説明

携帯電話の操作支援装置

【課題】携帯電話を直接操作することなく携帯電話の操作支援情報を生成して携帯電話の使用者の操作支援を可能にする技術を提供する。
【解決手段】携帯電話の操作支援要求に応じて、この携帯電話を模した仮想の携帯電話の操作環境を所定の情報処理装置に提供する提供部と、仮想の携帯電話の操作環境を用いて操作支援要求に応じた携帯電話の操作を実現するための入力手順に従って入力された少なくとも1つの操作入力に基づく操作支援情報を生成する生成部と、生成部で生成された操作支援情報を前記携帯電話へ送信する送信部とを備える携帯電話の操作支援装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話の使用者への操作支援に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、携帯電話には、操作マニュアルが付属している。携帯電話の使用者(購入者)は、この操作マニュアルの参照により携帯電話の操作を習得し、目的に応じた操作を行う。
【0003】
操作マニュアルの内容は、携帯電話の機能の増加に伴って複雑になっている。このため、使用者が操作マニュアルを読んだだけでは、携帯電話の操作を十分に理解しえない状況が起こり得る。このような状況は、使用者が高齢者である場合にしばしば起こり得ると考えられる。
【0004】
上記状況を解決するために、携帯電話の使用者が他者(例えば家族)に操作方法を尋ねることが考えられる。しかし、携帯電話の操作方法は、その機種によって大きく異なることが少なくない。したがって、質問対象の携帯電話が、質問された人が保有する携帯電話と別機種である場合は、質問された人も操作方法が解らないことがある。また、次々と新機種が発売される携帯電話の操作を全て熟知するのは不可能である。
【0005】
また、家族とは離れて暮らしている高齢者の場合、電話などで説明を求める場合も考えられる。しかし、電話では、実際の携帯電話の動作を確認できず、説明する家族も説明しづらい。
【0006】
そこで、携帯電話を遠隔操作するシステムが考えられる。しかし、携帯電話の遠隔操作のためには、携帯電話の操作環境及び状態をリアルタイムに遠隔操作者に知らせるとともに、遠隔操作者から入力される操作内容をリアルタイムで携帯電話に入力するための通信設備が必要である。このため、遠隔操作に係る費用は高額となることが予想される。さらに、携帯電話を遠隔から操作する場合には、携帯電話の個人情報(携帯メールの履歴など個人的なもの)が遠隔操作者の意志に拘わらず知られてしまうというプライバシーの問題が発生する虞があった。
【特許文献1】特開2005−33776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本案の目的は、携帯電話を直接操作することなく携帯電話の操作支援情報を生成して携帯電話の使用者の操作支援を可能にする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本案の態様の一つは、携帯電話の操作支援装置であって、携帯電話の操作支援要求に応じて、この携帯電話を模した仮想の携帯電話の操作環境を所定の情報処理装置に提供する提供部と、
前記仮想の携帯電話の操作環境を用いて前記操作支援要求に応じた前記携帯電話の操作を実現するための入力手順に従って入力された少なくとも1つの操作入力に基づく操作支援情報を生成する生成部と、
前記生成部で生成された前記操作支援情報を前記携帯電話へ送信する送信部と
を備える。
【0009】
上記態様によれば、携帯電話の操作支援装置によって仮想の携帯電話の操作環境が所定
の情報処理装置に提供される。この仮想の携帯電話の操作環境を用いて、操作支援要求に応じた携帯電話の或る操作を実現するための入力手順に従い、或る操作を実現するために必要な数の操作入力(例えば、携帯電話のボタン操作)を行うことができる。すると、操作支援装置は、その入力手順に従った操作入力に基づく操作支援情報を生成し、携帯電話に送信する。携帯電話では、操作支援情報に基づき、或る操作を実現するための入力手順が示されることで、操作に不慣れなユーザでも、所望の操作を実施することが可能となる。
【0010】
このとき、携帯電話を直接操作するのではなく、携帯電話を模した仮想の携帯電話の操作環境を用いて操作支援情報が作成される。このため、操作中に携帯電話の所有者の個人情報を含む画面が表示されてしまい、支援者にその個人情報が見られてしまうことがない。よって、携帯電話の所有者の個人情報を保護することができる。
【0011】
本案の態様の一つは、携帯電話であって、点灯及び消灯可能な複数の入力ボタンと、
或る操作に対する操作支援要求を操作支援装置に送信する送信部と、
前記操作支援要求に応じた操作を実現するための少なくとも1つの操作入力に基づく操作支援情報を前記操作支援装置から受信する受信部と、
前記操作支援情報に基づいて前記或る操作を実現する入力を促すための、各入力ボタンに対する点灯及び消灯の制御を行う制御部とを備える。
【0012】
上記態様によれば、操作支援情報に基づいてある操作を実現する入力を促すために、各入力ボタンを点灯及び消灯の制御を行うので、携帯電話のユーザは、この入力ボタンの点灯及び消灯に従って入力ボタンを操作することで、所望の操作を実行することができる。従って、携帯電話のユーザに対して、操作支援を行うことができる。
【0013】
また、前記制御部は、前記或る操作の実現のために入力が必要な入力ボタンとその他の入力ボタンとを区別可能な態様で前記各入力ボタンの点灯及び消灯の制御を行うとともに、前記入力が必要な入力ボタン以外の入力ボタンの操作を無効化するようにしてもよい。このようにすることで、入力ボタンの押し間違いによる誤動作を防ぐことができる。
【0014】
本案は、他の態様として、上記した携帯電話の操作支援情報生成装置と同様の特徴を有する携帯電話操作支援方法、携帯電話操作支援プログラム、及びこのようなプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を含むことができる。
【発明の効果】
【0015】
本案の態様によれば、携帯電話を直接操作することなく携帯電話の操作支援情報を生成して携帯電話の使用者の操作支援を可能にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基づいて、携帯電話操作装置の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、携帯電話操作装置は実施形態の構成には限定されない。
