説明

摺動接点の製造方法

【課題】 特に、所望の形状に簡単に加工でき、且つその形状を適切に維持することが可能な出力精度に優れた摺動接点の製造方法を提供することを目的としている。
【解決手段】 炭素繊維束体21に樹脂溶液23を含浸させた後、乾燥する。続いて、前記炭素繊維束体21を所定形状に折り曲げ、続いて、加熱処理にて前記炭素繊維束体21の表面全体に付着している樹脂を硬化し、最後に、前記炭素繊維束体21を切断している。以上により、所望の形状に簡単に加工でき、且つその形状を適切に維持することが可能な出力精度に優れた摺動接点1を簡単且つ適切に製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、所望の形状に簡単に加工でき、且つその形状を適切に維持することが可能な出力精度かつ作動耐久性に優れた摺動接点の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のポテンショメータ等に使用される摺動接点には、従来、例えば、AgやPdの貴金属合金のめっき材やクラッド材を加工して作製していた。
【0003】
しかしながら、低分子シロキサンやアンモニアガスなどの雰囲気中でPd触媒効果等によって絶縁物が形成されたり、潤滑性を向上させるためにオイルを用いたこと等による低温下での接触抵抗の上昇問題や、振動を受ける場合などブラシの比重により抵抗体(導電パターン)への過剰負荷の問題から、非金属材料で、オイルレス(高潤滑性)で、軽比重材料の摺動接点が求められ、貴金属合金に代わって下記の特許文献には、化学的に安定でかつ比重が軽く、導電性の高い素材である炭素繊維を摺動接点に用いることが開示されている。
【特許文献1】特開2004−31168号公報
【特許文献2】特開2000−105132号公報
【特許文献3】特開2000−65594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献には、摺動子の先端部(摺動部分)を炭素繊維のみで構成し、炭素繊維が抵抗体上を摺動する構成が開示されている。
【0005】
しかしながら上記の構成では、正逆方向に摺動を繰り返したときに、同一位置での出力に差が生じる、すなわちヒステリシスが生じやすかった。
【0006】
また炭素繊維のみが先端部から突出しているので、繰り返し摺動子を抵抗体上で摺動させると前記炭素繊維の先端部分が折れる等の不具合が生じやすい。折れた炭素繊維が導電パターン上に残されていると、出力ノイズの原因となり、また導電パターン間をショートさせるといった不具合が生じやすい。
【0007】
このように、上記の特許文献に記載された摺動子の構成では、出力精度を適切に向上させることが困難であった。
【0008】
また、特許文献1には、例えば、図3に示すようにパイプ41を用い、このパイプ41の中にカーボンファイバ40を束ねカーボンファイバ集合体を挿通し、その後、前記パイプ41を湾曲加工してU字状に塑性変形させることが開示されている(特許文献1の[0025]欄)。
【0009】
しかしながら、上記の方法では、別にパイプ41を用意する必要があり、しかもこのパイプに多数本のカーボンファイバ40を挿通させることが必要であるため、製造コストが増大したり、製造工程が煩雑化するといった問題があった。
【0010】
また特許文献1の図10や図11には、特許文献1の図2等と違ってカーボンファイバ集合体47をパイプに挿通しない構成が開示されている。
【0011】
例えば特許文献1の[0029]欄には、「この形態の帯状のカーボンファイバ集合体47は、その端部を除いた部分を接着層等の固定層で覆って固めて形状を保持するようにしても良い」と記載されているが、この形態は、上記で指摘したように、端部を炭素繊維のみで構成し前記炭素繊維を飛び出させる形態であると考えられ、出力精度を適切に向上させることが困難であるといった問題が発生する。
【0012】
さらに、特許文献1の図13には、図11に示すカーボンファイバ集合体48の製造方法が開示されているものの図10に示すカーボンファイバ集合体47の製造方法は開示されていない。また、図13に示す製造方法では、最終製品と同じ長さのカーボンファイバ集合体48を夫々、成形型50に巻いていかなければならず、カーボンファイバ集合体48を増産するのに不向きな製造方法である。また、カーボンファイバ集合体47,48をどの時点で帯状に加工するのか、カーボンファイバ集合体47,48にどのように接着剤を付着させるのか具体的製造方法が詳しく開示されていない。
【0013】
そこで本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、特に、所望の形状に簡単に加工でき、且つその形状を適切に維持することが可能な出力精度に優れた摺動接点の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明における摺動接点の製造方法は、以下の工程により製造したことを特徴とするものである。
