説明

撮像モジュール

【課題】撮像モジュールを小さくする必要がある。
【解決手段】撮像モジュール100は、プリント基板10と、レンズ駆動機構20と、撮像装置34と、ボンディングワイヤ40と、樹脂50と、透明板60と、コネクタ70と、レンズ80と、を備える。撮像装置34は、撮像部30と、出力処理部32と、を有する。撮像モジュール100ではレンズ80を通過した光が撮像部30上に導かれる。その導かれた光が撮像部30によって信号に変換される。その信号は出力処理部32によって処理された後に図示しないメモリ等に蓄えられる。プリント基板10には、レンズ駆動用IC12と、電源IC14とが埋め込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像モジュールに関し、特に撮像モジュールの基板の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などのポータブル機器にカメラが搭載されるようになって久しい。このカメラでは、レンズと、それを駆動する駆動機構と、撮像装置と、制御用や電源用のIC(Integrated Cicuit)を、基板と一体化した撮像モジュールを使用するのが一般的である。
【0003】
このような撮像モジュールではICは基板の表面に実装されていた。
【特許文献1】特開平11−103038号公報
【特許文献2】特開2003−250072号公報
【特許文献3】特開2005−210409号公報
【特許文献4】特開2006−129255号公報
【特許文献5】特開2006−229043号公報
【特許文献6】特開2007−49369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では携帯電話などのポータブル機器の薄型化、小型化が進んでいる。したがってそれに搭載される撮像モジュールも小さくしなければならない。しかしながら、従来のように基板の表面にICを実装していたのでは、その部分の厚さや面積が足かせとなり要求される小型化を達成し難い。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その包括的な目的は、より小さな撮像モジュールの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、撮像モジュールに関する。この撮像モジュールはレンズと、レンズを駆動するレンズ駆動機構と、レンズからの光を受光する撮像部と、を備える。この撮像モジュールは、撮像部を一方の面側に搭載し、レンズ駆動機構を制御するレンズ駆動回路および電力を供給する電源回路のうちの少なくともひとつを含む半導体装置が埋め込まれる基板をさらに備える。
【0007】
この態様によると、半導体装置が基板に埋め込まれるので、基板の面積を削減できる。または、基板をより薄くすることができる。
【0008】
半導体装置は、撮像部とオーバーラップしない位置に埋め込まれてもよい。この場合、半導体装置で発生する熱またはノイズによる撮像部への影響を軽減できる。
【0009】
撮像モジュールは、撮像部と隣接して設けられ、撮像部の出力を処理する出力処理部をさらに備えてもよい。半導体装置は、出力処理部とオーバーラップする位置に埋め込まれてもよい。この場合、基板の面積を削減できる。
【0010】
基板は、熱を拡散せしめる熱拡散層を半導体装置と撮像部との間に有してもよい。この場合、半導体装置で発生する熱が拡散し、基板の局所的な温度上昇を低減できる。
【0011】
熱拡散層は、基板の外部にその一部が露出するよう形成されてもよい。この場合、半導体装置で発生する熱を外部へ逃すことができる。
【0012】
熱拡散層の基板の外部への露出部分は放熱構造を有してもよい。
【0013】
基板は、電磁波のノイズを遮断するシールド層を半導体装置と撮像部との間に有してもよい。
【0014】
基板は、金属層を半導体装置と撮像部との間に有してもよい。
【0015】
金属層はその電位が固定されてもよい。
【0016】
基板は、一端が半導体装置の端子に接続され、他端が基板の表面から露出する金属の検査用端子を有してもよい。検査用端子の他端は、半導体装置のテストを行うためのプローブが接触できるよう基板の表面から露出してもよい。この場合、半導体装置が基板に埋め込まれた状態でその半導体装置をテストすることができる。
【0017】
検査用端子では、半導体装置の端子から基板の表面に至るまでの部分は柱状に形成されてもよい。
【0018】
基板には、半導体装置が埋め込まれている層に、半導体装置と隣り合うように少なくともひとつの別の半導体装置が埋め込まれてもよい。基板は、半導体装置と別の半導体装置との間を仕切る金属の隔壁を有してもよい。この場合、半導体装置と別の半導体装置との間の電磁波のノイズや電磁気的な干渉を低減できる。
