説明

摩擦駆動ユニット

【課題】ボールネジを使用することなく摩擦駆動機構を採用して安定に移動可能な摩擦駆動ユニットを実現する。
【解決手段】摩擦駆動ユニット1は、U字アーム2の2つのアーム部20a,20bに駆動ローラ3a,3bを軸支し一対の駆動ローラ3a,3bが所定の押付力でガイドレール93を左右から挟み込む。各駆動ローラ3a,3bのローラ軸30a,30bの他端に反転ローラ4a,4bを設け一対の反転ローラ4a,4bが回転伝達可能に接触する。2つのアーム部20a,20bを締結させてアーム部20a,20b間の間隔調節を行う締付ボルト24を設けている。一方のアーム部20aに取付けた駆動源5により一方の駆動ローラ3aを回転すると反転ローラ4a,4bを介して他方の駆動ローラ3bが逆方向に回転し摩擦駆動ユニット1がガイドレール93に沿って走行しテーブル90がレール92に沿って移動自在となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブルをレールに沿って移動させるための摩擦駆動ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
研磨機や物品の搬送装置等におけるテーブルをレールに沿って移動させる駆動機構として、ボールネジ機構や摩擦車の回転を利用した摩擦駆動機構等がある。
【0003】
ボールネジ機構は、例えば、図17に示すように、レール1100上にリニアガイド1200を介して取り付けたテーブルBにボールネジ1300を設け、このボールネジ1300をサーボモータで回転駆動させてテーブルBを移動させるものである。なお、図17中、WはテーブルBに支持又は保持したワークである。
【0004】
摩擦駆動機構は、例えば、図18に示すように、摩擦車1403と対向するローラ1405とをバネ(図示せず)で一体的にレール1404を挟みつけて予圧を与えるようにし、モータ1401により摩擦車1403だけを回転させて摩擦車1403とレール1404との間の摩擦力により摩擦車1403を移動させ、摩擦車1403、ローラ1405及びモータ1401を組み付けたテーブルを移動させるものである。
【特許文献1】特開平8−105439号公報(図2、図7、図8)
【特許文献2】特開平11−247955号公報
【特許文献3】実開平3−28350号公報
【特許文献4】特許第2886610号公報(第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記ボールネジ機構では、ボールネジ1300が高価なうえに長いストロークの高速移動になるとボールネジ1300の回転やたるみ等により所謂「なわとび現象」が起こりテーブルBの移動に支障を来たす。
【0006】
一方、摩擦駆動機構を安定して移動させるには、摩擦車1403とレール1404間及びローラ1405とレール1404間に安定して押付力を作用させる必要がある。ところが、上記摩擦駆動機構では、摩擦車1403はモータ1401によって回転駆動されるが、対向するローラ1405は転動するに過ぎない。すなわち、摩擦車1403はレール1404に対して押付力に加えて回転駆動力も作用させるが、ローラ1405はレール1404に対して押付力を働かせるだけである。そのため、ローラの数量に比して駆動力が小さいという欠点が生じ、急激な負荷や速度の変動に対して一方向の駆動力が作用することになり摩擦駆動機構の走行が不安定となる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、ボールネジを使用することなく摩擦駆動機構を採用して、テーブルの安定な移動を可能とする摩擦駆動ユニットを実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の一局面は、
テーブルをレールに沿って移動させるための摩擦駆動ユニットであって、
一方が駆動源に接続されてガイドレールを挟み込む一対の駆動ローラと、
各駆動ローラのローラ軸に取り付けられて上記駆動源に接続された駆動ローラの回転をもう一方の駆動ローラに回転伝達可能とする一対の反転ローラと、
上記一対の駆動ローラをそれぞれ軸支し、一体的に又は別々形成された2つのアーム部とを備え、
上記2つのアーム部は、互いが接近・離反する方向に弾性変形可能となってガイドレールに対して一対の駆動ローラが押付力を生じさせるように構成されている摩擦駆動ユニットである(請求項1)。
なお、上記ガイドレールは、テーブルを移動させるレールと同一のレールであってもよいし、異なっていてもよい。
【0009】
上記構成によれば、2つのアーム部は、互いが接近・離反する方向に弾性変形可能となっているので、ガイドレールが加工誤差や組立誤差により完全な平行状態を維持できない場合であっても、アーム部の弾性変形によりそれらの誤差を吸収することができ、スムースな移動が可能となる。
また、一対の駆動ローラは、ガイドレールに対して両側から略同じ押付力を安定して作用させることができる。しかも、一対の駆動ローラは回転駆動力を一対の反転ローラによって伝達されるため、一対の駆動ローラで略同じ回転駆動力がガイドレールの両側に伝達される。従って、一対の駆動ローラによって安定してその回転駆動力をガイドレールに伝達できる。この結果、摩擦駆動ユニットをガイドレールに対して安定して相対的に移動させることができる。さらに、一対の駆動ローラにてガイドレールを挟み込んでいるためガイドレールには均等な力が作用するので、テーブルのブレが抑えられる。
【0010】
そして、上記2つのアーム部を一体的に設けた場合は、一部材でテーブルあるいは架台等への取り付けができるため、組立てが容易となる。また、2つのアーム部を別々に設けた場合は、駆動ローラを軸支する2つのアーム部を独立させてテーブルあるいは架台等に固定することとなるので、各種の幅のガイドレールそれぞれに対応して一対の駆動ローラを所定の押付力でガイドレールに挟み込ませることができる。
