説明

携帯電話の窓を接着するための皮脂耐性ポリアクリレート感圧接着テープ

本発明は、電子消費財に基材を接着するための方法であって、架橋剤として少なくとも1種のエポキシ基含有物質と、促進剤として、エポキシ基含有化合物による架橋反応のための架橋されるべきポリアクリレートの溶融温度未満の温度で促進効果のある少なくとも1種の物質とを含有するポリアクリレート溶融物から成る少なくとも一つの感圧接着層を形成させるステップ、少なくとも一つのその種の感圧接着層を含む両面接着性接着フィルムを調製するステップ、架橋されるべきポリアクリレートの溶融温度未満で感圧接着料の化学架橋反応を実施するステップ、および少なくとも一部が架橋した接着フィルムを用いて、接着されるべき基材を相互に固定するステップを含む方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子消費財製品の領域に構成部品または基材を接着するための、特に携帯電話にディスプレー、ガラスおよびプラスチック窓を接着するための、ポリアクリレート接着フィルムの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器は、通常、表示領域(ディスプレー領域)を有し、その表示領域で光学的データ表示を用いて情報が伝達される。通常は、フレームとして形成されることがあるか、またはフレームを備えることがあるハウジング窓の後部に実際のディスプレーがあり、そのディスプレーは、しばしば液晶データディスプレー(LCD)、発光ダイオードユニット(LED)または有機発光ダイオードユニット(OLED)の形態をとる。多くの場合に、実際のディスプレーは、適切に変換された接着フィルム切片(シール)によってハウジング窓後部に接着される。
【0003】
ディスプレー領域を保護するために、ハウジング窓の外向きの面に非常に多くの場合に透明の保護スクリーン(例えばプラスチック窓またはガラス窓)が使用される。透明の保護窓用の通常の材料は、ガラスに加えて例えばポリメチルメタクリレートまたはポリカーボネートである。窓の基本機能は、例えば画像生成ユニット(ディスプレー)からの画像をできるだけ偽らずに、光強度の損失なしに観察者に伝えられる高い透過率である。窓は、さらに追加機能も有することがある。それで、例えば頻繁に利用したときに窓が傷つかないように、多くの場合に耐傷塗料が塗布される。他の特別な機能には、例えば窓の金属化によって達成できる例えば鏡機能が含まれる。そのような電子機器(例えば携帯電話)は、例えば化粧用鏡の代用品として利用することができる。この追加機能に加えて、特に電子機器の快適な携行が可能になるように、使用されるLCDおよびOLEDディスプレーは常により大きくなり、機器は常により平坦になる傾向にある。この結果として、窓が常により大きくなるだけでなく、接着のためのギャップ幅(Stegbreite)が常により小さくなる。加えて、接着品質の要求も同様に高まる。それで、その種の窓は、タッチパネル機能、すなわち特に追加のキーボードの必要なしに電子機器、例えば携帯電話を操作できるタッチセンシティブ窓表面の機能も同様に一段と有するようになる。さらに、拡張型または新型電子機器の多数の機能によって、その利用は常により集中的になる。特定の要求もこの利用と結びついている。それで近年、例えば携帯電話に関する苦情の割合が顕著に上昇した。苦情の頻繁な事例は、時間と共に目に見える領域に移動する、窓領域の感圧接着テープ型抜き品の変形である。研究からこの変形が、皮脂、すなわち人間の皮膚からの分泌物によって引き起こされ、その分泌物が感圧接着テープのための可塑剤として機能することによって感圧接着テープを膨張させ接着を低下させることが明らかとなった。
【0004】
皮脂は、一般に皮表脂肪であり、皮表脂肪は、わずかな部分が角質化副生成物の角質脂肪から成り、皮脂腺に由来する。皮脂の平均組成は、トリグリセリド(19.5〜49.4%質量含量)、ワックスエステル(22.6〜29.5%質量含量)、脂肪酸(7.9〜39.0%質量含量)、スクアレン(10.1〜13.9%質量含量)、ジグリセリド(1.3〜4.3%質量含量)、コレステロールエステル(1.5〜2.6%質量含量)、コレステロール(1.2〜2.3%質量含量)から成る。この組成にさらにタンパク質が加わることがある。
【0005】
皮脂の排出または脂(Talg)の排出も、人によって幾分異なる。それらは、皮脂腺を通って人体から排出される。皮脂腺は、ほぼ全身に存在する。皮脂腺は、顔および上半身に最も活動的および最も大規模に見られる。それゆえに、例えば携帯電話は、特に激しい皮脂接触に曝されている。脂は、細胞内部(細胞内)で脂腺細胞(皮脂腺細胞)によって生成され、細胞の破裂によって皮表に送達される。
【0006】
例えば湿気が窓領域に入り込み、凝縮によって結露を引き起こすおそれがあるので、接着テープの目に見える移動は、ディスプレーの曇りおよび視認性の低下を招くおそれがある。この事実から、この欠点を有さない接着フィルム、特に感圧接着フィルムの必要性が生じる。
【0007】
EP1978069A(特許文献1)は、非常に厚い層を製造しなければならない場合であっても、また、感圧接着テープ用の感圧接着剤と粘弾性支持体層が均一に架橋できる方法を記載している。これによって、通常の薄い均一に架橋されたシステムと区別される。技術の現状による方法にしたがって製造されたより薄いシステムに比べて、EP1978069Aによる方法によるより薄いシステムの利点は、本明細書に詳細には示さない。EP1978069Aの接着テープの格別の利点は、それゆえに、特にこれが薄いシステムのために両面接着システムとして提示された場合、特にここで下記の本発明の課題の点で推論することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】EP1978069A
【特許文献2】US6,765,078B2
【特許文献3】US6,720,399B2
【特許文献4】EP1311555B1
【特許文献5】EP0824111A1
【特許文献6】EP826698A1
【特許文献7】EP824110A1
【特許文献8】EP841346A1
【特許文献9】EP850957A1
【特許文献10】US5,945,491A
【特許文献11】US5,854,364A
【特許文献12】US5,789,487A
【特許文献13】WO2006/027387A1
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】T.G. Fox, Bull. Am. Phys. Soc. 1 (1956) 123
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、携帯電話などのような電子消費財製品に構成部品および基材を接着するための接着フィルムを提供することである。特に、このために外的影響に対して高い耐久性を有する薄い接着テープを提案することが課題である。特に、本発明の接着テープは、汗、涙などに対して耐久性があるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、溶融物から加工可能で、熱(化学)架橋可能な、例えばEP1978069Aに記載されているようなポリアクリレート感圧接着剤が、本明細書の枠内でより詳細に記載されているように、特に接着フィルムの形態で本発明の課題を顕著に満たすことを発見することができた。
【発明を実施するための形態】
【0012】
したがって、本発明は、電子消費財に基材を接着するための感圧接着剤の使用に関する。その際、その感圧接着剤は、架橋剤として少なくとも1種のエポキシ基含有物質と、促進剤として、エポキシ基含有化合物による架橋反応のための架橋されるべきポリアクリレートの溶融温度未満の温度で促進効果のある少なくとも1種の物質とを含有するポリアクリレート溶融物から成る少なくとも一つの感圧接着層の形成によって入手可能な感圧接着剤である。ポリアクリレート溶融物の形成は、特に一つの層への形成として行われる。
【0013】
架橋されるべきポリアクリレートは、特に付加反応または置換反応の点で、エポキシ基と結合反応することに適する官能基を含有する。
【0014】
本発明の使用では、少なくとも一つのその種の感圧接着層を含み、架橋されるべきポリアクリレートの溶融温度未満で感圧接着剤の化学架橋反応が実施され、接着フィルムを用いて少なくとも部分的に架橋された感圧接着剤と接着されるべき基材とを相互に接着する両面接着性接着フィルムが提供される。
【0015】
前述のような使用は、本明細書の主請求項の主題である。従属請求項は、本発明の使用の有利な実施変形形態に該当する。
【0016】
本明細書の意味で、全ての少なくとも片面接着性の平らに広がった、すなわち二つの空間方向(「長さ」、「幅」)におけるその広がりが、第三の空間方向(「厚さ」)よりも本質的に大きい構造物は、接着フィルムと呼ばれる。他方で、特に平面方向の一つ(「長さ」)における広がりが、第二の平面方向(「幅」)のそれをはっきりと上回る場合、その種の接着フィルムは、接着テープとも呼ばれる。この場合、接着テープは、多くの場合に縦方向にロール状に巻かれ、任意の長さの切片に切り出すことができるので、多くの場合に縦方向の広がりは、単純化して「無限」と見なすことができる。平面における広がり(長さ、幅)が、特に意図された使用の点で無限と見なされ、特にそのような接着フィルムからの平面構造物が、本明細書の枠内で同義語的に、かつ実際の変換様式とは独立して「接着テープ切片」または「型抜き品」と呼ばれる。「接着テープ切片」および「型抜き品」という概念は、実際の変換様式とは独立して使用され、型抜き品は、例えば接着フィルムからの切断、型抜きによって、接着テープから切り出すか、または他の方法で変換されることがある。特に、そのときどきの使用のために適切な形態にされた平面構造物も型抜き品と呼ばれる。「接着フィルム」、「接着テープ」、「シール」または「型抜き品」という表現の選択は、本明細書の枠内でその実際の大きさ、広がりまたは形態に関するさらなる情報が明白に述べられない限り、その点においてそれらの情報を反映しない。
【0017】
第一の有利な一実施形態では、接着フィルムは、接着剤層それ自体を意味する(単層系、いわゆる「転写式接着フィルム」または「転写式接着テープ」)。非常に薄い接着結合を獲得すべき場合に、とりわけ本発明の単層接着フィルムが特に適するように、その種の単層接着フィルムを特に薄くすることができる。
【0018】
本発明のさらなる一態様では、本発明により使用される接着フィルムは、少なくとも二つの外側接着剤層ならびにその接着剤層の間に配置された支持層を含む(三層接着フィルム)。場合により、接着フィルムは、外側接着剤層の間にさらなる層、例えばさらなる支持層または機能層を備えることがある。(一つまたは複数の)支持層として、顕著にはフィルムおよび/または不織布を使用することができる。三層または多層接着フィルムの外側接着剤層の少なくとも一つは、ポリアクリレート溶融物から成る少なくとも一つの接着層の形成によって入手可能な感圧接着剤であって、架橋剤として少なくとも1種のエポキシ基含有物質と、促進剤として、エポキシ基含有化合物による架橋反応のための架橋されるべきポリアクリレートの溶融温度未満の温度で促進効果のある少なくとも1種の物質とを含有する感圧接着剤である。好ましくは、第二の外側接着剤層も感圧接着剤であり、非常に好ましくは同様に、ポリアクリレート溶融物から成る少なくとも一つの感圧接着層の形成によって入手可能な感圧接着剤であって、架橋剤として少なくとも一種のエポキシ基含有物質と、促進剤として、エポキシ基含有化合物による架橋反応のための架橋されるべきポリアクリレートの溶融温度未満の温度で促進的に作用する少なくとも一種の物質とを含有する感圧接着剤である。好都合には、両方の外側感圧接着剤層のために同一の感圧接着剤を使用することができる。
