説明

携帯電話機、撮影方法及び撮影プログラム

【課題】携帯電話機における防犯機能の一環として静止画を撮影する場合に、証拠となる画像の獲得率を高める。
【解決手段】携帯電話機は、カメラを備えており、防犯にかかる所定の1入力がユーザによってなされた場合に、別の方向を撮影することによって証拠となりうる画像の獲得率を向上させる。携帯電話機はカメラを複数備えることによって2方向を撮影しても良いし、カメラを回動する部材上に搭載してその部材を電動制御することでカメラの撮影方向を変えて2方向を撮影してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防犯機能を備える携帯電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話機には電話としての機能以外にも様々な機能が付加されており、その一つに防犯機能というものがある。この防犯機能は、ユーザが暴漢に襲われたときなどに、暴漢を脅かすことと周囲の注意をユーザに向けることが目的で、所定の操作を行うと大音量のブザー音が鳴る。
また、近年の携帯電話機にはカメラを搭載したものが多く、防犯の一環として、例えば暴漢に襲われた場合に、その後で暴漢を検挙することを目的として後々の証拠の一つとなるように防犯機能を作動させると写真を撮るものもある。
【0003】
特許文献1には、防犯機能を有する携帯電話機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−219062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、携帯電話機に搭載されるカメラは、基本的に、そのレンズの向いている方向を撮影するので、撮影対象に対してユーザ自身が携帯電話機のカメラのレンズの向きを合わせる必要がある。しかし、ユーザが暴漢に襲われてしまって余裕がない場合などには正しくカメラのレンズを向けることができず、場合によっては証拠となるような画像を撮影できないことがある。
そこで、上記問題に鑑みて本発明においては、従来の携帯電話機よりも高確率で証拠となり得る画像を残せるような携帯電話機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る携帯電話機は、異なる方向を撮影する複数のカメラを搭載した携帯電話機であって、ユーザからの入力を受け付ける受付手段と、前記受付手段で所定の1入力を受け付けた場合に、前記複数のカメラに少なくとも2方向を撮影させる撮影制御手段と、前記撮影制御手段によって撮影して得られた2以上の映像データを記憶する記憶手段とを備えることを特徴としている。
【0007】
ここでいう所定の1入力とは、携帯電話機における防犯機能を作動させるための入力であり、例えば防犯キーの押下、あるいは自機に備え付けられている紐を引くことで防犯機能が作動する仕様になっている場合にはこの紐を引くことなどをいう。
【発明の効果】
【0008】
これにより、本発明に係る携帯電話機は、複数あるカメラで、ユーザによる1操作で少なくとも2方向を撮影するので防犯機能作動時においては、撮影範囲が広くなり、ユーザが暴漢に襲われたりした場合においても、証拠となりうる画像を得る可能性を向上させることができる。1操作で2方向以上を撮影することで、一方の画像に暴漢は撮影されなくとも、もう一方の画像には暴漢が撮影されている可能性は高くなる。また、ユーザが暴漢に襲われた場合などには複雑な操作を行う余裕がないことは想像できるが、1操作で2方向を撮影する防犯機能を作動させることができるので、ユーザが暴漢に襲われたとしても
容易に2方向の撮影が可能になる。
【0009】
また、現在においては、2つのカメラを搭載している携帯電話機は既に流通しており、本発明に係る携帯電話機も、ほぼ同様の構成でありながら、2つのカメラで暴漢を撮影した証拠写真を獲得しうる。また、現在流通している携帯電話機にその構成がほぼ同じになることから開発コストを軽減することにもつながる。
また、前記撮影制御手段は、前記複数のカメラに同時に少なくとも2方向を撮影させることとしてよい。
【0010】
これにより、本発明に係る携帯電話機は、2方向を同時に撮影できることになる。ユーザが暴漢に襲われた場合などに、ユーザはカメラが撮影できる方向を暴漢に向けて撮影できない可能性は高い。また、携帯電話機をユーザは保持しながら移動していることも考えられ、時間をおいて2方向を撮影した場合には、1回目の撮影時から場所が異なってしまい、2方向を撮影することで死角を補うという効果が薄れる可能性がある。一時に2方向を撮影することで、その効果が薄れることを防ぎ、証拠写真の獲得率を向上させることができる。
【0011】
