説明

携帯電子機器

【課題】警報を発動するための操作を好適に行うことができる携帯電子機器を提案する。
【解決手段】筐体と、筐体の外部へ向けて警報を発動可能なブザー10と、操作状態を検出可能なスイッチ位置検出部34と、操作状態が、第1操作状態から第2操作状態に遷移したと検出された場合、ブザー10による警報を第1態様により発動させると共に、第2操作状態から第3操作状態に遷移したと検出された場合、ブザー10による警報を第2態様により発動させるCPU22と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警報部を有する携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、警報部を有する携帯電子機器としては、例えば、特許文献1に開示された防犯機能付き携帯端末装置がある。この携帯端末装置では、防犯機能の誤作動の発生を抑制すべく、ケース外に突出したアンテナが、所定回数以上、押し込み操作されることで、防犯動作を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−354382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年、携帯電子機器において、アンテナは、筐体内部に内蔵されてしまっている。このため、アンテナが内蔵されている携帯電子機器において、防犯機能の誤作動の発生を抑制することは難しい。
【0005】
そこで、本発明は、警報を発動するための操作を好適に行うことができる携帯電子機器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の携帯電子機器は、筐体と、筐体の外部へ向けて警報を発動可能な警報部と、第1操作状態、第2操作状態および第3操作状態を備える操作部と、操作状態を検出可能な検出部と、操作状態が、第1操作状態から、第2操作状態または第3操作状態に遷移したと検出された場合、警報部による警報を発動させる制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、操作状態が、第1操作状態から第2操作状態に遷移した後、第2操作状態を維持していると検出された場合、制御部は、警報部による警報を第1態様にて発動させ、操作状態が、第2操作状態から第3操作状態に遷移したと検出された場合、制御部は、警報部による警報を第2態様にて発動させることが好ましい。
【0008】
また、警報部による第2態様での警報の発動中において、操作状態が、第3操作状態から、第1操作状態または第2操作状態に遷移したと検出された場合、制御部は、警報部による第2態様での警報の発動を継続させることが好ましい。
【0009】
また、警報部による第2態様での警報の発動中において、制御部は、操作状態が予め設定された停止条件を満たすと判定すると、警報部による第2態様での警報の発動を停止させることが好ましい。
【0010】
また、検出部は、第1位置から第2位置を経て第3位置へ至る少なくとも2段階に変位可能なスイッチ機構を有し、第1操作状態と、第1位置とを対応付け、第2操作状態と、第2位置とを対応付け、第3操作状態と、第3位置とを対応付けていることが好ましい。
【0011】
また、検出部は、少なくとも第1位置と第2位置との間で変位可能なスイッチ機構と、特定の操作状態を特定操作状態として検出可能なセンサ部と、を有し、第1操作状態と、第1位置とを対応付け、第2操作状態と、第2位置および特定操作状態のいずれか一方とを対応付け、第3操作状態と、第2位置および特定操作状態のいずれか他方とを対応付けていることが好ましい。
【0012】
また、センサ部は、特定操作状態として、人体への接触を起因とする接触操作状態、または圧力の変化を起因とする圧力操作状態を検出していることが好ましい。
【0013】
また、筐体の外部の明るさを検出可能な光センサをさらに備え、外部が暗いときのほうが、外部が明るいときと比較して、センサ部は、その感度が高いことが好ましい。
【0014】
また、検出部は、人物を特定する認証部を有し、認証部により特定された人物が、予め登録された人物である場合、制御部は、停止条件を満たすと判定することが好ましい。
【0015】
また、検出部は、位置を特定する位置特定部を有し、制御部は、筐体の位置が特定のエリア内である場合、警報部による警報の発動を禁止することが好ましい。
【0016】
また、第1態様にて警報部から発せられる警報音は、第2態様にて警報部から発せられる警報音に比べて、小さいことが好ましい。
【0017】
また、外部と通信可能な通信部をさらに備え、制御部は、警報部による第2態様での警報の発動時において、外部との通信を行うことが好ましい。
【0018】
また、操作状態が、第1操作状態から、第2操作状態を経て、第3操作状態に遷移した場合、制御部は、通信部を介して、操作状態の遷移過程を、外部へ通知することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、警報を発動するための操作を好適に行うことができ、また、誤操作の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、実施形態1に係る携帯電子機器を示す外観斜視図である。
【図2】図2は、実施形態1に係る携帯電子機器のスイッチ操作の一例を示す説明図である。
【図3】図3は、実施形態1に係る携帯電子機器の機能の概略構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、実施形態1に係る携帯電子機器の制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、実施形態2に係る携帯電子機器を示す外観斜視図である。
【図6】図6は、実施形態2に係る携帯電子機器の機能の概略構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、明るさによって圧力センサの感度が変化するグラフである。
【図8】図8は、時間によって圧力センサの感度が変化するグラフである。
【図9】図9は、実施形態3に係る携帯電子機器を示す外観斜視図である。
【図10】図10は、実施形態3に係る携帯電子機器の機能の概略構成を示すブロック図である。
【図11】図11は、実施形態4に係る携帯電子機器を示す外観斜視図である。
【図12】図12は、実施形態4に係る携帯電子機器の機能の概略構成を示すブロック図である。
【図13】図13は、実施形態5に係る携帯電子機器の正面側を示す外観斜視図である。
【図14】図14は、実施形態5に係る携帯電子機器の背面側を示す外観斜視図である。
【図15】図15は、実施形態5に係る携帯電子機器の機能の概略構成を示すブロック図である。