【0019】
感圧接着剤
本発明にしたがって使用される感圧接着剤は、少なくとも1種のポリアクリレートを含有する。それは、メチルアクリルモノマーとも理解されるアクリルモノマーおよび場合によりさらなる共重合性モノマーのラジカル重合によって入手可能なポリマーである。
【0020】
ポリアクリレートは、好ましくは、エポキシ基と架橋可能なポリアクリレートである。したがって、モノマーまたはコモノマーとして好ましくは官能性の、エポキシ基と架橋能のあるモノマーが使用され、この場合、特に酸基(特にカルボン酸、スルホン酸またはホスホン酸基)および/またはヒドロキシ基および/または酸無水物基および/またはエポキシ基および/またはアミン基を有するモノマーが使用され、カルボン酸基含有モノマーが好ましい。ポリアクリレートが、重合されたアクリル酸および/またはメタクリル酸を有する場合が特に好都合である。コモノマーとしてポリアクリレートのために使用することができるさらなるモノマーは、例えば最大30個のC原子を有するアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステル、最大20個のC原子を含有するカルボン酸のビニルエステル、最大20個のC原子を有するビニル芳香族、エチレン系不飽和ニトリル、ハロゲン化ビニル、1〜10個のC原子を含有するアルコールのビニルエーテル、2〜8個のC原子および1もしくは2個の二重結合を有する脂肪族炭化水素、またはこれらのモノマーの混合物である。
【0021】
本発明の製品のために、以下の反応混合物に基づくポリアクリレートが使用される。すなわち反応混合物は、好ましくは、特に可塑化モノマー、そのうえエポキシ基と反応、特に付加および/または置換反応することができる官能基を有するモノマー、ならびに場合によるさらなる重合性コモノマー、特に硬化性モノマーを含有する。製造されるべきポリアクリレートの性質(感圧接着剤、ヒートシール物質および粘弾性の非接着性物質など)は、特に様々な重量部の個々のモノマーによるポリマーのガラス転移温度の変化によって影響することができる。純結晶系について、融点Tで結晶と液体の間に熱平衡がある。それに対して非晶質系または部分結晶系は、多少硬質の非晶質相もしくは部分結晶相からより軟質(ゴム様〜粘性)の相への変化を特徴とする。特にポリマー系の場合、ガラス点でより長い鎖部分のブラウン分子運動が「溶融」(もしくは冷却時に「凍結」する)。融点T(「溶融温度」とも呼ばれ、実際は純結晶系「ポリマー結晶」のためだけに定義されている)からガラス転移点T(「ガラス転移温度」、「ガラス温度」とも呼ぶ)への移行は、それゆえに、被験試料の部分結晶化度の割合に応じて流動的と見なすことができる。本明細書の枠内で上記実施の点でガラス点が記述された場合、融点が一緒に含まれることから、対応する「溶融」系のための融点は、ガラス転移点として(または同じ意味でガラス転移温度として)も理解される。ガラス転移温度の記載は、低周波数での動的機械分析(DMA)を用いた決定に関係する。所望のガラス転移温度を有するポリマーを獲得するために、Foxの式に類似する式(G1)(T.G. Fox, Bull. Am. Phys. Soc. 1 (1956) 123(非特許文献1)参照)にしたがってポリマーについての所望のT値が得られるように、モノマー混合物の量的組成が好都合に選択される。
【0022】
【数1】

[式中、nは、使用されたモノマーに関する通し番号を表し、wは、そのときどきのモノマーnの質量分率(重量%)を表し、TG,nは、そのときどきのモノマーnから成るホモポリマーのそのときどきのガラス転移温度を単位Kで表す。]
【0023】
好ましくは、以下のモノマー組成によって説明することができるポリアクリレートが使用される:
a)次式のアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステル
CH=C(R)(COORII
[式中、R=HまたはCHであり、RIIは、4〜14個のC原子を有するアルキル基である]、
b)エポキシ基との反応性について既に定義された種類の官能基を有するオレフィン系不飽和モノマー、
c)場合により、成分(a)と共重合性であるさらなるアクリレートおよび/またはメタクリレートおよび/またはオレフィン系不飽和モノマー。
【0024】
感圧接着剤としてポリアクリレートを使用するために、重合生成物が特にガラス温度≦15℃を有するように(低周波数でのDMA)、対応する成分(a)、(b)、および(c)の割合が選択される。
【0025】
感圧接着剤を製造するために、成分(a)のモノマーを45〜99重量%の割合で、成分(b)のモノマーを1〜15重量%の割合で、および成分(c)のモノマーを0〜40重量%の割合で選択することが、非常に好都合である(記載は、「主体ポリマー」、すなわち樹脂などの完成ポリマーに場合による添加剤が添加されていないポリマーについてのモノマー混合物に対するものである)。
【0026】
成分(a)のモノマーは、特に可塑化モノマーおよび/または非極性モノマーである。好ましくは、モノマー(a)について4〜14個のC原子、好ましくは4〜9個のC原子から成る、アルキル基を有するアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルを含むアクリルモノマーが使用される。そのようなモノマーの例は、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、n−ヘプチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルアクリレート、イソブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、およびそれらの分岐異性体、例えば2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートである。
【0027】
成分(b)のモノマーは、官能基、特にエポキシ基と反応することのできる官能基を有する、特にオレフィン系不飽和モノマー(b)である。
【0028】
好ましくは、成分(b)について、次のリストから選択されるような官能基を有するモノマーが使用される:ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、またはホスホン酸基、酸無水物、エポキシド、アミン。成分(b)のモノマーについての特に好ましい例は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、アコニット酸、ジメチルアクリル酸、β−アクリロイルオキシプロピオン酸、トリクロルアクリル酸、ビニル酢酸、ビニルホスホン酸、イタスコン酸(Itasconsaeure)、無水マレイン酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、アリルアルコール、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート。
【0029】
原則的に、成分(c)に関連して成分(a)および/または成分(b)と共重合可能であって、かつ結果として生じる感圧接着剤の性質を調整するためにも役立つことのできる全てのビニル官能化化合物を使用することができる。
【0030】
成分(c)について例示的に挙げられるモノマーは:
メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、t−ブチルフェニルアクリレート、t−ブチルaフェニルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、n−ウンデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリデシルアクリレート、ベヘニルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロペンチルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−ブトキシ−エチルアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート、3,5−ジメチルアダマンチルアクリレート、4−クミル−フェニルメタクリレート、シアノエチルアクリレート、シアノエチルメタクリレート、4−ビフェニルアクリレート、4−ビフェニルメタクリレート、2−ナフチルアクリレート、2−ナフチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリル−アクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチル−アクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、3−メトキシアクリル酸メチルエステル、3−メトキシブチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシ−エチルメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、ブチルジグリコールメタクリレート、エチレン−グリコールアクリレート、エチレングリコールモノメチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート350、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート500、プロピレングリコールモノメタクリレート、ブトキシジエチレングリコールメタクリレート、エトキシトリエチレングリコールメタクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルアクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N−(1−メチル−ウンデシル)アクリルアミド、N−(n−ブトキシメチル)アクリルアミド、N−(ブトキシメチル)メタクリルアミド、N−(エトキシメチル)アクリルアミド、N−(n−オクタデシル)アクリルアミド、さらに例えばN,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミドのようなN,N−ジアルキル置換アミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−tert−オクチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、アクリルニトリル、メタクリルニトリル、ビニルメチルエーテル、エチルビニルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル、酢酸ビニルのようなビニルエステル、塩化ビニル、ハロゲン化ビニル、塩化ビニリデン、ハロゲン化ビニリデン、ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルピロリドン、スチレン、a−およびp−メチルスチレン、a−ブチルスチレン、4−n−ブチルスチレン、4−n−デシルスチレン、3,4−ジメトキシスチレン、2−ポリスチレンエチルメタクリレート(分子量Mw:4000〜13000g/mol)、ポリ(メチルメタクリレート)エチルメタクリレート(Mw:2000〜8000g/mol)のようなマクロモノマーである。
【0031】
