説明

携帯電話機及び携帯電話システム

【課題】 放送番組受信機能付き携帯電話機において、着信等によりそれまで視聴していた放送番組の視聴できなることへの解決手法を提供する。
【解決手段】 携帯電話機(100)は、放送番組を受信して表示する表示手段(125、130、135、140)と、前記放送番組の表示中に、着信に対する応答などの所定事象の発生を検知する検知手段(170)と、前記検知手段による検知がなされると、録画指示に基づいて放送番組を録画する外部装置(200)に対して、表示中の放送番組を指定した録画指示を送信する指示手段(180)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送番組を受信する機能を有する携帯電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ機能付き携帯電話機が相次いで開発されている。係る携帯電話機には、地上波アナログ放送又はデジタル放送に対応したテレビチューナが内蔵されており、受信した放送番組をディスプレイに表示することができる。(例えば、特許文献1)。この機能により、ユーザは、自宅だけでなく外出先でもテレビを見ることができる。
【特許文献1】特開2003−153111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ユーザが、このテレビ機能付き携帯電話機で放送番組を視聴する場合、視聴中に着信があったり、放送の受信状況が悪くなる等の原因により、放送番組の途中で視聴を続けることができなくなることがある。
そこで本発明は、途中で視聴を続けることができなくなった放送番組を、後ほど視聴することができるようにした携帯電話機及び携帯電話システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明に係る携帯電話機は、放送番組を受信して表示する表示手段と、前記放送番組の表示中に、音声通話にかかる着信に対する応答操作を検知する検知手段と、前記応答操作を検知すると、録画指示に基づいて放送番組を録画する外部装置に対して、前記表示中の放送番組を指定した録画指示を送信する指示手段とを備えることを特徴としている。
また、上記目的を達成するために、本発明に係る携帯電話システムは、携帯電話機と、録画指示に基づいて放送番組を録画する外部装置とを含み、前記携帯電話機は、放送番組を受信して表示する表示手段と、前記放送番組の表示中に、音声通話にかかる着信に対する応答操作を検知する検知手段と、前記応答操作を検知すると、前記外部装置に対して、前記表示中の放送番組を指定した録画指示を、赤外線信号により送信する第1指示手段と、前記第1指示手段による録画指示の出力の後、前記録画指示を受けた旨の応答が前記外部装置より返されない場合には、携帯電話機の通信網を通じて前記録画指示を前記外部装置に送信する第2指示手段とを備え、前記外部装置は、赤外線信号による録画指示を受信及び解析する赤外線受信手段と、前記通信網に接続する接続手段と、前記第1指示手段による録画指示を前記赤外線受信手段により受信した場合に、前記携帯電話機に対して、前記録画指示を受けた旨の応答を赤外線信号により返信する赤外線返信手段と、前記第1指示手段又は前記第2指示手段による録画指示に基づいて放送番組を録画する録画手段とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
上記構成の携帯電話機を用いた場合、ユーザが番組視聴中の着信に応答して、番組の視聴ができなくなった場合でも、視聴できなくなった部分の放送番組が、外部装置に録画される。よってユーザは、着信応答時に視聴できなかった部分の放送番組を、後ほど、外部装置に再生させて視聴することができる。
また、上記構成の携帯電話システムにおいて、携帯電話機は、赤外線信号により録画指示し、その録画指示が成功しなかった場合には、通信網を通じた信号伝送により録画指示を送信することができる。
前記携帯電話機は、さらに、音声通話にかかる着信を受けた時から所定期間が経過するまでの間、ユーザへの着信報知のための報知機構が作動するのを抑止する抑止手段を備えてもよい。
【0006】
この構成により、着信から所定期間内に着信呼出しが切断されるような電話、例えば、ワンギリ等、着信後すぐに切れるような電話については、ユーザに報知されないようにすることができ、その結果、ユーザが無駄に応答することがなくなるので、それによる無駄な録画指示の送信をなくすことができる。