【0011】
(2)上記2つのアーム部において、軸支した一対の駆動ローラ間の内幅は、この一対の駆動ローラで挟み込む側のガイドレール幅よりも狭くなるように設定されてもよい(請求項2)。
これにより、一対の駆動ローラをガイドレールに取り付けると、各アーム部の弾性力を受けて一対の駆動ローラが略同じ押付力でガイドレールを両側から押圧することとなる。
【0012】
(3)上記摩擦駆動ユニットは、上記2つのアーム部を締結させてこれらアーム部間の間隔調節を行う締付手段を設けてもよい(請求項3)。
これにより、ガイドレールに対する一対の駆動ローラの押付力を締付手段の締付け具合によって調節することができる。
【0013】
(4)また、本発明の他の局面は、
テーブルをレールに沿って移動させるための摩擦駆動ユニットであって、
一方が駆動源に接続されてガイドレールを挟み込む一対の駆動ローラと、
各駆動ローラのローラ軸に取り付けられて上記駆動源に接続された駆動ローラの回転をもう一方の駆動ローラに回転伝達可能とする一対の反転ローラと、
上記一対の駆動ローラをそれぞれ軸支し、揺動可能な2つのアーム部と、
上記2つのアーム部を締結させてアーム部間の間隔調節を行うことによりガイドレールに対して一対の駆動ローラが押付力を生じさせるように構成された締付手段とを備えた摩擦駆動ユニットである(請求項4)。
【0014】
これによると、揺動可能な2つのアーム部が用いられているので、上記締付手段によってアーム部間の間隔調節を行うことができる。従って、ガイドレールに対する一対の駆動ローラの押付力を締付手段の締付け具合等によって自在に調節することができる。また、一対の駆動ローラは回転駆動力を一対の反転ローラによって伝達されるため、一対の駆動ローラで略同じ回転駆動力がガイドレールの両側に伝達される。従って、一対の駆動ローラが安定してその回転駆動力をガイドレールに伝達できる。その結果、摩擦駆動ユニットをガイドレールに対して安定して相対的に移動させることができる。さらに、一対の駆動ローラにてガイドレールを挟み込んでいるためガイドレールには均等な力が作用するので、テーブルのブレが抑えられる。
【0015】
(5)上記ガイドレールとして、一本又は平行に配置された複数本の丸軸ガイドレールが用いられてもよい(請求項5)。
ガイドレールを丸軸とすることで、この丸軸ガイドレールに周方向の捩れが発生しても、ガイドレールと一対の駆動ローラとの接触状態が変化しない。従って、丸軸ガイドレールに対する一対の駆動ローラの挟み込みによる両側からの押付力を安定して作用させることができ、テーブルを安定して移動させることができる。また、ガイドレールを丸軸とすることで、ガイドレールを廉価且つ高精度に製造することができる。
【0016】
(6)上記ガイドレールとして、上記駆動ローラとの接触部に平面部を有する丸軸ガイドレールが用いられてもよい(請求項6)。
これにより、焼入れ軸の一部を平面加工することによって丸軸のガイドレールが作製できるため、製造コストを低減することができる。
【0017】
(7)上記2つのアーム部に潤滑剤を有する含油層を設けると共にこの含油層から毛管現象により上記一対の駆動ローラ及び/又は上記一対の反転ローラに潤滑剤が給油されてもよい(請求項7)。
潤滑剤の毛管現象によりローラ回転時に駆動ローラ及び/又は反転ローラのそれぞれに極少量ずつ潤滑剤が給油される。これにより、駆動ローラ、反転ローラ、ガイドレール等の各部において潤滑剤によるセミドライ状態下で、駆動力を摩擦により伝達することができる。従って、この潤滑剤の給油によって駆動ローラ、ガイドレール、反転ローラ等の各部の摩耗が緩和される。また、潤滑剤としてのトラクションオイルの給油では摩擦伝達力の低下をも抑制できる。
【0018】
(8)上記駆動源側のローラ軸は、上記駆動源側の端部にスリットを有する中空軸であり、上記中空軸に上記駆動源の駆動軸が挿入されていてもよい(請求項8)。
これにより、駆動源の駆動軸と駆動ローラのローラ軸とを接続する場合に、組み立てが容易となるとともに、確実な接続が得られる。
【0019】
(9)上記アーム部は、上記テーブル又は架台のいずれかに取り付けられてもよい(請求項9)。
アーム部がテーブルに取り付けられることにより、摩擦駆動ユニットを移動させることができ、一方、アーム部を架台に取り付けることにより、ガイドレール及びガイドレールに接続したテーブルを移動させることができる。
【0020】
(10)また、本発明のさらに他の局面は、
テーブルをレールに沿って移動させるための摩擦駆動ユニットであって、
駆動源に接続されて架台上に固定したレールの上面に押し当てられる駆動ローラと、
上記駆動源を支持すると共に上記駆動ローラを軸支し、且つ側方へ突出させた取付部を形成し、この取付部により上記テーブルに取り付けられるハウジングとを備え、
上記ハウジングの取付部は、上記ハウジングが上下方向に弾性変形可能となってレールに対して駆動ローラが押付力を生じさせるように構成された摩擦駆動ユニットである(請求項10)。
なお、駆動ローラを押し当てるレールは、テーブルのレールと同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0021】
このものでは、1つの駆動ローラを使用するので、レールに与える押付力の反力を摺動ガイドで受けることとなる。すなわち、請求項1に係る発明における駆動源に結合された一方の駆動ローラの反力を受ける他方の駆動ローラの役割を、請求項10に係る発明においては摺動ガイドが担う。従って、駆動ローラは、レールに対して安定して押付力を作用させることができる。その結果、この摩擦駆動ユニットを取り付けたテーブルを滑らかに安定して移動させることができる。
【0022】
