説明

撮像レンズ及びそれを用いた撮像装置

【課題】 レンズ径方向に小型で、光軸方向に薄型でありながら、諸収差が良好に補正された4枚構成の撮像レンズを提供する。
【解決手段】 撮像レンズ7は、物体側から像面側に向かって順に配置された、正のパワーを有する両凸レンズからなる第1レンズ1と、開口絞り5と、負のパワーを有し、物体側のレンズ面が凸面であるメニスカスレンズからなる第2レンズ2と、正のパワーを有し、物体側のレンズ面が凹面であるメニスカスレンズからなる第3レンズ3と、負のパワーを有する両凹レンズからなる第4レンズ4とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置を搭載した例えば携帯電話機などの小型のモバイル製品に好適な撮像レンズ、及び、当該撮像レンズを用いた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば携帯電話機などの小型のモバイル製品にも撮像装置(カメラモジュール)を搭載したものが普及し、かかる小型のモバイル製品を用いて簡易に写真撮影を行うことが一般的になってきている。そして、かかる小型のモバイル製品に搭載される小型の撮像装置用の撮像レンズとしては、メガピクセル以上の高画素な撮像素子に対応させることのできる4枚構成のものが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
特許文献1に記載の撮像レンズは、物体側から像面側に向かって順に配置された、正のパワーを有する第1レンズと、負のパワーを有する第2レンズと、正又は負のパワーを有する第3レンズと、正又は負のパワーを有する第4レンズとを備えている。
【0004】
特許文献2に記載の撮像レンズは、物体側から像面側に向かって順に配置された、正のパワーを有する第1レンズと、負のパワーを有する第2レンズと、正のパワーを有する第3レンズと、負のパワーを有し、物体側のレンズ面が変曲点を持つ非球面で形成された第4レンズとを備えている。
【0005】
特許文献3に記載の撮像レンズは、物体側から像面側に向かって順に配置された、正のパワーを有し、像面側のレンズ面が凸面である第1レンズと、開口絞りと、負のパワーを有し、像面側のレンズ面が凸面である第2レンズと、正のパワーを有する第3レンズと、負のパワーを有する第4レンズとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-017984号公報
【特許文献1】特開2008-268946号公報
【特許文献1】特開2009-003443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の撮像レンズは、光学系の像サイズに対して第4レンズのレンズ径が大きくなり、レンズ径方向の小型化を図ることが困難となる。また、最終レンズである第4レンズのレンズ径の増大により、レンズを保持するレンズ枠(あるいは、鏡筒、バレル)が大きくなり、オートフォーカス用アクチュエータやレンズ枠を保持する機構部材へのレンズユニット(レンズ枠等に保持されたレンズ)の組込みが困難となる。なぜなら、オートフォーカス用アクチュエータ等は汎用化されており、挿入可能なレンズユニットの大きさが制限されているからである。また、最終レンズである第4レンズのレンズ径の増大により、不良品であると判断された場合の撮像レンズの交換が困難となる。なぜなら、撮像レンズは、オートフォーカス用アクチュエータ等に組み込まれた状態でその性能が検査され、最終レンズである第4レンズのレンズ径が大きい撮像レンズの交換は、オートフォーカス用アクチュエータ等を分解した状態で行う必要があるからである。
【0008】
また、特許文献2、3に記載の撮像レンズも、特許文献1に記載の撮像レンズの上記問題点と同じ問題点を有する。さらに、特許文献2、3に記載の撮像レンズは、光学全長も大きくなり、光軸方向の薄型化を図ることも困難となる。
【0009】
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、レンズ径方向に小型で、光軸方向に薄型でありながら、諸収差が良好に補正された4枚構成の撮像レンズ、及び、当該撮像レンズを用いた撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明に係る撮像レンズの構成は、物体側から像面側に向かって順に配置された、正のパワーを有する両凸レンズからなる第1レンズと、開口絞りと、負のパワーを有し、物体側のレンズ面が凸面であるメニスカスレンズからなる第2レンズと、正のパワーを有し、物体側のレンズ面が凹面であるメニスカスレンズからなる第3レンズと、負のパワーを有する両凹レンズからなる第4レンズとを備えたことを特徴とする。
【0011】
前記本発明の撮像レンズの構成によれば、レンズ径方向に小型で、光軸方向に薄型でありながら、諸収差が良好に補正された撮像レンズを提供することができる。より具体的には、第1レンズを両凸レンズ、第2レンズを、負のパワーを有し、物体側のレンズ面が凸面であるメニスカスレンズとすることにより、レンズ径方向に小型で、光軸方向に薄型でありながら、特に球面収差及びコマ収差が良好に補正された撮像レンズを提供することができる。また、第3レンズを、正のパワーを有し、物体側のレンズ面が凹面であるメニスカスレンズ、第4レンズを両凹レンズとすることにより、レンズ径方向に小型で、光軸方向に薄型でありながら、特に非点収差及び歪曲収差が良好に補正された撮像レンズを提供することができる。また、開口絞りを、第1レンズと第2レンズとの間に配置することにより、レンズ径方向のさらなる小型化を図ることが可能となる。
【0012】
そして、以上のことから、前記本発明の撮像レンズの構成によれば、諸収差が良好に補正され、携帯電話機などの小型、薄型の携帯機器に搭載される小型で高画素の撮像素子(例えば、画素ピッチが2μm以下(例えば、1.75μm、1.4μm、1.1μm)の微細セルで構成された高画素(3〜16メガピクセル)のCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ)に対応させることのできる4枚構成のコンパクト(小型、薄型)な撮像レンズを提供することができる。また、このように、前記本発明の撮像レンズの構成によれば、レンズ材料の如何に関わらず、小型で高画素の撮像素子に対応させることができるので、レンズ材料としてプラスチックを用いることにより、低コスト化を図ることもできる。
【0013】
前記本発明の撮像レンズの構成においては、前記第1レンズ及び前記第2レンズの少なくとも1つのレンズ面に回折光学素子が形成されているのが好ましい。この好ましい例によれば、回折作用によって色収差を良好に補正することができる。
【0014】
また、前記本発明の撮像レンズの構成においては、前記開口絞りの物体側の面から前記第4レンズの像面側のレンズ面までの光軸に沿った距離をDS、光学系全体の焦点距離をfとしたとき、下記条件式(1)を満足するのが好ましい。
【0015】
0.3<DS/f<0.7 ・・・(1)