【図16】図16は、実施形態5に係る携帯電子機器の制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図17】図17は、タイマによる計測時間を通知するときの携帯電子機器の制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図18】図18は、携帯電子機器の警報発動に関する制御動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下においては、携帯電子機器の一例である携帯電話機を例として説明するが、本発明の適用対象は携帯電話機に限定されるものではなく、例えば、PHS(Personal Handyphone System)、PDA等に対しても本発明は適用できる。
【0022】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る携帯電子機器を示す外観斜視図である。この携帯電子機器1は、防犯機能を備えた携帯電話機である。携帯電子機器1は、1つの箱型形状の筐体5の内部に各部が収納されたストレート形状のものである。なお、実施形態1では、ストレート形状の携帯電子機器1を適用したが、これに限らない。つまり、携帯電子機器1として、例えば、ヒンジで連結された2つの筐体を開閉可能に折り畳んだ、折り畳み式の携帯電子機器を適用しても良い。また、スライド式やサイクロイド式の携帯電子機器を適用しても良い。
【0023】
筐体5の正面の一方側(図示上側)には、表示部32として、メインディスプレイ6が設けられる。メインディスプレイ6は、電話の発着信やアプリケーションの起動を待ち受けている待受画面を表示したり、携帯電子機器1の操作を補助するために用いられるメニュー画面を表示したりする。
【0024】
筐体5の正面の他方側(図示下側)には、通話相手の電話番号や、メール作成時等に文字を入力するための操作キー7が複数設けられる。なお、操作キー7は、携帯電子機器1の操作部28(図3参照)を構成する。筐体5の正面の下方側端部には、携帯電子機器1の通話時に音声を受け取るマイク8が設けられる。そして、筐体5の正面の上方側端部には、携帯電子機器1の通話時に音声を発するレシーバ9が設けられる。
【0025】
次に、図2を参照して、筐体5の背面側について説明する。図2は、実施形態1に係る携帯電子機器のスイッチ操作の一例を示す説明図である。図2に示すように、筐体5の背面の上側には、携帯電子機器1の警報発動時に警報音を発するブザー10が設けられる。このブザー10は、筐体5の外部へ警報を発動する警報部として機能している。また、このブザー10に並んで、筐体5の背面の上側には、スイッチ機構11が設けられている。
【0026】
スイッチ機構11は、携帯電子機器1から警報を発動するために用いられ、プルスイッチ部材12と、紐体13を介して連結されたストラップ14とを有している。ストラップ14は、リング状に形成されており、ユーザは、ストラップ14を手掛かりとして、紐体13を介してプルスイッチ部材12を操作している。プルスイッチ部材12は、紐体13を介してストラップ14に引っ張られることで、筐体5の上面に対して突出するように移動する。プルスイッチ部材12は、図示左側に示す第1位置T1と、図示中央に示す第2位置T2と、図示右側に示す第3位置T3とに切替可能に移動する。具体的に、プルスイッチ部材12は、初期位置となる第1位置T1から第2位置T2へ1段階目の切替移動が可能な構成となっている。また、プルスイッチ部材12は、第2位置T2から第3位置T3へ2段階目の切替移動が可能な構成となっている。つまり、プルスイッチ部材12は、2段階方式のスイッチ部材である。
【0027】
従って、プルスイッチ部材12が第1位置T1にある初期状態において、ユーザが危機を感じ、ストラップ14を引っ張る。すると、プルスイッチ部材12は、図示左側の第1位置T1から図示中央の第2位置T2へ移動する。ここで、ユーザがプルスイッチ部材12を第1位置T1から第2位置T2へ移動させる1段階目のスイッチ操作を、第1アクションとする。また、ユーザが、更にストラップ14を引っ張ると、プルスイッチ部材12は、図示中央の第2位置T2から図示右側の第3位置T3へ移動する。ここで、ユーザがプルスイッチ部材12を第2位置T2から第3位置T3へ移動させる2段階目のスイッチ操作を、第2アクションとする。このとき、第1アクションの実行に要する引張力は、第2アクションの実行に要する引張力に比べて小さくしてもよい。この場合、第1アクションは実行し易く、第2アクションは、第1アクションに比して実行し難くできる。
【0028】
一方、プルスイッチ部材12が第3位置T3にある状態において、ユーザが、プルスイッチ部材12を押し込むと、プルスイッチ部材12は、図示右側の第3位置T3から図示中央の第2位置T2へ移動する。ここで、ユーザがプルスイッチ部材12を第3位置T3から第2位置T2へ移動させるスイッチ操作を、第2アクションの解除操作とする。また、ユーザが、更にプルスイッチ部材12を押し込むと、プルスイッチ部材12は、図示中央の第2位置T2から図示左側の第1位置T1へ移動する。ここで、ユーザがプルスイッチ部材12を第2位置T2から第1位置T1へ移動させるスイッチ操作を、第1アクションの解除操作とする。
【0029】
次に、携帯電子機器1の機能および制御系の関係について説明する。図3は、実施形態1に係る携帯電子機器の機能の概略構成を示すブロック図である。図3に示すように携帯電子機器1は、CPU22と、記憶部24と、通信部26と、操作部28と、音声処理部30と、表示部32と、スイッチ位置検出部34とを有する。
【0030】
CPU(Central Processing Unit)22は、携帯電子機器1の全体的な動作を統括的に制御する処理部である。すなわち、CPU22は、携帯電子機器1の各種の処理が、操作部28の操作や携帯電子機器1の記憶部24に保存されるソフトウェアに応じて適切な手順で実行されるように、通信部26、表示部32等の動作を制御する。CPU22は、記憶部24に保存されているプログラム(例えば、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、CPU22は、複数のプログラム(アプリケーション、ソフトウェア)を並列で実行することができる。
【0031】
記憶部24には、CPU22での処理に利用されるアプリケーションのプログラムやデータが保存されている。具体的に、記憶部24には、アプリケーションのプログラムとして、インターネット通信を行うアプリケーションのプログラムや、メールの送受信を行うアプリケーションのプログラム、音声データの再生を行うアプリケーションのプログラム、発信、着信、通話処理を行うアプリケーションのプログラム、ワンセグ放送処理を行うアプリケーションのプログラム、外部へ向けて警報を行うアプリケーションのプログラム等が保存されている。また、データとしては、画像データ、音声データ、文字変換のための辞書データ、電話帳データ等が記憶されている。
【0032】
通信部26は、基地局によって割り当てられるチャネルを介し、基地局との間でCDMA方式などによる無線信号回線を確立し、基地局との間で電話通信及び情報通信を行う。また、通信部26は、テレビ放送を受信するアンテナや、GPS信号を受信するアンテナも備える。
【0033】