(11)上記摩擦駆動ユニットにおいて、上記テーブルに取り付けられて上記ハウジング上面に当接させてハウジングを下方へ押圧する進退可能な締付手段を設けてもよい(請求項11)。
これにより、レールに対してハウジングに軸支した駆動ローラの押付力を締付手段の締付け具合によって調節することができる。
【0023】
(12)上記ハウジング内に潤滑剤を有する含油層を設けると共にこの含油層から毛管現象により上記駆動ローラに潤滑剤が給油されてもよい(請求項12)。
潤滑剤の毛管現象によりローラ回転時に駆動ローラに極少量ずつ潤滑剤が給油される。これにより、駆動ローラ、ガイドレール等の各部において潤滑剤によるセミドライ状態下で、駆動力を摩擦により伝達することができる。従って、この潤滑剤の給油によって駆動ローラ、ガイドレール等の各部の摩耗が緩和される。また、潤滑剤としてのトラクションオイルの給油では摩擦伝達力の低下をも抑制できる。
【0024】
(13)上記駆動ローラのローラ軸は、上記駆動源側の端部にスリットを有する中空軸であり、上記中空軸に上記駆動源の駆動軸が挿入されていてもよい(請求項13)。
これにより、駆動源の駆動軸と駆動ローラのローラ軸とを接続する場合に、組み立てが容易となるとともに、強固な接続が得られる。
【0025】
(14)上記摩擦駆動ユニットは、上記レールと平行に配置された位置測定手段と、得られた位置情報を上記駆動源にフィードバックさせることにより上記テーブルの移動を制御する制御手段とを有してもよい(請求項14)。
これにより、駆動ローラとレールとの間にスリップが生じた場合でも、テーブルの高精度な位置制御が可能となる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明に係る摩擦駆動ユニットによれば、一対の駆動ローラにより一定の押付力を安定してガイドレールに付与できるだけでなく、一対の駆動ローラが安定してその回転駆動力をガイドレールに伝達できる。このため、テーブルはレール上をスリップすることなく安定して移動することができるだけでなく、移動に対して静粛で振動・騒音がなく、バックラッシのない高精度な位置決めも可能になる。また、レールとガイドレールが多少変形したり、加工や組立の精度に問題が生じても、これらの不具合を補正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(実施の形態1)
図1に示すように、本実施の形態では架台94上に3本のレールが配置されており、これらのうち1本のレールがガイドレール93として使用される。そして、この摩擦駆動ユニット1は、搬送装置等のテーブル90を2本のレール92に沿って移動させるための装置である。テーブル90は、矩形状を有し、搬送装置等の架台94上に設置した2列の平行な直線状のレール92上に転動体を備えた摺動ガイド91を介して取り付けられている。一方、摩擦駆動ユニット1は、このテーブル90の端部に取付けられてレール92と平行なガイドレール93に配置される。なお、ガイドレール93は、四角柱形状を有し、2本のレール92の間にこれらレール92と平行に架台94上に取り付けられている。
【0028】
図2及び3に示すように、摩擦駆動ユニット1は、テーブル90に固定ボルト25で固定されるハウジングを構成するU字アーム2と、U字アーム2の2つのアーム部20a,20bに軸支されてガイドレール93を左右から所定の押付力で挟み込む一対の駆動ローラ3a,3bと、一方のアーム部20aに取り付けられて一方の駆動ローラ3aのローラ軸30aに接続されたサーボモータ等の駆動源5と、各駆動ローラ3a,3bのローラ軸30a,30bに取り付けられて駆動源5の回転を他方の駆動ローラ3bに伝達する一対の反転ローラ4a,4bとを備える。
【0029】
上記U字アーム2は、アルミ等の材質で製作される。このU字アーム2の各アーム部20a,20bは、互いが接近・離反する方向に弾性変形可能であるが、アーム部20a,20bが弾性変形し易いように各アーム部20a,20bの基端部21が所定の形状又は肉厚等に形成されている。例えば、この実施の形態では、基端部21は薄い肉厚に形成されている。そして、上記2つのアーム部20a,20bは、軸支した一対の駆動ローラ3a,3b間の内幅が、この一対の駆動ローラ3a,3bで挟み込むガイドレール93の左右の幅よりも狭くなるように設定されている。この駆動ローラ3a,3b間の間隔により、一対の駆動ローラ3a,3bがガイドレール93に対して所定の押付力を生じさせるように構成される。
【0030】
また、両アーム部20a,20bの先端部22は締付ボルト24(締付手段)で締結されている。上記締付ボルト24の頭部とアーム部20bの先端部22との間には皿バネ23やウレタンゴム等の緩衝材を挿入して締付ボルト24の締付力が調節される。すなわち、この締付ボルト24と皿バネ23とによってアーム部20a,20b間の間隔を弾性的に調節できるようになっている。これにより、ガイドレール93に対する一対の駆動ローラ3a,3bの押付力が調節できるようになっている。また、上記各アーム部20a,20bの弾性変形や上記締付ボルト24の頭部に介在させた皿バネ23等の緩衝材によって、ガイドレール93の取付誤差等によるガイドレール93と一対の駆動ローラ3a,3bとの間の押付力の過負荷をも防ぐことができる。さらに、押付力が平均化されるので、一定の駆動力で高精度で安定した走行が可能となる。そして、レールやローラ等のわずかな経年変化に対しても押付力を保持することができるので、メンテナンス不要とすることも可能である。
【0031】
なお、上記締付ボルト24の締付手段は、アーム部20a,20bの先端部22に配置するが、アーム部20a,20bの適宜位置に配置してもよい。また、両先端部22の間隔がガイドレール93の幅より狭い場合には、締付手段の間隔を広げることにより、駆動ユニット1をガイドレール93に容易に取り付けることができる。
