説明

携帯電話およびその製造方法

【課題】ことさらメーカーが保有するデータベースにて検索を行なうことなく、端末識別番号とPWB製造番号とのうちいずれか一方に基づいて他方を確認することを可能とする携帯電話を提供する。
【解決手段】銘板ラベル120に記載されたIMEI(端末識別番号)のシリアルナンバー部分と、プリント配線基板110に貼られたラベル118に記載されたPWB製造番号とを一致させておく。これにより、PWB製造番号とIMEIとを紐付けしているデータベースを利用できないときでも、銘板ラベル120に記載されたIMEIをもとにプリント配線基板110のPWB製造番号を把握することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
GSM(Global System for Mobile Communications)やW−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)に対応する携帯電話では、端末ごとにIMEI(International Mobile Equipment Identifier)と呼ばれる端末識別番号が割り振らている(たとえば、特許文献1参照)。このIMEIは、携帯電話内部にあるメモリに書き込まれており、利用者が携帯電話を用いて発呼する際には、メモリから読み出したIMEIをキャリアに送信する。このため、キャリアは、電波を受信した基地局の場所と、受信したIMEIとに基づいて、各携帯電話がどこに位置するのかを容易に把握でき、携帯電話の不正な使用の防止に役立っている。
【0003】
IMEIは、図4に示すように、15桁の数字から構成されている。初めの6桁の数字はメーカーおよび機種を示すTAC(Type Approval Code)であり、次の2桁の数字は最終的な製造場所を示すFAC(Final Assembly Code)であり、続く6桁の数字はシリアルナンバーに相当するSNR(Serial Number)であり、最後の1桁の数字はIMEIの内容が正しいか否かを検証するCD(Check Digit)である。
通常、図5および図6に示すように、携帯電話100の筐体101のうちバッテリ106を収納可能な凹部108に、IMEIが記載された銘板ラベル120が貼られている。このため、凹部108からバッテリ106を取り外せば銘板ラベル120からIMEIを確認することができる。また、所定のボタン操作をすることによって携帯電話100のディスプレイ部104にて確認することもできる。
【0004】
次に、従来の携帯電話100の構成を説明する。
携帯電話100は、プリント配線基板110を内蔵している。このプリント配線基板110は、図7に示すように、IMEIを記憶可能なメモリ111や,外部電源と接続可能なコネクタ112,情報処理を行なうCPU113,バッテリ106に対する充電を行なう充電制御IC114,RFスイッチ115,その他の機能を受け持つ機能部116などから構成されている。
【0005】
プリント配線基板110には固有の製造番号(以下、「PWB製造番号」という。)が割り振られている。通常、プリント配線基板110の上に、図8に示すように、バーコード表示部118aやPWB製造番号表示部118bを有するラベル118が貼られているので、このラベル118によりPWB製造番号を確認できる。
PWB製造番号は、メーカーが保有するデータベースサーバによって、プリント配線基板110の製造年月日や製造台数番号,CPU113の型番などの種々の情報と紐づけられており、主に、携帯電話100(プリント配線基板110)に不具合が見つかった際の追跡調査をするために用いられている。PWB製造番号と紐付けがなされたデータファイルの一例を表1に示す。
【0006】
【表1】

【0007】
上述したPWB製造番号は、メーカーが保有するデータベースにより、携帯電話100のIMEIとも紐付けされて管理されている。
従来の、携帯電話100のIMEIと、プリント配線基板110のPWB製造番号との間の相関関係を示すデータファイルの一例を表2に示す。たとえば、IMEIの「123456780000019」に対して、PWB製造番号として「903009」が紐付けされていることが分かる。ここで、PWB製造番号の「903009」は、携帯電話100は、09年03月に009番目に製造されたものであることを意味しており、PWB製造番号から携帯電話100の製造年月や製造された順番を把握することができるよう構成されている。
【0008】