【0017】
<第1実施形態>
《第1実施形態の概要》
図1は、操作支援装置を含む携帯電話操作支援システムの第1実施形態を示す図である。図1において、携帯電話操作支援システムは、携帯電話端末1(以下、携帯電話1と称する)と、携帯電話1から離れた位置(遠隔地)に存在する端末2と、サーバ3とを備える。携帯電話1と端末2とは、ネットワークを介して通信可能となっており、サーバ3は、携帯電話1及び端末2とネットワークを介して通信可能となっている。サーバ3は、例えば、携帯電話のユーザをサポートするための情報を提供する装置として、例えば、携帯電話1のメーカによって運営される。
【0018】
携帯電話1は、例えば、携帯電話の操作にあまり精通していない高齢者が保有する携帯電話である。端末2は、例えば、携帯電話1の保有者の家族(例えば子供)が保有する端末である。端末2は、例えば、パーソナルコンピュータのような情報処理装置(コンピュ
ータ)である。端末2の操作者である家族は、携帯電話1の保有者である高齢者より携帯
電話の操作に精通していると考えられる(想定する)。
【0019】
携帯電話1の保有者(使用者)は、携帯電話の操作に精通していないため、目的に合った操作を行えない場合がある。その場合には、携帯電話1から端末2に対して、目的を実現する操作を問い合わせる。
【0020】
問い合わせを受けた端末2は、サーバ3にアクセスし、携帯電話1の機種に対応するエミュレータ4を起動させる。端末2は、サーバ3上で起動したエミュレータ4の画面情報をネットワークを介して受信することで、エミュレータ4により提供される仮想の携帯電話を操作することができる。即ち、端末2に仮想の携帯電話の操作環境が提供される。端末2の操作者は、このエミュレータ4を端末2の画面上で操作する。端末2の操作者は、携帯電話1の使用者の目的を実現する操作をエミュレータ4に入力する。エミュレータ4は、端末2の操作者が入力した操作の情報を携帯電話1に送信する。具体的には、端末2の操作者がエミュレータ4上で押下した入力ボタンと押下した入力ボタンの順番を携帯電話1に送信する。
【0021】
携帯電話1では、サーバ3上のエミュレータ4から受信する情報に従って、携帯電話1に設けられた複数の入力ボタンの点灯及び消灯状態を制御することで、エミュレータ4に入力された入力手順が携帯電話1上で再現されるようにする。例えば、携帯電話1は、入力(押し下げ)すべき入力ボタンを点灯又は点滅(以下、点灯には点滅も含むものとする)させ、その他の入力ボタンを消灯させる。このような入力ボタンの点灯及び消灯制御が操作を実現するのに必要なボタン入力毎に行われる。
【0022】
このようにして、携帯電話1は、携帯電話1のユーザに対して操作ガイドとなる入力ボタンの点灯及び消灯制御を通じて、端末2の操作者がエミュレータ4に対して行った操作を、携帯電話1上で携帯電話のユーザに再現させることができる。携帯電話1の使用者は、点灯状態の入力ボタンを押していくことによって、最終的に目的に合った操作を行うことができる。また、携帯電話1が各入力ボタンを点灯(点滅を含む)又は消灯させることにより操作ガイドを行う機能を「光ガイド機能」と称する。
【0023】
携帯電話操作支援システムにおいて、携帯電話1と端末2、及び、携帯電話2とサーバ3は携帯電話網を介して通信を行う。これらの通信は、例えば、携帯電話網で一般的に用いられるSMS(Short Message Service)を用いて実現される(以降、「制御メール」と称する)。
【0024】
また、携帯電話操作支援システムにおいて、端末2とサーバ3との間の通信は、例えば、インターネット網を用いたHTTP(Hypertext Transfer Protocol)による通信で実現される。
【0025】
《第1実施形態の構成》
図2は、携帯電話1の機能ブロック図である。携帯電話1は、無線通信部11と、制御メール送受信部12と、制御メール処理部13と、機種情報格納部14と、表示画面部15と、表示画面制御部16と、入力部17と、入力制御部18と、を備える。
【0026】
無線通信部11(態様における「送信部」「受信部」)は、携帯電話網からの音声デー
タや制御データ等のデータを無線で受信又は送信する。無線通信部11は、例えば、携帯電話のアンテナ等である。無線通信部11は、制御メールを受信すると、制御メール送受信部12に転送する。
【0027】
制御メール送受信部12は、無線通信部11と制御メール処理部13との間のSMSの制御メールをやり取りするインターフェイスである。制御メール送受信部12は、無線通信部11から制御メールを受信すると、制御メール処理部13に転送する。制御メール送受信部12は、制御メール処理部13から制御メールを受信すると無線通信部11へ転送する。
【0028】
機種情報格納部14は、携帯電話1の機種メーカコードと機種コードとを格納する。機種メーカコードは、携帯電話1の製造メーカを示す識別情報である。機種コードは、携帯電話1の機種を示す識別番号である。機種情報格納部14は、ROM(Read Only Memory)などのメモリで実現される。
【0029】
制御メール処理部13は、受信した制御メールの解析及び制御メールの生成を行う。制御メール処理部13が扱う制御メールには、「操作問合せ」、「機種識別問合せ」、「機種識別応答」、「操作キー通知」、「操作完了」の制御メールがある。
【0030】
操作問合せの制御メール(態様における「操作支援要求」に相当)は、携帯電話支援情報システムの起動のトリガとなる制御メールである。操作問合せの制御メールは、携帯電話1から端末2へ送信される。
【0031】
機種識別問合せの制御メールは、携帯電話1から操作問合せの制御メールを受信した端末2が、携帯電話1の機種に関する情報を得るために用いられる。機種識別問合せの制御メールは、端末2から携帯電話1へ送信される。
【0032】
機種識別応答の制御メールは、機種識別問合せの制御メールに対する応答である。機種識別応答の制御メールは、携帯電話1の機種メーカコードと機種コードとを含む。機種識別応答の制御メールは、携帯電話1から端末2へ送信される。
【0033】
操作キー通知の制御メールは、エミュレータ4に対して端末2の操作者が入力した操作(押下した入力ボタンとその順序)に関する情報(操作支援情報)を含む。操作キー通知の制御メールは、エミュレータ4から携帯電話1へ送信される。
【0034】