【0032】
そして、図3に示すように、この摩擦駆動ユニット1は、U字アーム2の2つのアーム部20a,20bに駆動ローラ3a,3bを軸支してこの一対の駆動ローラ3a,3bが所定の押付力でガイドレール93を左右から挟み込むように配置されると共に、各駆動ローラ3a,3bのローラ軸30a,30bの他端に反転ローラ4a,4bを設けてこの一対の反転ローラ4a,4bが回転伝達可能に接触するように配置されており、一方のアーム部20aと接続された駆動源5により一方の駆動ローラ3aを回転すると上記一対の反転ローラ4a,4bを介して他方の駆動ローラ3bが逆方向に回転して、この摩擦駆動ユニット1がガイドレール93に沿って移動するように構成されている。これにより、この摩擦駆動ユニット1を取り付けた上記テーブル90がレール92に沿って移動自在となる。
【0033】
上記駆動ローラ3a,3bのローラ軸30a,30bは、ボールベアリング等の軸受部材31で回転可能にアーム部20a,20b内に軸支されている。上記駆動ローラ3a,3b及び上記反転ローラ4a,4bは、例えば、焼入研磨された金属等のほか、エンジニアリングプラスチック、ウレタン等の素材から製作することができる。そして、駆動ローラ3a,3bは、例えば、ベアリング鋼の焼入研磨によりローラ軸30a,30bとそれぞれ一体に製作されるが、ローラ軸30a,30bと別に製作して組付けるようにしてもよい。また、ローラ軸30a,30b自体で各駆動ローラ3a,3bを構成してもよい。一対の反転ローラ4a,4bは、アーム部20a,20bの弾性力によるガイドレール93に対する一対の駆動ローラ3a,3bの挟み込みを阻害しないように接触される。
【0034】
また、各アーム部20a,20bの構成壁には、トラクションオイル等の潤滑剤をフエルト等に含浸させた含油層6を設け、この含油層6の一部に細いフエルト60を差し込み、このフエルト60の先を駆動ローラ3a,3b及び反転ローラ4a,4bにそれぞれ接触させるようにする。すると、毛管現象によりローラ回転時に駆動ローラ3a,3b及び反転ローラ4a,4bのそれぞれに極少量ずつ潤滑剤が給油される。これにより、駆動ローラ3a,3b、反転ローラ4a,4b、ガイドレール93等の各部において潤滑剤によるセミドライ状態下で、駆動力を摩擦伝達により伝達することができる。また、この潤滑剤の給油によって駆動ローラ3a,3b、ガイドレール93、反転ローラ4a,4b等の部材の摩耗が緩和される。さらに、潤滑剤としてトラクションオイルを用いた場合、摩耗の低下だけでなく、摩擦伝達力の低下をも抑制できる。すなわち、ガイドレール93と駆動ローラ3a,3b又は反転ローラ4a,4b同士が接触する接触部分に導入されたトラクションオイルに作用する剪断力によりトラクション係数が増加する。その結果、ガイドレール93と駆動ローラ3a,3bとの間又は反転ローラ4a,4b間の動力伝達効率が向上するため、摩擦伝達力の低下を抑制することができる。
【0035】
以上の摩擦駆動ユニット1では、U字アーム2において、駆動ローラ3a,3bを設けた各アーム部20a,20bが互いに接近・離反して弾性変形し易いように設計されているので、この摩擦駆動ユニット1をガイドレール93に取り付けると、各アーム部20a,20bの弾性力を受けて一対の駆動ローラ3a,3bが略同じ押付力でガイドレール93を両側から押圧することとなる。そして、この摩擦駆動ユニット1が駆動しているときも、一対の駆動ローラ3a,3bが略同じ押付力でガイドレール93を挟み込むこととなる。しかも、各アーム部20a,20bが弾性変形し易い構造となっているため、駆動ローラ3a,3bやガイドレール93が摩耗しても、その摩耗分、各アーム部20a,20bが接近して駆動ローラ3a,3bとガイドレール93との間に安定して押付力を作用させることができる。
【0036】
また、両アーム部20a,20bの先端部22を締結させた締付ボルト24及び皿バネ23によってこの駆動ローラ3a,3bのガイドレール93に対する押付力を調節できるようになっている。これにより、一対の駆動ローラ3a,3bは、ガイドレール93に対して両側から略同じ押付力を安定して作用させることができ、しかも一対の反転ローラ4a,4bによって一対の駆動ローラ3a,3bで略同じ回転駆動力がガイドレール93の両側から伝達される。
従って、一対の駆動ローラ3a,3bが安定してその回転駆動力をガイドレール93に伝達し、摩擦駆動ユニット1を安定して移動させることができ、その結果、この摩擦駆動ユニット1を取り付けたテーブル90を滑らかに安定して移動させることができる。
【0037】
また、上記一対の反転ローラ4a,4bは互いに接触配置するので、これら反転ローラ4a,4bを取り付けたローラ軸30a,30bの傾きも防止される。これにより、一対の駆動ローラ3a,3bが「ハ」の字状に傾いてガイドレール93に片当たりも防止される。
また、このものは、ガイドレール93に対する一対の駆動ローラ3a,3bによる押付力の反力も、U字アーム2のアーム部20a,20bで受けるように構成するから、直動案内に関する駆動力や押付力はすべてこの摩擦駆動ユニット1内部で相殺することができる。従って、レール92やテーブル90又は摺動ガイド91等の既存設備に変更を加えることなく直動案内用の駆動装置を実現することができる。
【0038】
なお、上記形態において、ガイドレール93(又は2列のレール92)と平行にリニアスケールを配置して、テーブル90(又は摺動ガイド91)に取り付けたセンサでリニアスケールを読取り、その位置情報を駆動源5のモータにフィードバックさせ、制御手段により位置制御してもよい。これにより、ガイドレール93と駆動ローラ3a,3bとのトラクション駆動によって生じるスリップによる位置誤差を修正し高精度な位置制御が可能となる。
【0039】