また、前記撮影制御手段は、前記複数のカメラに所定時間ごとに少なくとも2方向を撮影させることとしてよい。
これにより、所定時間ごとに撮影を行うので、携帯電話機は更に証拠となりうる写真を得ることができるようになる。
また、前記携帯電話機は更に、所定範囲内の人体を検知するための人体検知センサを備え、前記複数のカメラ各々は更に、焦点距離を変えて撮影範囲を変える変更手段を備え、前記撮影制御手段は、更に、前記人体検知センサで人体を検知した場合に、その検知した方向を向いているカメラに、撮影される画像内に当該人体の少なくとも一部が撮影されるように撮影範囲を変更させて撮影させることとしてよい。
【0012】
ここでいう人体検知センサとは、人体と思しき物体がカメラの撮影方向にあるかどうか、その物体までの距離がどのぐらいあるかどうかを検知するためのセンサであり、例えば、赤外線センサや、超音波センサなどを用いて人体検知を可能とする。
これにより、携帯電話機は人体と思われる物体が撮影方向にあるかどうかを検出して、その方向の撮影においてその人体が撮影する画像内になるべくおさまるように、カメラをズームしたり、ワイドしたりして撮影範囲を変えて撮影することができるようになる。
【0013】
また、前記携帯電話機は更に、所定範囲内の人体を検知するための人体検知センサと、前記撮影制御手段が、前記2方向の撮影を行わせるときに、前記人体検知センサが人体を検知しなかった方向の撮影を抑止する抑止手段とを備えることとしてよい。
これにより、携帯電話機は、人体検知センサが人体と思しき物体を検知しないならばその方向の撮影を抑止することができる。携帯電話機の電池残量は限られており、また、なるべく多くの証拠写真を撮影したいことを考えると、撮影する必要のない方向の撮影を抑止することで省電力を図ることができるので、撮影を抑止した分の電力を新たな撮影に費やすことができる。
【0014】
あるいは、本発明に係る携帯電話機は、カメラを搭載した携帯電話機であって、前記カメラを支持する部材はカメラとともに回動するようになっており、前記携帯電話機は、当該部材を回動させるための駆動部と、前記カメラに1方向を撮影させた後に、前記駆動部を駆動させてカメラの向きを変えて新たに前記1方向とは別の方向を撮影させる撮影制御手段とを備えることとしてよい。
【0015】
これにより、カメラが一つしかなくても、そのカメラが電動で回転することにより、別
の方向の撮影が可能となり、それによって2方向の撮影が可能となる。カメラを複数設置すると、設置スペースや設置コストの増大を招くことになるが、それを回避できる。
また、前記携帯電話機は更に、人体を検知するための人体検知センサを備え、前記撮影制御手段は、前記人体検知センサが人体を検知した方向を前記カメラのレンズが向くように前記駆動部を回動させて当該人体の一部もしくは全部を撮影範囲におさめて撮影することとしてよい。
【0016】
これにより、カメラが回動する仕様になっている場合には、人体検知センサが検出する人体の方向をカメラのレンズが向くように、モータのトルク制御を行うことで人体を追従しての撮影が可能となる。
また、前記人体検知センサは、赤外線センサであることとしてよい。
これにより、赤外線センサによって人体の存在とその方向を検知できるようになる。そして、センサの検出結果により撮影方法を変えることも可能になる。
【0017】
また、前記携帯電話機は、更に、人体までの距離を検出する超音波センサを備えることとしてよい。
これにより、超音波センサによって人体までのおおよその距離を検知でき、それに合わせて、撮影方法を変えることも可能となる。例えば、撮影対象に対しての距離が遠い場合などにはズームして撮影することによって得られる画像が詳細になる可能性がでる。
【0018】
あるいは、本発明に係る携帯電話機は、焦点距離を変えて撮影範囲を変更できるカメラを搭載した携帯電話機であって、ユーザからの入力を受け付ける受付手段と、前記受付手段で所定の1入力を受け付けた場合に、前記カメラに焦点距離を近距離に設定して1回撮影させ、焦点距離を遠距離に設定して1回撮影させる撮影制御手段と、前記撮影制御手段によって撮影して得られた2以上の映像データを記憶する記憶手段とを備えることとしてよい。
【0019】
これにより、携帯電話機が1つのカメラしか備えずとも、ズームイン、ズームアウトして撮影範囲が変えて2以上の映像データを獲得することができる。ズームインして撮影した場合には、暴漢の詳細な画像が得られるかもしれないし、ズームアウトして撮影した場合には、暴漢の全体映像が得られる可能性がある。
また、前記カメラは更に、赤外線撮影を実行する赤外線撮影手段を備え、前記携帯電話機は更に、自機周辺の照度を検知する照度センサを備え、前記撮影制御手段は、前記照度センサにより検知される照度が予め定められた所定の値以下であった場合に、前記赤外線撮影手段に赤外線撮影を行わせることとしてよい。