操作部28は、例えば、電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、発信キー等の各種の機能が割り当てられた操作キー7で構成され、これらのキーがユーザの操作により入力されると、その操作内容に対応する信号を発生させる。そして、発生した信号は、ユーザの指示としてCPU22へ入力される。
【0034】
音声処理部30は、マイク8に入力される音声信号や、レシーバ9から出力される音声信号、ブザー10から出力される音声信号の処理を実行する。
【0035】
表示部32は、液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)や、有機EL(Organic Electro−Luminescence)パネルなどで構成された表示パネル(上述したメインディスプレイ6等)を備え、CPU22から供給される映像データに応じた映像、画像データに応じた画像を表示パネルに表示させる。
【0036】
スイッチ位置検出部34は、ユーザの操作状態、具体的には、プルスイッチ部材12の位置を検出している。スイッチ位置検出部34は、プルスイッチ部材12が第1位置T1にある場合、操作状態が第1操作状態であるとして、第1操作信号をCPU22へ向けて出力する。また、スイッチ位置検出部34は、プルスイッチ部材12が第2位置T2にある場合、操作状態が第2操作状態であるとして、第2操作信号をCPU22へ向けて出力する。更に、スイッチ位置検出部34は、プルスイッチ部材12が第3位置T3にある場合、操作状態が第3操作状態であるとして、第3操作信号をCPU22へ向けて出力する。
【0037】
続いて、図4を参照して、上記のように構成された携帯電子機器1の制御動作について説明する。図4は、携帯電子機器の制御動作の一例を示すフローチャートである。
【0038】
先ず、携帯電子機器1のCPU22は、スイッチ位置検出部34による検出結果に基づいて、ユーザにより第1アクションが実行されたか否かを判定する(ステップS11)。ここで、CPU22は、スイッチ位置検出部34から入力された操作信号が、第1操作信号から第2操作信号に切り替わった場合、プルスイッチ部材12が第1位置T1から第2位置T2へ移動したとして、第1アクションが実行されたと判定する。一方、CPU22は、スイッチ位置検出部34から入力された操作信号が、第1操作信号を維持している場合、プルスイッチ部材12が第1位置T1に留まっているとして、第1アクションが実行されていないと判定する。
【0039】
CPU22は、ステップS11において、ユーザにより第1アクションが実行されていないと判定する(No)と、ステップS11に再び進む。一方、CPU22は、ステップS11において、ユーザにより第1アクションが実行されていると判定する(Yes)と、非常事態であるとして、ブザー10から警報音を出力する(ステップS12)。このとき、CPU22は、ステップS12において、ブザー10から警報音を、第1態様にて出力する。第1態様とは、非常事態の危機度が低いときに発動されるプレ警報である。具体的に、第1態様での警報音は、後述する第2態様での警報音に比べて小さくなっている。なお、実施形態1では、ブザー10を用いたが、これに限らず、例えば、明滅可能なライトを適用しても良い。
【0040】
続いて、CPU22は、第1態様でブザーから警報音を出力したら、ユーザにより第1アクションが解除されているか否かを判定する(ステップS13)。ここで、CPU22は、スイッチ位置検出部34から入力された操作信号が、第2操作信号から第1操作信号に切り替わった場合、プルスイッチ部材12が第2位置T2から第1位置T1へ移動したとして、第1アクションが解除されたと判定する。一方、CPU22は、スイッチ位置検出部34から入力された操作信号が、第2操作信号を維持している場合、プルスイッチ部材12が第2位置T2に留まっているとして、第1アクションが解除されていないと判定する。
【0041】
CPU22は、ステップS13において、ユーザにより第1アクションが解除されていると判定する(Yes)と、ステップS16に進む。一方、CPU22は、ステップS13において、ユーザにより第1アクションが解除されていないと判定する(No)と、スイッチ位置検出部34による検出結果に基づいて、ユーザにより第2アクションが実行されたか否かを判定する(ステップS14)。ここで、CPU22は、スイッチ位置検出部34から入力された操作信号が、第2操作信号から第3操作信号に切り替わった場合、プルスイッチ部材12が第2位置T2から第3位置T3へ移動したとして、第2アクションが実行されたと判定する。一方、CPU22は、スイッチ位置検出部34から入力された操作信号が、第2操作信号を維持している場合、プルスイッチ部材12が第2位置T2に留まっているとして、第2アクションが実行されていないと判定する。
【0042】
CPU22は、ステップS14において、ユーザにより第2アクションが実行されていないと判定する(No)と、ステップS13に再び進む。一方、CPU22は、ステップS14において、ユーザにより第2アクションが実行されていると判定する(Yes)と、非常事態であるとして、ブザー10から警報音を出力する(ステップS15)。このとき、CPU22は、ステップS15において、ブザー10から警報音を、第2態様にて出力する。第2態様とは、非常事態の危機度が高いときに発動される主警報である。具体的に、第2態様での警報音は、第1態様での警報音に比べて大きくなっている。また、CPU22は、ブザー10による第2態様での警報音の出力時において、通信部26を介して、例えば、警備会社等の外部機関へ通報を行う。そして、CPU22は、ステップS15の処理後、処理を終了する。
【0043】
一方、CPU22は、ステップS13において、ユーザにより第1アクションが解除されていると判定すると、第1態様での警報の発動を解除して(ステップS16)、処理を終了する。
【0044】
以上により、実施形態1の携帯電子機器1の構成によれば、ユーザが第1アクションを行うことで、第1態様にてプレ警報を発動することができ、ユーザが第2アクションを行うことで、第2態様にて主警報を発動することができる。このため、プルスイッチ部材12が第1位置T1にある初期状態において、ユーザがストラップ14を誤操作しても、第1アクションが実行されるため、先ずはプレ警報の発動となる。これにより、ユーザは、ストラップ14の誤操作による主警報の発動を低減することができる。また、第1アクションが実行されて、プレ警報の発動が行われたとしても、ユーザは、第1アクションの解除操作を行うことで、プレ警報の解除を行うことができる。このため、ユーザは、ストラップ14の誤操作によりプレ警報が発動しても、携帯電子機器1を初期状態に容易に復帰させることができる。
【0045】
また、携帯電子機器1は、第2アクションによる主警報の発動前に、第1アクションによるプレ警報を発動することができる。このため、主警報を発動するまでもない危機度の低い非常事態であっても、プレ警報の発動によって対応することができ、携帯電子機器1の汎用性を高めることができる。
【0046】
