携帯電子機器
【課題】高い防水機能を維持しつつ、簡単に製造することができる携帯電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】携帯電子機器であって、第1ケースと、第1ケースと連結される第2ケースと、第1ケースと第2ケースとの連結部に配置される防水パッキンと、を有し、防水パッキンは、第1ケースと接していない状態で、外周側の面と、第1ケースと対面する面とは反対側の面と、が第2ケースに接着していることで上記課題を解決する。
【解決手段】携帯電子機器であって、第1ケースと、第1ケースと連結される第2ケースと、第1ケースと第2ケースとの連結部に配置される防水パッキンと、を有し、防水パッキンは、第1ケースと接していない状態で、外周側の面と、第1ケースと対面する面とは反対側の面と、が第2ケースに接着していることで上記課題を解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水機能を備える携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機、PHS、携帯音楽プレーヤー等の携帯電子機器の中には、防水機能を備える携帯電子機器がある。防水機能を備える携帯電子機器は、フロントケースとリアケース等の2つ以上のケースを連結して電子機器を内蔵する筐体とする場合、ケースとケースとの連結部に防水パッキン(パッキング)を配置し、ケースとケースとの間を水密構造とする(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−284855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載の防水装置は、ケースの一方に溝を形成し、その溝に防水パッキンを挿入した構造である。しかしながら、防水パッキンは基本的にケースの外縁部の全周に設けるため、溝に防水パッキンを挿入する構造では、細長い溝に防水パッキンを埋め込む作業が必要となり製造時の手間となる。また、防水パッキンを溝に埋め込む際にねじれが生じると水密構造にならない場合がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、高い防水機能を維持しつつ、簡単に製造することができる携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る携帯電子機器は、第1ケースと、前記第1ケースと連結される第2ケースと、前記第1ケースと前記第2ケースとの連結部に配置される防水パッキンと、を有し、前記防水パッキンは、前記第1ケースと接していない状態で、外周側の面と、前記第1ケースと対面する面とは反対側の面と、が前記第2ケースに接着していることを特徴とする。
【0007】
ここで、前記防水パッキンは、前記第2ケースと一体成形されていることが好ましい。
【0008】
また、前記防水パッキンは、断面の形状が、前記第1ケースと接触していない状態において、前記第1ケース側に突出した突起部を有する形状であることが好ましい。
【0009】
また、前記防水パッキンは、前記断面における前記突起部の頂点の位置が、中央よりも前記外周面側にあることが好ましい。
【0010】
また、前記突起部は、前記頂点が平坦面であることが好ましい。
【0011】
また、前記平坦面は、0.2mm以上であることが好ましい。
【0012】
また、前記防水パッキンは、断面の形状が、前記第1ケースと接触していない状態において、内周面の、前記第1ケースと対面する面とは反対側の面側の部分にアンダーカットを有する形状であることが好ましい。
【0013】
また、前記第2ケースは、前記防水パッキンの前記第1ケースと対面する面とは反対側の面に溝部を有し、前記防水パッキンは、少なくとも一部が前記溝部に埋入されていることが好ましい。
【0014】
また、前記第2ケースは、前記溝部の形状が、前記溝部の外周側の外側表面に沿った形状であることが好ましい。
【0015】
また、前記第2ケースは、前記防水パッキンの外周面側と接触する部分に、前記第2ケースの厚み方向に直交する平坦面を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る携帯電子機器は、高い防水機能を確保でき、簡単に製造することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、携帯電子機器の概略構成を示す正面図である。
【図2】図2は、図1に示す携帯電子機器の概略構成を示す側面図である。
【図3】図3は、図1に示す第2筐体の分解斜視図である。
【図4】図4は、第2筐体のリアケースの概略構成を示す正面図である。
【図5】図5は、図4のA−A線断面図である。
【図6】図6は、第2筐体のフロントケースの一部の概略構成を示す断面図である。
【図7】図7は、第2筐体のフロントケースの他の例の一部の概略構成を示す断面図である。
【図8】図8は、防水パッキンとフロントケースとの関係を示す説明図である。
【図9】図9は、防水パッキンの他の例の概略構成を示す断面図である。
【図10】図10は、防水パッキンの他の例の概略構成を示す断面図である。
【図11】図11は、防水パッキンの他の例の概略構成を示す断面図である。
【図12】図12は、防水パッキンの他の例の概略構成を示す断面図である。
【図13】図13は、防水パッキンの他の例の概略構成を示す断面図である。
【図14】図14は、防水パッキンの他の例の概略構成を示す断面図である。
【図15】図15は、防水パッキンの変形を説明するための説明図である。
【図16】図16は、防水パッキンの変形を説明するための説明図である。
【図17】図17は、防水パッキンの変形を説明するための説明図である。
【図18】図18は、防水パッキンの変形を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下においては、携帯電子機器の一例として携帯電話機を取り上げるが、携帯電子機器は携帯電話機に限定されるものではなく、例えば、PHS(Personal Handy-phone System)、PDA、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン、ゲーム機等であってもよい。
【0019】
[実施形態]
図1は、携帯電子機器の概略構成を示す正面図であり、図2は、図1に示す携帯電子機器の概略構成を示す側面図である。本実施形態の携帯電子機器1は、防水機能を有する携帯電話機である。携帯電子機器1は、図1及び図2に示すように、筐体2が第1筐体21と第2筐体22とで開閉可能に構成された、折り畳み式の携帯電話機である。筐体2は、第1筐体21の一方側の端部(基端部)と第2筐体22の一方側の端部(基端部)とがヒンジ部4を介し連結される。筐体2は、図2中に矢印Rで示すように、ヒンジ部4の回転軸CLを中心に、第2筐体22に対し第1筐体21を開閉することで、閉じ合わせ可能(折り畳み可能)に構成される。
【0020】
なお、筐体2は、第1筐体21と第2筐体22とを閉じ合わせたときに互いに対向する面が、第1筐体21および第2筐体22の正面であり、正面の反対側の面が、第1筐体21および第2筐体22の背面である。筐体2は、ヒンジ部4の回転軸CLの軸方向が第1筐体21、第2筐体22の短手方向と同方向となっている。そして、短手方向に直交し、第1筐体21、第2筐体22の基端部から先端部に至る方向が長手方向であり、第1筐体21、第2筐体22の正面から背面に至る方向が厚み方向である。また、第1筐体21は、正面側に配置されたフロントケース21Aと背面側に配置されたリアケース21Bとを有する。第1筐体21は、フロントケース21Aとリアケース21Bとが互いに対向して係合し、その隙間が水密構造となっている。これにより、第1筐体21は、フロントケース21Aとリアケース21Bとの間に形成される空間に外部から水が入ることを抑制でき、当該空間を防水空間とすることができる。なお、フロントケース21Aとリアケース21Bとの隙間を水密構造にする構造としては、隙間を接着剤で封止したり、両ケースの間にパッキン等のシール部材を配置したり、両面テープで両ケースを接着したりする構造がある。
【0021】
第2筐体22は、正面側に配置されたフロントケース22Aと背面側に配置されたリアケース22Bとを有する。第2筐体22は、フロントケース22Aとリアケース22Bとが互いに対向して係合し、その隙間が水密構造となっている。第2筐体22の水密構造(防水構造)については後述する。
【0022】
携帯電子機器1は、画像を表示する表示装置5、操作を受け付ける操作部6等を備え、これらが第1筐体21または第2筐体22にそれぞれ搭載される。ここでは、携帯電子機器1は、表示装置5が第1筐体21の正面側(フロントケース21A)に搭載され、操作部6が第2筐体22の正面側(フロントケース22A)に搭載される。また、携帯電子機器1の筐体2には、これら以外にも携帯電話機として必要な各種機構(マイク、レシーバ、スピーカ、制御基板、アンテナ)が設けられている。なお、携帯電子機器1を構成する各部は、基本的には第1筐体21または第2筐体22の内部に内蔵され、そのうちの幾つかは、少なくとも一部が筐体2の外部に露出する露出部品である。
【0023】
表示装置5は、待ち受け画像、メニュー画像等の種々の画像を表示するものであり、例えば、液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)や、有機EL(Organic Electro−Luminescence)パネル等を有する表示パネルである。なお、この表示装置5の構成については、後でより詳細に説明する。