前記外部装置は、録画指示を含む赤外線信号を受信及び解析する手段を備えるものであり、前記指示手段は、赤外線信号による前記録画指示を生成して前記外部装置に送信する赤外線送信手段を備えてもよい。
【0007】
この構成により、赤外線信号を利用して録画指示することができる。
前記外部装置は、近距離無線通信規格に準じる無線信号を受信及び解析するための機構を備えるものであり、前記指示手段は、前記近距離無線通信規格に準じる無線信号による前記録画指示を生成して送信する無線信号送信手段を備えてもよい。
この構成により近距離無線通信規格、例えばBluetooth等を利用して録画指示することができる。
【0008】
前記外部装置は、前記携帯電話機の通信網に接続されており、前記指示手段は、前記通信網を通じて前記録画指示を前記外部装置に伝送するよう構成してもよい。
この構成により、例えば、EメールやSMS(ショートメッセージサービス)を利用して録画指示することができる。
前記指示手段が送信する前記録画指示は、さらに、録画終了時刻の指定を含んでもよい。
【0009】
前記録画終了時刻は、録画開始から録画終了までの期間により示されていてもよい。
前記携帯電話機は、さらに、前記録画指示の送信の後、前記外部装置に対して録画終了指示を送信する終了手段を備え前記終了手段は、前記指示手段により録画指示が送信された時から所定期間経過後に前記録画終了指示を送信する構成としてもよい。
前記終了手段は、前記指示手段が録画指示した放送番組の放送終了時刻を取得し、当該放送終了時刻に前記録画終了指示を送信する構成としてもよい。
【0010】
前記携帯電話機は、さらに、前記検知手段により応答操作が検知された後において、前記放送番組の視聴が再開可能となる事象の発生を検知する再開検知手段を備え、前記終了手段は、前記再開検知手段により、前記事象が検知された場合に、前記外部装置に対して録画終了指示を送信するよう構成してもよい。
この構成により、携帯電話機が視聴可能な状態になると、録画装置による録画が終了し、視聴される番組が無駄に録画されないようにすることができる。ここで視聴可能な状態とは、すなわち、通話が終了し、それまで中断していた番組視聴を再開できる状態になったことを意味する。携帯電話機は、通話の終了を、ユーザ操作や通信中の信号から判断すればよい。
【0011】
また、前記携帯電話機は、録画終了を指示するとともに、中断していた放送番組の再生を再開するよう構成してもよい。
また、本発明に係る携帯電話機は、放送番組を受信して表示する表示手段と、前記放送番組の表示中に、その放送番組の受信状況が、所定の基準と比べて悪くなったことを検知する検知手段と、前記検知がなされると、録画指示に基づいて放送番組を録画する外部装置に対して、前記表示中の放送番組を指定した録画指示を送信する指示手段とを備える構成であってもよい。
【0012】
この構成により、受信状況が悪いためにディスプレイの映りが悪くなった場合でも、その映りが悪くなった部分については外部装置に録画されているので、ユーザは、後ほど、外部装置にその部分を再生させて視聴することができる。
また、前記検知手段は、受信中の放送番組に含まれる信号のエラー率を算出し、そのエラー率と所定のしきい値とを比較した結果、そのエラー率が所定のしきい値より高い場合に、受信状況が所定の基準と比べて悪くなったと検知するよう構成してもよい。
【0013】
この構成により受信状況の悪さをエラー率と所定のしきい値とか判断することができる。
また本発明に係る携帯電話機は、放送番組を受信して表示する表示手段と、前記放送番組の表示中に、電池残量が所定値以下になったことを検知する検知手段と、前記検知がなされると、録画指示に基づいて放送番組を録画する外部装置に対して、前記表示中の放送番組を指定した録画指示を送信する指示手段とを備える構成であってもよい。
この構成により、電池残量が少ないため、放送番組をディスプレイに表示できなくなった場合でも、その表示ができなかった部分については外部装置に録画されるので、ユーザは、後ほど、外部装置にその部分を再生させて視聴することができる。
また、前記携帯電話システムは、前記赤外線信号の代わりに近距離無線通信規格に準じる無線信号を用いるとしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
<概略>
図1は、携帯電話機100及び録画装置200を含む携帯電話システムの概略を説明するための構成概略図を示す。