上記条件式(1)は、撮像レンズのさらなるコンパクト化(小型化、薄型化)を図るための条件式であり、上記条件式(1)を満足させることにより、レンズ径方向にさらに小型で、光軸方向にさらに薄型でありながら、諸収差が良好に補正された撮像レンズを提供することができる。
【0016】
DS/fが0.7以上になると、開口絞りの物体側の面から最終レンズである第4レンズの像面側のレンズ面までの光軸に沿った距離が大きくなり過ぎると共に、最終レンズである第4レンズの有効径が大きくなり、さらなるコンパクト化(小型化、薄型化)を図ることが困難となる。また、最終レンズである第4レンズのレンズ径の増大により、レンズを保持するレンズ枠(あるいは、鏡筒、バレル)が大きくなり、オートフォーカス用アクチュエータやレンズ枠を保持する機構部材へのレンズユニットの組込みが困難となる。なぜなら、オートフォーカス用アクチュエータ等は汎用化されており、挿入可能なレンズユニットの大きさが制限されているからである。さらに、最終レンズである第4レンズのレンズ径の増大により、不良品であると判断された場合の撮像レンズの交換が困難となる。なぜなら、撮像レンズは、オートフォーカス用アクチュエータ等に組み込まれた状態でその性能が検査され、最終レンズである第4レンズのレンズ径が大きい撮像レンズの交換は、オートフォーカス用アクチュエータ等を分解した状態で行う必要があるからである。一方、DS/fが0.3以下になると、開口絞りから最終レンズである第4レンズの像面側のレンズ面までの間に配置されるレンズ(具体的には、第2レンズ、第3レンズ、第4レンズ)の肉厚を小さくする必要があり、その結果、収差補正に不利になると共に、レンズの製造が困難となる。
【0017】
また、前記本発明の撮像レンズの構成においては、前記開口絞りの物体側の面から前記第4レンズの像面側のレンズ面までの光軸に沿った距離をDS、像面での最大像高をY’としたとき、下記条件式(2)を満足するのが好ましい。
【0018】
0.5<DS/Y’ <1.4 ・・・(2)
上記条件式(2)は、撮像レンズのさらなるコンパクト化(小型化、薄型化)を図るための条件式であり、上記条件式(2)を満足させることにより、レンズ径方向にさらに小型で、光軸方向にさらに薄型でありながら、諸収差が良好に補正された撮像レンズを提供することができる。
【0019】
DS/Y’が1.4以上になると、開口絞りの物体側の面から最終レンズである第4レンズの像面側のレンズ面までの光軸に沿った距離が大きくなり過ぎると共に、最終レンズである第4レンズの有効径が大きくなり、さらなるコンパクト化(小型化、薄型化)を図ることが困難となる。また、最終レンズである第4レンズのレンズ径の増大により、レンズを保持するレンズ枠(あるいは、鏡筒、バレル)が大きくなり、オートフォーカス用アクチュエータやレンズ枠を保持する機構部材へのレンズユニットの組込みが困難となる。さらに、最終レンズである第4レンズのレンズ径の増大により、不良品であると判断された場合の撮像レンズの交換が困難となる。一方、DS/Y’が0.5以下になると、開口絞りから最終レンズである第4レンズの像面側のレンズ面までの間に配置されるレンズ(具体的には、第2レンズ、第3レンズ、第4レンズ)の肉厚を小さくする必要があり、その結果、収差補正に不利になると共に、レンズの製造が困難となる。
【0020】
また、前記本発明の撮像レンズの構成においては、前記第4レンズと像面との間に配置された、光学フィルタ及び撮像素子のカバーガラスに等価な透明な平行平板をさらに備え、前記平行平板の部分を空気長換算したときの、前記開口絞りの物体側の面から像面までの光軸に沿った距離をDI、像面での最大像高をY’としたとき、下記条件式(3)を満足するのが好ましい。
【0021】
0.8<DI/Y’<1.8 ・・・(3)
上記条件式(3)は、撮像レンズのさらなる薄型化を図るための条件式であり、上記条件式(3)を満足させることにより、光軸方向にさらに薄型でありながら、良好な画像を得ることのできる撮像レンズを提供することができる。
【0022】
DI/Y’が1.8以上になると、それに伴って、第1レンズの物体側のレンズ面から撮像素子の撮像面までの光軸に沿った距離である光学全長が大きくなり、光軸方向のさらなる薄型化を図ることが困難となる。一方、DI/Y’が0.8以下になると、像面に配置された撮像素子への光線入射角が大きくなる。そして、これが大きくなり過ぎると、撮像素子の受光部が受け取る光量が低下し、良好な画像が得られなくなる。
【0023】
また、前記本発明の撮像レンズの構成においては、光学系全体の焦点距離をf、前記第1レンズの焦点距離をf1、前記第2レンズの焦点距離をf2、前記第3レンズの焦点距離をf3、前記第4レンズの焦点距離をf4としたとき、下記条件式(4)〜(7)を満足するのが好ましい。
【0024】
0.5<f1/f<0.9 ・・・(4)
−1.3<f2/f<−0.7 ・・・(5)
0.4<f3/f<0.8 ・・・(6)
−1.0<f4/f<−0.4 ・・・(7)
上記条件式(4)は、光学系全体に対する第1レンズのパワーバランスに関する条件式である。f1/fが0.5以下又は0.9以上になると、光学全長をさらに小さく保ったまま、コマ収差、球面収差及び非点収差を良好に補正することが困難となり、その結果、光軸方向のさらなる薄型化を図ることが困難となる。また、第1レンズのレンズ径をさらに小さく保ったまま、コマ収差、球面収差及び非点収差を良好に補正することが困難となり、その結果、レンズ径方向のさらなる小型化を図ることが困難となる。
【0025】
上記条件式(5)は、光学系全体に対する第2レンズのパワーバランスに関する条件式である。f2/fが−1.3以下又は−0.7以上になると、光学全長をさらに小さく保ったまま、コマ収差、球面収差及び非点収差を良好に補正することが困難となり、その結果、光軸方向のさらなる薄型化を図ることが困難となる。また、第2レンズのレンズ径をさらに小さく保ったまま、コマ収差、球面収差及び非点収差を良好に補正することが困難となり、その結果、レンズ径方向のさらなる小型化を図ることが困難となる。
【0026】
上記条件式(6)は、光学系全体に対する第3レンズ3のパワーバランスに関する条件式である。f3/fが0.4以下又は0.8以上になると、光学全長をさらに小さく保ったまま、コマ収差、球面収差及び非点収差を良好に補正することが困難となり、その結果、光軸方向のさらなる薄型化を図ることが困難となる。また、第3レンズのレンズ径をさらに小さく保ったまま、コマ収差、球面収差及び非点収差を良好に補正することが困難となり、その結果、レンズ径方向のさらなる小型化を図ることが困難となる。
【0027】
上記条件式(7)は、光学系全体に対する第4レンズのパワーバランスに関する条件式である。f4/fが−1.0以下又は−0.4以上になると、光学全長をさらに小さく保ったまま、コマ収差、球面収差及び非点収差を良好に補正することが困難となり、その結果、光軸方向のさらなる薄型化を図ることが困難となる。また、第4レンズのレンズ径をさらに小さく保ったまま、コマ収差、球面収差及び非点収差を良好に補正することが困難となり、その結果、レンズ径方向のさらなる小型化を図ることが困難となる。そして、最終レンズである第4レンズのレンズ径の増大により、レンズを保持するレンズ枠(あるいは、鏡筒、バレル)が大きくなり、オートフォーカス用アクチュエータやレンズ枠を保持する機構部材へのレンズユニットの組込みが困難となる。また、最終レンズである第4レンズのレンズ径の増大により、不良品であると判断された場合の撮像レンズの交換が困難となる。
