説明

撮像システム

【課題】撮像素子の試料に対する相対移動の影響を低減化した画像を得る。
【解決手段】顕微鏡用撮像装置100は撮像素子107、ドライバ108、画像処理部110を有する。撮像素子107は撮像画像を撮像する。ドライバ108は第1の撮像モードでは第1の撮像を撮像素子107に実行させる。ドライバ108は第2の撮像モードでは第2の撮像を撮像素子107に実行させる。画像処理部110は第1の撮像により得られた撮像画像によって相対振動の位相を検出する。相対振動は試料に対する撮像素子の相対的な振動である。画像処理部110は検出された位相に基づいて第2の撮像の実行時期を決定する。画像処理部110は第2の撮像により撮像素子に生成される画像信号に基づいて観察画像を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像システムに関し、特に、顕微鏡のように、試料に対して固定された位置から試料を観察する観察装置に装着して、試料の画像を撮像する撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光学顕微鏡の結像位置に撮像素子を配置した顕微鏡用電子撮像装置が知られている。顕微鏡用電子撮像装置を用いることにより、対象標本の拡大化画像をモニタに表示して複数の観察者が観察することが可能であり、また、拡大化画像を電子データとして記憶することにより後にモニタに表示して観察することも可能である。
【0003】
光学顕微鏡の光学系の周波数特性は優れているので、撮像素子の画素を微細化することにより観察する画像の鮮鋭度を向上させることが可能である。しかし、画素の微細化が進むと露光中の試料に対する撮像素子の相対移動の影響が大きくなるので、鮮鋭度の向上効果が打消され得る。それゆえ、鮮鋭度の向上効果を維持するためには、相対移動の影響を低減化することが必要である。
【0004】
光学顕微鏡では、光学系は鏡筒を介して鏡柱に支持される。鏡柱は、光学系を正確な位置に強固に支持するために、硬性部材により形成される。しかし、固有振動数に応じた微小な振動は発生し得る。
【0005】
このような微小な振動を抑制するには、鏡柱や鏡台などの機械的強度を高めることが考えられる。しかし、機械的強度を高めることにより、光学顕微鏡の大型化や製造コストが増加していた。
【0006】
一方、相対移動の影響を低減化するために、撮像素子を変位させながら複数の画像を撮像する電子撮像装置において、撮像素子の変位動作中の露光を停止させることが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−015341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の記載においては撮像素子を変位させる変位手段が設けられており、意図的に撮像素子が変位させられる。それゆえ、変位動作中の露光を停止する制御は容易である。一方、固定した撮像素子の微小振動の影響の低減化に適用することは出来ない。
【0009】
従って、上記のような問題点に鑑みてなされた本発明では、試料及び光学系の一方が支持される観察装置の光学系によって結像される画像において撮像素子の試料に対する相対移動の影響を低減化させる撮像システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した諸課題を解決すべく、本発明による撮像システムは、
試料に対して位置が固定された光学系によって結像される試料の画像を撮像画像として撮像する撮像素子と、
第1の撮像モードでは試料に対する撮像素子の相対的な振動である相対振動の位相を検出するための第1の撮像を撮像素子に実行させ、第1の撮像モードと異なる第2の撮像モードでは試料の観察に用いるための第2の撮像を撮像素子に実行させる撮像素子駆動部と、
第1の撮像により得られた撮像画像によって位相を検出し、検出された位相に基づいて第2の撮像モードにおける第2の撮像の実行時期を決定し、第2の撮像により撮像素子により生成される画像信号に基づいて試料の観察に用いるための観察画像を作成する画像処理部とを備える
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成された本発明に係る撮像システムによれば、第1の撮像により得られた撮像画像により位相が検出され、検出した位相に基づいて最適な時期を第2の撮像の実行時期に定めるので、撮像素子の試料に対する相対移動の影響を低減化させた画像を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る撮像システムを適用した顕微鏡用撮像装置を含む顕微鏡システムの概略構成を示す構成図である。
【図2】顕微鏡用撮像装置の内部構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】対物レンズの光軸の振動による軌跡を示す図である。
【図4】第1の撮像モード及び第2の撮像モードにおける撮像素子の露光制御とLEDの発光制御を示すタイミングチャートである。
【図5】第1の撮像モード及び第2の撮像モードにおいて撮像に用いる読出し領域を説明するための撮像素子の受光面の平面図である。
【図6】第1の実施形態の画像処理部の内部構成を概略的に示すブロック図である。
【図7】行エッジフィルタと列エッジフィルタを示す図である。
【図8】時間に対するエッジ数の変化の関係を、時間に対する光学顕微鏡固有の振動速度の関係とともに示すグラフである。
【図9】各フレームの第1モード画像信号の生成時期における行方向のエッジ数と列方向のエッジ数の分布図である。
【図10】時間に対する行方向及び列方向のエッジ数の変化曲線を示すグラフである。
【図11】位相が互いに180度異なる行画像の座標変換を説明するための図である。
【図12】正及び負の行画像と、正及び負の列画像とに基づいて設定される観察可能領域を説明するための図である。
【図13】第1の実施形態においてプロセッサにより実行される観察制御を説明するためのフローチャートである。
【図14】第2の実施形態の画像処理部の内部構成を概略的に示すブロック図である。
【図15】第2の実施形態においてプロセッサにより実行される観察制御を説明するためのフローチャートである。
【図16】変形例における行エッジフィルタと列エッジフィルタを示す図である。
【図17】第1の撮像モードにおいて定められる読出し領域の変形例を説明するための撮像素子の受光面の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した撮像システムを適用した顕微鏡用撮像装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る撮像システムを適用した顕微鏡用撮像装置を含む顕微鏡システムの概略構成を示す構成図である。
【0015】
顕微鏡システム1は、顕微鏡用撮像装置100(撮像システム)、光学顕微鏡200(観察機器)、及びモニタ2によって構成される。
【0016】
顕微鏡用撮像装置100は、撮像ユニット101、光源ユニット102、及びプロセッサ103を含んで構成される。撮像ユニット101及び光源ユニット102は、後に説明するように光学顕微鏡200に着脱自在に結合される。
【0017】
光源ユニット102により光学顕微鏡200の対象標本S(試料)に照明光が照射される。対象標本Sの拡大画像は光学顕微鏡200によって目視観察可能である。また、撮像ユニット101は対象標本Sを撮像可能である。撮像した画像はプロセッサ103に送信され、所定の画像処理が施される。画像処理の施された画像がモニタ2に表示される。
【0018】
次に、光学顕微鏡200の構成について、説明する。光学顕微鏡200は、ステージ201、顕微鏡本体202、及び鏡筒203(支持体)を含んで構成される。ステージ201には、対象標本S(試料)を載置可能である。顕微鏡本体202は側面視略コの字状に形成され、ステージ201を支持するとともにレボルバ204を介して対物レンズ205を保持する。鏡筒203は顕微鏡本体202の上部に載置される。
