説明

撮像装置、画像処理装置、撮像装置の制御方法及び制御プログラム

【課題】光電変換により画像情報を生成する撮像装置において、生成された画像に表示されている被写体や背景の奥行きの情報を、簡易な構成により取得する。
【解決手段】CCD16から出力された電気信号に基づいて画像情報を生成する画像生成部102を含み、ユーザの撮像操作に応じて画像情報を生成するデジタルカメラ1であって、撮像操作に応じて生成された画像情報とは異なる視点での画像情報である他視点画像情報の取得処理を開始した後、デジタルカメラ1が変位したことを判断した場合に、画像生成部102にCCD16から出力された電気信号に基づいて他視点画像情報を生成させて取得し、撮像操作に応じて生成された画像情報及び前記他視点画像情報に基づきZ情報を算出するZ情報制御部16と、撮像操作に応じて生成された画像情報とZ情報とを関連付けて記憶媒体に記憶させる記憶媒体制御部103とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、画像処理装置、撮像装置の制御方法及び制御プログラムに関し、特に、撮像によって生成された画像に含まれる被写体や背景の奥行き情報の取得に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等により撮影されて生成された画像について、被写体や背景と撮影者、撮影位置との距離の情報(以降、Z情報とする)を取得する方法が各種提案されている。そのような方法の1つとして、一度に複数視点の画像を撮影して生成するステレオカメラを用い、複数の画像から奥行き情報を計算する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、複数の異なる配向から得られた画像から奥行きマップを決定するために、奥行きが決定されるべき画像の点について一組のマッチング・ウィンドウを用いる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に開示された方法においては、奥行きが決定されるべき画像の点に2つ以上の候補奥行き値が割り当てられた仮奥行きマップを生成し、その後、各点について、近傍点についての候補視差値からその点に向かう単位ベクトルの和のノルムの少なくともz成分を最少化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−259155号公報
【特許文献2】特表2010−502945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、高価なステレオカメラが必要であるため、一般的なユーザが容易に用いることは困難である。また、特許文献2に開示された技術は、複数の異なる配向から画像が得られることが前提となっており、そのような複数の画像を得る方法については考慮されていない。
【0006】
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、光電変換により画像情報を生成する撮像装置において、生成された画像に表示されている被写体や背景の奥行きの情報を、簡易な構成により取得することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、受光した光に応じて電気信号を出力する光電変換部及び前記出力された電気信号に基づいて画像情報を生成する画像情報生成部を含む撮像装置であって、ユーザの撮像操作に応じて前記画像情報を生成させる撮像指示部と、前記撮像操作に応じて生成された画像情報とは異なる視点での画像情報である他視点画像情報の取得処理を、前記撮像操作に応じて実行する他視点画像情報取得処理部と、前記撮像操作に応じて生成された画像情報及び前記他視点画像情報に基づき、前記撮像操作に応じて生成された画像情報に表示されている対象までの距離の情報である距離情報を算出する距離情報算出部と、前記撮像操作に応じて生成された画像情報と前記算出された距離の情報とを関連付けて記憶媒体に記憶させる記憶処理部とを含み、前記他視点画像情報取得処理部は、前記他視点画像情報の取得処理を開始した後、前記撮像装置が変位したことを判断した場合に、前記画像情報生成部に前記光電変換部から出力された電気信号に基づいて他視点画像情報を生成させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の他の態様は、受光した光に応じて電気信号を出力する光電変換部及び前記出力された電気信号に基づいて画像情報を生成する画像情報生成部を含む撮像装置に含まれる画像処理装置であって、ユーザの撮像操作に応じて前記画像情報を生成させる撮像指示部と、前記撮像操作に応じて生成された画像情報とは異なる視点での画像情報である他視点画像情報の取得処理を、前記撮像操作に応じて実行する他視点画像情報取得処理部と、前記撮像操作に応じて生成された画像情報及び前記他視点画像情報に基づき、前記撮像操作に応じて生成された画像情報に表示されている対象までの距離の情報である距離情報を算出する距離情報算出部と、前記撮像操作に応じて生成された画像情報と前記算出された距離の情報とを関連付けて記憶媒体に記憶させる記憶処理部とを含み、前記他視点画像情報取得処理部は、前記他視点画像情報の取得処理を開始した後、前記撮像装置が