撮像装置、ファインダ及びその表示方法
【課題】OVFでは被写体が見えないような暗い環境であっても、ノイズやタイムラグのない表示を行う。
【解決手段】感度を上げて取得したスルー画像から、画像中の各被写体から輪郭を検出する。この検出した輪郭に基づいて、輪郭画像を生成し、生成した輪郭画像を液晶板110に表示する。輪郭画像は、例えば検出した輪郭部分を破線とし、輪郭以外の部分については透過とする。これにより、OVFの映像と、EVFに表示された輪郭画像が重畳されてファインダ接眼部38に導かれる。
【解決手段】感度を上げて取得したスルー画像から、画像中の各被写体から輪郭を検出する。この検出した輪郭に基づいて、輪郭画像を生成し、生成した輪郭画像を液晶板110に表示する。輪郭画像は、例えば検出した輪郭部分を破線とし、輪郭以外の部分については透過とする。これにより、OVFの映像と、EVFに表示された輪郭画像が重畳されてファインダ接眼部38に導かれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、ファインダ及びその表示方法に係り、特に光学式ビューファインダと電子ビューファインダを併用する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラの撮影範囲を示すビューファインダには、光学式ビューファインダ(以下OVFという)と電子ビューファインダ(以下EVFという)の二通りの方式がある。OVFは、入射した被写体光を光学系を通して撮影者に見せるものであり、EVFは、入射した被写体光を撮像素子により画像信号に変換した後、この画像信号に基づく映像を液晶モニタ等により表示して撮影者に見せるものである。
【0003】
特許文献1には、OVFの映像とEVFの映像をハーフミラーで合成して接眼レンズに導くハイブリッドファインダにおいて、EVFのキャラクタ情報を鮮明に視認し得る技術が開示されている。
【0004】
ここで、両者のファインダの特性について説明する。図12はファインダ映像の一例を示す図であり、図12(a)は花火の撮影シーンにおけるOVFの映像を、図12(b)は同様のシーンにおけるEVFの映像を示している。
【0005】
OVFは、光学系を通した被写体光をそのまま視認するものであるため、その映像はタイムラグのないものとなる。しかし、図12(a)に示すように、花火の撮影シーンのような暗い環境では、OVFの映像では花火301や明かりの点灯している窓303b、303cの認識はできるものの、その他の被写体については暗いために認識できない。
【0006】
これに対し、EVFは、所定の周期で繰り返し撮影した画像をリアルタイムに表示させるものである。図12(b)に示すように、EVFの映像では、撮影感度を上げることにより、花火301、明かりの点灯している窓303b、303cの他、ビル302、及び明かりの点灯していない窓303aについても被写体を映し出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平04−30677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、撮影感度を上げているため、EVFの映像はノイズの影響が大きいものとなる。また、EVFでは、動きのある被写体の撮影は、表示タイムラグがあるために不向きである。図12(b)の例では、花火に動きがあるため、EVFの映像を見ながら花火が全開となるタイミングで撮影を行うことは困難である。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、OVFでは被写体が見えないような暗い環境であっても、ノイズやタイムラグのない表示を行うことで、適切な画角や適切なタイミングでの撮影を可能とする撮像装置、ファインダ及びその表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために本発明に係るファインダは、光学式ビューファインダと、電子ビューファインダと、前記光学式ビューファインダに入射した被写体像と前記電子ビューファインダによって表示された表示画像とを重畳させる重畳手段と、撮像レンズを介して受光した被写体像を画像信号に変換する撮像手段と、前記画像信号から前記被写体像の輪郭を抽出する輪郭抽出手段と、前記抽出された輪郭に基づいて、輪郭画像を生成する輪郭画像生成手段と、前記輪郭画像を前記電子ビューファインダに表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、光学式ビューファインダに入射した被写体像と電子ビューファインダによって表示された表示画像とを重畳する光学系と、撮像レンズを介して受光した被写体像を画像信号に変換し、画像信号から被写体像の輪郭を抽出し、抽出された輪郭に基づいて、輪郭画像を生成し、輪郭画像を電子ビューファインダに表示するようにしたので、OVFでは被写体が見えないような暗い環境であっても、ノイズやタイムラグのない表示を行うことができる。
【0012】
前記画像信号に基づいて被写体輝度を測光する測光手段と、前記測光された被写体輝度が所定値以下の場合に、前記輪郭抽出手段に輪郭を抽出させる制御手段と、を備えることが好ましい。
【0013】
これにより、被写体輝度が低い場合にのみ、輪郭を表示することができる。
【0014】
前記画像信号に基づいて被写体に対する逆光を検出する逆光検出手段と、逆光が検出された場合に、前記輪郭抽出手段に輪郭を抽出させる制御手段と、を備えてもよい。
【0015】
これにより、被写体輝度が低い場合にのみ、輪郭を表示することができる。
【0016】
前記光学式ビューファインダは、一眼レフレックスタイプのファインダであり、前記重畳手段は、前記電子ビューファインダを前記光学式ビューファインダのフォーカシングスクリーンに隣接して配置することで、前記光学式ビューファインダに入射した被写体像と前記電子ビューファインダによって表示された表示画像とを重畳させてもよい。
【0017】
本発明は、一眼レフタイプのファインダに適用することができ、電子ビューファインダをフォーカシングスクリーンに隣接して配置することで、適切に表示画像を重畳させることができる。
【0018】
前記光学式ビューファインダの光軸と前記撮像レンズの光軸とが異なり、前記輪郭画像生成手段は、前記抽出された被写体像の輪郭を前記光学式ビューファインダに入射した被写体像と一致させるように前記輪郭画像を生成してもよい。
【0019】
これにより、OVFとEVFにパララックスがある場合においても、適切に輪郭を表示することができる。
【0020】
前記重畳手段は、前記光学式ビューファインダに入射した被写体像を透過するとともに前記電子ビューファインダによって表示された表示画像を反射するハーフミラーによって前記光学式ビューファインダに入射した被写体像と前記電子ビューファインダによって表示された表示画像とを重畳させることが好ましい。
【0021】
これにより、適切にOVFの映像とEVFの映像を重畳させることができる。
【0022】
前記目的を達成するために本発明に係る撮像装置は、上記のファインダと、撮影者が撮影指示を入力するレリーズボタンと、前記レリーズボタンにより撮影指示が入力されると、前記撮像手段から画像信号を取得し、前記画像信号に基づく撮影画像を取得する撮影手段と、前記取得した撮影画像を記録する画像記録手段とを備えたことを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、OVFでは被写体が見えないような暗い環境であっても、ノイズやタイムラグのない表示を行うことで、適切な画角や適切なタイミングでの撮影ができる。
【0024】
前記目的を達成するために本発明に係るファインダの表示方法は、光学式ビューファインダと、電子ビューファインダと、前記光学式ビューファインダに入射した被写体像と前記電子ビューファインダによって表示された表示画像とを重畳させる重畳手段と、を備えたファインダの表示方法において、撮像レンズを介して受光した被写体像を画像信号に変換する撮像工程と、前記画像信号から前記被写体像の輪郭を抽出する輪郭抽出工程と、前記抽出された輪郭に基づいて、輪郭画像を生成する輪郭画像生成工程と、前記輪郭画像を前記電子ビューファインダに表示させる表示工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、OVFでは被写体が見えないような暗い環境であっても、ノイズが無く、タイムラグの無い表示を行うことができる。また、この表示により、適切な画角や適切なタイミングで撮影を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】デジタル一眼レフカメラの外観構成を示す正面斜視図
【図2】デジタル一眼レフカメラの外観構成を示す背面斜視図
【図3】デジタル一眼レフカメラの側面断面図
【図4】デジタル一眼レフカメラの電気的構成を示すブロック図
【図5】第1の実施形態に係るファインダの表示処理を示すフローチャート
【図6】スルー画像から生成した輪郭画像を示す図
【図7】ファインダ接眼部の映像を示す図
【図8】第2の実施形態に係るファインダの表示処理を示すフローチャート
【図9】デジタルカメラの外観構成を示す正面斜視図
【図10】デジタカメラの外観構成を示す背面斜視図
【図11】デジタルカメラの上面断面図
【図12】ファインダ映像の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0028】
[第1の実施形態]
〔カメラの構成〕
図1、図2は、それぞれ本実施形態に係るデジタル一眼レフカメラ10の外観構成を示す正面斜視図と背面斜視図である。
【0029】
同図に示すように、本実施の形態のデジタル一眼レフカメラ10は、カメラ本体12と、そのカメラ本体12に着脱自在に取り付けられる撮影レンズ14とで構成されている。
【0030】