【0019】
レボルバ204は顕微鏡本体202に対して回動自在に保持され、対物レンズ205を対象標本Sの上方に配置する。対物レンズ205は、レボルバ204に対して倍率(観察倍率)の異なる他の対物レンズ205とともに交換自在に装着される。レボルバ204の回転に応じて観察光の光路上に挿入されることにより、対象標本Sの観察に用いる対物レンズ205が択一的に切り換えられる。
【0020】
顕微鏡本体202の底部後方に、光源ユニット102を着脱自在に結合可能である。顕微鏡本体202は、照明光学系206を内接している。照明光学系206は、コレクタレンズ207及び折曲げミラー208を含んで構成される。
【0021】
コレクタレンズ207により光源ユニット102から射出された照明光が集光される。折り曲げミラー208は、照明光の光路を対物レンズ205の光軸に沿って偏向させる。光源ユニット102から射出された照明光は、照明光学系206によって対象標本Sに照射され、その透過光が観察光として対物レンズ205に入射する。
【0022】
鏡筒203には、対象標本Sの標本像を目視観察するための双眼部209が取付けられる。また、鏡筒203には、撮像ユニット101を着脱自在に結合可能である。また、鏡筒203は、ビームスプリッタ210を内接する。ビームスプリッタ210により、観察光の光路が切換えられ、観察光は双眼部209または撮像ユニット101へ導かれる。
【0023】
対象標本Sの標本像はビームスプリッタ210によって双眼部209内に導入され、検鏡者に目視観察される。あるいは、標本像はビームスプリッタ210によって撮像ユニット101に導入され、撮像ユニット101により撮像される。
【0024】
次に、顕微鏡用撮像装置100の構成について、図2を用いて説明する。前述のように、顕微鏡用撮像装置100は、撮像ユニット101、光源ユニット102、及びプロセッサ103を含んで構成される。
【0025】
前述のように、鏡筒203は微小に振動する。そこで、後に詳細に説明するように、顕微鏡用撮像装置100では、微小な振動の観察画像への影響、すなわち、微小振動によるブレを低減化させた画像である観察画像が作成される。
【0026】
対物レンズ205は光学顕微鏡200の固有振動数に応じた振動により、図3における光軸の変位の軌跡に示すように、行方向(第1の方向)及び列方向(第2の方向)に実質的に固有振動数で振動する。後述するように対物レンズ205は撮像ユニット101に設けられる撮像素子(図1〜図3に図示せず)に結合される。撮像素子は対物レンズ205の光軸と一体的に円状または楕円状に変位する。顕微鏡用撮像装置100では、2方向の振動における時間と位相の関係を検出し、それぞれの振動の速度が低いときに撮像を行うことにより、特定の方向へのブレの影響の低い画像を撮像可能である。
【0027】
顕微鏡用撮像装置100には、振動の位相と時間との関係を検出するための第1の撮像モードと、特定の方向へのブレの影響の低い画像を撮像及び撮像した画像に基づく対象標本Sの観察のために観察画像を作成するための第2の撮像モードとが、設けられる。
【0028】
顕微鏡用撮像装置100を用いた対象標本Sの観察を開始すると、最初に第1の撮像モードにより顕微鏡用撮像装置100の各部位は制御され、振動の位相と時間との関係が検出される。位相と時間との関係の検出後、第2の撮像モードにより顕微鏡用撮像装置100の各部位は制御され、対象標本Sの観察が可能となる。
【0029】
光源ユニット102には、LED104(光源)、ドライバ105(光源制御部)が設けられる(図2参照)。LED104はドライバ105により発光動作が制御される。例えば、LED014からの出射光の光量や、発光と消灯の切替がドライバ105により制御される。なお、ドライバ105は、プロセッサ103に設けられるタイミングコントローラ106から送信されるクロック信号などに基づいて、LED104を制御する。
【0030】
図4(a)に示すように、第1の撮像モードにおいては、撮像ユニット101に設けられる撮像素子107の露光期間内で、露光期間p1より短い時間p2にLED104に照明光を出射させる。また、第1の撮像モードにおいては、第2の撮像モードに比べて出射光量が高くなるように、LED104は駆動される。
【0031】
第1の撮像モードでは、ブレの少ない方向と大きな方向とを明確に判別するために、ブレの少ない方向に関しては鮮明な画像が撮影されることが求められる。それゆえ、照明光の出射期間を露光期間より短くすることにより、少なくとも一方向には鮮明な画像が撮像され得る。また、出射時間の短期化による光量不足は、出射光量を高くすることにより補償される。
【0032】
一方、第2の撮像モードにおいては、図4(b)に示すように、撮像素子107の露光期間p3と合致するように、LED104に照明光を出射させる(符号“p4”参照)。第2の撮像モードで撮像された画像は観察画像の作成に用いられるので、露光期間中に十分な光量の光によって対象標本Sを照明することが求められる。それゆえ、第2の撮像モードにおいては、露光期間中と合致する期間に、LED104から照明光が出射される。
【0033】
撮像ユニット101には、CMOS撮像素子107、ドライバ108(撮像素子駆動部)、及び処理回路109が設けられる(図2参照)。撮像ユニット101を鏡筒203に結合させると、対象標本の標本像はCMOS撮像素子107の受光面に結像する。ドライバ108の制御によりCMOS撮像素子107は対象標本Sの光学像に応じた画像信号を生成する。
【0034】
なお、ドライバ108は、タイミングコントローラ106から送信されるクロック信号などに基づいて、CMOS撮像素子107の撮像動作を制御する。画像信号は処理回路109に送信され、CDS/SH処理やA/D変換処理が施される。A/D変換処理が施された画像信号は、プロセッサ103に送信される。
【0035】
なお、撮像素子107の受光面には、行列状に複数の画素(図示せず)が配置される。画素毎に受光量に応じた電気信号である画素信号が生成される。同じフレームの複数の画素信号により1フレームの画像信号が構成される。
【0036】
なお、後述するように、第1の撮像モードでは撮像時期毎の位相を検出するために、所定の周期で、複数のフレームの画像が撮像される(図4(a)参照)。なお、光学顕微鏡107の固有振動数が予め測定されており、固有振動数に相当する周期よりも短い周期が、所定の周期に定められる。
【0037】
また、第1の撮像モードでは、受光可能な画像全体を撮像する必要は無いので、図5に示すように、撮像素子107の受光面RSの中央近傍の一部の領域(符号“CA”参照)が読出し領域に定められ、読出し領域に結像される画像の画像信号が第1モード画像信号として生成される。
【0038】
一方、第2の撮像モードでは、後述するように、第1の撮像モードにおいて検出された時間と位相との関係に基づいて定められる撮像時期に、画像が撮像される。なお、第1の撮像モードと異なり、観察画像を作成するために撮像される画像なので、撮像素子107の受光面RS全体が読出し領域に定められ、読出し領域に結像される画像の画像信号が第2モード画像信号として生成される。
【0039】
プロセッサ103には、タイミングコントローラ106、画像処理部110、及びシステムコントローラ111などが設けられる(図2参照)。
【0040】
前述のように、タイミングコントローラ106は、ドライバ105及びドライバ108にクロック信号などの時間の基準信号、及び動作のタイミングの制御に必要な信号を送信する。また、タイミングコントローラ106は、画像処理部110にも、クロック信号などの時間の基準信号及び動作のタイミングの制御に必要な信号を送信する。
【0041】