【0024】
操作部6は、第2筐体22に内蔵され、フロントケース22Aから各種操作キーが露出する露出部品である。操作キーは、例えば、通話相手の電話番号やメール作成時等に文字を入力するための操作キー、表示装置5に表示されるメニューの選択及び決定や画面のスクロール等を容易に実行するための方向及び決定キー等を含む。
【0025】
次に、第2筐体22の構成について説明する。図3は、図1に示す第2筐体の分解斜視図である。第2筐体22は、上述したようにフロントケース22Aとリアケース22Bとを有する。このフロントケース22Aと、リアケース22Bとの間には、キー基板24とシールドケース26とメイン基板28とホルダ部30とがフロントケース22A側からこの順で積層して配置されている。キー基板24は、フロントケース22Aに配置された操作部6への入力を検出する検出素子が配置された基板である。シールドケース26は、第2筐体22の外部からメイン基板28に向かう電磁波を遮蔽する部材である。メイン基板28は、携帯電子機器1の各種制御機能を実現するための制御回路、記憶装置等が搭載されている基板である。ホルダ部30は、メイン基板28とリアケース22Bとを連結する部材である。
【0026】
第2筐体22は、フロントケース22Aとリアケース22Bとの連結部分を水密構造とし、内部に防水空間を形成することで、キー基板24とシールドケース26とメイン基板28とホルダ部30とが水に濡れることを抑制する。
【0027】
また、リアケース22Bには開口部が形成されており、この開口部には、バッテリ32が配置される。第2筐体22は、バッテリ32を配置した領域を覆うカバー部がリアケース22Bに対して着脱可能な状態で装着される。またリアケース22Bとカバー部との連結部分も水密構造である。
【0028】
次に、図4から図8を用いて、フロントケース22Aとリアケース22Bとの連結部分を水密構造とする防水構造について説明する。ここで、図4は、第2筐体のリアケースの概略構成を示す正面図である。図5は、図4のA−A線断面図である。図6は、第2筐体のフロントケースの一部の概略構成を示す断面図である。図7は、第2筐体のフロントケースの他の例の一部の概略構成を示す断面図である。図8は、防水パッキンとフロントケースとの関係を示す説明図である。
【0029】
防水パッキン40は、リアケース22Bのフロントケース22Aと対面する面(フロントケース22A側の面)に配置されている。防水パッキン40は、防水空間の外周を覆うようにリアケース22Bの外周に沿って全周に配置されている。防水パッキン40は、フロントケース22Aとも接触し、フロントケース22Aとリアケース22Bとの間の隙間を埋め、フロントケース22Aとリアケース22Bとの連結部分を水密構造とする。
【0030】
防水パッキン40は、図5に示すように、無負荷状態(フロントケース22Aとリアケース22Bとが離れている状態または防水パッキン40とフロントケース22Aとが接触していない状態)において、断面形状が基部42と突起部44とで構成されている。なお、本実施形態では部分によって分けたが、実際の基部42と突起部44とは、1つの材料で成形されており境界等はない。基部42は、断面が略長方形(正確には、内周側の辺と外周側の辺が平行で内周側の辺が低い台形)となる形状である。なお、以下では、基部42の外周側の面を第1面50とし、リアケース22B側の面(フロントケース22Aと対面する側とは反対側の面)を第2面52とする。
【0031】
突起部44は、基部42の第2面52とは反対側の面(フロントケース22A側の面)に連結しており、第2面52とは反対側(第2筐体22の厚み方向)に突出した突起である。また、防水パッキン40は、第2面52とは反対側の面の第1面50側の部分が平坦面46となる。平坦面46は、第2面52と平行な面である。このように、防水パッキン40は、断面が長方形となる基部42の第2面52とは反対側の面の第1面50とは離れている側に突起部44が形成されている形状となる。
【0032】
防水パッキン40は、無負荷状態において、第1面50と第2面52が、リアケース22Bに接着している。なお、第1面50とリアケース22Bとを接着させる方法、第2面52とリアケース22Bとを接着させる方法は特に限定されないが、防水パッキン40をリアケース22Bと一体成型することで、両者を接着させることが好ましい。なお、製造に手間がかかり、接着性が低下するが接着剤を用いて両者を接着させてもよい。また、防水パッキン40は、第1面50と第2面52の全面をリアケース22Bに接着させることが好ましい。これにより、防水性能をより高くすることができる。
【0033】
ここで、リアケース22Bは、防水パッキン40の外周側の面に平坦面54が形成されている。平坦面54は、第2筐体22(リアケース22B)の厚み方向に直交する面であり、防水パッキン40の平坦面46と面一となる面である。
【0034】
防水パッキン40は、圧力が加えられることで変形(好ましくは弾性変形)する材料で製造される。ここで、防水パッキン40は、硬度を5以上60以下とすることが好ましく、10以上35以下とすることがより好ましい。これにより、防水性能を高く維持することができる。ここで、硬度は、JIS K 6253 タイプAで測定する。また、防水パッキン40は、リアケース22Bよりも融点が低い材料で作成することが好ましい。これにより、防水パッキン40とリアケース22Bとを一体成形しやすくすることができる。防水パッキン40としては、具体的には、液状シリコン等のEPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)やシリコーン樹脂を用いることができる。また、防水パッキン40は、リアケース22Bを構成する材料に対して接着性が高い材料を用いることが好ましい。例えば、リアケース22Bをガラス繊維入りナイロン樹脂で作製する場合、防水パッキン40は、液状シリコンで作製することが好ましい。これにより、防水パッキン40を好適にリアケース22Bに接着させることができる。
【0035】
また、本実施形態のようにリアケース22Bと防水パッキン40とは、以下の方法で製造することができる。まず、射出成型等によりリアケース22Bを作製する。その後、防水パッキン40を形成するための金型に作製したリアケース22Bを設置し、金型とリアケース22Bとで形成される空間(防水パッキン40を配置する領域)に、材料を流し込む。その後、当該空間に流し込んだ材料を硬化させることでリアケース22Bの所定位置に防水パッキン40を成形することができる。また、このように一体成形することで、防水パッキン40の第1面50と第2面52とをリアケース22Bに接着させることができる。
【0036】
次に、フロントケース22Aは、図6のように防水パッキン40と接触する面が平坦面23となっている。フロントケース22Aは、防水パッキン40が配置されている領域に対面する部分、つまり外周の全周が平坦面23となっている。また、フロントケース22Aの形状は平坦面23に限定されない。図7に示すように、フロントケース36の防水パッキン40と接触する面にリアケース22B側に突出した突起部37を設けてもよい。なお、突起部37は、曲面であり、断面が半円となる形状である。このように突起部37を曲面とすることで防水パッキン40の一部に負荷が集中することを抑制できる。
【0037】
このように、フロントケース22Aとリアケース22Bとの連結部分には、防水パッキン40が配置されている。これにより、第2筐体22は、フロントケース22Aとリアケース22Bとを重ね合わせると、図8に示すように防水パッキン40の突起部44がフロントケース22Aの平坦面23により押しつぶされて変形する。また、フロントケース22Aとリアケース22Bとの距離を短くすることで、突起部44の変形量が大きくなり、突起部44と平坦面23との接触面積も大きくなる。また、フロントケース22Aとリアケース22Bとの距離をフロントケース22A´の位置まで近づけた場合、防水パッキン40の凸部の表面48がフロントケース22A´に押しつぶされ、凸部の一部が平坦面23よりも内周側にはみ出したはみ出し部49となることもある。
【0038】
第2筐体22は、フロントケース22Aとリアケース22Bとの距離を所定の短い距離とし、平坦面23と突起部44との接触面積を一定以上の面積とすることで、平坦面23と突起部44との間が水密構造となる。また、リアケース22Bと防水パッキン40とは一体で形成され、第1面50と第2面52がリアケース22Bと接触しているため、水密構造となる。このように、リアケース22Bと防水パッキン40との間を水密構造とし、フロントケース22Aと防水パッキン40との間を水密構造とすることで、フロントケース22Aとリアケース22Bとの連結部を水密構造とすることができる。
【0039】
携帯電子機器1は、防水パッキン40の第1面50と第2面52とをリアケース22Bに接着することで、防水パッキン40をリアケース22Bにより確実に固定することができる。これにより、防水パッキン40がリアケース22Bに対して位置ずれすることを抑制することができる。また、防水パッキン40の第1面50と第2面52とをリアケース22Bに接着することで、第1面50の反対側の面を支持しなくても所定位置に固定することができる。また、第1面50および第2面52で荷重を分散して支持することができるため、突起部44に折れや、倒れが生じることを抑制することができる。また、図8に示すように防水パッキン40の一部がはみ出し部49となっても、突起部44に折れが生じることや、倒れが生じることを抑制することができる。
【0040】