成分(c)のモノマーは、好都合には以下の光化学架橋(例えば電子線、UVによるもの)を促進する官能基を含有するように選択することができる。適切な共重合性光開始剤は、例えばベンゾインアクリレートおよびアクリレート官能化ベンゾフェノン誘導体である。電子線による架橋を促進するモノマーは、例えばテトラヒドロフフリルアクリレート、N−tert−ブチルアクリルアミド、アリルアクリレートであるが、ここで、このリストはこれで終わりになるわけではない。
【0032】
さらに、ポリアクリレートに粘着付与樹脂を混合することもできる。添加されるべき粘着付与樹脂として、既知で文献に記載されている接着樹脂が使用可能である。特に、全ての脂肪族、芳香族、アルキル芳香族炭化水素樹脂、純モノマーベースの炭化水素樹脂、水素化炭化水素樹脂、官能性炭化水素樹脂ならびに天然樹脂が挙げられる。好ましくは、ピネン−、インデン−およびコロホニウム樹脂、その不均化、水素化、重合化、エステル化誘導体および塩、テルペン樹脂およびテルペンフェノール樹脂、ならびにC5−、C9−および他の炭化水素樹脂を使用することができる。結果として生じる接着剤の性質を希望通りに調整するために、これらの樹脂およびさらなる樹脂の組み合わせも好都合に使用することができる。特に好ましくは、対応するポリアクリレートに適合性の全ての(可溶性)樹脂を使用することができる。特に好ましい手順では、テルペンフェノール樹脂および/またはコロホニウムエステルが添加される。
【0033】
場合によっては、また、例えばチョーク(CaCO)、二酸化チタン、酸化亜鉛およびカーボンブラックのような、粉末および顆粒形態の充填剤、着色剤および顔料、特にまた研磨性および強化性のものも高い割合で、すなわち1〜50重量%で合計組成に対して混合することができる。
【0034】
非常に好ましくは、様々な形態のチョークを充填剤として使用することができ、その際、特に好ましくはMikrosoehlチョークが使用される。30重量%までの好ましい割合の場合、接着技術的性質(RTでの剪断強度、鋼およびPE上への即時接着力)は、実際には充填剤の添加によって変化しない。
【0035】
さらに、例えばポリリン酸アンモニウムのような難燃性充填剤、さらに導電性充填剤(例えば導電性カーボンブラック、炭素繊維および/または銀コーティングビーズ)、さらに熱導電性材料(例えば窒化ホウ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素)、さらに強磁性添加剤(例えば酸化鉄(III))、さらに老化防止剤、光保護剤、オゾン保護剤および配合剤を添加することができる。老化防止剤として、好ましくは一次老化防止剤、例えば4−メトキシフェノールだけでなく、二次老化防止剤、例えば会社名Ciba GeigyのIrgafos(登録商標)TNPPも相互に組み合わせて使用することができる。ここで、単にこの代わりに会社名Ciba Geigyのさらなる対応するIrganox(登録商標)タイプもしくは会社名ClariantのHostano(登録商標)を挙げるべきである。老化に対抗するさらなる卓越した薬剤として、酸素の存在下のフェノチアジン(C−ラジカルスカベンジャー)ならびにヒドロキノンメチルエーテル、ならびに酸素自体を使用することができる。
【0036】
さらに場合によっては、ポリアクリレートは、他のポリマーと共に調合もしくは混合することもできる。これには、天然ゴム、合成ゴム、EVA、シリコーンゴム、アクリルゴム、ポリビニルエーテルベースのポリマーが適する。
【0037】
さらに、感圧接着剤の組成の対象は、エポキシドベースの架橋剤である。エポキシ基含有物質として、特に多官能性エポキシド、すなわち1分子あたり少なくとも2エポキシド単位を有する(すなわち少なくとも二官能性の)ものが使用される。これは、芳香族化合物だけでなく、脂肪族化合物のことでもある。
【0038】
ずば抜けて適切な多官能性エポキシドは、エピクロルヒドリンのオリゴマー、多価アルコールのエポキシエーテル[特にエチレングリコール、プロピレングリコール、およびブチレングリコール、ポリグリコール、チオジグリコール、グリセリン、ペンタエリスリット、ソルビット、ポリビニルアルコール、ポリアリルアルコールおよび類似物]、多価フェノールのエポキシエーテル[特にレゾルシン、ヒドロキノン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロムフェニル)−メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジフルオルフェニル)−メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−クロルフェニル)−プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロルフェニル)−プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロルフェニル)−プロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−4’−メチルフェニルメタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−2,2,2−トリクロルエタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−(4−クロルフェニル)−メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキシルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン]、ならびにそれらのヒドロキシエチルエーテル、フェノールアルコール、フェノールアルデヒド樹脂および類似物のようなフェノール−ホルムアルデヒド−縮合生成物、S−およびN−含有エポキシド(例えばN,N−ジグリシジルアニリン、N,N’−ジメチルジグリシジル−4,4−ジアミノジフェニルメタン)、ならびに通常の方法により多価不飽和カルボン酸または単に不飽和アルコールの不飽和カルボン酸エステルから製造されたエポキシド、グリシジルエステル、不飽和酸のグリシジルエステルの重合もしくは共重合によって得ることができるか、または他の酸化合物(シアヌル酸、ジグリシジルスルフィド、環状トリメチレントリスルホンもしくはその誘導体他)から入手可能であるポリグリシジルエステルである。非常に適切なエーテルは、例えば1,4−ブタンジオールジグリシドエーテル、ポリグリセロール−3−グリシドエーテル、シクロヘキサン−ジメタノールジグリシドエーテル、グリセリントリグリシドエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシドエーテル、ペンタエリスリットテトラグリシドエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシドエーテル)、ポリプロピレングリコールジグリシドエーテル、トリメチロールプロパントリグリシドエーテル、ビスフェノール−A−ジグリシドエーテルおよびビスフェノール−F−ジグリシドエーテルである。
【0039】
さらに、ポリアクリレート感圧接着剤に、エポキシドとの架橋反応のための促進剤が添加されている。促進剤として、特に好ましくはアミン(形式上、アンモニアの置換生成物として理解することができる;以下の式においてこれらの置換基は、「R」で表されており、特にアルキル基および/またはアリール基および/または他の有機基を含む)、特に好ましくはポリアクリレートの構成要素と全く反応しないか、またはわずかにだけ反応するようなアミンが使用される。
【0040】
原則的に、促進剤として第1級(NRH)、第2級(NRH)だけでなく、第3級アミン(NR)も選択することができ、自明なことには複数の第1級および/または第2級および/または第3級アミン基を有するアミンも選択することができる。しかしながら、特に好ましい促進剤は、特に前記理由に関係して、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、ジメチルアミノ−メチルフェノール、2,4,6−トリス−(N,N−ジメチルアミノ−メチル)−フェノール、N,N’−ビス(3−(ジメチル−アミノ)プロピル)尿素のような第3級アミンである。
【0041】
促進剤として、好都合にはジアミン、トリアミンおよび/またはテトラアミンのような多官能性アミンも使用することができる。例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリメチルヘキサメチレンジアミンが顕著に適する。
【0042】
さらに、顕著に適する促進剤は、ピリジン、イミダゾール(例えば2−メチルイミダゾール)、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ−7−エンである。環状脂肪族ポリアミンも、促進剤として卓越して使用することができる。
【0043】
ホスフィンおよび/またはホスホニウム化合物、例えばトリフェニルホスフィンまたはテトラフェニルホスホニウム−テトラフェニルボレートのようなリン酸ベースの促進剤も適する。
【0044】
架橋剤−促進剤系は、官能基がエポキシ基と、特に付加または置換の形式で結合反応することができるように選択される。したがって好ましくは、(特に結合架橋としてのエポキシ基担持物質を介した対応する官能基担持ポリマー構成要素の架橋の点で)官能基担持構成要素とエポキシ基担持構成要素が反応することになる。
【0045】
したがって、架橋剤−促進剤系は、ポリアクリレートの熱架橋のために役立ち、その際、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルの少なくとも一部は、前記方式で、特に共有結合を形成しながらエポキシ基と反応することができる官能基を含有する。
【0046】
本発明の感圧接着テープの特別な架橋方法は、ホットメルト−感圧接着剤の熱架橋である。
【0047】
この架橋方法の場合、特に好都合には、ポリアクリレート溶融物において架橋が開始し、これがその後、ポリアクリレートがまだ著しく加工可能な時点まで、すなわち例えば均一にコーティング可能および/または著しく形成可能な時点まで冷却される方式で処理される。特に接着テープについて均一で一様なコーティングパターンが必要であり、その際、接着剤層に塊、フロックまたは類似物が見つかってはならない。対応する均一なポリアクリレートは、他の使用形態のためにも必要とされる。ポリアクリレートがまだ架橋していないかまたはやっとわずかな程度架橋している場合、形成可能性もしくはコーティング可能性が与えられており、好都合には冷却開始時の架橋度は、10%を超えず、好ましくは3%を超えず、なおより良くは1%を超えない。架橋反応は、冷却後も最終的な架橋度に達するまで進行する。「冷却する」という概念は、この場合および以下における加熱の除去による受動的放冷も含む。特に、好ましくはさらなる加工、特に形成またはコーティングの直前の時点に、架橋剤、特に架橋剤−促進剤系の存在下でポリアクリレート溶融物における架橋が開始する(すなわち熱的に開始する)方式で架橋方法を実施することができる。これは、たいてい加工用反応器(配合機、例えば押出機)で実施される。次に、混練体が配合機から取り出され、望み通りにさらに加工および/または形成される。処理もしくは形成の際に、またはその後に、ポリアクリレートは冷却されるが、それは、能動的に冷却されることおよび/もしくは加熱を調整されることによるか、または温度が室温まで低下してはならない場合、ポリアクリレートを加工温度未満の温度に(場合によってはこの場合、前記能動的冷却の後にも)加熱することによる。
【0048】