撮像ユニット101から送信される第1モード画像信号及び第2モード画像信号は画像処理部110に入力される。画像処理部110は、第1モード画像信号により、第2の撮像モードにおける画像の撮像時期を決定する。また、画像処理部110は、第2モード画像信号により観察画像信号を生成する。観察画像処理の施された画像信号はモニタ2に送信される。
【0042】
なお、画像処理部110は、後述するように、処理ごとに特化した専用のプロセッサ(例えばDSP(デジタルシグナルプロセッサ))によって構成されるが、CPU(中央処理装置)等の任意の好適なプロセッサ上で実行されるソフトウェアとして構成することもできる。
【0043】
タイミングコントローラ106及び画像処理部110における様々な動作は、システムコントローラ111によって制御される。また、システムコントローラ111は顕微鏡用撮像装置100の各部位の制御を行う。システムコントローラ111には、キーボード112やマウス(図示せず)などの入力部が接続される。使用者によるコマンド操作が入力部に入力されると、入力されたコマンドに応じてシステムコントローラ111は各部位を制御する。
【0044】
次に、画像処理部110によって実行される画像処理について、図6を用いて画像処理部110の構成とともに説明する。図6は、画像処理部110の内部構成を概略的に示すブロック図である。画像処理部110は、前段信号処理部113、行エッジフィルタ114、列エッジフィルタ115、判別部116、SDRAM117、位相検出部118、時期決定部119、合成部120、及び後段信号処理部121を含んで構成される。
【0045】
処理回路109から送信される第1モード画像信号及び第2モード画像信号は前段信号処理部113に入力される。前段信号処理部113では、補間処理などの所定の前段信号処理が画像信号に施される。
【0046】
前段信号処理部113において前段信号処理の施された第1モード画像信号は、行エッジフィルタ114及び列エッジフィルタ115に送信される。
【0047】
行エッジフィルタ114は図7(a)に示すフィルタと2値化回路(図示せず)とを有しており、フィルタ後の画素値が閾値を越えるときに1が出力され、閾値以下であるときに0が出力される(エッジ変数)。したがって、行エッジフィルタ114の出力が1である画素は、行方向にエッジを有した画素とみなせる。
【0048】
一方、列エッジフィルタ115は図7(b)に示すフィルタと2値化回路(図示せず)とを有しており、フィルタ後の画素値が閾値を越えるときに1が出力され、閾値以下であるときに0が出力される(エッジ変数)。したがって、列エッジフィルタ115の出力が1である画素は、列方向にエッジを有した画素とみなせる。
【0049】
行エッジフィルタ114及び列エッジフィルタ115の出力は、判別部116に入力される(図6参照)。判別部116では、行エッジフィルタ114の出力が1である画素数及び列エッジフィルタ115の出力が1である画素数が、それぞれ行方向のエッジ数(第1の判別数)及び列方向のエッジ数(第2の判別数)としてカウントされる。
【0050】
1フレームの第1モード画像信号を構成する全画素に対する行エッジフィルタ114と列エッジフィルタ115の出力に基づくカウントが終了すると、行方向及び列方向のエッジ数が第1モード画像信号の生成時期と組合わされて、SDRAM117に格納される。
【0051】
第1撮像モードでは、例えば20回の撮像が実行され、20フレームの第1モード画像信号が生成される。生成された第1モード画像信号は、フレーム毎に行方向及び列方向のエッジ数がカウントされ、SDRAM117に格納される。20フレームの第1モード画像信号に対するエッジ数が格納されると、位相検出部118により行方向及び列方向別の振動の位相と時間との関係が検出される。
【0052】
図3における対物レンズ205の円運動において、行方向の振動速度(第1の方向の速度)が大きくなるほど行方向のブレが大きくなるので、行方向のエッジ数は減少する。一方、列方向の振動速度(第2の方向の速度)が大きくなるほど列方向のブレが大きくなるので、列方向のエッジ数は減少する。また、行方向及び列方向の振動速度の絶対値が同じ時には、それぞれ行方向及び列方向のエッジ数は同じになると考えられる。
【0053】
それゆえ、時間に対する特定の方向のエッジ数の変化は、山型の波を光学顕微鏡200の固有の振動周期の1/2の周期で繰返す波形である。なお、図8に示すように、時間に対するエッジ数の変化は光学顕微鏡200に固有な振動の振動速度の変化に対して、位相が90度異なっている。
【0054】
したがって、光学顕微鏡200に固有な振動の振動速度の時間に対する変化に基づいて、時間に対するエッジ数の変化が算出され、EEPROM(図示せず)に予め記憶される。なお、EEPROMには時間に対するエッジ数の変化曲線が記憶されるが、現在時間における振動と位相は一致していない。
【0055】
位相検出部108では、第1〜第20フレームの第1モード画像信号の生成時期に対する行方向及び列方向のエッジ数の分布が、図9に示す分布図に描かれる。また、図8に示すエッジ数の時間変化曲線がEEPROMから読出される。
【0056】
位相検出部108では、行方向のエッジ数が図8の時間に対するエッジ数の変化の曲線上に重なるように、エッジ数の変化曲線の位相が合わせられる。また、同様に、列方向のエッジ数が図8の時間に対するエッジ数の変化の曲線上に重なるように、変化曲線の位相が合わせられる。
【0057】
位相を合わせることにより、図10に示すように、行方向のエッジ数の変化曲線(符号“CR”参照)と列方向のエッジ数の変化曲線(符号“CC”参照)とが描かれる。エッジ数の変化曲線を描くことにより、現在を含む各時期の行方向及び列方向の振動の位相が求められる。
【0058】
行方向及び列方向のエッジ数の変化曲線は、時期決定部119に送信される。時期決定部119では、受信したエッジ数の変化曲線に基づいて、第2の撮像モードにおける撮像実行の時期が決定される。
【0059】
第2の撮像モードにおける撮像実行の時期は、図10のエッジ数の変化曲線におけるエッジ数が極大となる時期に定められる。なお、行方向のエッジ数は図3における行方向の両端部RE付近においてエッジ数が極大になる。また、列方向のエッジ数は図3における列方向の両端部CE付近においてエッジ数が極大になる。したがって、図3における円運動の行方向及び列方向の端部において撮像が実行される。決定した撮像時期はシステムコントローラ111に伝達される。
【0060】
第2の撮像モードにおける撮像実行の時期が定められると、第1の撮像モードを終了して、第2の撮像モードに切替えられる。第2の撮像モードでは、前述のように定められた時期に撮像動作が実行され、第2モード画像信号が生成される。前述のように、振動の行方向の両端部及び列方向の両端部において第2モード画像信号が生成される。なお、行方向の両端部で生成された第2モード画像信号は行画像信号に定められ、列方向の両端部で生成された第2モード画像信号は列画像信号に定められる。
【0061】
前述のように、第2モード画像信号は前段信号処理部113に入力され(図6参照)、所定の前段信号処理が施される。前段信号処理の施された第2モード画像信号は、行エッジフィルタ114、列エッジフィルタ115、及び判別部116に送信される。
【0062】
行エッジフィルタ114及び列エッジフィルタ115によって、各画素における行方向及び列方向のエッジの有無が検出され、判別部116に送信される。判別部116には、前述のように第2モード画像信号も入力される。以下に説明するように、判別部116では後の画像合成に用いる混合比率が、行方向及び列方向のエッジの有無と、第2モード画像信号に基づいて算出される。
【0063】