撮影レンズ14は、その基端部に設けられたレンズ側マウントをカメラ本体12の正面に設けられたカメラ側マウントに装着することにより、カメラ本体12に取り付けられる。
【0031】
カメラ本体12の正面には、このカメラ側マウントの他、AF補助光ランプ16、被写界深度確認ボタン18、シンクロターミナル20、グリップ22等が設けられており、上面には、シャッタボタン24、電源レバー26、サブコマンドダイヤル28、上面表示パネル30、モードダイヤル32、アクセサリーシュー34、ストロボ36等が設けられている。
【0032】
また、カメラ本体12の背面には、ファインダ接眼部38、視度調整レバー40、液晶モニタ42、スロットカバー44、背面表示パネル46、十字ボタン48、メニューボタン50、バックボタン52、ファンクションボタン54、メインコマンドダイヤル56、再生ボタン58等が設けられており、右側面には、傾き調整ツマミ60等が設けられている。
【0033】
被写体像の確認は、ファインダ接眼部38を介して行われ、このファインダ接眼部38を覗くことにより、撮影者はフォーカシングスクリーン上に投影される被写体像を観察することができる。シャッタボタン24は全押しと半押しからなる二段式となっており、半押し時にAE及びAF動作を行い、全押し時に本撮影を行う。本撮影では、撮影により得られた画像がメモリカード(図4の240)に記録される。また、メモリカードに記録した画像は、カメラのモードを再生モードに設定することにより(本実施の形態では、再生ボタン58の押下)、液晶モニタ42に再生表示される。
【0034】
図3は、デジタル一眼レフカメラ10の側面断面図である。同図に示すように、デジタル一眼レフカメラ10は、CCD100、液晶板110、クイックリターンミラー120、フォーカシングスクリーン122、接眼レンズ126、ペンタプリズム124、視野枠128等を備えている。
【0035】
撮影レンズ14とCCD100の間には、クイックリターンミラー120が45°傾けられて設置されている。撮影レンズ14を透過した被写体光は、このクイックリターンミラー120によって図面上方に反射される。
【0036】
クイックリターンミラー120の図面上方には、フォーカシングスクリーン122、液晶板110、視野枠128、及びペンタプリズム124が設けられている。
【0037】
クイックリターンミラー120によって反射された被写体光は、フォーカシングスクリーン122のマット面上に被写体像を左右逆像として形成する。液晶板110は透過型の表示手段であり、フォーカシングスクリーン122のマット面上に形成された被写体像は、液晶板110を透過し、視野枠128によってファインダ視野(ファインダ接眼部38から観察できる視野範囲)が規制された後、ペンタプリズム124により左右反転され、正立正像とされて、ファインダ接眼部38から接眼レンズ126で拡大観察される。
【0038】
また、クイックリターンミラー120は、ハーフミラーで構成されており、被写体光の一部を透過させる。クイックリターンミラー120を透過した被写体光の一部は、CCD100の受光面に入射される。
【0039】
CCD100の受光面に結像された被写体像は、各センサで光の入射光量に応じた量の信号電荷に変換される。CCD100から読み出された信号電荷は、各種信号処理回路により画像信号が生成される。
【0040】
液晶板110は、各種の画像を表示することが可能である。例えば、CCD100から出力された画像信号に基づく映像を表示することができる。液晶板110に表示された映像は、フォーカシングスクリーン122のマット面上に形成された被写体像と共に、ペンタプリズム124、接眼レンズ126を介してファインダ接眼部38に導かれ、撮影者が視認することができる。
【0041】
このように、デジタル一眼レフカメラ10は、撮影レンズ14から入射し、クイックリターンミラー120によって反射された被写体光である映像をファインダ接眼部38に導く一眼レフレックスタイプのOVFを備えると共に、液晶板110に表示された映像をファインダ接眼部38に導くEVFを備えている。そして、両者が同一光路上に配置されることで、その映像が重畳されてファインダ接眼部38へ導かれる。したがって、この2つのファインダは、撮影者が重畳された映像を観察可能なハイブリッドファインダとして機
能する。
【0042】
また、クイックリターンミラー120は、図3の矢印方向へ撥ね上げ可能に構成されている。クイックリターンミラー120は、撮影者によりシャッタボタン24が押されることにより撥ね上げられて、撮影光路から退避させられる。その結果、撮影レンズ14から入射された被写体光がCCD100の受光面に入射され、本撮影が行われる。クイックリターンミラー120は、撮影終了後、元の位置に復帰する。
【0043】
〔カメラの電気的構成〕
図4は、デジタル一眼レフカメラ10の電気的構成を示すブロック図である。
【0044】
同図に示すように、デジタル一眼レフカメラ10は、液晶モニタ42、CCD100、液晶板110、CPU210、操作部(シャッタボタン、電源ボタン、メニューボタン、OKボタン、キャンセルボタン、十字ボタン、再生ボタン等の各種操作ボタン)212、ROM216、EEPROM218、メモリ(SDRAM)220、VRAM222、タイミングジェネレータ(TG)226、アナログ信号処理回路228、A/D変換器230、画像入力コントローラ232、画像信号処理回路234、圧縮・伸張処理回路236、メディアコントローラ238、メモリカード240、表示制御回路242等から構成されている。
【0045】
CPU210は、カメラ本体12に装着された撮影レンズ14を含め、デジタル一眼レフカメラ10全体の動作を統括制御する制御部として機能し、操作部212からの入力に基づき所定の制御プログラムに従ってデジタル一眼レフカメラの各部を制御する。
【0046】
ROM216には、このCPU210が実行する制御プログラム及び制御に必要な各種データ等が格納されており、EEPROM218には、ユーザ設定情報等のデジタル一眼レフカメラの動作に関する各種設定情報等が格納されている。
【0047】
メモリ(SDRAM)220は、CPU210の演算作業用領域として利用されると共に、画像データの一時記憶領域として利用され、VRAM222は、表示用の画像データ専用の記憶領域として利用される。
【0048】
CCD100は、撮影レンズ14の後段に配置されており、撮影レンズ14を透過した被写体光を受光する。CCD100は、多数の受光素子がマトリクス状に配列された受光面を備えている。撮影レンズ14を透過した被写体光は、このCCD100の受光面上に結像され、各受光素子によって電気信号に変換される。
【0049】
このCCD100は、タイミングジェネレータ(TG)226から供給される垂直転送クロック及び水平転送クロックに同期して、各画素に蓄積された電荷を1ラインずつシリアルな画像信号として出力する。CPU210は、TG226を制御して、CCD100の駆動を制御する。
【0050】
なお、各画素の電荷蓄積時間(露出時間)は、TG226から与えられる電子シャッタ駆動信号によって決められる。CPU210は、TG226に対して電荷蓄積時間を指示する。
【0051】
また、画像信号の出力は、デジタル一眼レフカメラ10が撮影モードにセットされると開始される。すなわち、デジタル一眼レフカメラ10が撮影モードにセットされると、液晶モニタ42にスルー画像を表示するため、画像信号の出力が開始される。このスルー画像用の画像信号の出力は、本撮影の指示が行われると、一旦停止され、本撮影が終了すると、再度開始される。
【0052】
CCD100から出力される画像信号は、アナログ信号であり、このアナログの画像信号は、アナログ信号処理回路228に取り込まれる。
【0053】
アナログ信号処理回路228は、相関二重サンプリング回路(CDS)、及び自動ゲインコントロール回路(AGC)を含んで構成される。CDSは、画像信号に含まれるノイズの除去を行い、AGCは、ノイズ除去された画像信号を所定のゲインで増幅する。このアナログ信号処理回路228で所要の信号処理が施されたアナログの画像信号は、A/D変換器230に取り込まれる。
【0054】
A/D変換器230は、取り込んだアナログの画像信号を所定ビットの階調幅を持ったデジタルの画像信号に変換する。この画像信号は、いわゆるRAWデータであり、画素ごとR、G、Bの濃度を示す階調値を有している。
【0055】
画像入力コントローラ232は、所定容量のラインバッファを内蔵しており、A/D変換器230から出力された1コマ分の画像信号を蓄積する。この画像入力コントローラ232に蓄積された1コマ分の画像信号は、バス214を介してメモリ(SDRAM)220に格納される。
【0056】
バス214には、上記CPU210、メモリ220、画像入力コントローラ232の他、画像信号処理回路234、圧縮・伸張処理回路236、表示制御回路242、メディアコントローラ238等が接続されており、これらはバス214を介して互いに情報を送受信できるようにされている。
【0057】
メモリ220に格納された1コマ分の画像信号は、点順次(画素の順番)に画像信号処理回路234に取り込まれる。
【0058】
画像信号処理回路234は、点順次に取り込んだR、G、Bの各色の画像信号に対して所定の信号処理を施し、輝度信号Yと色差信号Cr、Cbとからなる画像信号(Y/C信号)を生成する。
【0059】
また、画像信号処理回路234には輪郭検出回路235が接続されている。この輪郭検出回路235は、メモリ220に格納された画像信号から被写体の輪郭を検出する。輪郭の検出は、一次積分のソーベルフィルタ、プレウィットフィルタ、又は二次積分のラプラシアンフィルタを使用して検出する。また、RGB単色の輪郭をそれぞれ検出してから合成してもよい。
【0060】
圧縮・伸張処理回路236は、CPU210からの指令に従って画像信号処理回路234で生成された画像データに所定の圧縮処理を施し、圧縮画像データを生成する。また、圧縮された画像データに所定の伸張処理を施して、非圧縮の画像データを生成する。