【0028】
すなわち、上記条件式(4)〜(7)を同時に満足することにより、レンズ径方向にさらに小型で、光軸方向にさらに薄型でありながら、諸収差が良好に補正された撮像レンズを提供することができる。
【0029】
また、本発明に係る撮像装置の構成は、被写体に対応した光信号を画像信号に変換して出力する撮像素子と、前記撮像素子の撮像面に前記被写体の像を結像させる撮像レンズとを備えた撮像装置であって、前記撮像レンズとして前記本発明の撮像レンズを用いたことを特徴とする。
【0030】
前記本発明の撮像装置の構成によれば、撮像レンズとして前記本発明の撮像レンズを用いていることにより、コンパクトで高性能な撮像装置、ひいては当該撮像装置が搭載されるコンパクトで高性能な携帯電話機などのモバイル製品を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、レンズ径方向に小型で、光軸方向に薄型でありながら、諸収差が良好に補正された4枚構成の撮像レンズ、及び、当該撮像レンズを用いた撮像装置を提供することができる。従って、本発明によれば、コンパクト(小型、薄型)でありながら、メガピクセル以上の高画素な撮像素子に対応可能な4枚構成の撮像レンズ、及び、当該撮像レンズを用いた撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態における撮像レンズの構成を示す配置図である。
【図2】図2は、本発明の実施例1における撮像レンズの収差図((a)は球面収差の図(軸上色収差の図)、(b)は非点収差の図、(c)は歪曲収差の図)である。
【図3】図3は、本発明の第2の実施の形態における撮像レンズの構成を示す配置図である。
【図4】図4は、本発明の実施例2における撮像レンズの収差図((a)は球面収差の図(軸上色収差の図)、(b)は非点収差の図、(c)は歪曲収差の図)である。
【図5】図5は、本発明の第3の実施の形態における撮像レンズの構成を示す配置図である。
【図6】図6は、本発明の実施例3における撮像レンズの収差図((a)は球面収差の図(軸上色収差の図)、(b)は非点収差の図、(c)は歪曲収差の図)である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、実施の形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
【0034】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態における撮像レンズの構成を示す配置図である。
【0035】
図1に示すように、本実施の形態の撮像レンズ7は、物体側(図1では左側)から像面側(図1では右側)に向かって順に配置された、正のパワーを有する両凸レンズからなる第1レンズ1と、開口絞り5と、負のパワーを有し、物体側のレンズ面が凸面であるメニスカスレンズからなる第2レンズ2と、正のパワーを有し、物体側のレンズ面が凹面であるメニスカスレンズからなる第3レンズ3と、負のパワーを有する両凹レンズからなる第4レンズ4とを備えている。ここで、パワーは、焦点距離の逆数で定義される量である。撮像レンズ7は、撮像素子(例えば、CCD)の撮像面Sに対して光学像を形成する(被写体の像を結像させる)撮像用の単焦点レンズであり、撮像素子は、被写体に対応した光信号を画像信号に変換して出力する。そして、撮像素子と、撮像レンズ7とを用いて撮像装置が構成される。
【0036】
本実施の形態の撮像レンズ7の構成によれば、レンズ径方向に小型で、光軸方向に薄型でありながら、諸収差が良好に補正された撮像レンズ7を提供することができる。より具体的には、第1レンズ1を両凸レンズ、第2レンズ2を、負のパワーを有し、物体側のレンズ面が凸面であるメニスカスレンズとすることにより、レンズ径方向に小型で、光軸方向に薄型でありながら、特に球面収差及びコマ収差が良好に補正された撮像レンズ7を提供することができる。また、第3レンズ3を、正のパワーを有し、物体側のレンズ面が凹面であるメニスカスレンズ、第4レンズ4を両凹レンズとすることにより、レンズ径方向に小型で、光軸方向に薄型でありながら、特に非点収差及び歪曲収差が良好に補正された撮像レンズ7を提供することができる。また、開口絞り5を、第1レンズ1と第2レンズ2との間に配置することにより、レンズ径方向のさらなる小型化を図ることが可能となる。
【0037】
そして、以上のことから、本実施の形態の撮像レンズ7の構成によれば、諸収差が良好に補正され、携帯電話機などの小型、薄型の携帯機器に搭載される小型で高画素の撮像素子(例えば、画素ピッチが2μm以下(例えば、1.75μm、1.4μm、1.1μm)の微細セルで構成された高画素(3〜16メガピクセル)のCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ)に対応させることのできる4枚構成のコンパクト(小型、薄型)な撮像レンズ7を提供することができる。また、このように、本実施の形態の撮像レンズ7の構成によれば、レンズ材料の如何に関わらず、小型で高画素の撮像素子に対応させることができるので、レンズ材料としてプラスチックを用いることにより、低コスト化を図ることもできる。
【0038】
第4レンズ4と撮像素子の撮像面Sとの間には、透明な平行平板6が配置されている。ここで、平行平板6は、光学ローパスフィルタとIRカットフィルタと撮像素子のフェースプレート(カバーガラス)に等価な平板である。
【0039】
開口絞り5を除く、第1レンズ1の物体側のレンズ面から平行平板6の像面側の面に至る各面(以下「光学面」ともいう)を、物体側から順に、「第1面」、「第2面」、「第3面」、「第4面」、・・・、「第8面」、「第9面」、「第10面」と呼ぶこととする(後述する第2及び第3の実施の形態についても同様である)。
【0040】
本実施の形態の撮像レンズ7は、下記条件式(1)を満足するのが望ましい。
【0041】
0.3<DS/f<0.7 ・・・(1)
ここで、DSは開口絞り5の物体側の面から第4レンズ4の像面側のレンズ面までの光軸に沿った距離、fは光学系全体の焦点距離である。
【0042】
上記条件式(1)は、撮像レンズ7のさらなるコンパクト化(小型化、薄型化)を図るための条件式であり、上記条件式(1)を満足させることにより、レンズ径方向にさらに小型で、光軸方向にさらに薄型でありながら、諸収差が良好に補正された撮像レンズ7を提供することができる。
【0043】