変位したことを判断した場合に、前記画像情報生成部に前記光電変換部から出力された電気信号に基づいて他視点画像情報を生成させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の更に他の態様は、受光した光に応じて電気信号を出力する光電変換部及び前記出力された電気信号に基づいて画像情報を生成する画像情報生成部を含む撮像装置の制御方法であって、ユーザの撮像操作に応じて前記画像情報生成部に前記画像情報を生成させ、前記撮像操作に応じて生成された画像情報とは異なる視点での画像情報である他視点画像情報の取得処理を開始した後、前記撮像装置が変位したことを判断した場合に、前記画像情報生成部に前記光電変換部から出力された電気信号に基づいて他視点画像情報を生成させて取得し、前記撮像操作に応じて生成された画像情報及び前記他視点画像情報に基づき、前記撮像操作に応じて生成された画像情報に表示されている対象までの距離の情報である距離情報を算出し、前記撮像操作に応じて生成された画像情報と前記算出された距離の情報とを関連付けて記憶媒体に記憶させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の更に他の態様は、受光した光に応じて電気信号を出力する光電変換部及び前記出力された電気信号に基づいて画像情報を生成する画像情報生成部を含む撮像装置の制御プログラムであって、ユーザの撮像操作に応じて前記画像情報生成部に前記画像情報を生成させるステップと、前記撮像操作に応じて生成された画像情報とは異なる視点での画像情報である他視点画像情報の取得処理を開始した後、前記撮像装置が変位したことを判断した場合に、前記画像情報生成部に前記光電変換部から出力された電気信号に基づいて他視点画像情報を生成させて取得するステップと、前記撮像操作に応じて生成された画像情報及び前記他視点画像情報に基づき、前記撮像操作に応じて生成された画像情報に表示されている対象までの距離の情報である距離情報を算出するステップと、前記撮像操作に応じて生成された画像情報と前記算出された距離の情報とを関連付けて記憶媒体に記憶させるステップとを前記撮像装置に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光電変換により画像情報を生成する撮像装置において、生成された画像に表示されている被写体や背景の奥行きの情報を、簡易な構成により取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るデジタルカメラのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るデジタルカメラの機能構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るデジタルカメラによって取得される距離情報の例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るデジタルカメラの仕様態様を模式的に示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るデジタルカメラの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、光電変換により画像情報を生成する撮像装置としてのデジタルカメラを例として説明する。本実施形態に係るデジタルカメラは、通常のデジタルカメラの仕様態様により撮影を行った後、ユーザがそのデジタルカメラを所定期間動かすことにより、最初の撮影とは異なる視点での画像情報を取得し、視点の異なる複数の画像情報に基づいて、最初の撮影によって生成された画像情報の被写体や背景の奥行き情報であるZ情報を算出する。尚、Z情報は、画像情報の各部に表示されている対象までの距離を示す情報であり、距離情報ということもできる。
【0014】
図1は、本実施形態に係るデジタルカメラ1のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係るデジタルカメラ1は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等の情報処理端末と同様の構成に加えて、デジタルカメラとしての機能を実現するためのデバイスを含む。
【0015】
即ち、本実施形態に係るデジタルカメラ1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)11、ROM(Read Only Memory)12、メモリカード13、表示部14、操作部15及びCCD(Charge−Coupled Device)がバス17を介して接続されている。
【0016】
CPU10は演算手段であり、デジタルカメラ1全体の動作を制御する。RAM11は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM12は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等の制御プログラムやアプリケーション・プログラムが格納されている。メモリカード13は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、撮像により生成された画像情報を記憶する。
