撮像光学系
【課題】5枚のレンズを密に配置し、且つ5枚レンズを含む構成の光線制御自由度を十分に活用することが可能な撮像光学系を提供する。
【解決手段】物体側から像面側に配置された、光軸上で正の屈折力を有する第1レンズ101と、光軸上で負の屈折力を有する第2レンズ102と、像側に凸のメニスカス形状で、光軸上で正の屈折力を持ち、光軸から離れるにつれて正の屈折力が弱くなり、最大像高に達する光束の主光線近傍の屈折力が負となる第3レンズ103と、光軸上で正の屈折力を有する第4レンズ104と、光軸上で負の屈折力を持ち、光軸から離れるにつれて負の屈折力が弱くなる第5レンズ105と、から構成される撮像光学系であり、第1乃至第3レンズのアッベ数νiは、以下の条件を満足する。 ν1/ν2 > 1.3 (1)、 ν1/ν3 > 1.3 (2)
【解決手段】物体側から像面側に配置された、光軸上で正の屈折力を有する第1レンズ101と、光軸上で負の屈折力を有する第2レンズ102と、像側に凸のメニスカス形状で、光軸上で正の屈折力を持ち、光軸から離れるにつれて正の屈折力が弱くなり、最大像高に達する光束の主光線近傍の屈折力が負となる第3レンズ103と、光軸上で正の屈折力を有する第4レンズ104と、光軸上で負の屈折力を持ち、光軸から離れるにつれて負の屈折力が弱くなる第5レンズ105と、から構成される撮像光学系であり、第1乃至第3レンズのアッベ数νiは、以下の条件を満足する。 ν1/ν2 > 1.3 (1)、 ν1/ν3 > 1.3 (2)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ、撮像機能付き携帯電話、スキャナなどに使用される、5枚のレンズから構成される撮像光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯機器末端などに使用される小型撮像装置の高画素化、高解像度化が急速に進んでいる。これに対応するために、4枚レンズから構成される撮像光学系と比べて諸収差をさらに小さくすることを目的として、5枚レンズから構成される撮像光学系が開発されている(たとえば、特許文献1乃至3)。
【0003】
小型撮像光学系においては低背化(光学全長を短くすること)や低F値化といった要求があり、これらがレンズの製造公差や組み立て公差を厳しくする原因となっている。たとえば、低背化を実現するには、焦点距離を短くして広画角にする方法と、光学全長に対して後方主点位置を物体側に移動させる方法がある。焦点距離を短くする方法では大きい視野角の光線の制御が困難となり、後方主点位置を物体側に移動させる方法では屈折力構成に無理が生じ特に第1レンズ及び第2レンズの公差が厳しくなる傾向がある。また、前絞り光学系において低F値化を実現するには、絞り径を広げるか、もしくは焦点距離を短くする必要があり、どちらも製造公差を厳しくする要因となる。このような状況の中で、上記の要求を満たしながら、公差が大きく製造しやすい光学系の構成を実現することが求められている。
【0004】
また、レンズ枚数が増えることは、光線制御に使用できる自由度が増えることを意味するため、一般的には収差補正に有利になると考えられる。しかし、一方で、小型撮像光学系のサイズの制約から、5枚のレンズをより密に配置することが必要とされる。そのためにレンズ形状についての制約が大きくなり、レンズ構成によってはレンズ枚数を増やした利点が相殺されてしまう可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−48996号公報
【特許文献2】特開2010−26434号公報
【特許文献3】特開2010−8562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、5枚のレンズを密に配置し、且つ5枚レンズを含む構成の光線制御自由度を十分に活用することが可能な撮像光学系に対するニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による撮像光学系は、物体側から像面側に配置された、光軸上で正の屈折力を有する第1レンズと、光軸上で負の屈折力を有する第2レンズと、像側に凸のメニスカス形状で、光軸上で正の屈折力を持ち、光軸から離れるにつれて正の屈折力が弱くなり、最大像高に達する光束の主光線近傍の屈折力が負となる第3レンズと、光軸上で正の屈折力を有する第4レンズと、光軸上で負の屈折力を持ち、光軸から離れるにつれて負の屈折力が弱くなる第5レンズと、から構成される撮像光学系である。主光線近傍の屈折力の符号は、該光軸をz軸とし、該光軸に垂直な平面内に互いに直交するx軸及びy軸を定め、正規化入射瞳座標をPx、Pyとして、Px=0、Py=0.01を通過する光線と、Px=0、Py=−0.01を通過する光線とが、レンズ入射前に成す角度をθi、レンズ出射後に成す角度をθoとし、集光する場合を正、発散する場合を負として、変化量Δθ(=θo―θi)の符号で定義し、第1乃至第3レンズのアッベ数を、それぞれνi(iは1から3の整数)として、
ν1/ν2 > 1.3 (1)
ν1/ν3 > 1.3 (2)
を満たす。
【0008】
本発明によれば、球面収差及び軸上色収差は、高アッベ数を有し、光軸上で正の屈折力を有する第1レンズ及び低アッベ数を有し、光軸上で負の屈折力を有する第2レンズによって補正される。他方、最大像高に達する光束の色消しについては、第2レンズのみでは負の屈折力が不足する。そこで、低アッベ数を有し、最大像高に達する光束の主光線近傍の屈折力が負となる第3レンズによって最大像高に達する光束の色消しを行なう。このように、本発明によれば、光軸上で必要十分に軸上色収差補正した状態で、最大像高に向かう光線の主光線方向の色収差補正も同時に行うことが可能であり、レンズ製造や組み立ての際の誤差により光学特性が劣化しやすい像の端付近での性能を保持することができる。また、非点収差、像面湾曲及び歪曲収差は、第3レンズ乃至第5レンズによって補正される。
【0009】
本発明の一つの実施形態によれば、第1乃至第5レンズの焦点距離をそれぞれfi(iは1から5の整数)として、
−0.7 < f1/f2 < −0.5 (3)
を満たす。
【0010】
上述のように、第1レンズと第2レンズは主に球面収差と軸上色収差を補正する。したがって、第1レンズは強い正の屈折力、第2レンズは強い負の屈折力を有し、第2レンズの偏芯敏感度が高くなる。f1/f2が、式(3)の下限を下回ると上記の収差の補正が不十分となり、上限を上回ると偏芯公差が厳しくなる。f1/f2が、式(3)の範囲では、偏芯公差の緩い領域で、必要な分の収差補正が可能となる。
【0011】
本発明の一つの実施形態によれば、第1乃至第5レンズの焦点距離をそれぞれfi(iは1から5の整数)として、
−2 < f1/f5 < −0.5 (4)
を満たす。
【0012】
式(4)は、光軸近傍の像面湾曲を小さくするように、ペッツヴァル和をゼロに近づけるための条件の一つである。f1/f5が式(4)の下限を下回るとペッツヴァル和の補正がバランスの良い領域を超えてしまい、上限を上回るとペッツヴァル和の補正が不足する。
【0013】
本発明の一つの実施形態によれば、第1乃至第5レンズの焦点距離をそれぞれfi(iは1から5の整数)として、
1 < f2/f5 < 3 (5)
を満たす。
【0014】
式(5)は、第2レンズの偏芯敏感度と収差との関係を調整するための条件である。f2が小さくて、f2/f5が式(5)の下限を下回ると第2レンズの偏芯敏感度が過大となり、f2が大きくて、f2/f5が式(5)の上限を上回ると光軸上での色収差補正が不十分となる。f5が大きくて、f2/f5が式(5)の下限を下回ると像面湾曲の補正が不足し、f5が小さくて、f2/f5が式(5)の上限を上回ると像面湾曲の補正が過剰となる。
【0015】
本発明の一つの実施形態によれば、開口絞りが第1レンズの像面側より物体側に配置されている。
【0016】
本実施形態によれば、前絞りとすることで光学全長の短い撮像光学系が得られる。
【0017】
本発明の一つの実施形態によれば、第5レンズにおいて、最大像高に達する光束の主光線近傍の屈折力が正となる。
【0018】
本実施形態によれば、最大像高に到達する経路において第3乃至第5レンズがレトロフォーカスタイプの光学系となり、湾曲の緩やかな形状のレンズにて像面湾曲を小さく抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例1による撮像光学系の構成を示す図である。
【図2】実施例1による撮像光学系の収差を示す図である。
【図3】実施例1による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。
【図4】実施例2による撮像光学系の構成を示す図である。
【図5】実施例2による撮像光学系の収差を示す図である。
【図6】実施例2による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。
【図7】実施例3による撮像光学系の構成を示す図である。
【図8】実施例3による撮像光学系の収差を示す図である。
【図9】実施例3による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。
【図10】実施例4による撮像光学系の構成を示す図である。
【図11】実施例4による撮像光学系の収差を示す図である。
【図12】実施例4による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。
【図13】実施例5による撮像光学系の構成を示す図である。
【図14】実施例5による撮像光学系の収差を示す図である。
【図15】実施例5による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。
【図16】実施例6による撮像光学系の構成を示す図である。
【図17】実施例6による撮像光学系の収差を示す図である。
【図18】実施例6による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。
【図19】実施例7による撮像光学系の構成を示す図である。
【図20】実施例7による撮像光学系の収差を示す図である。
【図21】実施例7による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。
【図22】実施例8による撮像光学系の構成を示す図である。
【図23】実施例8による撮像光学系の収差を示す図である。
【図24】実施例8による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。
【図25】主光線近傍の屈折力の大きさを説明するための図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明の一実施形態による撮像光学系の構成を示す図である。本実施形態による撮像光学系は、物体側から像側に、第1レンズ101、第2レンズ102、第3レンズ103、第4レンズ104及び第5レンズ105を備える。開口絞りは、第1レンズ101の像側の面より物体側で第1レンズ101の物体側の面の頂点より像側にある。具体的には、開口絞りは第1レンズ101の物体側の面上にある。第1レンズ101、第2レンズ102、第3レンズ103、第4レンズ104及び第5レンズ105を通過した光は、ガラス板106を通過して像面107に至る。
【0021】
以下において、本発明による撮像光学系の特徴について説明する。以下において、iを1から5の整数として、第iレンズの焦点距離、レンズ材料のd線(波長587.6nm)の屈折率を、それぞれ
【数1】
とする。なお、本明細書における屈折率は、別記された場合を除き、d線(波長587.6nm)の屈折率である。