判別部116では、振動の位相が180度異なる行画像信号に対してパターンマッチングが行われる。通常、位相が180度異なる2つの行画像において、同じ光学像が行方向にずれて表示される。パターンマッチングにより同じであると判別された光学像の2つの行画像における座標が、判別部116によって別々に検出される。さらに、2つの行画像それぞれにおいて検出された座標の大小を比較することにより、何れの行画像が対象標本Sから正及び負の行方向に変位しているかが判別される。また、座標の差に基づいて、それぞれの行画像の振動中心からの変位量Δxが算出される。
【0064】
次に、判別部116では、行画像信号に画像変換が施される。180度位相が異なる行画像は、光学像に対して撮像位置が異なっている。すなわち、それぞれの画像座標系で表される同じ光学像の座標は異なっている。それゆえ、画像変換により、2つの行画像の画像座標系が、振動中心を原点とする座標系に変換される。
【0065】
例えば、正の行方向にずれた画像(図11(a)参照)の画像座標は、正の行方向に変位量Δx変位させるように座標変換が行われる(図11(c)実線参照)。正の行方向への座標変換により正の行画像が作成される。
【0066】
同様に、負の行方向にずれた画像(図11(b)参照)の画像座標は、負の行方向に変位量−Δx変位させるように座標変換が行われる(図11(c)点線参照)。負の行方向への座標変換により負の行画像が作成される。
【0067】
同様に、判別部116では振動の位相が180度異なる列画像信号に対してパターンマッチングを行い、両画像の列方向に沿った変位方向及び変位量が判別される。また、判別結果に基づいて、両列画像信号に相当する2つの列画像の座標変換が行われる。座標変換により、正の列画像及び負の列画像が作成される。
【0068】
正及び負の行画像と、正及び負の列画像を作成すると、判別部116は、次に説明するように、観察可能領域を設定する。図12に示すように、正の行画像PRI(実線参照)、負の行画像NRI(点線参照)、正の列画像PCI(2点差線参照)、及び負の列画像NCI(破線参照)が重複する領域(斜線部位参照)が観察可能領域OAに設定される。なお、観察可能領域とは、観察画像が形成される領域である。
【0069】
4画像それぞれの観察画像領域OAが、n行n列の画素によって構成される小領域(図示せず)に分割される。判別部116では、小領域内に含まれる画素の行方向のエッジ数と列方向のエッジ数とが、別々に且つ正の行画像PRI、負の行画像NRI、正の列画像PCI、及び負の列画像NRI毎にカウントされる。
【0070】
同じ小領域に対して4画像別々に算出された行方向のエッジ数が合計され、行合計エッジ数Erが小領域毎に算出される。また、同じ小領域に対して、4画像別々に算出された列方向のエッジ数が合計され、列合計エッジ数Ecが小領域毎に算出される。
【0071】
算出された小領域毎の行合計エッジ数Er及び列合計エッジ数Ecが、正の行画像PRI、負の行画像NRI、正の列画像PCI、及び負の列画NCI像とともに、判別部116から合成部120に伝達される。合成部120では、行合計エッジ数Er、列合計エッジ数Ec、正の行画像PRI、負の行画像NRI、正の列画像PCI、及び負の列画像NCIに基づいて、観察可能領域OAに対応する観察画像が合成される。
【0072】
観察画像は、観察画像を構成する画素を作成することにより合成される。観察画像を構成する画素の画素信号である観察画素信号は、行画像PRI、NRI及び列画像PCI、NCIにおける同一の画素に対応する画素信号を加重平均することにより生成される。加重平均に用いる重み付け係数は、行合計エッジ数Er及び列合計エッジ数Ecに基づいて算出される。以下に画素信号の加重平均について説明する。
【0073】
観察画像を構成する各画素に対応する小領域の行合計エッジ数Er及び列合計エッジ数Ecが、当該観察画素信号の算出に用いられる。正の行画像PRI、負の行画像NRI、正の列画像PCI、及び負の列画像NCIにおいて対応する画素の画素信号を、それぞれPSpr、PSnr、PSpc、PSncとすると、観察画素信号は、((Er/2×(Er+Ec))×(PSpr+PSnr)+(Ec/2×(Er+Ec))×(PSpc+PSnc))を算出することにより、生成される。
【0074】
全観察画素信号を生成すると、全観察画素信号は観察画像信号として、後段信号処理部121に送信される。後段信号処理部121では、観察画像信号に対して輪郭強調処理やホワイトバランス処理等の所定の後段信号処理が施される。後段信号処理の施された観察画像信号はモニタ2に送信される。モニタ2には、受信した観察画像信号に相当する観察画像が表示される。
【0075】
対象標本Sの観察時に、プロセッサ103により実行される観察制御について、図13のフローチャートを用いて説明する。なお、観察制御は、撮像ユニット101を鏡筒203に結合して、入力部に対象標本観察の操作指令が入力されるときに開始する。また、観察を終了する操作指令が入力されるとき、または顕微鏡用撮像装置100の電源がOFFになるときに、観察制御は終了する。
【0076】
ステップS101において、プロセッサ103は第1の撮像モードに応じて定められたLED104の発光量、LED104の発光時期、撮像素子107の露光時期、撮像素子107の読出し領域でLED104の発光及び撮像素子107による撮像を実行させる。第1の撮像モードによるLED104及び撮像素子107の制御を始めると、ステップS102に進む。
【0077】
ステップS102では、プロセッサ103はステップS101における撮像により得られる第1モード画像信号における行方向及び列方向のエッジの有無を検出する。エッジの有無は第1モード画像信号を構成する全画素信号に対して行われ、行方向のエッジ数と列方向のエッジ数とをカウントする。全画素のエッジの有無を検出し、エッジ数のカウントを終えると、ステップS103に進む。
【0078】
ステップS103では、プロセッサ103は行方向のエッジ数及び列方向のエッジ数を、当該第1モード画像信号の生成時期とともにSDRAM117に記憶させる。SDRAM117に記憶すると、ステップS104に進む。
【0079】
ステップS104では、プロセッサ103は20フレームの第1モード画像信号に対応するエッジ数が記憶されているか否かを判別する。20フレームの第1モード画像信号に対応するエッジ数が格納されていないときには、ステップS102に戻り、次のフレームの第1モード画像信号に対してエッジの検出(S102)及びSDRAM117への記憶(S103)を繰返す。ステップS104において、20フレームの第1モード画像信号に対応するエッジ数が格納されているときには、ステップS105に進む。
【0080】
ステップS105では、プロセッサ103はSDRAM117に記憶された時間とエッジ数の関係及びEEPROMに格納された時間に対するエッジ数の変化曲線とに基づいて、現在時間に対するエッジ数の変化の関係を検出する。変化関係を検出すると、ステップS106に進む。
【0081】
ステップS106では、プロセッサ103はステップS105において検出した時間とエッジ数の変化の関係に基づいて、第2の撮像モードにおける撮像実行時期を決定する。撮像実行時期を決定すると、ステップS107に進む。
【0082】
ステップS107では、プロセッサ103は第2の撮像モードに応じて定められたLED104の発光量、LED104の発光時期、撮像素子107の露光時期、撮像素子107の読出し領域で、LED104の発光及び撮像素子107による撮像を実行させる。第2の撮像モードによるLED104及び撮像素子107の制御を始めると、ステップS108に進む。
【0083】
ステップS108では、プロセッサ103は連続する4フレームの撮像を終了しているか否かを判別する。4フレームの撮像を終了していないときには、終了するまでステップS108を繰返す。4フレームの撮像を終了しているときには、ステップS109に進む。
【0084】
ステップS109では、プロセッサ103は4フレームの第2モード画像信号それぞれにおける行方向及び列方向のエッジの有無を検出する。エッジの有無は第2モード画像信号を構成する全画素信号に対して行われる。全画素の行方向及び列方向のエッジの有無を検出すると、ステップS110に進む。
