説明

携帯電子機器

【課題】表示部の画像表示領域をより有効に活用すること。
【解決手段】携帯電話機1は、筐体10と、少なくとも一部が筐体10の外部に露出できるように筐体10の内部に設けられる表示部16と、表示部16を移動させる移動機構20と、筐体10に設けられて、表示部16のうち、筐体10の内部に収納されている部分の少なくとも一部を筐体10の外部から視認できるようにする視認部12と、表示部16のうち筐体10の外部に露出された第1領域に表示させる画像と、表示部16のうち視認部12と対向した第2領域に表示させる画像とを制御し、かつ、移動機構20の動作を制御する制御部30と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一部が筐体の外部に露出できるように筐体の内部に設けられる表示部を備える携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像を表示する表示部を備えた携帯電子機器がある。一般的な携帯電子機器は、表示部が携帯電子機器の筐体に固定されている。このような携帯電話機のうち、例えば、縦長の表示部を備える携帯電話機では、横長の画像をそのまま表示部が表示すると、表示部の画像表示領域を有効に活用できない。そこで、縦長の表示部を備える携帯電話機では、表示部の長手方向に画像の長手方向が沿うように画像を回転させて表示部に表示させる場合がある。この場合、ユーザーは、筐体を90°回転するように持ちかえる必要がある。そこで、例えば、特許文献1には、表示部を回転させる構造を備える装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−313533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の装置は、表示部の大きさが一定である。よって、表示部の画像表示領域よりもサイズが大きい画像を表示部に表示させる場合、特許文献1に記載の装置は、表示部の表示領域に画像の一部しか表示できなかったり、画像を縮小して表示する必要があったりする。表示部の表示領域に画像の一部しか表示できない場合、ユーザーは画像をスクロールさせる必要がある。一方、画像を縮小して表示する場合、画質が低下するおそれもがある。このように、特許文献1に記載の装置は、表示部の画像表示領域を有効に活用できない場合がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、表示部の画像表示領域をより有効に活用できる携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る携帯電子機器は、筐体と、少なくとも一部が前記筐体の外部に露出できるように前記筐体の内部に設けられる表示部と、前記表示部を移動させる移動手段と、前記筐体に設けられて、前記表示部のうち、前記筐体の内部に収納されている部分の少なくとも一部を前記筐体の外部から視認できるようにする視認部と、前記表示部のうち前記筐体の外部に露出された第1領域における表示と、前記表示部のうち前記視認部と対向した第2領域における表示とを制御し、かつ、前記移動手段の動作を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の好ましい態様としては、前記制御部は、前記第1領域と前記第2領域とに異なる画像を表示させることが望ましい。
【0008】
本発明の好ましい態様としては、前記制御部は、前記表示部がすべて前記筐体の内部に収納されている状態では、第2領域のみに画像を表示させることが望ましい。
【0009】
本発明の好ましい態様としては、前記制御部は、前記移動手段により前記表示部が移動されている間も、前記表示部の前記第2領域に画像を表示させることが望ましい。
【0010】
本発明の好ましい態様としては、前記制御部は、前記移動手段による前記表示部の移動量に対応させて、前記第2領域を前記表示部の移動方向とは反対側に移動させつつ、前記第2領域に画像を表示させることが望ましい。
【0011】
本発明の好ましい態様としては、前記制御部は、前記第1領域に表示させる画像の関連情報を、前記第2領域に表示させることが望ましい。
【0012】
本発明の好ましい態様としては、前記制御部は、前記第2領域に表示させる前記関連情報を、前記第1領域に表示される画像の内容に応じて変化させることが望ましい。