また、防水パッキン40をリアケース22Bと一体とすることで、つまり、防水パッキン40をリアケース22Bに接着させることで、組立性をより向上させることができる。具体的には、防水部材をリアケース22Bに対してはめ込む等の工程が必要なくなる。また、本実施形態のように2面を接着させる構造とすることで一体成形で作成しても防水機能を高くすることができる。また、製造時に溝に差し込む必要もないため、防水パッキン40にねじれが生じることも抑制することができる。
【0041】
なお、上記実施形態では、防水パッキン40をリアケース22Bに接着させたが、接着させるケースはこれに限定されない。防水パッキン40をフロントケース22Aに接着した構成としてもよい。なお、防水パッキン40は、筐体の分解時に最初に外れる側のケース、または、メイン基板が固定されていない側のケースに一体で設けることが好ましい。これにより、製造時に防水パッキン40に生じる負荷をより少なくすることができ、防水パッキン40の寿命をより長くすることができる。
【0042】
また、上記実施形態のように、リアケース22B(防水パッキン40を接着させるケース)の防水パッキン40との接触部分に隣接した位置に平坦面54を設けることで、突起部44の高さをより簡単に計測することができる。具体的には、突起部44の近傍にある平坦面54を基準として突起部44の高さを判定することができるため、計測の手間を少なくすることができる。また、近傍で計測することができるため計測精度を高くすることができる。高い計測精度で突起部44の高さを計測できることで製造時の突起部44の形状をより均一にすることができる。また、検査をより高い精度で実行することができ、不良品をより正確に排除することも可能となる。なお、平坦面54は、断面における長さを少なくとも0.2mm以上とすることが好ましい。これにより、計測精度をより高くすることができる。
【0043】
ここで、防水パッキンの形状(断面形状)は、図5に示す形状に限定されない。以下、図9から図14を用いて防水パッキンの各種形状、好ましい形状について説明する。なお、防水パッキンは、第1面と第2面がケースに接着されていればよく種々の形状とすることができる。
【0044】
図9は、防水パッキンの他の例の概略構成を示す断面図である。図9に示す防水パッキン70は、無負荷状態において、断面形状が基部72と突起部74とで構成されている。基部72は、断面が略長方形(正確には、内周側の辺と外周側の辺が平行で内周側の辺が低い台形)となる形状である。また、基部72も第1面50と第2面52とがリアケース22Bに接着されている。
【0045】
突起部74は、基部72の第2面52とは反対側の面(フロントケース22A側の面)に連結しており、第2面52とは反対側(第2筐体22の厚み方向)に突出した突起である。また、突起部74は、突起の頂点77が、中央よりも外周側にある。つまり、突起部74は、断面の幅方向(高さ方向に直交する方向)における頂点77の位置が中央(第2面52の中点)よりも矢印79の距離分外周側にオフセットした位置である。また、防水パッキン70は、第2面52とは反対側の面の第1面50側の部分が平坦面76となる。平坦面76は、第2面52と平行な面である。
【0046】
このように、防水パッキン70は、突起部74の頂点77が外周側に一定距離オフセットした形状である。このように、頂点77の位置を外周側にすることで、フロントケース22Aとの接触時に、突起部74の一部がフロントケース22Aとの接触面よりも内周側にはみ出すことを抑制できる。また、断面の幅方向における突起部74のフロントケース22Aとの接触開始位置をより外周側とすることができるため、突起部74とフロントケース22Aとの接触面積をより大きくすることができる。これにより、同様の防水性能を維持しつつ、防水パッキン70の幅(断面における第2面52の方向の長さ)をより短くすることができる。
【0047】
図10は、防水パッキンの他の例の概略構成を示す断面図である。図10に示す防水パッキン80は、無負荷状態において、断面形状が基部82と突起部84とで構成されている。なお、基部82と突起部84とは、第1面50の反対側の面(内周側の面)がフロントケース22A側に向かうに従って第1面50に近づく曲線となっている。また、基部82も第1面50と第2面52とがリアケース22Bに接着されている。
【0048】
突起部84は、基部82の第2面52とは反対側の面(フロントケース22A側の面)に連結しており、第2面52とは反対側(第2筐体22の厚み方向)に突出した突起である。また、突起部84は、突起の頂点が、平坦面87となっている。また、平坦面87の中点は、防水パッキン80の中央よりも外周側にある。つまり、突起部84は、断面の幅方向(高さ方向に直交する方向)における平坦面87の中点88が中央(第2面52の中点)よりも矢印89の距離分外周側にオフセットした位置である。また、防水パッキン80は、第2面52とは反対側の面の第1面50側の部分が平坦面76となる。平坦面76は、第2面52と平行な面である。
【0049】
防水パッキン80は、突起部84の頂点を平坦面87とすることで、少ない変形でもフロントケース22Aとの接触面積を大きくすることができる。また、突起部84の頂点を平坦面87とすることで、突起部84の高さをより正確に計測することができる。具体的には、平坦面87を基準として突起部84の高さを計測することで、計測位置に誤差が生じた場合も同じ高さの部分を計測することができる。これにより、突起部84の高さが最も高い部分をより高い確率で計測することができ、実際の高さと計測した高さとの差をより小さくすることができ、計測精度を高くすることができる。高い計測精度で突起部84の高さを計測できることで製造時の突起部84の形状をより均一にすることができる。また、検査をより高い精度で実行することができ、不良品をより正確に排除することも可能となる。なお、平坦面87は、断面における長さを少なくとも0.2mm以上とすることが好ましい。これにより、計測精度をより高くすることができる。
【0050】
また、突起部84の頂点を平坦面87とした場合も平坦面87の中点を、外周側にオフセットすることで、上述した防水パッキン70と同様の効果をえることができる。
【0051】
防水パッキンの形状は上記形状にも限定されない。ここで、図11および図12は、それぞれ防水パッキンの他の例の概略構成を示す断面図である。図11に示すように防水パッキン90は、第1面50の反対側の面(内周側の面)92を矢印方向に向かって厚くなる形状に変更することで、防水パッキン90のパッキン圧を高くすることができる。また、図12に示すように防水パッキン90は、第1面50の反対側の面(内周側の面)のうち、第2面52の側の部分94を矢印方向に向かって薄くする形状に変更することで、つまり第1面50の反対側の面にアンダーカットを形成することで、防水パッキン90のパッキン圧を低くすることができる。このように防水パッキン90は、アンダーカットの形状や、ふくらみの形状を種々の形状とすることで、目的に応じた種々の性能の防水パッキンとすることができる。また、防水パッキン90は、突起部と平坦面との間に凹部を形成しても、パッキン圧を低くすることができる。なお、図11および図12では、防水パッキン90を例として説明したが他の形状でも同様である。
【0052】
次に、図13は、防水パッキンの他の例の概略構成を示す断面図である。図13に示す防水パッキン100は、地下部109がリアケース120に形成された溝122に配置されている例である。まず、図13に示すリアケース120は、防水パッキン100を配置する領域に溝122が形成されている。溝122は、防水パッキン100と同じ形状である。つまり、溝122は、空間に防水パッキン100の地下部109が埋まっている。
【0053】
防水パッキン100は、無負荷状態において、断面形状が基部102と突起部104と地下部109とで構成されている。なお、本実施形態では部分によって分けたが、実際の基部102と突起部104と地下部109とは、1つの材料で成形されており境界等はない。基部102は、基本的に基部72と同様の構成であり、第1面50がリアケース120に接着されている。また、基部102は、第2面に相当する面が地下部109と連結されている。
【0054】
突起部104は、突起部74と同様の構成であり、基部102のフロントケース22A側の面に連結しており、フロントケース22A側(第2筐体22の厚み方向)に突出した突起である。防水パッキン100は、フロントケース22A側の面の第1面50側の部分が平坦面106となる。平坦面106は、高さ方向に直交する面と平行な面である。
【0055】
地下部109は、溝122内に配置されており、溝122と対面していない部分は基部102と連結している。つまり、地下部109は、溝122と基部102とで覆われている。地下部109は、溝122と対面している領域の外形が溝122と同一形状であり、溝122に接着している。なお本実施形態では、断面における溝122の開口の形状および地下部109の形状は、長方形である。このように、地下部109は、外周側の面とリアケース120側の面(フロントケース22Aと対面する側とは反対側の面)に加え、内周側の面もリアケース120の溝122と接着している。つまり、地下部109は、フロントケース22A側の面以外は、リアケース120に接着している部分である。
【0056】
防水パッキン100は、地下部109を備える構成としても、外周側の面とリアケース120側の面をリアケース120に接着させることができるため、上記と同様の効果を得ることができる。また、地下部109を備えることで、リアケース120側の面におけるリアケース120との接着力をより大きくすることができ、防水パッキン100に倒れや折れが生じることをより確実に抑制することができる。また防水パッキン100をリアケース120からはがれ難くすることができる。つまり、リアケース120の防水パッキン100のフロントケース22A側とは反対側の面に溝122を形成し、防水パッキン100の少なくとも一部を溝122に埋入させる構造とすることで、上記効果を得ることができる。