【表2】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特願2006−270209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の手法では、PWB製造番号と端末識別番号(IMEI)との間にはさしたる相関関係はないため、PWB製造番号と端末識別番号とのうちいずれか一方をもとに他方を確認するためには、メーカーが保有するデータベースにより検索を行なう必要があった。このため、メーカーが保有するデータベース・サーバが保守・点検作業中である場合や、クライアント端末を使用できない場合など、データベースを利用できないときには、PWB製造番号と端末識別番号とのうちいずれか一方をもとに他方を確認することはできなかった。
また、検索を行おうとした者のデータベースに対するアクセス権が制限されていて、端末識別番号とPWB製造番号との間の相関関係が紐付けされたデータファイルにアクセスできない場合には、たとえ端末識別番号が分かっていたとしても、PWB製造番号と紐付けされた情報を参照することができなかった。
さらに、携帯電話100を製造する段階では、プリント配線基板110のPWB製造番号と、携帯電話100の端末識別番号との相関関係を誤った状態でデータベースに入力してしまった場合、誤りのある箇所を発見しづらかった。
【0011】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、ことさらメーカーが保有するデータベースにて検索を行なうことなく、端末識別番号とPWB製造番号とのうちいずれか一方に基づいて他方を確認することを可能とする携帯電話を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明にかかる携帯電話は、固有のPWB製造番号が付与されたプリント配線基板を内蔵し、前記内蔵するプリント配線基板の前記PWB番号に基づく固有の端末識別番号を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる携帯電話の製造方法は、プリント配線基板に対して固有のPWB製造番号を付与し、前記プリント配線基板の前記PWB製造番号に基づく固有の端末識別番号をこのプリント配線基板を内蔵する携帯電話に付与することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる携帯電話では、内蔵するプリント配線基板のPWB製造番号に基づく端末識別番号を携帯電話に付与しているので、端末識別番号とPWB製造番号とのうちいずれか一方をもとに他方を確認することが可能となる。このため、PWB製造番号と端末識別番号とを紐付けするデータベースを利用できないときでも、PWB製造番号と端末識別番号とのうち何れか一方をもとに他方を照合でき、より機能的に携帯電話を管理することが可能となる。
【0015】
また、本発明にかかる携帯電話の製造方法では、プリント配線基板に対して固有のPWB製造番号を付与し、前記プリント配線基板の前記PWB製造番号に基づく固有の端末識別番号をこのプリント配線基板を内蔵する携帯電話に付与するので、携帯電話に端末識別番号を付与する際に、PWB製造番号と端末識別番号との間に所定の相関関係が成立しているか否かを確認することにより、PWB製造番号と端末識別番号とを誤って組み合わせてしまうことや、データベースに対するデータの誤入力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる携帯電話の構成を説明するための図である。
【図2】本発明の実施の形態2にかかる携帯電話を製造する手順の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態3にかかる携帯電話を製造する手順の一例を示す図である。
【図4】IMEI(端末識別番号)の構成を説明するための図である。
【図5】携帯電話の構成を説明するための図である。
【図6】携帯電話の筐体に貼られている銘板ラベルを示す図である。
【図7】携帯電話が内蔵するプリント配線基板を説明するためのブロック図である。
【図8】プリント配線基板に貼られているラベルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態1について詳細に説明する。
本発明の実施の形態1にかかる携帯電話100は、内蔵するプリント配線基板110のPWB製造番号に基づいてIMEI(端末識別番号)を付与したものである。