【0013】
本発明の好ましい態様としては、前記制御部は、前記表示部の前記第2領域に、1つ以上の項目を含むリスト情報を表示させ、前記リスト情報の項目が選択されたら、選択された項目に設定された面積分、前記表示部を前記移動手段によって前記筐体の外に露出させることが望ましい。
【0014】
本発明の好ましい態様としては、前記視認部は、前記筐体に形成された貫通口と、前記貫通口にはめ込まれた透明部材とを含んで構成されていることが望ましい。
【0015】
本発明の好ましい態様としては、前記表示部は、可撓性を有し、前記移動手段は、前記表示部を前記筐体内に巻き取って収納する巻き取り部と、当該巻き取り部を回転させる駆動装置とを有し、前記駆動装置が前記巻き取り部を巻き取り方向に回転させて、前記表示部を前記筐体に収納し、前記駆動装置が前記巻き取り部を前記巻き取り方向とは逆方向に回転させて、前記表示部を前記筐体の外部に露出させることが望ましい。
【0016】
本発明の好ましい態様としては、前記第1領域の最大の面積は、前記第2領域の面積よりも大きいことが望ましい。
【0017】
本発明の好ましい態様としては、前記制御部は、前記第1領域に表示される情報の要旨を示す情報を前記第2領域に表示させることが望ましい。
【0018】
本発明の好ましい態様としては、前記第1領域の最大の面積は、前記筐体の最も広い面の面積よりも大きいことが望ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る携帯電子機器は、表示部の画像表示領域をより有効に活用できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】携帯電話機の外観を示す斜視図である。
【図2】筐体の内部を示すための断面図である。
【図3】制御装置が有する機能を示すブロック図である。
【図4】制御装置が実行する一連の手順を示すフローチャートである。
【図5】露出処理中画像を生成するための一連の手順を示すフローチャートである。
【図6−1】第2領域にリスト情報を表示する表示部を示す説明図である。
【図6−2】表示部の露出が未完了の際の表示部を示す説明図である。
【図6−3】表示部の露出が完了した際の表示部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下の説明では、携帯電子機器として携帯電話機を例として説明するが、本発明の適用対象は携帯電話機に限定されるものではない。例えば、PHS(Personal Handyphone System)、PDA、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン、ゲーム機等に対しても本発明を適用できる。
【0022】
(実施形態)
図1は、携帯電話機の外観を示す斜視図である。図2は、筐体の内部を示すための断面図である。なお、図1及び図2は携帯電話機1の構成を模式的に示す図であるため、各装置の大きさや配置位置などは、実際のものと異なる場合がある。図1に示す携帯電話機1は、筐体10と、マイク13と、レシーバ14と、操作部15と、表示部16と、移動手段としての移動機構20と、制御部30とを備える。筐体10は、例えば、単一で構成されるストレート型筐体である。なお、筐体10は、例えば、第1筐体と第2筐体との2つを含んで構成されてもよい。この場合、筐体10は、第1筐体が第2筐体に対してスライドする構成のスライド式筐体でもよいし、第1筐体が第2筐体に対して回動する折り畳み式の筐体でもよい。
【0023】
マイク13と、レシーバ14と、操作部15と、表示部16と、移動機構20と、制御部30は、筐体10の内部に設けられる。但し、表示部16は、少なくとも一部が筐体10の外部に露出できるように設けられる。表示部16は、移動機構20によって移動させられることにより、少なくとも一部が筐体10の外部に露出する。マイク13と、レシーバ14と、操作部15と、表示部16と、移動機構20とは、それぞれ制御部30と電気的に接続される。制御部30は、CPU(Central Processing Unit)を含んで構成され、携帯電話機1の全体的な動作を統括的に制御する装置である。
【0024】