さらなる加工もしくは形成は、特に好都合に永続的または一時的支持体上のコーティングのことがある。
【0049】
本発明の非常に有利な一変形形態では、ポリアクリレートは、加工用反応器からの取り出し時または取り出し後に永続的または一時的支持体上にコーティングされ、コーティング時またはコーティング後に、特にコーティング直後に、ポリアクリレート混練体は室温に(または室温近辺の温度に)冷却される。
【0050】
さらなる加工の「直前の」開始は、特に、加工のために必要な少なくとも一つの成分(特にエポキシ基含有物質および/または促進剤)ができるだけ遅れてホットメルト(すなわち溶融物)中に添加される(この場合、架橋度がまだ低いことから均一の加工性である、上記参照)が、ポリマー混練体との良好な均一化が行われるために必要なだけ早期に添加されることを意味する。
【0051】
架橋剤−促進剤系は、架橋反応がポリアクリレート混練体の溶融温度未満の温度で、特に室温で進行するように選択される。その際、「室温での架橋」という表現は、特に接着テープの通常の保存温度での架橋に関係するので、その点で20℃に限定してはならない。本発明によれば、保存温度が天候などによる温度変動が原因で20℃から外れるか、または局所状況が原因で室温が20℃と異なり、かつ特にさらなるエネルギー供給なしに、架橋が進行する場合もまた、当然好都合である。
【0052】
ポリアクリレートの製造
ポリアクリレートの製造は、技術者によく知られた方法で、特に好都合には従来のラジカル重合または制御されたラジカル重合によって行うことができる。ポリアクリレートは、通常の重合開始剤もしくは場合により調節剤を使用したモノマー成分の共重合によって製造することができ、その際、常温で物質中、懸濁物中、例えば水中または液化炭化水素中、または溶液中で重合される。
【0053】
好ましくは、ポリアクリレートは、通常量の重合開始剤を使用して、溶媒中、特に50〜150℃、好ましくは60〜120℃の沸騰域の溶媒中でモノマーの重合によって製造され、その重合開始剤は、一般に0.01〜5、特に0.1〜2重量%(モノマーの合計重量に対して)である。原則的に、アクリレートのための技術者によく知られた通常の全ての開始剤が適する。ラジカル源の例は、ペルオキシド、ヒドロペルオキシドおよびアゾ化合物、例えばジベンゾイル−ペルオキシド、クモールヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、シクロヘキシル−スルホニルアセチルペルオキシド、ジイソプロピルペルカーボネート、t−ブチルペルオクトエート、ベンズピナコールである。非常に好ましい一手順では、ラジカル開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(会社名DuPontのVazo(登録商標)67(商標))または2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル;AIBN;会社名DuPontのVazo(登録商標)64(商標))が使用される。溶媒として、メタノール、エタノール、n−およびイソ−プロパノール、n−およびイソ−ブタノール、好ましくはイソプロパノールおよび/またはイソブタノールのようなアルコール;ならびにトルエンおよび特に沸騰域60〜120℃のベンジンのような炭化水素が考慮の対象になる。特に、好ましくはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトンおよび酢酸エチルエステルのようなエステル、ならびに既述の種類の溶媒の混合物を使用することができ、その際、使用される溶媒混合物に対して特に2〜15重量%、好ましくは3〜10重量%の量のイソプロパノールを含有する混合物が好まれる。製造されたポリアクリレートの重量平均分子量Mは、好ましくは20000〜2000000g/molの範囲;非常に好ましくは100000〜1000000g/molの範囲、極めて好ましくは150000〜500000g/molの範囲にある[本明細書における平均分子量Mおよび多分散性PDの表示は、ゲル浸透クロマトグラフィーによる決定に関連する]。そのうえ、所望の平均分子量に調整するために、重合がチオール、ハロゲン化合物および/またはアルコールのような適切な重合調節剤の存在下で実施されることが有利なことがある。
【0054】
ポリアクリレートは、トルエン中(1%溶液、21℃)で測定されたとき、好ましくは30〜90、特に好ましくは40〜70のK値を有する。フィケンチャーによると、K値は、ポリマーの分子量および粘度に関する尺度である。
【0055】
狭い分子量分布(多分散性PD<4)を有するポリアクリレートが、特に適切である。この混練体は、架橋後の比較的低い分子量にかかわらず、特に良好な剪断強度を有する。加えて、低分子量は溶融物からの容易な処理を可能にする。それは、十分に等しい適用性の場合、より広く分布するポリアクリレートよりも流体粘度が低いからである。狭い分布のポリアクリレートは、好都合にはアニオン重合または制御されたラジカル重合方法によって製造することができ、その際、後者が特によく適する。RAFT法によって製造される種類のポリアクリレートの例は、US6,765,078B2(特許文献2)およびUS6,720,399B2(特許文献3)に記載されている。また例えばEP1311555B1(特許文献4)に記載されているように、N−オキシルを介して対応するポリアクリレートを製造することができる。狭い分布のポリアクリレートを合成するために、原子移動ラジカル重合(ATRP)も有利な方法で使用することができ、その際、開始剤として好ましくは単官能性または二官能性の第2級または第3級ハロゲン化物およびそのハロゲン化物の引き抜き(Abstraktion)のためにCu−、Ni−、Fe−、Pd−、Pt−、Ru−、Os−、Rh−、Co−、Ir−、Ag−またはAu−錯体(例えばEP0824111A1(特許文献5);EP826698A1(特許文献6);EP824110A1(特許文献7);EP841346A1(特許文献8);EP850957A1(特許文献9)参照)が使用される。ATRPの様々な可能性は、そのうえ、文書US5,945,491A(特許文献10)、US5,854,364A(特許文献11)およびUS5,789,487A(特許文献12)に記載されている。
【0056】
さらなる方法の実施
ポリマー(すなわち重合生成物)の濃縮は、架橋物質および促進物質の不在下で行うことができる。しかし、この(一つまたは複数の)化合物の存在下で濃縮が行われるように、濃縮前に既にこれらの化合物クラスの一つをポリマーに添加しておくことも可能である。
【0057】
次にポリマーは、配合機の中に移される。本発明の方法の特別な実施では、濃縮および配合は同じ反応器の中で実施することができる。特に、配合機として押出機を使用することができる。ポリマーは、既に溶融状態で入れられるか、配合機中で溶融物になるまで加熱されるかのいずれかによって、配合機中で溶融物の状態で存在する。配合機中でポリマーは、加熱によって溶融物の状態に保たれる。架橋剤(エポキシド)も促進剤もポリマー中に存在しない限り、溶融物の可能な温度は、ポリマーの分解温度によって限定される。配合機での加工温度は、通常80から150℃の間、特に100から120℃の間である。
【0058】
エポキシ基含有物質は、促進剤の添加前または添加と共にポリマーに添加される。エポキシ基含有物質が重合期の間に十分に安定な場合、その物質は、重合期の前に既に、または重合期の間にモノマーに添加することができる。しかしながら好都合には、エポキシ基含有物質は、配合機への添加前、または配合機への添加時、すなわち配合機にポリマーと一緒に入れる、のいずれかでポリマーに添加される。
【0059】
非常に有利な手順では、促進物質は、ポリマーのさらなる加工、特にコーティングまたは他の方法の形成の直前にポリマーに添加される。
【0060】
コーティング前の添加の時間窓は、特に提供可能なポットライフ、すなわち溶融状態での処理寿命に応じて、結果として生じる製品の性質がマイナスに変化しないように調整される。本方法を用いると、数分から数十分までのポットライフに到達する(実験パラメーターの選択次第)ことができ、したがって促進剤は、コーティング前のこの時間内に添加すべきである。好都合には、促進剤は、できるだけ遅れて、しかしポリマー混練体との良好な均一化が起こるように必要な限り早く、ホットメルトに添加される。非常に好都合には、110〜120℃の処理温度の場合、これは2〜10分、特に5分超の時間であることが明らかとなった。
【0061】
架橋剤(エポキシド)および促進剤は、両方ともポリマーのさらなる処理の直前に、すなわち好都合には促進剤について既述したような時期に添加することができる。このために架橋剤−促進剤系は、そのうえエポキシド−促進剤混合物も、プロセス中に一つの箇所または同一の箇所に同時に入れられることが好都合である。
【0062】
原則として、促進剤をエポキシ基含有物質の前に添加することができるように、上記実施において架橋剤および促進剤の添加時点もしくは添加箇所を交換することも可能である。
【0063】
配合プロセスでは、架橋剤および/または促進剤の添加時のポリマーの温度は、50から150℃の間、好ましくは70から130℃の間、特に好ましくは80から120℃の間である。
【0064】
架橋剤、すなわちエポキシ基含有物質を添加剤なしのポリマーに対して0.1〜5重量%添加する場合が、原則的に非常に好都合であることが明らかとなった。
【0065】
添加剤不含ポリマーに対して促進剤を0.05〜5重量%添加することが好都合である。
【0066】
大量の架橋剤および/または大量の促進剤は、達成可能な(最終)架橋度を高めるように、および/または最終架橋度を達成するまでの時間を短縮するように作用することがあり、これによって接着フィルムが接着接合部において有する封止能を最適化することができる。
【0067】
架橋したポリアクリレートの弾性割合が少なくとも20%となるように架橋剤の割合が選択される場合が、特に好都合である。好ましくは弾性割合は少なくとも40%、さらに好ましくは少なくとも60%である。
【0068】
原則的に、官能基、すなわち特にカルボン酸基の数は、これがエポキシ基に対して過剰に存在することによって、ポリマー中に所望の架橋を達成するためにただ十分な数の官能基があるように、すなわちポリマー中に潜在的架橋箇所または結合箇所があるように選択することができる。
【0069】
架橋剤−促進剤系の成分の比を相互に記述するために、特に架橋剤中のエポキシ基の数とポリマー中の反応性官能基の数との比を考慮することができる。原則としてこの比は、官能基が過剰、両方の基が等しい数、またはエポキシ基が過剰のいずれかになるように自由に選択することができる。この比は、エポキシ基が過剰(最大限で等しい数まで)になるように、かなり特に好ましくは、架橋剤中のエポキシ基の合計数とポリマー中の官能基の数との比が0.1:1〜1:1になるように選択される。
【0070】
さらなる指標は、促進剤中の促進作用基の数と架橋剤中のエポキシ基の数との比である。促進作用基として、特に第2級アミン基および第3級アミン基が考慮に入れられる。原則としてこの比もまた、促進作用基が過剰、両方の基が等しい数、またはエポキシ基が過剰のいずれかになるように自由に選択することができる。促進剤中の促進作用基の数と架橋剤中のエポキシ基の数との比が0.2:1〜4:1となる場合が、特に好都合である。
【0071】
混練体の配合後に、ポリマーのさらなる加工、特に永続的または一時的支持体上へのコーティングが行われる(永続的支持体は、使用時に接着剤層と接合したままであり、一方で一時的支持体はさらなる加工プロセス、例えば接着フィルムの変換中に、または接着剤層の使用時に再度取り除かれる)。