【0061】
メディアコントローラ238は、CPU210からの指令に従い、撮影により得られた画像データをメモリカード240に記録し、また、記録済み画像をメモリカード240から読み出す。
【0062】
表示制御回路242は、CPU210からの指令に従い液晶板110及び液晶モニタ42への表示を制御する。
【0063】
以上のように構成されたデジタル一眼レフカメラ10の、一般的な画像記録の手順について説明する。
【0064】
シャッタボタン24が全押しされることによりCPU210に撮影指示が入力されると、CPU210は所要の撮影制御を行って、CCD100で一コマ分の画像を撮像する。
【0065】
CCD100において撮像された一コマ分のR、G、Bの画像信号は、アナログ信号処理回路228、A/D変換器230、画像入力コントローラ232を介してメモリ220に格納され、メモリ220から画像信号処理回路234に加えられる。画像信号処理回路234は、入力された画像信号に対して所要の信号処理を施して、輝度データと色差データとからなる画像データを生成する。
【0066】
生成された画像データは、メモリ220に一旦格納された後、圧縮・伸張処理回路236に加えられ、所定の圧縮処理が施された後、メモリ220に再度格納される。
【0067】
CPU210は、このメモリ220に格納された圧縮画像データに対して所定の撮影情報を付加した所定フォーマットの画像ファイルを生成し、メディアコントローラ238を介してメモリカード240に記録する。
【0068】
このようにしてメモリカード240に記録された画像データは、再生指令に応じてメモリカード240から読み出され、液晶モニタ42に再生表示される。すなわち、再生ボタンによりCPU310に再生指示が入力されると、CPU210は、メディアコントローラ238を介してメモリカード240に最後に記録された画像ファイルの圧縮画像データを読み出す。読み出された圧縮画像データは、圧縮・伸張処理回路236に加えられ、非圧縮の画像データとされたのちVRAM222に格納される。そして、このVRAM222に格納された画像ファイルが表示制御回路242に加えられ、モニタ表示用の信号形式に変換されて液晶モニタ42に出力される。これにより、メモリカード240に記録されている画像が液晶モニタ42に再生表示される。
【0069】
また、十字ボタン等によって画像のコマ送りが指示されると、次の画像がメモリカード240から読み出され、液晶モニタ42に再生表示される。また、コマ戻しが指示されると、一つ前の画像がメモリカード240から読み出され、液晶モニタ42に再生表示される。
【0070】
〔ファインダの表示処理〕
図5は、第1の実施形態に係るファインダの表示処理を示すフローチャートである。
【0071】
まず、被写体輝度を算出する(ステップS1)。即ち、メモリ220に格納されたR、G、Bの画像信号を取り込み、撮影領域(一画面)を複数の領域に分割し、分割領域ごとにR、G、Bごとの画像信号の積算値を算出する。この算出された各分割領域におけるR、G、Bごとの積算値の情報から、被写体輝度を算出する。
【0072】
この算出した被写体輝度に基づいて、撮影者にとってOVFの映像で被写体の認識が可能か否かを判定する(ステップS2)。例えば、ステップS1において算出した被写体輝度が所定の値より大きい場合には、明るい環境であるために被写体の認識が可能であると判断する。逆に、所定の値に満たなければ、暗い環境であるために被写体の認識が不可能であると判断すればよい。
【0073】
OVFの映像で被写体の認識が可能と判断した場合には、OVFのみでファンダ表示を行う(ステップS4)。
【0074】
逆に、OVFの映像では被写体の認識が不可能と判断した場合は、OVFとEVFを重畳表示させる(ステップS5)。
【0075】
この場合は、まず撮影感度を上げてスルー画像の撮影を行う。撮影感度は、AGCによる増幅率を上げればよい。例えば、図12のような撮影シーンであれば、図12(b)のようなスルー画像を取得することができる。
【0076】
この取得したスルー画像から、輪郭検出回路235は、画像中の各被写体から輪郭を検出する。前述のように、輪郭の検出にはソーベルフィルタ等を用いればよい。図12(b)に示すスルー画像の例であれば、花火301、ビル302、各窓303の輪郭が検出される。
【0077】
この検出した輪郭に基づいて、輪郭画像を生成する。図6は、図12(b)に示すスルー画像から生成した輪郭画像を示す図である。輪郭画像は、例えば検出した輪郭部分を破線とし、輪郭以外の部分については透過とする。図6では、便宜上輪郭部分を黒色の破線として表しているが、実際には白色の破線とする。
【0078】
次に、生成した輪郭画像を液晶板110に表示する。これにより、図12(a)に示すOVFの映像と、EVFに表示された輪郭画像が重畳されてファインダ接眼部38に導かれる。
【0079】
図7は、この時にファインダ接眼部38から観察される映像を示す図である。同図に示すように、明るい被写体である花火301と明かりの点灯している窓303b、303cはOVFの映像がそのまま視認可能となっている。さらに、EVFの輪郭画像によって、OVFでは視認できない暗い被写体であるビル302及び窓303aが白い輪郭線で視認可能となっている。
【0080】
ここでは、暗いOVFの映像中でも視認しやすいように、輪郭線として白色の破線を用いているが、これに限定されるものではない。例えば、赤色や黄色の実線を用いてもよい。さらに、輪郭画像を点滅表示させる等、OVFでは視認できない被写体の輪郭について、適宜わかりやすい表示を行えばよい。
【0081】
撮影者は、この重畳表示された映像を見ながら画角の調整を行い、本撮影を行うことができる(ステップS6)。本撮影では、撮影感度を上げることにより、図12(b)に示すような画像を撮影してもよいし、ストロボ36を発光させることにより、OVFでは視認できない被写体をストロボ光で照射した画像を撮影してもよい。
【0082】
このように、被写体輝度が暗く、OVFでは被写体を認識できない場合において、OVFの映像にEVFの輪郭画像を重畳表示させることで、ノイズが無いファインダ映像により適切に画角を合わせることができ、さらにタイムラグが無いためシャッタチャンスを逃さずに本撮影を行うことができる。
【0083】
なお、本実施形態では、スルー画像から検出された全ての被写体の輪郭を表示したが、EVFの表示はタイムラグがあるため、変化の速い被写体については、輪郭を表示させなくてもよい。例えば、図6に示す輪郭画像では、花火301は変化が早いため、輪郭線がOVFの映像と一致しない可能性がある。したがって、スルー画像により変化が遅い、又は変化していないと判定された被写体のみ、輪郭を抽出してもよい。
【0084】
また、OVFで視認可能な被写体については、輪郭を抽出しなくてもよい。被写体ごとに輝度を算出し、OVFで視認できない被写体のみ輪郭を抽出してもよい。このように、必要な輪郭だけを抽出して輪郭画像を生成することで、輪郭画像の生成処理の時間を短縮することができる。
【0085】
また、本実施形態では、被写体輝度を算出することで重畳表示の有無を自動的に判断したが、撮影者が選択可能に構成してもよい。例えば、重畳表示を行う撮影モードを備えておき、実際に撮影者がOVFの映像を確認し、OVFでは被写体が確認できない場合に重畳表示のモードに設定するようにしてもよい。さらに、シャッタボタン24を半押しにした場合だけ重畳表示を行ってもよい。
【0086】
さらに、本実施形態では、一眼レフレックスタイプのOVFのフォーカシングスクリーンに隣接した位置に液晶板110を配置することにより、OVFの光学系とEVFの光学系を重畳させているが、重畳させる方法はこれに限定されるものではない。例えば、特許文献1のようにハーフミラーを介して重畳させてもよい。
【0087】
[第2の実施形態]
次に、本発明に係るファインダの第2の実施形態について説明する。本実施形態に係るカメラの外観構成、側面断面、電気的構成は図1〜図4に示す第1の実施形態のデジタル一眼レフカメラ10と同様であるので、説明を省略する。
【0088】
図8は、本実施形態に係るファインダの表示処理を示すフローチャートである。なお、図5に示すフローチャートと共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0089】
本実施形態では、逆光検出を行い(ステップS11)、逆光によりOVFで被写体映像が確認できない場合に、OVFとEVFにおいて輪郭画像の重畳表示を行う(ステップS5)。
【0090】
逆光とは、背景の輝度が高く(明るく)、主要被写体の輝度が低い(暗い)シーンを指す。したがって、逆光検出は、例えば主要被写体の輝度とその周囲の輝度とを比較することで検出することができる。
【0091】
OVFでは逆光で被写体が見えない場合に、EVFにおいて輪郭画像を重畳表示することで、撮影者が被写体の位置を認識することができる。さらに、OVFと重畳表示させることで、EVFで発生するタイムラグの発生をなくし、撮影者の好みの画角、タイミングでの撮影が可能となる。
【0092】
[第3の実施形態]
第1、第2の実施形態のファインダは、一眼レフタイプのファインダに適用されていたが、適用できるファインダは一眼レフタイプに限定されない。例えば、OVFの光軸とEVFの光軸とが異なるカメラのファインダに適用することができる。ここでは、逆ガリレオタイプのファインダを例に説明する。
【0093】
図9、図10は、それぞれ本実施形態に係るデジタルカメラ400の外観構成を示す正面斜視図と背面斜視図である。
【0094】
同図に示すように、本実施の形態のデジタルカメラ400は、カメラ本体412と、そのカメラ本体412に取り付けられた撮影レンズ414とで構成されている。
【0095】
撮影レンズ414は、レンズ側マウントとカメラ側マウントにより着脱自在に構成してもよい。
【0096】