なお、第2態様にて主警報を発動している場合、携帯電子機器1のCPU22は、ユーザによる第2アクションの解除操作が行われても、第2態様での主警報の発動を維持することが好ましい。この構成によれば、ユーザは、非常事態の危機度の高い主警報を容易に解除することができない。このため、携帯電子機器1は、外部に対し非常事態であることを好適に報知することができ、また、ユーザ以外の第三者によって、主警報が解除されることを阻むことができる。
【0047】
なお、実施形態1では、第2アクションによる主警報の発動前に、第1アクションによるプレ警報を発動したが、第1態様でのプレ警報を廃した構成としてもよい。この構成によれば、ユーザが第1アクションを行っても、携帯電子機器1による警報の発動は行われない。一方で、ユーザが第1アクションを行った後に第2アクションを行った場合、携帯電子機器1による主警報の発動は行われる。このため、プルスイッチ部材12が第1位置T1にある初期状態において、ユーザがストラップ14を誤操作しても、先ずは第1アクションが実行されるため、ストラップ14の誤操作による警報の発動がない。これにより、携帯電子機器1は、ストラップ14の誤操作による主警報の発動を低減することができる。
【0048】
(実施形態2)
続いて、図5ないし図7を参照して、実施形態2に係る携帯電子機器50について説明する。なお、重複した記載を避けるべく、異なる部分についてのみ説明する。図5は、実施形態2に係る携帯電子機器を示す外観斜視図である。実施形態1の携帯電子機器1では、2段階方式のプルスイッチ部材12を用いて、警報を発動させた。一方で、実施形態2の携帯電子機器50では、切替式(1段階方式)のプルスイッチ部材56と圧力センサ60とを用いて、警報を発動させている。以下、実施形態2の携帯電子機器50について具体的に説明する。
【0049】
図5に示すように、携帯電子機器50の背面の上側には、スイッチ機構55が設けられている。スイッチ機構55は、プルスイッチ部材56と、紐体57を介して連結されたストラップ58とを有している。プルスイッチ部材56は、初期位置となる第1位置S1と、筐体51の上面に対して突出する第2位置S2との間で切替可能に移動する。従って、プルスイッチ部材56が第1位置S1にある初期状態において、ユーザがストラップ58を引っ張る。すると、プルスイッチ部材56は、第1位置S1から第2位置S2へ移動する。ここで、ユーザがプルスイッチ部材56を第1位置S1から第2位置S2へ移動させるスイッチ操作を、第2アクションとする。
【0050】
携帯電子機器50の側面には、圧力センサ60が設けられている。圧力センサ60は、ユーザが携帯電子機器50を把持したときの圧力を検出している。ここで、ユーザが携帯電子機器50を把持する操作を、第1アクションとする。また、携帯電子機器50の正面には、光センサ61が設けられている。光センサ61は、筐体51の外部の明るさを検出している。
【0051】
次に、携帯電子機器50の機能および制御系の関係について説明する。図6は、実施形態2に係る携帯電子機器の機能の概略構成を示すブロック図である。図6に示すように携帯電子機器50は、CPU22と、記憶部24と、通信部26と、操作部28と、音声処理部30と、表示部32と、スイッチ位置検出部62と、圧力検出部63と、光検出部64とを有する。なお、CPU22、記憶部24、通信部26、操作部28、音声処理部30、および表示部32は、実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0052】
スイッチ位置検出部62は、ユーザの操作状態、具体的には、プルスイッチ部材56の位置を検出している。スイッチ位置検出部62は、プルスイッチ部材56が第1位置S1にある場合、操作状態が第1操作状態であるとして、第1操作信号をCPU22へ向けて出力する。また、スイッチ位置検出部62は、プルスイッチ部材56が第2位置S2にある場合、操作状態が第3操作状態であるとして、第3操作信号をCPU22へ向けて出力する。
【0053】
圧力検出部63は、スイッチ位置検出部62と同様に、ユーザの操作状態を検出するものである。圧力検出部63は、ユーザの操作状態として、携帯電子機器50が把持されていることを検出している。圧力検出部63は、圧力センサ60によって圧力が加わっていると検出された場合、操作状態が第2操作状態であるとして、第2操作信号をCPU22へ向けて出力する。
【0054】
続いて、図7を参照して、圧力センサ60と光センサ61との関係について説明する。図7は、明るさによって圧力センサの感度が変化するグラフである。図7は、その横軸が、光センサ61によって検出される明るさとなっており、その縦軸が、圧力センサ60の感度となっている。圧力センサ60の感度は、光センサ61によって検出される明るさによって変化する。具体的に説明すると、光センサ61によって検出される明るさが暗くなるに従って、圧力センサ60の感度は高くなる。一方で、光センサ61によって検出される明るさが明るくなるに従って、圧力センサ60の感度は低くなる。つまり、CPU22は、光センサ61によって検出した明るさが明るくなると、圧力センサ60に圧力が加わったと判定するためのしきい値を高くする。一方で、CPU22は、光センサ61によって検出した明るさが暗くなると、圧力センサ60に圧力が加わったと判定するためのしきい値を低くする。
【0055】
続いて、上記のように構成された実施形態2の携帯電子機器50の制御動作について、実施形態1と異なる部分を中心に説明する。なお、実施形態2の携帯電子機器50の制御動作は、図4に示した実施形態1の携帯電子機器1の制御動作と略同様であるため、説明を省略する。
【0056】
携帯電子機器50のCPU22は、第1アクションが実行されたか否かを判定する場合、スイッチ位置検出部62および圧力検出部63の検出結果に基づいて判定する。つまり、CPU22は、スイッチ位置検出部62から入力された操作信号が、第1操作信号を維持している状態において、圧力検出部63から第2操作信号が入力された場合に、第1アクションが実行されたと判定する。換言すれば、CPU22は、プルスイッチ部材56が第1位置S1に留まっている状態において、ユーザにより携帯電子機器50が把持された場合に、第1アクションが実行されたと判定する。一方、CPU22は、スイッチ位置検出部62から入力された操作信号が、第1操作信号を維持している場合、すなわち、プルスイッチ部材56が第1位置S1に留まっている場合、第1アクションが実行されていないと判定する。
【0057】
続いて、CPU22は、第1アクションが解除されたか否かを判定する場合、上記と同様に、スイッチ位置検出部62および圧力検出部63の検出結果に基づいて判定する。つまり、CPU22は、スイッチ位置検出部62から入力された操作信号が、第1操作信号を維持している状態において、圧力検出部63からの第2操作信号の入力がなくなった場合に、第1アクションが解除されたと判定する。換言すれば、CPU22は、プルスイッチ部材56が第1位置S1に留まっている状態において、ユーザにより携帯電子機器50が開放された場合に、第1アクションが解除されたと判定する。一方、CPU22は、スイッチ位置検出部62から入力された操作信号が、第1操作信号を維持している状態において、圧力検出部63からの第2操作信号の入力を維持している場合、第1アクションが解除されていないと判定する。
【0058】