【0017】
表示部14は、ユーザが画像形成装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースであり、LCD(Liquid Crystal Display)や、LED(Light Emitting Diode)等を含んで実現される。操作部15は、デジタルカメラ1をユーザが操作するためのユーザインタフェースであり、スイッチやスライドバー、ダイヤル及び表示部14に構成されるタッチパネル等を含む。CCD16は、撮像レンズによって結像された光を受光し、光学情報をアナログ電気信号に変換する光電変換部である。
【0018】
このようなハードウェア構成において、ROM12等の記録媒体に格納されたプログラムがRAM11に読み出され、そのプログラムに従ってCPU10が演算を行う事により、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係るデジタルカメラ1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0019】
次に、図2を参照して、本実施形態に係るデジタルカメラ1の機能構成について説明する。図2は、本実施形態に係るデジタルカメラ1の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態に係るデジタルカメラ1は、図1において説明したハードウェアに加えて、上述したようにソフトウェア制御部とハードウェアとの組み合わせによって構成されるコントローラ100を含む。
【0020】
コントローラ100は、図2に示すように、CCD制御部101、画像生成部102、記憶媒体制御部103、操作制御部104、表示制御部105及びZ情報制御部106を含む。CCD制御部101は、CCD16を制御し、操作制御部104から入力される操作信号に基づいて、CCD16が出力する電気信号を取得する。
【0021】
画像生成部102は、CCD制御部101が取得した電気信号に基づき、画像処理等を行って画像情報を生成する。画像生成部102によって生成された画像情報が、撮影によって生成される画像情報である。即ち、CCD制御部101及び画像生成部102が連動して、光電変換部であるCCD16から出力された電気信号に基づいて画像情報を生成する画像情報生成部として機能する。記憶媒体制御部103は、メモリカード13への情報の書き込み及びメモリカード13からの情報の読み出しを制御する。操作制御部104は、操作部15に対するユーザの操作に応じて、操作信号を出力する。表示制御部15は、デジタルカメラ1の動作状態に応じた画像を表示部14に表示させる。
【0022】
Z情報制御部106は、本実施形態の要旨に係る構成であり、画像生成部102によって生成された上記画像情報について、画像中に表示されている被写体、背景のZ情報を生成する。Z情報制御部106は、上記画像情報に加え、他視点による撮影によって生成された画像情報を用い、異なる視点における撮影によって生成された複数の画像情報に基づいてZ情報を生成する。Z情報制御部106によって生成されたZ情報は、記憶媒体制御部103によって、上記画像情報と共にメモリカード13に記憶される。
【0023】
ここで、図3を参照して、本実施形態において生成されるZ情報の例について説明する。図3に示すように、本実施形態に係るZ情報は、上記撮影により生成された画像情報における水平方向の座標である“u”(pixel)及び垂直方向の座標である“v” (pixel)に加えて、“u”、“v”によって特定される画像上の位置に表示されている被写体や背景の奥行き、即ち原点からの水平距離“Z”(mm)を含む。
【0024】
換言すると、Z情報に含まれる奥行きの情報は、撮影によって生成された画像情報の画像上における夫々の座標に表示されている対象物との距離と関連付けられている。このような情報により、撮影によって生成された画像に表示されている被写体や背景の、実際の空間上における距離を認識することが可能となる。尚、本実施形態における上記原点とは、CCD16の受光点である。
【0025】
尚、本実施形態に係るデジタルカメラ1は、図2に示す構成の他、CCD16に光を結像させるレンズ類や、それらのレンズ類を稼動させる機構並びにそれらの機構を操作部15に対する操作に応じて制御する制御部等、デジタルカメラとして備えるべき一般的な構成を備えている。
【0026】
本実施形態に係るデジタルカメラ1により通常の撮影を行う場合、デジタルカメラ1に電源が投入されることにより、CCD16は、受光した光情報を光電変換して電気信号を出力する。CCD制御部101は、CCD16から取得した電気信号を画像生成部102に入力する。画像生成部102は、CCD制御部101から入力された電気信号に基づいて画像情報を生成し、表示制御部105に入力する。画像生成部102が表示制御部105に入力する画像情報は、表示部14の画面サイズに応じて縮小若しくは画素が間引かれた画像情報である。
【0027】
