説明

撮像装置および撮像方法

【課題】画像取り込み時間を短縮した撮像装置および撮像方法を提供することを目的とする。
【解決手段】格子状配置の複数の画素を備えた受光部20によって撮像対象物の画像を読み取る撮像装置において、画像取込エリア情報記憶部28に記憶された画像取込エリアの情報に基づいて画像出力対象となる画素を特定する画素選択情報および画像信号を画像記憶部26に記憶させる際の記憶領域を決定する記憶アドレスを生成し、画素選択情報に基づいて画像信号を出力する画素を選択し、出力される画像信号を記憶アドレスにしたがって画像記憶部26に書き込む。これにより必要な画素の画像信号だけを出力して記憶することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エリアセンサによって撮像対象の画像を読み取る撮像装置および撮像方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品実装装置などで電子部品の位置認識を行うための撮像手段として、エリアセンサが知られている。このエリアセンサは受光量に応じた電荷を蓄える受光素子を備えた画素を2次元的に格子状に配列したものである。エリアセンサ上に撮像対象の光学画像を結像させると、各画素の受光素子には光学画像に対応する電荷が蓄えられる。この電荷を電気信号(画像信号)として出力させることにより、撮像対象の2次元画像データを得ることができる。
【0003】
このエリアセンサとしてCCD型のエリアセンサが広く使用されている。CCD型のエリアセンサは、全ての画素の画像信号が規則的に出力され、これを一旦記憶部に記憶するようになっている。そして記憶部に記憶された画像信号のうち必要な画像信号のみを参照して画像処理や画像認識を行うようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のCCD型のエリアセンサを用いた撮像装置では、画像信号が規則的に出力されるため、必要な部分の画像信号のみを選択して出力することが困難であった。このため、不要な画像信号を出力するのに無駄な時間が必要となり画像読みとり高速化の妨げとなっていた。
【0005】
そこで本発明は、画像読みとり時間を短縮することができる撮像装置および撮像方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の撮像装置は、格子状に配置された複数の画素を備えた受光部に撮像対象物の光学画像を結像させて画像を読み取る撮像装置であって、前記複数の画素のうち画像信号を出力する1つの画素をランダムに選択可能な画素選択手段と、前記画像信号を記憶する画像記憶部と、撮像視野内に設定された画像取込エリアに関する情報を記憶する画像取込エリア情報記憶部と、前記画像取込エリアに関する情報に基づいて選択すべき画素を特定するための画素選択情報を生成する画素選択情報生成部と、前記画像取込エリアに関する情報に基づいて前記画像記憶部の記憶アドレスを生成する記憶アドレス生成部と、前記画素選択情報に基づいて前記画素選択手段を制御することにより選択した画素の画像信号を出力させる制御部を備え、前記画像記憶部は出力された画像信号を前記記憶アドレスで指定された記憶領域に記憶し、前記画素と前記記憶アドレスが1対1の関係で対応付けされている。
【0007】
請求項2に記載の撮像装置は、格子状に配置された複数の画素を備えた受光部に撮像対象物の光学画像を結像させて画像を読み取る撮像装置であって、前記複数の画素のうち画像信号を出力する1つの画素をランダムに選択可能な画素選択手段と、前記画像信号を記憶する画像記憶部と、撮像視野内に設定された画像取込エリアに関する情報を記憶する画像取込エリア情報記憶部と、前記画像取込エリアに関する情報に基づいて、選択すべき画素を特定するための画素選択情報を生成する画素選択情報生成部と、前記画素選択情報に基づいて前記画像記憶部の記憶アドレスを生成する記憶アドレス生成部と、前記画素選択情報に基づいて前記画素選択手段を制御することにより選択した画素の画像信号を出力させる制御部を備え、前記画像記憶部は出力された画像信号を前記記憶アドレスで指定された記憶領域に記憶し、前記画素と前記記憶アドレスが1対1の関係で対応付けされている。