さらに、CPU22は、第2アクションが実行されたか否かを判定する場合、上記と同様に、スイッチ位置検出部62および圧力検出部63の検出結果に基づいて判定する。つまり、CPU22は、圧力検出部63からの第2操作信号の入力を維持している状態において、スイッチ位置検出部62から入力された操作信号が、第1操作信号から第3操作信号に切り替わった場合に、第2アクションが実行されたと判定する。換言すれば、CPU22は、ユーザにより携帯電子機器50が把持された状態において、プルスイッチ部材56が第1位置S1から第2位置S2に切り替わった場合に、第2アクションが実行されたと判定する。一方、CPU22は、圧力検出部63からの第2操作信号の入力を維持している状態において、スイッチ位置検出部62からの第1操作信号の入力を維持している場合、第2アクションが実行されていないと判定する。
【0059】
以上により、実施形態2の携帯電子機器50の構成においても、ユーザが第1アクションを行うことで、第1態様にてプレ警報を発動することができ、ユーザが第2アクションを行うことで、第2態様にて主警報を発動することができる。また、実施形態1で記載したように、プレ警報を廃した構成とすれば、ユーザが第1アクションを行っても、携帯電子機器50による警報の発動は行われない。このため、ユーザが第1アクションを行った後に第2アクションを行うことで、携帯電子機器50による主警報の発動は行われるため、ユーザの誤操作による主警報の発動を低減することができる。
【0060】
また、筐体51の外部の明るさに応じて、圧力センサ60の感度を変更することができるため、携帯電子機器50の外部環境の変化に応じて、携帯電子機器50の警報発動に関する操作性を好適なものに変更することができる。すなわち、筐体51の外部の明るさが暗い場合は、圧力センサ60の感度を高くすることによって、携帯電子機器50を操作しにくい夜間であっても、第1アクションの実行を好適に判定することができる。
【0061】
なお、実施形態2では、光センサ61によって検出した明るさに応じて、圧力センサ60の感度を変更した。しかしながら、光センサ61に代えて、時刻を計測可能なタイマを設け、図8に示すように、時刻に応じて、圧力センサ60の感度を変更するようにしても良い。ここで、図8は、時刻によって圧力センサの感度が変化するグラフである。図8は、その横軸が、タイマによって計測された時刻となっており、その縦軸が、圧力センサ60の感度となっている。具体的に説明すると、タイマによって計測された時刻が夜間の場合、圧力センサ60の感度は高くなる。一方で、タイマによって計測された時刻が昼間の場合、圧力センサ60の感度は低くなる。この構成によれば、CPU22は、時刻に応じて、圧力センサ60の感度を変更することができるため、携帯電子機器50の外部環境の変化に応じて、携帯電子機器50の警報発動に関する操作性を好適なものに変更することができる。
【0062】
また、実施形態2では、筐体51の外部の明るさや時刻に応じて、圧力センサ60の感度を変更したが、これに限らず、圧力センサ60の感度を一定としてもよい。
【0063】
さらに、実施形態2において、CPU22は、第1アクションが実行されたと判定した後に、第2アクションが実行されたと判定することにより、主警報の発動を実行した。しかしながら、この構成に限らず、CPU22は、第2アクションが実行されたと判定した後に、第1アクションが実行されたと判定することにより、主警報の発動を実行してもよい。つまり、ユーザによって第2アクションが実行されたときに、CPU22は、ユーザによって第1アクションが実行されているか否かを判定し、第1アクションが実行されていると判定した場合に、主警報の発動を実行する。
【0064】
(実施形態3)
続いて、図9および図10を参照して、実施形態3に係る携帯電子機器70について説明する。なお、この場合も、重複した記載を避けるべく、異なる部分についてのみ説明する。図9は、実施形態3に係る携帯電子機器を示す外観斜視図である。実施形態2の携帯電子機器50では、切替式(1段階方式)のプルスイッチ部材56と圧力センサ60とを用いて、警報を発動させた。一方で、実施形態3の携帯電子機器70では、切替式(1段階方式)のプルスイッチ部材56と接触センサ72とを用いて、警報を発動させている。以下、実施形態3の携帯電子機器70について簡単に説明する。
【0065】
図9に示すように、携帯電子機器70の背面の上側には、スイッチ機構55が設けられている。なお、スイッチ機構55は、実施形態2のスイッチ機構55と同様の構成であるため、スイッチ機構55の説明については省略する。ここで、ユーザがプルスイッチ部材56を第1位置S1から第2位置S2へ移動させるスイッチ操作を、第2アクションとする。
【0066】
携帯電子機器70の正面には、タッチパネル式のメインディスプレイ71が設けられ、このメインディスプレイ71が、接触センサ72として機能している。接触センサ72は、ユーザが携帯電子機器70を把持したときの接触を検出している。ここで、ユーザが携帯電子機器70を把持する操作を、第1アクションとする。
【0067】
次に、携帯電子機器70の機能および制御系の関係について説明する。図10は、実施形態3に係る携帯電子機器の機能の概略構成を示すブロック図である。図10に示すように携帯電子機器70は、CPU22と、記憶部24と、通信部26と、操作部28と、音声処理部30と、表示部32と、スイッチ位置検出部62と、接触検出部73とを有する。なお、CPU22、記憶部24、通信部26、操作部28、音声処理部30、および表示部32は、実施形態2と同様であるため、説明を省略する。
【0068】
スイッチ位置検出部62は、実施形態2と同様に、ユーザの操作状態、具体的には、プルスイッチ部材56の位置を検出している。スイッチ位置検出部62は、プルスイッチ部材56が第1位置S1にある場合、操作状態が第1操作状態であるとして、第1操作信号をCPU22へ向けて出力する。また、スイッチ位置検出部62は、プルスイッチ部材56が第2位置S2にある場合、操作状態が第3操作状態であるとして、第3操作信号をCPU22へ向けて出力する。
【0069】
接触検出部73は、ユーザの操作状態、具体的には、携帯電子機器70が把持されていることを検出している。接触検出部73は、接触センサ72によって接触されていると検出された場合、操作状態が第2操作状態であるとして、第2操作信号をCPU22へ向けて出力する。
【0070】
なお、上記のように構成された実施形態3の携帯電子機器70の制御動作については、実施形態2の携帯電子機器50の制御動作と略同様である。つまり、実施形態2の携帯電子機器の制御動作の説明で用いた「圧力検出部63」を「接触検出部73」に置き換えることで、説明できる。このため、実施形態3の携帯電子機器70の制御動作については省略する。
【0071】
以上により、実施形態3の携帯電子機器70の構成においても、ユーザが第1アクションを行うことで、第1態様にてプレ警報を発動することができ、ユーザが第2アクションを行うことで、第2態様にて主警報を発動することができる。また、実施形態1で記載したように、プレ警報を廃した構成としてもよく、実施形態1および2に記載の内容を適宜組み合わせてもよい。