なお、携帯電話100やプリント配線基板110,ラベル118,銘板ラベル120などについては背景技術の説明で用いたものと共通するため、これらについては背景技術と同じ符号を用いるとともに、その詳しい説明は省略する。
【0018】
実施の形態1における携帯電話100では、図1に示すように、筐体101にはIMEIが記載された銘板ラベル120が貼られており、この筐体101に格納されるプリント配線基板110にはPWB製造番号が記載されたラベル118が貼られている。なお、プリント配線基板110が搭載するメモリ111には、銘板ラベル120に記載されたのと同じIMEIが記憶されている。
【0019】
実施の形態1にかかる携帯電話100では、筐体101に貼られた銘板ラベル120は外部から視認できるのに対し、プリント配線基板110は筐体101の内部に格納されているので、プリント配線基板110に貼られたラベル118を外部から視認できない。このため、銘板ラベル120に記載されたIMEIを確認するのは容易にであっても、ラベル118に記載されたPWB製造番号を確認するのは容易ではないとも思われる。
しかしながら、実施の形態1に係る携帯電話100では、プリント配線基板110のPWB製造番号に基づいて携帯電話100のIMEIを付与しているので、PWB製造番号とIMEIとを紐付けしているデータベースを利用できないときでも、銘板ラベル120に記載されたIMEIをもとにプリント配線基板110のPWB製造番号を把握することができる。
【0020】
また、実施の形態1にかかる携帯電話100を製造するとき、なかでも筐体101にプリント配線基板110を格納する段階において、プリント配線基板110に貼られたラベル118から読み取られるPWB製造番号と、携帯電話100の筐体101に貼られた銘板ラベル120から読み取られるIMEIとの間に一定の相関関係が成立しているか否かを目視で確認することにより、プリント配線基板110と携帯電話100とを誤って組み合わせてしまうことを低減できる。
さらに、PWB製造番号とIMEIとを紐付けするデータをメーカーが保有するデータベースに入力する際、入力するデータに上述の相関関係が成立しているか否かをモニター上で目視にて確認することにより、データの誤入力を低減できる。
【0021】
以上、本発明の実施の形態1に係る携帯電話100によれば、筐体101に貼られている銘板ラベル120からIMEIを確認し、IMEIに含まれるシリアルナンバーをもとに、データベースを利用できないときでもPWB製造番号を把握することができる。したがって、携帯電話100の管理機能が高まる。
また、携帯電話100を製造するとき、メモリ111やデータベースに入力したデータに上述の相関関係が成立しているか否かを目視にて確認することにより、プリント配線基板110と筐体101に貼られた銘板ラベル120との組み合わせの間違いや、メモリ111およびデータベースに対するデータの誤入力を低減できる。
【0022】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について詳細に説明する。
本発明の実施の形態2にかかる携帯電話100も、内蔵するプリント配線基板110のPWB製造番号に基づいてIMEIを付与したものである。
なお、携帯電話100やプリント配線基板110,ラベル118,銘板ラベル120などについては背景技術の説明で用いたものと共通するため、これらについては背景技術と同じ符号を用いるとともに、その詳しい説明は省略する。
【0023】
実施の形態2にかかる携帯電話100では、下記の表3に示すように、プリント配線基板110に付与したPWB製造番号と、携帯電話100に付与したIMEIに含まれるシリアルナンバーとが一致している。このため、ことさらデータベースによる検索を行なわなくても、IMEIに含まれるシリアルナンバーから、PWB製造番号を把握することができる。
また、IMEIのシリアルナンバー以外の部分は、メーカーや機種によって予め固定されているものであり、最後尾にあるCDはそれ以外の14桁の数字から所定の演算により定まる数字であるから、PWB製造番号(IMEIのシリアルナンバーと一致する)をもとに、IMEIを調べることも可能である。
【0024】
【表3】

【0025】
次に、実施の形態2にかかる携帯電話100を製造する手順の一例を主に図2を参照しながら説明する。
【0026】
まず、ラベル118,銘板ラベル120を印刷する(ステップS210)。ここで、携帯電話100に割り振るIMEIを予め確認しておき、銘板ラベル120に記載されたIMEIを携帯電話100に割り振るべきIMEIと一致させておき、ラベル118に記載されたPWB製造番号もIMEIのシリアルナンバーと一致させておくことに留意する。