【0015】
(a) 炭素繊維束体に樹脂溶液を含浸させる工程、
(b) 前記炭素繊維束体に付着している前記樹脂溶液を乾燥させる工程、
(c) 前記炭素繊維束体を所定形状に折り曲げる工程、
(d) 加熱処理を行って前記炭素繊維束体に付着している樹脂を硬化させる工程、
(e) 前記炭素繊維束体を切断することにより、前記樹脂とともに炭素繊維が露出した切断面を摺動面とする摺動子を複数形成する工程。
【0016】
本発明では、上記のように、炭素繊維束体に樹脂溶液を含浸させた後、乾燥する。続いて、前記炭素繊維束体を所定形状に折り曲げ、続いて、加熱処理にて前記炭素繊維束体の表面全体に付着している樹脂を硬化し、最後に、前記炭素繊維束体を切断している。
【0017】
上記の製造方法では、炭素繊維束体に付着している樹脂溶液を乾燥してから、炭素繊維束体を折り曲げるので、折り曲げ工程では、前記炭素繊維束体は柔軟性を有しており、炭素繊維束体を所定形状に簡単且つ適切に折り曲げることができる。また、炭素繊維束体の折り曲げ工程時に、樹脂が流動しにくく、炭素繊維束体の表面全体を樹脂にて適切に覆うことができる。
【0018】
そして、折り曲げ工程後、加熱処理を行い、樹脂を硬化させた後に切断を行うので、前記炭素繊維束体の形状を適切に維持できるとともに、切断を容易に且つ適切に行うことができ、綺麗な切断面を形成することが出来る。さらに上記の製造方法では、複数個の摺動接点を同時に形成することが可能である。
【0019】
また本発明の摺動接点の製造方法では、摺動子の先端部まで前記炭素繊維の束を樹脂にて被覆でき、炭素繊維が露出する切断面を摺動面とすることで、従来に比べてヒステリシスが生じにくい等、出力精度を向上させることができる。
【0020】
以上により本発明では、所望の形状に簡単に加工でき、且つその形状を適切に維持することが可能な出力精度に優れた摺動接点を簡単且つ適切に製造できる。
【0021】
本発明では、前記(c)工程のとき、前記炭素繊維束体を、複数の支持体が連結されて成る支持連結体の表面に巻き付け、
前記(e)のときに、前記炭素繊維束体及び前記支持連結体を切断することにより、前記支持連結体を個々の支持体に分断するとともに、各支持体から離れる方向に延出する第1の脚部と第2の脚部を備え、前記第1の脚部及び前記第2の脚部の端部の夫々に前記摺動面が形成されてなる各支持体に支持された各摺動子を形成する工程、
を有することが好ましい。これにより、前記炭素繊維束体をより効果的に所望の形状に形成でき、またその形状をより適切に維持できる。また前記炭素繊維束体を支持連結体に巻き付けた後、前記支持連結体を(e)工程での切断工程により個々の支持体に分断するという簡単な方法で、支持体付き摺動接点を複数個同時に形成できる。
【0022】
また本発明では、前記(d)工程と、前記(e)工程の間に、
(f) 前記炭素繊維束体が支持連結体の表面に巻き付けられた各領域に、樹脂モールドによりホルダ部材を成形する工程、
を有することが、前記炭素繊維束体の形状を、より効果的に維持でき好適であり、また簡単な方法でホルダ付き摺動接点を複数個同時に形成できる。
【0023】
また本発明では、前記(a)工程と、前記(b)工程の間に、
(g) 前記炭素繊維束体を絞り部に通す工程、
を有することが好ましい。このように、炭素繊維束体に樹脂溶液を含浸させた後、乾燥前に、前記炭素繊維束体を絞り部に通して余分な樹脂溶液を除去するとともに、前記炭素繊維束体の断面形状を所定形状に加工することが好適である。
【0024】
また本発明では、樹脂に、トリフェニルグリシジルエーテルメタン(Tri−PGEM)、クレゾールノボラックエポキシ、テトラグリシジルジアミノフェニルメタン(Tet−GDDM)、テトラフェニルグリシジルエーテルエタン(Tet−PGEE)のうち少なくともいずれか1種を用い、また硬化剤としてジアミノジフェニルスルフォン(DDS)、酸無水物、ジシアンジアミド(DICY)のうち少なくともいずれか1種を用いることが好ましい。これによりガラス転移温度Tgを、通常のエポキシ樹脂に比べて高くでき、耐熱性に優れた摺動接点を製造できる。
【0025】
また本発明では、乾燥を、樹脂の重合反応開始温度よりも低い温度で行うことで、折り曲げ工程時の前記炭素繊維束体の柔軟性を効果的に向上させることができ、炭素繊維束体を所定形状により簡単且つ適切に折り曲げることができる。
【0026】
また本発明では、切断を、レーザで行うことが、前記切断面を綺麗に切断でき好適である。
【発明の効果】
【0027】