カメラ本体412の正面には、AF補助光ランプ416、ファインダ切り替えレバー418、ファインダ対物部420、グリップ422等が設けられており、上面には、シャッタボタン424、電源レバー426、露出補正ダイヤル430、シャッタスピードダイヤル432、アクセサリーシュー434、ストロボ436等が設けられている。
【0097】
また、カメラ本体412の背面には、ファインダ接眼部438、コマンドレバー440、液晶モニタ442、十字ボタン448、RAWボタン450、バックボタン452、AE選択ボタン454、AF選択ボタン456、再生ボタン458等が設けられている。
【0098】
なお、ファインダと関連のない部分については、説明を省略する。
【0099】
被写体像の確認は、ファインダ接眼部438を介して行われ、撮影者はこのファインダ接眼部438を覗くことにより、被写体像を観察することができる。
【0100】
図11は、デジタルカメラ400の上面断面図である。同図に示すように、デジタルカメラ400は、CCD500、液晶板510、EVFレンズ512、対物レンズ520、プリズム522、接眼レンズ524等を備えている。
【0101】
撮影レンズ414を透過した被写体光は、CCD500の受光面に入射される。被写体光を受光したCCD500は、各センサで光の入射光量に応じた量の信号電荷に変換し、この信号電荷は、各種信号処理回路により画像信号が生成される。この画像信号に基づいて、被写体像を反転した画像が液晶板510に表示される。
【0102】
また液晶板510には、撮影レンズ414の焦点距離(画角)に基づいて、撮影範囲を示すフレームが表示される。
【0103】
液晶板510の図面下方には、EVFレンズ512が設けられている。またEVFレンズ512と接眼レンズ524との間には、プリズム522が配置されている。
【0104】
プリズム522は、第1プリズム522aと第2プリズム522bとから構成されており、第1プリズム522aと第2プリズム522bとが接合する部分には、ハーフミラー面522Mが形成されている。このハーフミラー面522Mは、EVFレンズ512の光軸に対して45°傾けられて設置される。液晶板510に表示された画像は、EVFレンズ512によって拡大され、ハーフミラー面522Mによって左右が反転されて図面右方向に反射される。ハーフミラー面522Mによって反射された画像は、接眼レンズ524に入射する。
【0105】
また撮影レンズ414とは異なる経路から対物レンズ520に入射した被写体光は、ハーフミラー面522Mを透過し、接眼レンズ524に入射する。対物レンズ520には凹レンズ、接眼レンズには凸レンズが用いられており、逆ガリレオタイプのファインダを構成している。
【0106】
このように、デジタルカメラ400は、ファインダ対物部420から入射した被写体光をファインダ接眼部438に導くOVFを備えると共に、液晶板510に表示された映像をファインダ接眼部438に導くEVFを備えている。そして、両者がハーフミラー面522Mにより同一光路上に配置されることで、その映像が重畳されてファインダ接眼部438へ導かれる。即ち、この2つのファインダは、撮影者が重畳された映像を観察可能なハイブリッドファインダとして機能する。したがって、OVFの被写体映像とEVFの輪郭映像を重畳表示することで、第1、第2の実施形態と同様に、被写体輝度や逆光検出の結果に応じた輪郭表示を行うことができる。
【0107】
なお、デジタルカメラ400の電気的構成については、図4に示すブロック図と同様であるので、説明を省略する。このように、OVFに入射する光の光軸とEVFに入射する光の光軸が異なるタイプのカメラであっても、本発明は適用可能である。
【0108】
なお、デジタルカメラ400の場合、OVFの映像(対物レンズ520から入射し、ハーフミラー面522Mを透過した被写体像)と、EVFの映像(CCD500により撮影された信号に基づいて液晶板510に表示され、ハーフミラー面522Mを反射した被写体像)とでは、パララックスが生じるため、同一被写体であってもそれぞれの映像内の位置が異なってしまう。したがって、OVFの映像とEVFによる輪郭画像とを重畳表示させる場合には、パララックスの補正を行う必要がある。
【0109】
補正を行うためには、まずデジタルカメラ400と各被写体との距離を測定する必要がある。各被写体との距離は、例えば、位相差AF方式を用いることが考えられる。位相差AF方式は、被写体からの光を対となる測距センサで取得し、それら測距センサの出力の位相差から三角測量により被写体との距離を算出するものである。なお、異なる方法によって各被写体との距離を測定してもよい。
【0110】
次に、上記のように算出したデジタルカメラ400と各被写体との距離に基づいて、予め生成しておいた輪郭画像の各被写体の輪郭を、OVFの映像の同一被写体の位置と一致するように移動させる。
【0111】
このように生成した輪郭画像は、OVFの映像の各被写体と、EVFに出力された輪郭画像の各被写体の輪郭が一致して表示される。
【0112】
また、OVFの光学系(対物レンズ520)とEVFの光学系(撮影レンズ414)との画角が異なる場合は、画角の差に基づいてCCD500において撮影された画像を縮小して液晶板510に表示すればよい。
【0113】
本実施形態では、ハーフミラー面522Mにより液晶板の表示画像を左右反転しているが、上下反転するように構成してもよい。この場合、液晶板は、上下反転させた映像を表示すればよい。
【0114】
本発明の技術的範囲は、上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。各実施の形態における構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各実施の形態間で適宜組み合せることができる。
【符号の説明】
【0115】
10…デジタル一眼レフカメラ、12…カメラ本体、14、414…撮影レンズ、24…シャッタボタン、38…ファインダ接眼部、42…液晶モニタ、100、500…CCD、110…液晶板、120…クイックリターンミラー、122…フォーカシングスクリーン、124…ペンタプリズム、126、524…接眼レンズ、128…視野枠、235…輪郭検出回路、242…表示制御回路、301…花火、302…ビル、303…窓、400…デジタルカメラ、420…対物部、438…接眼部、510…液晶板、512…EVFレンズ、520…対物レンズ、522…プリズム、522M…ハーフミラー面、524…接眼レンズ
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、ファインダ及びその表示方法に係り、特に光学式ビューファインダと電子ビューファインダを併用する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラの撮影範囲を示すビューファインダには、光学式ビューファインダ(以下OVFという)と電子ビューファインダ(以下EVFという)の二通りの方式がある。OVFは、入射した被写体光を光学系を通して撮影者に見せるものであり、EVFは、入射した被写体光を撮像素子により画像信号に変換した後、この画像信号に基づく映像を液晶モニタ等により表示して撮影者に見せるものである。
【0003】
特許文献1には、OVFの映像とEVFの映像をハーフミラーで合成して接眼レンズに導くハイブリッドファインダにおいて、EVFのキャラクタ情報を鮮明に視認し得る技術が開示されている。
【0004】
ここで、両者のファインダの特性について説明する。図12はファインダ映像の一例を示す図であり、図12(a)は花火の撮影シーンにおけるOVFの映像を、図12(b)は同様のシーンにおけるEVFの映像を示している。
【0005】
OVFは、光学系を通した被写体光をそのまま視認するものであるため、その映像はタイムラグのないものとなる。しかし、図12(a)に示すように、花火の撮影シーンのような暗い環境では、OVFの映像では花火301や明かりの点灯している窓303b、303cの認識はできるものの、その他の被写体については暗いために認識できない。
【0006】
これに対し、EVFは、所定の周期で繰り返し撮影した画像をリアルタイムに表示させるものである。図12(b)に示すように、EVFの映像では、撮影感度を上げることにより、花火301、明かりの点灯している窓303b、303cの他、ビル302、及び明かりの点灯していない窓303aについても被写体を映し出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平04−30677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、撮影感度を上げているため、EVFの映像はノイズの影響が大きいものとなる。また、EVFでは、動きのある被写体の撮影は、表示タイムラグがあるために不向きである。図12(b)の例では、花火に動きがあるため、EVFの映像を見ながら花火が全開となるタイミングで撮影を行うことは困難である。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、OVFでは被写体が見えないような暗い環境であっても、ノイズやタイムラグのない表示を行うことで、適切な画角や適切なタイミングでの撮影を可能とする撮像装置、ファインダ及びその表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために本発明に係るファインダは、光学式ビューファインダと、電子ビューファインダと、前記光学式ビューファインダに入射した被写体像と前記電子ビューファインダによって表示された表示画像とを重畳させる重畳手段と、撮像レンズを介して受光した被写体像を画像信号に変換する撮像手段と、前記画像信号から前記被写体像の輪郭を抽出する輪郭抽出手段と、前記抽出された輪郭に基づいて、輪郭画像を生成する輪郭画像生成手段と、前記輪郭画像を前記電子ビューファインダに表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、光学式ビューファインダに入射した被写体像と電子ビューファインダによって表示された表示画像とを重畳する光学系と、撮像レンズを介して受光した被写体像を画像信号に変換し、画像信号から被写体像の輪郭を抽出し、抽出された輪郭に基づいて、輪郭画像を生成し、輪郭画像を電子ビューファインダに表示するようにしたので、OVFでは被写体が見えないような暗い環境であっても、ノイズやタイムラグのない表示を行うことができる。