DS/fが0.7以上になると、開口絞り5の物体側の面から最終レンズである第4レンズ4の像面側のレンズ面までの光軸に沿った距離が大きくなり過ぎると共に、最終レンズである第4レンズ4の有効径が大きくなり、さらなるコンパクト化(小型化、薄型化)を図ることが困難となる。また、最終レンズである第4レンズ4のレンズ径の増大により、レンズを保持するレンズ枠(あるいは、鏡筒、バレル)が大きくなり、オートフォーカス用アクチュエータやレンズ枠を保持する機構部材へのレンズユニットの組込みが困難となる。なぜなら、オートフォーカス用アクチュエータ等は汎用化されており、挿入可能なレンズユニットの大きさが制限されているからである。さらに、最終レンズである第4レンズ4のレンズ径の増大により、不良品であると判断された場合の撮像レンズ7の交換が困難となる。なぜなら、撮像レンズ7は、オートフォーカス用アクチュエータ等に組み込まれた状態でその性能が検査され、最終レンズである第4レンズ4のレンズ径が大きい撮像レンズ7の交換は、オートフォーカス用アクチュエータ等を分解した状態で行う必要があるからである。一方、DS/fが0.3以下になると、開口絞り5から最終レンズである第4レンズ4の像面側のレンズ面までの間に配置されるレンズ(具体的には、第2レンズ2、第3レンズ3、第4レンズ4)の肉厚を小さくする必要があり、その結果、収差補正に不利になると共に、レンズの製造が困難となる。
【0044】
また、本実施の形態の撮像レンズ7は、下記条件式(2)を満足するのが望ましい。
【0045】
0.5<DS/Y’ <1.4 ・・・(2)
ここで、Y’は像面での最大像高(光軸から最も離れた像点までの距離)である。
【0046】
上記条件式(2)は、撮像レンズ7のさらなるコンパクト化(小型化、薄型化)を図るための条件式であり、上記条件式(2)を満足させることにより、レンズ径方向にさらに小型で、光軸方向にさらに薄型でありながら、諸収差が良好に補正された撮像レンズ7を提供することができる。
【0047】
DS/Y’が1.4以上になると、開口絞り5の物体側の面から最終レンズである第4レンズ4の像面側のレンズ面までの光軸に沿った距離が大きくなり過ぎると共に、最終レンズである第4レンズ4の有効径が大きくなり、さらなるコンパクト化(小型化、薄型化)を図ることが困難となる。また、最終レンズである第4レンズ4のレンズ径の増大により、レンズを保持するレンズ枠(あるいは、鏡筒、バレル)が大きくなり、オートフォーカス用アクチュエータやレンズ枠を保持する機構部材へのレンズユニットの組込みが困難となる。さらに、最終レンズである第4レンズ4のレンズ径の増大により、不良品であると判断された場合の撮像レンズ7の交換が困難となる。一方、DS/Y’が0.5以下になると、開口絞り5から最終レンズである第4レンズ4の像面側のレンズ面までの間に配置されるレンズ(具体的には、第2レンズ2、第3レンズ3、第4レンズ4)の肉厚を小さくする必要があり、その結果、収差補正に不利になると共に、レンズの製造が困難となる。
【0048】
さらには、本実施の形態の撮像レンズ7は、下記条件式(2)’を満足するのが望ましい。
【0049】
0.5<DS/Y’ <1.0 ・・・(2)’
また、本実施の形態の撮像レンズ7は、下記条件式(3)を満足するのが望ましい。
【0050】
0.8<DI/Y’<1.8 ・・・(3)
ここで、DIは、平行平板6の部分を空気長換算したときの、開口絞り5の物体側の面から像面までの光軸に沿った距離である。
【0051】
上記条件式(3)は、撮像レンズ7のさらなる薄型化を図るための条件式であり、上記条件式(3)を満足させることにより、光軸方向にさらに薄型でありながら、良好な画像を得ることのできる撮像レンズ7を提供することができる。
【0052】
DI/Y’が1.8以上になると、それに伴って、第1レンズ1の物体側のレンズ面から撮像素子の撮像面Sまでの光軸に沿った距離である光学全長が大きくなり、光軸方向のさらなる薄型化を図ることが困難となる。一方、DI/Y’が0.8以下になると、像面に配置された撮像素子への光線入射角が大きくなる。そして、これが大きくなり過ぎると、撮像素子の受光部が受け取る光量が低下し、良好な画像が得られなくなる。
【0053】
また、本実施の形態の撮像レンズ7は、下記条件式(4)〜(7)を満足するのが望ましい。
【0054】
0.5<f1/f<0.9 ・・・(4)
−1.3<f2/f<−0.7 ・・・(5)
0.4<f3/f<0.8 ・・・(6)
−1.0<f4/f<−0.4 ・・・(7)
ここで、fは光学系全体の焦点距離、f1は第1レンズ1の焦点距離、f2は第2レンズ2の焦点距離、f3は第3レンズ3の焦点距離、f4は第4レンズ4の焦点距離である。
【0055】
上記条件式(4)は、光学系全体に対する第1レンズ1のパワーバランスに関する条件式である。f1/fが0.5以下又は0.9以上になると、光学全長をさらに小さく保ったまま、コマ収差、球面収差及び非点収差を良好に補正することが困難となり、その結果、光軸方向のさらなる薄型化を図ることが困難となる。また、第1レンズ1のレンズ径をさらに小さく保ったまま、コマ収差、球面収差及び非点収差を良好に補正することが困難となり、その結果、レンズ径方向のさらなる小型化を図ることが困難となる。
【0056】
上記条件式(5)は、光学系全体に対する第2レンズ2のパワーバランスに関する条件式である。f2/fが−1.3以下又は−0.7以上になると、光学全長をさらに小さく保ったまま、コマ収差、球面収差及び非点収差を良好に補正することが困難となり、その結果、光軸方向のさらなる薄型化を図ることが困難となる。また、第2レンズ2のレンズ径をさらに小さく保ったまま、コマ収差、球面収差及び非点収差を良好に補正することが困難となり、その結果、レンズ径方向のさらなる小型化を図ることが困難となる。
【0057】
上記条件式(6)は、光学系全体に対する第3レンズ3のパワーバランスに関する条件式である。f3/fが0.4以下又は0.8以上になると、光学全長をさらに小さく保ったまま、コマ収差、球面収差及び非点収差を良好に補正することが困難となり、その結果、光軸方向のさらなる薄型化を図ることが困難となる。また、第3レンズ3のレンズ径をさらに小さく保ったまま、コマ収差、球面収差及び非点収差を良好に補正することが困難となり、その結果、レンズ径方向のさらなる小型化を図ることが困難となる。
【0058】
上記条件式(7)は、光学系全体に対する第4レンズ4のパワーバランスに関する条件式である。f4/fが−1.0以下又は−0.4以上になると、光学全長をさらに小さく保ったまま、コマ収差、球面収差及び非点収差を良好に補正することが困難となり、その結果、光軸方向のさらなる薄型化を図ることが困難となる。また、第4レンズ4のレンズ径をさらに小さく保ったまま、コマ収差、球面収差及び非点収差を良好に補正することが困難となり、その結果、レンズ径方向のさらなる小型化を図ることが困難となる。そして、最終レンズである第4レンズ4のレンズ径の増大により、レンズを保持するレンズ枠(あるいは、鏡筒、バレル)が大きくなり、オートフォーカス用アクチュエータやレンズ枠を保持する機構部材へのレンズユニットの組込みが困難となる。また、最終レンズである第4レンズ4のレンズ径の増大により、不良品であると判断された場合の撮像レンズ7の交換が困難となる。
【0059】
すなわち、上記条件式(4)〜(7)を同時に満足させることにより、レンズ径方向にさらに小型で、光軸方向にさらに薄型でありながら、諸収差が良好に補正された撮像レンズ7を提供することができる。
【0060】
(実施例1)
以下、具体的実施例を挙げて、本実施の形態における撮像レンズをさらに詳細に説明する。
【0061】
下記(表1)に、本実施例における撮像レンズ7の具体的数値例を示す。
【0062】
【表1】

