説明

携帯電話着信報知装置

【課題】安価でかつ携帯電話のシステムや機種に関係なく使用することが可能な汎用性の高い携帯電話着信報知装置を提供することを目的とする。
【解決手段】携帯電話着信報知装置50は、携帯電話10の着信報知動作によって生じる磁界の変化により磁気ピックアップ用コイル34に電磁誘導を発生させ、これによって生じた電流信号により着信を判別し機器5を起動する。機器5からの音声出力により携帯電話10の着信を報知する。よって、携帯電話10のシステムや機種に依存すること無く着信を報知することができる。携帯電話10の着信報知動作を磁気ピックアップ用コイル34の電磁誘導を用いて行うため回路構成が単純となり、着信の報知を機器5を用いて行うため、携帯電話着信報知装置50を低コストで提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話の着信を使用者に報知する携帯電話着信報知装置に関し、特に使用者が携帯電話から離れた場所に存在する場合でも確実に着信を報知する携帯電話着信報知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
広く一般に普及した携帯電話は、使用者が衣服のポケットや鞄などに入れて容易に持ち運ぶことが可能である。そして、携帯電話の着信時には、着信報知音声や着信報知振動及び着信報知光等で使用者に携帯電話への着信を報知する。ただし、音声による着信報知は周囲の騒音により聞き取り難い場合がある他、公共の場においては他人の迷惑となることがあるため、振動による着信報知モード(所謂、マナーモード)に設定する場合が多い。この場合、携帯電話を鞄などに入れて携帯すると使用者が着信報知振動を感知することが困難となる。よって、使用者は携帯電話を着信報知振動が感知可能な程度に近接して身に付ける必要がある。しかしながら、衣服等のポケットに携帯電話を収容するのは美観上好ましくないことや、特に冬場などでは衣服等のポケットに携帯電話を収容しても着信報知振動を感知できない場合がある。
【0003】
下記[特許文献1]、[特許文献2]には、携帯電話の着信を検知すると使用者が身に付けている比較的小型の受信装置に所定の信号を送信し、受信装置が使用者に携帯電話の着信を振動等で報知する発明が開示されている。
【0004】
上記の振動による着信報知モードは在宅中においては特に大きなメリットは無いものの、音声による着信報知モードと振動による着信報知モードとを在宅、外出の度毎に変更することは煩雑であるため、使用者は常に振動による着信報知モードに設定しておくことが多い。さらに、在宅中では携帯電話を自室等に置くなどして携帯電話を常に身に付けて行動することは少なく、また携帯電話の着信報知音声の音量は比較的小さいものであるため、使用者が携帯電話から離れた場所に存在する場合には着信報知音声が聞き取り難い場合がある。よって、[特許文献1]、[特許文献2]に開示された発明は在宅中であっても有用である。
【0005】
しかしながら、[特許文献1]、[特許文献2]に開示された発明では受信装置を常に身に付ける必要があり、例えば着替えや入浴を行った際に受信装置を移し変えなくてはならず、却って面倒であるという問題点がある。
【0006】
この問題点に対して、下記[特許文献3]では、携帯電話の充電時に充電器に設置された玩具が携帯電話の状態に合わせて所定の動作を行う発明が開示されている。この[特許文献3]に開示された発明によれば、玩具が所定の動作及び音声で携帯電話の着信を報知するため、使用者は受信装置等を身に付けることなしに携帯電話の着信を知ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−280067号公報
【特許文献2】特開平9−84141号公報