【0072】
感圧接着剤の層への形成は、技術者に公知のホットメルト−コーティングノズルまたは好ましくはコーティング・カレンダー(Beschichtungskalander)とも呼ばれるロールコーターを用いて行うことができる。コーティング・カレンダーは、好都合には2、3、4またはそれよりも多いローラーから成ることがある。ローラーの少なくとも一つ、好ましくはポリアクリレートと接触する全てのローラーは、抗接着性のローラー表面を備えることが好ましい。有利な手順では、カレンダーの全てのローラーが抗接着性を備えることがある。抗接着性のローラー表面として、特に好ましくは鋼−セラミック−シリコーン−接合材料が使用される。そのようなローラー表面は、熱負荷および機械的負荷に抵抗性である。
【0073】
コーティングは、特に好都合にはWO2006/027387A1(特許文献13)の12ページ5行目〜20ページ13行目、もっと正確には特に「変形形態A」(12ページ)、「変形形態B」(13ページ)、「変形形態C」(15ページ)、「方法D」(17ページ)、「変形形態E」(19ページ)の節ならびに図1〜6に記載されているようなコーティング方法にしたがって行うことができる。それゆえに、WO2006/027387A1から言及された開示状況は、本明細書の開示内容に明白に含まれる。
【0074】
抗接着性の表面を備えるか、または表面を改変されたローラーを備えるカレンダーローラーの使用によって2本および3本ローラーのカレンダー装置の場合特に良好な結果が達成され、ここで特に好都合に言及することができるのは、金属−アニロックスローラーである。この金属−アニロックスローラー、好ましくは鋼−アニロックスローラーは、規則的に幾何的に中断された表面構造を有する。これは、トランスファーロールUEWに特に好都合に当てはまる。この表面は、特に有利な方法でコーティング工程の成功に寄与する。それは、抗接着性で構造化された表面が、抗接着性を備える支持体表面へのポリアクリレート混練体自体の転写を可能にするからである。様々な種類の抗接着性表面コーティングをカレンダーローラーのために使用することができる。ここで、例えば前記に既述の金属−セラミック−シリコーン−接合材料である会社名PALLAS OBERFLAECHENTECHNIK GMBH(ドイツ)のPALLAS SK−B−012/5および会社名ADVANCED SURFACE TECHNOLOGIES(ドイツ)のAST9984−Bも特に適することが立証されている。そのうえ、特にトランスファーロール(UEW)は、鋼−アニロックスローラーとして設計されることがある。特に好ましくは、例えば会社名Saueressig(ドイツ)製のような表示140L/cmおよびセルの深さ10μmを有する、例えば鋼−アニロックスローラーがトランスファーロールUEWとして使用される。
【0075】
コーティングの際に、特に多ローラーカレンダーを使用する際に、300m/分までのコーティング速度を実現することができる。
【0076】
有利な接着フィルム構築物
感圧接着剤層を用いて、原則として単層接着フィルムだけでなく三層以上の接着フィルムを所望の厚さで製造し、本発明にしたがって使用することができる。しかしながら、本発明の使用は、より薄い接着フィルムを使用する場合に特に好都合である。それは、電子機器工業では接着箇所を通常、薄く保つべきであるからである。
【0077】
好ましくは、本発明により使用される接着フィルムは、厚さ200μm以下、より好ましくは100μm以下を有する。接着フィルム内の十分な安定性を保証するために、特に三層以上の構築物にとって、少なくとも厚さ30μmが好都合である。例えばタッチスクリーンおよびタッチパネル領域での接着のような、電子機器の領域での特別な適用のために、特に合計厚さ60〜80μmを有する接着フィルムが好都合である。
【0078】
例えば支持層上に感圧接着剤を両面コーティングすることによって、三層接着フィルム構築物を得ることができる。非常に好ましい実施形態では、支持層としてポリマーフィルムまたは不織布が使用される。支持体は、好ましい一形態では、両面コーティングされ、その際、混練体の塗布は、その化学的性質および/または寸法において両面とも等しいか、または両面で異なることもある。接着テープとしてのロールへの巻き取りおよび感圧接着テープの再巻出しを可能にするために、感圧接着剤は、好ましくは接着フィルムの少なくとも片面を剥離フィルムまたは剥離紙で保護される。さらなる一実施形態では、感圧接着剤の両面が剥離フィルムおよび/または剥離紙で覆われる。さらに、支持層が一つまたは複数のコーティングを備えることが可能である。さらに、感圧接着フィルムの両面に異なる感圧接着剤が供給されていることも可能である。三層または多層接着フィルムの感圧接着剤塗布は、相互に依存せずにそれぞれの面で好ましくは5から193g/mの間、非常に好ましくは30から100g/mの間、例えば50g/mである。対称的な構築物が好都合である。
【0079】
単層接着フィルム(転写式接着フィルム)、すなわち単層で使用されるような接着フィルムを製造するために、これは、使用前の取扱いのために一時的な支持体を備える必要がある。そのような製品構築の調製は、剥離フィルムまたは剥離紙上に感圧接着剤を片面コーティングすることを含む。透明な感圧接着剤は、ここでも接着テープとしてのロールへの巻き取りおよび感圧接着テープの再巻出しを可能にするために、露出面にさらなる剥離フィルムまたはさらなる剥離紙を備えることがある。さらなる一実施形態では、両面が剥離フィルムおよび/または剥離紙で覆われる。単層システムの感圧接着剤塗布、したがって使用時の単層接着フィルムの厚さは、好ましくは5から250g/mの間、非常に好ましくは30から100g/mの間、例えば200g/mまたは50g/mである。
【0080】
好都合に使用される支持層(支持体フィルム、支持体不織布)は、2μm〜200μm、特に4μm〜100μm、特に好都合には6μm〜50μmの層厚を有する。
【0081】
支持体フィルムとして、多数のポリマーフィルムを使用することができる。それで、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)のようなポリエステルフィルムを使用することができる。例えば商品名Hostaphan(商標)の三菱製のフィルムまたは商品名Lumirror(商標)の東レ製のフィルムが適する。さらなる適切なポリエステルフィルムは、ポリブチレンテレフタレートフィルムである。さらに、例えばポリエチレン(PE)またはプロリプロピレン(Prolypropylen)(PP)製のようなポリオレフィン系フィルム、さらにポリ塩化ビニル−フィルム(PVC−フィルム)を使用することができる。さらに、ポリカーボネートフィルム、ポリメタクリレート−フィルムまたはポリスチレン−フィルムを使用することができる。前記ポリマーのベースとして役立つモノマーのコポリマーベースのフィルムも使用することができる。それで、例えば結晶化挙動を低下させるために、スチレンベースのコモノマーおよび例えばブタジエンのような一つまたは複数種のコモノマーを使用することができる。さらに、ポリエーテルスルホン−フィルムおよびポリスルホン−フィルムもまた支持体材料として使用することができる。これらは、例えば会社名BASFからUltrason(商標)EおよびUltrason(商標)Sの商品名で入手可能である。本発明の意味において、ウレタンベースのフィルム、例えばベース上で熱可塑性のポリウレタン(TPU−フィルム)も使用することができる。これは、例えば会社名Elastogran GmbHから市販されている。さらに、支持層としてポリアミドフィルムおよびコポリアミドフィルム、同様にポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルブチラールベースのフィルムを使用することができる。さらに、適切な支持体フィルムは、ポリイミドまたはポリエチレンナフタレートベースのフィルムである。支持層として単層フィルムだけでなく、多層フィルム、例えば共押出しにより製造された多層フィルムも使用することができる。このために前述のポリマー材料を相互に組み合わせることができる。さらに、フィルムを支持層として使用するために、フィルムの片面または両面を処理(前処理)することが有利なことがある。それで、例えば酸化亜鉛を用いて、例えば蒸着を行うことができ、また塗料または接着促進剤を塗布することができよう。有利な手順では、支持層材料が添加されていることがある。可能性のある添加は、UV保護剤である。追加的またはその代わりに、UBV保護剤も保護層として適用することができる。
支持体フィルムの厚さは、本発明によれば好ましくは2から150μmの間、特に好ましくは12から100μmの間、例えば23μmである。
【0082】
不織布も、有利な方法で支持体材料として使用することができる。支持体不織布として、個々の繊維から成る平面構造物が理解される。その際に、規格DIN EN29092によって定義される全ての不織布を使用することができる。不織布は、ばらばらの繊維がひとまとめにされているが、まだ相互には接合していないものから成る。強度は、繊維固有の付着性に起因する。圧密化および非圧密化不織布が入手可能である。繊維は統計的に分布している。不織布は、繊維の材料に応じて区別することができる。技術的に限定したいわけではないが、繊維の材料として、例えばガラス、ロックウールまたは玄武岩のような例えば無機繊維、例えば絹または羊毛のような動物性繊維、例えば綿のような植物性繊維、例えばセルロース、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアクリルニトリル、ポリイミド、ポリテトラフルオルエチレン、アラミドまたはポリエステルのような化学繊維を使用することができる。繊維は、ニードリングまたは水流によって機械的に、結合剤の添加によって化学的に、または加熱されたローラーの間で適切なガス流またはそのうえ蒸気流中での軟化によって熱的に、圧密化することができる。不織布として好ましい一手順では、ポリエステルまたはセルロースベースの不織布が使用される。
【0083】
繊維材料の選択は、温度安定性に応じて行われる。それで、ポリマーベースの繊維のために、軟化温度が接触の時点でポリアクリレート溶融物のコーティング温度を、好ましくは少なくとも20℃、特に好ましくは少なくとも40℃を超えるポリマーが選択される。本発明の好ましい一設計では、セルロースベースの不織布が使用される。不織布の目付け量は、好ましくは4から100g/mの間、特に好ましくは10から70g/mの間である。そのような不織布は、例えば会社名Glatfelterから市販されている。この不織布の厚さは、好ましくは20から200μmの間、好ましくは30〜150μm、例えば100μmである。そのときどきの感圧接着剤層でコーティングする際に、これらは通例、一部が不織布中に浸透する。
【0084】
むき出しの感圧接着剤を保護するために、好ましくは一つまたは複数の剥離フィルムおよび/または剥離紙で覆われる。剥離紙として例えばグラシン紙、HDPEまたはLDPE剥離紙(HDPE:高密度ポリエチレン=低圧−ポリエチレン;LDPE:低密度ポリエチレン=高圧−ポリエチレン)を使用することができ、それらは、そのときどきに好ましくは剥離層としてシリコーン処理を有する。剥離フィルム用のフィルム材料として、典型的なポリマーフィルム、特に好ましくはポリエステル製フィルム[例えばポリエチレンテレフタレート(PET)]またはオフポリオレフィン製フィルム[例えばポリプロピレン(PP)、一軸延伸ポリプロピレン(MOPP)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)、ポリエチレン(PE)]を使用することができる。剥離フィルムは、非常に好ましくは剥離剤としてシリコーン処理を有する。