同図において携帯電話システムは、携帯電話機100及び録画装置200の他、地上波デジタル放送の電波搭10、基地局20、インターネット等の通信網30、メールサーバ40、放送受信用アンテナ50、テレビ受像機等のモニタ60を含んで構成される。
【0015】
電波搭10は、モニタ60や録画装置200等のための高画質な放送番組を放送し(同図の15)、またこれと並行して、同放送番組を携帯電話機100のような移動通信向けに変換した放送番組を放送する(同図の11)ものである。
携帯電話機100は、電波搭10から放送される移動通信向けの放送番組を、放送受信アンテナ及びチューナにより受信して、再生表示する機能を持つ。
【0016】
また一般的な通信機能として、携帯電話機100は、基地局20との無線通信(同図の12)により基地局20に接続し、基地局20を通じて通信網30に接続し、他の電話機との通話やデータ通信のための信号の授受を行う。通信網には、携帯電話機100の電話回線網や、公衆回線網、インターネット網を含んでいる。
携帯電話機100は、放送番組の受信と、基地局20との通信とを並行して行うことができる。よって放送番組の受信中であっても、通信網30からの着信を受けることができる。
【0017】
具体的には、携帯電話機100は、基地局20からの着信信号の到来を監視しており、着信信号が到来すると放送番組の再生を中断し、着信音や表示部への表示によって、着信の旨をユーザに報知する。この報知に対し、オフフックキーの押下等、ユーザにより応答の操作がなされると、通話処理が開始されることとなる。
ここで放送番組受信中の着信に対して応答の操作がされた場合、通常、ユーザは通話を開始するので、通話のために視聴を中断しなければならず、放送番組の視聴を続けることが困難となる。あるいは、携帯電話機の仕様によっては、着信した時から、番組の表示を中断するものもあり、その場合には、視聴ができなくなる。
【0018】
また携帯電話機100は、移動されるものであるので受信している電波の状況が不安定になりやすく、状況が悪いときには放送番組の映りが悪くなり、この場合にも放送番組の視聴を続けることが困難となる。
よって携帯電話機100は、上記のように、ユーザが視聴困難となることが予測される所定の状況を検知する機能を備え、検知した場合には録画装置200へ同放送番組の録画指示を送信する。所定の状況とは、すなわち、放送番組受信中の着信に対して応答の操作がなされた場合、及び電波の状況が悪いことを検出した場合である。
【0019】
携帯電話機100は、録画指示を送信する手段を2通り持つ。その1つは赤外線信号により送信する手段である。同図においては13の破線が、赤外線信号による録画指示送信の様子を示している。ただし同図の例では、赤外線信号による送信手段は、録画装置200までの距離が赤外線の有効飛距離を超えるために、失敗している例を示す。
他の1つの手段は、通信(同図の12)により通信網30に接続し、録画装置200宛ての録画指示を含むEメールを送信する手段である。
【0020】
この録画指示を含むEメールは、通信網30に接続されたメールサーバ40に伝送される。
録画装置200は、携帯電話機100の2通りの録画指示の送信手段に対応して、2通りの録画指示の受信手段を備える。1つの手段は、録画指示を含む赤外線信号を受光し、解析する回路からなる。他の1つの手段は、録画指示をEメールにより受け取る手段である。このために、録画装置200は、インターネットにより通信網30に接続され、例えば5分毎に録画装置200宛てのメールがないか、メールサーバ40に問い合わせる。
【0021】
そして赤外線信号又はEメールによって録画指示を受け取ると、録画装置200は、録画指示で指定される放送番組の信号を、アンテナ50から入力される放送波から抽出し、内部のハードディスク、あるいはDVDに録画する。
録画装置200やモニタ60は、例えば携帯電話機100のユーザが自宅に所有しているものであり、ユーザが、自宅で録画装置200に録画されたものを再生すると、携帯電話機100で視聴できなかった番組が再生されて、モニタ60に表示され、番組の内容を確認することができる。
<構成>
次に、携帯電話機100及び録画装置200の構成を説明する。
【0022】
図2は、携帯電話機100の構成を示すブロック図である。
同図において、携帯電話機100は、通信アンテナ105、無線部110、通信制御部115、音声処理部120、放送受信アンテナ125、受信処理部130、表示制御部135、表示部140、制御部150、操作部155及び赤外線通信部160、電池電圧測定部190を備える。
【0023】