【0008】
請求項3に記載の撮像装置は請求項1又は2に記載の撮像装置であって、前記画像記憶部には受光部の各画素毎に固定された記憶領域が設定されている。
【0009】
請求項4に記載の撮像方法は、格子状に配置された画素を備えた受光部に撮像対象物の光学画像を結像させ、撮像視野内に設定された画像取込エリアに対応する画素から選択的に画像信号を出力させて記憶する撮像方法であって、(1)前記画像取込エリアに関する情報に基づいて画像信号を出力させる画素を特定するための画素選択情報を生成する工程と、(2)前記画像取り込みエリアに関する情報に基づいて画像信号を記憶する画像記憶部の記憶アドレスを生成する工程と、(3)前記画素選択情報で特定される複数の画素から1つの画素を選択してこの画素から画像信号を出力する工程と、(4)前記(3)で出力した画像信号を(2)で生成された記憶アドレスに従って前記画像記憶部に記憶する工程とを含み、前記画素と前記記憶アドレスが1対1の関係で対応付けされている。
【0010】
請求項5に記載の撮像方法は、格子状に配置された画素を備えた受光部に撮像対象物の光学画像を結像させ、撮像視野内に設定された画像取込エリアに対応する画素から選択的に画像信号を出力させて記憶する撮像方法であって、(1)前記画像取込エリアに関する情報に基づいて画像信号を出力させる画素を特定するための画素選択情報を生成する工程と、(2)前記画素選択情報に基づいて画像信号を記憶する画像記憶部の記憶アドレスを生成する工程と、(3)前記画素選択情報で特定される複数の画素から1つの画素を選択してこの画素から画像信号を出力する工程と、(4)前記(3)で出力した画像信号を(2)で生成された記憶アドレスに従って前記画像記憶部に記憶する工程とを含み、前記画素と前記記憶アドレスが1対1の関係で対応付けされている。
【0011】
請求項6に記載の撮像方法は請求項4又は5に記載の撮像方法であって、前記画像記憶部に、受光部の各画素毎に固定された記憶領域を設定する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、画像の取り込みエリアに関する情報に基づいて、画像を出力させる画素を特定するための画素選択情報および画像信号を記憶する画像記憶部の記憶アドレスを生成し、この記憶アドレスで指定された記憶領域に画像信号を記憶させるようにしたので、画像の読み取り時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1の電子部品実装装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1の撮像装置の構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態1の撮像装置の受光部の構成図
【図4】本発明の実施の形態1の撮像装置の画像取り込みエリアの説明図
【図5】本発明の実施の形態1の撮像装置の画像記憶部の記憶領域の説明図
【図6】本発明の実施の形態2の撮像装置の構成を示すブロック図
【図7】本発明の参考例の撮像装置の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の電子部品実装装置の構成を示すブロック図、図2は本発明の実施の形態1の撮像装置の構成を示すブロック図、図3は本発明の実施の形態1の撮像装置の受光部の構成図、図4は本発明の実施の形態1の撮像装置の画像取り込みエリアの説明図、図5は本発明の実施の形態1の撮像装置の画像記憶部の記憶領域の説明図である。
【0015】
まず図1を参照して撮像装置が組み込まれた電子部品実装装置について説明する。図1において、部品供給部1は実装対象の電子部品を供給する。基板位置決めステージ2は、電子部品が実装される基板3を保持し位置決めする。部品供給部1と基板位置決めステージ2の上方には、移載ヘッド5が移載ヘッド移動機構4によって水平移動可能に配設されている。移載ヘッド5は部品供給部1から電子部品6を取り出し、基板位置決めステージ2上まで移送して基板3に実装する。
【0016】