【0022】
5枚レンズの種類
本発明の実施形態による撮像光学系は、物体側から像面側に配置された、光軸上で正の屈折力を有する第1レンズと、光軸上で負の屈折力を有する第2レンズと、像側に凸のメニスカス形状で、光軸上で正の屈折力を持ち、光軸から離れるにつれて正の屈折力が弱くなり、最大像高に達する光束の主光線近傍の屈折力が負となる第3レンズと、光軸上で正の屈折力を有する第4レンズと、光軸上で負の屈折力を持ち、光軸から離れるにつれて負の屈折力が弱くなり、最大像高に達する光束の主光線近傍の屈折力が正となる第5レンズと、から構成される。
【0023】
ここで、主光線近傍の屈折力の符号は、該光軸をz軸とし、該光軸に垂直な平面内に互いに直交するx軸及びy軸を定め、正規化入射瞳座標をPx、Pyとして、Px=0、Py=0.01を通過する光線と、Px=0、Py=−0.01を通過する光線とが、レンズ入射前に成す角度をθi、レンズ出射後に成す角度をθoとし、集光する場合を正、発散する場合を負として、変化量
Δθ(=θo―θi)
の符号で定義される。
【0024】
第1乃至第3レンズのアッベ数を、それぞれν1乃至ν3として、
ν1/ν2 > 1.3 (1)
ν1/ν3 > 1.3 (2)
が満たされる。
【0025】
第1レンズ及び第2レンズからなる前群は主に球面収差と軸上色収差を補正し、第3レンズ乃至第5レンズからなる後群は主に非点収差、コマ収差、像面湾曲、倍率色収差、歪曲収差を補正するように構成されている。また、前群後群ともに、テレフォトタイプとすることで光学系の小型化を図っている。
【0026】
一般的に、軸上色収差の補正は、高アッベ数で正の屈折力を有するレンズと低アッベ数で負の屈折力を有するレンズを組み合わせることによって行なわれる。本実施形態において、球面収差及び軸上色収差は、高アッベ数を有し、光軸上で正の屈折力を有する第1レンズ及び低アッベ数を有し、光軸上で負の屈折力を有する第2レンズによって補正される。他方、最大像高に達する光束の色消しについては、第2レンズのみでは負の屈折力が不足する。そこで、低アッベ数を有し、最大像高に達する光束の主光線近傍の屈折力が負となる第3レンズによって最大像高に達する光束の色消しを行なう。
【0027】
本実施形態の上記の構成によれば、光軸上で十分に軸上色収差を補正した状態で、最大像高に向かう光線の主光線方向の色収差補正も同時に行うことが可能であり、レンズ製造や組み立ての際の誤差により光学特性が劣化しやすい像の端付近での性能を保持することができる。
【0028】
第1レンズの焦点距離と第2レンズの焦点距離の比
第1レンズ及び第2レンズは主に球面収差及び軸上色収差を調整する役割を果たし、第1レンズは強い正の屈折力を有し、第2レンズは強い負の屈折力を有する。第1レンズの焦点距離と第2レンズの焦点距離の比は、以下の関係を満足するのが好ましい。
−0.7 < f1/f2 < −0.5 (3)
第1レンズの焦点距離と第2レンズの焦点距離の比が式(3)の下限を下回ると、球面収差及び軸上色収差の補正が不十分となる。第1レンズの焦点距離と第2レンズの焦点距離の比が式(3)の上限を上回ると、組み立ての際の両レンズの偏芯公差が厳しくなる。第1レンズの焦点距離と第2レンズの焦点距離の比が式(3)を満たせば、組み立ての際の妥当な公差で、許容範囲内の球面収差及び軸上色収差を実現することができる。
【0029】
第1レンズの焦点距離と第5レンズの焦点距離の比
第1レンズは光軸近傍で正の屈折力を有し、第5レンズは光軸近傍で負の屈折力を有する。第1レンズの焦点距離と第5レンズの焦点距離の比は、以下の関係を満足するのが好ましい。
−2 < f1/f5 < −0.5 (4)
第1レンズの焦点距離と第5レンズの焦点距離の比が式(4)の下限を下回ると、ペッツヴァル和をゼロに近づけるための補正がバランスの良い領域を超えてしまう。第1レンズの焦点距離と第5レンズの焦点距離の比が式(4)の上限を上回ると、ペッツヴァル和をゼロに近づけるための補正が不足し、ペッツヴァル和は正で絶対値が大きくなる。第1レンズの焦点距離と第5レンズの焦点距離の比が式(4) を満たせば、光軸近傍にて像面湾曲の小さな結像光学系が実現され、高い像高位置に至るまでの像面湾曲の変化を滑らか且つ緩やかに制御することができる。
【0030】
第2レンズの焦点距離と第5レンズの焦点距離の比
第2レンズの焦点距離と第5レンズの焦点距離の比は、以下の関係を満足するのが好ましい。
1 < f2/f5 < 3 (5)
f2が小さくて、上記の比が式(5)の下限を下回ると第2レンズの偏芯敏感度が高くなり、光学系の組み立てが困難となる。f2が大きくて、上記の比が式(5)の上限を上回ると光軸上での軸上色収差補正が不十分となる。f5が大きくて、上記の比が式(5)の下限を下回ると像面湾曲の補正が不足する。f5が小さくて、上記の比が式(5)の上限を上回ると像面湾曲の補正が過剰となる。第2レンズの焦点距離と第5レンズの焦点距離の比が式(5) を満たせば、第2レンズの偏芯敏感度が低い状態で像面湾曲を小さくすることができる。
【0031】
開口絞りの位置
開口絞りは、第1レンズの像面側より物体側に配置されるのが好ましい。開口絞りを第1レンズの像面側より物体側に配置することにより光学全長の短い光学系を構成することができる。
【0032】
実施例による撮像光学系の特徴
実施例1乃至8の撮像光学系の特徴を以下に説明する。
【0033】
表1は、各実施例の第1レンズ乃至第5レンズの焦点距離を示す表である。第1乃至第5レンズの焦点距離をそれぞれfi(iは1から5の整数)で表す。
【表1】
【0034】
表2は、各実施例の第1レンズ乃至第3レンズのアッベ数を示す表である。第1乃至第3レンズのアッベ数をそれぞれνi(iは1から3の整数)で表す。
【表2】
【0035】
表3は、以下の項(1)乃至(5)の値を示す表である。項(1)乃至(5)は、上述の式(1)乃至(5)に対応する項である。
ν1/ν2 (1)
ν1/ν3 (2)
f1/f2 (3)
f1/f5 (4)
f2/f5 (5)
【表3】
【0036】
表4は、各実施例において、第3レンズの最大像高に達する光束の主光線近傍の屈折力の大きさを示す表である。
【0037】
図25は、主光線近傍の屈折力の大きさを説明するための図である。
【0038】
主光線近傍の屈折力の大きさは、光軸をz軸とし、該光軸に垂直な平面内に互いに直交するx軸及びy軸を定め、正規化入射瞳座標をPx、Pyとして、Px=0、Py=0.01を通過する光線と、Px=0、Py=−0.01を通過する光線とが、レンズ入射前に成す角度(単位は度)をθi、レンズ出射後に成す角度をθoとし、集光する場合を正、発散する場合を負として、変化量
Δθ(=θo―θi)
である。
【表4】
【0039】
表5は、各実施例において、第5レンズの最大像高に達する光束の主光線近傍の屈折力の大きさを示す表である。主光線近傍の屈折力の大きさは、表4に関して説明したとおりである。
【表5】
【0040】
一般的に、複数のレンズからなる結像光学系の像面湾曲を小さくするには、以下の式で表せるペッツヴァル和Pをゼロに近づける必要がある。
【数2】
【0041】
表6は、各実施例のペッツヴァル和を示す表である。全ての実施例において、ペッツヴァル和は0.1より小さい。本発明による小型撮像光学系においては、ペッツヴァル和を0.1より小さくすることによって、光学近傍において像面湾曲を小さくすることができる。この結果、高い像高位置に至るまでの像面湾曲の変化を滑らか且つ緩やかに制御することが可能となる。
【表6】
【0042】
実施例のレンズ面を表す式
実施例の各レンズの面は、以下の式で表せる。
【数3】
ここで、zは、レンズ面と光軸との交点を基準とし、像側を正とした、レンズ面上の点の光軸方向の位置を示す座標である。rは、レンズ面上の点の光軸からの距離を示す。Rは、レンズ面の頂点における曲率半径である。kは、円錐定数である。Aiは、多項式の係数である。
【0043】
実施例1
図1は、実施例1による撮像光学系の構成を示す図である。実施例1による撮像光学系は、物体側から像側に、第1レンズ101、第2レンズ102、第3レンズ103、第4レンズ104及び第5レンズ105を備える。絞りは、第1レンズ101の像側の面より物体側で第1レンズ101の物体側の面の頂点より像側にある。具体的には、絞りは第1レンズ101の物体側の面上にある。第1レンズ101、第2レンズ102、第3レンズ103、第4レンズ104及び第5レンズを通過した光は、ガラス板106を通過して像面107に至る。
【0044】
図2は、実施例1による撮像光学系の収差を示す図である。図2は、可視領域の3波長についての収差を示している。図2(a)は、球面収差及び軸上色収差を示す図である。図2(a)の横軸は、像面位置を基準とした光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図2(a)の縦軸は、絞りにおける光線の通過位置を示す。縦軸の0は、光線が絞りの中心を通過することを示し、縦軸の最大値は、光線が絞りの端を通過することを示す。図2(b)は、非点収差及び像面湾曲を示す図である。図2(b)の横軸は、光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図2(b)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。図2(b)において、Tはメリディオナル像面の形状を表し、Sはサジタル像面の形状を表す。図2(c)は、歪曲収差を示す図である。図2(c)の横軸は、歪曲収差(ディストーション)を示す(単位はパーセント)。図2(c)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0045】
図3は、実施例1による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。図3は、可視領域の3波長について倍率色収差を示している。図3の横軸は、倍率色収差を示す(単位はマイクロメータ)。図3の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0046】
表7は、実施例1による撮像光学系のレンズデータを示す表である。第1乃至第10面は、第1乃至第5レンズの面を示し、第11乃至第12面は、ガラス板の面を示す。Rはレンズ面の頂点における曲率半径、dは間隔、nは屈折率、νはアッベ数を表す。表7において、例として、第1面(第1レンズの物体側の面)の面間隔は、第1面と第2面(第1レンズの像側の面)との間隔である。
【0047】
表8は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の円錐定数k及び多項式の係数Aiを示す表である。
【0048】
表9は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の多項式の係数Aiを示す表である。
【表7】
【表8】
【表9】
【0049】
実施例2
図4は、実施例2による撮像光学系の構成を示す図である。実施例2による撮像光学系は、物体側から像側に、第1レンズ201、第2レンズ202、第3レンズ203、第4レンズ204及び第5レンズ205を備える。絞りは、第1レンズ201の像側の面より物体側で第1レンズ201の物体側の面の頂点より像側にある。具体的には、絞りは第1レンズ201の物体側の面上にある。第1レンズ201、第2レンズ202、第3レンズ203、第4レンズ204及び第5レンズ205を通過した光は、ガラス板206を通過して像面207に至る。
【0050】