本発明では、所望の形状に簡単に加工でき、且つその形状を適切に維持することが可能な出力精度に優れた摺動接点を簡単且つ適切に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は、本実施の形態の摺動接点と、第1の導電パターンと第2の導電パターンの斜視図、図2(a)はホルダ部材を外した状態での本実施形態の摺動接点の平面図、図2(b)は、ホルダ部材を付けた状態での本実施形態の摺動接点の平面図、図3は、本実施形態の摺動接点を構成する摺動子の摺動面(切断面)の形態を説明するための前記摺動子の拡大斜視図、図4(a)は、本実施形態の摺動子を裏側から見た斜視図、図4(b)は図4(a)の摺動子の部分側面図、図5(a)は、図4(a)とは異なる形態の本実施形態の摺動子を裏側から見た部分斜視図、図5(b)は、図5(a)の摺動子の部分側面図、図6は、図4及び図5とは異なる形態の本実施形態の摺動子の斜視図、図7は、図4ないし図6とは異なる形態の本実施形態の摺動子の平面図、である。
【0029】
図1に示す摺動接点1は、図2に示すように、摺動子2と、支持体3と、ホルダ部材4を有して構成される。
【0030】
前記摺動子2は、図3に示すように多数本の炭素繊維6の束が樹脂5によって被覆されたものである。樹脂5は隣り合う炭素繊維6間の隙間にも入り込んでいる。前記炭素繊維6には、アクリル樹脂、あるいは、ピッチ(石油等の副生成物)を原料に高温で炭化したものがあるが(前者をPAN、後者をPITCHと言う)、本実施形態では、PAN系の炭素繊維であるほうが好適である。PAN系の炭素繊維のほうが割れにくい等、機械的強度に強く、長寿命を得ることが出来る。
【0031】
前記樹脂5の種類は特に問わないが熱硬化性樹脂であることが好適である。熱硬化性樹脂の中でも、エポキシ樹脂であることが好ましい。具体的には、樹脂5に、トリフェニルグリシジルエーテルメタン(Tri−PGEM)、クレゾールノボラックエポキシ、テトラグリシジルジアミノフェニルメタン(Tet−GDDM)、テトラフェニルグリシジルエーテルエタン(Tet−PGEE)のうち少なくともいずれか1種を用い、また硬化剤としてジアミノジフェニルスルフォン(DDS)、酸無水物、ジシアンジアミド(DICY)のうち少なくともいずれか1種を用いることが好ましい。特に、前記樹脂5は、トリフェニルグリシジルエーテルメタン(Tri−PGEM)、硬化剤はジアミノジフェニルスルフォン(DDS)であることが好適である。Tri−PGEMとDDSは、ガラス転移温度Tgを、通常のエポキシ樹脂に比べて高く、摺動接点1の耐熱性を向上させることが出来る。
【0032】
1000〜10000本程度の炭素繊維6の束が用いられ、また各炭素繊維6の直径は数μm〜数10μmの範囲であることが好適である。
【0033】
前記支持体3は、例えば、金属のフープ材を切断したものである。図2(a)に示すように、前記摺動子2は、前記支持体3の表面に巻き付けられている。前記摺動子2は、例えば図4(a)のように、途中の2箇所で折り返されている。前記摺動子2は例えば図4では、扁平状であり、厚さ方向にて対向する一方の面を第1面、他方を第2面としたとき、前記摺動子2に形成される第1の脚部2cの第1面と、第2の脚部2dの第1面とが、同じ側に向くように折り返されている。なお前記第1の脚部2cの第1面と、前記第2の脚部2dの第1面とが互いに反対方向に向いていてもよい。前記摺動子2は、例えば、図2(a)に示すように、第1の脚部2c及び第2の脚部2dの延出方向に対して、斜めに傾く前記支持体3の両側側面3a,3bを基点として折り返されている。
【0034】
前記第1の脚部2cの先端部2c1及び前記第2の脚部2dの先端部2d1は例えば図4(a)(b)に示すように、所定角度に折り曲げられている。
【0035】
図3に示すように、前記摺動子2の各脚部2c,2dの先端面2c2,2d2は切断面である。このため前記先端面2c2,2d2からは前記樹脂5とともに炭素繊維6の表面が露出している。
【0036】
ホルダ部材4は樹脂モールドにより成形されたものである。前記ホルダ部材4を成形することで、前記摺動子2を前記支持体3の表面に適切に固定することが可能である。また前記ホルダ部材4は絶縁性であり、前記ホルダ部材4の先端面から延出する第1の脚部2cや第2の脚部2d等を除いて、前記摺動接点1表面の絶縁性を向上させることが可能である。また、前記ホルダ部材4を設けることで機器側へ前記摺動接点1を取り付けやすくなる。
【0037】
図2(a)に示すように、前記支持体3の中央部には、貫通孔3cが形成されている。前記貫通孔3cは前記摺動子2と厚さ方向にて重ならない位置に形成されている。
【0038】
図2(b)に示すように、前記ホルダ部材4の中央にも貫通孔4aが形成され、前記貫通孔4aは前記支持体3に形成された貫通孔3cと同様に前記摺動子2と厚さ方向にて重ならない位置に形成されている。そして図2(b)に示すように、ホルダ部材4に形成された貫通孔4aと前記支持体3に形成された貫通孔3cは厚さ方向にて重なる位置に形成されている。よって、前記摺動接点1には摺動子2からずれた位置に、前記貫通孔3c,4aを合わせてなる機器側への取り付け孔を設けることができる。