【0027】
次いで、用意したプリント配線板110に対してラベル118を貼り付ける(ステップS220)。
【0028】
この後、銘板ラベル120に記載されたIMEIに含まれるシリアルナンバーと、ラベル118に記載されたPWB製造番号とが互いに一致する銘板ラベル120とプリント配線基板110との対を取り出す(ステップS230)。
【0029】
続いて、図示しないデータベース・サーバに接続されたクライアント端末と、取り出したプリント配線基板110とを互いに接続し、取り出した銘板ラベル120に記載されているIMEIを、クライアント端末を操作することによりメモリ111に入力し、同時に、製造した順番と、メモリ111に入力したIMEIと、ラベル118に記載されたPWB製造番号と、製造をした年月とを、それぞれデータベースに対して、「製造台数番号」、「IMEI」、「PWB製造番号」、「製造年月」などの情報を入力する(ステップS240)。
こうした作業は、クライアント端末に接続されたバーコードリーダを用いて、銘板ラベル120上のバーコード表示部120aからIMEIのデータを読み取り、さらにプリント配線基板110に貼られているラベル118上のバーコード表示部118aからPWB製造番号を読み取り、こうして読み取ったデータをメモリ111やデータベースに入力することができる。また、バーコードリーダがなければ、ラベル118のPWB製造番号表示部118bや、銘板ラベル120のIMEI表示部120bを目視により確認して手作業により行なうこともできる。
【0030】
この後、メモリ111に入力したデータと、データベースに入力したデータに誤りがあるか否かをクライアント端末のモニター上で確認し、もしデータ入力ミスがあった場合にはステップS230の処理に戻って、取り出したプリント配線基板110と銘板ラベル120との対に誤りがないかを確認する(ステップS250)。
仮にデータ入力ミスがあった場合、クライアント端末のモニター上には、上述した相関関係が保たれていない「IMEI」と「PWB製造番号」とが表示されるので、作業者はこの二つのデータの相関関係の有無を目視で確認することによって、メモリ111やデータベースへの誤入力を抑制することができる。
【0031】
こうしてメモリ111やデータベースに入力したデータに誤りがないことを確認した後に、銘板ラベル120を筐体101の凹部108に貼ると共に、プリント配線基板110を筐体101の内部に組み込む(ステップS260)。こうして、内蔵するプリント配線基板110のPWB製造番号に対応するIMEIが割り振られた実施の形態2にかかる携帯電話100が得られる。
【0032】
上述したステップS230〜S260の処理を繰り返して、製造した実施の形態2にかかる携帯電話100の製造台数番号が製造予定台数に達したのを確認してから(ステップS270)、本ルーチンを終了する。
このようにして、製造予定台数分の実施の形態2にかかる携帯電話100を得る。
【0033】
以上、本発明の実施の形態2にかかる携帯電話100によれば、筐体101に貼られている銘板ラベル120からIMEIを確認し、IMEIに含まれるシリアルナンバーをもとに、データベースを利用できないときでもPWB製造番号を把握することができる。したがって、携帯電話100の管理機能が高まる。
また、実施の形態2にかかる携帯電話100を製造するとき、図2のステップS250の処理において、メモリ111やデータベースに入力したデータに上述の相関関係が成立しているか否かをクライアント端末のモニター上で目視にて確認することにより、プリント配線基板110と筐体101に貼られた銘板ラベル120との組み合わせの間違いや、メモリ111およびデータベースに対するデータの誤入力を低減できる。
【0034】
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3について詳細に説明する。
本発明の実施の形態3にかかる携帯電話100も、内蔵するプリント配線基板110のPWB製造番号に基づいてIMEIを付与したものである。
なお、携帯電話100やプリント配線基板110,ラベル118,銘板ラベル120などについては背景技術の説明で用いたものと共通するため、これらについては背景技術と同じ符号を用いるとともに、その詳しい説明は省略する。
【0035】
