説明

携帯電話機のバイブレータ始動遠隔通報装置

【課題】携帯電話機のバイブレータが振動し始めたことを遠隔にいる利用者に知らせることができる安価で量産に適した装置を提供する。
【解決手段】携帯電話機本体の振動により振動する棒状のバネの振動を検出するセンサーとこのセンサーの出力により送信機に電源を投入する動作スイッチを有し、前記電源投入により送信を開始する送信部を携帯電話機本体に取り付ける。次いで、利用者の手首に取り付けたブレスレット側で前記送信機が発射した電波を受信したときに振動発生器を起動し利用者に知らせるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機のバイブレータが振動し始めたことを、遠隔にいる利用者に知らせる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話機の利用者が電車の中や会議中には着信音や警報音の鳴動を停止させるマナーモードに設定するのが一般的である。このとき、携帯電話機をポケットやカバンの中に入れておくと着信や警報を認知し損なう場合が多く、この不便を改善することが長らく多くの利用者から要望されていた。
【先行技術文献】
【0003】
その解決のため、例えば、登録実用新案第3081900号に開示されているように、「携帯電話器の着信を、手首にはめられたブレスレットの振動で知らせる」方法が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうした利用者の要望を満たす安価で量産に適した手段が未だ開発されておらず、一般の利用者に広く普及するに至っていない。
【0005】
本発明は、こうした利用者の要望に鑑みてなされたものであり、バイブレータの振動による携帯電話機本体の振動を検知して電波を送信する送信機と、その電波信号を受信機を経由して携帯電話機本体が振動し始めたことをブレスレット等のアクセッサリー装着者に伝える手段を有する安価な装置を実現し利用者の要望を満たすことを目的としている。
【問題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の本発明は、携帯電話機本体の振動に駆動される棒状バネとこの振動を電気信号に変換するセンサーとこのセンサーが出力した電気信号を受けて送信機を動作状態にする動作スイッチと前記送信機とこれらの電子回路の全てを収容し携帯電話機本体に取り付けられた送信部容器と、この送信機が発射した電波を受信する受信機とこの受信機の出力を受けて振動を発生させ利用者に伝える振動発生器とこれらの電子回路の全てを収容した振動容器を取り付けたブレスレットを備えたことを特徴としている。
【0007】
そして、請求項2に記載の本発明は、携帯電話機本体の振動を使って電力を発生させ請求項1に記載の本発明の電子回路に供給する電源回路即ち振動発電回路を備えたことを特徴としている。
【0008】
さらに、請求項3に記載の本発明は、請求項1のセンサーの一部乃至全部と請求項2の振動発電回路の一部乃至全部を共用して構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成された請求項1に記載の本発明は、携帯電話機本体の外側に取り付けられ携帯電話機が振動を開始したときに電波を発射する送信部と、利用者の手首などに装着され送信部から発射された電波を受信したときに振動を発生させ利用者に知らせるブレスレット等の2つの部分から構成されている。
携帯電話機本体に発生した振動は送信部容器を通じて棒状バネに伝えられる。センサーはこの棒状バネの振動を電気信号に変換するが後述するようにこの棒状バネが携帯電話機の振動に共振するように設計すれば送信部容器の振動を増幅してセンサーに伝えられるのでセンサーの感度を高めると共に携帯電話機本体の持ち運び時生じる振動の影響を低減し誤報を防ぐ効果がある。
前記棒状バネとしては、線状や板状や円筒状コイルなどのいずれを使用してもよい。
前記センサーが振動を検知した出力を受けて前記動作スイッチが前記送信機の電源を投入して送信を開始させる。この送信は前記センサーから出力が出ている間即ち携帯電話機本体が振動を続けている間継続する。
一方、利用者の手首などに装着されたブレスレット側の受信機が前記送信機で発射した電波を受信するとその出力を受けて前記振動発生器がブレスレットの一部または全部を振動させ利用者に携帯電話機本体が振動していることを知らせる。
このとき、前記振動発生器が発生する振動の持続時間は、前記電波の継続時間と一致させるのが一般的であるが、利用者の要求に応じて適宜変更してもよい。