また、制御部150は、視聴状態検知部170及び録画指示部180を含む。
通信アンテナ105、無線部110、通信制御部115及び音声処理部120は、基地局20及び通信網30を通じた通話やデータ通信を行うための機能部である。
通信アンテナ105は、無線通信(図1の12)のために高周波信号を入出力し、無線部110は、高周波信号とベースバンド信号との変換を行い、通信制御部115は、従来からある通常の処理として、音声信号等を含む通信チャネルフレームの分解及び組み立てと、着信信号等の各種制御信号を含む制御チャネルフレームの分解及び組み立て等を行う。また各種制御信号の内容を解釈し、解釈に応じた通信制御を行う。
【0024】
特に、通信制御部115は、通信アンテナ105から入力される着信信号を検出すると、着信音や表示部への表示による報知等の処理と共に、着信信号検出の旨を視聴状態検知部170に通知する。また、通信制御部115は、録画指示部180より録画指示を送信する旨の指示があると、録画装置200宛ての録画指示を含むEメールを、データ通信にして、無線部110及び通信アンテナ105を通じて通信網30へ送出する。
【0025】
音声処理部120は、スピーカ、マイク及び音声処理部を備え、外部に入出力する音声に関する処理を行う。
放送受信アンテナ125、受信処理部130、表示制御部135及び表示部140は、放送番組を受信して表示するためのものである。
放送受信アンテナ125は、電波搭10より放送される移動端末向けの放送波を受信し、受信処理部130に入力する。移動端末向けの放送波には、一般的なテレビ受像機用の放送番組に対応する移動端末向けの放送番組と、電子番組表等の放送番組のチャネルや放送時間帯を識別するための情報とが含まれている。
【0026】
また、視聴状態の検知のために、放送受信アンテナ125は、内部に有する測定機によって、放送番組の受信電波強度を測定し、視聴状態検知部170に所定の頻度で通知している。
受信処理部130は、放送受信アンテナ125により受信される信号の中から放送番組の本体部分に相当する信号を抽出して表示制御部135に出力する。また受信処理部130は、抽出した信号のエラー率を算出し、視聴状態検知部170へ通知している。エラー率の算出は、CRC(Cyclic Redundancy Check)方式に基づいて行う。具体的には例えば、信号に付加されたチェックコードと受信処理部130がチェック用に算出したチェックコードとを比較し、一致しない場合をエラーとして、所定期間内の比較回数に対するエラー回数の割合をエラー率とする。CRC方式を用いる代わりにパリティチェック方式やその他の伝送誤りチェックの方式を用いてもよい。
【0027】
さらに受信処理部130は、放送番組の受信の他に、電子番組表等の放送番組のチャネルや放送時間帯を識別するための情報を受信しており、録画指示部180が録画指示を出す際には、受信中の放送番組に対応する番組識別子を録画指示部180に通知する。
制御部150は、携帯電話機100全体を制御し、また操作部155の入力から、受信する放送番組の指示やオフフック操作を検出して各要素に伝える。
【0028】
視聴状態検知部170は、受信中の放送番組について、視聴することが困難になることが予測される所定状態の発生を検知し、また、その状態から回復したこと、つまり視聴可能になったことを検知する。そしてどちらの検知も録画指示部180に伝える。より詳しくは、後述の動作説明で行う。
録画指示部180は、視聴状態検知部170が所定状態の発生を検知すると、録画指示を出す処理を行う。また視聴状態検知部170が所定状態から回復したことを検知すると録画終了指示を出す処理を行う。どちらの指示も、最初は、赤外線通信部160により赤外線信号を用いて行い、それが失敗した場合には、通信制御部115に指示してEメールを用いて行う。録画指示及び終了指示には、電子番組表等から得られる番組識別子が含まれ、この識別子により録画装置200は、録画すべき、又は録画を終了すべき放送番組を特定することができる。
【0029】
電池電圧測定部190は、携帯電話機100に備わる電池の電圧を測定する機能部である。測定結果は、視聴状態検知部170に通知される。
次に録画装置200の構成を説明する。
図3は、録画装置200の構成を示すブロック図である。
同図において録画装置200は、放送受信部210、録画処理部220、ハードディスク部230、赤外線通信部240、インターネット通信部250及び指示受付部260を含んで構成される。
【0030】