操作完了の制御メールは、携帯電話1が操作支援情報によって、目的の操作を完了した場合に、操作の完了を通知する。操作完了の制御メールは、携帯電話1から端末2へ送信される。
【0035】
制御メール処理部13は、入力制御部18からヘルプボタンHBの押下が通知された場合に、操作問合せの制御メールを生成する。制御メール処理部13は、生成した操作問合せの制御メールを、制御メール送受信部12を通じて、端末2に送信する。
【0036】
制御メール処理部13は、端末2から機種識別問合せの制御メールを受信した場合は、機種情報格納部14から機種メーカコードと機種コードとを読み出し、これらを含めて機種識別応答の制御メールを生成する。制御メール処理部13は、生成した機種識別応答の制御メールを、制御メール送受信部12を通じて、端末2に送信する。
【0037】
制御メール処理部13は、サーバ3から操作キー通知の制御メールを受信した場合は、操作キー通知に含まれたキー操作情報を読み出し、入力制御部18に送信する。これとと
もに、光ガイドの開始を表示画面制御部16と入力制御部18とに指示する(光ガイドの起動)。
【0038】
表示画面制御部16は、表示画面部15の制御を行う。表示画面部15は、表示画面制御部16からの画面情報に従って、画像を表示する。表示画面部15は、携帯電話1のディスプレイである。
【0039】
入力部17は、携帯電話1の入力ボタン、ヘルプボタンHB、及び各入力ボタンのバックライトを備える。入力ボタン(入力キー)には、数字キー、メニューキー、及びカーソルキー等がある。
【0040】
ヘルプボタンHB(図1参照)は、携帯電話1の使用者が目的に合った操作が分からなくなった場合に押下するボタンである。ヘルプボタンHBを押下すると、操作問い合わせの制御メールの送信処理が開始される。ヘルプボタンHBを押下した際の問い合わせ先は、携帯電話1を購入時、又は、携帯電話支援情報システムのサービスへの加入契約時に登録される。
【0041】
バックライトは、点灯、点滅、消灯することで、携帯電話1の保有者(使用者)にその入力ボタンの押下を促す。バックライトは、例えば、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)で実現される。
【0042】
入力制御部18(態様における「制御部」)は、入力部17からの入力ボタン及びヘルプボタンHBの押下による入力信号を検知し、制御メール処理部13へ通知する。入力制御部18は、制御メール制御部13から操作支援情報を受信し、光ガイド機能を開始する。入力制御部18は、操作支援情報に含まれるキー操作情報の順番に従って、入力部17に対し、バックライトを点灯及び消灯制御する入力ボタンを指示する。入力制御部18は、指示した入力ボタン以外からの入力ボタンの押下による入力信号をマスクする。入力制御部18は、バックライトの点灯及び消灯制御している入力ボタン以外の入力ボタンの押下を無効にする。入力制御部18は、バックライトの点灯及び消灯制御している入力ボタンが押下されたときのみ、次の操作の入力ボタンのバックライトの点灯及び消灯制御するよう指示する。
【0043】
制御メール送受信部12と、制御メール処理部13と、表示画面制御部16と、入力制御部18とは、携帯電話1に実装されたCPUによって実現される機能である。
【0044】
図3は、端末2の機能ブロック図である。端末2は、例えば、携帯電話1と通信できる無線カードやモデムを備えたパーソナルコンピュータ、又は、インターネットのフルブラウザを表示可能な大画面を有する携帯電話などで実現できる。端末2は、携帯電話1と携帯電話網による無線通信を行う。端末2は、サーバ3とインターネット網を通じた通信を行う。図1において、端末2は、無線カードRCを備えたパーソナルコンピュータを例に示している。
【0045】
端末2(態様における「所定の情報処理装置」)は、無線通信部21と、制御メール通信部22と、制御メール処理部23と、URL格納部24と、処理部25と、IP通信部26と、表示制御部27Aと、表示部27Bと、入力受付部28Aと、キー入力部28Bとを備える。
【0046】
無線通信部21は、携帯電話網とのインターフェイスである。無線通信部21は、音声データ、制御メール、及びパケット通信など携帯電話と同等の通信を行うことができる。無線通信部21は、制御メールを受信した場合は、制御メール通信部22に転送する。無
線通信部21は、カード型の携帯電話やモデム型の携帯電話などで実現される。図1では、無線通信部21は、無線カードRCで表わされる。
【0047】
制御メール通信部22は、無線通信部21と制御メール処理部23との制御メールに関してのインターフェイスである。制御メール通信部22は、無線通信部21から制御メールを受信すると、制御メール処理部23に転送する。
【0048】
URL(Uniform Resource Locator)格納部24は、機種メーカコードと機種コードとエミュレータのURLとを対応付けて保持する。URL格納部24は、RAM(Read Only Memory)などのメモリで実現される。
【0049】
制御メール処理部23は、制御メールの解析及び生成を行う。制御メール処理部23は、携帯電話1から無線通信部21及び制御メール通信部22を介して操作問合せの制御メールを受信した場合は、機種識別問合せの制御メールを生成して、制御メール通信部22及び無線通信部21を介して携帯端末1に送信する。
【0050】
制御メール処理部23は、携帯電話1から無線通信部21及び制御メール通信部22を介して機種識別応答の制御メールを受信した場合は、機種識別応答から機種メーカコードと機種コードとを読み出す。制御メール処理部23は、読み出した機種メーカコードと機種コードとに対応したエミュレータのURLをURL格納部24から読み出す。読み出したURLを処理部25に送信する。
【0051】
IP通信部26は、インターネット網とのインターフェイスである。IP通信部26は、パーソナルコンピュータ等のLAN(Local Area Network)ポート又は無線カードRCが備える一つの機能として実現される。
【0052】
表示制御部27Aは、表示部27Bを制御する。表示部27Bは、表示制御部27Aから受信する画面情報に従って画面表示を行う。表示部27Bは、端末2のディスプレイである。
【0053】
キー入力部28Bは、端末2がパーソナルコンピュータである場合は、キーボード及びマウス等のポインティングデバイスである。端末2が、大画面携帯電話である場合には、入力ボタン(入力キー)などである。例えば、端末2がパーソナルコンピュータであり、キーボードのあるキーが押下された場合には、その入力信号を入力受付部28Aに送信する。入力受付部28Aは、キー入力部28Bからの入力信号を解析し、処理部25に送信する。