【0019】
なお、以上の構成要素の任意の組合せや本発明の構成要素や表現を方法、装置などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0020】
本発明のある態様によれば、撮像モジュールを小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において本発明に係る各実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0022】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係る撮像モジュールは特に薄型のポータブル機器に搭載されるカメラに好適に用いられる。例えば携帯電話のカメラに好適に用いられる。
第1の実施の形態に係る撮像モジュールでは、撮像モジュールへ電源を供給するICやレンズを駆動するICを、撮像部が取り付けられているプリント基板に埋め込む。これにより、撮像モジュールの薄型化が図られる。また、それらの埋め込み位置を撮像部の直下から外れるようにしたので、それらのICから発生する熱やノイズによる撮像部への影響が軽減される。
【0023】
図1は、第1の実施の形態に係る撮像モジュール100の断面図である。撮像モジュール100は、プリント基板10と、レンズ駆動機構20と、撮像装置34と、ボンディングワイヤ40と、樹脂50と、透明板60と、コネクタ70と、レンズ80と、を備える。撮像モジュール100ではレンズ80を通過した光が後述する撮像部30上に導かれる。その導かれた光が撮像部30によって信号に変換される。その信号は後述する出力処理部32によって処理された後に図示しないメモリ等に蓄えられる。
【0024】
プリント基板10には、レンズ駆動用IC12と、電源IC14とが埋め込まれる。プリント基板10には、他の用途のICが埋め込まれてもよい。レンズ駆動用IC12はレンズ駆動機構20のコイル26に駆動電流を供給する。電源IC14は、撮像モジュール100全体、特にレンズ駆動用IC12および他のICに電源を供給する。プリント基板10に埋め込まれたレンズ駆動用IC12や電源IC14等のICは、図示しない配線層を通じて適切に配線される。
ここでレンズ駆動用IC12および電源IC14が埋め込まれる基板としてプリント基板を用いているが、これはプリント基板は廉価であり形成しやすいことによる。
【0025】
撮像モジュール100においては、プリント基板10のうち撮像部30とオーバーラップする領域16には、レンズ駆動用IC12および電源IC14のいずれも埋め込まれない。さらに電源IC14は、出力処理部32とオーバーラップする位置に埋め込まれる。
【0026】
レンズ駆動機構20は、フレーム22と、マグネット24と、コイル26と、ホルダ28と、を含む。レンズ駆動機構20は、コイル26に流れる電流の大きさの変化に伴ってレンズ80をその光軸方向に動かす。また電流の大きさが固定されるとレンズ80を所定の位置に保持する。フレーム22は、プリント基板10の上面10aに固定される。ここでプリント基板10の面のうち、レンズ80側の面を上面と呼ぶ。マグネット24は、円筒状であり、径方向に磁化される。マグネット24の外周面はフレーム22に接着固定される。
なお、レンズ80の駆動機構は、ギア等を用いるアクチュエータであってもよい。
【0027】
ホルダ28は、円筒形状の合成樹脂等による成形品であり、中央位置でレンズ80を支持する。ホルダ28の外周面には、あらかじめ成形されたコイル26が埋め込まれて固定される。レンズ駆動機構20は、図示しない既知の調整手段により、ホルダ28が径方向に位置決めされ、光軸方向にスムーズに移動できるよう構成される。
【0028】
プリント基板10の上面10aには撮像装置34が搭載される。撮像装置34はその中央に撮像部30を有する。撮像部30は、例えばCCD(Charge Coupled Device)を用いるイメージセンサや、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を用いるイメージセンサである。
撮像装置34は、撮像部30に隣接する出力処理部32を有する。撮像部30は、それに入射した光に基づいて信号を出力する。出力処理部32は、撮像部30が出力する信号を処理する。このような撮像部30、出力処理部32および撮像装置34は、公知の半導体製造技術を利用して製造される。
【0029】
撮像装置34上の配線はボンディングワイヤ40を通じてプリント基板10に接続される。ガラスや樹脂などの材料からなる高精度に加工された透明板60は、樹脂50によって撮像部30の表面に対して所定の間隔を保持した状態で固定される。樹脂50は透明板60を保持すると共にボンディングワイヤ40を保護する。