【0039】
図1に示す第1の導電パターン10は抵抗体で、前記第2の導電パターン11は良導電体から成る。前記第1の導電パターン10は、例えば、カーボンブラックあるいはカーボンファイバと、カーボンナノチューブと、熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂やエポキシ樹脂を有する抵抗体塗膜により形成される。前記第2の導電パターン11は、例えば銀粉と熱硬化性樹脂を有する導電塗膜により形成される。
【0040】
図1に示す本実施形態の摺動接点1では、前記第1の脚部2c及び前記第2の脚部2dが前記導電パターン10,11上を相対的に摺動する。このとき、第1の脚部2cの摺動位置に応じて、第1の導電パターン10に印加されている入力電圧が分圧され、前記第2の導電パターン11に接続されている出力端子12から出力される電圧を測定することで、前記摺動接点1の位置を検出することが出来る。摺動接点1が移動側で、前記導電パターン10,11が形成された基板が固定される形態でもよいし、あるいは、前記導電パターン10,11が形成された基板が移動側で、摺動接点1が固定される形態でもよい。
【0041】
図1に示す形態では、前記第1の導電パターン10,及び前記第2の導電パターン11を一定の幅寸法で形成された真っ直ぐな帯状で形成しているが、前記第1の導電パターン10,第2の導電パターン11の形態を限定するものではない。例えば、前記第1の導電パターン10及び前記第2の導電パターン11は、リング状で形成され、これにより回転センサを構成できる。
【0042】
本実施形態の摺動接点1の特徴的部分について以下に説明する。
本実施形態では、摺動子2は、多数本の炭素繊維6の束が樹脂5により被覆された構成となっている。前記樹脂5は、隣り合う炭素繊維6の間にも充填されており、各炭素繊維6同士が樹脂5により接合されている。
【0043】
前記摺動子2は、第1の脚部2cと第2の脚部2dの二股に分かれ、各脚部2c,2dの先端面2c2,2d2は例えばレーザによって切断された切断面であり、図3に示すように先端面2c2,2d2には、樹脂5とともに前記炭素繊維6の表面が露出している。そして本実施形態では、切断された前記先端面2c2,2d2を摺動面としている。
【0044】
このように本実施形態では、前記脚部2c,2dの先端まで樹脂5が前記炭素繊維6の束を被覆しているため、図1に示す脚部2c,2dを前記導電パターン10,11上にて、正逆方向に摺動を繰り返したときに、同一位置での出力に差が生じるヒステリシスを従来に比べて低減させることが出来る。
【0045】
しかも、前記樹脂5が前記炭素繊維6の束の先端部まで覆っているので、摺動接点1を導電パターン10,11上で摺動させたときに、仮に一部の前記炭素繊維6の先端部分が折れても、折れた前記炭素繊維6が導電パターン10,11上に落ちる可能性が低くなり、たとえば前記炭素繊維6が導電パターン10,11間をショートさせる不具合を適切に抑制できる。
【0046】
そして本実施形態では、切断されて前記炭素繊維6が露出した前記先端面2c2,2d2を摺動面として使用するので、前記脚部2c,2dと前記導電パターン10,11間の導通性を効果的に向上させることが出来る。
【0047】
特に先端面(摺動面)2c2,2d2を例えばレーザによって切断して形成するので、前記先端面2c2,2d2に露出する各炭素繊維6の表面の高低差を小さくでき、前記先端面2c2,2d2の平坦性を向上させることが出来るため、前記脚部2c,2dと前記導電パターン10,11間の導通性を効果的に向上させることが出来る。
【0048】
以上により本実施形態の摺動接点1によれば、従来に比べてヒステリシスを小さくできる等、出力精度を効果的に向上させることが可能である。
【0049】
なお、例えば図6では、断面が円形状である摺動子15を湾曲加工してU字状に形成しているが、長い棒状の摺動子15を両側から中央方向に向けて折り曲げた場合、前記摺動子15に形成された第1の脚部15aと第2の脚部15bの断面積がばらつきやすい。
【0050】
一方、図4では、摺動子2を細長い扁平状で形成し、前記摺動子2を折り返して、前記摺動子2に第1の脚部2cと第2の脚部2dを形成している。これにより、前記第1の脚部2cと前記第2の脚部2dの幅寸法T1を一定の同じ寸法に保ち、さらに前記第1の脚部2cと前記第2の脚部2dの厚み寸法H1を一定の同じ寸法に保ちやすい(図3参照)。
【0051】
また、図1に示すように、ホルダ部材4から延出する第1の脚部2cの長さ寸法L1と前記第2の脚部2dの長さ寸法L2を同じ長さ寸法に調整する。