携帯電話機本体が利用者のカバンの中やコートのポケットなどに入れられている場合には、携帯電話機本体と利用者の距離は最大3メートルもあれば実用上差し支えないので、本発明で使用する電波は電波法上の微弱電波とし周波数は前記送信機が極小となる周波数を選択するのが望ましい。
また、センサーには、円筒状コイルや円盤状のチタン酸バリュウムなどの圧電素子や対向電極板や半導体加速度センサーなどが使用できる。
そして、前記動作スイッチは、送信部の中で電力消費が最大である送信機の待機電流をほぼゼロにするので電源に使用する電池の長寿命化をはかる効果がある。
一方、ブレスレット側の振動発生器には、振動片を電磁石で駆動するものや携帯電話機用として広く使われている振動モーター様のものを上記振動容器に取り付けて使用できる。
以上説明したように、本発明によれば、少数の小型低価格部品で構成でき安価かつ小型で利便性の高い装置を提供できる効果がある。
【0010】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の本発明において送信部容器の中に振動発電回路を新たに収容して前記送信部容器に収容された全ての電子回路に電力を供給するようにしたもので、ボタン電池などを使用して電力を供給する必要がないので電池切れにより動作不能になる不都合を防止し使用上の信頼性を高めたばかりでなく電池交換の面倒を回避できたという効果がある。
また、電池の収容空間や電池交換のための機構が不要になるので前記送信部容器が小型で安価に製作できるという効果もある。
【0011】
請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載の本発明のセンサーと請求項2に記載の本発明の振動発電回路を部品と回路を相互に共用して電子回路構成を簡素化し、一層少部品化と省スペース化ならびに低価格化を達成したものである。
その結果、本発明によれば、電池を使用しないことと電子回路構成を簡素化したことにより本発明装置の総合信頼性を向上させた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
上記のように構成された請求項1から3に記載の機能を有する携帯電話器のバイブレータ始動遠隔通報装置は、携帯電話のマナーモード設定時や、携帯電話器の使用者がやや離れた場所にいて、呼び出し音すら聞き取れない状況でも、人体の腕等に装着した腕輪(ブレスレット)等に組み込まれた本発明の一部である受信器から発する振動を肌で感知でき、本体の電話器の受信状態を知ることができる。
【実施例】
【0013】
以下、本発明が適用された実施例について図面を用いて説明する。尚、本発明は、下記の実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り、種々の形態を採り得ることは言うまでもなく本発明の範囲に含まれる。
例えば、ブレスレットの振動発生器による報知手段以外に、LED等の表示手段にて報知することは、現状の技術水準からすれば容易に応用考案される。
【0014】
(第1実施例)
先ず、図1は第1実施例から第3実施例に共通な本発明装置の概略構成を示している。
そして、図1(A)は、本発明の送信部を示している。この送信部は、送信部容器に収容され携帯電話機2に貼り付けなど適当な手段により取り付けられている。
また、図1(B)は本発明のブレスレット部を示している。このブレスレット部は、受信機と振動発生器を収容した振動容器3がベルト4に取り付けられ腕輪即ちブレスレットを形成している。
図2(A)は、第1実施例の送信部の電子回路構成を示している。
センサー50が前記送信部容器の振動を検知すると動作スイッチ60に出力を伝える。この時、この動作スイッチは送信機70に電源を投入し、そのことによりこの送信機が電波の送信を開始する。この送信は、前記センサーから出力が送出されているかぎり継続する。
図3は、前記センサーの詳細な実施例を示す。
このセンサーは棒状バネ51に取り付けられた磁石片52とこの磁石片に接近して設置されたコイル53とで構成される。このコイルは前記磁石片との間の電磁誘導により起電力を発生させる。
前記棒状バネ51は板バネで作られており、一方に前記磁石片52が取り付けられ反対側は送信部容器1に取り付けられている。従って、この送信部容器が振動するとその振動は前記棒状バネ51を経由して磁石片52に伝達される。このとき棒状バネ51は磁石片52との相互作用による独自の振動を開始する。よく知られているようにこの振動周期を送信部容器の振動と一致するように設計すれば共振が起こり、磁石片52の振動幅は送信部容器1の振動幅を凌ぐことが可能で振動増幅の効果がありその分だけコイル53の起電力を増大させる利点がある。
また、コイル53に代えて圧電素子を使う場合は、磁石片52の代わりに適当な金属片などをハンマーとして使えばよい。更に、半導体加速度センサーを使う場合は、磁石片52の場所に取り付ければ同様の効果が得られる。