図5は、実施例2による撮像光学系の収差を示す図である。図5は、可視領域の3波長についての収差を示している。図5(a)は、球面収差及び軸上色収差を示す図である。図5(a)の横軸は、像面位置を基準とした光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図5(a)の縦軸は、絞りにおける光線の通過位置を示す。縦軸の0は、光線が絞りの中心を通過することを示し、縦軸の最大値は、光線が絞りの端を通過することを示す。図5(b)は、非点収差及び像面湾曲を示す図である。図5(b)の横軸は、光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図5(b)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。図5(b)において、Tはメリディオナル像面の形状を表し、Sはサジタル像面の形状を表す。図5(c)は、歪曲収差を示す図である。図5(c)の横軸は、歪曲収差(ディストーション)を示す(単位はパーセント)。図5(c)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0051】
図6は、実施例2による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。図6は、可視領域の3波長について倍率色収差を示している。図6の横軸は、倍率色収差を示す(単位はマイクロメータ)。図6の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0052】
表10は、実施例2による撮像光学系のレンズデータを示す表である。第1乃至第10面は、第1乃至第5レンズの面を示し、第11乃至第12面は、ガラス板の面を示す。Rはレンズ面の頂点における曲率半径、dは間隔、nは屈折率、νはアッベ数を表す。表7において、例として、第1面(第1レンズの物体側の面)の面間隔は、第1面と第2面(第1レンズの像側の面)との間隔である。
【0053】
表11は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の円錐定数k及び多項式の係数Aiを示す表である。
【0054】
表12は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の多項式の係数Aiを示す表である。
【表10】
【表11】
【表12】
【0055】
実施例3
図7は、実施例3による撮像光学系の構成を示す図である。実施例3による撮像光学系は、物体側から像側に、第1レンズ301、第2レンズ302、第3レンズ303、第4レンズ304及び第5レンズ305を備える。絞りは、第1レンズ301の像側の面より物体側で第1レンズ301の物体側の面の頂点より像側にある。具体的には、絞りは第1レンズ301の物体側の面上にある。第1レンズ301、第2レンズ302、第3レンズ303、第4レンズ304及び第5レンズ305を通過した光は、ガラス板306を通過して像面307に至る。
【0056】
図8は、実施例3による撮像光学系の収差を示す図である。図8は、可視領域の3波長についての収差を示している。図8(a)は、球面収差及び軸上色収差を示す図である。図8(a)の横軸は、像面位置を基準とした光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図8(a)の縦軸は、絞りにおける光線の通過位置を示す。縦軸の0は、光線が絞りの中心を通過することを示し、縦軸の最大値は、光線が絞りの端を通過することを示す。図8(b)は、非点収差及び像面湾曲を示す図である。図8(b)の横軸は、光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図8(b)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。図8(b)において、Tはメリディオナル像面の形状を表し、Sはサジタル像面の形状を表す。図8(c)は、歪曲収差を示す図である。図8(c)の横軸は、歪曲収差(ディストーション)を示す(単位はパーセント)。図8(c)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0057】
図9は、実施例3による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。図9は、可視領域の3波長について倍率色収差を示している。図9の横軸は、倍率色収差を示す(単位はマイクロメータ)。図9の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0058】
表13は、実施例3による撮像光学系のレンズデータを示す表である。第1乃至第10面は、第1乃至第5レンズの面を示し、第11乃至第12面は、ガラス板の面を示す。Rはレンズ面の頂点における曲率半径、dは間隔、nは屈折率、νはアッベ数を表す。表7において、例として、第1面(第1レンズの物体側の面)の面間隔は、第1面と第2面(第1レンズの像側の面)との間隔である。
【0059】
表14は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の円錐定数k及び多項式の係数Aiを示す表である。
【0060】
表15は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の多項式の係数Aiを示す表である。
【表13】
【表14】
【表15】
【0061】
実施例4
図10は、実施例4による撮像光学系の構成を示す図である。実施例4による撮像光学系は、物体側から像側に、第1レンズ401、第2レンズ402、第3レンズ403、第4レンズ404及び第5レンズ405を備える。絞りは、第1レンズ401の像側の面より物体側で第1レンズ401の物体側の面の頂点より像側にある。具体的には、絞りは第1レンズ401の物体側の面上にある。第1レンズ401、第2レンズ402、第3レンズ403、第4レンズ404及び第5レンズ405を通過した光は、ガラス板406を通過して像面407に至る。
【0062】
図11は、実施例4による撮像光学系の収差を示す図である。図11は、可視領域の3波長についての収差を示している。図11(a)は、球面収差及び軸上色収差を示す図である。図11(a)の横軸は、像面位置を基準とした光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図11(a)の縦軸は、絞りにおける光線の通過位置を示す。縦軸の0は、光線が絞りの中心を通過することを示し、縦軸の最大値は、光線が絞りの端を通過することを示す。図5(b)は、非点収差及び像面湾曲を示す図である。図11(b)の横軸は、光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図11(b)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。図11(b)において、Tはメリディオナル像面の形状を表し、Sはサジタル像面の形状を表す。図11(c)は、歪曲収差を示す図である。図11(c)の横軸は、歪曲収差(ディストーション)を示す(単位はパーセント)。図11(c)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0063】
図12は、実施例4による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。図12は、可視領域の3波長について倍率色収差を示している。図12の横軸は、倍率色収差を示す(単位はマイクロメータ)。図12の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0064】
表16は、実施例4による撮像光学系のレンズデータを示す表である。第1乃至第10面は、第1乃至第5レンズの面を示し、第11乃至第12面は、ガラス板の面を示す。Rはレンズ面の頂点における曲率半径、dは間隔、nは屈折率、νはアッベ数を表す。表7において、例として、第1面(第1レンズの物体側の面)の面間隔は、第1面と第2面(第1レンズの像側の面)との間隔である。
【0065】
表17は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の円錐定数k及び多項式の係数Aiを示す表である。
【0066】
表18は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の多項式の係数Aiを示す表である。
【表16】
【表17】
【表18】
【0067】
実施例5
図13は、実施例5による撮像光学系の構成を示す図である。実施例5による撮像光学系は、物体側から像側に、第1レンズ501、第2レンズ502、第3レンズ503、第4レンズ504及び第5レンズ505を備える。絞りは、第1レンズ501の像側の面より物体側で第1レンズ501の物体側の面の頂点より像側にある。具体的には、絞りは第1レンズ501の物体側の面上にある。第1レンズ501、第2レンズ502、第3レンズ503、第4レンズ504及び第5レンズ505を通過した光は、ガラス板506を通過して像面507に至る。
【0068】
図14は、実施例5による撮像光学系の収差を示す図である。図14は、可視領域の3波長についての収差を示している。図14(a)は、球面収差及び軸上色収差を示す図である。図14(a)の横軸は、像面位置を基準とした光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図14(a)の縦軸は、絞りにおける光線の通過位置を示す。縦軸の0は、光線が絞りの中心を通過することを示し、縦軸の最大値は、光線が絞りの端を通過することを示す。図14(b)は、非点収差及び像面湾曲を示す図である。図14(b)の横軸は、光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図14(b)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。図14(b)において、Tはメリディオナル像面の形状を表し、Sはサジタル像面の形状を表す。図14(c)は、歪曲収差を示す図である。図14(c)の横軸は、歪曲収差(ディストーション)を示す(単位はパーセント)。図14(c)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0069】
図15は、実施例5による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。図15は、可視領域の3波長について倍率色収差を示している。図15の横軸は、倍率色収差を示す(単位はマイクロメータ)。図15の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0070】
表19は、実施例5による撮像光学系のレンズデータを示す表である。第1乃至第10面は、第1乃至第5レンズの面を示し、第11乃至第12面は、ガラス板の面を示す。Rはレンズ面の頂点における曲率半径、dは間隔、nは屈折率、νはアッベ数を表す。表7において、例として、第1面(第1レンズの物体側の面)の面間隔は、第1面と第2面(第1レンズの像側の面)との間隔である。
【0071】
表20は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の円錐定数k及び多項式の係数Aiを示す表である。
【0072】
表21は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の多項式の係数Aiを示す表である。
【表19】
【表20】