【0085】
ステップS110では、プロセッサ103は、4フレームの第2モード画像信号に対してパターンマッチングを利用して、それぞれの第2モード画像信号の生成位置が振動中心から正の行方向、負の行方向、正の列方向、及び負の列方向の何れの方向にずれた位置であるかを判別する。生成位置を判別すると、ステップS111に進む。
【0086】
ステップS111では、プロセッサ103は4フレームの第2モード画像信号に座標変換を施すことにより正の行画像PRI、負の行画像NRI、正の列画像PCI、及び負の列画NCI像を作成する。座標変換を実行すると、ステップS112に進む。
【0087】
ステップS112では、プロセッサ103は小領域に含められる全画素の行方向及び列方向のエッジ数をカウントして行合計エッジ数Er及び列合計エッジ数Ecを算出する。行合計エッジ数Er及び列合計エッジ数Ecを、全小領域に対して算出すると、ステップS113に進む。
【0088】
ステップS113では、プロセッサ103はステップS111で作成した正の行画像PRI、負の行画像NRI、正の列画像PCI、及び負の列画像NCIと、ステップS112で算出した行合計エッジ数Er及び列合計エッジ数Ecとに基づいて観察画像を作成する。観察画像を作成すると、観察画像信号をモニタ2に送信して、表示させる。1フレームの観察画像を作成すると、ステップ108に戻る。
【0089】
以上のような構成の第1の実施形態の撮像システムによれば、第1の撮像モードにおいて撮像した画像に基づいて対象標本に対する撮像素子107の相対振動の位相を検出可能である。さらに、検出した位相に基づいて、行方向に沿った振動速度の絶対値が最小となる時期及び列方向に沿った振動速度の絶対値が最小となる時期が判明する。また、第2の撮像モードにおいては、いずれかの方向の振動速度の絶対値が最小となる時期に画像が撮像され、撮像した画像に基づいて観察画像が作成される。このような構成により、観察画像における振動によるブレの影響を低減化可能である。
【0090】
また、第1の実施形態によれば、第1の撮像モードにおいて撮像素子107の対象標本Sに対する相対速度に応じて撮像した画像に含まれるエッジ数が減少することを利用し、撮像した画像全体の行方向及び列方向のエッジ数を検出することにより、現在時間と位相との関係を、速度センサなどを用いることなく検出可能である。
【0091】
また、第1の実施形態によれば、第2の撮像モードにおいて行合計エッジ数と列合計エッジ数の比較によって行方向及び列方向の何れの方向が鮮明に表示すべき方向であるかを判別可能である。鮮明に表示すべき方向を判別することにより、鮮明な観察画像を作成するために行方向に鮮明な画像及び列方向に鮮明な画像をより適切に用いることが可能になる。
【0092】
また、第1の実施形態によれば、第2の撮像モードにおいて、行合計エッジ数と列合計エッジ数とに応じて、行画像と列画像との画素信号に乗じられる重み付けが変えられる。重み付けを変えた加重平均値を算出することにより、行方向または列方向のいずれかのエッジが多い標本試料だけでなく、両方向のエッジが同じ位である標本資料や、両方向のエッジの一方がやや多い標本試料などに対して鮮明な観察画像を作成可能である。
【0093】
また、第1の実施形態によれば、行合計エッジ数の算出に行画像及び列画像における行方向のエッジ数が平均化され、列合計エッジ数の算出に行画像及び列画像における列方向のエッジ数が平均化されるので、実際の対象標本Sのエッジをより正確に検出可能である。実際の対象標本Sにおいて行方向及び列方向のエッジの数が同じであった場合でも、例えば行画像においては列方向のブレが大きいので列方向のエッジ数が行方向のエッジ数より少なく検出される可能性が大きい。それゆえ、前述のように、行画像と列画像において検出されるエッジ数を平均化することにより、エッジをより正確に検出可能である。
【0094】
また、第1の実施形態によれば、行画像信号及び列画像信号に座標変換が施されるので、実際の対象標本Sのエッジをより正確に検出可能で、またより鮮明な観察画像を作成可能となる。座標変換前の正の行画像、負の行画像、正の列画像、及び負の列画像においては、同じ光学像が振動により異なる位置に形成される。それゆえ、座標変換をしなければ、エッジの検出精度が低下し、また観察画像にもボケが発生し得る。しかし、前述のように座標変換を施すことにより、検出精度の低下やボケの発生を抑制することが可能である。
【0095】
次に本発明の第2の実施形態に係る撮像システムについて説明する。第2の実施形態では、エッジの検出方法が第1の実施形態と異なっている。以下に、第1の実施形態と異なる点を中心に第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ機能および構成を有する部位には同じ符号を付す。
【0096】
第2の実施形態において、光学顕微鏡200及びモニタ2の構成及び機能は第1の実施形態と同じである。また、第2の実施形態において、画像処理部以外の顕微鏡用撮像装置の各部位の構成及び機能は第1の実施形態と同じである。
【0097】
図14に示すように、画像処理部1100は、前段信号処理部113、行エッジフィルタ1140、列エッジフィルタ1150、判別部1160、SDRAM117、位相検出部118、時期決定部119、合成部1200、及び後段信号処理部121を含んで構成される。
【0098】
前段信号処理部113、時期決定部119、後段信号処理部121の構成及び機能は第1の実施形態と同じである。したがって、第1モード画像信号は前段信号処理部113において第1モード画像信号に前段信号処理が施され、行エッジフィルタ1140及び列エッジフィルタ1150に送信される。
【0099】
第1の実施形態と異なり、行エッジフィルタ1140は図7(a)に示すフィルタのみを有しており、2値化回路は設けられない。したがって、注目画素の画素信号の強度と注目画素に行方向に隣接する画素の画素信号の強度の差分がエッジ量として出力される。したがって、エッジ量が大きくなる程、より鮮明なエッジが受光されていると考えられる。
【0100】
また、第1の実施形態と異なり、列エッジフィルタ1150は図7(b)に示すフィルタのみを有しており、2値化回路は設けられない。したがって、注目画素の画素信号の強度と注目画素に列方向に隣接する画素の画素信号の強度の差分がエッジ量(エッジ変数)として出力される。
【0101】
第1の実施形態と同様に、行エッジフィルタ1140及び列エッジフィルタ1150の出力は、判別部1160に出力される(図14参照)。判別部1160では、行エッジフィルタ1140から出力される各画素の行方向のエッジ量と、列エッジフィルタ1150から出力される各画素の列方向のエッジ量とが別々に合計され、画像行エッジ量(第1の判別数)と画像列エッジ量(第2の判別数)とが算出される。算出された画像行エッジ量と画像列エッジ量とは第1モード画像信号の生成時期と組合されて、SDRAM117に格納される。
【0102】
第1の実施形態と同様に、第1撮像モードでは、例えば20回の撮像が実行され、20フレームの第1モード画像信号が生成される。生成された第1モード画像信号毎に画像行エッジ量及び画像列エッジ量が算出され、SDRAM117に格納される。20フレームの第1モード画像信号に対する画像行エッジ量及び画像列エッジ量が格納されると、第1の実施形態と同様に、位相検出部118が動作する。
【0103】
第1の実施形態におけるエッジ数の変化と同様に、行方向の振動速度が大きくなるほど、画像行エッジ量は減少する。一方、列方向の振動速度が大きくなるほど、画像列エッジ量は減少する。
【0104】
また、第1の実施形態と同様に、光学顕微鏡200に固有な振動の振動速度の時間に対する変化に基づいて、時間に対する画像行エッジ量及び画像列エッジ量の変化が算出され、EEPROMに予め記憶される。
【0105】