マイク13は、音声を電気信号に変換する。そして制御部30が、電気信号に変換された音声をマイク13から取得する。レシーバ14は、制御部30から出力された電気信号を音声に変換して出力する。操作部15は、例えば、ボタンが筐体10の外部に露出して設けられる。筐体10のうち、操作部15が露出する面を操作面10aという。操作面10aは、筐体10が有する面の中で最も面積が広い。操作部15は、携帯電話機1のユーザーによって操作される。制御部30は、操作部15を介してユーザーが入力した情報を取得する。なお、図1に示す操作部15は、1つのボタンに1つのアルファベットが割り当てられている、いわゆるフルキーボードタイプであるが、1つのボタンに複数のアルファベットが割り当てられる、いわゆるテンキータイプのものでもよい。
【0025】
表示部16は、制御部30から受け取った信号に基づいて画像を表示する。本実施形態の表示部16は、例えば、可撓性を有する。表示部16は、図2に示すように、丸められて筐体10内に収納される。移動機構20は、巻取体21と、駆動装置としての駆動モータ22と、ガイド23とを含んで構成される。巻取体21は、棒状部材である。本実施形態では、巻取体21は円柱か筒状の形状に形成される。巻取体21は、中心軸RLを中心に回転できるように筐体10に支持される。巻取体21は、自身(巻取体21)の側周部に表示部16が連結される。駆動モータ22は、巻取体21に回転力を与える。これにより、巻取体21は、中心軸RLを中心に巻取り方向と、巻取り方向とは反対の送り出し方向との2方向に回転する。巻取体21が巻取り方向に回転すると、表示部16は巻取体21に巻き取られる。巻取体21が送り出し方向に回転すると、表示部16は巻取体21から送り出される。ガイド23は、巻取体21から露出口11に向かって表示部16の移動をガイドする。ガイド23は、例えば、筐体10の内壁面に形成される溝や壁である。
【0026】
図1及び図2に示すように、筐体10は、露出口11と、視認部12とが形成される。露出口11は、筐体10の内部と外部とを連通する孔である。露出口11が形成される部位は限定されないが、例えば、露出口11は、筐体10の側面10bに形成される。側面10bは、操作面10aと交わる面であって、中心軸RLと直交する仮想線が交わる面である。露出口11は、表示部16が通過できる形状に形成される。露出口11は、例えば、図1に示すように長方形に形成される。長方形に形成される露出口11の長辺は、中心軸RLと平行である。露出口11の長辺の寸法は、表示部16の幅方向の寸法よりも大きい。なお、表示部16の幅方向とは、中心軸RLと平行な方向である。また、長方形に形成される露出口11の短辺は、表示部16の厚さよりも大きい。
【0027】
視認部12は、図2に示すように、貫通口12aと、透明部材12bとを含んで構成される。貫通口12aは、筐体10の内部と外部とを連通する孔である。貫通口12aは、筐体10のうち、筐体10の内部に収納されている表示部16と対向する部位に形成される。例えば、貫通口12aは、露出口11と巻取体21との間の操作面10aに設けられる。透明部材12bは、筐体10の外部から筐体10の内部をユーザーが視認できる程度の透明度を有する部材である。透明部材12bは、貫通口12aに嵌め込まれることで貫通口12aを塞ぐ。なお、視認部12は、貫通孔12aのみで構成されてもよいが、透明部材12bを含んで構成される方が好ましい。これにより、視認部12は、例えば、筐体10内への埃の進入を抑制できる。
【0028】
図3は、制御装置が有する機能を示すブロック図である。制御部30は、1つの装置が図3に示す各機能を実現してもよいし、図3に示す各機能をそれぞれ別個に実現する複数の装置が電気的に接続されることで各機能を実現してもよい。制御部30は、記憶部31と、メール送受信部32と、音声処理部33と、表示制御部34と、移動制御部35と、主制御部36との各機能を実現する。記憶部31は、制御部30が実行する一連の手順(プログラム)を記憶したり、前記一連の手順の実行に必要な情報を記憶したりする。メール送受信部32は、ユーザーが作成したメールを送信したり、他の携帯電話機から送信されたメールを受信したりする。
【0029】
音声処理部33は、本実施形態の携帯電話機1と、他の携帯電話機との間での音声通話を実現するための機能である。音声処理部33は、マイク13及びレシーバ14と信号をやりとりする。具体的には、音声処理部33は、マイク13が電気信号に変換した音声データをマイク13から取得する。また、音声処理部33は、レシーバ14へ信号を出力して、レシーバ14に音声を出力させる。表示制御部34は、表示部16に表示させる画像を生成する。そして、表示制御部34は、生成した画像を信号として、表示部16に出力する。ここで、表示部16は、表示部16の全領域のうちの一部の領域にのみ画像を表示できる。表示制御部34は、表示部16の全領域から画像を表示する領域(画像表示領域)を調節する。すなわち、表示制御部34は、その画像表示領域の大きさや画像領域の位置を調節する。