【0054】
処理部25は、制御メール処理部23と、IP通信部26と、入力受付部28Aから受信する情報の処理、及びその処理に基づいた出力を行う。処理部25は、制御メール処理部23からエミュレータのURLを受信した場合、そのURLを宛先としてIP通信部26を介してHTTP通信を行う。
【0055】
処理部25は、HTTP通信でサーバ3及びエミュレータ4から応答が返ってきた場合は、その応答に含まれる画面情報を表示制御部27Aに転送する。画面情報を受信した表示制御部27Aは、その画面情報に対応した画面を表示部27Bに表示させる。例えば、エミュレータ4からエミュレータの画面情報を受信すると、端末2は、表示部27Bに携帯電話1のエミュレータを表示する。
【0056】
処理部25は、エミュレータEMに対して入力された入力信号を、入力受付部28Aを介して受信した場合は、入力信号の内容をHTTP通信で送信する。例えば、表示部27
Bに表示された携帯電話1のエミュレータEMに対して操作を行った場合は、その都度、その操作情報をエミュレータ4に送信する。
【0057】
端末2の制御メール通信部22と、制御メール処理部23と、処理部25と、表示制御部27Aと、入力受付部28Aとは、端末2に実装されたCPUなどによって実現される機能である。
【0058】
図4は、サーバ3の機能ブロック図である。サーバ3は、携帯電話網とインターネット網との両方に接続している。サーバ3は、携帯電話1と携帯電話網による無線通信を行う。サーバ3は、インターネット網を通じて端末2と通信を行う。サーバ3は、例えば、通信事業者のサーバ又は携帯電話1の製造会社のサーバである。例えば、サーバ3は携帯電話1の製造会社のサーバである。サーバ3は、携帯電話の各機種のエミュレータ4を有する。エミュレータ4は、携帯電話の機能及び動作を模倣する装置、又は、プログラムとして実現可能である。
【0059】
サーバ3(態様における「操作支援装置」に相当)は、IP通信部31と、エミュレータ制御部33と、エミュレータ4とを含む。通信部31は、携帯電話網及びインターネット網とのインターフェイスである。通信部31は、端末2からのHTTP通信のパケットを受信すると、エミュレータ制御部33に送信する。
【0060】
エミュレータ制御部33(態様における「提供部」に相当)は、通信部31からHTTP通信のパケットを受信すると、そのパケットに含まれるURLに対応した機種のエミュレータ4を選択し起動する。また、端末2からHTTP通信の終了を示すパケットを受信すると、起動中のエミュレータ4を停止させる。
【0061】
エミュレータ4(態様における「携帯電話を模した仮想の携帯電話の操作環境」に相当)は、機種Aのエミュレータ4A、機種Bのエミュレータ4B、といったように、機種メーカが発売した携帯電話の機種の数だけ備えられる(特に区別しない場合は「エミュレータ4」と称す)。
【0062】
エミュレータ4は、IP通信部41と、画面送信部42と、エミュレータ部43と、キー操作受付部44と、操作情報生成部45と、操作履歴情報格納部46と、無線通信部47とを備える。
【0063】
IP通信部41は、インターネット網とのインターフェイスである。IP通信部41は、端末2と(サーバ3を介して)HTTP通信のデータを送信及び受信する。
【0064】
キー操作受付部44は、その都度送信される、端末2で行われたキー操作情報(端末2
上に表示されたエミュレータEMに入力された入力ボタンの情報、態様における「操作入力」に相当)を受信する。受信したキー操作情報をエミュレータ部43に送信するととも
に、操作履歴格納部46に格納する。
【0065】
エミュレータ部43は、該当機種の全ての機能及び動作を備える。具体的には、入力キーの押下に対する全ての携帯電話1の画面遷移情報を備える。エミュレータ部43は、キー操作受付部44からキー操作情報を受信した場合は、そのキー操作情報を解析する。エミュレータ部43は、押下された入力キーに対応する画面遷移を特定し、遷移後の画面を特定する。エミュレータ部43は、特定した画面の端末2への送信を指示する画面送信指示を画面送信部42に送信する。
【0066】
エミュレータ部43は、端末2から、エミュレータ4の操作の終了を示す操作終了通知
を受信した場合には、操作情報生成部45に操作終了を通知する。端末2からの操作終了通知は、エミュレータ4の操作終了を示す情報とともに、携帯電話1(操作支援情報の送信先となる)の情報も含む。エミュレータ部43は、操作終了の通知とともに携帯電話1の情報も操作情報生成部45に送信する。
【0067】
画面送信部42は、エミュレータ部43からの画面送信指示に従って、指定された画面を(図示しない画面格納部から)読み出し、IP通信部41へ送信する。例えば、エミュレータ4が起動された場合は、携帯電話1の機種Aの全体像を備える初期画面を送信する。その後、端末2からキー操作情報を受信した場合は、エミュレータ部43によって特定された、遷移後の表示画面を送信する。
【0068】
操作履歴格納部46は、端末2から受信したキー操作情報を格納する。操作履歴格納部46は、RAMなどの揮発性のメモリで実現される。操作履歴格納部46に格納された情報は、エミュレータ4の停止と共に消去される。
【0069】
操作情報生成部45(態様における「生成部」に相当)は、エミュレータ部43から操作終了を通知されると、操作履歴格納部46に格納された少なくとも1つのキー操作情報を読み出す。読み出したキー操作情報を元に操作支援情報を生成する。操作情報生成部45は、生成した操作支援情報を制御メールの形式に変換し、操作キー通知の制御メールを生成する。操作情報生成部45は、生成した制御メールを無線通信部47に送信する。
【0070】
無線通信部47(態様における「操作支援装置」の「送信部」に相当)は、携帯電話網とのインターフェイスである。無線通信部47は、操作情報生成部45から受信した操作キー通知の制御メールを携帯電話1に送信する。
【0071】
図5は、端末2の表示部27B上に表示されるエミュレータの例を示す図である。端末2の表示部27B上には、例えば、携帯電話1のエミュレータを操作する画面を有するブラウザBRが表示される。ブラウザBRは、携帯電話1と同一機種の携帯電話の全体像(エミュレータEM)を表示する。端末2の操作者が、例えば、マウスなどを使用してポインタPを入力ボタン上に移動させ、その位置でマウスをクリックすることで、端末2は、エミュレータEMの入力ボタンが押下されたと見なす。また、エミュレータEMの入力ボタンと端末2のキーボードのキーとを予め対応付けておいて、キーボードのキーが押下されると対応する入力ボタンが押下されたと見なす。