(実施の形態2)
図4に示すように、このものは、ハウジングを構成するU字アーム2Aは、両アーム部20a,20bの先端部22を締付ボルト24で締付けることなくフリー端とし、各アーム部20a,20bの弾性力だけにより一対の駆動ローラ3a,3bが同じ押付力でガイドレール93を左右から挟み込んで押圧するようにしたものである。そして、上記2つのアーム部20a,20bは、軸支した一対の駆動ローラ3a,3b間の内幅が、この一対の駆動ローラ3a,3bで挟み込むガイドレール93幅よりも狭く設定されている。このものにおいては、押付力は駆動源5のモータの瞬間最大トルクにおいても駆動ローラ3a,3bが滑らないような値に設定される。
【0040】
従って、このものでは、締付ボルト24を設けるための構成や締付ボルト24や皿バネ23を要しない分、構造の簡略化を図ることができる。その他の構成及び作用効果は、上記実施の形態1と同様である。
【0041】
(実施の形態3)
図5に示すように、このものは、ハウジング2Bとして、駆動ローラ3a,3bを軸支する2つのアーム部20a,20bを分離して別々に構成し、これらアーム部20a,20bをテーブル90に2本の固定ボルト25で固定したものである。なお、アーム部20a,20bの基端部21は所定の形状又は肉厚等に形成され、各アーム部20a,20bが互いに接近・離反する方向に弾性変形し易い構成としている。また、両アーム部20a,20bの先端部22はフリー端としている。
【0042】
従って、このものでは、駆動ローラ3a,3bを軸支する2つのアーム部20a,20bを独立に構成し、これらアーム部20a,20bをテーブル90に固定することとなるので、各種の幅のガイドレール93それぞれに対応して一対の駆動ローラ3a,3bを所定の押付力でガイドレール93に挟み込ませることができる。その他の構成及び作用効果は、上記実施の形態1と同様である。
【0043】
(実施の形態4)
図6(a)に示すように、このものは、ハウジング2Cとして、駆動ローラ3a,3bを軸支する2つのアーム部20a,20bを独立に構成し、これらアーム部20a,20bをピンPでテーブル90に固定してこのピンPを支点に各アーム部20a,20bが互いに接近・離反して揺動自在となるように2軸リンク式に構成したものである。また、これらのアーム部20a,20bの先端部22同士を皿バネ23(緩衝材)を介在させて締付ボルト24(締付手段)で締結させることによって、各アーム部20a,20b間の間隔を調節できるようにしている。
【0044】
従って、このものでは、ガイドレール93に対する一対の駆動ローラ3a,3bの押付力を先端部22に設けた締付ボルト24の締付力と皿バネ23の付勢力によって自在に調節できる。また、図6(b)に示すように、ハウジング2Dの各アーム部20a,20bを1本のピンPによる1軸リンク式にテーブル90に固定するようにしてもよい。
【0045】
その他の構成及び作用効果は、上記実施の形態1と同様である。従って、例えば、本実施の形態においても、実施の形態1と同様にアーム部に含油層を形成してもよい。
【0046】
(実施の形態5)
図7に示すように、このものは、ガイドレール93を架台94上から浮かして設置し、ハウジングを構成するU字アーム2Eの2つのアーム部20a,20bを上下に配置し一対の駆動ローラ3a,3bがガイドレール93の上下から挟み込むようにして、駆動源5を横置き式に配置させるようにしたものである。
【0047】
従って、このものでは、テーブル90上方で邪魔な障害物となり得る駆動源5を側方へ退避させ、テーブル90の上方に駆動源5が突出しなくなった分のスペースを有効使用することができる。その他の構成及び作用効果は、上記実施の形態1と同様である。
【0048】
(実施の形態6)
図8に示すように、このものは、ガイドレール93として2本の丸軸ガイドレール93Xを使用し、この2本の丸軸ガイドレール93Xを架台94上から浮かして平行に横に並べて設置し、そして、円柱状の一対の駆動ローラ3a,3bを用い、ハウジングを構成するU字アーム2Fの2つのアーム部20a,20bを上下に配置しこの一対の駆動ローラ3a,3bが2本の丸軸ガイドレール93Xの上下から挟み込むように配置したものである。
【0049】
なお、この駆動ローラ3a,3bは、図9(a)に示すように、外周面を全長にわたってストレート状に形成してもよいし、図9(b)に示すように、丸軸ガイドレール93Xとの接触部32を丸軸ガイドレール93Xの円弧にならって円弧凹状に形成してもよい。駆動源5は、図7に示すものと同様に横置き式に配置される。
【0050】
従って、このものでは、ガイドレール93Xを丸軸とすることで、この丸軸ガイドレール93Xに周方向の捩れが発生しても、ガイドレール93Xと一対の駆動ローラ3a,3bとの接触状態が変化しない利点がある。よって、2本の丸軸ガイドレール93Xに対する一対の駆動ローラ3a,3bによる押付力を安定して作用させることができ、摩擦駆動ユニット1を安定して移動させることができる。また、ガイドレール93Xを丸軸とすることで、ガイドレール93Xを廉価且つ高精度に製造することができる。
【0051】
また、本実施の形態では、図10に示すように、1本の丸軸ガイドレール93Xのみをローラ軸3a,3bにより挟み込むように配置してもよい。この場合、ハウジング2Gに丸軸ガイドレール93Xと平行に配置されたレール92を挿通するレール保持部26を設けることにより、安定して駆動ユニットを移動させることができる。その他の構成及び作用効果は、上記実施の形態1と同様である。
【0052】
(実施の形態7)