【0052】
以上のように、前記摺動子2の第1の脚部2cと第2の脚部2dの断面積を一定の同じ大きさで形成し、第1の脚部2cと第2の脚部2dの長さ寸法L1,L2を同じ長さに形成することで、前記第1の脚部2cと第2の脚部2dのばね定数を同じにでき、より効果的に出力精度を向上させることが可能である。
【0053】
また図3や図4に示す実施形態では、前記第1の脚部2c及び第2の脚部2dの先端面2c2,2d2は、幅方向及び厚さ方向から成る断面と平行な面方向にて切断されている。ここで幅方向、及び厚さ方向とは、前記摺動子2を折り曲げ加工等せず、真っ直ぐに延ばした状態において、図3に示すX方向を幅方向、Y方向を長さ方向、Z方向を厚さ方向とするものであり、各方向は残り2つの方向に対して直交する関係となっている。
【0054】
図4に示す形態では、前記第1の脚部2c及び第2の脚部2dの先端部2c1,2d1を下方へ折り曲げて形成し、前記先端部2c1,2d1は前記導電パターン10,11上に垂直に当接するが、前記先端部2c1,2d1以外の前記脚部2c,2dの部分は、前記導電パターン10,11の表面に対して垂直方向から斜めに傾いている。このように、前記脚部2c,2dを前記導電パターン10,11の表面に対して斜めに傾けることで、前記脚部2c,2d全体を、前記導電パターン10,11の表面に対して垂直方向から当接させる場合に比べて、前記先端面2c2,2d2から前記導電パターン10,11上にかかる荷重を弱めることができ、効果的に、ヒステリシスを低減できる。
【0055】
また、図5に示す実施形態では、幅方向(X方向)及び厚さ方向(Z方向)から成る断面Aに対して前記先端面2c3,2d3を斜めに切断している。これにより、前記先端面2c3,2d3での前記導電パターン10,11への接触面積を広くでき、また上記したように、前記脚部2c,2dの部分は、前記導電パターン10,11に対して垂直方向から斜めに傾いているので、効果的にヒステリシスを低減でき、出力精度をより向上させることが可能である。
【0056】
なお前記摺動子2,15の形状は図4〜図6に示すものに限定されるものではない。例えば図4,図5では、摺動子2を2箇所折り返して、第1の脚部2cと第2の脚部2を形成しているが、図7のように1箇所のみ折り返して、第1の脚部2cと第2の脚部2dを形成してもよいし、また図4及び図5では、折り返し部分2a,2bでのどちらか一方の折り返す向きを変えてもよい。また前記摺動子2,15の断面形状は矩形状、円状以外に楕円状等であってもよい。
【0057】
本実施形態では、例えば、図2に示す支持体3やホルダ部材4を設けず、摺動子2,15のみで摺動接点1を構成してもよいが、図2(a)に示すように支持体3を設け、前記摺動子2を前記支持体3の表面に巻き付けることで、前記摺動子2を所定形状に形成しやすく、また安定して摺動子2を支持することが出来る。また支持体3には両側端面3a,3bが形成されており、前記両側端面3a,3bを基点とすることで前記摺動子2を折り返して所定形状に形成しやすい。また支持体3に貫通孔3cを設け、前記貫通孔3cを機器側の取り付け孔として用いることで、機器側への取り付け構成を簡単な構成とすることが可能である。
【0058】
さらに図2(b)に示すように、モールド樹脂によりなるホルダ部材4を、前記第1の脚部2c及び第2の脚部2dの先端部側を除いて、支持体3及び摺動子2の表面を覆うことで、前記摺動子2及び前記支持体を安定して固定でき、また出力精度を効果的に向上させることが可能である。
【0059】
また図2(b)に示すように前記ホルダ部材4には前記支持体3に形成された貫通孔3cと厚さ方向にて重なる位置に貫通孔4aが形成されているので、前記貫通孔3c,4aを合わせて機器側への取り付け孔にでき、機器側への取り付け構成を簡単な構成にすることが出来る。
【0060】
また、上記に説明した摺動接点1には、第1の脚部2cと第2の脚部2dが設けられていたが、前記摺動接点1には、一本の脚部のみを備える摺動子が設けられ、各摺動子を組み合わせて使用してもよい。ただし、1つの摺動接点1の両側に、2つの脚部2c,2dが形成されるように二股形状とすることが摺動接点1の構成を簡単にできまた製造コストも低減でき好適である。
【0061】
図8は、本実施形態の摺動接点1の製造方法を説明するための一連の工程図である。
図8(a)では、例えば1000〜10000本の炭素繊維が束となった炭素繊維束体21がボビン20に巻回されている。
【0062】