【0030】
移動制御部35は、駆動モータ22の動作を制御する。具体的には、移動制御部35は、駆動モータ22の回転方向を切り替えると共に、駆動モータ22の回転角度を調節する。図3に示す主制御部36は、記憶部31から移動制御部35の各部を統括すると共に、記憶部31から移動制御部35の各部とは異なる機能を実現する。例えば、主制御部36は、記憶部31から必要な情報を取得したり、記憶部31に情報を記憶させたり、操作部15からユーザーの操作を信号として取得したりする。また、主制御部36は、記憶部31に記憶されている一連の手順(プログラム)を実行したり、前記一連の手順の実行に必要な演算をしたりする。次に、携帯電話機1の動作を説明する。
【0031】
移動制御部35は、図2に示す駆動モータ22の動作を制御して巻取体21を送り出し方向に回転させる。これにより、表示部16は、ガイド23に導かれて露出口11から筐体10の外部に露出する。この時、表示部16のうち、筐体10の外部に露出した領域を第1領域A1という。また、移動制御部35は、駆動モータ22の動作を制御して巻取体21を巻取り方向に回転させる。これにより、表示部16は、筐体10の内部に収納される。表示部16が筐体10の外部に露出されている際や、表示部16が筐体10の内部に収納されている際に、表示部16のうちの一部の領域は視認部12と対向する。この視認部12と対向する領域を、第2領域A2という。なお、第1領域A1及び第2領域A2は、それぞれ、表示部16の全領域のうちの一定の領域ではない。第1領域A1は、巻取体21が回転して表示部16が移動することにより大きさが変化する。また、第2領域A2は、巻取体21が回転して表示部16が移動することにより、表示部16の全領域内での位置が変化する。
【0032】
表示制御部34は、表示部16が露出口11から筐体10の外部に露出している際は、表示部16は第1領域A1に画像を表示すると共に、第2領域A2にも画像を表示する。この時、第1領域A1に表示されている画像は、第2領域A2に表示されている画像と同じでもよいし、異なってもよい。本実施形態では、表示部16は、第1領域A1に表示されている画像とは異なる画像を第2領域A2に表示する。また、表示部16は、自身(表示部16)が筐体10の内部に収納されている際は、第2領域A2のみに画像を表示させる。次に、制御部30が実行する一連の手順の一例を説明する。なお、以下に説明する一連の手順は、携帯電話機1がメールを受信して、ユーザーがメールを閲覧する操作を操作部15に入力した場合に実行する手順である。
【0033】
図4は、制御装置が実行する一連の手順を示すフローチャートである。図5は、露出処理中画像を生成するための一連の手順を示すフローチャートである。図6−1は、第2領域にリスト情報を表示する表示部を示す説明図である。図6−2は、表示部の露出が未完了の際の表示部を示す説明図である。図6−3は、表示部の露出が完了した際の表示部を示す説明図である。図5に示す一連の手順は、図4に示すステップST110の詳細な手順である。
【0034】
図4に示すステップST101で、図3に示す表示制御部34は、図6−1に示すようなリスト情報を生成する。リスト情報とは、図2に示す第1領域A1に表示できる項目を選択肢として並べた画像である。本実施形態では、リスト情報は、「ヘッダ情報のみ表示」と、「ヘッダ情報+本文を表示」と、「添付ファイルを含めて全て表示」との3つの項目を含む。次に、ステップST102で、表示制御部34は、図6−1に示すようにリスト情報を第2領域A2に表示させる。ユーザーは、図1に示す視認部12から表示部16の第2領域A2に表示されたリスト情報を確認する。そして、ユーザーは、リスト情報に含まれる複数の項目の中から1つの項目を選択する操作を操作部15に入力する。次に、ステップST103で、図3に示す主制御部36は、ユーザーが操作部15に入力した操作を信号として操作部15から取得する。
【0035】