図11に示すように、このものは、摺動ガイド91を取り付けた2列のレール92に摩擦駆動ユニット1を取り付けるようにしたものである。一方のレール92に取り付けた摩擦駆動ユニット1には駆動源5を設けるが、他方のレール92に取り付けた摩擦駆動ユニット1’には駆動源5を設けていない。そして、各摩擦駆動ユニット1,1’には、駆動ローラ3a,3a’のローラ軸に同一径のプーリ70,70’を取り付けてこれらプーリ70,70’にタイミングベルト71を懸架させて一方の摩擦駆動ユニット1の回転駆動力を他方の摩擦駆動ユニット1’に伝達するようにしている。これにより、左右の摩擦駆動ユニット1,1’のそれぞれの一対の駆動ローラ3a,3b、及び3a’,3b’が同調して回転駆動するので、左右のレール92でのテーブルの移動バランスを均等にすることができる。なお、テーブル90の端部中央には押圧ローラ72を取り付けてタイミングベルト71にたるみを生じさせないようにしている。
【0053】
従って、このものでは、摺動ガイド91を取り付けたレール92を用いて摩擦駆動ユニット1を取り付けるので、レール92がガイドレール93として機能する。このため、構成の簡略化、低コスト化を図ることができる。
【0054】
なお、図11に示したものでは、摩擦駆動ユニット1,1’を2列のレール92にそれぞれ取り付けるが、一方のレール92にのみ摩擦駆動ユニット1を取り付けるようにしてもよい。また、レール92に取り付けたこの摩擦駆動ユニット1にあっても、図4〜図6に示したもののような変更を加えるようにしてもよい。その他の構成及び作用効果は、上記実施の形態1と同様である。
【0055】
(実施の形態8)
図12に示すように、このものは、ガイドレール93をテーブル90の底面に取り付け、このガイドレール93を走行させる摩擦駆動ユニット1のハウジングを構成するU字アーム2Hを架台94に固定するようにして、摩擦駆動ユニット1を移動させないようにしたものである。
【0056】
従って、摩擦駆動ユニット1の駆動源5により駆動ローラ3a,3bを回転させると、一対の駆動ローラ3a,3bで挟み込まれたガイドレール93がこれら駆動ローラ3a,3bによって繰り出され、これによって、テーブル90が2列のレール92に沿って移動することとなる。
【0057】
ところで、摩擦駆動ユニット1をテーブル90に取り付けてテーブル90と共に走行させるようにすると、摩擦駆動ユニット1の駆動源5に電源供給する配線も一緒に移動されるので、この配線をキャタピラ等で移動させる必要があり、その分配線が邪魔となる。
【0058】
ところが、このものでは、摩擦駆動ユニット1は、架台94に固定して移動させないように構成するので、この摩擦駆動ユニット1の駆動源5に電源供給する配線も所定位置に固定しておくことができ、配線を移動させる構成も要せず、しかも配線が長くなって邪魔になることもない。なお、摩擦駆動ユニット1の構成及びその作用効果は、上記実施の形態1とほぼ同様である。
【0059】
(実施の形態9)
図13(a)に示すように、このものは、ハウジング2Iの内部に1本の駆動ローラ3を軸支してこの駆動ローラ3にハウジング2Iの側壁に取り付けた駆動源5を接続させて駆動ローラ3を回転駆動するようにし、このハウジング2Iを摺動ガイド91の配置するレール92に組付けるようにテーブル90の端部に取り付け、駆動ローラ3をレール92上面に圧接させて回転駆動することで、この摩擦駆動ユニット1Aをレール92上に走行させてテーブル90を移動させるようにしたものである。
【0060】
この摩擦駆動ユニット1Aでは、ハウジング2Iの上端から側方へ突出する取付部8を固定ボルト25によってテーブル90に固定し、この取付部8の基端部80を所定の形状又は肉厚等にして駆動ローラ3を軸支するハウジング2Iが弾性変形可能な構成とし、一方、テーブル90の端部上端に側方へ突出してハウジング2I上面に配置される凸片99を設け、この凸片99に締付手段の締付ボルト84を取り付けて皿バネ83等の緩衝材を介してハウジング2Iを下方へ押圧するようにし、これにより、レール92に対してハウジング2Iに軸支した駆動ローラ3が所定の押付力を作用させるようにしている。また、締付ボルト84の締付け具合によってレール92に対する駆動ローラ3の押付力を調節することができる。
【0061】
従って、摩擦駆動ユニット1Aへの押付力の反力を摺動ガイド91で受けることになるので、駆動ローラ3は、レール92に対して押付力を安定して作用させることができる。このため、駆動ローラ3が安定してその回転駆動力をレール92に伝達し、この摩擦駆動ユニット1Aを安定して移動させることができ、その結果、この摩擦駆動ユニット1Aを取り付けたテーブル90を滑らかに安定して移動させることができる。
【0062】
なお、図13(b)に示すように、上記構成において、皿バネ83を介した締付ボルト84による押付力調節のための締付手段を排除して、ハウジング2Iの取付部8における弾性変形だけで駆動ローラ3をレール92に対して押圧する構成としてもよい。
【0063】
また、図14に示すように、上記摩擦駆動ユニット1A,1A’を2列のレール92のそれぞれに取り付け、一方の摩擦駆動ユニット1Aには駆動源5を設けるが、他方の摩擦駆動ユニット1A’には駆動源5を設けないようにし、左右の摩擦駆動ユニット1A,1A’の駆動ローラのローラ軸を連結軸XとカップリングCによって連結して駆動伝達する構成とし、左右の摩擦駆動ユニット1A,1A’を同調させて走行するようにしてもよい。
【0064】
また、図15に示すように、上記摩擦駆動ユニット1Aをテーブル90の内部に配置するようにしてもよい。この場合、摩擦駆動ユニット1Aを配置するテーブル90の位置には、その底面に凹部98を設けてハウジング2Iがその取付部8での弾性変形による上下移動を確保させるようにしてもよい。
【0065】
さらに、本実施の形態においても、ハウジング2I内に駆動ローラ3に潤滑剤を供給する含油層が設けられてもよい。この潤滑剤の給油によって駆動ローラ3及びレール92等の部材の摩耗が緩和される。また、潤滑剤としてトラクションオイルを用いた場合、摩耗の低下だけでなく、摩擦伝達力の低下も抑制できる。