【0063】
上記(表1)において、r(mm)は光学面の曲率半径、d(mm)は第1〜第4レンズ1〜4並びに平行平板6の軸上での肉厚又は面間隔、nは第1〜第4レンズ1〜4並びに平行平板6のd線(587.5600nm)に対する屈折率、νは第1〜第4レンズ1〜4並びに平行平板6のd線に対するアッベ数を示している(下記の実施例2、3についても同様である)。尚、図1に示す撮像レンズ7は、上記(表1)のデータに基づいて構成されたものである。
【0064】
上記(表1)に示しているように、第1〜第4レンズ1〜4のすべてのレンズ面は非球面形状となっているが、必ずしもかかる構成に限定されるものではない。
【0065】
レンズ面の非球面形状は、下記(数1)で与えられる(下記の実施例2、3についても同様である)。
【0066】
【数1】

【0067】
但し、上記(数1)中、Yは光軸からの高さ、Xは光軸からの高さがYの非球面形状の非球面頂点の接平面からの距離、R0は非球面頂点の曲率半径、κは円錐常数、A4、A6、A8、A10、A12、A14はそれぞれ4次、6次、8次、10次、12次、14次の非球面係数を表わしている。
【0068】
また、下記(表2A)、(表2B)に、本実施例における撮像レンズ7の非球面係数(円錐常数を含む)を示す。下記(表2A)、(表2B)中、「E+00」、「E−02」等は、それぞれ「10+00 」、「10-02 」等を表わすものとする(下記の実施例2、3についても同様である)。
【0069】
【表2A】