【特許文献3】特開2002−368858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、[特許文献3]に開示された発明は、通信状態を携帯電話から取得するため携帯電話のシステムが変更した場合や異なる規格の携帯電話に機種変更した場合等には使用できない可能性があり汎用性に乏しいという問題点がある。また、コスト的にも高価であるという問題点がある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、安価でかつ携帯電話のシステムや機種に関係なく使用することが可能な汎用性の高い携帯電話着信報知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
(1)携帯電話10の着信時に発生する磁界の変化または携帯電話10の着信時の着信報知振動によって電磁誘導が生じる電磁誘導発生部30と、前記電磁誘導により生じた電流信号が所定の条件を満たす時に所定の機器5を起動させる起動信号を出力する検知部32と、を有することを特徴とする携帯電話着信報知装置50を提供することにより、上記課題を解決する。
(2)電磁誘導発生部30は、磁界の変化によって電磁誘導が生じるコイル(磁気ピックアップ用コイル34)と前記コイルの中もしくは近傍に設置された磁石36とで構成され、さらに、前記携帯電話10の着信時の着信報知振動の発生により、前記磁石36もしくは前記コイルのいずれか一方が振動することで前記コイルへの磁界を変化させることを特徴とする上記(1)記載の携帯電話着信報知装置50aを提供することにより、上記課題を解決する。
(3)前記検知部32が、前記電磁誘導が生じなくなったことを電流信号から検出して前記機器5の電源をオフする停止信号を出力することを特徴とする上記(1)又は(2)記載の携帯電話着信報知装置50を提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の携帯電話着信報知装置によれば、携帯電話の着信の際に生じる着信報知振動もしくは着信報知音声を検知して所定の機器を起動することで携帯電話の着信を報知する。このため、携帯電話のシステムや機種に依存すること無く携帯電話の着信を報知することができる。また、着信報知振動もしくは着信報知音声の検知をコイルの電磁誘導を用いて行うため回路構成が単純となり、携帯電話着信報知装置を安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る携帯電話着信報知装置のブロック図である。
【図2】本発明に係る第1の実施形態の携帯電話着信報知装置のブロック図である。
【図3】本発明に係る第1の実施形態の携帯電話着信報知装置の変形例のブロック図である。
【図4】本発明に係る電磁誘導発生部の出力信号の周波数特性図である。
【図5】本発明に係る第2の実施形態の携帯電話着信報知装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る携帯電話着信報知装置の実施の形態について図面に基づいて説明する。尚、以下の説明では、本願に直接関係の無い構成及び動作に関しては図示及び説明を省略する。また、ここでの携帯電話10の着信とは、電子メールの着信や携帯電話10のアラーム動作による報知を含めたものとする。
【0014】
図1に示す本発明に係る携帯電話着信報知装置50は、携帯電話10の着信時に生じる磁界の変化により電磁誘導を発生する電磁誘導発生部30と、電磁誘導発生部30の電磁誘導で生じた電流信号を増幅する増幅部20と、増幅部20で増幅された電流信号のうち所定の周波数帯域のみを通過させるフィルタ22と、フィルタ22を通過した電流信号が所定の条件を満たした時に所定の機器5を起動させる検知部32と、を有している。尚、検知部32としては、例えば入力した電流信号を演算処理して所定の信号を出力するデジタルシグナルプロセッサ(DSP)等が用いられる。
【0015】
(第1の実施形態)
次に、図2、図3を用いて本発明に係る第1の形態の携帯電話着信報知装置50aの構成及び動作を説明する。尚、図2、図3に示す携帯電話着信報知装置50aにおいては機器5の内部に設けた例を説明するが、携帯電話着信報知装置50aは特に機器5の内部に設ける必要は無く、独立した装置として無線もしくは有線で機器5を起動させるようにしても、また機器5のリモコン等に設置して機器5のリモコンを介して機器5を起動させるようにしても、携帯電話の充電器等に設置して無線もしくは有線で機器5を起動させるようにしても良い。