【0072】
なお、実施形態1から3では、スイッチ機構11,55を、プルスイッチ部材12,56、紐体13,57およびストラップ14,58で構成したが、紐体13,57およびストラップ14,58を省いた構成としても良い。すなわち、実施形態1から3におけるスイッチ機構11,55は、少なくともプルスイッチ部材12,56があればよく、任意で紐体13,57およびストラップ14,58を装着できる。
【0073】
(実施形態4)
続いて、図11および図12を参照して、実施形態4に係る携帯電子機器80について説明する。なお、この場合も、重複した記載を避けるべく、異なる部分についてのみ説明する。図11は、実施形態4に係る携帯電子機器を示す外観斜視図である。ここで、実施形態4の携帯電子機器80は、実施形態2の携帯電子機器50と比較すると、スイッチ機構81のみが異なっている。以下、実施形態4の携帯電子機器80のスイッチ機構81について説明する。
【0074】
スイッチ機構81は、筐体51の上面に設けられると共に携帯電子機器80から警報を発動するために用いられ、プッシュスイッチ部材82を有している。プッシュスイッチ部材82は、筐体51の上面に対して突出する初期位置となる第1位置K1と、押圧されることによって押し下げられた位置となる第2位置K2との間で切替可能に移動する。従って、プッシュスイッチ部材82が第1位置K1にある初期状態において、ユーザがプッシュスイッチ部材82を押し込む。すると、プッシュスイッチ部材82は、第1位置K1から第2位置K2へ移動する。ここで、ユーザがプッシュスイッチ部材82を第1位置K1から第2位置K2へ移動させるスイッチ操作を、第2アクションとする。
【0075】
次に、携帯電子機器80の機能および制御系の関係について説明する。図12は、実施形態4に係る携帯電子機器の機能の概略構成を示すブロック図である。図12に示すように携帯電子機器80は、CPU22と、記憶部24と、通信部26と、操作部28と、音声処理部30と、表示部32と、スイッチ位置検出部83と、圧力検出部63と、光検出部64とを有する。なお、CPU22、記憶部24、通信部26、操作部28、音声処理部30、表示部32、圧力検出部63、および光検出部64は、実施形態2と同様であるため、説明を省略する。
【0076】
スイッチ位置検出部83は、ユーザの操作状態、具体的には、プッシュスイッチ部材82の位置を検出している。スイッチ位置検出部83は、プッシュスイッチ部材82が第1位置K1にある場合、操作状態が第1操作状態であるとして、第1操作信号をCPU22へ向けて出力する。また、スイッチ位置検出部83は、プッシュスイッチ部材82が第2位置K2にある場合、操作状態が第3操作状態であるとして、第3操作信号をCPU22へ向けて出力する。
【0077】
なお、上記のように構成された実施形態4の携帯電子機器80の制御動作については、実施形態2の携帯電子機器50の制御動作と同様である。つまり、実施形態2の携帯電子機器50の制御動作の説明で用いた「プルスイッチ部材56」を「プッシュスイッチ部材82」に置き換えることで、説明できる。このため、実施形態4の携帯電子機器80の制御動作については省略する。
【0078】
以上により、実施形態4の携帯電子機器80の構成においても、ユーザが第1アクションを行うことで、第1態様にてプレ警報を発動することができ、ユーザが第2アクションを行うことで、第2態様にて主警報を発動することができる。また、実施形態1で記載したように、プレ警報を廃した構成としてもよく、実施形態1から3に記載の内容を適宜組み合わせてもよい。
【0079】
(実施形態5)
続いて、図13ないし図16を参照して、実施形態5に係る携帯電子機器90について説明する。なお、この場合も、重複した記載を避けるべく、異なる部分についてのみ説明する。図13は、実施形態5に係る携帯電子機器を示す正面側の外観斜視図であり、図14は、実施形態5に係る携帯電子機器を示す背面側の外観斜視図である。ここで、実施形態5の携帯電子機器90は、実施形態4の携帯電子機器80と比較すると、圧力センサ60および光センサ61を廃した構成となる一方で、静脈センサ93、指紋センサ94および第2マイク92を新たに設けている。以下、実施形態5の携帯電子機器90について説明する。
【0080】
図13に示すように、携帯電子機器90の正面の下方側端部には、携帯電子機器90の通話時に音声を受け取る第1マイク91が設けられている。また、この第1マイク91に並んで、携帯電子機器90の正面の下方側端部には、人物を特定するために用いられる第2マイク92が設けられている。第2マイク92は、携帯電子機器90を操作するユーザの声紋を検出する。また、携帯電子機器90の上面には、スイッチ機構81が設けられている。なお、スイッチ機構81は、実施形態4と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0081】
次に、図14を参照して、携帯電子機器90の背面側について説明する。図14に示すように、携帯電子機器90の背面には、静脈センサ93が広く配置されている。静脈センサ93は、人物を特定するために用いられ、携帯電子機器90を操作するユーザの静脈を検出する。また、筐体5の背面の下側には、携帯電子機器90の警報発動時に警報音を発するブザー97が設けられる。このブザー97に並んで、筐体5の背面の下側には、指紋センサ94が設けられている。指紋センサ94は、携帯電子機器90を操作するユーザの指紋を検出する。ここで、第2マイク92、静脈センサ93または指紋センサ94は、第1アクションの解除操作が行われた場合に、解除操作を行った人物が、予め記憶部24に登録されたユーザ本人であるか否かを特定するために用いられる。
【0082】
次に、携帯電子機器90の機能および制御系の関係について説明する。図15は、実施形態5に係る携帯電子機器の機能の概略構成を示すブロック図である。図15に示すように携帯電子機器90は、CPU22と、記憶部24と、通信部26と、操作部28と、音声処理部30と、表示部32と、スイッチ位置検出部83と、認証処理部96とを有する。なお、CPU22、記憶部24、通信部26、操作部28、音声処理部30、および表示部32は、実施形態4と同様であるため、説明を省略する。
【0083】
スイッチ位置検出部83は、実施形態4と同様に、ユーザの操作状態、具体的には、プッシュスイッチ部材82の位置を検出している。スイッチ位置検出部83は、プッシュスイッチ部材82が第1位置K1にある場合、操作状態が第1操作状態であるとして、第1操作信号をCPU22へ向けて出力する。また、スイッチ位置検出部83は、プッシュスイッチ部材82が第2位置K2にある場合、操作状態が第3操作状態であるとして、第3操作信号をCPU22へ向けて出力する。
【0084】
認証処理部96は、ユーザの声紋、静脈または指紋を検出している。つまり、認証処理部96は、第2マイク92、静脈センサ93または指紋センサ94から得られた人物を認証するための認証信号をCPU22へ向けて出力する。
【0085】
続いて、図16を参照して、上記のように構成された実施形態5の携帯電子機器90の制御動作について説明する。図16は、実施形態5の携帯電子機器の制御動作の一例を示すフローチャートである。