次に、ステップST104で、主制御部36は、選択された項目を図2に示す第1領域A1に表示するために必要な面積(必要露出面積D0)を算出する。具体的には、ユーザーが「ヘッダ情報のみ表示」を選択した場合、主制御部36は、受信したメールに含まれる差出人情報、件名情報などのヘッダ情報を表示するために必要な面積に基づいて必要露出面積D0を算出する。ユーザーが「ヘッダ情報+本文を表示」を選択した場合、主制御部36は、受信したメールに含まれるヘッダ情報を表示するために必要な面積と、本文を表示するために必要な面積とに基づいて必要露出面積D0を算出する。ユーザーが「添付ファイルを含めて全て表示」を選択した場合、主制御部36は、受信したメールに含まれるヘッダ情報を表示するために必要な面積と、本文を表示するために必要な面積と、受信したメールに添付されたファイルを表示するために必要な面積とに基づいて必要露出面積D0を算出する。なお、メールに添付されたファイルとは、例えば、画像ファイルや、動画ファイルである。
【0036】
次に、ステップST105で、図3に示す移動制御部35は、駆動モータ22の動作を制御して図2に示す巻取体21を送り出し方向に所定角度回転させる。所定角度は特定の角度に限定されないが、例えば、表示部16を新たに1ドット行分露出させるために必要な角度である。なお、1ドット行とは、図1に示す表示部16の中心軸RL方向に配列された1行分のドットの列をいう。次に、図4に示すステップST106で、主制御部36は、表示部16のうち筐体10の外部に露出された露出面積D、すなわち、第1領域A1の現在の面積を算出する。
【0037】
次に、ステップST107で、表示制御部34は、第1領域A1に表示させる画像を生成する。ここで表示制御部34が生成する画像は、ステップST106で主制御部36が算出した露出面積Dに応じた画像である。つまり、露出面積Dが、テキスト1行分の面積である場合は、表示制御部34は、1行分のテキスト画像を生成する。また、露出面積Dが、テキスト1行分の面積に満たない場合、表示制御部34は、ブランク画像(何も表示しない画像)を生成する。次に、ステップST108で、表示制御部34は、第1領域A1にステップST107で生成した画像を表示させる。
【0038】
次に、ステップST109で、主制御部36は、第2領域A2の現在の位置を算出する。これは、上述したように、第2領域A2は、巻取体21が回転して表示部16が移動することにより、表示部16の全領域内での位置が変化するためである。主制御部36は、移動制御部35が巻取体21をこれまでに回転させた角度に基づいて、第2領域A2の現在の位置を算出する。次に、ステップST110で、表示制御部34は、第2領域A2に表示させる露出処理中画像を生成する。以下、露出処理中画像を生成するための一連の手順の一例を説明する。
【0039】
図5に示すステップST201で、図3に示す主制御部36は、第1領域A1にオブジェクトが表示されているか否かを判定する。オブジェクトとは、第1領域A1に表示される画像に含まれる情報を分類するものである。メールの場合、オブジェクトは、例えば、差出人情報と、件名情報と、本文情報と、添付ファイル情報との4種類ある。第1領域A1にオブジェクトが表示されていない場合(ステップST201、No)、ステップST202で、表示制御部34は、無項目画像を露出処理中画像とする。無項目画像は、例えば、「表示部を露出処理中」や、「しばらくお待ち下さい」などのテキスト画像である。
【0040】
第1領域A1にオブジェクトが表示されている場合(ステップST201、Yes)、ステップST203で、主制御部36は、第1領域A1に表示されている画像に含まれるオブジェクトを抽出する。すなわち、主制御部36は、第1領域A1に表示されている画像に含まれるオブジェクトが何であるかを判定する。次に、ステップST204で、主制御部36は、ステップST203で抽出されたオブジェクトの中に新規オブジェクトがあるか否かを判定する。ここで、図5に示す一連の手順は、複数回実行されることがある。ここでいう、新規オブジェクトとは、前回のステップST203で抽出されたオブジェクトに含まれていないオブジェクトである。
【0041】