【0030】
コネクタ70は、外部の対応するコネクタと接続され、外部と撮像モジュール100との間の信号の入出力等を仲介し、外部からの電源を撮像モジュール100へ導く。つまりコネクタ70は外部とのインタフェースの役割を果たす。コネクタ70のそれぞれのピンは、プリント基板10中の所定の配線と接続される。
【0031】
以上のように構成された撮像モジュール100の動作について説明する。
撮像モジュール100が撮像を行う際は、レンズ駆動用IC12がコイル26に適切な駆動電流を供給し、レンズ80の光軸方向の位置が調整される。レンズ80を通じて撮像部30上に光が導かれる。その導かれた光は撮像部30によって電気信号に変換される。この電気信号が出力処理部32によって処理される。
【0032】
第1の実施の形態に係る撮像モジュール100によれば、レンズ駆動用IC12や電源IC14等のICがプリント基板10に埋め込まれる。これにより、プリント基板の表面にそれらのICを搭載する従来の構成と比べてプリント基板の面積を削減することができ、また、プリント基板部分をより薄くすることができる。この結果、撮像モジュール100全体をより小さくすることができる。
【0033】
一般にレンズ駆動用ICや電源ICは他の、例えば画像処理用のICやメモリのIC等と比べて消費電力が大きく、したがって発熱量も大きい。この大きな熱が撮像部の特性に部分的に影響を与え、出力処理部が出力する画像データにむらが生じる可能性がある。ここで第1の実施の形態に係る撮像モジュール100では、レンズ駆動用IC12および電源IC14は、撮像部30とオーバーラップしない位置に埋め込まれる。したがってそれらのICと撮像部30との間の距離は、撮像部30の直下にそれらのICを埋め込む場合よりも大きくなるので、それらのICから発生する熱は撮像部30へより伝わりにくい。この結果、撮像部30の特性はより安定し、むらのない安定した画像データを取得することができる。
【0034】
また一般に、レンズ駆動用ICや電源ICから発生する上述の大きな熱は、プリント基板を熱してその温度を上昇させる。すると基板を構成する複数の材料の熱膨張率の差により、基板が歪む場合がある。この場合、基板の歪んだ部分と撮像部とが近いと撮像部に応力が加わってその特性が変化し、やはり出力処理部が出力する画像データにむらが生じる可能性がある。ここで第1の実施の形態に係る撮像モジュール100では、レンズ駆動用IC12および電源IC14は、撮像部30とオーバーラップしない位置に埋め込まれる。したがってそれらのICからの発熱によってその周りのプリント基板が歪んだとしても、歪んだ部分と撮像部30との間の距離はより遠くなる。その結果、プリント基板の歪みが撮像部30の特性に与える影響は小さく、むらのない安定した画像データを取得することができる。
【0035】
また一般に、レンズ駆動用ICや電源ICは大きな熱を発生するだけでなく、内部のスイッチング素子などによって比較的大きな電磁波のノイズを発生する。ここで第1の実施の形態に係る撮像モジュール100では、レンズ駆動用IC12および電源IC14は、撮像部30とオーバーラップしない位置に埋め込まれる。したがってそれらのICと撮像部30との間の距離は、撮像部30の直下にそれらのICを埋め込む場合よりも大きくなるので、それらのICからの電磁波のノイズによる撮像部30や出力処理部32への影響を軽減できる。
【0036】
また、電源IC14から発せられる電磁波のノイズおよび熱がそれほど大きくない場合には、電源IC14を出力処理部32とオーバーラップする位置に埋め込むことによってプリント基板の面積を削減できる。これは撮像モジュール100の小型化に寄与する。
【0037】
(第2の実施の形態)
図2は、第2の実施の形態に係る撮像モジュールの一部を示す断面図である。第2の実施の形態に係る撮像モジュールは、プリント基板210の構成以外は第1の実施の形態に係る撮像モジュール100と同じである。プリント基板210の上面210aには撮像装置34が搭載される。撮像装置34は、撮像部30および出力処理部32を有する。
プリント基板210にはレンズ駆動用IC12、電源IC14およびメモリIC216が埋め込まれる。メモリIC216は、撮像に使用する定数などを記憶する。
【0038】
レンズ駆動用IC12、電源IC14およびメモリIC216と上面210aとの間には金属層202が設けられる。金属層202は、プリント基板210内で層状に広がる層状部204と、層状部204と連結され、プリント基板210の表面に露出するブロック部206とを有する。層状部204は、レンズ駆動用IC12、電源IC14およびメモリIC216と上面210aとの間を切れ目無く仕切るよう形成される。ブロック部206の構造は、放熱に適した放熱構造の1形態であり、ブロック部206の表面の半分以上がプリント基板210の表面に露出するよう形成される。金属層202は、その電位が固定される。これは金属層202を接地することにより実現されてもよいし、電源電圧に接続することによって実現されてもよい。