【0012】
前記画像信号に基づいて被写体輝度を測光する測光手段と、前記測光された被写体輝度が所定値以下の場合に、前記輪郭抽出手段に輪郭を抽出させる制御手段と、を備えることが好ましい。
【0013】
これにより、被写体輝度が低い場合にのみ、輪郭を表示することができる。
【0014】
前記画像信号に基づいて被写体に対する逆光を検出する逆光検出手段と、逆光が検出された場合に、前記輪郭抽出手段に輪郭を抽出させる制御手段と、を備えてもよい。
【0015】
これにより、被写体輝度が低い場合にのみ、輪郭を表示することができる。
【0016】
前記光学式ビューファインダは、一眼レフレックスタイプのファインダであり、前記重畳手段は、前記電子ビューファインダを前記光学式ビューファインダのフォーカシングスクリーンに隣接して配置することで、前記光学式ビューファインダに入射した被写体像と前記電子ビューファインダによって表示された表示画像とを重畳させてもよい。
【0017】
本発明は、一眼レフタイプのファインダに適用することができ、電子ビューファインダをフォーカシングスクリーンに隣接して配置することで、適切に表示画像を重畳させることができる。
【0018】
前記光学式ビューファインダの光軸と前記撮像レンズの光軸とが異なり、前記輪郭画像生成手段は、前記抽出された被写体像の輪郭を前記光学式ビューファインダに入射した被写体像と一致させるように前記輪郭画像を生成してもよい。
【0019】
これにより、OVFとEVFにパララックスがある場合においても、適切に輪郭を表示することができる。
【0020】
前記重畳手段は、前記光学式ビューファインダに入射した被写体像を透過するとともに前記電子ビューファインダによって表示された表示画像を反射するハーフミラーによって前記光学式ビューファインダに入射した被写体像と前記電子ビューファインダによって表示された表示画像とを重畳させることが好ましい。
【0021】
これにより、適切にOVFの映像とEVFの映像を重畳させることができる。
【0022】
前記目的を達成するために本発明に係る撮像装置は、上記のファインダと、撮影者が撮影指示を入力するレリーズボタンと、前記レリーズボタンにより撮影指示が入力されると、前記撮像手段から画像信号を取得し、前記画像信号に基づく撮影画像を取得する撮影手段と、前記取得した撮影画像を記録する画像記録手段とを備えたことを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、OVFでは被写体が見えないような暗い環境であっても、ノイズやタイムラグのない表示を行うことで、適切な画角や適切なタイミングでの撮影ができる。
【0024】
前記目的を達成するために本発明に係るファインダの表示方法は、光学式ビューファインダと、電子ビューファインダと、前記光学式ビューファインダに入射した被写体像と前記電子ビューファインダによって表示された表示画像とを重畳させる重畳手段と、を備えたファインダの表示方法において、撮像レンズを介して受光した被写体像を画像信号に変換する撮像工程と、前記画像信号から前記被写体像の輪郭を抽出する輪郭抽出工程と、前記抽出された輪郭に基づいて、輪郭画像を生成する輪郭画像生成工程と、前記輪郭画像を前記電子ビューファインダに表示させる表示工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、OVFでは被写体が見えないような暗い環境であっても、ノイズが無く、タイムラグの無い表示を行うことができる。また、この表示により、適切な画角や適切なタイミングで撮影を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】デジタル一眼レフカメラの外観構成を示す正面斜視図
【図2】デジタル一眼レフカメラの外観構成を示す背面斜視図
【図3】デジタル一眼レフカメラの側面断面図
【図4】デジタル一眼レフカメラの電気的構成を示すブロック図
【図5】第1の実施形態に係るファインダの表示処理を示すフローチャート
【図6】スルー画像から生成した輪郭画像を示す図
【図7】ファインダ接眼部の映像を示す図
【図8】第2の実施形態に係るファインダの表示処理を示すフローチャート
【図9】デジタルカメラの外観構成を示す正面斜視図
【図10】デジタカメラの外観構成を示す背面斜視図
【図11】デジタルカメラの上面断面図
【図12】ファインダ映像の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0028】
[第1の実施形態]
〔カメラの構成〕
図1、図2は、それぞれ本実施形態に係るデジタル一眼レフカメラ10の外観構成を示す正面斜視図と背面斜視図である。
【0029】
同図に示すように、本実施の形態のデジタル一眼レフカメラ10は、カメラ本体12と、そのカメラ本体12に着脱自在に取り付けられる撮影レンズ14とで構成されている。
【0030】
撮影レンズ14は、その基端部に設けられたレンズ側マウントをカメラ本体12の正面に設けられたカメラ側マウントに装着することにより、カメラ本体12に取り付けられる。
【0031】
カメラ本体12の正面には、このカメラ側マウントの他、AF補助光ランプ16、被写界深度確認ボタン18、シンクロターミナル20、グリップ22等が設けられており、上面には、シャッタボタン24、電源レバー26、サブコマンドダイヤル28、上面表示パネル30、モードダイヤル32、アクセサリーシュー34、ストロボ36等が設けられている。
【0032】
また、カメラ本体12の背面には、ファインダ接眼部38、視度調整レバー40、液晶モニタ42、スロットカバー44、背面表示パネル46、十字ボタン48、メニューボタン50、バックボタン52、ファンクションボタン54、メインコマンドダイヤル56、再生ボタン58等が設けられており、右側面には、傾き調整ツマミ60等が設けられている。
【0033】
被写体像の確認は、ファインダ接眼部38を介して行われ、このファインダ接眼部38を覗くことにより、撮影者はフォーカシングスクリーン上に投影される被写体像を観察することができる。シャッタボタン24は全押しと半押しからなる二段式となっており、半押し時にAE及びAF動作を行い、全押し時に本撮影を行う。本撮影では、撮影により得られた画像がメモリカード(図4の240)に記録される。また、メモリカードに記録した画像は、カメラのモードを再生モードに設定することにより(本実施の形態では、再生ボタン58の押下)、液晶モニタ42に再生表示される。
【0034】
図3は、デジタル一眼レフカメラ10の側面断面図である。同図に示すように、デジタル一眼レフカメラ10は、CCD100、液晶板110、クイックリターンミラー120、フォーカシングスクリーン122、接眼レンズ126、ペンタプリズム124、視野枠128等を備えている。
【0035】
撮影レンズ14とCCD100の間には、クイックリターンミラー120が45°傾けられて設置されている。撮影レンズ14を透過した被写体光は、このクイックリターンミラー120によって図面上方に反射される。
【0036】
クイックリターンミラー120の図面上方には、フォーカシングスクリーン122、液晶板110、視野枠128、及びペンタプリズム124が設けられている。
【0037】
クイックリターンミラー120によって反射された被写体光は、フォーカシングスクリーン122のマット面上に被写体像を左右逆像として形成する。液晶板110は透過型の表示手段であり、フォーカシングスクリーン122のマット面上に形成された被写体像は、液晶板110を透過し、視野枠128によってファインダ視野(ファインダ接眼部38から観察できる視野範囲)が規制された後、ペンタプリズム124により左右反転され、正立正像とされて、ファインダ接眼部38から接眼レンズ126で拡大観察される。
【0038】
また、クイックリターンミラー120は、ハーフミラーで構成されており、被写体光の一部を透過させる。クイックリターンミラー120を透過した被写体光の一部は、CCD100の受光面に入射される。
【0039】
CCD100の受光面に結像された被写体像は、各センサで光の入射光量に応じた量の信号電荷に変換される。CCD100から読み出された信号電荷は、各種信号処理回路により画像信号が生成される。
【0040】
液晶板110は、各種の画像を表示することが可能である。例えば、CCD100から出力された画像信号に基づく映像を表示することができる。液晶板110に表示された映像は、フォーカシングスクリーン122のマット面上に形成された被写体像と共に、ペンタプリズム124、接眼レンズ126を介してファインダ接眼部38に導かれ、撮影者が視認することができる。
【0041】
このように、デジタル一眼レフカメラ10は、撮影レンズ14から入射し、クイックリターンミラー120によって反射された被写体光である映像をファインダ接眼部38に導く一眼レフレックスタイプのOVFを備えると共に、液晶板110に表示された映像をファインダ接眼部38に導くEVFを備えている。そして、両者が同一光路上に配置されることで、その映像が重畳されてファインダ接眼部38へ導かれる。したがって、この2つのファインダは、撮影者が重畳された映像を観察可能なハイブリッドファインダとして機
能する。
【0042】