【0070】
【表2B】

【0071】
また、下記(表3)に、本実施例における撮像レンズ7の、光学系全体の焦点距離f(mm)、Fナンバー(F値)Fno、最大像高Y’、 平行平板6の部分を空気長換算したときの光学全長TL(mm)、及び、条件式(1)〜(7)の値を示す。
【0072】
【表3】

【0073】
図2に、本実施例における撮像レンズ7の収差図を示す。図2において、(a)は球面収差の図であり、実線はg線(435.8300nm)、長い破線はC線(656.2700nm)、短い破線はF線(486.1300nm)、二点鎖線はd線(587.5600nm)、一点鎖線はe線(546.0700nm)に対する値を示している。(b)は非点収差の図であり、実線はサジタル像面湾曲、破線はメリディオナル像面湾曲を示している。(c)は歪曲収差の図である。尚、軸上色収差の図は、図2(a)の球面収差の図と同じである。
【0074】
図2に示す収差図から明らかなように、本実施例の撮像レンズ7は、諸収差が良好に補正され、メガピクセル以上の高画素な撮像素子に対応可能であることが分かる。そして、このことに加え、上記(表3)の結果を考慮すれば、コンパクト化(小型化、薄型化)を図ることができ、かつ、諸収差が良好に補正され、携帯電話機などの小型、薄型のモバイル製品に搭載されるメガピクセル以上の高画素な撮像素子に対応させることのできる高性能な4枚構成の撮像レンズが得られていることが分かる。
【0075】
[第2の実施の形態]
図3は、本発明の第2の実施の形態における撮像レンズの構成を示す配置図である。
【0076】
図3に示すように、本実施の形態の撮像レンズ14は、物体側(図3では左側)から像面側(図3では右側)に向かって順に配置された、正のパワーを有する両凸レンズからなる第1レンズ8と、開口絞り12と、負のパワーを有し、物体側のレンズ面が凸面であるメニスカスレンズからなる第2レンズ9と、正のパワーを有し、物体側のレンズ面が凹面であるメニスカスレンズからなる第3レンズ10と、負のパワーを有する両凹レンズからなる第4レンズ11とを備えている。
【0077】
第4レンズ11と撮像素子の撮像面Sとの間には、上記第1の実施の形態の平行平板6と同様の透明な平行平板13が配置されている。
【0078】
本実施の形態の撮像レンズ14においては、第1レンズ8及び第2レンズ9の少なくとも1つのレンズ面に回折光学素子が形成されているのが望ましい。この望ましい構成によれば、回折作用によって色収差を良好に補正することができる。
【0079】
回折光学素子が形成されたレンズ面(以下「回折光学素子面」という)の形状は、例えば、下記(数2)で与えられる(後述する第3の実施の形態についても同様である)。
[数2]
φ(ρ)=(2π/λ0 )(C2ρ2 +C4ρ4
Y=ρ
但し、上記(数2)中、φ(ρ)は位相関数、Yは光軸からの高さ、Cnはn次の位相係数、λ0 は設計波長を表わしている。尚、Xは、回折次数をMとし、φ(ρ)を形状変換することによって決定される。
【0080】
また、本実施の形態の撮像レンズ14も、上記条件式(1)〜(7)を満足するのが望ましい。
【0081】
そして、本実施の形態の撮像レンズ14の構成によっても、上記第1の実施の形態の撮像レンズ7の構成による作用効果と同様の作用効果が得られる。
【0082】
(実施例2)
以下、具体的実施例を挙げて、本実施の形態における撮像レンズをさらに詳細に説明する。
【0083】
下記(表4)に、本実施例における撮像レンズ14の具体的数値例を示す。尚、図3に示す撮像レンズ14は、下記(表4)のデータに基づいて構成されたものである。
【0084】
【表4】