放送受信部210は、アンテナ50より入力される放送波信号から、録画指示で指定される放送番組の信号を抽出して録画処理部220に出力する。
録画処理部220は、放送受信部210より入力される放送番組の信号を画像処理してハードディスク部230に出力する。
ハードディスク部230は、放送番組をハードディスクに記録する。
【0031】
赤外線通信部240は、赤外線受光部、受光部より入力される赤外線信号を解析して解析結果の録画指示を指示受付部260に出力する解析部、録画指示を受取った旨を示す応答信号を携帯電話機100の赤外線通信部160に送る赤外線信号送信部等を含んで構成される。
インターネット通信部250は、メールサーバ40に、例えば5分おきに録画装置200宛ての録画指示を含むEメールがないかチェックし、あれば受信して、その録画指示を指示受付部260に通知する。
【0032】
指示受付部260は、赤外線通信部240又はインターネット通信部250から通知された録画指示に基づいて、録画指示で指定される放送番組を録画処理部220に伝え、録画を指示する。
<動作>
次に、携帯電話機100の動作を説明する。
【0033】
図4は、携帯電話機100の動作を示すフローチャートである。
同図において、携帯電話機100は、操作部155の操作によりテレビのスイッチがオンとなると、制御部150は、放送受信アンテナ125及び受信処理部130に指示して、操作部155の操作で指示された放送チャネルの放送番組が受信されるようにする(ステップS41、S42)。
【0034】
放送番組が受信されて表示部140に表示されるようになると、視聴状態検知部170は、視聴困難になると予測される所定状態の発生を検知するために視聴不可検知処理を行う(ステップS43)。この処理内容については図5で説明する。
上記処理の結果、所定状態の発生が検知されると、録画指示部180は、録画装置200に対して、表示中の放送番組を指定した録画指示を出すための録画指示処理を行う(ステップS44)。この処理内容については図6で説明する。
【0035】
録画指示が済むと、視聴状態検知部170は、視聴困難な状態が回復したことを検知するための視聴回復検知処理を行う(ステップS45)。この処理内容については図7で説明する。
視聴可能な状態に、状態が回復したことを検出すると、録画指示部180は、ステップS44とほぼ同じような手順で、録画装置200に対して、録画中の放送番組の録画について録画終了を指示する(ステップS46)。
【0036】
図5は、視聴不可検知処理を示すフローチャートである。
同図において、視聴状態検知部170は、通信制御部115から着信が検出された旨の通知があり(ステップS51:YES)、さらに操作部155の操作によりオフフックの操作があれば(ステップS52:YES)、視聴困難と予測される状態であるとして、視聴不可を検知する(ステップS54)。
【0037】
同様に、放送受信アンテナ125から通知される電波強度及び受信処理部130より通知される受信エラー率によって、受信状況が悪い場合にも(ステップS53:YES)、視聴状態検知部170は、視聴困難と予測される状態であるとして、視聴不可を検知する(ステップS54)。
また、視聴状態検知部170は、電池電圧測定部190から通知される測定値に基づいて、電池残量が所定値以下であると判定した場合(ステップS55:YES)、視聴困難と予測される状態であるとして、視聴不可を検知する(ステップS54)。
【0038】
図6は、録画指示処理を示すフローチャートである。
同図において、録画指示部180は、放送番組のチャネル情報、番組識別子等を受信処理部130から取得し(ステップS61)、それらの情報を含めた録画指示信号を赤外線通信部160に出力し、赤外線通信部160は、その録画指示信号を赤外線信号に変換して出力する(ステップS62)。
【0039】
赤外線信号の出力の後、録画指示部180は、所定の期間内(例えば10秒以内)に、録画装置200から録画指示を受け付けた旨の応答信号が、赤外線通信部160を通じて返されるのを待つ。その結果、応答が返えされれば(ステップS63:YES)、処理を終了し、応答が返されなければ、赤外線信号による録画指示は失敗に終わったものとみなし、Eメール送信による録画指示を出すよう通信制御部115に、チャネル情報等を含めた録画指示を通知する(ステップS64)。ここで応答信号を所定の期間待つのは、赤外線信号による録画指示が録画装置200に受け付けられたかどうかを確認するためである。録画装置200と携帯電話機100との距離が、赤外線信号の到達距離より遠い場合や、赤外線信号の伝送に異常がある場合等、録画装置200に録画指示を伝達させられない場合があるので、応答信号が返されるか否かによって録画指示が受け付けられたかどうかを確認しているのである。