【0085】
架橋
接着フィルム用に形成された感圧接着剤を使用する前に、好ましくは既に変換前に、これは、少なくとも一部が架橋される。架橋は、架橋されるべきポリアクリレートの溶融温度未満の温度で実施される。好ましい方法では、熱エネルギーをさらに能動的に供給する必要なしに、架橋が既に室温で時間の経過と共にひとりでに進行する種類の架橋剤−促進剤系が選択される。しかしながら、外的エネルギー供給によって架橋が促進されることが有利なことがある。架橋剤および促進剤の選択によって、架橋反応温度および架橋時間、同様に最終的に達成可能な架橋度も望み通りに制御できる。後者には、例えば架橋反応に関与するポリマー骨格の官能基の数も影響を及ぼす。感圧接着剤の架橋度(ゲル値)が少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%である場合、電子領域に接着するための本発明の使用のために接着フィルムが使用される。有利な手順では、架橋度は、最大到達可能な架橋度の少なくとも60、好ましくは少なくとも75、より良好には少なくとも90%であるべきである。十分な架橋度によって、封止の品質および例えば皮脂のような物質に対する耐久性が、本発明にしたがって使用された接着フィルムによってプラスに制御できるようになる。
【0086】
架橋度の増加と共に、概して接着力も低下する。それによって感圧接着テープが、適用後に再度より容易に取り除き可能になるので、これもまた有利なことがある。これは、特に非常に高価な構成部品を接着する場合に有利である。接着されるべき構成部品を誤って配置した際に、それをもはや全部捨てる必要はなく、リサイクルすることができる。
【0087】
特定の使用形態
本発明の使用は、特に電子消費財における構成部品または部品の接着に関連する。その際、特にプラスチック−プラスチックの接着、プラスチック−ガラスの接着、ガラス−金属の接着および/またはプラスチック−金属の接着が実現される。本発明にしたがって使用される接着フィルムは、全てのこれらの接着について適切であることが明らかになった。塗料表面へのプラスチック、ガラスまたは金属の接着も、本発明の使用に含まれる。それは、電子消費財に多数の塗装構成部品(例えばハウジング、フレーム)が使用されるからである。
【0088】
その使用は、電子機器における接着接合が、特に前記接着の一つが、外界の埃、気体または液体の影響に曝されている場合の接着に特に好都合である。それは、感圧接着剤がこれに対して予想外の方法で卓越して高い耐久性を有し、またその理由から、長時間が経過した後で接着が再び剥がれる傾向にないからである。特に好都合には本発明の接着は、電子機器のデータディスプレー領域(ディスプレー領域)に利用される。その際、(特にポータブル)消費財電子機器の保護スクリーン(「窓」)、特に光学的表示ユニット(ディスプレー)用の保護スクリーン(「窓」)のための使用が、特に関心が持たれる。それは、その種の表示装置の場合、接着の剥離が不利に作用するからである(見た目の悪い外観、目視表示の曇り、視認性の悪化または損失および類似の作用)。本発明の接着フィルムは、例えばとりわけ実際のディスプレー(例えば液晶表示装置−LCD)自体とハウジング、ディスプレーと保護窓および/または保護窓とハウジングの接着に利用される。前述の欠点に加えて、接着接合部への身体排出物の侵入によっても衛生上の問題が起こるおそれがある。本発明により使用される感圧接着剤の非常に良好な耐久性は、驚くことに、特に皮脂(汗および汗成分)のような種の物質に対して現れている。それゆえに、密接および/または集中的に身体接触して動作する携帯電子機器およびさらなる電子機器に関してそうであるように、電子機器のこれらの物質への曝露が増大している場合に、本発明の感圧接着剤は顕著に使用可能である。例えば、ここで携帯電話(移動電話)、無線機、ディスプレー装置(光データ表示機能を有するデバイスおよび装置)、タッチスクリーンおよびタッチパネル(タッチセンシティブ・スクリーンおよびディスプレー表面を介したデータ入力)、ゲーム機本体、リモコン、電子スポーツ用具および例えば脈拍測定器具のようなスポーツマン監視用具、コンピューターマウス、例えば腕時計のような時計、コンピューター、ミニコンピューターおよびマイクロコンピューター[いわゆるPDA、オーガナイザー、ラップトップ、Eブック(電子読書コンピューター)、タブレット−PC、ポケット−PC、ハンドヘルド−PC]、特にまた個人の日程および/またはデータ管理用のミニコンピューターおよびマイクロコンピューターなどが挙げられる。
【0089】
本発明にしたがって使用される両面接着性接着フィルムは、好都合には二つの機能を実現する。第一に、それらは(特に透明の)窓材料(例えばガラス、ポリカーボネートなど)とハウジング(例えばプラスチック製、金属製などのフレーム)の間のできるだけ高い接着を引き起こす。他方でそれらは、好都合には湿気、皮脂、埃などが接着接合部に侵入できないように封止機能を果たす。
【0090】
特に、利用者が機器およびまたデータ表示窓(ディスプレー領域)を長時間耳に当てる携帯電話の場合、接着箇所が皮膚との直接接触および皮脂の直接影響に曝される。類似の考察が、直接、密接および/または集中的に身体接触して動作する他の機器に当てはまる。
【0091】
本発明により使用される接着フィルムは、本発明の使用のために好都合には適用のために望まれる形態にされ、特に切抜きおよび/または型抜きされる。変換は、感圧接着剤の架橋前に実施することができるが、非常に好ましくは、本発明の感圧接着剤が少なくとも一部架橋している場合に実施される。変換された(切抜き、型抜き、定尺裁断および/または他の方法で形成された)接着フィルム片、特にそのときどきの使用のために変換された接着フィルム片は、本明細書の枠内で「型抜き品」とも呼ばれる。電子消費財の領域のハウジングへの表示窓の接着に使用するために、特に輪状の型抜き品が使用され、この場合「輪状」という概念は、円い形態だけに限定されず、接着フィルム面の中心部分が空いている限り、例えば角張った(特に長方形および正方形のような四角の)型抜き品が含まれる。
【0092】
図1に、本明細書の枠内で本発明にしたがって使用された記載の接着フィルム(型抜き品)を用いた、電子機器のハウジング(1)上への保護窓(3)の接着を図示する。上に接着されるハウジング(1)の部分は、いわば表示窓のためのフレームである。
【0093】
図2に、表示ユニット(4)(実際のディスプレー、例えばLCD)も本発明の接着フィルム型抜き品を用いて顕著に接着することができることを示す。そのうえ、特に感圧接着性であってもよい、輪状の発泡材型抜き品(5)を接着することが有利なことがある。この発泡材型抜き品(5)は、接着接合部の封止のためにも役立つことがあるが、衝撃時の機械的エネルギーを吸収することにより、振動を防止し、破壊抵抗性を高めるためにも役立つ。いわゆるタッチスクリーンまたはタッチパネル(タッチセンシティブ・データディスプレー)のためにも、保護スクリーンとディスプレーの間の間隔を機械的に克服することによって、接触感度を保証することができるように、発泡材型抜き品を使用することができる。タッチスクリーンおよびタッチパネルは、原則として、ディスプレーユニット上に機械的接触を媒介することができるように、機械的に柔軟な保護窓スクリーンと接着される。
【0094】
発泡材層は、図2に示すように、接着フィルム型抜き品とハウジングの間、および/またはディスプレーと接着フィルム型抜き品の間に備えることができる。
【0095】
図3に、本発明の接着フィルム型抜き品(2a、2b)により保護スクリーン(3)だけでなくディスプレーも接着しているデータ表示装置を図示する。またここで、発泡材層(5)の存在は、任意であり、必然的ではない。
【0096】
本発明の使用のさらなる有利な実施は、二つの、特に輪状の型抜き品が使用されることが優れており、これに関して例えば図4aおよび4bを参照されたい。図4aおよび4bに、例えばプラスチックまたは金属から作られたフレーム(1)を一定の縮尺ではなく図示する。フレームユニット(1)の下に表示ユニット(4)(ディスプレー、例えばLCD)が配置されている。この表示装置を保護するために、透明の保護スクリーン(3)(例えばガラス、またはポリカーボネートもしくは同等物のような透明プラスチック製)が接着されるべきである(平面図(図4a)には、透明スクリーンを表示せず、斜視図(図4b)には、接着されるスクリーンをまだ図示していない)。ディスプレー(4)の周りに輪状の二つの接着フィルム型抜き品(2、6)、すなわち外側型抜き品(2)および内側型抜き品(6)が配置され(図に長方形状に示すが、本発明の教示は、表示された型抜き品の形態によって限定されるべきではなく、これは、特にディスプレーおよび/またはフレームの形態に合わせることができる)、フレーム(1)上に接着される。接着フィルム型抜き品2および6は、その機能によって区別することができる:外側型抜き品は、好都合には本明細書において本発明により記載の接着フィルムから成り、好ましくは接着作用に加えて接着接合部の封止を引き受け、一方で内側型抜き品(6)は、好都合には高い接着強度を引き起こす、特に強力接着性(高粘着性)感圧接着剤ベースの型抜き品である。接着するために、透明スクリーン(3)が接着フィルム型抜き品(2、6)上に押しつけられる。フレーム(1)上へのディスプレー(4)の接着は、この図に示さない。
【0097】
一方の、特に外側型抜き品が特に封止機能を有し、他方の、特に内側に存在する型抜き品が、特に強い接着力を達成するために使用される、二つの接着フィルム型抜き品からのそのようなシステムが、同様に、実際のディスプレーをハウジングと(フレーム上で)、および/または保護スクリーン上に接着するために提供される。その際、型抜き品は、そのときどきに他方の型抜き品の機能にも貢献することがあり、特に封止性の型抜き品は、基材の接着にも役立つ。
【0098】
二つの接着フィルム型抜き品が使用される場合、場合によっては接着フィルム型抜き品と透明スクリーンの間および/または接着フィルム型抜き品とフレームの間に、一つもしくはそのときどきに一つのフォーム層も備えることがある。
【0099】
本発明の接着フィルム2が、接着の際にタッチセンシティブ表示装置内で使用される、
さらなる有利な本発明による一使用を図5aに示す。ここで、接着フィルム型抜き品2は、表面に非接触の場合のシグナル生成を防止するために、追加的にスペーサーとして二つの伝導性のフィルム、例えばITO(71)(インジウム・酸化亜鉛)でコーティングされたフィルム(7a、7b)(例えばポリエチレンテレフタレートフィルム)の接着に役立つ(「スペーサーテープ」の機能)。追加的な機械的スペーサー(11)を備えてもよい。ITO(71)でコーティングされた上部フィルム(7a)は柔軟であって、圧点を圧迫することによって下側伝導性フィルム(7b)に接触することができ、それによって電気信号が発生する(この場合、圧力は指、ペンまたは他の方法で加えることができる)。図5bに、例としてそのようなユニットをどのようにタッチセンシティブ表示装置(タッチスクリーン、タッチパネル)に組み入れることができるかを示す:前述の構築は、特に透明(光学透明)な特に単層接着フィルム(8b)を使用して下地、特にディスプレー(4)上に接着されることによって、ここで光学画像生成を行うことができる。機械的保護のために、シグナルの発生を可能にするために十分な可撓性を有する保護スクリーン(3)を表示装置の上面に備えることができる。また、この保護スクリーン(3)は、透明な特に単層の接着フィルム(8a)を使用して接着されている。柔軟な保護スクリーン(3)を保護層の側で保護するために、保護スクリーン上に追加的に耐傷性保護層(9)が配置されることがある。意図されない光の漏れを減らすために、柔軟な保護層の下方に、局所裏面コーティング(10)を備えることがある。
