携帯電話10の所有者と認識して使用を許可することにより、第三者が携帯電話10を利用することができなくなる。
【0053】
なお、上記した本発明の実施の形態に係る携帯電子機器として、携帯電話10のみ例示したが、携帯電話10に限らず、PDA(Personal Digital Assistants)、やゲーム機等にも同様に適用が可能である。
また、機能制限機能としてキーロックについてのみ例示したが、キーロックに限らず、カードロック等各種機能制限に応用が可能である。
【0054】
また、本発明の実施の形態に係る携帯電子機器が有する各構成ブロックの機能は、全てをソフトウェアによって実現しても、あるいはその少なくとも一部をハードウェアで実現してもよい。
例えば、記憶部16に記憶されている第1の情報と、操作部12が受け付けた外部入力に基く第2の情報とを比較し、一致した場合に機能制限を解除し、不一致の場合に機能制限を解除するとともに、操作部12が第2の情報に対応した外部入力を受け付けたとき、記憶部16に記憶されている第3の情報と、第2の情報に対応した外部入力が受け付けられる直前に加速度センサ15で検知された外部入力に基く第4の情報とを比較し、一致した場合に機能制限を解除する制御部17におけるデータ処理は、1または複数のプログラムによりコンピュータ上で実現してもよく、また、その少なくとも一部をハードウェアで実現してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態に係る携帯電子機器の外観構造の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る携帯電子機器の電気系の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る携帯電子機器の動作(実施例1)を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係る携帯電子機器の動作(実施例2)を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
10…携帯電話、11…通信部、12…入力検知部、13…CODEC部、14…表示部、15…状態変化検知部、16…記憶部、17…制御部、100…筐体、101…上部筐体、102…下部筐体、103…ヒンジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能制限が可能な携帯電子機器であって、
筐体と、
前記筐体に配置され、当該筐体の位置変化もしくは回転角度変化の少なくとも一方からなる状態変化を検知する状態変化検知部と、
前記機能制限の解除情報である第1の情報と、所定の状態変化を示す第3の情報とを記憶する記憶部と、
外部からの入力を受付可能な入力検知部と、
前記記憶部に記憶されている第1の情報と、前記入力検知部が受け付けた外部入力に基く第2の情報とを比較し、一致した場合に前記機能制限を解除し、不一致の場合に前記機能制限を継続する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記入力検知部が前記外部入力を受け付けたとき、前記記憶部に記憶されている第3の情報と、前記外部入力が受け付けられる直前に前記状態変化検知部で検知された状態変化に基く第4の情報とを比較し、一致した場合に前記機能制限を解除する
ことを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第3の情報と前記第4の情報が不一致の場合、前記第1の情報と前記第2の情報とを比較し、一致した場合に前記機能制限を解除し、不一致の場合、前記機能制限を継続する
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、
前記入力検知部が受けつけた外部入力に基く前記第2の情報が前記第1の情報と一致したときに、当該外部入力の入力が始まるまでの所定の期間内に前記状態変化検知部で検知された状態変化を前記第3の情報として前記記憶部に記憶させる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記入力検知部により検知される外部からの入力受付は、前記状態変化検知部で検知された状態変化情報である
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記状態変化検知部は、
軸方向の加速度と、各軸周りの角加速度とを計測可能な加速度センサを含む
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記制御部は、
前記入力検知部が受けつけた外部入力に基いた第2の情報が、前記第1の情報と一致したとき、前記第3の情報に基いて、前記記憶部に記憶される前記第3の状態変化情報を最新の情報に更新する
ことを特徴とする請求項3に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記記憶部は、
所定の文字記号情報と、
当該所定の文字記号情報の描画軌跡の情報である第2の状態変化情報と、を有し
前記制御部は、
前記所定の文字や記号の空中での描画軌跡による機能制限操作が行われたことを前記状態変化検知部で検知した場合に、前記機能制限の解除を行う
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項8】
前記制御部は、
前記機能制限を解除するにあたり、前記状態変化検知部によって検知された文字記号に基く描画情報が前記記憶部が有する前記所定の文字記号情報と一致した場合に、前記機能制限のうちの第1の機能制限を解除し、前記描画情報の他に、前記状態変化検知部が検知した描画軌跡に基く第1の状態変化情報と、前記記憶部が記憶している第2の状態変化情報とが一致した場合、前記第1の機能制限及び第2の機能制限を解除する
ことを特徴とする請求項7に記載の携帯電子機器。
【請求項9】
通信部と、
表示部と、を備え、
前記記憶部は、
前記表示部に表示可能な個人情報を記憶し、
前記制御部は、
前記通信部による情報の送受信を制限する前記第1の機能制限と、前記表示部への個人情報の表示を制限する前記第2の機能制限とを制御する
ことを特徴とする請求項8に記載の携帯電子機器。
【請求項10】
前記個人情報は、
前記通信部が受信するメール、前記通信部を介して行われる通話履歴および使用者のプロフィール情報の少なくとも一つを含む
ことを特徴とする請求項9に記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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