【0086】
先ず、携帯電子機器90のCPU22は、ユーザにより第1アクションが実行されたか否かを判定する(ステップS21)。ここで、CPU22は、スイッチ位置検出部83から入力された操作信号が、第1操作信号を維持している状態において、第2マイク92、静脈センサ93または指紋センサ94が操作されていることを検出した場合、第1アクションが実行されたと判定する。一方、CPU22は、スイッチ位置検出部83から入力された操作信号が、第1操作信号を維持している場合、プッシュスイッチ部材82が第1位置K1に留まっているとして、第1アクションが実行されていないと判定する。
【0087】
CPU22は、ステップS21において、ユーザにより第1アクションが実行されていないと判定する(No)と、ステップS21に再び進む。一方、CPU22は、ステップS21において、ユーザにより第1アクションが実行されていると判定する(Yes)と、ユーザにより第1アクションが解除されたか否かを判定する(ステップS22)。ここで、CPU22は、スイッチ位置検出部83から入力された操作信号が、第1操作信号を維持している状態において、第2マイク92、静脈センサ93または指紋センサ94が操作されていないことを検出した場合、第1アクションが解除されたと判定する。一方、CPU22は、スイッチ位置検出部83から入力された操作信号が、第1操作信号を維持している状態において、第2マイク92、静脈センサ93または指紋センサ94が操作されていることを検出した場合、第1アクションが解除されていないと判定する。
【0088】
CPU22は、ステップS22において、ユーザにより第1アクションが解除されたと判定する(Yes)と、ステップS25に進む。一方、CPU22は、ステップS22において、ユーザにより第1アクションが解除されていないと判定する(No)と、スイッチ位置検出部83による検出結果に基づいて、ユーザにより第2アクションが実行されたか否かを判定する(ステップS23)。ここで、CPU22は、スイッチ位置検出部83から入力された操作信号が、第1操作信号から第3操作信号に切り替わった場合、プッシュスイッチ部材82が第1位置K1から第2位置K2へ移動したとして、第2アクションが実行されたと判定する。一方、CPU22は、スイッチ位置検出部83から入力された操作信号が、第1操作信号を維持している場合、プッシュスイッチ部材82が第1位置K1に留まっているとして、第2アクションが実行されていないと判定する。
【0089】
CPU22は、ステップS23において、ユーザにより第2アクションが実行されていないと判定する(No)と、ステップS22に再び進む。一方、CPU22は、ステップS23において、ユーザにより第2アクションが実行されていると判定する(Yes)と、非常事態であるとして、ブザー97から警報音を出力する(ステップS24)。そして、CPU22は、ステップS24の処理後、処理を終了する。
【0090】
一方、CPU22は、ステップS22において、ユーザにより第1アクションが解除されたと判定すると、第1アクションを解除操作した人物がユーザ本人であるか否かを判定する(ステップS25)。つまり、CPU22は、第1アクションの解除操作時において、認証処理部96から出力された認証信号に基づいて、記憶部24に予め登録されておいたユーザであるか否かを判定する。
【0091】
CPU22は、ステップS25において、ユーザ本人で無いと判定する(No)と、ステップS24に進む。一方、ステップS25において、ユーザ本人であると判定する(Yes)と、警報を停止する停止条件を満たしたとして、そのまま処理を終了する。
【0092】
以上により、実施形態5の携帯電子機器90の構成においても、ユーザが第1アクションを行った後、第2アクションを行うことで、警報を発動することができる。また、第1アクションの解除操作を行った人物がユーザ本人で無いと判定された場合、つまり、ユーザ以外の第三者によって第1アクションの解除操作が行われた場合、CPU22は警報を発動することができる。これにより、ユーザ本人が意図しない第1アクションの解除操作が第三者によって行われた場合であっても、警報を好適に発動することができる。また、実施形態1から4に記載の内容を適宜組み合わせてもよい。
【0093】
なお、実施形態1ないし5の携帯電子機器1,50,70,80,90において、図17に示すように、第1アクションから第2アクションまでの時間をタイマにより計測し、CPU22は、計測した時間を、警報と共に、警備会社等の外部機関へ通報しても良い。ここで、図17は、タイマによる計測時間を通知するときの携帯電子機器の制御動作の一例を示すフローチャートである。
【0094】
先ず、携帯電子機器1,50,70,80,90のCPU22は、ユーザにより第1アクションが実行されたか否かを判定する(ステップS31)。CPU22は、ステップS31において、ユーザにより第1アクションが実行されていないと判定する(No)と、ステップS31に再び進む。一方、CPU22は、ステップS31において、ユーザにより第1アクションが実行されていると判定する(Yes)と、タイマによる時間の計測を開始する(ステップS32)。続いて、CPU22は、ユーザにより第1アクションが解除されているか否かを判定する(ステップS33)。CPU22は、ステップS33において、ユーザにより第1アクションが解除されていると判定する(Yes)と、処理を終了する。一方で、CPU22は、ステップS33において、ユーザにより第1アクションが解除されていないと判定する(No)と、ユーザにより第2アクションが実行されたか否かを判定する(ステップS34)。CPU22は、ステップS34において、ユーザにより第2アクションが実行されていないと判定する(No)と、ステップS33に再び進む。一方、CPU22は、ステップS34において、ユーザにより第2アクションが実行されていると判定する(Yes)と、タイマによる時間の計測を終了する(ステップS35)。この後、CPU22は、非常事態であるとして、ブザー10,97から警報音を出力(警報を発動)する(ステップS36)。そして、CPU22は、警報の発動と共に、タイマにより計測した計測時間を、通信部26を介して外部機関に通報し(ステップS37)、この後、処理を終了する。
【0095】
この構成によれば、携帯電子機器1,50,70,80,90は、第1アクションから第2アクションまでの時間をタイマにより計測することができるため、計測時間の長さによって、非常事態の危機度を判断することが可能となる。すなわち、計測時間が短ければ、非常事態の危機度が高いとして、外部機関は、危機度の高い対応を取ることができる。一方で、計測時間が長ければ、非常事態の危機度が低いとして、外部機関は、危機度の低い対応を取ることができる。
【0096】
また、実施形態1ないし5の携帯電子機器1,50,70,80,90において、図18に示すように、携帯電子機器1,50,70,80,90の位置が規定エリア内であるか否かに応じて、携帯電子機器1,50,70,80,90による警報の発動を制限しても良い。ここで、図18は、携帯電子機器の警報発動に関する制御動作の一例を示すフローチャートである。