【0100】
そのようなタッチセンシティブ表示ユニットも、集中的な接触およびそれゆえに皮脂による強い影響に曝される。
【0101】
パラメーターの定義
本明細書の枠内に挙げられたパラメーターおよびパラメーターの値は、以下の決定方法に関連する。
【0102】
架橋度(ゲル値GW)
架橋した無溶媒の感圧接着剤試料(溶媒割合<0.2%)をポリエチレン製不織布タオル(Tyvek不織布)に融着させる。可溶性であることから架橋していない成分を、トルエンで3日間毎日溶媒を交換しながら抽出する。抽出前の試料の重量(不織布タオルなしの試料の純重量)(合計接着剤重量G)および抽出後の試料の重量(架橋割合の重量G)から、トルエンで抽出不可能なポリマーの重量割合のパーセンテージ記述として、ゲル値が
GW=(G/G)×100%
と決定される。
ゲル値GWは、架橋度の尺度として理解することができる。本明細書における架橋度に対する全ての記述は、前述の決定方法によるゲル値に関連する。
【0103】
ゲル浸透クロマトグラフィーGPC:
本明細書における重量平均分子量Mおよび多分散性PDの記述は、ゲル浸透クロマトグラフィーによる決定に関連する。その決定は、透明に濾過された試料(試料濃度4g/l)100μlで行われる。溶離液として、0.1Vol%トリフルオル酢酸を有するテトラヒドロフランを使用する。測定は25℃で行う。プレカラムとしてPSS−SDV型カラム、5μ、10Å、ID8.0mm×50を使用する。分離のために、そのときどきにID8.0mm×300mmのPSS−SDV型カラム、5μ、10Åならびに10Åおよび10Å(会社名Polymer Standards Serviceのカラム;示差屈折計Shodex RI71を用いて検出)を使用する。流量は、1.0ml/分である。較正は、PMMA−標準に対して行う(ポリメチルメタクリレート−較正)]。
【0104】
実験の部
以下の例示的な実験は、記述された例の選択によって本発明が不必要に限定されることなしに、本発明をより詳細に説明するはずである。
【0105】
測定方法:
以下の測定方法は、被験試料の特徴づけに役立つ。
【0106】
180°接着力試験(測定方式H1):
ポリエステル上に層として塗布されたアクリレート感圧接着剤の幅20mmのストリップを、予めアセトンで2回およびイソプロパノールで1回洗浄しておいた鋼板上に適用した。その感圧接着ストリップを、2kgの重量に対応する接触圧で基材上に2回押しつけた。続いてその感圧接着ストリップを直ちに300mm/minの速度で180°の角度で基材から引き剥がした。全ての測定を室温で実施した。測定結果をN/cm単位で表示し、3回の測定の平均を算出する。
【0107】
突き破り強度(測定方式H2):
厚さ1mm、長さ45mmおよび幅35mmのPMMAプレートを厚さ3mmで長さ50mmおよび幅40mmの外寸を有するABSフレームに接着する。ABSフレームは、中心部分が25mm×35mmの寸法で切り取られており、その結果、突き押しピストンのためのスペースが確保されている。進歩性に富む感圧接着テープを型抜き品として接着のために使用する。型抜き品の外寸は、46mm×36mmである。桁幅は全ての側で2mmである。接着面積は304mmである。接着は、5kgの圧力で6秒間実施する。続いて、23℃および大気湿度50%で24時間馴化する。突き押し試験は、Zwick試験機で実施する。ABSフレームを通して突き押しを行い、窓の中央を圧迫する。圧迫ピストンは、寸法20mm×26mmを有する。突き押し速度は10mm/minであり、試験を23℃および大気湿度50%で実施する。最大測定力はN/304mm単位で示す。測定値は、3回の測定の平均値である。
【0108】
皮脂耐久性試験(測定方式H3):
試料の調製は、測定方式H2と同様に行う。23℃および湿度50%で24時間馴化後に、皮脂下での保存を行う。ヒトの皮脂の代替として以下の組成の合成皮脂を使用する(そのときどきの質量含量の記載):
41.0%トリグリセリド、25.0%ワックスエステル、16.0%脂肪酸、13.0%スクアレン、1.0%ジグリセリド、2.0%コレステロールエステル、2.0%コレステロール。
保存は、60℃未満で行う。皮脂が大過剰に存在するように、試料を皮脂で周辺部まで完全に湿らせる。塗布は、筆で行うことができる。60℃での保存を7日間続ける。続いて、測定方式H2と同様に、再び突き押し試験を実施する。突き押し速度は10mm/minであり、試験は23℃および大気湿度50%で実施する。最大測定力は、N/304mm単位で示す。測定値は、3回の測定の平均値である。
【0109】
【表1】

全ての規格の記載は20℃の場合;Epikure(登録商標)は商品名Epi-Cure(登録商標)およびBakelite(登録商標)EPHでも販売されている
【0110】
感圧接着剤の例
PSAの例B1〜B8についての出発ポリマーの製造
以下に、出発ポリマーの調製について記載する。検査されるポリマーは、従来方法で、溶液中のフリーラジカル重合により製造する。
【0111】
主体ポリマーP1
ラジカル重合用の従来型反応器に45kgの2−エチルヘキシルアクリレート、45kgのn−ブチルアクリレート、2kgのメチルアクリレート、8kgのアクリル酸および66kgのアセトン/イソプロパノール(92.5:7.5)を充填した。窒素ガスを撹拌しながら45分間通気させた後に、反応器を58℃に加熱し、50gのAIBNを添加した。続いて外側の加熱浴を75℃に加熱し、反応をこの外部温度で一定に実施した。1時間後に新たに50gのAIBNを添加し、4時間後に20kgのアセトン/イソプロパノールで混合物を希釈した。5時間後ならびに7時間後にそのときどきに150gのビス−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)−ペルオキシジカルボネートで再開始した。22時間の反応時間後に重合を中断し、室温に冷却した。ポリアクリレートは、Mw=602000g/molの平均分子量、多分散性PD(Mw/Mn)=8.1を有する。
【0112】
主体ポリマーP2
例P1と同様に、90kgの2−エチルヘキシルアクリレートおよび10kgのアクリル酸を66kgのアセトン/イソプロパノール(92.5:7.5)中で重合した。ポリアクリレートは、Mw=633000g/molの平均分子量、多分散性PD(Mw/Mn)=7.9を有する。
【0113】
方法1:濃縮/溶融感圧接着剤の製造:
単軸スクリュー押出機(脱揮押出機(Aufkonzentrationsextruder)、Berstorff GmbH、ドイツ)を用いてアクリレート・コポリマー(主体ポリマーP1〜P2)から溶媒を最大限十分に除去する(残留溶媒含量≦0.3重量%;個々の例を参照)。例示的には、ここで主体ポリマーP1の濃縮のパラメーターを示す。スクリューの回転数は150U/min、モーター電流は15Aであり、液体58.0kg/hの処理量を実現した。濃縮のために3個の異なるドームに真空を適用した。低圧は、そのときどきに20mbarから300mbarの間であった。濃縮されたホットメルトの流出温度は約115℃である。この濃縮ステップ後の固体含量は、99.8%であった。
【0114】
方法2:改変された溶融感圧接着剤の製造
上記方法1にしたがって製造されたアクリレート溶融感圧接着剤を、下流のWELDING二軸スクリュー押出機(WELDING Engineers、オーランド、USA;モデル30MM DWD;スクリュー直径30mm、スクリュー1の長さ=1258mm;スクリュー2の長さ=1081mm;3ゾーン)に直接輸送した。固体計量システムを経て樹脂Dertophene(登録商標)DT110をゾーン1に計量し、均一に混合した。ここで例示的に、主体ポリマーP1に樹脂を配合するためのパラメーターを説明する。回転数は451U/min、モーター電流は42Aであり、30.1kg/hの処理量を実現した。ゾーン1および2の温度は、そのときどきに105℃であり、ゾーン1中の溶融物温度は117℃であり、流出時の混練体温度(ゾーン3)は100℃であった。
【0115】
方法3:本発明の接着テープの製造、熱架橋およびコーティングのための架橋剤−促進剤系との混合
方法1〜2にしたがって製造されたアクリレート溶融感圧接着剤をフィード式押出機(会社名TROESTER GmbH&Co KGの単軸スクリュー運搬押出機、ドイツ)中で溶融させ、これと共にポリマー溶融物として二軸スクリュー押出機(会社名LEISTRITZ、ドイツ、LSM30/34に関する)に運搬した。この凝集物を外部から電気的に加熱し、様々な送風機によって空冷するが、架橋剤−促進剤系がポリマーマトリックス中に十分に分布すると、押出機中の接着剤の短い滞留時間も同時に保証されるように構想されている。そのうえ、二軸スクリュー押出機の混合シャフトは、運搬中の成分および混合中の成分が交互になるように配置した。そのときどきの架橋剤および促進剤の添加は、適切な計量装置を場合により複数の箇所(図1:計量箇所1.1および1.2)で用いて、場合により計量助剤を使用して二軸スクリュー押出機の無加圧運搬ゾーンで行う。二軸スクリュー押出機(出口:円形ノズル、直径5mm)から、配合が完了した、すなわち架橋剤−促進剤系と混合された接着剤が流出後に、ウェブ形態の支持体材料上に図1によるコーティングを行う。架橋剤−促進剤系の計量から形成もしくはコーティングまでの時間を処理時間として表示する。処理時間は、架橋剤−促進剤系と混合された接着剤を用いて、光学的に良好な外観(ゲルなし、斑点なし)でコーティングすることができる時間を記載する。コーティングは、1m/minから20m/minの間のウェブ速度で行い、2−ロールコーターのドクターローラーは、動かさない。次の例および表1〜3に、使用した処方、製造パラメーターおよび獲得された性質をそのときどきにより詳細に記載する。
【0116】
例B1
主体ポリマーP1を、記載された重合方法にしたがって重合し、方法1にしたがって濃縮し(固体含量99.8%)、続いて方法2にしたがって樹脂Dertophene(登録商標)T110と混合する。次に、この樹脂改変されたアクリレート−ホットメルト混練体を方法3にしたがって
− ペンタエリスリットテトラグリシドエーテル
(ここでは会社名UPPC AG、ドイツのPolypox(登録商標)R16(エポキシド))および
− トリエチレントリアミン
(ここでは会社名HEXION、ドイツのEpikure(登録商標)(アミン促進剤))
から成る架橋剤−促進剤系と連続的に配合する。
詳細な説明:方法3に記載された二軸スクリュー押出機に、70部のポリマーP1および30部の樹脂Dertophene(登録商標)T110から成る533.3g/minの合計混練体流(1分あたり373gの純ポリマーに対応する)を1.16g/minのエポキシド架橋剤ペンタエリスリットテトラグリシドエーテル(ポリマーに対して0.32重量%に対応)および1.89g/minのアミン促進剤トリエチレンテトラミン(ポリマーに対して0.51重量%に対応)と混合した。アミンおよびエポキシドの計量は、計量箇所1.1で2個のチューブポンプを経由して別々に行う(図1参照)。計量能および到達可能な混合品質を改善するために、使用される架橋剤系を液体リン酸エステル(イソプロピル化トリアリールホスフェート;Reofos65;会社名GREAT LAKES、USA)で希釈した(架橋剤との比は0.5:1)。工程パラメーターを表2に要約する。完成した配合物の処理時間は、LEISTRITZ−二軸スクリュー押出機から出た後に平均混練体温度125℃で7分を超えた。コーティングは、2−ロールコーターを用いて、そのときどきに100℃のローラー表面温度で、100g/mの混練体塗布量で12μmのPETフィルム上に行う。PETフィルムの両面に、そのときどきに100g/mのアクリレート感圧接着剤をコーティングした。