図8(b)の工程では、前記ボビン20から引き出した前記炭素繊維束体21に、樹脂溶液23を含浸させる。前記樹脂溶液23に占める固形成分の濃度は例えば20wt%〜70wt%である。また、前記樹脂溶液23は熱熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。具体的には、トリフェニルグリシジルエーテルメタン(Tri−PGEM)、クレゾールノボラックエポキシ、テトラグリシジルジアミノフェニルメタン(Tet−GDDM)、テトラフェニルグリシジルエーテルエタン(Tet−PGEE)のうち少なくともいずれか1種を用いることが好ましい。とりわけ、トリフェニルグリシジルエーテルメタン(Tri−PGEM)を含むことがガラス転移温度Tgを300℃程度にまで高くでき、耐熱性に優れた摺動接点1を製造でき好適である。また前記樹脂溶液23には、例えば硬化剤としてジアミノジフェニルスルフォン(3-3`-DDSや4-4'-DDS)、酸無水物、ジシアンジアミド(DICY)のうち少なくともいずれか1種を含み、さらに溶剤には例えばカルビトールアセテートを用いている。硬化剤や溶剤は上記のものに限定されない。
【0063】
前記炭素繊維束体21に樹脂溶液23を含浸させた後、前記炭素繊維束体21を絞り部24に通す。前記絞り部24には、例えば幅寸法のほうが厚さ寸法よりも大きい矩形状の開口部が形成されており、その開口部内に前記炭素繊維束体21を通す。すると余分な樹脂溶液23が記炭素繊維束体21から落ちるとともに、前記炭素繊維束体21が扁平形状となる。
【0064】
続いて図8(c)の工程では、前記炭素繊維束体21を、乾燥機25に入れる。乾燥温度は、前記炭素繊維束体21の表面全体に付着している樹脂の重合反応開始温度よりも低い温度で行うことが好適である。樹脂に、トリフェリルグリシジルエーテルメタン(Tri−PGEM)を使用したとき、重合反応開始温度は概ね200℃であるため、例えば乾燥温度を100℃〜125℃の範囲とし、乾燥時間を数十秒から数分程度とする。この乾燥工程で、樹脂溶液23に含まれる溶剤を蒸発させることが出来る。
【0065】
次に図8(d)に示す工程では、前記炭素繊維束体21を、冷却機26の内部に設けられたボビン27に巻き取る。前記冷却機26の内部の温度を例えば20℃以下とし、湿度を20%以下に設定しておく。
【0066】
続いて、図8(e)に示す工程では、前記冷却機26から前記炭素繊維束体21を引き出す。
【0067】
次に、図8(f)に示す工程では、複数の支持体3が連結して一体化された金属のフープ材(支持連結体)28を用意する。そして、前記炭素繊維束体21を前記フープ材28の表面に巻き付ける。図8(f)に示すように、扁平状の炭素繊維束体21を、前記フープ材28の最終的に個々の支持体となる部分の両側端面3a,3bで、前記フープ材28の表側、裏側に交互に折り返して、前記炭素繊維束体21を前記フープ材28に巻き付ける。
【0068】
図8(f)工程では、前記炭素繊維束体21を所定形状に適切に折り曲げることが可能である。これは、前記図8(c)の乾燥工程では、樹脂は硬化されていないためである。
【0069】
次に、加熱処理を行って樹脂を硬化させる。前記加熱温度は、前記乾燥温度よりも高い。例えば加熱温度を150℃〜280℃とし、加熱時間を数十分に調整する。また赤外線を照射することで処理時間を短縮してもよい。
【0070】
次に、図8(g)に示す工程では、樹脂モールドによりホルダ部材4を、前記炭素繊維束体21が前記フープ材28の表面に巻き付けられた最終的に支持体3として残される各領域に成形する。例えば、図示しない金型の位置合わせを、フープ材28に形成された貫通孔3cを基準にして行い、前記金型内に溶融樹脂を流し込み、このとき、各ホルダ部材4に、前記フープ材28に形成された貫通孔3cと厚さ方向にて重なる位置に貫通孔4aを形成する。
【0071】
次に図8(h)に示す工程では、前記フープ材28とともに炭素繊維束体21をB−B線に沿って切断する。例えばレーザで切断すると、簡単に切断できるとともに綺麗に切断面を形成でき好適である。
【0072】
図8(h)に示す工程では、さらに図に示す点線部分のフープ材28を切断し、前記フープ材28を個々の支持体3に分断する。
【0073】
図8(h)に示す工程では、フープ材28とともに炭素繊維束体21を同じ工程内で切断するため、製造工程を容易化でき、また製造時間を短縮することが出来る。
【0074】
図8(i)が完成した摺動接点1の平面図である。図8に示す一連の製造工程では、前記摺動接点1を複数個、同時に製造することが可能である。
【0075】
図9には、支持体3やホルダ部材4を設けず摺動子のみで構成される摺動接点を製造するための一連の製造工程が示されている。
【0076】
図9(a)〜図9(e)までは、図8(a)〜(e)と同じである。図9(f)では成形型30を用意する。図9(f)に示すように、前記成形型30は、例えば、横方向に所定間隔を空けて並設された複数本(図9では5本)の縦棒31と、縦棒31に対して交差する横棒32とで構成されている。前記横棒32は、縦方向に所定間隔を空けて複数本(図9では2本)並設されていることが好ましいが、例えば断面が凹形状であれば一つの横棒32だけでも足りる。凹部の部分を炭素繊維束体21を切断するための切断領域にできる。