本発明の実施の形態3にかかる携帯電話100では、下記の表4に示すように、携帯電話100のIMEIに含まれるシリアルナンバーは、プリント配線基板110のPWB製造番号と一致しており、同時に製造台数番号とも一致している。このため、ことさらデータベースによる検索を行なわなくても、IMEIに含まれるシリアルナンバーから、PWB製造番号だけでなく、製造台数番号も把握することができる。
また、IMEIのシリアルナンバー以外の部分は、メーカーや機種によって予め固定されているものであり、最後のCDはそれ以外の14桁の数字から所定の演算により定まる数字であるから、PWB製造番号(IMEIのシリアルナンバーと一致する)や製造台数番号をもとに、IMEIを調べることも可能である。
【0036】
【表4】

【0037】
次に、実施の形態3にかかる携帯電話100を製造する手順の一例を主に図3を参照しながら説明する。
【0038】
まず、ラベル118,銘板ラベル120を印刷する(ステップS310)。ここで、携帯電話100の製造予定台数を予め確認しておき、ラベル118に記載されたPWB製造番号を製造予定台数の範囲内に収め、さらに、銘板ラベル120に記載されたIMEIに含まれるシリアルナンバーも製造予定台数の範囲内に収めておくことに留意する。
【0039】
次いで、用意したプリント配線基板110に対してラベル118を貼り付ける(ステップS320)。
【0040】
この後、製造台数番号に対応するプリント配線基板110と銘板ラベル120との対を取り出す(ステップS330)。
ここで、製造台数番号は、製造した順番を表す番号である。製造を開始する際には製造台数番号は「000001」であるから、PWB製造番号として「000001」が記載されたラベル118が貼られたプリント配線基板110と、シリアルナンバーが「000001」であるIMEIが記載された銘板ラベル120との対を取り出す。
【0041】
続いて、図示しないデータベース・サーバに接続されたクライアント端末と、取り出したプリント配線基板110とを互いに接続し、取り出した銘板ラベル120に記載されているIMEIを、クライアント端末を操作することによりメモリ111に入力し、同時に、製造した順番と、メモリ111に入力したIMEIと、ラベル118に記載されたPWB製造番号と、製造をした年月などの情報を、それぞれデータベースの「製造台数番号」、「IMEI」、「PWB製造番号」、「製造年月」などとして入力する(ステップS340)。こうした作業は、実施の形態2で説明した図2のステップS240と同様、バーコードリーダを用いてもいいし、手作業により行なってもよい。
【0042】
この後、メモリ111に入力したデータと、データベースに入力したデータに誤りがあるか否かをクライアント端末のモニター上で確認し、もしデータ入力ミスがあった場合にはステップS330の処理に戻って取り出したプリント配線基板110と銘板ラベル120との対に誤りがないかを確認する(ステップS350)。
クライアント端末のモニター上には、データベースに入力した「製造台数番号」と、「IMEI」と、「PWB製造番号」とが表示されるが、本来、この三つのデータは互いに上述の相関関係が保たれているはずである。このため、作業者はこの三つのデータの相関関係の有無を目視で確認することによって、メモリ111やデータベースへの誤入力を抑制することができる。実施の形態3の場合、「IMEI」と「PWB製造番号」との間だけではなく、「製造台数番号」を含んだ三つのデータの間で相関関係を有しているので、より容易に入力ミスを発見することができる。このため、メモリ111やデータベースへの誤入力をより抑制できる。
【0043】
こうしてメモリ111やデータベースに入力したデータに誤りがないことを確認した後に、銘板ラベル120を筐体101に貼ると共に、プリント配線基板110を筐体101の内部に組み込む(ステップS360)。こうして、内蔵するプリント配線基板110のPWB製造番号に対応するIMEIが割り振られた実施の形態3にかかる携帯電話100が得られる。
【0044】
こうして実施の形態3にかかる携帯電話100が得られたあと、上述したステップS330の処理に戻り、製造台数番号を「000002」として次の携帯電話100の製造に取りかかる。このように、上述したステップS330〜S360の処理を繰り返して、製造した携帯電話100の製造台数番号が製造予定台数に達したのを確認してから(ステップS370)、本ルーチンを終了する。
このようにして、製造予定台数分の実施の形態3にかかる携帯電話100を得ることができるのである。
【0045】