【0040】
図7は、視聴回復検知処理を示すフローチャートである。
図7に示すように、視聴状態検知部170は、図5でオフフックにより視聴不可検知がされていた場合には、オンフックを検出することにより、あるいは、図5で受信不良により視聴不可検知がされていた場合には、受信状況回復を検出することにより、視聴困難な状態が回復されたものとみなす(ステップS71)。
【0041】
そしてそのとき、中断されていた放送番組が、まだ放送中であるか、それとももう放送終了しているかを判断し、終了したものであれば、そのまま図7の処理を終了する。一方、中断されていた放送番組が、まだ放送中であれば(ステップS72:YES)、録画指示部180は録画処理部220に対して録画終了指示を出し(ステップS73)、そして放送受信アンテナ125、受信処理部130、表示制御部135、表示部140は、番組放送の受信を再開する。
<補足>
以上実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限らず、例えば以下のように実施してもよい。
(1)通信制御部115は、着信信号を検出した時、着信音や表示部への着信表示によってユーザに着信を報知し、着信信号検出の旨を視聴状態検知部170に通知するよう構成されている。これを次のようにしてもよい。すなわち、通信制御部115は、着信信号を検出した時点から所定期間が経過するまでの間、着信音や着信表示等の報知機構が作動するのを抑止し、所定期間経過後に報知機構を作動させ、この作動の時に着信信号検出の旨を視聴状態検知部170に通知する。ここで所定期間は、例えば3秒とする。この構成により、着信検出から3秒経過するまでは、ユーザに着信が報知されないので、その3秒間は、応答の操作がされないこととなる。これにより、所謂ワン切り等、短期間で着信コールが切れ、応答する必要のない着信に無駄に応答することがなくなり、応答がなくなれば、応答によって無駄に録画指示が送信される事態をなくすことができる。
(2)ステップS52では、オフフックの操作を応答の操作として検出しているが、このオフフックの操作は、すなわち、操作部155上に割り当てられたオフフックキーを押下する操作をいう。オフフックキーは、発信キー、通話ボタン等とも呼称される。その他、例えば、スライド式の携帯電話機の重なりあった上部筐体と下部筐体とを、スライドさせて伸長させる操作を応答の操作として検出してもよい。すなわち、携帯電話機100と相手先の携帯電話機との通話開始の契機となるユーザ操作であれば何でもよい。
【0042】
また、本実施形態においては、着信に対してオフフックの操作が検出されると録画指示を送信するよう構成されているが、オフフックの有無にかかわらず、着信があれば録画指示を送信するよう構成してもよい。あるいは、ワン切りや、短期間で着信コールが切れる場合に無駄に録画指示が送信されることを防止するために、着信を検出してから所定期間経過後に録画指示を送信するよう構成してもよい。
(3)録画指示部180は、録画指示と録画終了指示の両方を録画装置200に送信するよう構成されているが、録画指示のみを送信するよう構成してもよい。これに対応する録画装置200は、番組の放送が終了したときに録画を終了するよう構成してもよい。
(4)あるいは、録画指示に録画終了時刻を指定する情報を含めるよう構成してもよい。この録画指示を受けた録画装置200は、録画を開始し、当該録画指示に含まれる録画終了時刻が到来すると録画を停止する。
(5)また、録画指示に録画終了時刻を指定する情報を含める代わりに、録画開始から録画終了までの録画期間を指定する情報を含めるよう構成してもよい。この録画指示を受けた録画装置200は、録画を開始し、開始時からの期間が、録画期間に達したときに録画を停止する。
(6)録画指示部180が、録画指示と録画終了指示との両方を送信する場合において、録画指示部は、録画指示を送信した時から時間を計時し、所定期間経過後に録画終了指示を送信するよう構成してもよい。
(7)また録画指示部180が、録画指示にかかる放送番組の放送終了時刻を電子番組表等から取得して、当該放送終了時刻が到来した時に録画終了指示を送信するよう構成してもよい。