【0085】
上記(表4)に示しているように、本実施例においては、第2面(第1レンズ8の像面側のレンズ面)が回折光学素子面となっている。
【0086】
また、下記(表5A)、(表5B)に、本実施例における撮像レンズ14の非球面係数(円錐常数を含む)を示す。
【0087】
【表5A】

【0088】
【表5B】

【0089】
尚、上記(表4)、(表5A)、(表5B)に示しているように、本実施例の撮像レンズ14においては、第1〜第4レンズ8〜11のすべてのレンズ面が非球面形状となっているが、必ずしもかかる構成に限定されるものではない。
【0090】
また、上記(表4)に示しているように、第2面(第1レンズ8の像面側のレンズ面)は回折光学素子面であり、当該回折光学素子面の具体的数値例は下記(表6)に示す通りである。
【0091】
【表6】

【0092】
尚、このように、本実施例の撮像レンズ14においては、第1レンズ8の像面側のレンズ面に回折光学素子が形成されているが、必ずしもかかる構成に限定されるものではない。第1レンズ8の物体側のレンズ面、第1レンズ8の像面側のレンズ面、第2レンズ9の物体側のレンズ面、及び、第2レンズ9の像面側のレンズ面の少なくとも1つに回折光学素子が形成されていればよく、この場合においても、回折作用によって色収差を良好に補正することができる。
【0093】
また、下記(表7)に、本実施例における撮像レンズ14の、光学系全体の焦点距離f(mm)、Fナンバー(F値)Fno、最大像高Y’、 平行平板13の部分を空気長換算したときの光学全長TL(mm)、及び、条件式(1)〜(7)の値を示す。
【0094】
【表7】

【0095】
図4に、本実施例における撮像レンズ14の収差図を示す。図4において、(a)は球面収差の図であり、実線はg線、長い破線はC線、短い破線はF線、二点鎖線はd線、一点鎖線はe線に対する値を示している。(b)は非点収差の図であり、実線はサジタル像面湾曲、破線はメリディオナル像面湾曲を示している。(c)は歪曲収差の図である。尚、軸上色収差の図は、図4(a)の球面収差の図と同じである。
【0096】
図4に示す収差図から明らかなように、本実施例の撮像レンズ14は、諸収差が良好に補正され、メガピクセル以上の高画素な撮像素子に対応可能であることが分かる。そして、このことに加え、上記(表7)の結果を考慮すれば、コンパクト化(小型化、薄型化)を図ることができ、かつ、諸収差が良好に補正され、携帯電話機などの小型、薄型のモバイル製品に搭載されるメガピクセル以上の高画素な撮像素子に対応させることのできる高性能な4枚構成の撮像レンズが得られていることが分かる。
【0097】
[第3の実施の形態]
図5は、本発明の第3の実施の形態における撮像レンズの構成を示す配置図である。
【0098】
図5に示すように、本実施の形態の撮像レンズ21は、物体側(図5では左側)から像面側(図5では右側)に向かって順に配置された、正のパワーを有する両凸レンズからなる第1レンズ15と、開口絞り19と、負のパワーを有し、物体側のレンズ面が凸面であるメニスカスレンズからなる第2レンズ16と、正のパワーを有し、物体側のレンズ面が凹面であるメニスカスレンズからなる第3レンズ17と、負のパワーを有する両凹レンズからなる第4レンズ18とを備えている。
【0099】
第4レンズ18と撮像素子の撮像面Sとの間には、上記第1の実施の形態の平行平板6と同様の透明な平行平板20が配置されている。
【0100】
本実施の形態の撮像レンズ21においても、第1レンズ15及び第2レンズ16の少なくとも1つのレンズ面に回折光学素子が形成されているのが望ましい。
【0101】
また、本実施の形態の撮像レンズ21も、上記条件式(1)〜(7)を満足するのが望ましい。
【0102】
そして、本実施の形態の撮像レンズ21の構成によっても、上記第1の実施の形態の撮像レンズ7の構成による作用効果と同様の作用効果が得られる。
【0103】
(実施例3)
以下、具体的実施例を挙げて、本実施の形態における撮像レンズをさらに詳細に説明する。
【0104】
下記(表8)に、本実施例における撮像レンズ21の具体的数値例を示す。尚、図5に示す撮像レンズ21は、下記(表8)のデータに基づいて構成されたものである。
【0105】
【表8】

【0106】
上記(表8)に示しているように、本実施例においても、第2面(第1レンズ15の像面側のレンズ面)が回折光学素子面となっている。
【0107】
また、下記(表9A)、(表9B)に、本実施例における撮像レンズ21の非球面係数(円錐常数を含む)を示す。
【0108】
【表9A】