また、上記のようにコイルや圧電素子を使う場合はそれらを上記棒状バネ51に取り付けるようにしても同様の効果が得られ、本発明の範囲内であることは言うまでもない。
そして、動作スイッチ60は、当該分野の技術者ならば容易に想像できることなので説明は省略する。
更に、送信機70は、動作スイッチ60により電源が供給されたときに、連続波や適当な間欠波を微弱電波で発射できれば、機能および性能上十分であるので公知の技術や部品が利用可能であり当該技術分野の技術者であれば容易に実施できる。
次いで、図2(B)は、第1実施例のブレスレット部の電子回路構成を示している。
受信機80が前記送信機70から発射された電波を受信すると前記振動容器3に収容された振動発生器90に出力を送出し振動を開始させる。
ここで、前記受信機80は送信機70と同様公知の技術や部品が利用可能で当該分野の技術者なら容易に設計できるので説明は省略する。
また、前記振動発生器は、図4に記載したものが1例として挙げられ以下に説明する。
この振動発生器は、振動片91と梃子92と梃子支点押さえ93と電磁石94で構成する。
振動片91は振動容器1の底部を貫通して突き出していて利用者が装着したときには利用者の皮膚で振動容器1の下表面まで押し上げられている。
この振動片91の上面には梃子92が接触していて、この梃子の一端を支点押さえ93が支えている。尚、この梃子はプラスチックなど軽い材料で作り電磁石94と対向する面に薄鉄板などを貼り付けて用いるのがよい。
前記支点押さえ93と反対側の端近くには電磁石94が設けられていて、通電されると梃子92を吸い付けるので振動片91が押し下げられ利用者の皮膚を刺激する。前記受信機80が電波を受信している間前記電磁石94へ適当な間隔で断続的に通電をして振動を発生させる。
尚、この振動片91は皮膚かぶれを起こさない材料であれば、特別なものを使用する必要はない。
このように、振動発生に梃子を用いることにより、電磁石94が弱い吸引力でも振動片91に強い押し付け圧力を与えることができるので、省電力化をはかれる。
【0015】
(第2実施例)
第2実施例は、第1実施例の送信部に振動発電回路を加えたものである。
この振動発電回路は図1(A)の送信部容器1に収容されている。
図5にこの送信部容器に収容されている電子回路構成を示している。
センサー50と動作スイッチ60と送信機70は図2(A)および図2(B)に示した第1実施例と同じものである。
振動発電素子100と整流平滑回路110が振動発電回路を構成し、前記送信部容器1の振動を利用して発電した電力をこの送信部容器1に収容されている全ての電子回路に供給している。
振動発電素子100は、前述の実施例1で詳細に説明したセンサー50を構成するコイル方式や圧電素子方式の原理を使用して実現できるが振動を利用して発電するものであればこれらに限定するものではない。
上記の説明で明らかなように、センサー50の出力は交流であり、この出力を整流平滑回路110で直流化する。こうして発電した振動発電回路の電力は、この電力が給電される電子回路で使用するのに都合の良い例えば5ボルトの直流とする。
前記整流平滑回路110は公知のもので、主要構成部品は、交流を整流するための整流ダイオードとこれの整流出力に含まれる交流成分を取り除くための平滑回路である。そして、この平滑回路は一般にコンデンサーとインダクターより構成されている。
【0016】
(第3実施例)
第3実施例は、上記第2実施例の図5に示した送信部と振動発電回路とを相互融合させて改良を加えたたものである。
図6(A)に第3実施例の電子回路構成を示し、図6(B)にその動作説明図を示す。
図6(A)において、100は図5に示した振動発電素子100と同じものである。202は整流用ダイオードである。203は後述する送信スイッチ267の動作を安定化するための緩衝コイルである。204はコンデンサーで振動発電素子100の出力を蓄える。205は電波発射のためのアンテナでループアンテナなどが使われる。206は電圧検出器でコンデンサー204の一方の端子即ちP2点の電圧が予め設定した閾値THに到達した場合に出力を送信スイッチ207に伝える。207は送信スイッチでコデンサー204に蓄えられた電荷をアンテナ205に一気に送給するためのものである。
ついで、これらの構成要素から成る第3実施例の動作を図6と図7を用いて以下に説明する。
振動発電素子100の出力端子P1には前記送信部容器1が振動するとその振動と同じ周波数の交流出力が現れる。この周波数は例えば数10ヘルツ程度の低周波である。図7のP1軸にこの出力を示している。