【0020】
これにより、携帯電話機は、赤外線撮影によって夜間の撮影にも対応することができる。赤外線撮影によって、夜間においても鮮明な画像を撮影できるようになる。
また、前記携帯電話機は、更に、前記記憶手段に記憶された2以上のデータを所定の外部の機器に送信する送信手段とを備えることとしてよい。
これにより、携帯電話機は、撮影した静止画あるいは動画のデータを別の機器にメールに添付したりして送信することができる。これにより、防犯機能作動後に、携帯電話機を破壊されて証拠写真のデータが失われることを回避できる。
【0021】
また、複数のカメラを搭載した携帯電話機における撮影方法であって、ユーザからの所定の1入力を受け付ける受付ステップと、前記所定の1入力を受けて少なくとも2方向を撮影する撮影ステップと、前記撮影ステップで得られた2以上の映像データを記憶する記憶ステップとを含むこととしてよい。
この方法によって、携帯電話機は、防犯機能を作動させる入力をユーザから受け付けると撮影方向を変えて2回撮影する。これにより、証拠となる画像の獲得率を向上させること
ができる。
【0022】
また、カメラを搭載した携帯電話機における撮影手順を示した前記携帯電話機のコンピュータに実行させる撮影プログラムであって、前記撮影手順は、ユーザからの所定の1入力を受け付ける受付ステップと、前記所定の1入力を受けて少なくとも2方向を撮影する撮影ステップと、前記撮影ステップで得られた2以上の映像データを記憶する記憶ステップとを含むこととしてよい。
【0023】
このプログラムを読み出して実行することで、携帯電話機は、防犯機能の一環として撮影方向が異なる2方向を撮影する。2方向を撮影することで証拠となる画像の獲得率を向上させることができる。また、プログラムとして記述実行させることで本発明の撮影を実行するための新たなる機構を開発せずともよく、また新たなる機構の設置スペースを設けなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】携帯電話機100の外観図である。
【図2】携帯電話機100の機能構成を示したブロック図である。
【図3】携帯電話機100の防犯に係る動作を示したフローチャートである。
【図4】携帯電話機100におけるセンシングを行っての撮影の処理内容を示したフローチャートである。
【図5】携帯電話機100における別のカメラの取り付け位置の例を示した携帯電話機の側面図である。
【図6】携帯電話機においてカメラが回動することによって、2方向を撮影することを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態である携帯電話機について図面を用いて説明する。
<実施の形態1>
図1は、本発明に係る携帯電話機100の概観を示した外観図である。
携帯電話機100は、折りたたみ型携帯電話機であり、図1(a)は、携帯電話機100の操作キーがある面を示しており、図1(b)は、その裏面を示している。以降図1(a)に示す側を内面、図1(b)に示す側を外面と記述する。
携帯電話機100は、上部筐体101と下部筐体102とがヒンジ部で接続されてなる。
図1(a)に示すように、携帯電話機100の内面側においては、上部筐体101には、スピーカ122と、表示部130aと、カメラ141aと、フラッシュ142aと、赤外線センサ151aと、超音波センサ152aと、フォトセンサ153aとを備える。
【0026】
一方、下部筐体102にはマイク121と、操作部170と、防犯キー171とを備える。
外面側には図1(b)に示すように、上部筐体102には、カメラ141bと、フラッシュ142bと、赤外線センサ151bと、超音波センサ152bと、フォトセンサ153bとを備える。
【0027】
図2は、本発明に係る携帯電話機100の機能構成を示したブロック図である。
図2に示すように携帯電話機100は、通信部110と、音声処理部120と、表示部130aと、表示部130bと、撮影部140と、検出部150と、計時部160と、操作部170と、記憶部180と、制御部190とを含んで構成される。
通信部110は、アンテナ111を含んで構成され、アンテナ111から受け取った受信信号を受話音声信号及び受信データ信号に復調し、復調した受話音声信号を音声処理部1
20に、受信データ信号を制御部190に出力する機能を有する。また、音声処理部120からのA/D変換された送話音声信号、及び制御部190から与えられる電子メールなどの送信データ信号を変調し、アンテナ111から出力する機能を有する。
【0028】