【0016】
図2、図3に示す第1の実施形態の携帯電話着信報知装置50aを構成する電磁誘導発生部30aは、電磁誘導を発生する磁気ピックアップ用コイル34と当該磁気ピックアップ用コイル34の中(巻軸部)もしくは外部近傍に設置された磁石36とで主に構成される。磁気ピックアップ用コイル34と磁石36とはいずれか一方が携帯電話着信報知装置50aの本体側に固定され、他方が携帯電話10を載置もしくは設置する外装部材に接触もしくは固定される。そして、外装部材が振動すると、外装部材に接触もしくは固定された磁気ピックアップ用コイル34もしくは磁石36が磁気ピックアップ用コイル34の巻軸方向に振動する。尚、図2は磁気ピックアップ用コイル34の巻軸部に磁石36が設置され且つ磁石36が機器5の外装部材に固定された例を、図3は磁気ピックアップ用コイル34の外部近傍に磁石36が設置され且つ磁石36が機器5の外装部材に固定された例をそれぞれ示している。
【0017】
機器5としては、CD(Compact Disc)、MD(Mini Disc)、半導体メモリカード、ハードディスク等に記録された音声データや、チューナ等からの音声信号を再生して出力可能な音声出力部8と、音声出力部8から出力する音声信号を音声として出力するスピーカ等の音声出力手段9と、を少なくとも備えたAV機器、即ちオーディオステレオ、コンポーネントステレオ、ポータブルステレオ、テレビ、ラジオ等を用いることができる。
【0018】
尚、携帯電話着信報知装置50aを機器5の内部に設ける場合には、電磁誘導発生部30の設置位置と対応する機器5の外装部材表面位置にマーク等を設けるなどして、使用者に対し携帯電話10の載置位置を示唆することが好ましい。また、携帯電話10の載置位置を示唆する手段として、図3に示すように、機器5の外装部材の所定の位置に携帯電話10の外形寸法よりも大きな窪み部を設けそこに携帯電話10を載置させるようにしても良い。さらに、外装部材の所定の位置に携帯電話10を設置可能なアタッチメントを設けるようにしても良い。これらの構成によれば、窪み部もしくはアタッチメントにより携帯電話10の移動が制限されるため、電磁誘導発生部30の設置位置に携帯電話10を確実に設置することができ、電磁誘導発生部30が携帯電話10の着信報知動作による磁界の変化をより確実に取得することができる。
【0019】
次に、携帯電話着信報知装置50aの動作を説明する。先ず、振動による着信報知モードに設定された携帯電話10を、電磁誘導発生部30aの設置位置と対応した機器5の外装部材表面の所定の位置に載置する。このとき、機器5の電源はOFFとなっている。
【0020】
ここで、携帯電話10に着信があると携帯電話10は着信報知振動を発生する。携帯電話10が着信報知振動を発生すると、この着信報知振動が機器5の外装部材を振動させ、機器5の外装部材に接触もしくは固定された磁気ピックアップ用コイル34もしくは磁石36が当該磁気ピックアップ用コイル34の巻軸方向に振動する。この磁気ピックアップ用コイル34もしくは磁石36の振動により、磁気ピックアップ用コイル34にかかる磁界が変動し当該磁気ピックアップ用コイル34に電磁誘導が生じる。この磁気ピックアップ用コイル34の電磁誘導により、磁気ピックアップ用コイル34からは磁界の変動に応じた電流信号が出力される。電磁誘導発生部30aから出力された電流信号は増幅部20で増幅されフィルタ22に出力される。フィルタ22は増幅部20で増幅された電流信号のうちの所定の周波数帯域のみを検知部32へ出力する。
【0021】
ここで、着信報知振動が発生したときと発生していないときの電磁誘導発生部30aから出力する信号の周波数特性図を図4に示す。尚、図4中の実線Aは着信報知振動が発生したときの出力信号の周波数特性を示し、図4中の実線Bは着信報知振動が発生していないときの出力信号の周波数特性を示す。
【0022】
図4より、特に低周波帯域において実線Aと実線Bとで顕著な差が認められる。従ってフィルタ22の通過周波数帯域を例えば50Hz〜1000Hzとすることで、着信報知振動の有無をより容易に判別することができる。
【0023】