【0057】
なお、地下部109の形状は種々の形状とすることができる。また、地下部109は、外周が溝122に覆われており基本的に変形しないため、防水パッキン100のパッキン圧等をほとんど変化させずに種々の形状にすることができる。
【0058】
図14は、防水パッキンの他の例の概略構成を示す断面図である。図14に示す防水パッキン130は、地下部139がリアケース140に形成された溝142に配置されている例である。まず、図14に示すリアケース140は、防水パッキン130を配置する領域に溝142が形成されている。溝142は、防水パッキン130の地下部139と同じ形状である。つまり、溝142は、空間に防水パッキン130が埋まっている。また、リアケース140は、溝142と対面する外側表面144が溝142と同様の形状である。つまり、リアケース140は、溝142と外側表面144との厚みが略一定となる形状である。
【0059】
防水パッキン130は、無負荷状態において、断面形状が基部132と突起部134と地下部139とで構成されている。なお防水パッキン130は、地下部139の形状を除いての構成は、防水パッキン100と同様の構成である。防水パッキン130は、平坦面106と同様の構成の平坦面136も備える。
【0060】
防水パッキン130の地下部139と、溝142と、外側表面144とは、基本的に同様の形状であり、断面において、フロントケースから離れるに従って幅が徐々に短くなる形状である。また、内周面側の辺よりも外周面側の辺の方が高さ方向に対する傾斜角が大きくなる形状である。また、フロントケースから最も離れている部分が曲面となった形状である。
【0061】
このように防水パッキン130及びリアケース140は、溝部142と外側表面144との距離が略一定となるように、つまりリアケース140の厚みが略一定となる形状とすることで、ケースのそりを抑制することができる。リアケース140のそりを抑制することで、防水パッキン130とフロントケースとの距離が位置によって変化することを抑制できる。これにより、筐体の防水性能をより高くすることができる。
【0062】
次に、図15から図18を用いて、防水パッキンの形状毎に変形とパッキン圧との関係をシミュレーションした結果を示す。図15から図18は、それぞれ防水パッキンの変形を説明するための説明図である。
【0063】
図15に示す防水パッキン200は、突起部の平坦面を大きく設けた形状である。また、防水パッキン200と接触するフロントケースとして、突起部を備えるフロントケース36を用いた。この場合は、フロントケース36と防水パッキン200とを接触させると図15中の矢印の先の図に示すように、防水パッキン202は、フロントケース36の突起部と対面する領域に高いパッキン圧が生じる。なお、防水パッキン202で色が白くなっている部分が高いパッキン圧が発生している部分である。以下、他の図でも同様である。この防水パッキン200とフロントケース36との組み合わせは、高いパッキン圧を発生させ、高い防水性能を実現できる。
【0064】
図16に示す防水パッキン220は、平坦面を備えない突起部を設け、かつ外周側にリアケース側に窪んだ凹部を設けた形状である。また、防水パッキン220と接触するフロントケースとして、平坦面で構成されたフロントケース22Aを用いた。この場合は、フロントケース22Aと防水パッキン220とを接触させると図16中の矢印の先の図に示すように、防水パッキン222は、先端が外周側に移動するように変形する。また防水パッキン222は、パッキン圧が低くなる。この防水パッキン220とフロントケース22Aとの組み合わせは、低いパッキン圧を発生させ、防水性能は低くなる。
【0065】
図17に示す防水パッキン240は、平坦面を備えない突起部を設け、かつ内周側にアンダーカットを設けた形状である。また、防水パッキン240と接触するフロントケースとして、平坦面で構成されたフロントケース22Aを用いた。この場合は、フロントケース22Aと防水パッキン240とを接触させると図17中の矢印の先の図に示すように、防水パッキン242は、先端が内周側に移動するように変形する。また防水パッキン242は、パッキン圧が低くなる。この防水パッキン240とフロントケース22Aとの組み合わせは、低いパッキン圧となるため、防水性能は一定程度となる。
【0066】
図18に示す防水パッキン260は、平坦面を備えない突起部を設け、アンダーカットも外周側の凹部も設けていない形状である。また、防水パッキン260と接触するフロントケースとして、平坦面で構成されたフロントケース22Aを用いた。この場合は、フロントケース22Aと防水パッキン260とを接触させると図18中の矢印の先の図に示すように、防水パッキン262は、先端が内周側に移動するように変形する。また防水パッキン262は、一定程度のパッキン圧が発生する。この防水パッキン260とフロントケース22Aとの組み合わせは、図15の組み合わせと、図16および図17の組み合わせとの間のパッキン圧を発生させる。
【0067】
このようにいずれの形状の場合も防水パッキンの倒れや折れを抑制でき、防水パッキンとフロントケースとを適切に接触させることができる。なお、パッキン圧を高くすることで防水性能を高くすることが出来るが、防水パッキンで生じる反発力も大きくなるためケースを変形させる力も大きくなる。したがって、防水パッキンの形状は、使用用途や目的に応じて適宜設計することが好ましい。また、いずれの構成としても、第1面と第2面をケースに接着させることで、より高い確率で設定した防水性能を得ることができる。
【0068】
また上記実施形態では、第2筐体22のフロントケースとリアケースとの連結部に防水パッキンを設けたが、本実施形態の防水パッキンを用いた防水機構を設ける位置はこれに限定されない。第1筐体21の防水機構として用いてもよいし、第2筐体22とバッテリのカバー部との間の防水機構として用いてもよい。
【0069】
以上の説明では、筐体は、閉じ合わせ可能な2つの筐体、すなわち、第1筐体及び第2筐体を含んで構成されるものとして説明したが、3つ以上を含んで構成されてもよいし、1つで構成されてもよい。
【0070】
以上で説明した携帯電子機器1の筐体は、折り畳み式の構造に限定されるものではない。例えば、携帯電子機器1の筐体は、両方の筐体を閉じ合わせた状態、言い換えれば、重ね合わせた状態から一方の筐体(第1筐体)と他方の筐体(第2筐体)とを互いにスライドできるようにしたスライド式の筐体であってもよいし、重ね合わせ方向に沿う軸線を中心に、一方の筐体を回転させるようにした回転式や、2軸ヒンジを介して両方の筐体を連結したものでもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 携帯電子機器
2 筐体
4 ヒンジ部
5 表示装置
6 操作部
21 第1筐体
22 第2筐体
21A、22A フロントケース
21B、22B リアケース
24 キー基板
26 シールドケース
28 メイン基板
30 ホルダ部
32 バッテリ
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水機能を備える携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機、PHS、携帯音楽プレーヤー等の携帯電子機器の中には、防水機能を備える携帯電子機器がある。防水機能を備える携帯電子機器は、フロントケースとリアケース等の2つ以上のケースを連結して電子機器を内蔵する筐体とする場合、ケースとケースとの連結部に防水パッキン(パッキング)を配置し、ケースとケースとの間を水密構造とする(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−284855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載の防水装置は、ケースの一方に溝を形成し、その溝に防水パッキンを挿入した構造である。しかしながら、防水パッキンは基本的にケースの外縁部の全周に設けるため、溝に防水パッキンを挿入する構造では、細長い溝に防水パッキンを埋め込む作業が必要となり製造時の手間となる。また、防水パッキンを溝に埋め込む際にねじれが生じると水密構造にならない場合がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、高い防水機能を維持しつつ、簡単に製造することができる携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る携帯電子機器は、第1ケースと、前記第1ケースと連結される第2ケースと、前記第1ケースと前記第2ケースとの連結部に配置される防水パッキンと、を有し、前記防水パッキンは、前記第1ケースと接していない状態で、外周側の面と、前記第1ケースと対面する面とは反対側の面と、が前記第2ケースに接着していることを特徴とする。
【0007】
ここで、前記防水パッキンは、前記第2ケースと一体成形されていることが好ましい。
【0008】
また、前記防水パッキンは、断面の形状が、前記第1ケースと接触していない状態において、前記第1ケース側に突出した突起部を有する形状であることが好ましい。
【0009】
また、前記防水パッキンは、前記断面における前記突起部の頂点の位置が、中央よりも前記外周面側にあることが好ましい。
【0010】