位相検出部118では、第1〜第20のフレームの第1モード画像信号の生成時期に対する画像行エッジ量及び画像列エッジ量の分布が、第1の実施形態と同様に描かれる。また、画像行エッジ量及び画像列エッジ量の時間変化曲線がEEPROMから読出される。
【0106】
位相検出部118では、画像行エッジ量が時間に対する画像行エッジ量の変化の曲線上に重なるように、変化曲線の位相が合わせられる。また、同様に、画像列エッジ量が時間に対する画像列エッジ量の変化の曲線上に重なるように、変化曲線の位相が合わせられる。
【0107】
位相を合わせることにより、第1の実施形態と同様に、画像行エッジ量の変化曲線と画像列エッジ量の変化曲線とが描かれる。画像行エッジ量及び画像列エッジ量の変化曲線を描くことにより、現在を含む各時期の行方向及び列方向の振動の位相が求められる。
【0108】
画像行エッジ量及び画像列エッジ量の変化曲線は、時期決定部119に送信される。時期決定部119では、受信した画像行エッジ量及び画像列エッジ量の変化曲線に基づいて、第2の撮像モードにおける撮像実行の時期が決定される。第2の撮像モードにおける撮像実行の時期は、画像行エッジ量及び画像列エッジ量がそれぞれ極大となる時期に定められる。決定した撮像時期はシステムコントローラ111に伝達される。
【0109】
第2の撮像モードにおける撮像実行の時期が定められると、第1の撮像モードを終了して、第2の撮像モードに切替えられる。第2の撮像モードでは、第1の実施形態と同様に、行方向の両端部及び列方向の両端部で撮像が実行され、第2モード画像信号が生成される。第1の実施形態と同様に、行方向の両端部及び列方向の両端部で生成された第2モード画像信号は行画像信号及び列画像信号に定められる。
【0110】
前述のように、第2モード画像信号は前段信号処理部113に入力され、所定の前段信号処理が施される。前段信号処理の施された第2モード画像信号は、行エッジフィルタ1140、列エッジフィルタ1150、及び判別部1160に送信される。
【0111】
行エッジフィルタ1140及び列エッジフィルタ1150によって、各画素における行方向及び列方向のエッジ量が算出され、判別部1160に送信される。判別部1160には、前述のように第2モード画像信号も入力される。以下に説明するように、判別部1160では後の画像合成に用いる混合比率が、行方向及び列方向のエッジの有無と、第2モード画像信号に基づいて算出される。
【0112】
判別部1160では、第1の実施形態と同様に、振動の位相が180度異なる行画像信号に対してパターンマッチングが行われる。また、振動の位相が180度異なる列画像信号に対してパターンマッチングが行われる。また、判別部1160では、第1の実施形態と同様に、行画像信号及び列画像信号に画像変換が施され、正及び負の行画像と、正及び負の列画像とが作成される。第1の実施形態と同様に、判別部1160は、正及び負の行画像と、正及び負の列画像とに基づいて、観察可能領域を設定する。
【0113】
第1の実施形態と異なり、判別部1160では、正及び負の行画像と正及び負の列画像とにおける同一の画素毎に算出された行エッジ量が合計され、行エッジ合計量が算出される。また、正及び負の行画像と正及び負の列画像とにおける同一の画素毎に算出された列エッジ量が合計され、列エッジ合計量が算出される。なお、行エッジ合計量及び列エッジ合計量は、観察可能領域内に配置される画素に対して、算出される。
【0114】
算出された画素毎の行エッジ合計量Esr及び列エッジ合計両Escが、正及び負の行画像と、正及び負の列画像とともに、判別部1160から合成部1200に伝達される。合成部1200では、行エッジ合計量Esr、列エッジ合計量Esc、正及び負の行画像、及び正及び負の列画像に基づいて、観察可能領域OAに対応する観察画像が合成される。
【0115】
第1の実施形態と同様に、正及び負の行画像と、正及び負の列画像とにおける同一の画素に対応する画素信号を加重平均することにより、観察画像を構成する観察画素信号が生成される。加重平均に用いる重み付け係数は行エッジ合計量Esrと列エッジ合計量Escとに基づいて算出される。以下に画素信号の加重平均について説明する。
【0116】
正の行画像、負の行画像、正の列画像、及び負の列画像において対応する画素の画素信号を、それぞれPSpr、PSnr、PSpc、PSncとすると、観察画素信号は、((Esr/2×(Esr+Esc))×(PSpr+PSnr)+(Esc/2×(Esr+Esc))×(PSpc+PSnc))を算出することにより、生成される。
【0117】
第1の実施形態と同様に、全観察画素信号を生成すると、全観察画素信号は観察画像信号として、後段信号処理部121に送信される。後段信号処理部121において、第1の実施形態と同じく、所定の後段信号処理が施され、モニタ2に送信される。
【0118】
次に、第2の実施形態において、対象標本Sの観察時に、プロセッサ103により実行される観察制御について、図15のフローチャートを用いて説明する。なお、観察制御の開始条件と終了条件とは第1の実施形態と同じである。
【0119】
ステップS201では、第1の実施形態におけるステップS101と同じ処理を実行して、ステップS202に進む。
【0120】
ステップS202では、プロセッサ103はステップS201における撮像により得られる第1モード画像信号における行方向及び列方向のエッジ量を算出する。第1モード画像信号を構成する全画素信号に対して算出された行方向のエッジ量及び列方向のエッジ量が別々に合計され、画像行エッジ量及び画像列エッジ量が算出される。画像行エッジ量及び画像列エッジ量の算出を終えると、ステップS203に進む。
【0121】
ステップS203では、プロセッサ103は画像行エッジ両及び画像列エッジ量を、当該第1モード画像信号の生成時期とともにSDRAM117に記憶させる。SDRAM117に記憶すると、ステップS204に進む。
【0122】
ステップS204では、プロセッサ203は20フレームの第1モード画像信号に対応する画像行エッジ量及び画像列エッジ量が記憶されているか否かを判別する。20フレームの第1モード画像信号に対応する画像行エッジ量及び画像列エッジ量が格納されていないときには、ステップS202に戻り、次のフレームの第1モード画像信号に対してエッジ量の算出(S202)及びSDRAM117への記憶(S203)を繰返す。ステップS204において、20フレームの第1モード画像信号に対応する画像行エッジ量及び画像列エッジ量が格納されているときには、ステップS205に進む。
【0123】
ステップS205では、プロセッサ103はSDRAM117に記憶された時間と画像業エッジ量及び画像列エッジ量の関係及びEEPROMに格納された時間に対する画像行エッジ量及び画像列エッジ量の変化曲線とに基づいて、現在時間に対する画像行エッジ量及び画像列エッジ量の変化の関係を検出する。変化関係を検出すると、ステップS206に進む。
【0124】
ステップS206では、プロセッサ103はステップS205において検出した時間と画像行エッジ量及び画像列エッジ量の変化の関係に基づいて、第2の撮像モードにおける撮像実行時期を決定する。撮像実行時期を決定すると、ステップS207に進む。
【0125】
ステップS207,208では、第1の実施形態におけるステップS107、S108と同じ処理を実行する。ステップS208の処理の後に、ステップS209に進む。
【0126】
ステップS209では、プロセッサ103は4フレームの第2モード画像信号それぞれにおける行方向及び列方向のエッジ量を算出する。全画素の行方向及び列方向のエッジ量の算出後、ステップS210に進む。
【0127】
ステップS210、S211では、第1の実施形態におけるステップS110、S111と同じ処理を実行する。ステップS211の処理の後に、ステップS212に進む。
【0128】