新規オブジェクトがある場合(ステップST204、Yes)、ステップST205で、表示制御部34は、新規オブジェクトを表示中である旨を表す露出処理中画像を生成する。例えば、図6−2に示すように、差出人情報が新たに第1領域A1に表示された場合、すなわち、差出人情報が新規オブジェクトである場合、表示制御部34は、差出人情報を第1領域A1に表示している旨を表す画像を露出処理中画像として生成する。例えば、表示制御部34は、「From情報表示中」というテキスト画像を露出処理中画像として生成する。新規オブジェクトがない場合(ステップST204、No)、ステップST206で、表示制御部34は、前回のステップST202または前回のステップST205で生成した露出処理中画像を今回の露出処理中画像とする。ステップST202と、ステップST205と、ステップST206とのうちのいずれかの手順が完了すると、制御部30は、図5に示す一連の手順の実行を終了し、図4に示すステップST111に移る。
【0042】
図4に示すステップST111で、図3に示す表示制御部34は、第2領域A2に露出処理中画像を表示させる。よって、携帯電話機1は、第1領域A1に表示されている画像の関連情報を、画像として第2領域A2に表示できる。ユーザーは、図1に示す視認部12から表示部16の第2領域A2に表示された露出処理中画像を視認できる。よって、携帯電話機1は、現在、第1領域A1にどのような種類の情報(オブジェクト)を表示中かをユーザーに報知できる。
【0043】
次に、ステップST112で、図3に示す主制御部36は、現在の露出面積Dが必要露出面積D0と等しいか否か、すなわち、現在の露出面積Dが必要露出面積D0に到達したか否かを判定する。これにより、主制御部36は、ユーザーが要求するオブジェクトを第1領域A1に表示するために必要な面積分、表示部16が筐体10の外部に露出されたか否かを判定する。現在の露出面積Dが必要露出面積D0と異なる場合(ステップST112、No)、制御部30は、ステップST105に戻る。そして、ステップST112で肯定的な判定が成されるまで、制御部30は、ステップST105からステップST111の一連の手順を繰り返し実行する。
【0044】
現在の露出面積Dが必要露出面積D0と等しい場合(ステップST112、Yes)、ステップST113で、表示制御部34は、第2領域A2に表示させる露出完了画像を生成する。露出完了画像は、表示部16の露出が完了し、ユーザーが希望したオブジェクトを第1領域A1にすべて表示した旨を表す画像である。露出完了画像は、例えば、図6−3に示すように、「露出処理完了 ヘッダ情報+本文+添付ファイルを表示中」というテキスト画像である。次に、ステップST114で、表示制御部34は、第2領域A2にステップST113で生成した露出完了画像を表示させる。これにより、ユーザーは、図1に示す視認部12から表示部16の第2領域A2に表示された露出完了画像を視認できる。よって、携帯電話機1は、表示部16の露出が完了したことと、ユーザーが希望したオブジェクトを第1領域A1にすべて表示していることとを、ユーザーに報知できる。ステップST114を実行すると、制御部30は、図4に示す一連の手順の実行を終了する。
【0045】
以上のように、携帯電話機1は、筐体10の最も広い面、すなわち操作面10aよりも面積が大きい表示部16を筐体10の内部に備える。これにより、携帯電話機1は、表示部16のうち筐体10の外部に露出する部分、すなわち第1領域A1の最大の面積を操作面10aよりも大きくできる。これにより、携帯電話機1は、表示部16がより大きな画像を表示できる。そして、携帯電話機1は、可撓性を有する表示部が丸められて筐体10の内部に収納されることにより、シンプルな構造で操作面10aよりも面積が大きい表示部を筐体10の内部に備えることができる。また、携帯電話機1は、1つの表示部16に、第1領域A1と第2領域A2との2つの画像表示領域を有する。そして、図3に示す表示制御部34は、第1領域A1に表示させる画像と、第2領域A2に表示させる画像との2つの画像を生成し、表示部16にこれらの画像を別々に表示させる。これにより、携帯電話機1は、1つの表示部16で擬似的に2つの表示部を表現できる。
【0046】
ここで、第1領域A1の最大面積は、第2領域A2の面積よりも大きいと好ましい。この場合、携帯電話機1は、例えば、第1領域A1に詳細情報を表示すると共に、第2領域A2に詳細情報の要旨を示す情報を表示するとさらに好ましい。詳細情報の要旨を示す情報とは、例えば、詳細情報の種類や、詳細情報に含まれるヘッダ情報である。詳細情報の要旨を示す情報は、詳細情報よりも情報量が少ない。これにより、携帯電話機1は、第1領域A1に表示される情報の要旨を示す情報を第2領域A2に表示することで、第2領域A2を小型化できる。結果として、携帯電話機1は、視認部12を小型化できる。なお、携帯電話機1は、表示部16が可撓性を有するが、例えば、撓まない表示部を備えても、1つの表示部16で擬似的に2つの表示部を表現することはできる。以上により、携帯電話機1は、表示部16の画像表示領域をより有効に活用できる。