(8)携帯電話機100は、音声通話にかかる着信に対する応答操作を検知して録画指示を出すよう構成されているが、音声通話にかかる着信のみでなく、メール自動受信にかかる着信、チャットメールの受信にかかる着信に対する応答操作を検知して録画指示を出すよう構成されてもよい。
【0043】
メール自動受信とは、網上のメールサーバに届いた、携帯電話機100宛てのメールを、携帯電話機100が自動的に受信する機能である。自動的に受信したとき、携帯電話機100は、着信音や表示部140への表示によって、メール自動受信の旨をユーザに報知する。この報知に対し、オフフックキーの押下等、ユーザにより応答の操作がなされると、自動受信したメールの情報が表示部140表示され、ユーザは、メールを読んだり、返信メールを作成したりすることができるようになる。この応答の操作のときに録画指示を出すようにすれば、音声通信への応答の操作の場合と同じように、視聴が中断された番組が録画装置200にて録画される。
また、チャットメールとは、携帯電話機100と相手の携帯電話機とが接続された状態でメールをやりとりする機能である。この機能においては、携帯電話機は、メール自動受信と同様に、チャットメールを相手の携帯電話機から受信したとき、着信音や表示部140への表示によって、チャットメール受信の旨をユーザに報知する。この報知に対してユーザが応答の操作を行うと、相手の携帯電話機と携帯電話機100とが接続され、以降、チャットメールをやりとりすることができる。この応答の操作のときに録画指示を出すようにすれば、音声通信への応答の操作の場合と同じように、視聴が中断された番組が録画装置200にて録画される。
【産業上の利用可能性】
【0044】
放送番組を受信する機能を有する携帯電話機、PDP、情報端末等に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】携帯電話機100及び録画装置200を含む携帯電話システムの概略を説明するための構成概略図を示す。
【図2】携帯電話機100の構成を示すブロック図である。
【図3】録画装置200の構成を示すブロック図である。
【図4】携帯電話機100の動作を示すフローチャートである。
【図5】視聴不可検知処理を示すフローチャートである。
【図6】録画指示処理を示すフローチャートである。
【図7】視聴回復検知処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
10 電波搭
20 基地局
30 通信網
40 メールサーバ
50 アンテナ
60 モニタ
100 携帯電話機
105 通信アンテナ
110 無線部
115 通信制御部
120 音声処理部
125 放送受信アンテナ
130 受信処理部
135 表示制御部
140 表示部
150 制御部
155 操作部
160 赤外線通信部
170 視聴状態検知部
180 録画指示部
190 電池電圧測定部
200 録画装置
210 放送受信部
220 録画処理部
230 ハードディスク部
240 赤外線通信部
250 インターネット通信部
260 指示受付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送番組を受信して表示する表示手段と、
前記放送番組の表示中に、音声通話にかかる着信に対する応答操作を検知する検知手段と、
前記応答操作を検知すると、録画指示に基づいて放送番組を録画する外部装置に対して、前記表示中の放送番組を指定した録画指示を送信する指示手段と
を備えることを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
前記携帯電話機は、さらに、
音声通話にかかる着信を受けた時から所定期間が経過するまでの間、ユーザへの着信報知のための報知機構が作動するのを抑止する抑止手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯電話機。
【請求項3】
前記外部装置は、録画指示を含む赤外線信号を受信及び解析する手段を備えるものであり、
前記指示手段は、赤外線信号による前記録画指示を生成して前記外部装置に送信する赤外線送信手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の携帯電話機。
【請求項4】
前記外部装置は、近距離無線通信規格に準じる無線信号を受信及び解析する手段を備えるものであり、
前記指示手段は、前記近距離無線通信規格に準じる無線信号による前記録画指示を生成して送信する無線信号送信手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯電話機。