音声処理部120は、通信部110から出力された受話音声信号をD/A変換してスピーカ122に出力すると共に、マイク121から取得した送話音声信号をA/D変換し、生成した信号を通信部110に出力する機能を有する。
また、防犯機能の一環として制御部190の指示に基づき、スピーカ122からは大音量のブザー音が鳴らされる。
【0029】
表示部130a、及び表示部130bは、LCD(Liquid Crystal Display)などによって実現されるモニタで、制御部190の指示による画像を表示する機能を有し、待受け画面やメールの文書などを表示したりする。
撮影部140は、カメラ141a、bと、フラッシュ142a、bとを含んで構成され、制御部190の要求に応じてカメラ141aと、カメラ141bとを動作させ、静止画を撮影し、そのデータを制御部190に出力する機能を有する。また必要な場合にはそれぞれのカメラに対応するフラッシュ142a、142bにフラッシュをたかせて撮影する機能も有する。撮影部140は、カメラ141a、カメラ141bそれぞれを駆動させる回路を独立して保持している。
【0030】
各カメラは、QVGA(Quarter Video Graphics Array)方式で、240*320画素の静止画を撮影する。また各カメラは、撮影範囲を変えるために、ズーム/ワイド機能を有する。
検出部150は、赤外線センサ151a、bと、超音波センサ152a、bと、フォトセンサ153a、bとを含んで構成される。検出部150は、制御部190の指示に基づき、各センサによってセンシングを行わせ、その結果を制御部190に出力する機能を有する。
【0031】
赤外線センサ151a、bは、人体に反応するように、34度から39度の熱源に反応するように設定されており、当該温度を有する物体に反応し、その方向を検出する機能を有する。
超音波センサ152a、bは、それぞれ対応する赤外線センサから検出された物体との距離を検出する機能を有する。
【0032】
フォトセンサ153a、bは、携帯電話機100の周囲の照度を検出する機能を有する。
計時部160は、時刻を計時する機能を有し、また制御部190の要求に応じて、10秒間の時間を計測して10秒経過したら、そのことを制御部190に伝達するタイマとしての機能も有する。
【0033】
操作部170は、テンキー、オンフックキー、オフフックキー、方向キー、決定キーなどの諸キー群を含み、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作内容を制御部190に伝達する機能を有する。また操作部170は特に、防犯キー171を含み、当該キーのユーザによる押下によって携帯電話機100の防犯機能が作動する。
記憶部180は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random
Access Memory)を含んで構成され、小型ハードディスクや不揮発性メモリなどによって実現される。記憶部180は特に、防犯プログラム181を記憶しており、防犯データ領域182を有する。
【0034】
防犯プログラム181は、ユーザによる防犯キー171の押下がなされた場合に実行さ
れる携帯電話機の動作を記述したプログラムである。この防犯プログラム181には、防犯の一環として撮影した画像の退避先である機器のアドレスに関する情報も記述されており、携帯電話機100で撮影した画像データはこのアドレスに送信されることになる。
防犯データ領域182は、防犯機能の一環としてカメラで取得した静止画を記憶するために記憶部180において予め確保されている記憶領域である。予め記憶領域を確保しておくことで、いざユーザが暴漢に襲われた場合などに、撮影した画像を記憶するのに必要な空き領域がないという事態を回避することができる。
【0035】
制御部190は、携帯電話機100の各部を制御する機能を有し、特に、ユーザによる防犯キー171の押下を受け付けた場合に、記憶部180にある防犯プログラム181を読み出して、防犯プログラム181に記述されている内容を実行する機能を有する。
<動作>
次に、本実施の形態に係る携帯電話機100の防犯に係る動作を図3及び図4に示すフローチャートを用いて説明する。ここでは防犯機能の動作時においては、折りたたみ型の携帯電話機である携帯電話機100は開かれた状態で動作しているものとする。
【0036】
ユーザによる防犯キー171の押下を受け付けて(ステップS301)携帯電話機100の制御部190は、記憶部180にある防犯プログラム181を読み出して実行する。その内容に従って、まず制御部190は、音声処理部120にブザーを鳴動させる。またそれと同時に撮影部140に対して2つのカメラ、カメラ141a、bでの撮影を指示する(ステップS303)。撮影して得たデータは一旦制御部190に出力され、制御部190によって記憶部180の防犯データ領域182に格納される。格納されるデータは、2つのカメラそれぞれで撮影された別々のデータになる。その後に、その2つの画像データは、メールに添付されて、通信部110を介して予め定められたアドレスに送信される(ステップS305)。