【表21】
【0073】
実施例6
図16は、実施例6による撮像光学系の構成を示す図である。実施例6による撮像光学系は、物体側から像側に、第1レンズ601、第2レンズ602、第3レンズ603、第4レンズ604及び第5レンズ605を備える。絞りは、第1レンズ601の像側の面より物体側で第1レンズ601の物体側の面の頂点より像側にある。具体的には、絞りは第1レンズ601の物体側の面上にある。第1レンズ601、第2レンズ602、第3レンズ603、第4レンズ604及び第5レンズ605を通過した光は、ガラス板606を通過して像面607に至る。
【0074】
図17は、実施例6による撮像光学系の収差を示す図である。図17は、可視領域の3波長についての収差を示している。図17(a)は、球面収差及び軸上色収差を示す図である。図17(a)の横軸は、像面位置を基準とした光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図17(a)の縦軸は、絞りにおける光線の通過位置を示す。縦軸の0は、光線が絞りの中心を通過することを示し、縦軸の最大値は、光線が絞りの端を通過することを示す。図17(b)は、非点収差及び像面湾曲を示す図である。図17(b)の横軸は、光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図17(b)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。図17(b)において、Tはメリディオナル像面の形状を表し、Sはサジタル像面の形状を表す。図17(c)は、歪曲収差を示す図である。図17(c)の横軸は、歪曲収差(ディストーション)を示す(単位はパーセント)。図17(c)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0075】
図18は、実施例6による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。図18は、可視領域の3波長について倍率色収差を示している。図18の横軸は、倍率色収差を示す(単位はマイクロメータ)。図18の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0076】
表22は、実施例6による撮像光学系のレンズデータを示す表である。第1乃至第10面は、第1乃至第5レンズの面を示し、第11乃至第12面は、ガラス板の面を示す。Rはレンズ面の頂点における曲率半径、dは間隔、nは屈折率、νはアッベ数を表す。表7において、例として、第1面(第1レンズの物体側の面)の面間隔は、第1面と第2面(第1レンズの像側の面)との間隔である。
【0077】
表23は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の円錐定数k及び多項式の係数Aiを示す表である。
【0078】
表24は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の多項式の係数Aiを示す表である。
【表22】
【表23】
【表24】
【0079】
実施例7
図19は、実施例7による撮像光学系の構成を示す図である。実施例7による撮像光学系は、物体側から像側に、第1レンズ701、第2レンズ702、第3レンズ703、第4レンズ704及び第5レンズ705を備える。絞りは、第1レンズ701の像側の面より物体側で第1レンズ701の物体側の面の頂点より像側にある。具体的には、絞りは第1レンズ701の物体側の面上にある。第1レンズ701、第2レンズ702、第3レンズ703、第4レンズ704及び第5レンズ705を通過した光は、ガラス板706を通過して像面707に至る。
【0080】
図20は、実施例7による撮像光学系の収差を示す図である。図20は、可視領域の3波長についての収差を示している。図20(a)は、球面収差及び軸上色収差を示す図である。図20(a)の横軸は、像面位置を基準とした光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図20(a)の縦軸は、絞りにおける光線の通過位置を示す。縦軸の0は、光線が絞りの中心を通過することを示し、縦軸の最大値は、光線が絞りの端を通過することを示す。図20(b)は、非点収差及び像面湾曲を示す図である。図20(b)の横軸は、光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図20(b)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。図20(b)において、Tはメリディオナル像面の形状を表し、Sはサジタル像面の形状を表す。図20(c)は、歪曲収差を示す図である。図20(c)の横軸は、歪曲収差(ディストーション)を示す(単位はパーセント)。図20(c)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0081】
図21は、実施例7による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。図21は、可視領域の3波長について倍率色収差を示している。図21の横軸は、倍率色収差を示す(単位はマイクロメータ)。図21の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0082】
表25は、実施例7による撮像光学系のレンズデータを示す表である。第1乃至第10面は、第1乃至第5レンズの面を示し、第11乃至第12面は、ガラス板の面を示す。Rはレンズ面の頂点における曲率半径、dは間隔、nは屈折率、νはアッベ数を表す。表7において、例として、第1面(第1レンズの物体側の面)の面間隔は、第1面と第2面(第1レンズの像側の面)との間隔である。
【0083】
表26は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の円錐定数k及び多項式の係数Aiを示す表である。
【0084】
表27は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の多項式の係数Aiを示す表である。
【表25】
【表26】
【表27】
【0085】
実施例8
図22は、実施例8による撮像光学系の構成を示す図である。実施例8による撮像光学系は、物体側から像側に、第1レンズ801、第2レンズ802、第3レンズ803、第4レンズ804及び第5レンズ805を備える。絞りは、第1レンズ801の像側の面より物体側で第1レンズ801の物体側の面の頂点より像側にある。具体的には、絞りは第1レンズ801の物体側の面上にある。第1レンズ801、第2レンズ802、第3レンズ803、第4レンズ804及び第5レンズ805を通過した光は、ガラス板806を通過して像面807に至る。
【0086】
図23は、実施例8による撮像光学系の収差を示す図である。図23は、可視領域の3波長についての収差を示している。図23(a)は、球面収差及び軸上色収差を示す図である。図23(a)の横軸は、像面位置を基準とした光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図23(a)の縦軸は、絞りにおける光線の通過位置を示す。縦軸の0は、光線が絞りの中心を通過することを示し、縦軸の最大値は、光線が絞りの端を通過することを示す。図23(b)は、非点収差及び像面湾曲を示す図である。図23(b)の横軸は、光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図23(b)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。図23(b)において、Tはメリディオナル像面の形状を表し、Sはサジタル像面の形状を表す。図23(c)は、歪曲収差を示す図である。図23(c)の横軸は、歪曲収差(ディストーション)を示す(単位はパーセント)。図23(c)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0087】
図24は、実施例8による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。図24は、可視領域の3波長について倍率色収差を示している。図24の横軸は、倍率色収差を示す(単位はマイクロメータ)。図24の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0088】
表28は、実施例8による撮像光学系のレンズデータを示す表である。第1乃至第10面は、第1乃至第5レンズの面を示し、第11乃至第12面は、ガラス板の面を示す。Rはレンズ面の頂点における曲率半径、dは間隔、nは屈折率、νはアッベ数を表す。表7において、例として、第1面(第1レンズの物体側の面)の面間隔は、第1面と第2面(第1レンズの像側の面)との間隔である。
【0089】
表29は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の円錐定数k及び多項式の係数Aiを示す表である。
【0090】
表30は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の多項式の係数Aiを示す表である。
【表28】
【表29】
【表30】
【0091】
実施例の撮像光学系の収差について
軸上色収差は、ほとんどの実施例で0.03mm以内である。
【0092】
倍率色収差は、ほとんどの実施例で1マイクロメータ以内である。
【0093】
像面湾曲は、全ての実施例で0.1mmよりも小さい。
【0094】
歪曲収差の絶対値は、全ての実施例で2%よりも小さい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ、撮像機能付き携帯電話、スキャナなどに使用される、5枚のレンズから構成される撮像光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯機器末端などに使用される小型撮像装置の高画素化、高解像度化が急速に進んでいる。これに対応するために、4枚レンズから構成される撮像光学系と比べて諸収差をさらに小さくすることを目的として、5枚レンズから構成される撮像光学系が開発されている(たとえば、特許文献1乃至3)。
【0003】
小型撮像光学系においては低背化(光学全長を短くすること)や低F値化といった要求があり、これらがレンズの製造公差や組み立て公差を厳しくする原因となっている。たとえば、低背化を実現するには、焦点距離を短くして広画角にする方法と、光学全長に対して後方主点位置を物体側に移動させる方法がある。焦点距離を短くする方法では大きい視野角の光線の制御が困難となり、後方主点位置を物体側に移動させる方法では屈折力構成に無理が生じ特に第1レンズ及び第2レンズの公差が厳しくなる傾向がある。また、前絞り光学系において低F値化を実現するには、絞り径を広げるか、もしくは焦点距離を短くする必要があり、どちらも製造公差を厳しくする要因となる。このような状況の中で、上記の要求を満たしながら、公差が大きく製造しやすい光学系の構成を実現することが求められている。
【0004】
また、レンズ枚数が増えることは、光線制御に使用できる自由度が増えることを意味するため、一般的には収差補正に有利になると考えられる。しかし、一方で、小型撮像光学系のサイズの制約から、5枚のレンズをより密に配置することが必要とされる。そのためにレンズ形状についての制約が大きくなり、レンズ構成によってはレンズ枚数を増やした利点が相殺されてしまう可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−48996号公報