【0077】
図9(f)に示すように、表面全体に樹脂が付着している炭素繊維束体21を、前記成形型30に巻き付ける。図9(f)に示すように、前記炭素繊維束体21を、前記成形型30の縦棒31の表面に半周程度、巻き付け、2本の横棒32上を横切って、隣の縦棒31の表面に半周程度、巻き付け、これを繰り返す。
【0078】
次に、図8で説明した加熱処理を行って樹脂を硬化させる。続いて、図9(f)に示す例えばC−C線に沿って、前記炭素繊維束体21を切断すると、摺動子のみからなる摺動接点を複数個同時に形成することが出来る。
【0079】
図8及び図9で説明した本実施形態の摺動接点の製造方法では、炭素繊維束体21に樹脂溶液23を含浸させた後、乾燥する。続いて、前記炭素繊維束体21を所定形状に折り曲げ、続いて、加熱処理にて前記炭素繊維束体21の表面全体に付着している樹脂を硬化し、最後に、前記炭素繊維束体21を切断している。
【0080】
上記の製造方法では、炭素繊維束体21に付着している樹脂溶液23を乾燥してから、炭素繊維束体21を折り曲げるので、折り曲げ工程では、前記炭素繊維束体21は柔軟性を有しており、炭素繊維束体21を所定形状に簡単且つ適切に折り曲げることができる。また、炭素繊維束体21の折り曲げ工程時に、樹脂が流動しにくく、炭素繊維束体21の表面全体を樹脂にて適切に覆うことができる。
【0081】
そして、折り曲げ工程後、加熱処理を行い、樹脂を硬化させた後に切断を行うので、前記炭素繊維束体21の形状を適切に維持できるとともに、切断を容易に且つ適切に行うことができ、綺麗な切断面を形成することが出来る。さらに上記の製造方法では、複数個の摺動接点1を同時に形成することが可能である。
【0082】
また本実施形態の摺動接点1の製造方法では、図3に示すように、摺動子2の先端部まで前記炭素繊維6の束を樹脂5にて被覆でき、炭素繊維6が露出する切断面を摺動面とすることで、従来に比べてヒステリシスが生じにくい等、出力精度を向上させることができる。
【0083】
以上により、所望の形状に簡単に加工でき、且つその形状を適切に維持することが可能な出力精度に優れた摺動接点1を簡単且つ適切に製造できる。
【0084】
また図8及び図9に示す製造工程に示すように、炭素繊維束体21に樹脂溶液23を含浸させた後、乾燥前に、前記炭素繊維束体21を絞り部24に通して余分な樹脂溶液23を除去するとともに、前記炭素繊維束体21の断面形状を所定形状に、例えば扁平状に加工することが好適である。乾燥後に絞り部24を通すと、前記炭素繊維束体21の断面を所定の形状に変形させにくくなり、また乾燥後の樹脂が炭素繊維束体21から削げ落ちやすく、さらに、乾燥機25まで炭素繊維束体21を送るまでの間に余分な樹脂溶液23が滴ることがある。よって乾燥前に、前記炭素繊維束体21を絞り部24に通すことが好適である。
【0085】
また図8(f)に示す工程では、炭素繊維束体21をフープ材28に巻き付け、図8(h)工程の同じ工程時に、前記炭素繊維束体21とともに、前記フープ材28を切断している。よって、切断を簡単に行うことが可能であり、また摺動子2が支持体3に支持された摺動接点を複数個同時に形成することができる。また図8に示す製造工程によれば、前記支持体3から離れる方向に第1の脚部2cと第2の脚部2dを備え、第1の脚部2c及び第2の脚部2dの端部の夫々に切断による摺動面が形成されて成る前記支持体3に支持された前記摺動子2を簡単且つ適切に形成することが可能である。また図8(f)に示すように、フープ材28の各支持体3の両側端面3a,3bを基点とすることで前記炭素繊維束体21を折り返しやすい。
【0086】
図8(g)工程を行わずホルダ部材4を成形しない場合には、図8(f)工程で、前記炭素繊維束体21と前記フープ材28とを接着剤等で接着しておくことが好適である。接着剤が熱硬化型である場合には、図8(f)後に行う加熱処理で前記炭素繊維束体21に付着した樹脂とともに前記接着剤を熱硬化させることが出来る。
【0087】
本実施形態の摺動接点1は、自動車のセンサ用の摺動用途のみならず、スイッチ(入力センサ)、ロータリーエンコーダ(角度センサ)等の広い意味でのセンサとして各種用途に適用可能である。
【実施例】
【0088】
図10(a)(b)の夫々に示す右上の摺動子を有する摺動接点を用いた回転センサにて、マイクログラディエント評価を行った。
【0089】
マイクログラディエントは、リニアリティを微小区間で規定した規格のことで、図11に示すように、理想直線Pからの出力変動量として表される。図10に示す縦軸の「Output(%)」は、(出力変動量/理想出力)×100(%)で示され、「Output(%)」が0%に近いほど出力は理想直線P上に近づいており、出力精度が向上していることを意味している。