【0072】
エミュレータEMの画面DPは、入力ボタンの押下に応じてその表示画面を遷移させる。その画面遷移は、携帯電話1において同じ入力ボタンを押下した場合と全く同一である。エミュレータEMの入力ボタンが押下されると、端末2からキー操作情報がサーバ3のエミュレータ4に送信される。エミュレータ4は、キー操作情報に対応した遷移後のエミュレータEMの画面DPを含んだ画面情報を送信する。端末2は、受信した画面情報に従って、表示部27Bに画面を表示する。その結果、ブラウザBRのエミュレータEMの画面DPが遷移する。
【0073】
ブラウザBRは、携帯電話1の機種AのエミュレータEMの他に、「操作終了」ボタンBTを備える。端末2の操作者が、この「操作終了」ボタンBTを押下すると、端末2は、操作終了と操作支援情報の送信先である携帯電話1を通知する情報を含んだデータを、HTTP通信で送信する。
【0074】
図6は、制御メールの構成を示す図である。図6では、制御メールとしてSMSを使用した場合の、制御メールの情報要素を示す。
【0075】
制御メールのフォーマットは、大別すると、制御ヘッダと制御コードとに分かれる。制御ヘッダには、制御メールの送信先アドレス(SMSの場合は携帯電話番号など)、送信元アドレス、及び、制御情報等が含まれる。
【0076】
制御コードには、コマンドとコマンドに対する情報が含まれる。例えば、コマンド0001は、携帯電話1から送信される操作問合わせを示す(図5中Code1)。コマンド0001に対する情報はない(操作問合せメールは単に携帯電話操作支援システム起動のトリガであるため)。例えば、コマンド0003は携帯電話1から送信される機種識別応答であることを示す(図5中Code3)。コマンド0003に対する情報は、機種Aを示す機種コードである。例えば、コマンド0004は、エミュレータ4か送信される操作キー通知を示す(図5中Code4)。コマンド0004に対する情報は、(エミュレータEM上で)押下されたボタンを示す操作キー番号である。例えば、端末2によって、入力ボタン「MENU」→入力ボタン「1」→入力ボタン「1」→入力ボタン「3」という操作がなされた場合は、Code4のように、操作キー通知の制御メールには制御コード(コマンドとコマンドに対応する情報のセット)が操作の数だけ含まれる。
【0077】
《動作例》
図10は、携帯電話1及び携帯電話1(機種A)のエミュレータ4Aの表示画面の遷移例である。トップ画面DP3は、携帯電話1又はエミュレータ4Aの初期状態の画面である。メニュー選択画面DP4は、入力ボタン「メニュー」を押下した場合に、表示される画面である。メニュー選択画面は、数字ボタンとサブメニューとを対応付けて表示する。例えば、「電話帳」のサブメニューを選択する場合は、入力ボタン「3」を押下する。入力ボタン「3」押下によって、電話帳に関するサブメニューを表示するサブメニュー選択画面DP5が表示される。サブメニュー選択画面DP5も、メニュー選択画面DP4と同様に、数字ボタンと操作項目とを対応付けて表示する。例えば、入力ボタン「2」を押下した場合は、「電話番号検索」の項目が選択される。
【0078】
本動作例では、携帯電話1の使用者が、携帯電話1に登録されている電話番号の検索の操作について問い合わせる場合を想定する。なお、携帯電話1において、電話番号の検索の操作は、例えば、次の順序で行われるとする。
〈操作1〉入力ボタン「メニュー」を押下する。(メニュー選択画面DP4が表示される。)
〈操作2〉入力ボタン「3」を押下する。(メニュー選択画面DP4中の「電話帳」を選択する。電話帳に関するサブメニュー選択画面DP5が表示される。)
〈操作3〉入力ボタン「2」を押下する。(サブメニュー選択画面DP5中の「電話番号検索」を選択する。)
このような前提において、携帯電話操作支援システムで、携帯電話1、端末2、及びサーバ3夫々の動作例について説明する。
【0079】
図7及び図8は、携帯電話操作支援システムの動作例を示すフロー図である。例えば、携帯電話1(機種A)の使用者は高齢者であるとする。端末2はパーソナルコンピュータで、端末2の操作者は携帯電話1の使用者の家族(例えば子供など)であるとする。携帯電話1の使用者と端末2の操作者は互いに離れた所(例えば遠隔地)にいるとする。高齢者は携帯電話1を購入時、ヘルプボタンHBを押下した場合の操作問合せの制御メールの送信先として、高齢者の家族の端末2(の無線カードRC)の携帯電話番号が登録されている。サーバ3は、機種Aの製造メーカのサーバであり、少なくとも機種Aのエミュレータ4Aを備える。
【0080】
携帯電話1の使用者である高齢者が、携帯電話1の操作が分からなくなったとする。高齢者が、ヘルプボタンHBを押すと、携帯電話1は、操作問合せの制御メールを端末2に
送信する(OP11)。
【0081】
端末2は、携帯電話1から操作問合せの制御メールを受信すると、機種識別問合せの制御メールを生成し、携帯電話1に送信する(OP12)。
【0082】
携帯電話1は、端末2から、機種識別問合せの制御メールを受信すると、自身の機種メーカコードと機種コードとを含めて機種識別応答の制御メールを端末2に送信する(OP13)。その後、携帯電話1の使用者は、電話や電子メールなどの方法で、端末2の操作者へ電話番号検索を行いたい旨を伝える。
【0083】
端末2は、携帯電話1から機種識別応答の制御メールを受信すると、機種識別応答の制御メールの情報(機種メーカコードと機種コード)から、機種AのエミュレータのURLを取得し、サーバ3へのHTTP通信を開始する(OP14)。このとき、例えば、端末2は、「操作問合せあり」の通知(表示)を行い、携帯電話1の使用者から操作問合せが行われていることを端末2の操作者に知らせる。端末2の操作者が、この表示をクリックすると、ブラウザが立ち上がって、サーバ3へのアクセスを開始するようにしてもよい。
【0084】
サーバ3は、端末2からHTTP通信を開始するパケットを受信すると、HTTP通信のパケットに含まれるURLから、機種Aのエミュレータ4Aを選択し起動する(OP15)。
【0085】