また、前記突起部は、前記頂点が平坦面であることが好ましい。
【0011】
また、前記平坦面は、0.2mm以上であることが好ましい。
【0012】
また、前記防水パッキンは、断面の形状が、前記第1ケースと接触していない状態において、内周面の、前記第1ケースと対面する面とは反対側の面側の部分にアンダーカットを有する形状であることが好ましい。
【0013】
また、前記第2ケースは、前記防水パッキンの前記第1ケースと対面する面とは反対側の面に溝部を有し、前記防水パッキンは、少なくとも一部が前記溝部に埋入されていることが好ましい。
【0014】
また、前記第2ケースは、前記溝部の形状が、前記溝部の外周側の外側表面に沿った形状であることが好ましい。
【0015】
また、前記第2ケースは、前記防水パッキンの外周面側と接触する部分に、前記第2ケースの厚み方向に直交する平坦面を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る携帯電子機器は、高い防水機能を確保でき、簡単に製造することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、携帯電子機器の概略構成を示す正面図である。
【図2】図2は、図1に示す携帯電子機器の概略構成を示す側面図である。
【図3】図3は、図1に示す第2筐体の分解斜視図である。
【図4】図4は、第2筐体のリアケースの概略構成を示す正面図である。
【図5】図5は、図4のA−A線断面図である。
【図6】図6は、第2筐体のフロントケースの一部の概略構成を示す断面図である。
【図7】図7は、第2筐体のフロントケースの他の例の一部の概略構成を示す断面図である。
【図8】図8は、防水パッキンとフロントケースとの関係を示す説明図である。
【図9】図9は、防水パッキンの他の例の概略構成を示す断面図である。
【図10】図10は、防水パッキンの他の例の概略構成を示す断面図である。
【図11】図11は、防水パッキンの他の例の概略構成を示す断面図である。
【図12】図12は、防水パッキンの他の例の概略構成を示す断面図である。
【図13】図13は、防水パッキンの他の例の概略構成を示す断面図である。
【図14】図14は、防水パッキンの他の例の概略構成を示す断面図である。
【図15】図15は、防水パッキンの変形を説明するための説明図である。
【図16】図16は、防水パッキンの変形を説明するための説明図である。
【図17】図17は、防水パッキンの変形を説明するための説明図である。
【図18】図18は、防水パッキンの変形を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下においては、携帯電子機器の一例として携帯電話機を取り上げるが、携帯電子機器は携帯電話機に限定されるものではなく、例えば、PHS(Personal Handy-phone System)、PDA、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン、ゲーム機等であってもよい。
【0019】
[実施形態]
図1は、携帯電子機器の概略構成を示す正面図であり、図2は、図1に示す携帯電子機器の概略構成を示す側面図である。本実施形態の携帯電子機器1は、防水機能を有する携帯電話機である。携帯電子機器1は、図1及び図2に示すように、筐体2が第1筐体21と第2筐体22とで開閉可能に構成された、折り畳み式の携帯電話機である。筐体2は、第1筐体21の一方側の端部(基端部)と第2筐体22の一方側の端部(基端部)とがヒンジ部4を介し連結される。筐体2は、図2中に矢印Rで示すように、ヒンジ部4の回転軸CLを中心に、第2筐体22に対し第1筐体21を開閉することで、閉じ合わせ可能(折り畳み可能)に構成される。
【0020】
なお、筐体2は、第1筐体21と第2筐体22とを閉じ合わせたときに互いに対向する面が、第1筐体21および第2筐体22の正面であり、正面の反対側の面が、第1筐体21および第2筐体22の背面である。筐体2は、ヒンジ部4の回転軸CLの軸方向が第1筐体21、第2筐体22の短手方向と同方向となっている。そして、短手方向に直交し、第1筐体21、第2筐体22の基端部から先端部に至る方向が長手方向であり、第1筐体21、第2筐体22の正面から背面に至る方向が厚み方向である。また、第1筐体21は、正面側に配置されたフロントケース21Aと背面側に配置されたリアケース21Bとを有する。第1筐体21は、フロントケース21Aとリアケース21Bとが互いに対向して係合し、その隙間が水密構造となっている。これにより、第1筐体21は、フロントケース21Aとリアケース21Bとの間に形成される空間に外部から水が入ることを抑制でき、当該空間を防水空間とすることができる。なお、フロントケース21Aとリアケース21Bとの隙間を水密構造にする構造としては、隙間を接着剤で封止したり、両ケースの間にパッキン等のシール部材を配置したり、両面テープで両ケースを接着したりする構造がある。
【0021】
第2筐体22は、正面側に配置されたフロントケース22Aと背面側に配置されたリアケース22Bとを有する。第2筐体22は、フロントケース22Aとリアケース22Bとが互いに対向して係合し、その隙間が水密構造となっている。第2筐体22の水密構造(防水構造)については後述する。
【0022】
携帯電子機器1は、画像を表示する表示装置5、操作を受け付ける操作部6等を備え、これらが第1筐体21または第2筐体22にそれぞれ搭載される。ここでは、携帯電子機器1は、表示装置5が第1筐体21の正面側(フロントケース21A)に搭載され、操作部6が第2筐体22の正面側(フロントケース22A)に搭載される。また、携帯電子機器1の筐体2には、これら以外にも携帯電話機として必要な各種機構(マイク、レシーバ、スピーカ、制御基板、アンテナ)が設けられている。なお、携帯電子機器1を構成する各部は、基本的には第1筐体21または第2筐体22の内部に内蔵され、そのうちの幾つかは、少なくとも一部が筐体2の外部に露出する露出部品である。
【0023】
表示装置5は、待ち受け画像、メニュー画像等の種々の画像を表示するものであり、例えば、液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)や、有機EL(Organic Electro−Luminescence)パネル等を有する表示パネルである。なお、この表示装置5の構成については、後でより詳細に説明する。
【0024】
操作部6は、第2筐体22に内蔵され、フロントケース22Aから各種操作キーが露出する露出部品である。操作キーは、例えば、通話相手の電話番号やメール作成時等に文字を入力するための操作キー、表示装置5に表示されるメニューの選択及び決定や画面のスクロール等を容易に実行するための方向及び決定キー等を含む。
【0025】
次に、第2筐体22の構成について説明する。図3は、図1に示す第2筐体の分解斜視図である。第2筐体22は、上述したようにフロントケース22Aとリアケース22Bとを有する。このフロントケース22Aと、リアケース22Bとの間には、キー基板24とシールドケース26とメイン基板28とホルダ部30とがフロントケース22A側からこの順で積層して配置されている。キー基板24は、フロントケース22Aに配置された操作部6への入力を検出する検出素子が配置された基板である。シールドケース26は、第2筐体22の外部からメイン基板28に向かう電磁波を遮蔽する部材である。メイン基板28は、携帯電子機器1の各種制御機能を実現するための制御回路、記憶装置等が搭載されている基板である。ホルダ部30は、メイン基板28とリアケース22Bとを連結する部材である。
【0026】
第2筐体22は、フロントケース22Aとリアケース22Bとの連結部分を水密構造とし、内部に防水空間を形成することで、キー基板24とシールドケース26とメイン基板28とホルダ部30とが水に濡れることを抑制する。
【0027】
また、リアケース22Bには開口部が形成されており、この開口部には、バッテリ32が配置される。第2筐体22は、バッテリ32を配置した領域を覆うカバー部がリアケース22Bに対して着脱可能な状態で装着される。またリアケース22Bとカバー部との連結部分も水密構造である。
【0028】
次に、図4から図8を用いて、フロントケース22Aとリアケース22Bとの連結部分を水密構造とする防水構造について説明する。ここで、図4は、第2筐体のリアケースの概略構成を示す正面図である。図5は、図4のA−A線断面図である。図6は、第2筐体のフロントケースの一部の概略構成を示す断面図である。図7は、第2筐体のフロントケースの他の例の一部の概略構成を示す断面図である。図8は、防水パッキンとフロントケースとの関係を示す説明図である。
【0029】
防水パッキン40は、リアケース22Bのフロントケース22Aと対面する面(フロントケース22A側の面)に配置されている。防水パッキン40は、防水空間の外周を覆うようにリアケース22Bの外周に沿って全周に配置されている。防水パッキン40は、フロントケース22Aとも接触し、フロントケース22Aとリアケース22Bとの間の隙間を埋め、フロントケース22Aとリアケース22Bとの連結部分を水密構造とする。
【0030】
防水パッキン40は、図5に示すように、無負荷状態(フロントケース22Aとリアケース22Bとが離れている状態または防水パッキン40とフロントケース22Aとが接触していない状態)において、断面形状が基部42と突起部44とで構成されている。なお、本実施形態では部分によって分けたが、実際の基部42と突起部44とは、1つの材料で成形されており境界等はない。基部42は、断面が略長方形(正確には、内周側の辺と外周側の辺が平行で内周側の辺が低い台形)となる形状である。なお、以下では、基部42の外周側の面を第1面50とし、リアケース22B側の面(フロントケース22Aと対面する側とは反対側の面)を第2面52とする。