【請求項5】
前記外部装置は、前記携帯電話機の通信網に接続されており、
前記指示手段は、前記通信網を通じて前記録画指示を前記外部装置に伝送する
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯電話機。
【請求項6】
前記指示手段が送信する前記録画指示は、さらに、録画終了時刻の指定を含むことを特徴とする請求項1に記載の携帯電話機。
【請求項7】
前記録画終了時刻は、録画開始から録画終了までの期間により示されていることを特徴とする請求項6に記載の携帯電話機。
【請求項8】
前記携帯電話機は、さらに、
前記録画指示の送信の後、前記外部装置に対して録画終了指示を送信する終了手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の携帯電話機。
【請求項9】
前記終了手段は、前記指示手段により録画指示が送信された時から所定期間経過後に前記録画終了指示を送信することを特徴とする請求項8に記載の携帯電話機。
【請求項10】
前記終了手段は、前記指示手段が録画指示した放送番組の放送終了時刻を取得し、当該放送終了時刻に前記録画終了指示を送信することを特徴とする請求項8に記載の携帯電話機。
【請求項11】
前記携帯電話機は、さらに、
前記検知手段により応答操作が検知された後において、前記放送番組の視聴が再開可能となる事象の発生を検知する再開検知手段を備え、
前記終了手段は、前記再開検知手段により、前記事象が検知された場合に、前記外部装置に対して録画終了指示を送信する
ことを特徴とする請求項8に記載の携帯電話機。
【請求項12】
放送番組を受信して表示する表示手段と、
前記放送番組の表示中に、その放送番組の受信状況が、所定の基準に比べて悪くなったことを検知する検知手段と、
前記検知がなされると、録画指示に基づいて放送番組を録画する外部装置に対して、前記表示中の放送番組を指定した録画指示を送信する指示手段と
を備えることを特徴とする携帯電話機。
【請求項13】
前記検知手段は、受信中の放送番組に含まれる信号のエラー率を算出し、そのエラー率と所定のしきい値とを比較した結果、そのエラー率が所定のしきい値より高い場合に、受信状況が所定の基準と比べて悪くなったと検知することを特徴とする請求項12に記載の携帯電話機。
【請求項14】
放送番組を受信して表示する表示手段と、
前記放送番組の表示中に、電池残量が所定値以下になったことを検知する検知手段と、
前記検知がなされると、録画指示に基づいて放送番組を録画する外部装置に対して、前記表示中の放送番組を指定した録画指示を送信する指示手段と
を備えることを特徴とする携帯電話機。
【請求項15】
携帯電話機と、録画指示に基づいて放送番組を録画する外部装置とを含む携帯電話システムであって、
前記携帯電話機は、
放送番組を受信して表示する表示手段と、
前記放送番組の表示中に、音声通話にかかる着信に対する応答操作を検知する検知手段と、
前記応答操作を検知すると、前記外部装置に対して、前記表示中の放送番組を指定した録画指示を、赤外線信号により送信する第1指示手段と、
前記第1指示手段による録画指示の出力の後、前記録画指示を受けた旨の応答が前記外部装置より返されない場合には、携帯電話機の通信網を通じて前記録画指示を前記外部装置に送信する第2指示手段とを備え、
前記外部装置は、
赤外線信号による録画指示を受信及び解析する赤外線受信手段と、
前記通信網に接続する接続手段と、
前記第1指示手段による録画指示を前記赤外線受信手段により受信した場合に、前記携帯電話機に対して、前記録画指示を受けた旨の応答を赤外線信号により返信する赤外線返信手段と、
前記第1指示手段又は前記第2指示手段による録画指示に基づいて放送番組を録画する録画手段と
を備えることを特徴とする携帯電話システム。
【請求項16】
前記携帯電話システムは、
前記赤外線信号の代わりに近距離無線通信規格に準じる無線信号を用いる
ことを特徴とする請求項15に記載の携帯電話システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−20284(P2006−20284A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−138717(P2005−138717)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】