【0090】
図10(a)は、本実施例であり、多数の炭素繊維の束体の表面を樹脂で被覆した摺動子の端部を切断し、その切断面を摺動面とした形態である。図10(b)は、比較例であり、多数の炭素繊維の束体の表面を樹脂で被覆した摺動子をU字状に折り曲げ、U字の底面(切断加工はしていない)を摺動面とした形態である。
【0091】
図10(a)及び図10(b)に示すように本実施例のほうが、比較例に比べて、マイクログラディエントが高精度、すなわちリアリティに優れ出力精度が向上していることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本実施の形態の摺動接点と、第1の導電パターンと第2の導電パターンの斜視図、
【図2】(a)はホルダ部材を外した状態での本実施形態の摺動接点の平面図、(b)は、ホルダ部材を付けた状態での本実施形態の摺動接点の平面図、
【図3】本実施形態の摺動接点を構成する摺動子の摺動面(切断面)の形態を説明するための前記摺動子の拡大斜視図、
【図4】(a)は、本実施形態の摺動子を裏側から見た斜視図、(b)は図4(a)の摺動子の部分側面図、
【図5】(a)は、図4(a)とは異なる形態の本実施形態の摺動子を裏側から見た部分斜視図、(b)は、図5(a)の摺動子の部分側面図、
【図6】図4及び図5とは異なる形態の本実施形態の摺動子の斜視図、
【図7】図4ないし図6とは異なる形態の本実施形態の摺動子の平面図、
【図8】本実施形態の摺動接点の製造方法を説明するための一連の工程図、
【図9】図8とは異なる本実施形態の摺動接点の製造方法を説明するための一連の工程図、
【図10】実施例及び比較例のマイクログラディエント特性のグラフ、
【図11】マイクログラディエントの説明図、
【符号の説明】
【0093】
1 摺動接点
2、15 摺動子
2c、15a 第1の脚部
2d、15b 第2の脚部
2c2、2d2 先端面(摺動面)
3 支持体
4 ホルダ部材
5 樹脂
6 炭素繊維
10 第1の導電パターン
11 第2の導電パターン
20、27 ボビン
21 炭素繊維束体
23 樹脂溶液
24 絞り部
25 乾燥機
26 冷却機
28 フープ材
30 成形型
31 縦棒
32 横棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程により製造したことを特徴とする摺動接点の製造方法。
(a) 炭素繊維束体に樹脂溶液を含浸させる工程、
(b) 前記炭素繊維束体に付着している前記樹脂溶液を乾燥させる工程、
(c) 前記炭素繊維束体を所定形状に折り曲げる工程、
(d) 加熱処理を行って前記炭素繊維束体に付着している樹脂を硬化させる工程、
(e) 前記炭素繊維束体を切断することにより、前記樹脂とともに炭素繊維が露出した切断面を摺動面とする摺動子を複数形成する工程。
【請求項2】
前記(c)工程のとき、前記炭素繊維束体を、複数の支持体が連結されて成る支持連結体の表面に巻き付け、
前記(e)のときに、前記炭素繊維束体及び前記支持連結体を切断することにより、前記支持連結体を個々の支持体に分断するとともに、各支持体から離れる方向に延出する第1の脚部と第2の脚部を備え、前記第1の脚部及び前記第2の脚部の端部の夫々に前記摺動面が形成されてなる各支持体に支持された各摺動子を形成する工程、
を有する請求項1記載の摺動接点の製造方法。
【請求項3】
前記(d)工程と、前記(e)工程の間に、
(f) 前記炭素繊維束体が支持連結体の表面に巻き付けられた各領域に、樹脂モールドによりホルダ部材を成形する工程、
を有する請求項2記載の摺動接点の製造方法。
【請求項4】
前記(a)工程と、前記(b)工程の間に、
(g) 前記炭素繊維束体を絞り部に通す工程、
を有する請求項1ないし3のいずれかに記載の摺動接点の製造方法。
【請求項5】
樹脂に、トリフェニルグリシジルエーテルメタン(Tri−PGEM)、クレゾールノボラックエポキシ、テトラグリシジルジアミノフェニルメタン(Tet−GDDM)、テトラフェニルグリシジルエーテルエタン(Tet−PGEE)のうち少なくともいずれか1種を用い、また硬化剤としてジアミノジフェニルスルフォン(DDS)、酸無水物、ジシアンジアミド(DICY)のうち少なくともいずれか1種を用いる請求項1ないし4のいずれかに記載の摺動接点の製造方法。
【請求項6】
乾燥を、樹脂の重合反応開始温度よりも低い温度で行う請求項1ないし5のいずれかに記載の摺動接点の製造方法。
【請求項7】
切断を、レーザで行う請求項1ないし6のいずれかに記載の摺動接点の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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