以上、本発明の実施の形態3にかかる携帯電話100によれば、筐体101に貼られている銘板ラベル120からIMEIを確認し、IMEIに含まれるシリアルナンバーをもとに、データベースを利用できないときでもPWB製造番号や製造台数番号を把握することができる。したがって、携帯電話100の管理機能が高まる。
また、実施の形態3にかかる携帯電話100を製造するとき、図3のステップS350の処理において、メモリ111やデータベースに入力したデータに上述の相関関係が成立しているか否かをモニター上で目視にて確認することにより、プリント配線基板110と筐体101に貼られた銘板ラベル120との組み合わせの間違いや、メモリ111およびデータベースに対するデータの誤入力を低減できる。
【0046】
[変形例]
なお、上述した実施の形態では、PWB製造番号は、IMEIのシリアルナンバーと同様6桁の数字であるものとして説明したが、携帯電話100の製造台数が少ない場合には、たとえば4桁や5桁などでもよい。たとえば、IMEIのシリアルナンバーを4桁までしか使用していない場合には、PWB製造番号は少なくとも4桁あれば十分である。
【0047】
また、上述した実施の形態では、携帯電話100の端末識別番号として「IMEI」を用いて説明したが、GSM方式やW−CDMA方式以外の方式ではIMEIとは異なる携帯の端末識別番号を用いる場合があり、このような場合でも、端末識別番号とPWB製造番号との間に相関関係を持たせることができる。さらに、端末識別番号と、PWB製造番号と、製造台数番号との三者間に相関関係を持たせることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、携帯電話の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
100…携帯電話、101…筐体、102…キー操作部、104…ディスプレイ部、106…バッテリ、108…凹部、110…プリント配線基板、111…メモリ、112…コネクタ、113…CPU、114…充電制御IC、115…RFスイッチ、116…機能部、118…ラベル、118a…バーコード表示部、118b…PWB製造番号表示部、120…銘板ラベル、120a…バーコード表示部、120b…IMEI表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有のPWB製造番号が付与されたプリント配線基板を内蔵し、
前記内蔵するプリント配線基板の前記PWB番号に基づく固有の端末識別番号が付与されている
ことを特徴とする携帯電話。
【請求項2】
請求項1に記載された携帯電話において、
前記端末識別番号は、IMEIである
ことを特徴とする携帯電話。
【請求項3】
請求項2に記載された携帯電話において、
前記IMEIに含まれるシリアルナンバーと、前記PWB製造番号とが等しい
ことを特徴とする携帯電話。
【請求項4】
請求項3に記載された携帯電話において、
前記PWB製造番号と、前記IMEIに含まれるシリアルナンバーとは、それぞれ前記携帯電話の製造順序と等しい
ことを特徴とする携帯電話。
【請求項5】
プリント配線基板に対して固有のPWB製造番号を付与し、
前記プリント配線基板の前記PWB製造番号に基づく固有の端末識別番号をこのプリント配線基板を内蔵する携帯電話に付与する
ことを特徴とする携帯電話の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載された携帯電話の製造方法において、
前記端末識別番号は、IMEIである
ことを特徴とする携帯電話の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載された携帯電話の製造方法において、
前記IMEIに含まれるシリアルナンバーと、前記PWB製造番号とが等しい
ことを特徴とする携帯電話の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載された携帯電話の管理方法において、
前記PWB製造番号と前記IMEIに含まれるシリアルナンバーとは、それぞれ前記携帯電話の製造順序と等しい
ことを特徴とする携帯電話の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−19151(P2011−19151A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163502(P2009−163502)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】