フィルタ22からの電流信号が検知部32へと出力されると、検知部32は入力した電流信号が所定の着信判定条件を満たすか否かを判別する。そして、検知部32は、入力した電流信号が所定の着信判定条件を満たす場合に携帯電話10に着信があったと判定し、例えば機器5の制御部7に所定の起動信号を出力する。機器5の制御部7は検知部32からの起動信号を受けて機器5の電源をONする。そして、機器5を稼動させ任意の音源からの音声信号を音声出力部8、音声出力手段9を通して音声として出力する。この機器5からの音声出力により、使用者は携帯電話10に着信があったことを認識する。
【0024】
着信判定条件の例としては、入力した電流信号が予め設定された所定の閾値を初めて越えたところから3秒間を1周期として1周期の間に所定の閾値を越えた電流信号の合計時間が0.8秒以上であることが2周期以上続いた場合に携帯電話10に着信があったと判定する。この着信判定条件を用いれば、地震や人の往来等の振動によって生じる電流信号と携帯電話10の着信報知振動による電流信号とを区別することが可能となり、携帯電話着信報知装置50aの誤作動を防止することができる。また、呼び出し音を1回だけ鳴らして電話を切る所謂ワン切り等の着信では、携帯電話着信報知装置50aの着信報知動作を行わせないようにすることができる。
【0025】
尚、着信判定条件は機器5が起動して音声を出力する前に電話が切れてしまうことを防止するため、機器5の起動から音声出力までの時間を考慮に入れて設定することが好ましい。
【0026】
また、例えばCD等の記録媒体は機器5にセットされていない場合が考えられ、また読み取りから音声出力までの間に若干時間を要することから、検知部32の起動信号により音声を迅速且つ常時出力することが可能な例えばチューナ等の音源を選択して起動させるようにしても良い。
【0027】
上記の第1の実施形態の携帯電話着信報知装置50aは、特に携帯電話10が振動による着信報知モードに設定されている場合に好適であるが、携帯電話10が音声による着信報知モードに設定されている場合においても使用することができる。
【0028】
携帯電話10が音声による着信報知モードに設定されている場合、携帯電話10に着信があると携帯電話10は着信報知音声を発生する。この携帯電話10が着信報知音声を発生させる場合、携帯電話10に内蔵されたスピーカのボイスコイルに所定の電流が流れ磁界の変動が生じる。携帯電話着信報知装置50aの磁気ピックアップ用コイル34は、外装部材を挟んで携帯電話10と近接配置されているため、このボイスコイルの磁界の変動により磁気ピックアップ用コイル34にかかる磁界も変動する。この磁界の変動により磁気ピックアップ用コイル34に電磁誘導が生じ磁界の変動に応じた電流信号が発生する。以下同様にして、磁気ピックアップ用コイル34で発生した電流信号は増幅部20にて増幅された後、フィルタ22により所定の周波数帯域のみが検知部32へと出力され、検知部32に入力した電流信号が着信判定条件を満たした場合、検知部32は機器5を稼動させる起動信号を出力する。これにより、機器5は音声出力手段9から音声を出力して、使用者に携帯電話10の着信を報知する。尚、機器5からの出力音声の音量は携帯電話10の着信報知音声の音量よりも大きいため、使用者が携帯電話10から離れた場所にいたとしても、携帯電話10の着信をより確実に知ることができる。
【0029】
尚、ボイスコイルの磁界変動によって電磁誘導発生部30aが出力する電流信号には50Hz〜1000Hzの周波数成分が含まれており、また低周波帯域でその差が顕著となるため、フィルタ22は音声による着信報知モードにおいても有効に機能する。
【0030】
(第2の実施形態)
次に、図5を用いて本発明に係る第2の実施形態の携帯電話着信報知装置50bの構成及び動作を説明する。尚、携帯電話着信報知装置50bは、電磁誘導発生部30の構成のみが携帯電話着信報知装置50aと異なるものであるため、携帯電話着信報知装置50aと重複する部分に関しては概略のみを記すこととする。また、図5に示す携帯電話着信報知装置50bにおいても、第1の実施形態と同様に、機器5の内部に設けた例を説明するが、携帯電話着信報知装置50bは特に機器5の内部に設ける必要は無く、独立した装置として無線もしくは有線で機器5を起動させるようにしても、また機器5のリモコン等に設置して機器5のリモコンを介して機器5を起動させるようにしても、携帯電話の充電器等に設置して無線もしくは有線で機器5を起動させるようにしても良い。