【0047】
また、携帯電話機1は、図4及び図5に示す一連の手順を制御部30が実行することにより、第1領域A1と第2領域A2とが異なる画像を表示できる。これにより、携帯電話機1は、異なる情報をユーザーに報知できる。具体的には、本実施形態では、携帯電話機1は、表示制御部34は、第1領域A1に表示させる画像の関連情報を示す画像を、第2領域A2に表示させる。よって、携帯電話機1は、第1領域A1にどのようなオブジェクトが表示されているかをユーザーに提供できる。さらに、前記関連情報を示す画像は、第1領域A1に表示される画像の内容に応じて刻々と変化する。よって、携帯電話機1は、現在、第1領域A1にどのようなオブジェクトが表示されているかをユーザーに提供できる。なお、携帯電話機1は、事前に通信回線を介して取得(ダウンロード)した情報、例えば広告情報を第2領域A2に表示してもよい。
【0048】
また、携帯電話機1は、表示部16がすべて筐体10の内部に収納されている状態では、第2領域A2のみに画像を表示することになる。表示部16は、表示部16の全領域に画像を表示する時よりも、表示部16の一部である第2領域A2のみに画像を表示している時の方が、消費する電力量は少ない。よって、携帯電話機1は、表示部16が第2領域A2のみに画像を表示することで消費する電力量を低減できる。
【0049】
また、携帯電話機1は、図2に示す移動機構20により表示部16が移動されている間も、表示部16が第2領域A2に露出処理中画像を表示する。これにより、携帯電話機1は、表示部16が移動している最中も、第1領域A1にオブジェクトが表示されているか否かや、第1領域A1にどのようなオブジェクトが表示されているのかを示す関連情報をユーザーに報知できる。また、この時、表示制御部34は、図4に示すステップST109を実行することによって、移動機構20による表示部16の移動量に対応させて、第2領域A2の位置を表示部16の移動方向とは反対側に移動させつつ、第2領域A2に露出処理中画像を表示できる。これにより、携帯電話機1は、表示部16が移動中であっても、視認部12から視認できる画像が停止しているように見せることができる。
【0050】
また、表示制御部34は、表示部16の第2領域A2に、1つ以上の項目を含むリスト情報を表示させる。そして、リスト情報の項目が選択されたら、移動制御部35は、選択された項目に設定された面積分、表示部16を移動機構20によって筐体10の外部に露出させる。これにより、携帯電話機1は、ユーザーが希望するオブジェクトを第1領域A1に表示させるために必要な面積分のみ、表示部16を筐体10の外部に露出できる。ここで、表示部16は、第2領域A2にリスト情報を表示しなくてもよい。例えば、表示部16は、数値の入力を補助する画像を第2領域A2に表示する。そして、移動制御部35は、ユーザーが操作部15に入力した数値に応じて、露出口11から露出させる表示部16の面積を調節してもよい。
【0051】
また、例えば、移動制御部35は、操作部15に所定の操作が入力される度に、露出口11から露出する表示部16の面積を増減させてもよい。具体的には、移動制御部35は、下ボタンが押下される操作が操作部15に入力されると、露出口11から露出する表示部16の面積を増加させ、上ボタンが押下される操作が操作部15に入力されると、露出口11から露出する表示部16の面積を減少させる。この場合であっても、携帯電話機1は、ユーザーが希望する面積分、表示部16を筐体10の外部に露出できる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上のように、本発明に係る携帯電子機器は、少なくとも一部が筐体の外部に露出できるように筐体の内部に設けられる表示部を備える技術であって、表示部の画像表示領域をより有効に活用することに有用である。
【符号の説明】
【0053】
1 携帯電話機
10 筐体
10a 操作面
10b 側面
11 露出口
12 視認部
12a 貫通孔
12b 透明部材
13 マイク
14 レシーバ
15 操作部
16 表示部