【0031】
突起部44は、基部42の第2面52とは反対側の面(フロントケース22A側の面)に連結しており、第2面52とは反対側(第2筐体22の厚み方向)に突出した突起である。また、防水パッキン40は、第2面52とは反対側の面の第1面50側の部分が平坦面46となる。平坦面46は、第2面52と平行な面である。このように、防水パッキン40は、断面が長方形となる基部42の第2面52とは反対側の面の第1面50とは離れている側に突起部44が形成されている形状となる。
【0032】
防水パッキン40は、無負荷状態において、第1面50と第2面52が、リアケース22Bに接着している。なお、第1面50とリアケース22Bとを接着させる方法、第2面52とリアケース22Bとを接着させる方法は特に限定されないが、防水パッキン40をリアケース22Bと一体成型することで、両者を接着させることが好ましい。なお、製造に手間がかかり、接着性が低下するが接着剤を用いて両者を接着させてもよい。また、防水パッキン40は、第1面50と第2面52の全面をリアケース22Bに接着させることが好ましい。これにより、防水性能をより高くすることができる。
【0033】
ここで、リアケース22Bは、防水パッキン40の外周側の面に平坦面54が形成されている。平坦面54は、第2筐体22(リアケース22B)の厚み方向に直交する面であり、防水パッキン40の平坦面46と面一となる面である。
【0034】
防水パッキン40は、圧力が加えられることで変形(好ましくは弾性変形)する材料で製造される。ここで、防水パッキン40は、硬度を5以上60以下とすることが好ましく、10以上35以下とすることがより好ましい。これにより、防水性能を高く維持することができる。ここで、硬度は、JIS K 6253 タイプAで測定する。また、防水パッキン40は、リアケース22Bよりも融点が低い材料で作成することが好ましい。これにより、防水パッキン40とリアケース22Bとを一体成形しやすくすることができる。防水パッキン40としては、具体的には、液状シリコン等のEPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)やシリコーン樹脂を用いることができる。また、防水パッキン40は、リアケース22Bを構成する材料に対して接着性が高い材料を用いることが好ましい。例えば、リアケース22Bをガラス繊維入りナイロン樹脂で作製する場合、防水パッキン40は、液状シリコンで作製することが好ましい。これにより、防水パッキン40を好適にリアケース22Bに接着させることができる。
【0035】
また、本実施形態のようにリアケース22Bと防水パッキン40とは、以下の方法で製造することができる。まず、射出成型等によりリアケース22Bを作製する。その後、防水パッキン40を形成するための金型に作製したリアケース22Bを設置し、金型とリアケース22Bとで形成される空間(防水パッキン40を配置する領域)に、材料を流し込む。その後、当該空間に流し込んだ材料を硬化させることでリアケース22Bの所定位置に防水パッキン40を成形することができる。また、このように一体成形することで、防水パッキン40の第1面50と第2面52とをリアケース22Bに接着させることができる。
【0036】
次に、フロントケース22Aは、図6のように防水パッキン40と接触する面が平坦面23となっている。フロントケース22Aは、防水パッキン40が配置されている領域に対面する部分、つまり外周の全周が平坦面23となっている。また、フロントケース22Aの形状は平坦面23に限定されない。図7に示すように、フロントケース36の防水パッキン40と接触する面にリアケース22B側に突出した突起部37を設けてもよい。なお、突起部37は、曲面であり、断面が半円となる形状である。このように突起部37を曲面とすることで防水パッキン40の一部に負荷が集中することを抑制できる。
【0037】
このように、フロントケース22Aとリアケース22Bとの連結部分には、防水パッキン40が配置されている。これにより、第2筐体22は、フロントケース22Aとリアケース22Bとを重ね合わせると、図8に示すように防水パッキン40の突起部44がフロントケース22Aの平坦面23により押しつぶされて変形する。また、フロントケース22Aとリアケース22Bとの距離を短くすることで、突起部44の変形量が大きくなり、突起部44と平坦面23との接触面積も大きくなる。また、フロントケース22Aとリアケース22Bとの距離をフロントケース22A´の位置まで近づけた場合、防水パッキン40の凸部の表面48がフロントケース22A´に押しつぶされ、凸部の一部が平坦面23よりも内周側にはみ出したはみ出し部49となることもある。
【0038】
第2筐体22は、フロントケース22Aとリアケース22Bとの距離を所定の短い距離とし、平坦面23と突起部44との接触面積を一定以上の面積とすることで、平坦面23と突起部44との間が水密構造となる。また、リアケース22Bと防水パッキン40とは一体で形成され、第1面50と第2面52がリアケース22Bと接触しているため、水密構造となる。このように、リアケース22Bと防水パッキン40との間を水密構造とし、フロントケース22Aと防水パッキン40との間を水密構造とすることで、フロントケース22Aとリアケース22Bとの連結部を水密構造とすることができる。
【0039】
携帯電子機器1は、防水パッキン40の第1面50と第2面52とをリアケース22Bに接着することで、防水パッキン40をリアケース22Bにより確実に固定することができる。これにより、防水パッキン40がリアケース22Bに対して位置ずれすることを抑制することができる。また、防水パッキン40の第1面50と第2面52とをリアケース22Bに接着することで、第1面50の反対側の面を支持しなくても所定位置に固定することができる。また、第1面50および第2面52で荷重を分散して支持することができるため、突起部44に折れや、倒れが生じることを抑制することができる。また、図8に示すように防水パッキン40の一部がはみ出し部49となっても、突起部44に折れが生じることや、倒れが生じることを抑制することができる。
【0040】
また、防水パッキン40をリアケース22Bと一体とすることで、つまり、防水パッキン40をリアケース22Bに接着させることで、組立性をより向上させることができる。具体的には、防水部材をリアケース22Bに対してはめ込む等の工程が必要なくなる。また、本実施形態のように2面を接着させる構造とすることで一体成形で作成しても防水機能を高くすることができる。また、製造時に溝に差し込む必要もないため、防水パッキン40にねじれが生じることも抑制することができる。
【0041】
なお、上記実施形態では、防水パッキン40をリアケース22Bに接着させたが、接着させるケースはこれに限定されない。防水パッキン40をフロントケース22Aに接着した構成としてもよい。なお、防水パッキン40は、筐体の分解時に最初に外れる側のケース、または、メイン基板が固定されていない側のケースに一体で設けることが好ましい。これにより、製造時に防水パッキン40に生じる負荷をより少なくすることができ、防水パッキン40の寿命をより長くすることができる。
【0042】
また、上記実施形態のように、リアケース22B(防水パッキン40を接着させるケース)の防水パッキン40との接触部分に隣接した位置に平坦面54を設けることで、突起部44の高さをより簡単に計測することができる。具体的には、突起部44の近傍にある平坦面54を基準として突起部44の高さを判定することができるため、計測の手間を少なくすることができる。また、近傍で計測することができるため計測精度を高くすることができる。高い計測精度で突起部44の高さを計測できることで製造時の突起部44の形状をより均一にすることができる。また、検査をより高い精度で実行することができ、不良品をより正確に排除することも可能となる。なお、平坦面54は、断面における長さを少なくとも0.2mm以上とすることが好ましい。これにより、計測精度をより高くすることができる。
【0043】
ここで、防水パッキンの形状(断面形状)は、図5に示す形状に限定されない。以下、図9から図14を用いて防水パッキンの各種形状、好ましい形状について説明する。なお、防水パッキンは、第1面と第2面がケースに接着されていればよく種々の形状とすることができる。
【0044】
図9は、防水パッキンの他の例の概略構成を示す断面図である。図9に示す防水パッキン70は、無負荷状態において、断面形状が基部72と突起部74とで構成されている。基部72は、断面が略長方形(正確には、内周側の辺と外周側の辺が平行で内周側の辺が低い台形)となる形状である。また、基部72も第1面50と第2面52とがリアケース22Bに接着されている。
【0045】
突起部74は、基部72の第2面52とは反対側の面(フロントケース22A側の面)に連結しており、第2面52とは反対側(第2筐体22の厚み方向)に突出した突起である。また、突起部74は、突起の頂点77が、中央よりも外周側にある。つまり、突起部74は、断面の幅方向(高さ方向に直交する方向)における頂点77の位置が中央(第2面52の中点)よりも矢印79の距離分外周側にオフセットした位置である。また、防水パッキン70は、第2面52とは反対側の面の第1面50側の部分が平坦面76となる。平坦面76は、第2面52と平行な面である。
【0046】