なお、放熱に適した放熱構造としては、ブロック部206の構造の代わりにフィン状の構造などを用いてもよい。
【0039】
第2の実施の形態に係る撮像モジュールによれば、プリント基板210は、レンズ駆動用IC12、電源IC14およびメモリIC216と上面210aとの間に金属層202を有する。したがって、レンズ駆動用IC12や電源IC14から発生する熱は、熱伝導率がよい金属層202を通じてプリント基板210全体に拡散される。これにより、プリント基板210の局所的な温度の上昇を抑えることができるので、熱による撮像部30の特性への部分的な影響を抑えることができる。この結果、むらのない安定した画像データを取得することができる。
【0040】
また、金属層202の層状部204は、レンズ駆動用IC12および電源IC14によって撮像装置34側へ発せられる電磁波のノイズを遮断する。したがって、撮像部30および出力処理部32の動作は安定し、撮像モジュールの動作の信頼性が向上する。さらに金属層202の電位は固定されるので、より効果的にノイズを遮断できる。
【0041】
また、金属層202のブロック部206はプリント基板210の表面に露出する。したがってレンズ駆動用IC12や電源IC14で発生した熱をプリント基板210の外部へ放出でき、それらのICの発熱による撮像部30への影響を軽減できる。さらにブロック部206はその表面の半分以上がプリント基板210の表面に露出する。したがってより効率的に放熱できる。
【0042】
また、金属層202がレンズ駆動用IC12および電源IC14によって発せられる熱やノイズの影響を軽減するので、第1の実施の形態とは違い、第2の実施の形態ではレンズ駆動用IC12および電源IC14の配置場所に制約を設ける必要がない。これにより設計の自由度が増す。ただし、レンズ駆動用IC12および電源IC14を撮像部30とオーバーラップしない位置に埋め込んでもよい。この場合、第1の実施の形態で説明したように、それらのICが発する熱やノイズによる撮像部30への影響を軽減でき、むらのない安定した画像データを取得することができる。また、レンズ駆動用IC12または電源IC14は出力処理部32とオーバーラップする位置に埋め込まれてもよい。この場合、第1の実施の形態で説明したように、プリント基板の面積を削減できる。
【0043】
図3(a)〜(d)は、図2の金属層の端部の形状の変形例を示す断面図である。図3(a)では金属層242はプリント基板240の外部に露出しない。この場合金属層242を外部から絶縁したい場合に有利である。図3(b)では金属層252はプリント基板250の下面250aから露出する。外部からプリント基板250の下面250aへのアクセスは容易であることから、この場合は外部から金属層252へのアクセスが容易となる。図3(c)では、金属層262はプリント基板260の上面260aから露出する。この場合、撮像装置と金属層262とを接続する必要があるときにはその接続が容易となる。図3(d)では金属層272はプリント基板270の側面270aから露出する。この場合、構造が簡単であるのでプリント基板の製造工程を短縮できる。
【0044】
(第3の実施の形態)
図4(a)〜(b)は、第3の実施の形態に係る撮像モジュールを示す断面図である。図4(a)は、第3の実施の形態に係る撮像モジュールの一部を示す断面図である。図4(b)は、図4(a)のA−A線断面図である。第3の実施の形態に係る撮像モジュールは、プリント基板310の構成以外は第1の実施の形態に係る撮像モジュール100と同じである。プリント基板310の上面310aには撮像装置34が搭載される。撮像装置34は撮像部30および出力処理部32を有する。
【0045】
プリント基板310のIC埋設層320には、レンズ駆動用IC12、電源IC14およびメモリIC216が埋め込まれる。レンズ駆動用IC12、電源IC14およびメモリIC216の端子形状はボールグリッドアレイである。レンズ駆動用IC12は複数の端子12aを有する。電源IC14は複数の端子14aを有する。メモリIC216は複数の端子216aを有する。図4(a)に示される断面において、レンズ駆動用IC12の端子12aのひとつとメモリIC216の端子216aのひとつとが配線340によって接続されている。これ以外にも各ICの端子は適切に配線される。
【0046】