この出力は整流ダイオード202で整流されて直流化した後比較的小さなインダクタンスの緩衝コイル203を経由してコンデンサー204の端子P2に伝えられコンデンサー204に電荷を蓄える。一方、コンデンサー204に接続されているアンテナ205が発射する電波の周波数は前記端子P2に伝えられる直流に含まれる交流成分の周波数よりも十分高いのでこのアンテナの前記交流成分に対するリアクタンス分は微小であり前記コンデンサー204の蓄電動作に実質的影響はない。
このようにしてコンデンサー204には前記振動発電素子100が出力する交流出力の1周期毎に電荷が蓄積されていく。その結果、端子P2の電圧は図7のP2軸にし示すように鋸歯状に増大していきTP1時点で電圧THに到達する。
一方、電圧検出器206は検出電圧を予め設計段階でTHと設定しておくことにより端子P2の電圧がTHに到達したとき出力端子P3から出力を送信スイッチ207に送出する。図7のP3軸にこの出力の様子を示した。
送信スイッチ207は、前記電圧検出器206の出力をトリガーとして例えばナノ秒以下の高速スイッチングしコンデンサー204のP2端子とアンテナ205のP5端子を短絡させる。
その結果、コンデンサー204に蓄積されていた電荷がアンテナ205に一気に流れ込み電気振動を発生させさせるので端子P4には振動電圧が現れる。前記電気振動は、一部は電波となってアンテナから放出させるので、この電気振動は急速に衰え消滅する。この現象によって端子P4に現れる電圧を図7のP4軸に図示した。
端子P4の振動電圧が消滅後に送信スイッチ207を開き上述したのと同じ一連の動作を繰り返し次の送信を行う。
このようにしてアンテナ205からは図7のP2軸に示した TP1,TP2,TP3,・・・・・・
の各時点で電波が発射され、振動発電素子100からの出力があるかぎり継続する。
尚、電圧検出器206や送信スイッチ207に使われている半導体などの素子は全て公知の入手可能なものばかりで当該分野の技術者ならば容易に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概略図
【図2】第1実施例の電子回路構成を示すブロック図
【図3】センサーの実施例を説明するための説明図
【図4】振動発生器の実施例を説明するための説明図
【図5】第2実施例の電子回路構成を示すブロック図
【図6】第3実施例の電子回路構成を示す接続図
【図7】第3実施例の動作を説明するための説明図
【符号の説明】
1−−−−送信部容器
2−−−−携帯電話機本体
3−−−−振動容器
4−−−−ベルト
50−−−−センサー
51−−−−棒状バネ
52−−−−磁石片
53−−−−コイル
60−−−−動作スイッチ
70−−−−送信機
80−−−−受信機
90−−−−振動発生器
91−−−−振動片
92−−−−梃子
93−−−−梃子支点押さえ
94−−−−電磁石
100−−−−振動発電素子
110−−−−整流平滑回路
202−−−−整流用ダイオード
203−−−−送信スイッチ
204−−−−コンデンサー
205−−−−アンテナ
206−−−−電圧検出器
207−−−−送信スイッチ
P1−−−−振動発電素子100の出力端子
P2−−−−コンデンサー204の一方の端子
P3−−−−電圧検出器206の出力端子
P4−−−−アンテナ205の一方の端子
P5−−−−アンテナ205のもう一方の端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話機本体の振動に駆動される棒状バネとこの振動を電気信号に変換するセンサーとこのセンサーが出力した電気信号を受けて送信機を動作状態にする動作スイッチと前記送信機とこれらの電子回路の全てを収容し携帯電話機本体に取り付けられた送信部容器と、この送信機が発射した電波を受信する受信機とこの受信機の出力を受けて振動を発生させ利用者に伝える振動発生器とこれらの電子回路の全てを収容した振動容器を取り付けたブレスレット等の人体装着振動検知手段を有する携帯電話機のバイブレータ始動遠隔通報装置
【請求項2】
携帯電話機本体の振動を利用して発電し、請求項1に記載の電子回路に電力供給する振動発電回路を有する携帯電話機のバイブレータ始動遠隔通報装置
【請求項3】
請求項1に記載のセンサーの一部乃至全部と共用関係にした請求項2に記載の振動発電回路を有する携帯電話機のバイブレータ始動遠隔通報装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−193417(P2010−193417A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55680(P2009−55680)
【出願日】平成21年2月14日(2009.2.14)
【出願人】(504334164)ミーノス電子有限会社 (5)
【Fターム(参考)】