【0037】
その次に防犯機能がユーザによって解除されたかどうかを検出する(ステップS307)。防犯機能がユーザによって解除された場合には(ステップS307のYES)、そのまま終了する。解除されなかった場合には(ステップS307のNO)、制御部190は、検出部150の各種センサを起動させ、各種のセンシングを行っての撮影を行う(ステップS309)。ステップS309における処理の内容の詳細については図4のフローチャートを用いて後述する。
【0038】
撮影して得られた画像データは記憶部180の防犯データ領域182に格納される。また格納された画像データはメールに添付して通信部110を介して指定のアドレスに送信される(ステップS311)。
その後に再び防犯機能の解除がユーザによりなされたかを判断する(ステップS313)。防犯機能の解除がなされた場合には、そのまま終了する。防犯機能の解除がなされていない場合には、計時部160に10秒ほど計時させ(ステップS315)、ステップS309の処理に戻り、以降の処理を実行する。
【0039】
次に、図3のフローチャートのステップS309の処理の詳細について図4のフローチャートを用いて説明する。
図4に示すように、まず、制御部190は、検出部150のフォトセンサ153a、bに照度を検出させる(ステップS401)。制御部190は、各フォトセンサで検出されるルクス値を読みだして、その照度が500ルクス以下であるか否かを判断する(ステップS403)。500ルクス以上である場合には(ステップS403のNO)、十分に明るいと判断し、フラッシュをたかないことを決定し、ステップS405以降の処理を実行する。500ルクス以下であった場合には(ステップS403のYES)、自機の周辺は暗いものと判断し、撮影部140のフラッシュ142a、あるいはフラッシュ142bを待
機状態にし、撮影時にはフラッシュをたいて撮影を行う。
【0040】
次に、制御部190は、検出部150の赤外線センサ151a、bに設定されている温度の熱源があるかどうかを検出する。ここでは人体の体温を検出するために34度から39度の範囲内に収まる熱源がないかどうかと、ある場合にその方向を検出する(ステップS407)。赤外線センサは図示しなかったが位相差検出器を備えており、それによって熱源の位相差を検出して、その物体のおおよその方向を得ることが可能である。それぞれの赤外線センサで、熱源が検知されなかった場合には、その赤外線センサが対応するカメラでの撮影を抑止させる(ステップS409)。
【0041】
赤外線センサで熱源が検知された場合に、その検知した物体の方向が左右にずれているかどうかを判断する(ステップS411)。例えば、赤外線センサの向きから30度左右にずれているかどうかを判断する。ずれている場合には(ステップS411のYES)、カメラのワイド機能を動作させて、ワイド撮影を行い(ステップS413)、図3のフローチャートのステップS311以降の処理を実行する。
【0042】
ずれていなかった場合には(ステップS411のNO)、更に制御部190は、検出部150の超音波センサ152aあるいは超音波センサ152bに検出した物体までの距離を検出させる(ステップS415)。検出された距離が遠い場合(ステップS415のYES)、その超音波センサが対応するカメラにズーム撮影をさせる。そしてその後に図3のフローチャートのステップS311以降の処理を実行する。
【0043】
超音波センサの検出距離が遠くないならば(ステップS415のNO)、前の設定のまま通常通り撮影して、図3のフローチャートのステップS311以降の処理を実行する。以上が図3のステップS309におけるセンシングを行っての撮影の内容になる。
<補足>
上記実施の形態に基づいて本発明に係る携帯電話機100の実施の形態について説明してきたが本発明の実施の形態はこれに限るものではない。以下、その変形例について説明する。
(1)上記実施の形態においては、カメラは内面と外面に1個ずつとしたが、勿論合計2個に止める必要はなく、更に別のカメラを搭載することとしても良い。別方向を向いているカメラを搭載することで、2つのカメラの死角を補うことが可能となる。
【0044】
カメラの別の搭載位置としては、例えば図5に示すような例が考えられる。図5は、携帯電話機100の側面図を示している。同図にあるようにヒンジ部にカメラ141cを備えている。またカメラ141cに対応する赤外線センサ151c、超音波センサ152cが下部筐体102の側面に備えられ、また夜間の撮影に対応できるようにフラッシュ142cも備えた構成になっている。