プリント基板310には、IC埋設層320と上面310aとの間に金属層202が設けられる。プリント基板310には、IC埋設層320を挟んで金属層202と反対側に別の金属層304が設けられる。プリント基板310は、IC埋設層320の中の隣接する2つのIC、例えば電源IC14とメモリIC216、の間を仕切る金属隔壁306を有する。金属隔壁306は第1金属層202または別の金属層304もしくはその両方と接続される。
【0047】
第3の実施の形態に係る撮像モジュールによれば、IC埋設層320の中の隣接する2つのICの間は金属隔壁306によって仕切られている。したがって、仕切られた一方のICと他方のICとの間の電磁波のノイズや電磁気的な干渉を低減することができ、撮像モジュールの動作の信頼性が向上する。また、ICから発せられる熱は金属隔壁306を伝わってプリント基板310全体に拡散する。したがってプリント基板310の局所的な温度上昇を軽減することができる。
【0048】
また、第3の実施の形態に係る撮像モジュールでは、IC埋設層320と上面310aとの間に第1金属層202が設けられる。したがって、第2の実施の形態で説明したように、各ICが発する熱やノイズによる撮像部への影響を軽減できる。
【0049】
また、第3の実施の形態に係る撮像モジュールでは、IC埋設層320中のICは金属層202、別の金属層304および金属隔壁306によってほぼ全方位が囲まれる構成となっている。したがって、熱の拡散効果およびノイズの遮断効果はより大となる。
【0050】
なお、レンズ駆動用IC12および電源IC14を撮像部30とオーバーラップしない位置に埋め込んでもよい。この場合、第1の実施の形態で説明したように、それらのICが発する熱やノイズによる撮像部30への影響を軽減でき、むらのない安定した画像データを取得することができる。また、レンズ駆動用IC12または電源IC14は出力処理部32とオーバーラップする位置に埋め込まれてもよい。この場合、第1の実施の形態で説明したように、プリント基板の面積を削減できる。
【0051】
(第4の実施の形態)
図5は、第4の実施の形態に係る撮像モジュールの一部を示す断面図である。第4の実施の形態に係る撮像モジュールは、プリント基板410の構成以外は第1の実施の形態に係る撮像モジュール100と同じである。プリント基板410の上面410aには撮像装置34が搭載される。撮像装置34は撮像部30および出力処理部32を有する。
【0052】
プリント基板410には、レンズ駆動用IC12および電源IC14が埋め込まれる。レンズ駆動用IC12および電源IC14の端子形状はボールグリッドアレイである。各ICの端子のうちの幾つかは、図示しない配線層を通じてコネクタ70のピンに接続される。
なお、レンズ駆動用IC12および電源IC14は他の用途のICで置き換えられてもよい。
【0053】
通常の配線に加え、各ICの端子のうち動作のテストに使用する端子に対して、その端子が面している方のプリント基板410の表面から金属のビア422、424が設けられる。ビア422、424は、各ICの端子からプリント基板410の表面に至るまでの部分が柱状に形成される。ビア422、424の径は、対応する各ICの端子の径程度とされる。レンズ駆動用IC12の端子12aに対してはビア422が設けられる。電源IC14の端子14aに対してはビア424が設けられる。
ビア422、424は、それらが接続されるICの端子をプリント基板410の表面へ引き出す役割を果たす。そしてレンズ駆動用IC12および電源IC14がプリント基板410に埋め込まれた状態でそれらのICの動作のテストを行う際は、ビア422、424のプリント基板410の表面に露出している部分に検査用のプローブを接触させる。
なお、動作のテストに使用する端子以外の端子に対して上述のようなビアを設けてもよい。
【0054】
第4の実施の形態に係る撮像モジュールによれば、各ICの端子のうち動作のテストに使用する端子は、ビア422、424によってプリント基板410の表面に引き出される。そして各ICがプリント基板410に埋め込まれた状態でそれらのICの動作のテストを行う際は、ビア422、424のプリント基板410の表面に露出している部分に検査用のプローブを接触させる。したがって、ICがプリント基板410に埋め込まれた状態で各ICの動作を個別に検査できるので、プリント基板410に埋め込まれた状態での各ICの動作を保証することができ、歩留まりが向上する。
また、ICが発熱する場合でも、そのICの端子に接続されたビアが放熱経路となり熱がプリント基板410の表面に伝わって逃げてゆくので、ICの放熱性も向上する。
【0055】
また、ビア422、424は、各ICの端子からプリント基板410の表面に至るまでの部分が柱状に形成される。したがってICの端子からプリント基板410の表面までをより短い距離でつなぐので放熱効果はより大きくなる。