図8に説明を移す。起動された機種Aのエミュレータ4Aは、機種Aの初期画面(トップ画面DP3)を端末2に送信する(OP20)。エミュレータ4Aから初期画面DP3を受信すると、端末2は表示部27Bに初期画面DP3を備えたエミュレータEMを表示する(例えば、図5)。端末2の操作者は、表示部27Bに表示されたエミュレータEMを操作する。例えば、端末2の操作者が上記〈操作1〉を実施した場合は、入力ボタン「メニュー」が押下されたというキー操作情報がHTTP通信でエミュレータ4Aに送信される(OP21)。端末2から〈操作1〉のキー操作情報を受信すると、エミュレータ4Aは、そのキー操作情報をキー操作情報1として操作履歴格納部46に格納する(OP22)。〈操作1〉において、入力ボタン「メニュー」が押下されたので、エミュレータ4Aは、入力ボタン「メニュー」押下により表示されるべきメニュー選択画面DP4(図10)を端末2に送信する(OP23)。
【0086】
次に、端末2から〈操作2〉のキー操作情報を受信すると(OP24)、エミュレータ4Aは、そのキー操作情報をキー操作情報2として操作履歴格納部46に格納する(OP25)。〈操作2〉において、入力ボタン「3」が押下されるので、エミュレータ4Aは、入力ボタン「3」押下により表示されるべきサブメニュー選択画面DP5(図10)を端末2に送信する(OP26)。その後、表示部28A上のブラウザBR(図5)に表示された「操作終了」ボタンBTが押下されたか否か判定する(OP27)。操作がまだ残っている場合は、「操作終了」ボタンBTは押下されず(OP27:No)、OP24に処理が移る。
【0087】
同様にして〈操作3〉が行われ、端末2から入力ボタン「2」が押下されたことを示すキー操作情報がエミュレータ4Aに送信される(OP24)。端末2から〈操作3〉のキー操作情報を受信すると、エミュレータ4Aは、そのキー操作情報をキー操作情報3として操作履歴格納部46に格納する(OP25)。エミュレータ4Aは、押下された入力ボタンに応じて遷移するエミュレータEMの画面を送信する(OP26)。その後、「操作終了」ボタンBTが押下されたか否か判定する(OP27)。操作が終了するまで、OP24−OP27が繰り返される。
【0088】
操作が終了すると、端末2の操作者は、表示部28A上のブラウザBR(図5)に表示された「操作終了」ボタンBTを押下する。「操作終了」ボタンBTが押下されると(OP27:Yes)、端末2はエミュレータ4Aに操作終了の通知と携帯電話1の電話番号とを通知する(OP28)。携帯電話1の電話番号は、この後、エミュレータ4Aが送信する操作キー通知の制御メールの送信先である。
【0089】
端末2から操作終了の通知を受信すると、エミュレータ4Aは、操作履歴格納部46からキー操作情報1〜3を読み出し、操作支援情報を生成する。エミュレータ4Aは、この操作支援情報を含めて操作キー通知の制御メールを携帯電話1に送信する(OP29)。
【0090】
携帯電話1は、操作キー通知を受信すると、操作キー通知の制御メールから操作支援情報を抽出し、光ガイド機能を起動する(OP40)。このときの操作支援情報は、上記〈操作1〉〜〈操作3〉(各々キー操作情報1〜3とする)を含んでいるとする。携帯電話1の使用者が、光ガイド機能に従って携帯電話1の操作を行い、所望の操作を完了すると(OP41−OP46:図9にて後述)、携帯電話1は、光ガイドを終了して操作完了の
制御メールを送信する(OP50)。
【0091】
一方、端末2は、サーバ3にHTTP通信の終了を通知する。これは、HTTPのアルゴリズムによるもので行われてもよいし、エミュレータの操作のブラウザが閉じられたことを契機に行われてもよい。その後、端末2は、携帯電話1から操作完了の制御メールを受信すると、処理を終了する。
【0092】
端末2からHTTP通信の終了を受信すると、サーバ3は、エミュレータ4Aを停止する(OP30)。
【0093】
図9は、携帯電話1の光ガイド機能の動作例を示すフロー図である。携帯電話1は、光ガイド機能を起動すると、表示画面部15(図2)に光ガイド開始画面DP1を所定時間(例えば1秒)表示する(OP41)。光ガイド開始画面DP1には、例えば、「光ガイドを開始します。光っているボタンを順番に押してください。」といったようなメッセージと、光ガイドを開始させる「スタート」ボタンが表示される。所定時間経過後、又は、携帯電話1の使用者が光ガイド開始画面DP1に備えられた「スタート」ボタンを押すと、光ガイドが開始される。
【0094】
携帯電話1は、操作支援情報に含まれるキー操作情報の順番に従って、入力ボタンに対応したバックライトを点灯及び消灯制御する(例えば点滅させる)(OP42)。例えば、まずキー操作情報1で指定された〈操作1〉の入力ボタン「メニュー」を点滅させる。
【0095】
携帯電話1の使用者によって、入力ボタンが押下されると、押下されたのはバックライトを点灯及び消灯制御している入力ボタンであるか否か判定する(OP43)。バックライトを点灯及び消灯制御している入力ボタンが押下された場合は(OP43:Yes)、その入力ボタンの押下に従って、表示画面を遷移する(OP44)。例えば、携帯電話1の使用者が、点灯している入力ボタン「メニュー」を押下すると、画面がメニュー表示画面DP4(図10)に遷移する。
【0096】
点灯及び消灯制御しているボタン以外が押下された場合は(OP43:No)、携帯電話1は、その入力ボタンの押下を無効にし、処理がOP42に戻る(OP42の状態を維持する)。例えば、光ガイドを起動している間は、点灯及び消灯制御している入力ボタン以外の入力ボタンの押下信号をマスクして無効にする。
【0097】
携帯電話1は、OP44の処理が終わると、処理したキー操作情報が最後のものであっ
たか確認する(OP45)。後続のキー操作情報がある場合は(OP45:No)、処理がOP42に戻る。例えば、キー操作情報1(〈操作1〉)には、後続のキー操作情報2及び3が存在するので、携帯電話1は、次にキー操作情報2(〈操作2〉)の入力ボタン「3」を点灯させる。入力ボタン「3」が押下されると、携帯電話1は、その次に、キー操作情報3(〈操作3〉)の入力ボタン「2」を点灯させる。このように、キー操作情報が終了するまでOP42〜OP45の処理が繰り返される。
【0098】
操作支援情報のキー操作情報が終了した場合には(OP45:Yes)、携帯電話1は、操作完了確認画面DP2を表示する(OP46)。操作完了確認画面DP2には、「光ガイドを終了します。」というメッセージと、操作完了を確認する「OK」ボタンが表示される。携帯電話1の使用者が「OK」ボタンを押下すると、携帯電話1は、端末2に操作完了の制御メールを送信し(図8:OP50)、光ガイド機能を停止する。なお、光ガイド開始画面DP1及び操作終了確認画面DP2は、ポップアップ表示される。