ステップS212では、プロセッサ103は正及び負の行画像と正及び負の行画像において同じ画素の行方向のエッジ量を合計して行エッジ合計量を算出する。また、正及び負の行画像と正及び負の列画像において同じ画素の列方向のエッジ量を合計して列エッジ合計量を算出する。行エッジ合計量Esr及び列エッジ合計量Escを、観察可能領域内の全画素に対して算出すると、ステップS213に進む。
【0129】
ステップS213では、プロセッサ103はステップS211で作成した正及び負の行画像、及び正及び負の列画像と、ステップS112で算出した行エッジ合計量Esr及び列エッジ合計量Escとに基づいて観察画像を作成する。観察画像を作成すると、観察画像信号をモニタ2に送信して、表示させる。1フレームの観察画像を作成すると、ステップ208に戻る。
【0130】
以上のような構成の第2の実施形態の撮像システムによっても、第1の撮像モードにおいて撮像した画像に基づいて対象標本に対する撮像素子107の相対振動の位相を検出可能である。さらに、検出した位相に基づいて、行方向に沿った振動速度の絶対値が最小となる時期及び列方向に沿った振動速度の絶対値が最小となる時期が判明する。また、第2の撮像モードにおいては、いずれかの方向の振動速度の絶対値が最小となる時期に画像が撮像され、撮像した画像に基づいて観察画像が作成される。このような構成により、観察画像における振動によるブレの影響を低減化可能である。
【0131】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
【0132】
例えば、上記第1、第2の実施形態において、行方向エッジフィルタ及び列方向エッジフィルタが用いられる構成であるが、行方向及び列方向以外の異なる2方向のエッジフィルタが用いられてもよい。
【0133】
また、上記第1の実施形態において行方向のエッジ数及び列方向のエッジ数が極大になる時期、及び第2の実施形態において画像行エッジ量及び画像列エッジ量が極大になる時期、すなわち行方向及び列方向の振動速度がそれぞれ最小となる時期が第2の撮像モードにおける画像の撮像実行の時期に定められる構成である。しかし、、撮像時期はそれぞれの方向のエッジ数が極大になる時期、及び画像行エッジ量及び画像列エッジ量が極大になる時期に限定されない。それぞれの方向のエッジ数が極大になる時期、または画像行エッジ量及び画像列エッジ量が極大になる時期の近辺、すなわち振動速度が所定値未満となる時期を、撮像実行の時期に定めてもよい。
【0134】
また、上記第1、第2の実施形態において、振動の位相が180度異なる行画像信号に対してパターンマッチングを行う構成であるが、振動の位相が互いに90度異なる行画像信号と列画像信号に対してパターンマッチングを行う構成であってもよい。行画像と列画像とのパターンマッチングによっても、行画像の行方向への変位の正負及び変位量と、列画像の列方向への変位の正負及び変位量とを算出することが可能である。上記第1、第2の実施形態に比べて、パターンマッチングを行う画像信号の数を減らせるので、全体の処理の高速化を図ることが可能である。
【0135】
また、上記第1、第2の実施形態において、正の行画像、負の行画像、正の列画像、及び負の列画像を用いて観察画像が合成される構成であるが、正の行画像及び負の行画像の一方と、正の列画像と負の列画像の一方とを用いて観察画像を合成する構成であってもよい。
【0136】
また、上記第1の実施形態において行合計エッジ数Er及び列合計エッジ数Ecが、観察画素信号の算出の重み付け係数に用いられる構成である。しかし、行合計エッジ数Erの代わりに任意の小領域に対する行画像における行方向のエッジ数を用い、列合計エッジ数Ecの代わりに同じ小領域に対する列画像における列方向のエッジ数を用いて重み付け係数を算出することも可能である。同じ小領域に対して行方向のブレの少ない行画像における行方向のエッジ数と列方向のブレの少ない列画像における列方向のエッジ数との間には、ブレの影響が生じない。それゆえ、以上のような構成によっても第1の実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0137】
同様に、上記第2の実施形態において行エッジ合計量Esr及び列エッジ合計量Escが、観察画素信号の算出の重み付け係数に用いられる構成である。しかし、行エッジ合計量Esrの代わりに行画像における画素の行方向のエッジ量を用い、列エッジ合計量Escの代わりに列画像における同じ画素の列方向のエッジ量を用いて重み付け係数を算出することも可能である。同様に、同じ画素に対して行方向のブレの少ない行画像における行方向のエッジ量と列方向のブレの少ない列画像における列方向のエッジ量との間には、ブレの影響が生じない。それゆえ、以上のような構成によっても第1の実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0138】
また、上記第1、第2の実施形態において、第1、第2の撮像モードにおいて同じ行エッジフィルタ114、1140と列エッジフィルタ115、1150とを用いる構成であるが、プロセッサ103に上述の行エッジフィルタ114、1140及び列エッジフィルタ115、1150とは別の行エッジフィルタと列エッジフィルタとを設ける構成であってもよい。
【0139】
上記の行エッジフィルタ114、1140及び列エッジフィルタ115、1150は、対象標本Sのそれぞれの方向のエッジだけでなく、ブレの影響も含んだ信号値を出力する。第2の撮像モードではブレの影響を除外したそれぞれの方向のエッジが検出されることが望ましい。それゆえ、図16に示すように、第2の撮像モードに適するように、ブレの影響を低減化し対象標本Sの行方向及び列方向のエッジを検出するフィルタを用いてもよい。図16のフィルタを用いれば、行画像または列画像の一方のみを用いてエッジがより多い方向を求めること、及び重み付け係数の算出に用いることが可能である。
【0140】
また、上記第1の実施形態において、行合計エッジ数Erと列合計エッジ数Ecを小領域毎に算出する構成であるが、画像全体で行合計エッジ数Er及び列合計エッジ数Ecを算出する構成でもよい。画像全体で算出することにより計算の負荷を減らすことが可能である。また、上記第2の実施形態において、行エッジ合計量Esr及び列エッジ合計量Escを画素毎に算出する構成であるが、画像全体で算出する構成でもよいし、相互に隣接する複数の画素毎に算出する構成であってもよい。
【0141】
また、上記第1、第2の実施形態において、第1の撮像モードでは、図5に示すように撮像素子107の受光面RSの中央近傍の一部の領域が画像の読出し領域に定められる構成であるが、読出し領域はこのような形状に限定されない。
【0142】
例えば、第1の撮像モードにおいて、行方向のエッジと列方向のエッジとを別々の画像で検出する場合には、図17(a)に示すように1列に並ぶ複数の画素(符号“A”参照)を列方向のエッジを検出するための読出し領域に設定し、図17(b)に示すように1行に並ぶ複数の画素(符号“B”参照)を行方向のエッジを検出するための読出し領域に設定してもよい。更には、図17(c)に示すように複数の列に並ぶ複数の画素(符号“C”参照)を列方向のエッジを検出するための読出し領域に設定してもよい。
【0143】
また、上記第1、第2の実施形態において、観察画像を構成する画素の画素信号は行画像及び列画像における画素信号を加重平均することにより生成される構成であるが、行合計エッジ数Er及び列合計エッジ数Ec、または行エッジ合計量Esr及び列エッジ合計量Escに基づいて簡易に生成される構成であってもよい。例えば、行合計エッジ数Erが列合計エッジ数Ecより大きい場合、または行エッジ合計量Esrが列エッジ合計量Escより大きい場合には行画像を観察画像とし、列合計エッジ数Ecが行合計エッジ数Erより大きい場合または列エッジ合計量Escが行エッジ合計量Esrより大きい場合には列画像を観察画像とし、行合計エッジ数Er及び列合計エッジ数Ecが同じである場合または行エッジ合計量Esr及び列エッジ合計量Escが同じである場合には行画像と列画像とを単純平均することにより観察画像を生成する構成であってもよい。