また、クイックリターンミラー120は、図3の矢印方向へ撥ね上げ可能に構成されている。クイックリターンミラー120は、撮影者によりシャッタボタン24が押されることにより撥ね上げられて、撮影光路から退避させられる。その結果、撮影レンズ14から入射された被写体光がCCD100の受光面に入射され、本撮影が行われる。クイックリターンミラー120は、撮影終了後、元の位置に復帰する。
【0043】
〔カメラの電気的構成〕
図4は、デジタル一眼レフカメラ10の電気的構成を示すブロック図である。
【0044】
同図に示すように、デジタル一眼レフカメラ10は、液晶モニタ42、CCD100、液晶板110、CPU210、操作部(シャッタボタン、電源ボタン、メニューボタン、OKボタン、キャンセルボタン、十字ボタン、再生ボタン等の各種操作ボタン)212、ROM216、EEPROM218、メモリ(SDRAM)220、VRAM222、タイミングジェネレータ(TG)226、アナログ信号処理回路228、A/D変換器230、画像入力コントローラ232、画像信号処理回路234、圧縮・伸張処理回路236、メディアコントローラ238、メモリカード240、表示制御回路242等から構成されている。
【0045】
CPU210は、カメラ本体12に装着された撮影レンズ14を含め、デジタル一眼レフカメラ10全体の動作を統括制御する制御部として機能し、操作部212からの入力に基づき所定の制御プログラムに従ってデジタル一眼レフカメラの各部を制御する。
【0046】
ROM216には、このCPU210が実行する制御プログラム及び制御に必要な各種データ等が格納されており、EEPROM218には、ユーザ設定情報等のデジタル一眼レフカメラの動作に関する各種設定情報等が格納されている。
【0047】
メモリ(SDRAM)220は、CPU210の演算作業用領域として利用されると共に、画像データの一時記憶領域として利用され、VRAM222は、表示用の画像データ専用の記憶領域として利用される。
【0048】
CCD100は、撮影レンズ14の後段に配置されており、撮影レンズ14を透過した被写体光を受光する。CCD100は、多数の受光素子がマトリクス状に配列された受光面を備えている。撮影レンズ14を透過した被写体光は、このCCD100の受光面上に結像され、各受光素子によって電気信号に変換される。
【0049】
このCCD100は、タイミングジェネレータ(TG)226から供給される垂直転送クロック及び水平転送クロックに同期して、各画素に蓄積された電荷を1ラインずつシリアルな画像信号として出力する。CPU210は、TG226を制御して、CCD100の駆動を制御する。
【0050】
なお、各画素の電荷蓄積時間(露出時間)は、TG226から与えられる電子シャッタ駆動信号によって決められる。CPU210は、TG226に対して電荷蓄積時間を指示する。
【0051】
また、画像信号の出力は、デジタル一眼レフカメラ10が撮影モードにセットされると開始される。すなわち、デジタル一眼レフカメラ10が撮影モードにセットされると、液晶モニタ42にスルー画像を表示するため、画像信号の出力が開始される。このスルー画像用の画像信号の出力は、本撮影の指示が行われると、一旦停止され、本撮影が終了すると、再度開始される。
【0052】
CCD100から出力される画像信号は、アナログ信号であり、このアナログの画像信号は、アナログ信号処理回路228に取り込まれる。
【0053】
アナログ信号処理回路228は、相関二重サンプリング回路(CDS)、及び自動ゲインコントロール回路(AGC)を含んで構成される。CDSは、画像信号に含まれるノイズの除去を行い、AGCは、ノイズ除去された画像信号を所定のゲインで増幅する。このアナログ信号処理回路228で所要の信号処理が施されたアナログの画像信号は、A/D変換器230に取り込まれる。
【0054】
A/D変換器230は、取り込んだアナログの画像信号を所定ビットの階調幅を持ったデジタルの画像信号に変換する。この画像信号は、いわゆるRAWデータであり、画素ごとR、G、Bの濃度を示す階調値を有している。
【0055】
画像入力コントローラ232は、所定容量のラインバッファを内蔵しており、A/D変換器230から出力された1コマ分の画像信号を蓄積する。この画像入力コントローラ232に蓄積された1コマ分の画像信号は、バス214を介してメモリ(SDRAM)220に格納される。
【0056】
バス214には、上記CPU210、メモリ220、画像入力コントローラ232の他、画像信号処理回路234、圧縮・伸張処理回路236、表示制御回路242、メディアコントローラ238等が接続されており、これらはバス214を介して互いに情報を送受信できるようにされている。
【0057】
メモリ220に格納された1コマ分の画像信号は、点順次(画素の順番)に画像信号処理回路234に取り込まれる。
【0058】
画像信号処理回路234は、点順次に取り込んだR、G、Bの各色の画像信号に対して所定の信号処理を施し、輝度信号Yと色差信号Cr、Cbとからなる画像信号(Y/C信号)を生成する。
【0059】
また、画像信号処理回路234には輪郭検出回路235が接続されている。この輪郭検出回路235は、メモリ220に格納された画像信号から被写体の輪郭を検出する。輪郭の検出は、一次積分のソーベルフィルタ、プレウィットフィルタ、又は二次積分のラプラシアンフィルタを使用して検出する。また、RGB単色の輪郭をそれぞれ検出してから合成してもよい。
【0060】
圧縮・伸張処理回路236は、CPU210からの指令に従って画像信号処理回路234で生成された画像データに所定の圧縮処理を施し、圧縮画像データを生成する。また、圧縮された画像データに所定の伸張処理を施して、非圧縮の画像データを生成する。
【0061】
メディアコントローラ238は、CPU210からの指令に従い、撮影により得られた画像データをメモリカード240に記録し、また、記録済み画像をメモリカード240から読み出す。
【0062】
表示制御回路242は、CPU210からの指令に従い液晶板110及び液晶モニタ42への表示を制御する。
【0063】
以上のように構成されたデジタル一眼レフカメラ10の、一般的な画像記録の手順について説明する。
【0064】
シャッタボタン24が全押しされることによりCPU210に撮影指示が入力されると、CPU210は所要の撮影制御を行って、CCD100で一コマ分の画像を撮像する。
【0065】
CCD100において撮像された一コマ分のR、G、Bの画像信号は、アナログ信号処理回路228、A/D変換器230、画像入力コントローラ232を介してメモリ220に格納され、メモリ220から画像信号処理回路234に加えられる。画像信号処理回路234は、入力された画像信号に対して所要の信号処理を施して、輝度データと色差データとからなる画像データを生成する。
【0066】
生成された画像データは、メモリ220に一旦格納された後、圧縮・伸張処理回路236に加えられ、所定の圧縮処理が施された後、メモリ220に再度格納される。
【0067】
CPU210は、このメモリ220に格納された圧縮画像データに対して所定の撮影情報を付加した所定フォーマットの画像ファイルを生成し、メディアコントローラ238を介してメモリカード240に記録する。
【0068】
このようにしてメモリカード240に記録された画像データは、再生指令に応じてメモリカード240から読み出され、液晶モニタ42に再生表示される。すなわち、再生ボタンによりCPU310に再生指示が入力されると、CPU210は、メディアコントローラ238を介してメモリカード240に最後に記録された画像ファイルの圧縮画像データを読み出す。読み出された圧縮画像データは、圧縮・伸張処理回路236に加えられ、非圧縮の画像データとされたのちVRAM222に格納される。そして、このVRAM222に格納された画像ファイルが表示制御回路242に加えられ、モニタ表示用の信号形式に変換されて液晶モニタ42に出力される。これにより、メモリカード240に記録されている画像が液晶モニタ42に再生表示される。
【0069】
また、十字ボタン等によって画像のコマ送りが指示されると、次の画像がメモリカード240から読み出され、液晶モニタ42に再生表示される。また、コマ戻しが指示されると、一つ前の画像がメモリカード240から読み出され、液晶モニタ42に再生表示される。
【0070】
〔ファインダの表示処理〕
図5は、第1の実施形態に係るファインダの表示処理を示すフローチャートである。
【0071】
まず、被写体輝度を算出する(ステップS1)。即ち、メモリ220に格納されたR、G、Bの画像信号を取り込み、撮影領域(一画面)を複数の領域に分割し、分割領域ごとにR、G、Bごとの画像信号の積算値を算出する。この算出された各分割領域におけるR、G、Bごとの積算値の情報から、被写体輝度を算出する。
【0072】
この算出した被写体輝度に基づいて、撮影者にとってOVFの映像で被写体の認識が可能か否かを判定する(ステップS2)。例えば、ステップS1において算出した被写体輝度が所定の値より大きい場合には、明るい環境であるために被写体の認識が可能であると判断する。逆に、所定の値に満たなければ、暗い環境であるために被写体の認識が不可能であると判断すればよい。
【0073】
OVFの映像で被写体の認識が可能と判断した場合には、OVFのみでファンダ表示を行う(ステップS4)。
【0074】
逆に、OVFの映像では被写体の認識が不可能と判断した場合は、OVFとEVFを重畳表示させる(ステップS5)。
【0075】
この場合は、まず撮影感度を上げてスルー画像の撮影を行う。撮影感度は、AGCによる増幅率を上げればよい。例えば、図12のような撮影シーンであれば、図12(b)のようなスルー画像を取得することができる。
【0076】
この取得したスルー画像から、輪郭検出回路235は、画像中の各被写体から輪郭を検出する。前述のように、輪郭の検出にはソーベルフィルタ等を用いればよい。図12(b)に示すスルー画像の例であれば、花火301、ビル302、各窓303の輪郭が検出される。
【0077】