このように、防水パッキン70は、突起部74の頂点77が外周側に一定距離オフセットした形状である。このように、頂点77の位置を外周側にすることで、フロントケース22Aとの接触時に、突起部74の一部がフロントケース22Aとの接触面よりも内周側にはみ出すことを抑制できる。また、断面の幅方向における突起部74のフロントケース22Aとの接触開始位置をより外周側とすることができるため、突起部74とフロントケース22Aとの接触面積をより大きくすることができる。これにより、同様の防水性能を維持しつつ、防水パッキン70の幅(断面における第2面52の方向の長さ)をより短くすることができる。
【0047】
図10は、防水パッキンの他の例の概略構成を示す断面図である。図10に示す防水パッキン80は、無負荷状態において、断面形状が基部82と突起部84とで構成されている。なお、基部82と突起部84とは、第1面50の反対側の面(内周側の面)がフロントケース22A側に向かうに従って第1面50に近づく曲線となっている。また、基部82も第1面50と第2面52とがリアケース22Bに接着されている。
【0048】
突起部84は、基部82の第2面52とは反対側の面(フロントケース22A側の面)に連結しており、第2面52とは反対側(第2筐体22の厚み方向)に突出した突起である。また、突起部84は、突起の頂点が、平坦面87となっている。また、平坦面87の中点は、防水パッキン80の中央よりも外周側にある。つまり、突起部84は、断面の幅方向(高さ方向に直交する方向)における平坦面87の中点88が中央(第2面52の中点)よりも矢印89の距離分外周側にオフセットした位置である。また、防水パッキン80は、第2面52とは反対側の面の第1面50側の部分が平坦面76となる。平坦面76は、第2面52と平行な面である。
【0049】
防水パッキン80は、突起部84の頂点を平坦面87とすることで、少ない変形でもフロントケース22Aとの接触面積を大きくすることができる。また、突起部84の頂点を平坦面87とすることで、突起部84の高さをより正確に計測することができる。具体的には、平坦面87を基準として突起部84の高さを計測することで、計測位置に誤差が生じた場合も同じ高さの部分を計測することができる。これにより、突起部84の高さが最も高い部分をより高い確率で計測することができ、実際の高さと計測した高さとの差をより小さくすることができ、計測精度を高くすることができる。高い計測精度で突起部84の高さを計測できることで製造時の突起部84の形状をより均一にすることができる。また、検査をより高い精度で実行することができ、不良品をより正確に排除することも可能となる。なお、平坦面87は、断面における長さを少なくとも0.2mm以上とすることが好ましい。これにより、計測精度をより高くすることができる。
【0050】
また、突起部84の頂点を平坦面87とした場合も平坦面87の中点を、外周側にオフセットすることで、上述した防水パッキン70と同様の効果をえることができる。
【0051】
防水パッキンの形状は上記形状にも限定されない。ここで、図11および図12は、それぞれ防水パッキンの他の例の概略構成を示す断面図である。図11に示すように防水パッキン90は、第1面50の反対側の面(内周側の面)92を矢印方向に向かって厚くなる形状に変更することで、防水パッキン90のパッキン圧を高くすることができる。また、図12に示すように防水パッキン90は、第1面50の反対側の面(内周側の面)のうち、第2面52の側の部分94を矢印方向に向かって薄くする形状に変更することで、つまり第1面50の反対側の面にアンダーカットを形成することで、防水パッキン90のパッキン圧を低くすることができる。このように防水パッキン90は、アンダーカットの形状や、ふくらみの形状を種々の形状とすることで、目的に応じた種々の性能の防水パッキンとすることができる。また、防水パッキン90は、突起部と平坦面との間に凹部を形成しても、パッキン圧を低くすることができる。なお、図11および図12では、防水パッキン90を例として説明したが他の形状でも同様である。
【0052】
次に、図13は、防水パッキンの他の例の概略構成を示す断面図である。図13に示す防水パッキン100は、地下部109がリアケース120に形成された溝122に配置されている例である。まず、図13に示すリアケース120は、防水パッキン100を配置する領域に溝122が形成されている。溝122は、防水パッキン100と同じ形状である。つまり、溝122は、空間に防水パッキン100の地下部109が埋まっている。
【0053】
防水パッキン100は、無負荷状態において、断面形状が基部102と突起部104と地下部109とで構成されている。なお、本実施形態では部分によって分けたが、実際の基部102と突起部104と地下部109とは、1つの材料で成形されており境界等はない。基部102は、基本的に基部72と同様の構成であり、第1面50がリアケース120に接着されている。また、基部102は、第2面に相当する面が地下部109と連結されている。
【0054】
突起部104は、突起部74と同様の構成であり、基部102のフロントケース22A側の面に連結しており、フロントケース22A側(第2筐体22の厚み方向)に突出した突起である。防水パッキン100は、フロントケース22A側の面の第1面50側の部分が平坦面106となる。平坦面106は、高さ方向に直交する面と平行な面である。
【0055】
地下部109は、溝122内に配置されており、溝122と対面していない部分は基部102と連結している。つまり、地下部109は、溝122と基部102とで覆われている。地下部109は、溝122と対面している領域の外形が溝122と同一形状であり、溝122に接着している。なお本実施形態では、断面における溝122の開口の形状および地下部109の形状は、長方形である。このように、地下部109は、外周側の面とリアケース120側の面(フロントケース22Aと対面する側とは反対側の面)に加え、内周側の面もリアケース120の溝122と接着している。つまり、地下部109は、フロントケース22A側の面以外は、リアケース120に接着している部分である。
【0056】
防水パッキン100は、地下部109を備える構成としても、外周側の面とリアケース120側の面をリアケース120に接着させることができるため、上記と同様の効果を得ることができる。また、地下部109を備えることで、リアケース120側の面におけるリアケース120との接着力をより大きくすることができ、防水パッキン100に倒れや折れが生じることをより確実に抑制することができる。また防水パッキン100をリアケース120からはがれ難くすることができる。つまり、リアケース120の防水パッキン100のフロントケース22A側とは反対側の面に溝122を形成し、防水パッキン100の少なくとも一部を溝122に埋入させる構造とすることで、上記効果を得ることができる。
【0057】
なお、地下部109の形状は種々の形状とすることができる。また、地下部109は、外周が溝122に覆われており基本的に変形しないため、防水パッキン100のパッキン圧等をほとんど変化させずに種々の形状にすることができる。
【0058】
図14は、防水パッキンの他の例の概略構成を示す断面図である。図14に示す防水パッキン130は、地下部139がリアケース140に形成された溝142に配置されている例である。まず、図14に示すリアケース140は、防水パッキン130を配置する領域に溝142が形成されている。溝142は、防水パッキン130の地下部139と同じ形状である。つまり、溝142は、空間に防水パッキン130が埋まっている。また、リアケース140は、溝142と対面する外側表面144が溝142と同様の形状である。つまり、リアケース140は、溝142と外側表面144との厚みが略一定となる形状である。
【0059】
防水パッキン130は、無負荷状態において、断面形状が基部132と突起部134と地下部139とで構成されている。なお防水パッキン130は、地下部139の形状を除いての構成は、防水パッキン100と同様の構成である。防水パッキン130は、平坦面106と同様の構成の平坦面136も備える。
【0060】
防水パッキン130の地下部139と、溝142と、外側表面144とは、基本的に同様の形状であり、断面において、フロントケースから離れるに従って幅が徐々に短くなる形状である。また、内周面側の辺よりも外周面側の辺の方が高さ方向に対する傾斜角が大きくなる形状である。また、フロントケースから最も離れている部分が曲面となった形状である。
【0061】
このように防水パッキン130及びリアケース140は、溝部142と外側表面144との距離が略一定となるように、つまりリアケース140の厚みが略一定となる形状とすることで、ケースのそりを抑制することができる。リアケース140のそりを抑制することで、防水パッキン130とフロントケースとの距離が位置によって変化することを抑制できる。これにより、筐体の防水性能をより高くすることができる。
【0062】
次に、図15から図18を用いて、防水パッキンの形状毎に変形とパッキン圧との関係をシミュレーションした結果を示す。図15から図18は、それぞれ防水パッキンの変形を説明するための説明図である。
【0063】
図15に示す防水パッキン200は、突起部の平坦面を大きく設けた形状である。また、防水パッキン200と接触するフロントケースとして、突起部を備えるフロントケース36を用いた。この場合は、フロントケース36と防水パッキン200とを接触させると図15中の矢印の先の図に示すように、防水パッキン202は、フロントケース36の突起部と対面する領域に高いパッキン圧が生じる。なお、防水パッキン202で色が白くなっている部分が高いパッキン圧が発生している部分である。以下、他の図でも同様である。この防水パッキン200とフロントケース36との組み合わせは、高いパッキン圧を発生させ、高い防水性能を実現できる。