表示制御部105は、画像生成部102から取得した画像情報を表示部14に表示させる。これにより、ユーザは、表示部14を介して撮影対象の被写体や背景、風景等の画像を視認することが可能になる。ユーザが表示部14に表示された画像に基づいて撮影対象を決定し、操作部15を操作することによりズーム倍率等を決定して、操作部15に含まれるレリーズスイッチを押下すると、操作制御部104が操作部15に対するユーザの操作に応じてCCD制御部101に制御信号を入力し、CCD制御部101が電子シャッター制御を行う。即ち、操作制御部104が撮像指示部として機能する。以降、ユーザによるレリーズスイッチの押下を、撮像操作若しくはシャッター操作と称する。
【0028】
電子シャッター制御において、CCD制御部101は、CCD16の光電変換により蓄積されている電荷をリセットし、リセット後の所定期間であるシャッター期間にCCD16に蓄積された電荷を電気信号として取得する。CCD制御部101が電子シャッター制御において取得した電気信号は、画像生成部102に入力され、画像生成部102が、その電気信号に基づいて画像情報を生成する。
【0029】
画像生成部102が生成した画像情報は、記憶媒体制御部103によってメモリカード13に記憶される。このような動作により、本実施形態に係るデジタルカメラ1による通常の撮像動作が完了し、メモリカード13に撮像によって生成された画像情報が記憶される。尚、撮像によって生成された画像情報の記憶先は、メモリカード13の他、デジタルカメラ1に内蔵された記憶媒体であっても良い。
【0030】
次に、本実施形態に係るデジタルカメラ1の要旨に係る使用方法及び動作について説明する。図4は、本実施形態に係るデジタルカメラ1の使用方法を模式的に示す図である。上述したように、本実施形態に係るデジタルカメラ1により撮影を行う際、ユーザは、通常のデジタルカメラと同様の使用態様、即ち上述した通常の撮像動作のようにレリーズスイッチを押下して撮影を行った後、所定の期間デジタルカメラ1を動かす。このデジタルカメラ1を動かすという動作は、図4に示すように、デジタルカメラ1の受光部を撮像対象の方向に向けたまま、デジタルカメラ1を持っている手を動かす程度の動作、即ち、持っているデジタルカメラを揺り動かす程度の動作である。
【0031】
図4に示すように、ユーザがデジタルカメラ1を持っている手を動かすことにより、本実施形態に係るデジタルカメラ1は、最初の通常の撮像動作によって生成される画像情報に加えて、最初の撮像動作における位置とは異なる位置においてCCD16に入射する光に基づく画像の画像情報を生成する。これにより、デジタルカメラ1は、最初の撮像動作とは異なる視点において撮像された他視点画像情報を取得し、それら複数の画像情報に基づいてZ情報を生成する。以下、本実施形態に係るデジタルカメラ1の動作について、図5を参照して説明する。
【0032】
図5に示すように、まず、ユーザによるシャッター操作、即ちレリーズスイッチの押下に応じてコントローラ100が動作し、画像生成部102が画像情報を生成する(S501)。画像生成部102は、生成した画像情報を記憶媒体制御部103に入力してメモリカード13に記憶させると共に、Z情報制御部106にも入力する。これにより、Z情報制御部106が、カウントをスタートすると共に、表示制御部105が、他視点画像情報の取得中であることをユーザに通知するためにLEDを点灯させる(S502)。
【0033】
即ち、Z情報制御部106が、ユーザによる撮像操作に応じて、他視点画像情報の取得処理を実行する他視点画像情報取得処理部として機能すると共に、表示制御部105が、他視点画像情報の取得処理中であることをユーザに通知する通知部として機能する。尚、LEDの点灯は、表示制御部105ではなくZ情報制御部106が行っても良く、点灯ではなく点滅であっても良い。
【0034】
カウント値が予め定められた所定値に達すると(S503/YES)、Z情報制御部106は、操作制御部104がレリーズスイッチの押下に応じて出力するシャッター信号と同様の信号をCCD制御部101に出力する。これにより、CCD制御部101が上述した電子シャッター制御を行い、電気信号を取得して画像生成部102に入力する。画像生成部102は、Z情報制御部106によるシャッター信号に応じて取得した電気信号に基づいて他視点画像情報を生成すると(S504)、その他視点画像情報をZ情報制御部106に入力する。
【0035】
Z情報制御部106は、所定数の他視点画像情報が取得されるまでカウントを繰り返す(S505/NO)。所定数の他視点画像情報が取得されると(S505/YES)、表示制御部105が、他視点画像情報の取得が完了したことをユーザに通知するため、S502において点灯させたLEDを消灯制御する。そして、Z情報制御部106は、最初に取得した画像情報及び他視点画像情報に基づき、Z情報を算出する。即ち、Z情報制御部106が、距離情報算出部として機能する。そして、Z情報制御部106は、生成したZ情報を記憶媒体制御部103に入力し、S501において記憶された画像情報に関連付けてメモリカード13に記憶させる(S506)。即ち、記憶媒体制御部103が、記憶処理部として機能する。このような処理により、本実施形態に係るデジタルカメラ1の動作が終了する。
【0036】
尚、S506におけるZ情報の算出は、異なる複数の視点による画像に基づくZ情報の算出方法として公知の方法を用いることにより実現することができる。例えば、Z情報制御部106は、最初の撮像により取得された画像情報(以降、主画像情報とする)と、他視点画像情報との共通点を抽出することにより、2つの画像情報夫々における画素の対応関係を示すテーブルを生成すると共に、デジタルカメラ1の焦点距離及び光軸のずれ等の内部パラメータに基づいて画像上の位置を実空間の位置に変換し、三角測量に基づく計算によって主画像情報の夫々の画素のZ情報を算出することができる。