この検出した輪郭に基づいて、輪郭画像を生成する。図6は、図12(b)に示すスルー画像から生成した輪郭画像を示す図である。輪郭画像は、例えば検出した輪郭部分を破線とし、輪郭以外の部分については透過とする。図6では、便宜上輪郭部分を黒色の破線として表しているが、実際には白色の破線とする。
【0078】
次に、生成した輪郭画像を液晶板110に表示する。これにより、図12(a)に示すOVFの映像と、EVFに表示された輪郭画像が重畳されてファインダ接眼部38に導かれる。
【0079】
図7は、この時にファインダ接眼部38から観察される映像を示す図である。同図に示すように、明るい被写体である花火301と明かりの点灯している窓303b、303cはOVFの映像がそのまま視認可能となっている。さらに、EVFの輪郭画像によって、OVFでは視認できない暗い被写体であるビル302及び窓303aが白い輪郭線で視認可能となっている。
【0080】
ここでは、暗いOVFの映像中でも視認しやすいように、輪郭線として白色の破線を用いているが、これに限定されるものではない。例えば、赤色や黄色の実線を用いてもよい。さらに、輪郭画像を点滅表示させる等、OVFでは視認できない被写体の輪郭について、適宜わかりやすい表示を行えばよい。
【0081】
撮影者は、この重畳表示された映像を見ながら画角の調整を行い、本撮影を行うことができる(ステップS6)。本撮影では、撮影感度を上げることにより、図12(b)に示すような画像を撮影してもよいし、ストロボ36を発光させることにより、OVFでは視認できない被写体をストロボ光で照射した画像を撮影してもよい。
【0082】
このように、被写体輝度が暗く、OVFでは被写体を認識できない場合において、OVFの映像にEVFの輪郭画像を重畳表示させることで、ノイズが無いファインダ映像により適切に画角を合わせることができ、さらにタイムラグが無いためシャッタチャンスを逃さずに本撮影を行うことができる。
【0083】
なお、本実施形態では、スルー画像から検出された全ての被写体の輪郭を表示したが、EVFの表示はタイムラグがあるため、変化の速い被写体については、輪郭を表示させなくてもよい。例えば、図6に示す輪郭画像では、花火301は変化が早いため、輪郭線がOVFの映像と一致しない可能性がある。したがって、スルー画像により変化が遅い、又は変化していないと判定された被写体のみ、輪郭を抽出してもよい。
【0084】
また、OVFで視認可能な被写体については、輪郭を抽出しなくてもよい。被写体ごとに輝度を算出し、OVFで視認できない被写体のみ輪郭を抽出してもよい。このように、必要な輪郭だけを抽出して輪郭画像を生成することで、輪郭画像の生成処理の時間を短縮することができる。
【0085】
また、本実施形態では、被写体輝度を算出することで重畳表示の有無を自動的に判断したが、撮影者が選択可能に構成してもよい。例えば、重畳表示を行う撮影モードを備えておき、実際に撮影者がOVFの映像を確認し、OVFでは被写体が確認できない場合に重畳表示のモードに設定するようにしてもよい。さらに、シャッタボタン24を半押しにした場合だけ重畳表示を行ってもよい。
【0086】
さらに、本実施形態では、一眼レフレックスタイプのOVFのフォーカシングスクリーンに隣接した位置に液晶板110を配置することにより、OVFの光学系とEVFの光学系を重畳させているが、重畳させる方法はこれに限定されるものではない。例えば、特許文献1のようにハーフミラーを介して重畳させてもよい。
【0087】
[第2の実施形態]
次に、本発明に係るファインダの第2の実施形態について説明する。本実施形態に係るカメラの外観構成、側面断面、電気的構成は図1〜図4に示す第1の実施形態のデジタル一眼レフカメラ10と同様であるので、説明を省略する。
【0088】
図8は、本実施形態に係るファインダの表示処理を示すフローチャートである。なお、図5に示すフローチャートと共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0089】
本実施形態では、逆光検出を行い(ステップS11)、逆光によりOVFで被写体映像が確認できない場合に、OVFとEVFにおいて輪郭画像の重畳表示を行う(ステップS5)。
【0090】
逆光とは、背景の輝度が高く(明るく)、主要被写体の輝度が低い(暗い)シーンを指す。したがって、逆光検出は、例えば主要被写体の輝度とその周囲の輝度とを比較することで検出することができる。
【0091】
OVFでは逆光で被写体が見えない場合に、EVFにおいて輪郭画像を重畳表示することで、撮影者が被写体の位置を認識することができる。さらに、OVFと重畳表示させることで、EVFで発生するタイムラグの発生をなくし、撮影者の好みの画角、タイミングでの撮影が可能となる。
【0092】
[第3の実施形態]
第1、第2の実施形態のファインダは、一眼レフタイプのファインダに適用されていたが、適用できるファインダは一眼レフタイプに限定されない。例えば、OVFの光軸とEVFの光軸とが異なるカメラのファインダに適用することができる。ここでは、逆ガリレオタイプのファインダを例に説明する。
【0093】
図9、図10は、それぞれ本実施形態に係るデジタルカメラ400の外観構成を示す正面斜視図と背面斜視図である。
【0094】
同図に示すように、本実施の形態のデジタルカメラ400は、カメラ本体412と、そのカメラ本体412に取り付けられた撮影レンズ414とで構成されている。
【0095】
撮影レンズ414は、レンズ側マウントとカメラ側マウントにより着脱自在に構成してもよい。
【0096】
カメラ本体412の正面には、AF補助光ランプ416、ファインダ切り替えレバー418、ファインダ対物部420、グリップ422等が設けられており、上面には、シャッタボタン424、電源レバー426、露出補正ダイヤル430、シャッタスピードダイヤル432、アクセサリーシュー434、ストロボ436等が設けられている。
【0097】
また、カメラ本体412の背面には、ファインダ接眼部438、コマンドレバー440、液晶モニタ442、十字ボタン448、RAWボタン450、バックボタン452、AE選択ボタン454、AF選択ボタン456、再生ボタン458等が設けられている。
【0098】
なお、ファインダと関連のない部分については、説明を省略する。
【0099】
被写体像の確認は、ファインダ接眼部438を介して行われ、撮影者はこのファインダ接眼部438を覗くことにより、被写体像を観察することができる。
【0100】
図11は、デジタルカメラ400の上面断面図である。同図に示すように、デジタルカメラ400は、CCD500、液晶板510、EVFレンズ512、対物レンズ520、プリズム522、接眼レンズ524等を備えている。
【0101】
撮影レンズ414を透過した被写体光は、CCD500の受光面に入射される。被写体光を受光したCCD500は、各センサで光の入射光量に応じた量の信号電荷に変換し、この信号電荷は、各種信号処理回路により画像信号が生成される。この画像信号に基づいて、被写体像を反転した画像が液晶板510に表示される。
【0102】
また液晶板510には、撮影レンズ414の焦点距離(画角)に基づいて、撮影範囲を示すフレームが表示される。
【0103】
液晶板510の図面下方には、EVFレンズ512が設けられている。またEVFレンズ512と接眼レンズ524との間には、プリズム522が配置されている。
【0104】
プリズム522は、第1プリズム522aと第2プリズム522bとから構成されており、第1プリズム522aと第2プリズム522bとが接合する部分には、ハーフミラー面522Mが形成されている。このハーフミラー面522Mは、EVFレンズ512の光軸に対して45°傾けられて設置される。液晶板510に表示された画像は、EVFレンズ512によって拡大され、ハーフミラー面522Mによって左右が反転されて図面右方向に反射される。ハーフミラー面522Mによって反射された画像は、接眼レンズ524に入射する。
【0105】
また撮影レンズ414とは異なる経路から対物レンズ520に入射した被写体光は、ハーフミラー面522Mを透過し、接眼レンズ524に入射する。対物レンズ520には凹レンズ、接眼レンズには凸レンズが用いられており、逆ガリレオタイプのファインダを構成している。
【0106】
このように、デジタルカメラ400は、ファインダ対物部420から入射した被写体光をファインダ接眼部438に導くOVFを備えると共に、液晶板510に表示された映像をファインダ接眼部438に導くEVFを備えている。そして、両者がハーフミラー面522Mにより同一光路上に配置されることで、その映像が重畳されてファインダ接眼部438へ導かれる。即ち、この2つのファインダは、撮影者が重畳された映像を観察可能なハイブリッドファインダとして機能する。したがって、OVFの被写体映像とEVFの輪郭映像を重畳表示することで、第1、第2の実施形態と同様に、被写体輝度や逆光検出の結果に応じた輪郭表示を行うことができる。
【0107】
なお、デジタルカメラ400の電気的構成については、図4に示すブロック図と同様であるので、説明を省略する。このように、OVFに入射する光の光軸とEVFに入射する光の光軸が異なるタイプのカメラであっても、本発明は適用可能である。
【0108】
なお、デジタルカメラ400の場合、OVFの映像(対物レンズ520から入射し、ハーフミラー面522Mを透過した被写体像)と、EVFの映像(CCD500により撮影された信号に基づいて液晶板510に表示され、ハーフミラー面522Mを反射した被写体像)とでは、パララックスが生じるため、同一被写体であってもそれぞれの映像内の位置が異なってしまう。したがって、OVFの映像とEVFによる輪郭画像とを重畳表示させる場合には、パララックスの補正を行う必要がある。
【0109】
補正を行うためには、まずデジタルカメラ400と各被写体との距離を測定する必要がある。各被写体との距離は、例えば、位相差AF方式を用いることが考えられる。位相差AF方式は、被写体からの光を対となる測距センサで取得し、それら測距センサの出力の位相差から三角測量により被写体との距離を算出するものである。なお、異なる方法によって各被写体との距離を測定してもよい。