【特許文献2】特開2010−26434号公報
【特許文献3】特開2010−8562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、5枚のレンズを密に配置し、且つ5枚レンズを含む構成の光線制御自由度を十分に活用することが可能な撮像光学系に対するニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による撮像光学系は、物体側から像面側に配置された、光軸上で正の屈折力を有する第1レンズと、光軸上で負の屈折力を有する第2レンズと、像側に凸のメニスカス形状で、光軸上で正の屈折力を持ち、光軸から離れるにつれて正の屈折力が弱くなり、最大像高に達する光束の主光線近傍の屈折力が負となる第3レンズと、光軸上で正の屈折力を有する第4レンズと、光軸上で負の屈折力を持ち、光軸から離れるにつれて負の屈折力が弱くなる第5レンズと、から構成される撮像光学系である。主光線近傍の屈折力の符号は、該光軸をz軸とし、該光軸に垂直な平面内に互いに直交するx軸及びy軸を定め、正規化入射瞳座標をPx、Pyとして、Px=0、Py=0.01を通過する光線と、Px=0、Py=−0.01を通過する光線とが、レンズ入射前に成す角度をθi、レンズ出射後に成す角度をθoとし、集光する場合を正、発散する場合を負として、変化量Δθ(=θo―θi)の符号で定義し、第1乃至第3レンズのアッベ数を、それぞれνi(iは1から3の整数)として、
ν1/ν2 > 1.3 (1)
ν1/ν3 > 1.3 (2)
を満たす。
【0008】
本発明によれば、球面収差及び軸上色収差は、高アッベ数を有し、光軸上で正の屈折力を有する第1レンズ及び低アッベ数を有し、光軸上で負の屈折力を有する第2レンズによって補正される。他方、最大像高に達する光束の色消しについては、第2レンズのみでは負の屈折力が不足する。そこで、低アッベ数を有し、最大像高に達する光束の主光線近傍の屈折力が負となる第3レンズによって最大像高に達する光束の色消しを行なう。このように、本発明によれば、光軸上で必要十分に軸上色収差補正した状態で、最大像高に向かう光線の主光線方向の色収差補正も同時に行うことが可能であり、レンズ製造や組み立ての際の誤差により光学特性が劣化しやすい像の端付近での性能を保持することができる。また、非点収差、像面湾曲及び歪曲収差は、第3レンズ乃至第5レンズによって補正される。
【0009】
本発明の一つの実施形態によれば、第1乃至第5レンズの焦点距離をそれぞれfi(iは1から5の整数)として、
−0.7 < f1/f2 < −0.5 (3)
を満たす。
【0010】
上述のように、第1レンズと第2レンズは主に球面収差と軸上色収差を補正する。したがって、第1レンズは強い正の屈折力、第2レンズは強い負の屈折力を有し、第2レンズの偏芯敏感度が高くなる。f1/f2が、式(3)の下限を下回ると上記の収差の補正が不十分となり、上限を上回ると偏芯公差が厳しくなる。f1/f2が、式(3)の範囲では、偏芯公差の緩い領域で、必要な分の収差補正が可能となる。
【0011】
本発明の一つの実施形態によれば、第1乃至第5レンズの焦点距離をそれぞれfi(iは1から5の整数)として、
−2 < f1/f5 < −0.5 (4)
を満たす。
【0012】
式(4)は、光軸近傍の像面湾曲を小さくするように、ペッツヴァル和をゼロに近づけるための条件の一つである。f1/f5が式(4)の下限を下回るとペッツヴァル和の補正がバランスの良い領域を超えてしまい、上限を上回るとペッツヴァル和の補正が不足する。
【0013】
本発明の一つの実施形態によれば、第1乃至第5レンズの焦点距離をそれぞれfi(iは1から5の整数)として、
1 < f2/f5 < 3 (5)
を満たす。
【0014】
式(5)は、第2レンズの偏芯敏感度と収差との関係を調整するための条件である。f2が小さくて、f2/f5が式(5)の下限を下回ると第2レンズの偏芯敏感度が過大となり、f2が大きくて、f2/f5が式(5)の上限を上回ると光軸上での色収差補正が不十分となる。f5が大きくて、f2/f5が式(5)の下限を下回ると像面湾曲の補正が不足し、f5が小さくて、f2/f5が式(5)の上限を上回ると像面湾曲の補正が過剰となる。
【0015】
本発明の一つの実施形態によれば、開口絞りが第1レンズの像面側より物体側に配置されている。
【0016】
本実施形態によれば、前絞りとすることで光学全長の短い撮像光学系が得られる。
【0017】
本発明の一つの実施形態によれば、第5レンズにおいて、最大像高に達する光束の主光線近傍の屈折力が正となる。
【0018】
本実施形態によれば、最大像高に到達する経路において第3乃至第5レンズがレトロフォーカスタイプの光学系となり、湾曲の緩やかな形状のレンズにて像面湾曲を小さく抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例1による撮像光学系の構成を示す図である。
【図2】実施例1による撮像光学系の収差を示す図である。
【図3】実施例1による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。
【図4】実施例2による撮像光学系の構成を示す図である。
【図5】実施例2による撮像光学系の収差を示す図である。
【図6】実施例2による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。
【図7】実施例3による撮像光学系の構成を示す図である。
【図8】実施例3による撮像光学系の収差を示す図である。
【図9】実施例3による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。
【図10】実施例4による撮像光学系の構成を示す図である。
【図11】実施例4による撮像光学系の収差を示す図である。
【図12】実施例4による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。
【図13】実施例5による撮像光学系の構成を示す図である。
【図14】実施例5による撮像光学系の収差を示す図である。
【図15】実施例5による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。
【図16】実施例6による撮像光学系の構成を示す図である。
【図17】実施例6による撮像光学系の収差を示す図である。
【図18】実施例6による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。
【図19】実施例7による撮像光学系の構成を示す図である。
【図20】実施例7による撮像光学系の収差を示す図である。
【図21】実施例7による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。
【図22】実施例8による撮像光学系の構成を示す図である。
【図23】実施例8による撮像光学系の収差を示す図である。
【図24】実施例8による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。
【図25】主光線近傍の屈折力の大きさを説明するための図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明の一実施形態による撮像光学系の構成を示す図である。本実施形態による撮像光学系は、物体側から像側に、第1レンズ101、第2レンズ102、第3レンズ103、第4レンズ104及び第5レンズ105を備える。開口絞りは、第1レンズ101の像側の面より物体側で第1レンズ101の物体側の面の頂点より像側にある。具体的には、開口絞りは第1レンズ101の物体側の面上にある。第1レンズ101、第2レンズ102、第3レンズ103、第4レンズ104及び第5レンズ105を通過した光は、ガラス板106を通過して像面107に至る。
【0021】
以下において、本発明による撮像光学系の特徴について説明する。以下において、iを1から5の整数として、第iレンズの焦点距離、レンズ材料のd線(波長587.6nm)の屈折率を、それぞれ
【数1】
とする。なお、本明細書における屈折率は、別記された場合を除き、d線(波長587.6nm)の屈折率である。
【0022】
5枚レンズの種類
本発明の実施形態による撮像光学系は、物体側から像面側に配置された、光軸上で正の屈折力を有する第1レンズと、光軸上で負の屈折力を有する第2レンズと、像側に凸のメニスカス形状で、光軸上で正の屈折力を持ち、光軸から離れるにつれて正の屈折力が弱くなり、最大像高に達する光束の主光線近傍の屈折力が負となる第3レンズと、光軸上で正の屈折力を有する第4レンズと、光軸上で負の屈折力を持ち、光軸から離れるにつれて負の屈折力が弱くなり、最大像高に達する光束の主光線近傍の屈折力が正となる第5レンズと、から構成される。
【0023】
ここで、主光線近傍の屈折力の符号は、該光軸をz軸とし、該光軸に垂直な平面内に互いに直交するx軸及びy軸を定め、正規化入射瞳座標をPx、Pyとして、Px=0、Py=0.01を通過する光線と、Px=0、Py=−0.01を通過する光線とが、レンズ入射前に成す角度をθi、レンズ出射後に成す角度をθoとし、集光する場合を正、発散する場合を負として、変化量
Δθ(=θo―θi)
の符号で定義される。
【0024】
第1乃至第3レンズのアッベ数を、それぞれν1乃至ν3として、
ν1/ν2 > 1.3 (1)
ν1/ν3 > 1.3 (2)
が満たされる。
【0025】
第1レンズ及び第2レンズからなる前群は主に球面収差と軸上色収差を補正し、第3レンズ乃至第5レンズからなる後群は主に非点収差、コマ収差、像面湾曲、倍率色収差、歪曲収差を補正するように構成されている。また、前群後群ともに、テレフォトタイプとすることで光学系の小型化を図っている。
【0026】
一般的に、軸上色収差の補正は、高アッベ数で正の屈折力を有するレンズと低アッベ数で負の屈折力を有するレンズを組み合わせることによって行なわれる。本実施形態において、球面収差及び軸上色収差は、高アッベ数を有し、光軸上で正の屈折力を有する第1レンズ及び低アッベ数を有し、光軸上で負の屈折力を有する第2レンズによって補正される。他方、最大像高に達する光束の色消しについては、第2レンズのみでは負の屈折力が不足する。そこで、低アッベ数を有し、最大像高に達する光束の主光線近傍の屈折力が負となる第3レンズによって最大像高に達する光束の色消しを行なう。
【0027】
本実施形態の上記の構成によれば、光軸上で十分に軸上色収差を補正した状態で、最大像高に向かう光線の主光線方向の色収差補正も同時に行うことが可能であり、レンズ製造や組み立ての際の誤差により光学特性が劣化しやすい像の端付近での性能を保持することができる。
【0028】
第1レンズの焦点距離と第2レンズの焦点距離の比
第1レンズ及び第2レンズは主に球面収差及び軸上色収差を調整する役割を果たし、第1レンズは強い正の屈折力を有し、第2レンズは強い負の屈折力を有する。第1レンズの焦点距離と第2レンズの焦点距離の比は、以下の関係を満足するのが好ましい。
−0.7 < f1/f2 < −0.5 (3)
第1レンズの焦点距離と第2レンズの焦点距離の比が式(3)の下限を下回ると、球面収差及び軸上色収差の補正が不十分となる。第1レンズの焦点距離と第2レンズの焦点距離の比が式(3)の上限を上回ると、組み立ての際の両レンズの偏芯公差が厳しくなる。第1レンズの焦点距離と第2レンズの焦点距離の比が式(3)を満たせば、組み立ての際の妥当な公差で、許容範囲内の球面収差及び軸上色収差を実現することができる。
【0029】
第1レンズの焦点距離と第5レンズの焦点距離の比