【0097】
先ず、携帯電子機器1,50,70,80,90のCPU22は、通信部26(位置特定部)を介して、GPS情報を取得する(ステップS41)。この後、CPU22は、取得したGPS情報から、携帯電子機器が予め設定された規定エリア外にあるか否かを判定する(ステップS42)。CPU22は、ステップS42において、携帯電子機器が予め設定された規定エリア外にあると判定した場合、ブザーによる警報の発動を許容する(ステップS43)。一方で、CPU22は、ステップS42において、携帯電子機器が予め設定された規定エリア外にない、すなわち、携帯電子機器が予め設定された規定エリア内であると判定した場合、ブザーによる警報の発動を禁止する(ステップS44)。
【0098】
この構成によれば、例えば、規定エリアが自宅である場合、ユーザが、携帯電子機器1,50,70,80,90の警報を発動する誤操作を行ったとしても、警報が発動されない。これにより、携帯電子機器1,50,70,80,90は、誤操作による警報の発動を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
以上のように、本発明に係る携帯電子機器は、警報部を備えた携帯電子機器において有用であり、特に、誤操作による警報の発動を抑制する場合に適している。
【符号の説明】
【0100】
1 携帯電子機器(実施形態1)
5 筐体
6 メインディスプレイ
8 マイク
9 レシーバ
10 ブザー
11 スイッチ機構
12 プルスイッチ部材
13 紐体
14 ストラップ
22 CPU
34 スイッチ位置検出部
50 携帯電子機器(実施形態2)
51 筐体
55 スイッチ機構
56 プルスイッチ部材
57 紐体
58 ストラップ
60 圧力センサ
61 光センサ
62 スイッチ位置検出部(実施形態2)
63 圧力検出部
64 光検出部
70 携帯電子機器(実施形態3)
71 メインディスプレイ
72 接触センサ
73 接触検出部
80 携帯電子機器(実施形態4)
81 スイッチ機構
82 プッシュスイッチ部材
83 スイッチ位置検出部(実施形態4)
90 携帯電子機器(実施形態5)
91 第1マイク
92 第2マイク
93 静脈センサ
94 指紋センサ
96 認証処理部
97 ブザー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の外部へ向けて警報を発動可能な警報部と、
第1操作状態、第2操作状態および第3操作状態を備える操作部と、
前記操作状態を検出可能な検出部と、
前記操作状態が、前記第1操作状態から、前記第2操作状態または前記第3操作状態に遷移したと検出された場合、前記警報部による警報を発動させる制御部と、を備えたことを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記操作状態が、前記第1操作状態から前記第2操作状態に遷移した後、前記第2操作状態を維持していると検出された場合、前記制御部は、前記警報部による警報を第1態様にて発動させ、
前記操作状態が、前記第2操作状態から前記第3操作状態に遷移したと検出された場合、前記制御部は、前記警報部による警報を第2態様にて発動させることを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記警報部による前記第2態様での警報の発動中において、
前記操作状態が、前記第3操作状態から、前記第1操作状態または前記第2操作状態に遷移したと検出された場合、前記制御部は、前記警報部による前記第2態様での警報の発動を継続させることを特徴とする請求項2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記警報部による前記第2態様での警報の発動中において、
前記制御部は、前記操作状態が予め設定された停止条件を満たすと判定すると、前記警報部による前記第2態様での警報の発動を停止させることを特徴とする請求項2に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記検出部は、第1位置から第2位置を経て第3位置へ至る少なくとも2段階に変位可能なスイッチ機構を有し、
前記第1操作状態と、前記第1位置とを対応付け、
前記第2操作状態と、前記第2位置とを対応付け、
前記第3操作状態と、前記第3位置とを対応付けていることを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記検出部は、少なくとも第1位置と第2位置との間で変位可能なスイッチ機構と、特定の操作状態を特定操作状態として検出可能なセンサ部と、を有し、
前記第1操作状態と、前記第1位置とを対応付け、
前記第2操作状態と、前記第2位置および前記特定操作状態のいずれか一方とを対応付け、
前記第3操作状態と、前記第2位置および前記特定操作状態のいずれか他方とを対応付けていることを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記センサ部は、前記特定操作状態として、人体への接触を起因とする接触操作状態、または圧力の変化を起因とする圧力操作状態を検出していることを特徴とする請求項6に記載の携帯電子機器。
【請求項8】
前記筐体の外部の明るさを検出可能な光センサをさらに備え、
前記外部が暗いときのほうが、前記外部が明るいときと比較して、前記センサ部は、その感度が高いことを特徴とする請求項6に記載の携帯電子機器。
【請求項9】
前記検出部は、人物を特定する認証部を有し、
前記認証部により特定された人物が、予め登録された人物である場合、前記制御部は、停止条件を満たすと判定することを特徴とする請求項4に記載の携帯電子機器。
【請求項10】
前記検出部は、位置を特定する位置特定部を有し、
前記制御部は、前記筐体の位置が特定のエリア内である場合、前記警報部による警報の発動を禁止することを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項11】
前記第1態様にて前記警報部から発せられる警報音は、前記第2態様にて前記警報部から発せられる警報音に比べて、小さいことを特徴とする請求項2に記載の携帯電子機器。
【請求項12】
外部と通信可能な通信部をさらに備え、
前記制御部は、前記警報部による前記第2態様での警報の発動時において、外部との通信を行うことを特徴とする請求項2に記載の携帯電子機器。
【請求項13】
前記操作状態が、前記第1操作状態から、前記第2操作状態を経て、前記第3操作状態に遷移した場合、前記制御部は、前記通信部を介して、前記操作状態の遷移過程を、外部へ通知することを特徴とする請求項12に記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−151751(P2011−151751A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13575(P2010−13575)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】