【0109】
【表9B】

【0110】
尚、上記(表8)、(表9A)、(表9B)に示しているように、本実施例の撮像レンズ21においては、第1〜第4レンズ15〜18のすべてのレンズ面が非球面形状となっているが、必ずしもかかる構成に限定されるものではない。
【0111】
また、上記(表8)に示しているように、第2面(第1レンズ15の像面側のレンズ面)は回折光学素子面であり、当該回折光学素子面の具体的数値例は下記(表10)に示す通りである。
【0112】
【表10】

【0113】
尚、このように、本実施例の撮像レンズ21においては、第1レンズ15の像面側のレンズ面に回折光学素子が形成されているが、必ずしもかかる構成に限定されるものではない。第1レンズ15の物体側のレンズ面、第1レンズ15の像面側のレンズ面、第2レンズ16の物体側のレンズ面、及び、第2レンズ16の像面側のレンズ面の少なくとも1つに回折光学素子が形成されていればよく、この場合においても、回折作用によって色収差を良好に補正することができる。
【0114】
また、下記(表11)に、本実施例における撮像レンズ21の、光学系全体の焦点距離f(mm)、Fナンバー(F値)Fno、最大像高Y’、 平行平板20の部分を空気長換算したときの光学全長TL(mm)、及び、条件式(1)〜(7)の値を示す。
【0115】
【表11】

【0116】
図6に、本実施例における撮像レンズ21の収差図を示す。図6において、(a)は球面収差の図であり、実線はg線、長い破線はC線、短い破線はF線、二点鎖線はd線、一点鎖線はe線に対する値を示している。(b)は非点収差の図であり、実線はサジタル像面湾曲、破線はメリディオナル像面湾曲を示している。(c)は歪曲収差の図である。尚、軸上色収差の図は、図6(a)の球面収差の図と同じである。
【0117】
図6に示す収差図から明らかなように、本実施例の撮像レンズ21は、諸収差が良好に補正され、メガピクセル以上の高画素な撮像素子に対応可能であることが分かる。そして、このことに加え、上記(表11)の結果を考慮すれば、コンパクト化(小型化、薄型化)を図ることができ、かつ、諸収差が良好に補正され、携帯電話機などの小型、薄型のモバイル製品に搭載されるメガピクセル以上の高画素な撮像素子に対応させることのできる高性能な4枚構成の撮像レンズが得られていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明の撮像レンズは、レンズ径方向に小型で、光軸方向に薄型でありながら、諸収差が良好に補正された4枚構成の撮像レンズである。従って、本発明の撮像レンズは、コンパクト(小型、薄型)でありながら、メガピクセル以上の高画素な撮像素子に対応させることができるので、高画素化が望まれる撮像素子を内蔵した携帯電話機などの小型のモバイル製品の分野において特に有用である。
【符号の説明】
【0119】
1、8、15 第1レンズ
2、9、16 第2レンズ
3、10、17 第3レンズ
4、11、18 第4レンズ
5、12、19 開口絞り
6、13、20 平行平板
7、14、21 撮像レンズ
S 撮像面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像面側に向かって順に配置された、
正のパワーを有する両凸レンズからなる第1レンズと、
開口絞りと、
負のパワーを有し、物体側のレンズ面が凸面であるメニスカスレンズからなる第2レンズと、
正のパワーを有し、物体側のレンズ面が凹面であるメニスカスレンズからなる第3レンズと、
負のパワーを有する両凹レンズからなる第4レンズとを備えた撮像レンズ。
【請求項2】
前記第1レンズ及び前記第2レンズの少なくとも1つのレンズ面に回折光学素子が形成された、請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項3】
前記開口絞りの物体側の面から前記第4レンズの像面側のレンズ面までの光軸に沿った距離をDS、光学系全体の焦点距離をfとしたとき、下記条件式(1)を満足する、請求項1又は2に記載の撮像レンズ。
0.3<DS/f<0.7 ・・・(1)
【請求項4】
前記開口絞りの物体側の面から前記第4レンズの像面側のレンズ面までの光軸に沿った距離をDS、像面での最大像高をY’としたとき、下記条件式(2)を満足する、請求項1又は2に記載の撮像レンズ。
0.5<DS/Y’ <1.4 ・・・(2)
【請求項5】
前記第4レンズと像面との間に配置された透明な平行平板をさらに備え、
前記平行平板の部分を空気長換算したときの、前記開口絞りの物体側の面から像面までの光軸に沿った距離をDI、像面での最大像高をY’としたとき、下記条件式(3)を満足する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
0.8<DI/Y’<1.8 ・・・(3)
【請求項6】
光学系全体の焦点距離をf、前記第1レンズの焦点距離をf1、前記第2レンズの焦点距離をf2、前記第3レンズの焦点距離をf3、前記第4レンズの焦点距離をf4としたとき、下記条件式(4)〜(7)を満足する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
0.5<f1/f<0.9 ・・・(4)
−1.3<f2/f<−0.7 ・・・(5)
0.4<f3/f<0.8 ・・・(6)
−1.0<f4/f<−0.4 ・・・(7)
【請求項7】
被写体に対応した光信号を画像信号に変換して出力する撮像素子と、前記撮像素子の撮像面に前記被写体の像を結像させる撮像レンズとを備えた撮像装置であって、
前記撮像レンズとして請求項1〜6のいずれか1項に記載の撮像レンズを用いたことを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−88513(P2013−88513A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226926(P2011−226926)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】