第1レンズは光軸近傍で正の屈折力を有し、第5レンズは光軸近傍で負の屈折力を有する。第1レンズの焦点距離と第5レンズの焦点距離の比は、以下の関係を満足するのが好ましい。
−2 < f1/f5 < −0.5 (4)
第1レンズの焦点距離と第5レンズの焦点距離の比が式(4)の下限を下回ると、ペッツヴァル和をゼロに近づけるための補正がバランスの良い領域を超えてしまう。第1レンズの焦点距離と第5レンズの焦点距離の比が式(4)の上限を上回ると、ペッツヴァル和をゼロに近づけるための補正が不足し、ペッツヴァル和は正で絶対値が大きくなる。第1レンズの焦点距離と第5レンズの焦点距離の比が式(4) を満たせば、光軸近傍にて像面湾曲の小さな結像光学系が実現され、高い像高位置に至るまでの像面湾曲の変化を滑らか且つ緩やかに制御することができる。
【0030】
第2レンズの焦点距離と第5レンズの焦点距離の比
第2レンズの焦点距離と第5レンズの焦点距離の比は、以下の関係を満足するのが好ましい。
1 < f2/f5 < 3 (5)
f2が小さくて、上記の比が式(5)の下限を下回ると第2レンズの偏芯敏感度が高くなり、光学系の組み立てが困難となる。f2が大きくて、上記の比が式(5)の上限を上回ると光軸上での軸上色収差補正が不十分となる。f5が大きくて、上記の比が式(5)の下限を下回ると像面湾曲の補正が不足する。f5が小さくて、上記の比が式(5)の上限を上回ると像面湾曲の補正が過剰となる。第2レンズの焦点距離と第5レンズの焦点距離の比が式(5) を満たせば、第2レンズの偏芯敏感度が低い状態で像面湾曲を小さくすることができる。
【0031】
開口絞りの位置
開口絞りは、第1レンズの像面側より物体側に配置されるのが好ましい。開口絞りを第1レンズの像面側より物体側に配置することにより光学全長の短い光学系を構成することができる。
【0032】
実施例による撮像光学系の特徴
実施例1乃至8の撮像光学系の特徴を以下に説明する。
【0033】
表1は、各実施例の第1レンズ乃至第5レンズの焦点距離を示す表である。第1乃至第5レンズの焦点距離をそれぞれfi(iは1から5の整数)で表す。
【表1】
【0034】
表2は、各実施例の第1レンズ乃至第3レンズのアッベ数を示す表である。第1乃至第3レンズのアッベ数をそれぞれνi(iは1から3の整数)で表す。
【表2】
【0035】
表3は、以下の項(1)乃至(5)の値を示す表である。項(1)乃至(5)は、上述の式(1)乃至(5)に対応する項である。
ν1/ν2 (1)
ν1/ν3 (2)
f1/f2 (3)
f1/f5 (4)
f2/f5 (5)
【表3】
【0036】
表4は、各実施例において、第3レンズの最大像高に達する光束の主光線近傍の屈折力の大きさを示す表である。
【0037】
図25は、主光線近傍の屈折力の大きさを説明するための図である。
【0038】
主光線近傍の屈折力の大きさは、光軸をz軸とし、該光軸に垂直な平面内に互いに直交するx軸及びy軸を定め、正規化入射瞳座標をPx、Pyとして、Px=0、Py=0.01を通過する光線と、Px=0、Py=−0.01を通過する光線とが、レンズ入射前に成す角度(単位は度)をθi、レンズ出射後に成す角度をθoとし、集光する場合を正、発散する場合を負として、変化量
Δθ(=θo―θi)
である。
【表4】
【0039】
表5は、各実施例において、第5レンズの最大像高に達する光束の主光線近傍の屈折力の大きさを示す表である。主光線近傍の屈折力の大きさは、表4に関して説明したとおりである。
【表5】
【0040】
一般的に、複数のレンズからなる結像光学系の像面湾曲を小さくするには、以下の式で表せるペッツヴァル和Pをゼロに近づける必要がある。
【数2】
【0041】
表6は、各実施例のペッツヴァル和を示す表である。全ての実施例において、ペッツヴァル和は0.1より小さい。本発明による小型撮像光学系においては、ペッツヴァル和を0.1より小さくすることによって、光学近傍において像面湾曲を小さくすることができる。この結果、高い像高位置に至るまでの像面湾曲の変化を滑らか且つ緩やかに制御することが可能となる。
【表6】
【0042】
実施例のレンズ面を表す式
実施例の各レンズの面は、以下の式で表せる。
【数3】
ここで、zは、レンズ面と光軸との交点を基準とし、像側を正とした、レンズ面上の点の光軸方向の位置を示す座標である。rは、レンズ面上の点の光軸からの距離を示す。Rは、レンズ面の頂点における曲率半径である。kは、円錐定数である。Aiは、多項式の係数である。
【0043】
実施例1
図1は、実施例1による撮像光学系の構成を示す図である。実施例1による撮像光学系は、物体側から像側に、第1レンズ101、第2レンズ102、第3レンズ103、第4レンズ104及び第5レンズ105を備える。絞りは、第1レンズ101の像側の面より物体側で第1レンズ101の物体側の面の頂点より像側にある。具体的には、絞りは第1レンズ101の物体側の面上にある。第1レンズ101、第2レンズ102、第3レンズ103、第4レンズ104及び第5レンズを通過した光は、ガラス板106を通過して像面107に至る。
【0044】
図2は、実施例1による撮像光学系の収差を示す図である。図2は、可視領域の3波長についての収差を示している。図2(a)は、球面収差及び軸上色収差を示す図である。図2(a)の横軸は、像面位置を基準とした光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図2(a)の縦軸は、絞りにおける光線の通過位置を示す。縦軸の0は、光線が絞りの中心を通過することを示し、縦軸の最大値は、光線が絞りの端を通過することを示す。図2(b)は、非点収差及び像面湾曲を示す図である。図2(b)の横軸は、光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図2(b)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。図2(b)において、Tはメリディオナル像面の形状を表し、Sはサジタル像面の形状を表す。図2(c)は、歪曲収差を示す図である。図2(c)の横軸は、歪曲収差(ディストーション)を示す(単位はパーセント)。図2(c)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0045】
図3は、実施例1による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。図3は、可視領域の3波長について倍率色収差を示している。図3の横軸は、倍率色収差を示す(単位はマイクロメータ)。図3の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0046】
表7は、実施例1による撮像光学系のレンズデータを示す表である。第1乃至第10面は、第1乃至第5レンズの面を示し、第11乃至第12面は、ガラス板の面を示す。Rはレンズ面の頂点における曲率半径、dは間隔、nは屈折率、νはアッベ数を表す。表7において、例として、第1面(第1レンズの物体側の面)の面間隔は、第1面と第2面(第1レンズの像側の面)との間隔である。
【0047】
表8は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の円錐定数k及び多項式の係数Aiを示す表である。
【0048】
表9は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の多項式の係数Aiを示す表である。
【表7】
【表8】
【表9】
【0049】
実施例2
図4は、実施例2による撮像光学系の構成を示す図である。実施例2による撮像光学系は、物体側から像側に、第1レンズ201、第2レンズ202、第3レンズ203、第4レンズ204及び第5レンズ205を備える。絞りは、第1レンズ201の像側の面より物体側で第1レンズ201の物体側の面の頂点より像側にある。具体的には、絞りは第1レンズ201の物体側の面上にある。第1レンズ201、第2レンズ202、第3レンズ203、第4レンズ204及び第5レンズ205を通過した光は、ガラス板206を通過して像面207に至る。
【0050】
図5は、実施例2による撮像光学系の収差を示す図である。図5は、可視領域の3波長についての収差を示している。図5(a)は、球面収差及び軸上色収差を示す図である。図5(a)の横軸は、像面位置を基準とした光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図5(a)の縦軸は、絞りにおける光線の通過位置を示す。縦軸の0は、光線が絞りの中心を通過することを示し、縦軸の最大値は、光線が絞りの端を通過することを示す。図5(b)は、非点収差及び像面湾曲を示す図である。図5(b)の横軸は、光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図5(b)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。図5(b)において、Tはメリディオナル像面の形状を表し、Sはサジタル像面の形状を表す。図5(c)は、歪曲収差を示す図である。図5(c)の横軸は、歪曲収差(ディストーション)を示す(単位はパーセント)。図5(c)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0051】
図6は、実施例2による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。図6は、可視領域の3波長について倍率色収差を示している。図6の横軸は、倍率色収差を示す(単位はマイクロメータ)。図6の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0052】
表10は、実施例2による撮像光学系のレンズデータを示す表である。第1乃至第10面は、第1乃至第5レンズの面を示し、第11乃至第12面は、ガラス板の面を示す。Rはレンズ面の頂点における曲率半径、dは間隔、nは屈折率、νはアッベ数を表す。表7において、例として、第1面(第1レンズの物体側の面)の面間隔は、第1面と第2面(第1レンズの像側の面)との間隔である。
【0053】
表11は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の円錐定数k及び多項式の係数Aiを示す表である。
【0054】
表12は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の多項式の係数Aiを示す表である。
【表10】
【表11】
【表12】
【0055】
実施例3
図7は、実施例3による撮像光学系の構成を示す図である。実施例3による撮像光学系は、物体側から像側に、第1レンズ301、第2レンズ302、第3レンズ303、第4レンズ304及び第5レンズ305を備える。絞りは、第1レンズ301の像側の面より物体側で第1レンズ301の物体側の面の頂点より像側にある。具体的には、絞りは第1レンズ301の物体側の面上にある。第1レンズ301、第2レンズ302、第3レンズ303、第4レンズ304及び第5レンズ305を通過した光は、ガラス板306を通過して像面307に至る。
【0056】