【0117】
例B2
B1と同様に処理した。方法1にしたがって濃縮され、方法2にしたがって樹脂Dertophene(登録商標)T110と混合された主体ポリマーP1(残留溶媒割合:0.1重量%)を例B1と同様に方法3にしたがって二軸スクリュー押出機中で架橋剤−促進剤系と配合し、コーティングした。コーティングは、12μmのPET支持体フィルム上に行った。コーティングは、両面に行い、両面の混練体塗布量は、そのときどきに75g/mであった。
【0118】
例B3
B1と同様に処理した。方法1にしたがって濃縮され、方法2にしたがって樹脂Dertophene(登録商標)T110と混合された主体ポリマーP1(残留溶媒割合:0.1重量%)を例B1と同様に方法3にしたがって二軸スクリュー押出機中で架橋剤−促進剤系と配合し、コーティングした。コーティングは、50μmのPET支持体フィルム上に行った。コーティングは、両面に行い、両面の混練体塗布量は、そのときどきに100g/mであった。
【0119】
例B4
B1と同様に処理した。方法1にしたがって濃縮され、方法2にしたがって樹脂Dertophene(登録商標)T110と混合された主体ポリマーP1(残留溶媒割合:0.1重量%)を例B1と同様に方法3にしたがって二軸スクリュー押出機中で架橋剤−促進剤系と配合し、コーティングした。コーティングは、12μmのPET支持体フィルム上に行った。コーティングは、両面に行い、両面の混練体塗布量は、そのときどきに20g/mであった。
【0120】
例B5
B1と同様に処理した。方法1にしたがって濃縮され、方法2にしたがって樹脂Dertophene(登録商標)T110と混合された主体ポリマーP1(残留溶媒割合:0.1重量%)を例B1に同様に方法3にしたがって二軸スクリュー押出機中で架橋剤−促進剤系と配合し、コーティングした。コーティングは、13g/mの不織布(会社名Glatfelterのティーバッグ不織布、セルロースベース)上に行った。コーティングは、両面に行い、両面の混練体塗布量は、そのときどきに75g/mであった。
【0121】
例B6
方法1にしたがって濃縮され、方法2にしたがって樹脂Dertophene(登録商標)T110と混合された主体ポリマーP2(残留溶媒割合:0.1重量%)を、例B1と同様に方法3にしたがって二軸スクリュー押出機中で架橋剤−促進剤系と配合し、コーティングした。架橋剤−促進剤系は、
− トリメチロールプロパントリグリシドエーテル、
(ここではPolypox(登録商標)R20、会社名UPPC AG、ドイツ(エポキシド))
および
− ジエチレントリアミン、
(ここではEpikure(登録商標)3223、会社名HEXION、ドイツ(アミン促進剤))
から成る。例B1と同様に、1.04重量%の多官能性エポキシドであるトリメチロールプロパントリグリシドエーテルおよび0.58重量%のアミンであるジエチレントリアミン(そのときどきにアクリレート・コポリマーに対する割合)を方法3にしたがって添加した。LEISTRITZ−二軸スクリュー押出機の押出機回転数は、毎分125回転、混練体処理量16.4kg/hであった。処理時間は、押出機から出た後に有効混練体温度108℃で5分を超えた。ロールコーターを用いて混練体塗布量100g/mで12μmのPETフィルム上にコーティングした。
【0122】
例B7
B6と同様に処理した。方法1にしたがって濃縮され、方法2にしたがって樹脂Dertophene(登録商標)T110と混合された主体ポリマーP2(残留溶媒割合:0.1重量%)を例B6と同様に方法3にしたがって二軸スクリュー押出機に架橋剤−促進剤系と配合し、コーティングした。コーティングは、13g/mの不織布(会社名Glatfelterのティーバッグ不織布、セルロースベース)上に行った。コーティングは、両面に行い、両面の混練体塗布量は、そのときどきに75g/mであった。
【0123】
参照例RB1
主体ポリマーとしてポリマーP1を使用した。ポリマーは、30重量%のDertophene(登録商標)T110および0.25重量%のアルミニウム(III)−アセチルアセトネートと混合した。予めイソプロパノールで30%の固体含量に調整しておいた。続いて、溶液から12μmのPETフィルム上にコーティングを行った。試験片を120℃で10分間乾燥させた。乾燥後の混練体塗布量は、100g/mであった。続いて、そのように得られた接着フィルムのむき出しの面を剥離紙で覆った。最後に、他方でPETフィルムのもう一方の面を接着剤でコーティングし、120℃で10分間乾燥させた。このコーティング後の混練体塗布量は、同様に100g/mであった。
【0124】
参照例RB2
RB1と同様に処理した。この場合、12μmのPETフィルムの両面をそのときどきにポリマー1ベースの75 g/mの接着剤で処理した。
【0125】
参照例RB3
RB1と同様に処理した。この場合、厚さ50μmのPETフィルムの両面をそのときどきにポリマー1ベースの75g/mの接着剤で処理した。
【0126】
参照例RB4
RB1と同様に処理した。この場合、厚さ12μmのPETフィルムの両面をそのときどきにポリマー2ベースの100g/mの接着剤で処理した。この場合も、ポリマー2を30重量%のDertophene(登録商標)T110および0.45重量%のアルミニウム(III)−アセチルアセトネートと混合した。
【0127】
結果
接着技術的性質を決定するために、まず、鋼上の180°接着力を決定した。ここで、試験方法H1にしたがって処理した。接着技術的性質を表1に要約する。
【0128】
【表2】

【0129】
表1から、本発明の例B1〜B7が全て、支持体および混練体塗布量に依存して高い接着力を有することを知ることができる。参照例は、本発明の例と同様に類似の接着力を示す。それで、B1とRB1、B2とRB2、B3とRB3、およびB6とRB6の比較は、互角の接着力を示す。同等の主体ポリマーが使用され、そのときどきに製品が同等の製品構築で相互に比較されていることから、これは驚くべきことではない。さらに、測定されたゲル値は、本発明の例B1〜B7が全て60%よりも大きいゲル値を有することを示す。それに比べて、参照例RB1〜RB3は、約40%より低いゲル値を有する。さらにRB4で、同様に高いゲル値を有するが、特定の方法にしたがわずに製造された参照例が選択された。この試験片は、ゲル値65%を有する。
【0130】
接着力に加えて、方法H2による突き破り試験も実施した。この試験で携帯電話の窓をシミュレーションする。同様に、窓が携帯電話ハウジングにどれだけ強固に接着しているかを試験するために、この産業で通常の方法で突き破り試験を実施する。測定値を次表2に要約する。
【0131】
【表3】

【0132】
表2から、本発明の例B1〜B7の全例が、支持体および混練体塗布量に依存して高い突き破り強度を有することを知ることができる。参照例は、本発明の例に類似して、類似の突き破り強度を示す。それで、B1とRB1、B2とRB2、B3とRB3およびB6とRB6の比較は、互角の突き破り強度を示す。同等の主体ポリマーが使用され、そのときどきに製品が同等の製品構築で相互に比較されていることから、これは驚くべきことではない。
【0133】
本発明の例だけでなく、参照例もまた原則的に窓の接着に適切であることが示された後で、皮脂耐久性試験を実施した。他方で、皮脂によって接着強度が減少するかどうかを試験するために、この試験を突き破り試験と組み合わせた。この試験の結果を表3に示す。
【0134】
【表4】

【0135】
表3から、本発明の例B1〜B7の全てが明白に安定な皮脂耐久性を有することを知ることができる。それで、突き破り強度は最大15%低下する。それに対して、参照例RB1〜RB4は、突き破り強度が皮脂の影響後に明白に低下することを示す。参照例RB4についてゲル値が65%に増加したこともプラスの効果を示さない。したがって、本発明の例は、既存の技術に対して明白な利点を有する。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4a】

【図4b】

【図5a】

【図5b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップ:
架橋剤として少なくとも1種のエポキシ基含有物質と、
促進剤として、エポキシ基含有化合物による架橋反応のための架橋されるべきポリアクリレートの溶融温度未満の温度で促進効果のある少なくとも1種の物質とを含有する
ポリアクリレート溶融物から成る少なくとも一つの感圧接着層を形成させるステップ、
少なくとも一つのその種の感圧接着層を含む両面接着性接着フィルムを調製するステップ、
架橋されるべきポリアクリレートの溶融温度未満で感圧接着剤の化学架橋反応を実施するステップ、および
少なくとも一部が架橋した接着フィルムを用いて、接着されるべき基材を相互に固定するステップ
を含む、電子消費財に基材を接着するための方法。
【請求項2】
両面接着性接着フィルムが、感圧接着層それ自体を意味することを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
両面接着性接着フィルムが、二つの外側感圧接着層および前記外側感圧接着層の間に備える少なくとも一つの支持層を含むことを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
両方の外側感圧接着層が、そのときどきに架橋剤として少なくとも1種のエポキシ基含有物質と、促進剤として、エポキシ基含有化合物による架橋反応のための架橋されるべきポリアクリレートの溶融温度未満の温度で促進効果のある少なくとも1種の物質とを含有するポリアクリレート溶融物の形成によって得られることを特徴とする、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
架橋剤として少なくとも1種のエポキシ基含有物質と、
促進剤として、エポキシ基含有化合物による架橋反応のための架橋されるべきポリアクリレートの溶融温度未満の温度で促進効果のある少なくとも1種の物質とを含有する
ポリアクリレート溶融物から成る少なくとも一つの感圧接着層を含む、電子消費財に基材を接着するための両面接着性接着フィルムの使用であって、
前記接着フィルムが、200μmの合計厚さを超えないことを特徴とする使用方法。
【請求項6】
両面接着性接着フィルムが、さらに、層厚4μmから100μmの間の、ポリマーフィルムまたは不織布をベースとする少なくとも一つの支持層を含むことを特徴とする、請求項5に記載の使用方法。
【請求項7】
携帯電話に接着するための、請求項1〜6のいずれか一つに記載の使用方法。
【請求項8】
特に保護スクリーンおよび/またはディスプレーと携帯電話ハウジングとを接着するための、請求項7に記載の使用方法。

【公表番号】特表2013−518157(P2013−518157A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550397(P2012−550397)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050764
【国際公開番号】WO2011/092108
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(509120403)テーザ・ソシエタス・ヨーロピア (118)
【Fターム(参考)】