【0045】
こうすることで更に別の方向の撮影も可能となる。図のようなヒンジ部へのカメラの搭載については従来から行われているので、その搭載方法の詳細に関しては説明を割愛する。
(2)上記実施の形態においては、カメラを2つ備えることで2方向の撮影を可能としていたが、カメラ1つを用いて2方向を撮影することも考えられる。その例を図6に図示した。
【0046】
図6(a)は携帯電話機600の一方の側の外観図を示しており、図6(b)は、それを裏面から見た外観図を示している。図6(a)に示すように、携帯電話機600は、そのヒンジ部603にカメラ641を備える。そしてその左右に赤外線センサ651及び超音波センサ652を備えている。
図示していないが、ヒンジ部603は、その内部にモータを備えており、カメラ641及び各センサを支持する部材は電動で回動するようになっている。モータのトルク制御を行って1方向を撮影した後に、カメラを回動させて、別の方向を撮影することで2方向を撮影することとしてもよい。図6(c)は、ヒンジ部603周辺の拡大図であり、カメラ641を含むカメラ部分が回動する様子を示している。
【0047】
こうすることでカメラを2つ搭載せずとも2方向の撮影が可能となる。
また、この場合、赤外線センサが人体を検出する方向を向くようにカメラを回動させるモータのトルク制御を行うことで、ある程度、人体の追従撮影を行うことも可能となる。
(3)上記実施の形態においては、フォトセンサで照度が500ルクスに満たない場合にはフラッシュをたいて撮影することとしたが、フラッシュ撮影するのではなく、代わりに赤外線撮影を実行することとしてもよい。
【0048】
この場合、赤外線撮影を行うための赤外線撮影用のカメラを搭載する、あるいは、搭載しているカメラで赤外線撮影を行えるようにフィルタを用意し、そのフィルタが電動でスライドしてカメラのレンズに装着されるような機構が必要になる。
(4)上記実施の形態においては、静止画を撮影することとしたが、2つのカメラを用いて動画を撮影することとしてもよい。
(5)上記実施の形態においては、フラッシュをたくのは500ルクス以下としたが、これは別に500ルクスである必要はなく、携帯電話機を設計する設計者の任意によるものとしてよい。
(6)上記実施の形態においては、カメラを2つ備え、それぞれ独立した回路で動作させて、同時に2方向を撮影することとしたが、回路の設置スペースに限りがある携帯電話機においては、カメラを駆動させる回路を共有することも考えられる。この場合には、一方のカメラで撮影を行った後に、すぐに回路を切り替えてもう一方のカメラで撮影して時分割撮影を行って2方向を撮影することとしても良い。回路を共有化することで設置スペースの縮小化やコストの低減が望める。
(7)上記実施の形態においては、携帯電話機100は折りたたみ型の携帯電話機として説明したが、別に折りたたみ型である必要はなく、例えばカメラを2つ備えたスライド型の携帯電話機であってもよい。
(8)上記実施の形態においては、携帯電話機100の電池残量や記憶容量を考慮して10秒おきに撮影することとしたが、他の間隔であってもよい。例えば10秒おかず5秒おきとかにしても良いし、画像データを添付したメールを送信したらすぐに次の撮影に移行するように連続して撮影を行っても良い。
(9)上記実施の形態においては、熱源の位相差を得て方向を得ることとしたが、例えば複数の赤外線センサを設置して人体の検知を行っても良い。
【0049】
カメラの両側に赤外線センサを設置し、左右いずれかの赤外線センサによってのみ、該当温度の熱源を感知したら撮影範囲を広げて撮影し、両方の赤外線センサで検知された場合には通常の状態のまま撮影範囲を広げずに撮影することとしてもよい。
(10)上記実施の形態においては、1度とりあえず2方向を撮影した後は各種のセンシングを行って撮影を実行していたが、これらのセンシングを省いて、ただ単に連続して、2つのカメラで2方向を撮影して、得られた画像データを送信することにしてもよい。こうすることで回路構成の単純化を図ることができる。
(11)上記実施の形態においては、カメラは静止画を撮影することとしたが、別にこれは静止画である必要はなく、例えばQCIF(Quarter Common Intermediate Format)方式で撮影された動画であってもよい。
【0050】
この場合は、予め撮影する時間を10秒などと決めておいて、その時間だけ動画を撮影したら、データを送信する構成にする。そして送信した後にまた10秒撮影して得られた
データを送信する。適度に撮影をやめて、データを送信しないと送信するデータが膨大な量になるためである。