【0064】
図16に示す防水パッキン220は、平坦面を備えない突起部を設け、かつ外周側にリアケース側に窪んだ凹部を設けた形状である。また、防水パッキン220と接触するフロントケースとして、平坦面で構成されたフロントケース22Aを用いた。この場合は、フロントケース22Aと防水パッキン220とを接触させると図16中の矢印の先の図に示すように、防水パッキン222は、先端が外周側に移動するように変形する。また防水パッキン222は、パッキン圧が低くなる。この防水パッキン220とフロントケース22Aとの組み合わせは、低いパッキン圧を発生させ、防水性能は低くなる。
【0065】
図17に示す防水パッキン240は、平坦面を備えない突起部を設け、かつ内周側にアンダーカットを設けた形状である。また、防水パッキン240と接触するフロントケースとして、平坦面で構成されたフロントケース22Aを用いた。この場合は、フロントケース22Aと防水パッキン240とを接触させると図17中の矢印の先の図に示すように、防水パッキン242は、先端が内周側に移動するように変形する。また防水パッキン242は、パッキン圧が低くなる。この防水パッキン240とフロントケース22Aとの組み合わせは、低いパッキン圧となるため、防水性能は一定程度となる。
【0066】
図18に示す防水パッキン260は、平坦面を備えない突起部を設け、アンダーカットも外周側の凹部も設けていない形状である。また、防水パッキン260と接触するフロントケースとして、平坦面で構成されたフロントケース22Aを用いた。この場合は、フロントケース22Aと防水パッキン260とを接触させると図18中の矢印の先の図に示すように、防水パッキン262は、先端が内周側に移動するように変形する。また防水パッキン262は、一定程度のパッキン圧が発生する。この防水パッキン260とフロントケース22Aとの組み合わせは、図15の組み合わせと、図16および図17の組み合わせとの間のパッキン圧を発生させる。
【0067】
このようにいずれの形状の場合も防水パッキンの倒れや折れを抑制でき、防水パッキンとフロントケースとを適切に接触させることができる。なお、パッキン圧を高くすることで防水性能を高くすることが出来るが、防水パッキンで生じる反発力も大きくなるためケースを変形させる力も大きくなる。したがって、防水パッキンの形状は、使用用途や目的に応じて適宜設計することが好ましい。また、いずれの構成としても、第1面と第2面をケースに接着させることで、より高い確率で設定した防水性能を得ることができる。
【0068】
また上記実施形態では、第2筐体22のフロントケースとリアケースとの連結部に防水パッキンを設けたが、本実施形態の防水パッキンを用いた防水機構を設ける位置はこれに限定されない。第1筐体21の防水機構として用いてもよいし、第2筐体22とバッテリのカバー部との間の防水機構として用いてもよい。
【0069】
以上の説明では、筐体は、閉じ合わせ可能な2つの筐体、すなわち、第1筐体及び第2筐体を含んで構成されるものとして説明したが、3つ以上を含んで構成されてもよいし、1つで構成されてもよい。
【0070】
以上で説明した携帯電子機器1の筐体は、折り畳み式の構造に限定されるものではない。例えば、携帯電子機器1の筐体は、両方の筐体を閉じ合わせた状態、言い換えれば、重ね合わせた状態から一方の筐体(第1筐体)と他方の筐体(第2筐体)とを互いにスライドできるようにしたスライド式の筐体であってもよいし、重ね合わせ方向に沿う軸線を中心に、一方の筐体を回転させるようにした回転式や、2軸ヒンジを介して両方の筐体を連結したものでもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 携帯電子機器
2 筐体
4 ヒンジ部
5 表示装置
6 操作部
21 第1筐体
22 第2筐体
21A、22A フロントケース
21B、22B リアケース
24 キー基板
26 シールドケース
28 メイン基板
30 ホルダ部
32 バッテリ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ケースと、
前記第1ケースと連結される第2ケースと、
前記第1ケースと前記第2ケースとの連結部に配置される防水パッキンと、を有し、
前記防水パッキンは、前記第1ケースと接していない状態で、外周側の面と、前記第1ケースと対面する面とは反対側の面と、が前記第2ケースに接着していることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記防水パッキンは、前記第2ケースと一体成形されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記防水パッキンは、断面の形状が、前記第1ケースと接触していない状態において、前記第1ケース側に突出した突起部を有する形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記防水パッキンは、前記断面における前記突起部の頂点の位置が、中央よりも前記外周面側にあることを特徴とする請求項3に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記突起部は、前記頂点が平坦面であることを特徴とする請求項3または4に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記平坦面は、0.2mm以上であることを特徴とする請求項5に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記防水パッキンは、断面の形状が、前記第1ケースと接触していない状態において、内周面の、前記第1ケースと対面する面とは反対側の面側の部分にアンダーカットを有する形状であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項8】
前記第2ケースは、前記防水パッキンの前記第1ケースと対面する面とは反対側の面に溝部を有し、
前記防水パッキンは、少なくとも一部が前記溝部に埋入されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項9】
前記第2ケースは、前記溝部の形状が、前記溝部の外周側の外側表面に沿った形状であることを特徴とする請求項8に記載の携帯電子機器。
【請求項10】
前記第2ケースは、前記防水パッキンの外周面側と接触する部分に、前記第2ケースの厚み方向に直交する平坦面を有することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項1】
第1ケースと、
前記第1ケースと連結される第2ケースと、
前記第1ケースと前記第2ケースとの連結部に配置される防水パッキンと、を有し、
前記防水パッキンは、前記第1ケースと接していない状態で、外周側の面と、前記第1ケースと対面する面とは反対側の面と、が前記第2ケースに接着していることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記防水パッキンは、前記第2ケースと一体成形されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記防水パッキンは、断面の形状が、前記第1ケースと接触していない状態において、前記第1ケース側に突出した突起部を有する形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記防水パッキンは、前記断面における前記突起部の頂点の位置が、中央よりも前記外周面側にあることを特徴とする請求項3に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記突起部は、前記頂点が平坦面であることを特徴とする請求項3または4に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記平坦面は、0.2mm以上であることを特徴とする請求項5に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記防水パッキンは、断面の形状が、前記第1ケースと接触していない状態において、内周面の、前記第1ケースと対面する面とは反対側の面側の部分にアンダーカットを有する形状であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項8】
前記第2ケースは、前記防水パッキンの前記第1ケースと対面する面とは反対側の面に溝部を有し、
前記防水パッキンは、少なくとも一部が前記溝部に埋入されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項9】
前記第2ケースは、前記溝部の形状が、前記溝部の外周側の外側表面に沿った形状であることを特徴とする請求項8に記載の携帯電子機器。
【請求項10】
前記第2ケースは、前記防水パッキンの外周面側と接触する部分に、前記第2ケースの厚み方向に直交する平坦面を有することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−175056(P2012−175056A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38492(P2011−38492)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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