【0056】
なお、レンズ駆動用IC12および電源IC14は撮像部30とオーバーラップしない位置に埋め込まれてもよい。この場合、第1の実施の形態で説明したように、それらのICが発する熱やノイズによる撮像部30への影響を軽減でき、むらのない安定した画像データを取得することができる。また、レンズ駆動用IC12または電源IC14は出力処理部32とオーバーラップする位置に埋め込まれてもよい。この場合、第1の実施の形態で説明したように、プリント基板の面積を削減できる。
【0057】
(第5の実施の形態)
図6は、第5の実施の形態に係る撮像モジュールの一部を示す断面図である。第5の実施の形態に係る撮像モジュールは、プリント基板510の構成以外は第1の実施の形態に係る撮像モジュール100と同じである。プリント基板510の上面510aには撮像装置34が搭載される。撮像装置34は撮像部30および出力処理部32を有する。
【0058】
プリント基板510には、レンズ駆動用IC12および電源IC14が埋め込まれる。レンズ駆動用IC12および電源IC14の端子形状はボールグリッドアレイである。各ICの端子に対しては、第4の実施の形態と同様にビア422、424が設けられる。
【0059】
レンズ駆動用IC12および電源IC14と上面510aとの間には金属層202が設けられる。隣接するレンズ駆動用IC12と電源IC14との間は金属隔壁306によって仕切られている。金属隔壁306は金属層202と接続される。
【0060】
第5の実施の形態に係る撮像モジュールによれば、第4の実施の形態で説明したように、プリント基板510に埋め込まれた状態での各ICの動作を保証することができる。また、第2の実施の形態で説明したように、各ICが発する熱やノイズによる撮像部への影響を軽減できる。また、第3の実施の形態で説明したように、IC間のノイズや干渉を軽減できる。
【0061】
なお、レンズ駆動用IC12および電源IC14は撮像部30とオーバーラップしない位置に埋め込まれてもよい。この場合、第1の実施の形態で説明したように、それらのICが発する熱やノイズによる撮像部30への影響を軽減でき、むらのない安定した画像データを取得することができる。また、レンズ駆動用IC12または電源IC14は出力処理部32とオーバーラップする位置に埋め込まれてもよい。この場合、第1の実施の形態で説明したように、プリント基板の面積を削減できる。
【0062】
以上、実施の形態に係る撮像モジュールの構成と動作について説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。また、実施の形態同士の任意の組み合わせもまた本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0063】
第3、第4および第5の実施の形態では、各ICの端子形状がボールグリッドアレイである場合について説明したが、それ以外の形状、たとえばTCP(Tape Carrier Package)やLGA(Land Grid Array)であってもよい。
【0064】
第1の実施の形態では、レンズ駆動用IC12および電源IC14が撮像部30とオーバーラップしない位置に埋め込まれる場合について説明したが、これに限られない。たとえばプリント基板に多種類のICが埋め込まれる場合は、それらのICが発する熱やノイズに基づいて撮像部30の下から除くべき優先度をそれぞれのICに設定してもよい。そしてその優先度が高いICから撮像部30とオーバーラップしない位置に埋め込んでもよい。ここで優先度が低いICについては撮像部30とオーバーラップする位置に埋め込んでもよい。この場合でも、レンズ駆動用ICおよび電源ICが撮像部30とオーバーラップしない位置に埋め込まれる場合と同様にむらのない安定した画像データを取得することができる。
【0065】
第2の実施の形態では、プリント基板210に金属層202が設けられる場合について説明したが、この層の材質は金属に限られない。例えば、シリコンなどの熱を拡散せしめる材料からなる熱拡散層を金属層202の代わりとしてもよい。この場合、プリント基板210の局所的な温度の上昇を抑えることができるので、熱による撮像部の特性への影響を抑えることができる。また、導電性プラスチックなどの電磁波のノイズを遮断するシールド層を金属層202の代わりとしてもよい。この場合、撮像モジュールの動作の信頼性が向上する
【0066】
第1、第2および第4の実施の形態ではレンズ駆動用IC12および電源IC14の両方がプリント基板に埋め込まれる場合について説明したが、これに限られない。たとえばレンズ駆動用IC12または電源IC14のいずれか一方がプリント基板に埋め込まれ、他方がプリント基板の表面に実装されてもよい。
【0067】