【0031】
図5に示す第2の実施形態の携帯電話着信報知装置50bは、電磁誘導発生部30bが電磁誘導を発生する磁気ピックアップ用コイル34のみで構成される。
【0032】
ここで、機器5の所定の位置に載置もしくは設置された携帯電話10に着信があると、携帯電話10が音声による着信報知モードに設定されている場合には、携帯電話10に内蔵されたスピーカのボイスコイルに所定の電流が流れ着信報知音声を発生する。このときのボイスコイルに生じる磁界の変動によって、電磁誘導発生部30bの磁気ピックアップ用コイル34に電磁誘導が生じ磁界の変動に応じた電流信号が発生する。以下、第1の実施形態と同様に携帯電話着信報知装置50bが動作することで、機器5が起動するとともに機器5の音声出力手段9から音声が出力する。これにより、使用者に対し携帯電話10に着信があったことを報知する。
【0033】
また、携帯電話10が振動による着信報知モードに設定されている場合には、着信時に携帯電話10に内蔵された振動発生手段のモータが駆動して着信報知振動を発生する。このときの振動発生手段のモータの駆動に伴いモータの周囲の磁界に変動が生じる。携帯電話着信報知装置50bの磁気ピックアップ用コイル34は、外装部材を挟んで携帯電話10と近接配置されているため、この振動発生手段のモータの駆動に伴う磁界の変動により磁気ピックアップ用コイル34にかかる磁界も変動する。これにより、磁気ピックアップ用コイル34に電磁誘導が生じ磁界の変動に応じた電流信号が発生する。以下、第1の実施形態と同様に携帯電話着信報知装置50bが動作することで、機器5が起動するとともに機器5の音声出力手段9から音声が出力する。これにより、使用者に対し携帯電話10に着信があったことを報知する。
【0034】
尚、振動発生手段のモータの駆動によって電磁誘導発生部30bが出力する出力信号の周波数特性は、ボイスコイルによって出力する出力信号の周波数特性と若干異なるため、フィルタ22の通過周波数帯域は両モードに対応可能なように適切に設定することが好ましい。フィルタ22の通過周波数帯域が適切に設定されれば、着信判定条件は第1の実施形態と同様な条件に設定することができる。
【0035】
また、特に第2の実施形態の携帯電話着信報知装置50bにおいては、携帯電話10に内蔵されたボイスコイルもしくはモータによる磁界の変動を効率よく電磁誘導発生部30bに伝達するために、電磁誘導発生部30bと携帯電話10と間の外装部材をプラスチック等の合成樹脂で形成することが好ましい。
【0036】
さらに、携帯電話着信報知装置50bには、以下に示す構成を設けることが好ましい。
【0037】
先ず、携帯電話10に着信があると携帯電話着信報知装置50bが動作して機器5を起動させ、機器5の音声出力により携帯電話10の着信を報知する。使用者は機器5からの音声出力により携帯電話10に着信があったことを認識し、携帯電話10を取り上げて通話等を開始する。携帯電話10が取り上げられると、携帯電話10が携帯電話着信報知装置50bの電磁誘導発生部30近傍から離れるため、携帯電話10の着信報知振動もしくは着信による磁界の変動が磁気ピックアップ用コイル34に関与しなくなる。よって磁気ピックアップ用コイル34の電磁誘導は生じなくなりそれに応じて電流信号は停止もしくは低下する。また、使用者が携帯電話10を取り上げることなく放置して携帯電話10の着信報知動作が終了した場合でも、磁気ピックアップ用コイル34の電磁誘導は生じなくなり電流信号は停止もしくは低下する。
【0038】
検知部32は入力した電流信号が停止もしくは低下して着信判定条件を満たさなくなったことを判別すると、例えば機器5の制御部7に対し機器5の電源をOFFするための停止信号を出力する。機器5の制御部7は検知部32からの停止信号を受けて機器5の電源をOFFする。これにより、機器5からの音声出力は停止する。