【0037】
このように、本実施形態に係るデジタルカメラ1においては、ステレオカメラのような特別なハードウェアを追加することなく、既存のデジタルカメラに搭載されている構成を制御することにより、異なる複数の視点から撮像された画像を容易に取得することができ、取得した主画像情報を構成する夫々の画素のZ情報を計算することができるため、光電変換により画像情報を生成する撮像装置において、生成された画像に表示されている被写体や背景の奥行きの情報を、簡易な構成により取得することができる。
【0038】
尚、上記実施形態においては、他視点画像情報の取得に際して、CCD制御部101に電気信号を取得させ、画像生成部102に画像情報を生成させるタイミング、即ち、デジタルカメラ1が、最初の撮像時の位置から変位したことを判断するための判断基準として、Z情報制御部106は、タイマのカウンタが所定のカウント値に達したタイミングを用いる場合を例として説明した。
【0039】
この他、デジタルカメラ1の変位判断に際しては、加速度センサのセンサ出力や、GPS(Global Positioning System)等の位置センサのセンサ出力を用いることができる。加速度センサを用いる場合、Z情報制御部106は、加速度の検知信号に基づいてデジタルカメラ1がある方向に動き出したことを検知した後、所定の期間が経過したタイミング、若しくは、再度の加速度の検知信号に基づいてデジタルカメラ1が停止したことを検知したタイミングを用いることができる。
【0040】
図4のように、ユーザがデジタルカメラ1を揺り動かしている間に複数枚の画像を撮像する場合、デジタルカメラ1の位置が主画像の撮像位置とあまり変わらないタイミングにおいてカウント値が所定値に達する場合もあり得る。その結果、他視点画像情報として取得された画像の視点が、主画像の視点とあまり変わらなくなってしまうようなことがあり得る。これに対して、加速度センサを用いる態様の場合、デジタルカメラ1が変位した先に位置することを高精度に検知することができるため、上記課題を解決することができる。
【0041】
また、位置センサを用いる場合、Z情報制御部106は、位置センサのセンサ出力に基づき、主画像情報が生成された際のデジタルカメラ1の位置から所定の間隔離れたタイミングを用いることが出来る。これにより、加速度センサを用いる場合と同様に、デジタルカメラ1が主画像の撮像位置とは異なる位置にあることを高精度に検知することが可能であり、上記課題を解決することができる。また、複数視点の画像によるZ情報の算出の一態様として、視点の位置をパラメータとして用いる態様がある。従って、位置センサによる位置検知信号は、Z情報制御部によるZ情報の算出処理にも用いることができる。
【0042】
また、上記実施形態においては、主画像情報に加えて、複数の他視点画像情報を取得するため、図4に示すように、主画像情報を生成するための撮像を行った後にデジタルカメラ1を左右に変位させる場合を例として説明した。しかしながら、複数の異なる視点で撮像された画像に基づくZ情報の算出は、少なくとも2つの視点で撮像された画像があれば可能であり、主画像情報に加えて、1つの他視点画像情報があれば可能である。
【0043】
従って、本実施形態に係るデジタルカメラ1の使用方法としては、図4に示すようにデジタルカメラ1を左右に変位させるのではなく、一方向にパン若しくはティルトするだけでも良い。これにより、主画像情報の撮像の際の視点とは異なる視点の画像を少なくとも1つ取得することができ、Z情報の算出を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0044】
1 デジタルカメラ
10 CPU
11 RAM
12 ROM
13 メモリカード
14 表示部
15 操作部
16 CCD
17 バス
100 コントローラ
101 CCD制御部
102 画像生成部
103 記憶媒体制御部
104 操作制御部
105 表示制御部
106 Z情報制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光した光に応じて電気信号を出力する光電変換部及び前記出力された電気信号に基づいて画像情報を生成する画像情報生成部を含む撮像装置であって、
ユーザの撮像操作に応じて前記画像情報を生成させる撮像指示部と、
前記撮像操作に応じて生成された画像情報とは異なる視点での画像情報である他視点画像情報の取得処理を、前記撮像操作に応じて実行する他視点画像情報取得処理部と、
前記撮像操作に応じて生成された画像情報及び前記他視点画像情報に基づき、前記撮像操作に応じて生成された画像情報に表示されている対象までの距離の情報である距離情報を算出する距離情報算出部と、
前記撮像操作に応じて生成された画像情報と前記算出された距離の情報とを関連付けて記憶媒体に記憶させる記憶処理部とを含み、