図8は、実施例3による撮像光学系の収差を示す図である。図8は、可視領域の3波長についての収差を示している。図8(a)は、球面収差及び軸上色収差を示す図である。図8(a)の横軸は、像面位置を基準とした光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図8(a)の縦軸は、絞りにおける光線の通過位置を示す。縦軸の0は、光線が絞りの中心を通過することを示し、縦軸の最大値は、光線が絞りの端を通過することを示す。図8(b)は、非点収差及び像面湾曲を示す図である。図8(b)の横軸は、光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図8(b)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。図8(b)において、Tはメリディオナル像面の形状を表し、Sはサジタル像面の形状を表す。図8(c)は、歪曲収差を示す図である。図8(c)の横軸は、歪曲収差(ディストーション)を示す(単位はパーセント)。図8(c)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0057】
図9は、実施例3による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。図9は、可視領域の3波長について倍率色収差を示している。図9の横軸は、倍率色収差を示す(単位はマイクロメータ)。図9の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0058】
表13は、実施例3による撮像光学系のレンズデータを示す表である。第1乃至第10面は、第1乃至第5レンズの面を示し、第11乃至第12面は、ガラス板の面を示す。Rはレンズ面の頂点における曲率半径、dは間隔、nは屈折率、νはアッベ数を表す。表7において、例として、第1面(第1レンズの物体側の面)の面間隔は、第1面と第2面(第1レンズの像側の面)との間隔である。
【0059】
表14は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の円錐定数k及び多項式の係数Aiを示す表である。
【0060】
表15は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の多項式の係数Aiを示す表である。
【表13】
【表14】
【表15】
【0061】
実施例4
図10は、実施例4による撮像光学系の構成を示す図である。実施例4による撮像光学系は、物体側から像側に、第1レンズ401、第2レンズ402、第3レンズ403、第4レンズ404及び第5レンズ405を備える。絞りは、第1レンズ401の像側の面より物体側で第1レンズ401の物体側の面の頂点より像側にある。具体的には、絞りは第1レンズ401の物体側の面上にある。第1レンズ401、第2レンズ402、第3レンズ403、第4レンズ404及び第5レンズ405を通過した光は、ガラス板406を通過して像面407に至る。
【0062】
図11は、実施例4による撮像光学系の収差を示す図である。図11は、可視領域の3波長についての収差を示している。図11(a)は、球面収差及び軸上色収差を示す図である。図11(a)の横軸は、像面位置を基準とした光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図11(a)の縦軸は、絞りにおける光線の通過位置を示す。縦軸の0は、光線が絞りの中心を通過することを示し、縦軸の最大値は、光線が絞りの端を通過することを示す。図5(b)は、非点収差及び像面湾曲を示す図である。図11(b)の横軸は、光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図11(b)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。図11(b)において、Tはメリディオナル像面の形状を表し、Sはサジタル像面の形状を表す。図11(c)は、歪曲収差を示す図である。図11(c)の横軸は、歪曲収差(ディストーション)を示す(単位はパーセント)。図11(c)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0063】
図12は、実施例4による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。図12は、可視領域の3波長について倍率色収差を示している。図12の横軸は、倍率色収差を示す(単位はマイクロメータ)。図12の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0064】
表16は、実施例4による撮像光学系のレンズデータを示す表である。第1乃至第10面は、第1乃至第5レンズの面を示し、第11乃至第12面は、ガラス板の面を示す。Rはレンズ面の頂点における曲率半径、dは間隔、nは屈折率、νはアッベ数を表す。表7において、例として、第1面(第1レンズの物体側の面)の面間隔は、第1面と第2面(第1レンズの像側の面)との間隔である。
【0065】
表17は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の円錐定数k及び多項式の係数Aiを示す表である。
【0066】
表18は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の多項式の係数Aiを示す表である。
【表16】
【表17】
【表18】
【0067】
実施例5
図13は、実施例5による撮像光学系の構成を示す図である。実施例5による撮像光学系は、物体側から像側に、第1レンズ501、第2レンズ502、第3レンズ503、第4レンズ504及び第5レンズ505を備える。絞りは、第1レンズ501の像側の面より物体側で第1レンズ501の物体側の面の頂点より像側にある。具体的には、絞りは第1レンズ501の物体側の面上にある。第1レンズ501、第2レンズ502、第3レンズ503、第4レンズ504及び第5レンズ505を通過した光は、ガラス板506を通過して像面507に至る。
【0068】
図14は、実施例5による撮像光学系の収差を示す図である。図14は、可視領域の3波長についての収差を示している。図14(a)は、球面収差及び軸上色収差を示す図である。図14(a)の横軸は、像面位置を基準とした光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図14(a)の縦軸は、絞りにおける光線の通過位置を示す。縦軸の0は、光線が絞りの中心を通過することを示し、縦軸の最大値は、光線が絞りの端を通過することを示す。図14(b)は、非点収差及び像面湾曲を示す図である。図14(b)の横軸は、光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図14(b)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。図14(b)において、Tはメリディオナル像面の形状を表し、Sはサジタル像面の形状を表す。図14(c)は、歪曲収差を示す図である。図14(c)の横軸は、歪曲収差(ディストーション)を示す(単位はパーセント)。図14(c)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0069】
図15は、実施例5による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。図15は、可視領域の3波長について倍率色収差を示している。図15の横軸は、倍率色収差を示す(単位はマイクロメータ)。図15の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0070】
表19は、実施例5による撮像光学系のレンズデータを示す表である。第1乃至第10面は、第1乃至第5レンズの面を示し、第11乃至第12面は、ガラス板の面を示す。Rはレンズ面の頂点における曲率半径、dは間隔、nは屈折率、νはアッベ数を表す。表7において、例として、第1面(第1レンズの物体側の面)の面間隔は、第1面と第2面(第1レンズの像側の面)との間隔である。
【0071】
表20は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の円錐定数k及び多項式の係数Aiを示す表である。
【0072】
表21は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の多項式の係数Aiを示す表である。
【表19】
【表20】
【表21】
【0073】
実施例6
図16は、実施例6による撮像光学系の構成を示す図である。実施例6による撮像光学系は、物体側から像側に、第1レンズ601、第2レンズ602、第3レンズ603、第4レンズ604及び第5レンズ605を備える。絞りは、第1レンズ601の像側の面より物体側で第1レンズ601の物体側の面の頂点より像側にある。具体的には、絞りは第1レンズ601の物体側の面上にある。第1レンズ601、第2レンズ602、第3レンズ603、第4レンズ604及び第5レンズ605を通過した光は、ガラス板606を通過して像面607に至る。
【0074】
図17は、実施例6による撮像光学系の収差を示す図である。図17は、可視領域の3波長についての収差を示している。図17(a)は、球面収差及び軸上色収差を示す図である。図17(a)の横軸は、像面位置を基準とした光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図17(a)の縦軸は、絞りにおける光線の通過位置を示す。縦軸の0は、光線が絞りの中心を通過することを示し、縦軸の最大値は、光線が絞りの端を通過することを示す。図17(b)は、非点収差及び像面湾曲を示す図である。図17(b)の横軸は、光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図17(b)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。図17(b)において、Tはメリディオナル像面の形状を表し、Sはサジタル像面の形状を表す。図17(c)は、歪曲収差を示す図である。図17(c)の横軸は、歪曲収差(ディストーション)を示す(単位はパーセント)。図17(c)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0075】
図18は、実施例6による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。図18は、可視領域の3波長について倍率色収差を示している。図18の横軸は、倍率色収差を示す(単位はマイクロメータ)。図18の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0076】
表22は、実施例6による撮像光学系のレンズデータを示す表である。第1乃至第10面は、第1乃至第5レンズの面を示し、第11乃至第12面は、ガラス板の面を示す。Rはレンズ面の頂点における曲率半径、dは間隔、nは屈折率、νはアッベ数を表す。表7において、例として、第1面(第1レンズの物体側の面)の面間隔は、第1面と第2面(第1レンズの像側の面)との間隔である。
【0077】
表23は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の円錐定数k及び多項式の係数Aiを示す表である。
【0078】
表24は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の多項式の係数Aiを示す表である。
【表22】
【表23】
【表24】
【0079】
実施例7