【0066】
(実施の形態10)
上記実施の形態においては、アーム部と駆動源とは、例えば図3に示すように、接続枠41を介して接続されているが、接続形態はこれに限定されない。図16は、駆動源側のアーム部(図示せず)と駆動源5との接続形態の他の一例を示す一部断面図である。図16に示すように、アーム部と駆動源5との間にアーム部から連設するフランジ部141が形成されてもよい。このフランジ部141を設けることによって、フランジ部141内で駆動源側のローラ軸30aと駆動軸50とがセットカラー40により接続されるため、組立てが容易であるとともに、防塵効果も得られる。そして、フランジ部141の側面にはセットカラー40によりローラ軸30aと駆動軸50とを接続するための工具用貫通孔142が穿設されている。
【0067】
アーム部と駆動源5とを接続する場合には、まずローラ軸30aに、ネジ穴143を備え円筒の一部にスリット(図示せず)を有するセットカラー40が外嵌される。このローラ軸30aはその外周端部の一部に大径部301が形成されており、セットカラー40がその環状段差部302により係止される。次に、このセットカラー40の他端側から駆動軸50が挿入される。駆動軸50がローラ軸30aに挿入されたときに、駆動軸50の先端部はローラ軸30aに収容される。また、図16に示すように、このローラ軸30aの先端部には、スリット303が形成されている。このスリット303が形成されることにより、駆動軸50のローラ軸30aへの挿入が容易になるとともに、セットカラー40の締付けによりローラ軸30aと駆動軸50とが確実に接続される。このスリット303の数は、1つ以上あれば十分であり、通常1〜2である。また、スリット303の長さは、セットカラー40の軸方向長さよりも短く、スリット303の下端部は、駆動軸50の先端部がローラ軸30aに挿入されたときの位置よりも駆動源側にあるように設定される。そして、上記のように駆動軸50がローラ軸30aに挿入された状態で、フランジ部141の側面から工具用貫通孔142を通して締付工具により締付方向にネジを螺合させていくことにより、セットカラー40が締付けられ、駆動軸50とローラ軸30aとが接続される。
【0068】
なお、上記接続形態はいずれの実施の形態にも適用することができる。例えば、図13に示される実施の形態9の摩擦駆動ユニットでは、ハウジング2Iと駆動源5とを接続する場合に、ハウジング2Iに同様のフランジ部を形成してもよい。また、その場合、駆動軸とローラ軸とを接続するために、上記と同様の構造を採用してもよい。
【0069】
(その他の実施の形態)
(1)上記各実施の形態において、摩擦駆動ユニット1のハウジング2をテーブル90の内部に取り付ける等の取付け位置を適宜設定することができる。
(2)レール92に組付けた摺動ガイド91の一部又は全部に代えて、上記の各摩擦駆動ユニット1を設けるようにしてもよい。この場合、摩擦駆動ユニットが取り付けられるレール92がガイドレール93として機能する。
(3)ガイドレール93は、駆動ローラ3との接触部に平面部を有する丸軸ガイドレールであってもよい。上記ガイドレールは焼入れ軸の一部を平面加工することによって作製できるため、製造コストを低減することができる。
(4)ハウジング2の一部に透明材料が用いられてもよい。これにより、含油層6の外観が観察できるため、潤滑剤量を外部から確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】実施の形態1による摩擦駆動ユニットの取付け状態を示す図であり、同図(a)は上面図であり、同図(b)は側面図である。
【図2】実施の形態1による摩擦駆動ユニットの構成を示す上面図である。
【図3】実施の形態1による摩擦駆動ユニットの内部構成を示す断面図である。
【図4】実施の形態2による摩擦駆動ユニットの構成を示す上面図である。
【図5】実施の形態3による摩擦駆動ユニットの構成を示す上面図である。
【図6】実施の形態4による摩擦駆動ユニットの構成を示す上面図であり、同図(a)は2軸リンク形式の摩擦駆動ユニットを示し、同図(b)は1軸リンク形式の摩擦駆動ユニットを示す。
【図7】実施の形態5による摩擦駆動ユニットの構成を示す図であり、同図(a)は側面図であり、同図(b)は上面図であり、同図(c)は一部断面側面図である。
【図8】実施の形態6による摩擦駆動ユニットの構成を示す図であり、同図(a)は側面図であり、同図(b)は上面図であり、同図(c)は一部断面側面図である。
【図9】実施の形態6による駆動ローラの形態を示す模式図であり、同図(a)はストレート形状の駆動ローラを用いた形態を示し、同図(b)は円弧凹状の駆動ローラを用いた形態を示す。
【図10】実施の形態6による摩擦駆動ユニットの変形例を示す一部断面側面図である。
【図11】実施の形態7による摩擦駆動ユニットの構成を示す図であり、同図(a)は上面図であり、同図(b)は側面図である。
【図12】実施の形態8による摩擦駆動ユニットの構成を示す図であり、同図(a)は上面図であり、同図(b)は側面図である。
【図13】実施の形態9による摩擦駆動ユニットの構成を示す側面図であり、同図(a)は締付手段有りの形式の摩擦駆動ユニットを示し、同図(b)は締付手段無しの形式の摩擦駆動ユニットを示す。
【図14】実施の形態9による摩擦駆動ユニットを2列に設けて連結させた変形例を示す上面図である。
【図15】実施の形態9による摩擦駆動ユニットをテーブル底面に設けた変形例を示す側面図である。
【図16】実施の形態10による駆動源とアーム部との接続形態の一例を示す一部断面図である。
【図17】従来の直動駆動機構(ボールネジ機構)を示す断面図である。
【図18】従来の直動駆動機構(摩擦駆動機構)を示す模式図であり、同図(a)は前側面図であり、同図(b)は横側面図である。