【0039】
尚、検知部32は着信判定条件とは異なる停止条件を満たした時に停止信号を出力するようにしても良い。停止条件の例としては、1周期(3秒)における所定の閾値を越えた電流信号の発生時間の合計が0.5秒を下回り、且つ連続する所定の周期の間に当該閾値を越えた電流信号の発生時間の合計が予め設定された値よりも下回った場合、携帯電話10の着信が無くなったと判定する。
【0040】
この構成によれば、使用者が携帯電話10を取り上げ通話等を開始すると、携帯電話着信報知装置50bが自動的に機器5の音声出力を停止させるため、機器5からの音声出力が通話の妨げとなることを防止するとともに、機器5の電力消費を抑えることができる。尚、上記の構成は第1の実施形態の携帯電話着信報知装置50aに適用しても良い。
【0041】
以上のように、本発明に係る携帯電話着信報知装置50、50a、50bは、携帯電話10の着信時の着信報知振動もしくは着信報知音声によって生じる磁界の変化により電磁誘導発生部30の磁気ピックアップ用コイル34に電磁誘導を発生させる。そして、この電磁誘導によって生じた電流信号により携帯電話10の着信を判別し機器5を起動させ、機器5から音声を出力することで携帯電話10の着信を報知する。このため、携帯電話10のシステムや機種に依存すること無く携帯電話10の着信を報知することができる。また、機器5からの出力音声の音量は携帯電話10の着信報知音声の音量よりも大きいため、使用者が携帯電話10から離れた場所にいたとしても、携帯電話10の着信をより確実に報知することができる。
【0042】
また、本発明に係る携帯電話着信報知装置50、50a、50bは、携帯電話10の着信報知振動もしくは着信報知音声を磁気ピックアップ用コイル34の電磁誘導を用いて行うため回路構成が単純となり、さらに着信の報知を機器5を用いて行うため、携帯電話着信報知装置50を低コストで提供することができる。
【0043】
さらにまた、本発明に係る携帯電話着信報知装置50、50a、50bは、使用者が携帯電話10を取り上げるなどして携帯電話10の着信動作を検知できなくなると、自動的に機器5の音声出力を停止させるため、機器5からの音声出力が通話の妨げとなることを防止するとともに、機器5の電力消費を抑えることができる。
【0044】
尚、上記の携帯電話着信報知装置50、50a、50bは本発明に係る携帯電話着信報知装置の好適な一例であるから、携帯電話着信報知装置50、50a、50bの各部のブロック構成及び動作等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
5 機器
10 携帯電話
30、30a、30b 電磁誘導発生部
32 検知部
34 コイル(磁気ピックアップ用コイル)
36 磁石
50、50a、50b 携帯電話着信報知装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話の着信時に発生する磁界の変化または携帯電話の着信時の着信報知振動によって電磁誘導が生じる電磁誘導発生部と、
前記電磁誘導により生じた電流信号が所定の条件を満たす時に所定の機器を起動させる起動信号を出力する検知部と、
を有することを特徴とする携帯電話着信報知装置。
【請求項2】
電磁誘導発生部は、磁界の変化によって電磁誘導が生じるコイルと前記コイルの中もしくは近傍に設置された磁石とで構成され、さらに、前記携帯電話の着信時の着信報知振動の発生により、前記磁石もしくは前記コイルのいずれか一方が振動することで前記コイルへの磁界を変化させることを特徴とする請求項1記載の携帯電話着信報知装置。
【請求項3】
前記検知部が、前記電磁誘導が生じなくなったことを電流信号から検出して前記機器の電源をオフする停止信号を出力することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の携帯電話着信報知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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