【0110】
次に、上記のように算出したデジタルカメラ400と各被写体との距離に基づいて、予め生成しておいた輪郭画像の各被写体の輪郭を、OVFの映像の同一被写体の位置と一致するように移動させる。
【0111】
このように生成した輪郭画像は、OVFの映像の各被写体と、EVFに出力された輪郭画像の各被写体の輪郭が一致して表示される。
【0112】
また、OVFの光学系(対物レンズ520)とEVFの光学系(撮影レンズ414)との画角が異なる場合は、画角の差に基づいてCCD500において撮影された画像を縮小して液晶板510に表示すればよい。
【0113】
本実施形態では、ハーフミラー面522Mにより液晶板の表示画像を左右反転しているが、上下反転するように構成してもよい。この場合、液晶板は、上下反転させた映像を表示すればよい。
【0114】
本発明の技術的範囲は、上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。各実施の形態における構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各実施の形態間で適宜組み合せることができる。
【符号の説明】
【0115】
10…デジタル一眼レフカメラ、12…カメラ本体、14、414…撮影レンズ、24…シャッタボタン、38…ファインダ接眼部、42…液晶モニタ、100、500…CCD、110…液晶板、120…クイックリターンミラー、122…フォーカシングスクリーン、124…ペンタプリズム、126、524…接眼レンズ、128…視野枠、235…輪郭検出回路、242…表示制御回路、301…花火、302…ビル、303…窓、400…デジタルカメラ、420…対物部、438…接眼部、510…液晶板、512…EVFレンズ、520…対物レンズ、522…プリズム、522M…ハーフミラー面、524…接眼レンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学式ビューファインダと、
電子ビューファインダと、
前記光学式ビューファインダに入射した被写体像と前記電子ビューファインダによって表示された表示画像とを重畳させる重畳手段と、
撮像レンズを介して受光した被写体像を画像信号に変換する撮像手段と、
前記画像信号から前記被写体像の輪郭を抽出する輪郭抽出手段と、
前記抽出された輪郭に基づいて、輪郭画像を生成する輪郭画像生成手段と、
前記輪郭画像を前記電子ビューファインダに表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とするファインダ。
【請求項2】
前記画像信号に基づいて被写体輝度を測光する測光手段と、
前記測光された被写体輝度が所定値以下の場合に、前記輪郭抽出手段に輪郭を抽出させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のファインダ。
【請求項3】
前記画像信号に基づいて被写体に対する逆光を検出する逆光検出手段と、
逆光が検出された場合に、前記輪郭抽出手段に輪郭を抽出させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のファインダ。
【請求項4】
前記光学式ビューファインダは、一眼レフレックスタイプのファインダであり、
前記重畳手段は、前記電子ビューファインダを前記光学式ビューファインダのフォーカシングスクリーンに隣接して配置することで、前記光学式ビューファインダに入射した被写体像と前記電子ビューファインダによって表示された表示画像とを重畳させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のファインダ。
【請求項5】
前記光学式ビューファインダの光軸と前記撮像レンズの光軸とが異なり、
前記輪郭画像生成手段は、前記抽出された被写体像の輪郭を前記光学式ビューファインダに入射した被写体像と一致させるように前記輪郭画像を生成することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のファインダ。
【請求項6】
前記重畳手段は、前記光学式ビューファインダに入射した被写体像を透過するとともに前記電子ビューファインダによって表示された表示画像を反射するハーフミラーによって前記光学式ビューファインダに入射した被写体像と前記電子ビューファインダによって表示された表示画像とを重畳させることを特徴とする請求項5に記載のファインダ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のファインダと、
撮影者が撮影指示を入力するレリーズボタンと、
前記レリーズボタンにより撮影指示が入力されると、前記撮像手段から画像信号を取得し、前記画像信号に基づく撮影画像を取得する撮影手段と、
前記取得した撮影画像を記録する画像記録手段と
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
光学式ビューファインダと、電子ビューファインダと、前記光学式ビューファインダに入射した被写体像と前記電子ビューファインダによって表示された表示画像とを重畳させる重畳手段と、を備えたファインダの表示方法において、
撮像レンズを介して受光した被写体像を画像信号に変換する撮像工程と、
前記画像信号から前記被写体像の輪郭を抽出する輪郭抽出工程と、
前記抽出された輪郭に基づいて、輪郭画像を生成する輪郭画像生成工程と、
前記輪郭画像を前記電子ビューファインダに表示させる表示工程と、
を備えたことを特徴とするファインダの表示方法。
【請求項1】
光学式ビューファインダと、
電子ビューファインダと、
前記光学式ビューファインダに入射した被写体像と前記電子ビューファインダによって表示された表示画像とを重畳させる重畳手段と、
撮像レンズを介して受光した被写体像を画像信号に変換する撮像手段と、
前記画像信号から前記被写体像の輪郭を抽出する輪郭抽出手段と、
前記抽出された輪郭に基づいて、輪郭画像を生成する輪郭画像生成手段と、
前記輪郭画像を前記電子ビューファインダに表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とするファインダ。
【請求項2】
前記画像信号に基づいて被写体輝度を測光する測光手段と、
前記測光された被写体輝度が所定値以下の場合に、前記輪郭抽出手段に輪郭を抽出させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のファインダ。
【請求項3】
前記画像信号に基づいて被写体に対する逆光を検出する逆光検出手段と、
逆光が検出された場合に、前記輪郭抽出手段に輪郭を抽出させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のファインダ。
【請求項4】
前記光学式ビューファインダは、一眼レフレックスタイプのファインダであり、
前記重畳手段は、前記電子ビューファインダを前記光学式ビューファインダのフォーカシングスクリーンに隣接して配置することで、前記光学式ビューファインダに入射した被写体像と前記電子ビューファインダによって表示された表示画像とを重畳させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のファインダ。
【請求項5】
前記光学式ビューファインダの光軸と前記撮像レンズの光軸とが異なり、
前記輪郭画像生成手段は、前記抽出された被写体像の輪郭を前記光学式ビューファインダに入射した被写体像と一致させるように前記輪郭画像を生成することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のファインダ。
【請求項6】
前記重畳手段は、前記光学式ビューファインダに入射した被写体像を透過するとともに前記電子ビューファインダによって表示された表示画像を反射するハーフミラーによって前記光学式ビューファインダに入射した被写体像と前記電子ビューファインダによって表示された表示画像とを重畳させることを特徴とする請求項5に記載のファインダ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のファインダと、
撮影者が撮影指示を入力するレリーズボタンと、
前記レリーズボタンにより撮影指示が入力されると、前記撮像手段から画像信号を取得し、前記画像信号に基づく撮影画像を取得する撮影手段と、
前記取得した撮影画像を記録する画像記録手段と
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
光学式ビューファインダと、電子ビューファインダと、前記光学式ビューファインダに入射した被写体像と前記電子ビューファインダによって表示された表示画像とを重畳させる重畳手段と、を備えたファインダの表示方法において、
撮像レンズを介して受光した被写体像を画像信号に変換する撮像工程と、
前記画像信号から前記被写体像の輪郭を抽出する輪郭抽出工程と、
前記抽出された輪郭に基づいて、輪郭画像を生成する輪郭画像生成工程と、
前記輪郭画像を前記電子ビューファインダに表示させる表示工程と、
を備えたことを特徴とするファインダの表示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−85261(P2012−85261A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108562(P2011−108562)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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