20 移動機構
21 巻取体
22 駆動モータ
23 ガイド
30 制御部
31 記憶部
32 メール送受信部
33 音声処理部
34 表示制御部
35 移動制御部
36 主制御部
A1 第1領域
A2 第2領域
RL 中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
少なくとも一部が前記筐体の外部に露出できるように前記筐体の内部に設けられる表示部と、
前記表示部を移動させる移動手段と、
前記筐体に設けられて、前記表示部のうち、前記筐体の内部に収納されている部分の少なくとも一部を前記筐体の外部から視認できるようにする視認部と、
前記表示部のうち前記筐体の外部に露出された第1領域における表示と、前記表示部のうち前記視認部と対向した第2領域における表示とを制御し、かつ、前記移動手段の動作を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1領域と前記第2領域とに異なる画像を表示させることを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記表示部がすべて前記筐体の内部に収納されている状態では、第2領域のみに画像を表示させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、前記移動手段により前記表示部が移動されている間も、前記表示部の前記第2領域に画像を表示させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記制御部は、前記移動手段による前記表示部の移動量に対応させて、前記第2領域を前記表示部の移動方向とは反対側に移動させつつ、前記第2領域に画像を表示させることを特徴とする請求項4に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1領域に表示させる画像の関連情報を、前記第2領域に表示させることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2領域に表示させる前記関連情報を、前記第1領域に表示される画像の内容に応じて変化させることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項8】
前記制御部は、前記表示部の前記第2領域に、1つ以上の項目を含むリスト情報を表示させ、
前記リスト情報の項目が選択されたら、選択された項目に設定された面積分、前記表示部を前記移動手段によって前記筐体の外に露出させることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項9】
前記視認部は、前記筐体に形成された貫通口と、前記貫通口にはめ込まれた透明部材とを含んで構成されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項10】
前記表示部は、可撓性を有し、
前記移動手段は、前記表示部を前記筐体内に巻き取って収納する巻き取り部と、当該巻き取り部を回転させる駆動装置とを有し、
前記駆動装置が前記巻き取り部を巻き取り方向に回転させて、前記表示部を前記筐体に収納し、前記駆動装置が前記巻き取り部を前記巻き取り方向とは逆方向に回転させて、前記表示部を前記筐体の外部に露出させることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項11】
前記第1領域の最大の面積は、前記第2領域の面積よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項12】
前記制御部は、前記第1領域に表示される情報の要旨を示す情報であることを前記第2領域に表示させることを特徴とする請求項11に記載の携帯電子機器。
【請求項13】
前記第1領域の最大の面積は、前記筐体の最も広い面の面積よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【公開番号】特開2011−133678(P2011−133678A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293383(P2009−293383)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】