【0099】
《第1実施例の作用効果》
携帯電話1の操作問合せに応じて、端末2の操作者は、携帯電話1のエミュレータ4を起動させ、端末2上でエミュレータEMを操作する。エミュレータ4は、端末2上で行われる操作を記録し、操作支援情報を生成する。生成された操作支援情報は携帯電話1に送信される。携帯電話1はその操作支援情報に従って、入力ボタンを点灯及び消灯制御することにより操作ガイドを行う。携帯電話1の使用者は、例えば点滅する入力ボタンを押していくことによって、所望の操作を行うことができる。また、光ガイドに従いつつも、自身が携帯電話1を操作するので、携帯電話1の操作を覚えることができる。
【0100】
端末2の操作者は、端末2上でエミュレータEMを操作することによって、手元に携帯電話1がなくても、携帯電話1の動作を確認することができる。
【0101】
端末2上のエミュレータEMの操作情報をサーバ3(エミュレータ4)に送信し、エミュレータ4が、その操作情報を元に操作支援情報を生成して携帯電話に一括送信することにより、携帯電話の画面をリアルタイムでパーソナルコンピュータに転送する場合に比べ、無線通信路の利用料を抑えることができる。
【0102】
端末2の操作者は、端末2上のエミュレータEMを操作するのみであって、携帯電話1を直接操作するわけではないので、携帯電話1の個人情報(携帯メールの履歴など個人的なもの)が知られてしまうというプライバシーの問題の発生を防ぐことができ、プライバシーの保護ができる。
【0103】
携帯電話1は、光ガイド機能を起動している間は、点灯及び消灯制御している入力ボタンのみ入力信号を受け付ける。それ以外の入力ボタンからの入力信号は無効にする。これにより、携帯電話1の使用者が誤って入力ボタンを押下した際の誤動作を防止することができる。
【0104】
《変形例》
第1実施形態において、端末2のURL格納部24に、機種メーカコードと機種コードとに対応するエミュレータ4のURLを格納して保持させた。これに代わって、携帯電話1の機種情報格納部14に携帯電話1の機種メーカコードと、機種コードと、エミュレータのURLを格納し、機種識別応答の制御メールにこれらを含めて送信してもよい。
【0105】
また、携帯電話1からの操作問合せに携帯電話1の機種メーカコードと機種コードとを含めて送信してもよい。機種識別問合せと機種識別応答の制御メールのやり取りを省略することができる。
【0106】
第1実施形態において、携帯電話1は、ヘルプボタンHBが押下されると、端末2へ操作問合せを送信する。問い合わせる操作の内容は、別途、端末1の使用者が、電話又は電子メールなどで連絡するようにした。これに代えて、携帯電話1は、ヘルプボタンHBが押下されると、問い合わせる操作の候補が列挙された画面を表示し、その中の1つが選択されると、問い合わせる操作内容を含んだ操作問合せの制御メールを端末2に送信するようにしてもよい。また、ヘルプボタンHBに代えて、携帯電話のトップ画面DP3又はメニュー選択画面DP4にヘルプのアイコン又はメニューを追加する。そのヘルプアイコン又はメニューが選択されることによって、携帯電話1は端末2に操作問合せの制御メールを送信するようにしてもよい。
【0107】
所定の情報処理装置として、操作支援装置と異なる情報処理装置のみならず、操作支援装置を実現する情報処理装置を適用することができる。
【0108】
第1実施形態において、携帯電話1、端末2、及びサーバ3はそれぞれ独立して動作するものであった。これに代えて、サーバ3に端末2を備えてもよい。この場合は、例えば、サーバ3はオペレーションセンタであり、端末2の操作者はオペレータである。
【0109】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態と共通の構成を有するので、主として相違点について説明し、共通点については説明を省略する。
【0110】
第2実施形態は、サーバ3を介さず、エミュレータ4を端末2に備え、携帯電話1と端末2とで携帯電話操作支援システムを構成する。
【0111】
携帯電話1は、例えば、携帯電話の操作にあまり精通していない高齢者が保有する携帯電話である。端末2は、例えば、携帯電話1の保有者の家族(例えば子供)が保有する端末である。携帯電話1には、付属品として携帯電話1の機種Aのエミュレータプログラムを記録したCD−R又はDVD−Rが備えられる。事前に、このエミュレータプログラムを端末2にインストールしておく。携帯電話1には、端末2を、ヘルプボタンHBを押した際に操作問合せの制御メールの送信先として登録する。
【0112】
図11は、第2実施形態の端末2の機能ブロック図である。端末2は、無線通信部91と、制御メール通信部92と、制御メール処理部93と、エミュレータ格納部94と、操作履歴格納部95と、処理部96と、表示制御部97Aと、表示部97Bと、入力受付部98Aと、キー入力部98Bとを備える。
【0113】
エミュレータ格納部94は、少なくとも携帯電話1の機種Aのエミュレータプログラム4Aを格納する。処理部96は、携帯電話1から、操作問合せの制御メールを受信すると、エミュレータ格納部94から機種Aのエミュレータプログラム4Aを読み出して起動する。起動したエミュレータ4Aを、表示制御部97Aを通じて表示部97Bに表示させる(例えば、図5のブラウザBR)。端末2の操作者によって、エミュレータEMの入力ボタンが押下されると、処理部96は、そのキー操作情報を入力受付部98Aを通じて受信する。処理部96は、キー操作情報を操作履歴格納部95に格納する。
【0114】
エミュレータEMの操作が完了すると、端末2の操作者は、表示部97Bに表示された「操作終了」ボタンBT(図5)を押下する。操作終了通知を入力受付部98Aから受信すると、処理部96は、操作履歴格納部95に格納されたキー操作情報を読み出し、操作支援情報を生成する。処理部96は、生成した操作支援情報を制御メール処理部93に送信する。
【0115】
制御メール処理部93は、操作支援情報を含んだ操作キー通知の制御メールを生成し、制御メール通信部92、無線通信部91を介して携帯電話1に送信する。
【0116】
図12は、携帯電話操作支援システムの動作例を示す図である。携帯電話1の使用者がヘルプボタンHBを押下すると、携帯電話1から端末2へ操作問合せの制御メールが送信される(OP71)。
【0117】