図19は、実施例7による撮像光学系の構成を示す図である。実施例7による撮像光学系は、物体側から像側に、第1レンズ701、第2レンズ702、第3レンズ703、第4レンズ704及び第5レンズ705を備える。絞りは、第1レンズ701の像側の面より物体側で第1レンズ701の物体側の面の頂点より像側にある。具体的には、絞りは第1レンズ701の物体側の面上にある。第1レンズ701、第2レンズ702、第3レンズ703、第4レンズ704及び第5レンズ705を通過した光は、ガラス板706を通過して像面707に至る。
【0080】
図20は、実施例7による撮像光学系の収差を示す図である。図20は、可視領域の3波長についての収差を示している。図20(a)は、球面収差及び軸上色収差を示す図である。図20(a)の横軸は、像面位置を基準とした光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図20(a)の縦軸は、絞りにおける光線の通過位置を示す。縦軸の0は、光線が絞りの中心を通過することを示し、縦軸の最大値は、光線が絞りの端を通過することを示す。図20(b)は、非点収差及び像面湾曲を示す図である。図20(b)の横軸は、光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図20(b)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。図20(b)において、Tはメリディオナル像面の形状を表し、Sはサジタル像面の形状を表す。図20(c)は、歪曲収差を示す図である。図20(c)の横軸は、歪曲収差(ディストーション)を示す(単位はパーセント)。図20(c)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0081】
図21は、実施例7による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。図21は、可視領域の3波長について倍率色収差を示している。図21の横軸は、倍率色収差を示す(単位はマイクロメータ)。図21の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0082】
表25は、実施例7による撮像光学系のレンズデータを示す表である。第1乃至第10面は、第1乃至第5レンズの面を示し、第11乃至第12面は、ガラス板の面を示す。Rはレンズ面の頂点における曲率半径、dは間隔、nは屈折率、νはアッベ数を表す。表7において、例として、第1面(第1レンズの物体側の面)の面間隔は、第1面と第2面(第1レンズの像側の面)との間隔である。
【0083】
表26は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の円錐定数k及び多項式の係数Aiを示す表である。
【0084】
表27は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の多項式の係数Aiを示す表である。
【表25】
【表26】
【表27】
【0085】
実施例8
図22は、実施例8による撮像光学系の構成を示す図である。実施例8による撮像光学系は、物体側から像側に、第1レンズ801、第2レンズ802、第3レンズ803、第4レンズ804及び第5レンズ805を備える。絞りは、第1レンズ801の像側の面より物体側で第1レンズ801の物体側の面の頂点より像側にある。具体的には、絞りは第1レンズ801の物体側の面上にある。第1レンズ801、第2レンズ802、第3レンズ803、第4レンズ804及び第5レンズ805を通過した光は、ガラス板806を通過して像面807に至る。
【0086】
図23は、実施例8による撮像光学系の収差を示す図である。図23は、可視領域の3波長についての収差を示している。図23(a)は、球面収差及び軸上色収差を示す図である。図23(a)の横軸は、像面位置を基準とした光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図23(a)の縦軸は、絞りにおける光線の通過位置を示す。縦軸の0は、光線が絞りの中心を通過することを示し、縦軸の最大値は、光線が絞りの端を通過することを示す。図23(b)は、非点収差及び像面湾曲を示す図である。図23(b)の横軸は、光軸方向の焦点位置を示す(単位はミリメータ)。図23(b)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。図23(b)において、Tはメリディオナル像面の形状を表し、Sはサジタル像面の形状を表す。図23(c)は、歪曲収差を示す図である。図23(c)の横軸は、歪曲収差(ディストーション)を示す(単位はパーセント)。図23(c)の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0087】
図24は、実施例8による撮像光学系の倍率色収差を示す図である。図24は、可視領域の3波長について倍率色収差を示している。図24の横軸は、倍率色収差を示す(単位はマイクロメータ)。図24の縦軸は、視野を示す。縦軸の0は、0°の視野角を示し、縦軸の最大値は、最大視野角(32°)を示す。
【0088】
表28は、実施例8による撮像光学系のレンズデータを示す表である。第1乃至第10面は、第1乃至第5レンズの面を示し、第11乃至第12面は、ガラス板の面を示す。Rはレンズ面の頂点における曲率半径、dは間隔、nは屈折率、νはアッベ数を表す。表7において、例として、第1面(第1レンズの物体側の面)の面間隔は、第1面と第2面(第1レンズの像側の面)との間隔である。
【0089】
表29は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の円錐定数k及び多項式の係数Aiを示す表である。
【0090】
表30は、第1面乃至第10面のレンズ面を表す式の多項式の係数Aiを示す表である。
【表28】
【表29】
【表30】
【0091】
実施例の撮像光学系の収差について
軸上色収差は、ほとんどの実施例で0.03mm以内である。
【0092】
倍率色収差は、ほとんどの実施例で1マイクロメータ以内である。
【0093】
像面湾曲は、全ての実施例で0.1mmよりも小さい。
【0094】
歪曲収差の絶対値は、全ての実施例で2%よりも小さい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像面側に配置された、光軸上で正の屈折力を有する第1レンズと、光軸上で負の屈折力を有する第2レンズと、像側に凸のメニスカス形状で、光軸上で正の屈折力を持ち、光軸から離れるにつれて正の屈折力が弱くなり、最大像高に達する光束の主光線近傍の屈折力が負となる第3レンズと、光軸上で正の屈折力を有する第4レンズと、光軸上で負の屈折力を持ち、光軸から離れるにつれて負の屈折力が弱くなる第5レンズと、から構成される撮像光学系であって、
主光線近傍の屈折力の符号は、該光軸をz軸とし、該光軸に垂直な平面内に互いに直交するx軸及びy軸を定め、正規化入射瞳座標をPx、Pyとして、Px=0、Py=0.01を通過する光線と、Px=0、Py=−0.01を通過する光線とが、レンズ入射前に成す角度をθi、レンズ出射後に成す角度をθoとし、集光する場合を正、発散する場合を負として、変化量Δθ(=θo―θi)の符号で定義し、
第1乃至第3レンズのアッベ数を、それぞれνi(iは1から3の整数)として、
ν1/ν2 > 1.3 (1)
ν1/ν3 > 1.3 (2)
を満たす撮像光学系。
【請求項2】
第1乃至第5レンズの焦点距離をそれぞれfi(iは1から5の整数)として、
−0.7 < f1/f2 < −0.5 (3)
を満たす請求項1に記載の撮像光学系。
【請求項3】
第1乃至第5レンズの焦点距離をそれぞれfi(iは1から5の整数)として、
−2 < f1/f5 < −0.5 (4)
を満たす請求項1または2に記載の撮像光学系。
【請求項4】
第1乃至第5レンズの焦点距離をそれぞれfi(iは1から5の整数)として、
1 < f2/f5 < 3 (5)
を満たす請求項1から3のいずれかに記載の撮像光学系。
【請求項5】
開口絞りが第1レンズの像面側より物体側に配置された請求項1から4のいずれかに記載の撮像光学系。
【請求項6】
第5レンズにおいて、最大像高に達する光束の主光線近傍の屈折力が正となる請求項1から5のいずれかに記載の撮像光学系。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の撮像光学系を備えた情報処理機器。
【請求項1】
物体側から像面側に配置された、光軸上で正の屈折力を有する第1レンズと、光軸上で負の屈折力を有する第2レンズと、像側に凸のメニスカス形状で、光軸上で正の屈折力を持ち、光軸から離れるにつれて正の屈折力が弱くなり、最大像高に達する光束の主光線近傍の屈折力が負となる第3レンズと、光軸上で正の屈折力を有する第4レンズと、光軸上で負の屈折力を持ち、光軸から離れるにつれて負の屈折力が弱くなる第5レンズと、から構成される撮像光学系であって、
主光線近傍の屈折力の符号は、該光軸をz軸とし、該光軸に垂直な平面内に互いに直交するx軸及びy軸を定め、正規化入射瞳座標をPx、Pyとして、Px=0、Py=0.01を通過する光線と、Px=0、Py=−0.01を通過する光線とが、レンズ入射前に成す角度をθi、レンズ出射後に成す角度をθoとし、集光する場合を正、発散する場合を負として、変化量Δθ(=θo―θi)の符号で定義し、
第1乃至第3レンズのアッベ数を、それぞれνi(iは1から3の整数)として、
ν1/ν2 > 1.3 (1)
ν1/ν3 > 1.3 (2)
を満たす撮像光学系。
【請求項2】
第1乃至第5レンズの焦点距離をそれぞれfi(iは1から5の整数)として、
−0.7 < f1/f2 < −0.5 (3)
を満たす請求項1に記載の撮像光学系。
【請求項3】
第1乃至第5レンズの焦点距離をそれぞれfi(iは1から5の整数)として、
−2 < f1/f5 < −0.5 (4)
を満たす請求項1または2に記載の撮像光学系。
【請求項4】
第1乃至第5レンズの焦点距離をそれぞれfi(iは1から5の整数)として、
1 < f2/f5 < 3 (5)
を満たす請求項1から3のいずれかに記載の撮像光学系。
【請求項5】
開口絞りが第1レンズの像面側より物体側に配置された請求項1から4のいずれかに記載の撮像光学系。
【請求項6】
第5レンズにおいて、最大像高に達する光束の主光線近傍の屈折力が正となる請求項1から5のいずれかに記載の撮像光学系。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の撮像光学系を備えた情報処理機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2012−37763(P2012−37763A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178728(P2010−178728)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【特許番号】特許第4792605号(P4792605)
【特許公報発行日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(597073645)ナルックス株式会社 (38)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【特許番号】特許第4792605号(P4792605)
【特許公報発行日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(597073645)ナルックス株式会社 (38)
【Fターム(参考)】
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