以上、実施の形態にもとづき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎないことはいうまでもなく、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】第1の実施の形態に係る撮像モジュールの断面図である。
【図2】第2の実施の形態に係る撮像モジュールの一部を示す断面図である。
【図3】図3(a)〜(d)は、図2の金属層の端部の形状の変形例を示す断面図である。
【図4】図4(a)〜(b)は、第3の実施の形態に係る撮像モジュールを示す断面図である。
【図5】第4の実施の形態に係る撮像モジュールの一部を示す断面図である。
【図6】第5の実施の形態に係る撮像モジュールの一部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0069】
10 プリント基板、 12 レンズ駆動用IC、 14 電源IC、 20 レンズ駆動機構、 30 撮像部、 32 出力処理部、 34 撮像装置、 40 ボンディングワイヤ、 50 樹脂、 60 透明板、 70 コネクタ、 80 レンズ、 100 撮像モジュール、 202 金属層、 306 金属隔壁、 422 ビア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズと、
前記レンズを駆動するレンズ駆動機構と、
前記レンズからの光を受光する撮像部と、
前記撮像部を一方の面側に搭載し、前記レンズ駆動機構を制御するレンズ駆動回路および電力を供給する電源回路のうちの少なくともひとつを含む半導体装置が埋め込まれる基板と、を備えることを特徴とする撮像モジュール。
【請求項2】
前記半導体装置は、前記撮像部とオーバーラップしない位置に埋め込まれることを特徴とする請求項1に記載の撮像モジュール。
【請求項3】
前記撮像部と隣接して設けられ、前記撮像部の出力を処理する出力処理部をさらに備え、
前記半導体装置は、前記出力処理部とオーバーラップする位置に埋め込まれることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像モジュール。
【請求項4】
前記基板は、熱を拡散せしめる熱拡散層を前記半導体装置と前記撮像部との間に有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の撮像モジュール。
【請求項5】
前記熱拡散層は、前記基板の外部にその一部が露出するよう形成されることを特徴とする請求項4に記載の撮像モジュール。
【請求項6】
前記熱拡散層の前記基板の外部への露出部分は放熱構造を有することを特徴とする請求項5に記載の撮像モジュール。
【請求項7】
前記基板は、電磁波のノイズを遮断するシールド層を前記半導体装置と前記撮像部との間に有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の撮像モジュール。
【請求項8】
前記基板は、金属層を前記半導体装置と前記撮像部との間に有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の撮像モジュール。
【請求項9】
前記金属層はその電位が固定されることを特徴とする請求項8に記載の撮像モジュール。
【請求項10】
前記基板は、一端が前記半導体装置の端子に接続され、他端が前記基板の表面から露出する金属の検査用端子を有し、
前記検査用端子の他端は、前記半導体装置のテストを行うためのプローブが接触できるよう前記基板の表面から露出することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の撮像モジュール。
【請求項11】
前記検査用端子では、前記半導体装置の端子から前記基板の表面に至るまでの部分は柱状に形成されることを特徴とする請求項10に記載の撮像モジュール。
【請求項12】
前記基板には、前記半導体装置が埋め込まれている層に、前記半導体装置と隣り合うように少なくともひとつの別の半導体装置が埋め込まれており、
前記基板は、前記半導体装置と前記別の半導体装置との間を仕切る金属の隔壁を有することを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の撮像モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−103628(P2010−103628A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271075(P2008−271075)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】