端末2は、操作問合せの制御メールを受信すると、機種Aのエミュレータプログラム4Aを起動させる(OP72)。このとき、端末2がエミュレータ格納部94に複数のエミュレータプログラムを格納している場合は、携帯電話1に対して機種問合せを行い、少なくとも機種コードを得る。ここでは、端末2には機種Aのエミュレータプログラム4Aのみ格納していることを想定しているため、携帯電話1への機種問合せの必要はなく省略可能である。
【0118】
処理部96は、エミュレータ4Aを起動したら、表示制御部97Aを介して表示部97Bに機種Aのエミュレータ4Aを表示させる(OP73)。端末2の操作者がエミュレータEM(図5)の入力ボタン「メニュー」を押下すると(OP74)、入力受付部98Aを介して処理部96は、入力ボタン「メニュー」の押下というキー操作情報を操作履歴格納部95に格納する(OP75)。
【0119】
続けて他の入力ボタンが押下された場合も同様の動作が繰り返され(OP76−OP78)、表示部97Bに表示された「操作終了」ボタンBT(図5)が押下された場合(OP79:Yes)、処理部96は、操作履歴格納部95からキー操作情報を読み出し、操作支援情報を生成する。処理部96は、生成した操作支援情報を制御メール処理部93に送信する。制御メール処理部93は、操作支援情報を含めた操作キー通知の制御メールを作成する。処理部96は、制御メール通知部92、無線通信部91を通じて、携帯電話1に操作キー通知の制御メールを送信する(OP80)。その後、エミュレータ4Aを停止する(OP84)。
【0120】
操作キー通知の制御メールを受信した携帯電話1は、光ガイドを起動させる(OP81)。携帯電話1は、操作キー通知の制御メールに含まれる操作支援情報に従って、入力ボタンを順番に点灯及び消灯制御する(OP82)。操作終了確認画面DP2(図9)により操作完了が確認されると、携帯電話1は、操作完了の制御メールを端末2に送信して、光ガイドを終了させる(OP83)。
【0121】
第2実施形態では、エミュレータ4を備えた端末2と携帯電話1とで携帯電話操作支援システムを構成する。サーバ3を介さないことによって、携帯電話1の使用者が許可した人(例えば家族)以外の人が介さなくなるので、より個人情報を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】携帯電話操作支援システムの全体図である。
【図2】携帯電話の機能ブロック図である。
【図3】端末の機能ブロック図である。
【図4】サーバ及びエミュレータの機能ブロック図である。
【図5】端末の表示部上に表示されるエミュレータの例を示す図である。
【図6】制御メールの情報要素を示す図である。
【図7】携帯電話操作支援システムの動作例を示すフロー図である。
【図8】携帯電話操作支援システムの動作例を示すフロー図である。
【図9】携帯電話の光ガイド機能の動作例を示す図である。
【図10】携帯電話の画面表示及び携帯電話のエミュレータの画面表示の遷移例を示す図である。
【図11】端末の機能ブロック図である。
【図12】携帯電話操作支援システムの動作例を示す図である。
【符号の説明】
【0123】
1 携帯電話
2、9 端末
3 サーバ
4 エミュレータ
11 無線通信部
12 制御メール送受信部
13 制御メール処理部
14 機種情報格納部
15 表示画面部
16 表示画面制御部
17 入力部
18 入力制御部
21 無線通信部
22 制御メール通信部
23 制御メール処理部
24 URL格納部
25 処理部
26 IP通信部
27A 表示制御部
27B 表示部
28A 入力受付部
28B キー入力部
31 通信部
33 エミュレータ制御部
41 IP通信部
42 画面送信部
43 エミュレータ部
44 キー操作受付部
45 操作情報生成部
46 操作履歴格納部
47 無線通信部
91 無線通信部
92 制御メール通信部
93 制御メール処理部
94 エミュレータ格納部
95 操作履歴格納部
96 処理部
97A 表示制御部
97B 表示部
98A 入力受付部
98B キー入力部
BR ブラウザ
BT ボタン
DP ディスプレイ
DP1 光ガイド開始画面
DP2 操作終了確認画面
DP3 トップ画面
DP4 メニュー選択画面
DP5 サブメニュー選択画面
HB ヘルプボタン
P ポインタ
RC 無線カード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話の操作支援要求に応じて、この携帯電話を模した仮想の携帯電話の操作環境を所定の情報処理装置に提供する提供部と、
前記仮想の携帯電話の操作環境を用いて前記操作支援要求に応じた前記携帯電話の操作を実現するための入力手順に従って入力された少なくとも1つの操作入力に基づく操作支援情報を生成する生成部と、
前記生成部で生成された前記操作支援情報を前記携帯電話へ送信する送信部と
を備える携帯電話の操作支援装置。
【請求項2】
点灯及び消灯可能な複数の入力ボタンと、
或る操作に対する操作支援要求を操作支援装置に送信する送信部と、
前記操作支援要求に応じた操作を実現するための少なくとも1つの操作入力に基づく操作支援情報を前記操作支援装置から受信する受信部と、
前記操作支援情報に基づいて前記或る操作を実現する入力を促すための、各入力ボタンに対する点灯及び消灯の制御を行う制御部と
を備える携帯電話。
【請求項3】
前記制御部は、前記或る操作の実現のために入力が必要な入力ボタンとその他の入力ボタンとを区別可能な態様で前記各入力ボタンの点灯及び消灯の制御を行うとともに、前記入力が必要な入力ボタン以外の入力ボタンの操作を無効化する
請求項2に記載の携帯電話。
【請求項4】
コンピュータに、携帯電話の操作支援処理を実行させるプログラムであって、
携帯電話の操作支援要求に応じて、この携帯電話を模した仮想の携帯電話の操作環境を所定の情報処理装置に提供するステップと、
前記仮想の携帯電話の操作環境を用いて入力された、前記操作支援要求に応じた操作を実現するための少なくとも1つの操作入力に基づく操作支援情報を生成するステップと、
生成された前記操作支援情報を前記携帯電話へ送信するステップと
を含むプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−232359(P2009−232359A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−77669(P2008−77669)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】