(12)上記実施の形態において、制御部190が防犯プログラム181を読み出して実行した内容は、1又は複数のLSI(Large Scale Integration)あるいはVLSI(Very Large Scale Integration)などにより実現されても良い。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係る携帯電話機は、暴漢に襲われたときのための防犯のアイテムとして活用することができる。
【符号の説明】
【0052】
100 携帯電話機
101 上部筐体
102 下部筐体
110 通信部
111 アンテナ
120 音声処理部
121 マイク
122 スピーカ
130a、b 表示部
140 撮影部
141a、b、c カメラ
142a、b、c フラッシュ
150 検出部
151a、b、c 赤外線センサ
152a、b、c 超音波センサ
153a、b フォトセンサ
160 計時部
170 操作部
171 防犯キー
180 記憶部
181 防犯プログラム
182 防犯データ領域
190 制御部
600 携帯電話機
603 ヒンジ部
641 カメラ
651 赤外線センサ
652 超音波センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラを搭載した携帯電話機であって、
ユーザからの入力を受け付ける受付手段と、
前記カメラを支持する部材はカメラとともに回動するようになっており、当該部材を回動させるための駆動部と、
前記受付手段で所定の1入力を受け付けた場合に、前記カメラに1方向を撮影させた後に、前記駆動部を駆動させてカメラの向きを変えて新たに前記1方向とは別の方向を撮影させる撮影制御手段とを備え、
前記撮影制御手段は、前記受付手段で前記所定の1入力を受け付けた後に、所定時間が経過するごとに、前記カメラに1方向を撮影させた後に、前記駆動部を駆動させてカメラの向きを変えて新たに前記1方向とは別の方向を撮影させる
ことを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
前記携帯電話機は更に、人体を検知するための人体検知センサを備え、
前記撮影制御手段は、前記人体検知センサが人体を検知した方向を前記カメラのレンズが向くように前記駆動部を回動させて当該人体の一部もしくは全部を撮影範囲におさめて撮影する
ことを特徴とする請求項記載の携帯電話機。
【請求項3】
前記人体検知センサは、赤外線センサである
ことを特徴とする請求項記載の携帯電話機。
【請求項4】
前記携帯電話機は、更に、人体までの距離を検出する超音波センサを備える
ことを特徴とする請求項記載の携帯電話機。
【請求項5】
焦点距離を変えて撮影範囲を変更できるカメラを搭載した携帯電話機であって、
ユーザからの入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段で所定の1入力を受け付けた場合に、前記カメラに焦点距離を近距離に設定して1回撮影させ、焦点距離を遠距離に設定して1回撮影させる撮影制御手段と、
前記撮影制御手段によって撮影して得られた2以上の映像データを記憶する記憶手段とを備え、
前記撮影制御手段は、前記受付手段で前記所定の1入力を受け付けた後に、所定時間が経過するごとに、前記カメラに焦点距離を近距離に設定して1回撮影させ、焦点距離を遠距離に設定して1回撮影させる
ことを特徴とする携帯電話機。
【請求項6】
前記カメラは更に、赤外線撮影を実行する赤外線撮影手段を備え、
前記携帯電話機は更に、自機周辺の照度を検知する照度センサを備え、
前記撮影制御手段は、前記照度センサにより検知される照度が予め定められた所定の値以下であった場合に、前記赤外線撮影手段に赤外線撮影を行わせる
ことを特徴とする請求項1又は5記載の携帯電話機。
【請求項7】
前記携帯電話機は、更に、
前記記憶手段に記憶された2以上のデータを所定の外部の機器に送信する送信手段とを備える
ことを特徴とする請求項1又は5記載の携帯電話機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−70374(P2012−70374A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198268(P2011−198268)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【分割の表示】特願2005−204261(P2005−204261)の分割
【原出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】