前記他視点画像情報取得処理部は、前記他視点画像情報の取得処理を開始した後、前記撮像装置が変位したことを判断した場合に、前記画像情報生成部に前記光電変換部から出力された電気信号に基づいて他視点画像情報を生成させることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記他視点画像情報取得処理部は、前記他視点画像情報の取得処理の開始に応じて開始したカウントのカウント値が所定の値になった場合に、前記撮像装置が変位したことを判断することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像装置の動きを検知する加速度センサを更に含み、
前記他視点画像情報取得処理部は、前記加速度センサによる前記撮像装置の動きの検知に応じて、前記撮像装置の変位を判断することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像装置の位置を検知する位置検知センサを更に含み、
前記他視点画像情報取得処理部、前記位置検知センサによる前記撮像装置の位置の検知に応じて、前記撮像装置の変位を判断することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記距離情報算出部は、前記撮像操作に応じて前記画像情報が生成された際の前記撮像装置の位置及び前記他視点画像情報が生成された際の前記撮像装置の位置を前記位置検知センサから取得し、前記距離情報の算出に用いることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記他視点画像情報の取得処理の実行中であることをユーザに通知する通知部を更に含むことを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
受光した光に応じて電気信号を出力する光電変換部及び前記出力された電気信号に基づいて画像情報を生成する画像情報生成部を含む撮像装置に含まれる画像処理装置であって、
ユーザの撮像操作に応じて前記画像情報を生成させる撮像指示部と、
前記撮像操作に応じて生成された画像情報とは異なる視点での画像情報である他視点画像情報の取得処理を、前記撮像操作に応じて実行する他視点画像情報取得処理部と、
前記撮像操作に応じて生成された画像情報及び前記他視点画像情報に基づき、前記撮像操作に応じて生成された画像情報に表示されている対象までの距離の情報である距離情報を算出する距離情報算出部と、
前記撮像操作に応じて生成された画像情報と前記算出された距離の情報とを関連付けて記憶媒体に記憶させる記憶処理部とを含み、
前記他視点画像情報取得処理部は、前記他視点画像情報の取得処理を開始した後、前記撮像装置が変位したことを判断した場合に、前記画像情報生成部に前記光電変換部から出力された電気信号に基づいて他視点画像情報を生成させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
受光した光に応じて電気信号を出力する光電変換部及び前記出力された電気信号に基づいて画像情報を生成する画像情報生成部を含む撮像装置の制御方法であって、
ユーザの撮像操作に応じて前記画像情報生成部に前記画像情報を生成させ、
前記撮像操作に応じて生成された画像情報とは異なる視点での画像情報である他視点画像情報の取得処理を開始した後、前記撮像装置が変位したことを判断した場合に、前記画像情報生成部に前記光電変換部から出力された電気信号に基づいて他視点画像情報を生成させて取得し、
前記撮像操作に応じて生成された画像情報及び前記他視点画像情報に基づき、前記撮像操作に応じて生成された画像情報に表示されている対象までの距離の情報である距離情報を算出し、
前記撮像操作に応じて生成された画像情報と前記算出された距離の情報とを関連付けて記憶媒体に記憶させることを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項9】
受光した光に応じて電気信号を出力する光電変換部及び前記出力された電気信号に基づいて画像情報を生成する画像情報生成部を含む撮像装置の制御プログラムであって、
ユーザの撮像操作に応じて前記画像情報生成部に前記画像情報を生成させるステップと、
前記撮像操作に応じて生成された画像情報とは異なる視点での画像情報である他視点画像情報の取得処理を開始した後、前記撮像装置が変位したことを判断した場合に、前記画像情報生成部に前記光電変換部から出力された電気信号に基づいて他視点画像情報を生成させて取得するステップと、
前記撮像操作に応じて生成された画像情報及び前記他視点画像情報に基づき、前記撮像操作に応じて生成された画像情報に表示されている対象までの距離の情報である距離情報を算出するステップと、
前記撮像操作に応じて生成された画像情報と前記算出された距離の情報とを関連付けて記憶媒体に記憶させるステップとを前記撮像装置に実行させることを特徴とする撮像装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−38689(P2013−38689A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174858(P2011−174858)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(501041894)チームラボ株式会社 (10)
【Fターム(参考)】