【符号の説明】
【0071】
1 摩擦駆動ユニット
2 U字アーム(ハウジング)
2A〜2I ハウジング
3a,3b 駆動ローラ
4a,4b 反転ローラ
5 駆動源
6 含油層
20a,20b アーム部
21 基端部
22 先端部
24 締付ボルト(締付手段)
30a,30b ローラ軸
90 テーブル
91 摺動ガイド
92 レール
93 ガイドレール
93X 丸軸ガイドレール
94 架台
141 フランジ部
142 工具用貫通孔
303 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブルをレールに沿って移動させるための摩擦駆動ユニットであって、
一方が駆動源に接続されてガイドレールを挟み込む一対の駆動ローラと、
各駆動ローラのローラ軸に取り付けられて上記駆動源に接続された駆動ローラの回転をもう一方の駆動ローラに回転伝達可能とする一対の反転ローラと、
上記一対の駆動ローラをそれぞれ軸支し、一体的に又は別々に形成された2つのアーム部とを備え、
上記2つのアーム部は、互いが接近・離反する方向に弾性変形可能となってガイドレールに対して一対の駆動ローラが押付力を生じさせるように構成された摩擦駆動ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の摩擦駆動ユニットにおいて、
上記2つのアーム部は、軸支した一対の駆動ローラ間の内幅が、この一対の駆動ローラで挟み込む側のガイドレール幅よりも狭くなるように設定された摩擦駆動ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の摩擦駆動ユニットにおいて、
上記2つのアーム部を締結させてこれらアーム部間の間隔調節を行うための締付手段を設けた摩擦駆動ユニット。
【請求項4】
テーブルをレールに沿って移動させるための摩擦駆動ユニットであって、
一方が駆動源に接続されてガイドレールを挟み込む一対の駆動ローラと、
各駆動ローラのローラ軸に取り付けられて上記駆動源に接続された駆動ローラの回転をもう一方の駆動ローラに回転伝達可能とする一対の反転ローラと、
上記一対の駆動ローラをそれぞれ軸支し、揺動可能な2つのアーム部と、
上記2つのアーム部を締結させてアーム部間の間隔調節を行うことによりガイドレールに対して一対の駆動ローラが押付力を生じさせるように構成された締付手段とを備えた摩擦駆動ユニット。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の摩擦駆動ユニットにおいて、
上記ガイドレールとして、一本又は平行に配置された複数本の丸軸ガイドレールを有する摩擦駆動ユニット。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の摩擦駆動ユニットにおいて、
上記ガイドレールとして、上記駆動ローラとの接触部に平面部を備えた丸軸ガイドレールを有する摩擦駆動ユニット。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の摩擦駆動ユニットにおいて、
上記2つのアーム部に潤滑剤を有する含油層を設けると共にこの含油層から毛管現象により上記一対の駆動ローラ及び/又は上記一対の反転ローラに潤滑剤が給油される摩擦駆動ユニット。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の摩擦駆動ユニットにおいて、
上記駆動源側のローラ軸は、上記駆動源側の端部にスリットを有する中空軸であり、
上記中空軸に上記駆動源の駆動軸が挿入されている摩擦駆動ユニット。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の摩擦駆動ユニットにおいて、
上記アーム部は、上記テーブル又は架台に取り付けられている摩擦駆動ユニット。
【請求項10】
テーブルをレールに沿って移動させるための摩擦駆動ユニットであって、
駆動源に接続されて架台上に固定したレールの上面に押し当てられる駆動ローラと、
上記駆動源を支持すると共に上記駆動ローラを軸支し、且つ側方へ突出させた取付部を形成し、この取付部により上記テーブルに取り付けられるハウジングとを備え、
上記ハウジングの取付部は、上記ハウジングが上下方向に弾性変形可能となってレールに対して駆動ローラが押付力を生じさせるように構成された摩擦駆動ユニット。
【請求項11】
請求項10に記載の摩擦駆動ユニットにおいて、
上記テーブルに取り付けられ、上記ハウジング上面に当接させてハウジングを下方へ押圧する進退可能な締付手段を設けた摩擦駆動ユニット。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の摩擦駆動ユニットにおいて、
前記ハウジング内に潤滑剤を有する含油層を設けると共にこの含油層から毛管現象により上記駆動ローラに潤滑剤が給油される摩擦駆動ユニット。
【請求項13】
請求項10乃至12のいずれか1項に記載の摩擦駆動ユニットにおいて、
上記駆動ローラのローラ軸は、上記駆動源側の端部にスリットを有する中空軸であり、
上記中空軸に上記駆動源の駆動軸が挿入されている摩擦駆動ユニット。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の摩擦駆動ユニットにおいて、
上記レールと平行に配置された位置測定手段と、
得られた位置情報を上記駆動源にフィードバックさせることにより上記テーブルの移動を制御する制御手段とを有する摩擦駆動ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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