【0144】
また、上記第1、第2の実施形態において、第1の撮像モード及び第2の撮像モードにおいて対象標本Sを照明する照明光は単一の光源であるLED104から出射される構成であるが、撮像モード別に異なる光源が設けられ、撮像モード毎に選択される構成であってもよい。
【0145】
前述のように、第1の撮像モードにおいては、撮像素子の露光時間に比べて発光時間を短くすることによる効果が得られる。一方、第2の撮像モードにおいては、視野内に均一な光が照明されること及び照明光のスペクトル特性が優れていること等のように、撮像画像の画質を向上させる照明条件を満たすことが求められる。それゆえ、第1の撮像モードと第2の撮像モードとにおいて、別の光源を用いることにより、それぞれの目的に最適な光源を用いることが可能となる。
【符号の説明】
【0146】
100 顕微鏡用撮像装置(撮像システム)
104 LED(光源)
105 ドライバ(光源制御部)
107 撮像素子
108 ドライバ(撮像素子駆動部)
114、1140 行エッジフィルタ(エッジ検出部)
115、1150 列エッジフィルタ(エッジ検出部)
116、1160 判別部
118 位相検出部
119 時期決定部
120、1200 合成部
121 後段信号処理部
200 光学顕微鏡(観察機器)
205 対物レンズ(光学系)
CA 中央近傍の一部の領域
S 対象標本(試料)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料に対して位置が固定された光学系によって結像される前記試料の画像を撮像画像として撮像する撮像素子と、
第1の撮像モードでは前記試料に対する前記撮像素子の相対的な振動である相対振動の位相を検出するための第1の撮像を前記撮像素子に実行させ、前記第1の撮像モードと異なる第2の撮像モードでは前記試料の観察に用いるための第2の撮像を前記撮像素子に実行させる撮像素子駆動部と、
前記第1の撮像により得られた前記撮像画像によって前記位相を検出し、検出された該位相に基づいて前記第2の撮像モードにおける前記第2の撮像の実行時期を決定し、前記第2の撮像により前記撮像素子により生成される画像信号に基づいて前記試料の観察に用いるための観察画像を作成する画像処理部とを備える
ことを特徴とする撮像システム。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像システムであって、
前記撮像画像を形成する画素毎に、互いに異なる第1、第2の方向のエッジに応じて変わるエッジ変数を検出するエッジ検出部を備え、
前記第1の撮像モードでは、前記第1の撮影モード実行期間の複数の所定の時期に前記第1の撮像が実行され、
前記画像処理部は、
前記第1の撮影モードで撮像した前記撮像画像毎の前記第1、第2の方向のエッジ変数を前記エッジ検出部に検出させ、
前記撮像画像毎の前記第1、第2の方向のエッジ変数それぞれに基づいて、第1、第2の判別数を算出しし、
前記撮像画像毎の前記第1、第2の判別数それぞれに基づいて前記第1、第2の方向の前記相対振動の位相を検出し、
前記所定の時期に撮像された前記撮像画像毎の前記検出した位相に基づいて、前記第1の方向の前記相対振動における前記第1の方向の速度が第1の所定値未満となる第1の時期、及び前記第2の方向の前記相対振動における前記第2の方向の速度が第2の所定値未満となる第2の時期の少なくとも一方を、前記第2の撮像の実行時期に決定する
ことを特徴とする撮像システム。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像システムであって、
前記第1の方向のエッジ変数は、前記第1の方向のエッジの有無を表す変数であり、
前記第2の方向のエッジ変数は、前記第2の方向のエッジの有無を表す変数であり、
前記第1の判別数は、前記撮像画像内の前記第1の方向のエッジを有する前記画素の数であり、
前記第2の判別数は、前記撮像画像内の前記第2の方向のエッジを有する前記画素の数である
ことを特徴とする撮像システム。
【請求項4】
請求項2に記載の撮像システムであって、
前記第1の方向のエッジ数変は、前記第1の方向のエッジ量であり、
前記第2の方向のエッジ変数は、前記第2の方向のエッジ量であり、
前記第1の判別数は、前記撮像画像内の前記画素毎の前記第1の方向のエッジ量の合計であり、
前記第2の判別数は、前記撮像画像内の前記画素毎の前記第2の方向のエッジ量の合計である
ことを特徴とする撮像システム。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の撮像システムであって、前記撮像素子駆動部は、前記第1の撮影モードにおいては前記第2の撮影モードよりもフレームレートを高くすることを特徴とする撮像システム。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像システムであって、前記撮像素子駆動部は、前記第1の撮像モードにおける前記撮像素子における画像読出し領域を前記第2の撮像モードにおける前記画像読出し領域より小さくすることにより、前記第1の撮影モードにおいては前記第2の撮影モードよりもフレームレートを高くすることを特徴とする撮像システム。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像システムであって、前記第1の方向及び前記第2の方向の何れかの前記画像読出し領域を縮小することにより、前記第1の撮像モードにおける前記撮像画像の大きさを前記第2の撮像モードにおける前記撮像画像の大きさより小さくすることを特徴とする撮像システム。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の撮像システムであって、
前記試料を、パルス幅を変更可能なパルス光によって照明する光源と、
前記第1の撮像モードにおける前記パルス幅を、前記第2の撮像モードにおける前記パルス幅より狭める光源制御部とを備える
ことを特徴とする撮像システム。
【請求項9】
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の撮像システムであって、前記第1の撮像モードにおいて前記試料を照明する第1の光源と、前記第2の撮像モードにおいて前記試料を照明する第2の光源とを備えることを特徴とする撮像システム。
【請求項10】
請求項2〜請求項9のいずれか1項に記載の撮像システムであって、前記画像処理部は、前記第1の時期に前記第2の撮像を実行することにより取得される第1の前記撮像画像と、前記第2の時期に前記第2の撮像を実行することにより取得される第2の前記撮像画像との少なくとも一方に基づいて、前記観察画像を作成することを特徴とする撮像システム。
【請求項11】
請求項10に記載の撮像システムであって、前記画像処理部は、前記第1の撮像画像及び前記第2の撮像画像の少なくとも一方におけるエッジ方向を検出し、前記エッジ方向に基づいて前記観察画像を作成することを特徴とする撮像システム。
【請求項12】
請求項11に記載の撮像システムであって、前記画像処理部は、前記第1の撮像画像及び前記第2の撮像画像の少なくとも一方における前記第1、第2の方向のエッジ変数を前記エッジ検出部に検出させ、前記第1、第2のエッジ変数に基づいて前記エッジ方向を検出することを特徴とする撮像システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2013−17099(P2013−17099A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149536(P2011−149536)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】