部品供給部1と基板位置決めステージ2との間の移載ヘッド5の移動経路には撮像装置7が配設されている。撮像装置7はカメラ8および画像認識ユニット7aを備えており、移載ヘッド5に保持され照明装置9によって照明された状態の電子部品6を下方から撮像し認識する。撮像された画像や認識結果は画像認識ユニット7aから表示部10に出力され表示される。
【0017】
画像認識ユニット7aおよび機構制御部12は制御装置11を構成している。機構制御部12は基板位置決めステージ2および移載ヘッド移動機構4等の機構部分を制御する。操作部13はキーボードやマウスなどの入力装置であり、ここで入力されたデータはデータ処理されて制御装置11に入力される。この入力操作により、電子部品実装装置の実装動作や、撮像装置7の撮像・認識動作の設定が行われる。
【0018】
次に図2を参照して撮像に使用されるカメラ8および画像認識ユニット7aの構成について説明する。図2において、受光部20には複数の受光素子が格子状に配列されている。この受光部20上に図示しない光学系によって撮像対象物の光学画像を結像させ、各受光素子に蓄積される電荷を画像信号として出力させることにより、撮像対象の画像を読み取る。
【0019】
図3に示すように、受光部20を構成する画素20aは、フォトダイオードである受光素子31と複数のMOS型トランジスタで構成された増幅器32を備えている。増幅器32は受光素子31で蓄積された電荷を電圧に変換して出力する。画素20aの格子状配列(2次元の行列配列)に対応して受光部20には複数の垂直信号線LVと複数の水平信号線LHが形成されており、各増幅器32には垂直信号線LVと水平信号線LHとが接続されている。
【0020】
それぞれの増幅器32に接続される垂直信号線LVと水平信号線LHの組み合わせは全て異なっている。垂直方向画素選択回路21は垂直信号線LVを介して増幅器32に接続されており、垂直方向画素選択回路21により増幅器32をアクティブ状態、すなわち電圧に変換された画像信号を出力可能な状態にすることができる。増幅器32の出力は、水平信号線LHおよびスイッチング用のゲート素子33を介して出力線L(out)に接続されている。ゲート素子33は各水平信号線LHに1個づつ接続されており、水平方向画素選択回路22によってスイッチング操作される。
【0021】
受光部20上に光学画像を結像させることにより、各受光素子31は感光して電荷を蓄積する。垂直方向画素選択回路21、水平方向画素選択回路22によってそれぞれ増幅器32とゲート素子33を同期させてONするスイッチング動作により、受光素子31に蓄積された電荷は画像信号として出力される。
【0022】
すなわち、垂直方向画素選択回路21によって垂直信号線LVの1つをONすることにより、受光部20に格子状に配列された画素20aの水平方向の1列が選択される。これにより、この垂直信号線LVに接続する増幅器32が選択されてアクティブ状態となる。また水平方向画素選択回路22により1つのゲート素子33が選択されてONすると、アクティブ状態になっている増幅器32のうち、水平信号線LHを介してこのゲート素子33と共通に接続されている増幅器32から画像信号が出力される。このように本実施の形態では、垂直方向画素選択回路21および水平方向画素選択回路22によって、複数の画素のうち画像信号を出力する1つの画素をランダムに選択することができる。従って、垂直方向画素選択回路21および水平方向画素選択回路22は、複数の画素のうち画像信号を出力する1つの画素をランダムに選択する画像選択手段として機能する。
【0023】
図2において制御部24は、画素選択情報に基づいて垂直方向画素選択回路21および水平方向画素選択回路22を制御することにより、画素選択情報で選択された画素から画像信号を出力させる。画素選択情報生成部25は、画像取込エリア情報記憶部28に記憶された画像取り込みエリア情報より、画像信号の出力対象となっている画素を特定するための画素選択情報を出力する。この画素選択情報生成部25は、タイミング発生回路(図示省略)から送られるタイミング信号に同期して、出力対象となっている画素の画素選択情報を1個づつ出力する。
【0024】
制御部24は、この画素選択情報に基づき、画素20aの垂直方向の位置を特定するための垂直位置信号Vと、水平方向の位置を特定するための水平位置信号Hを生成する。そして垂直位置信号Vと水平位置信号Hは、タイミング発生回路(図示省略)が発生するタイミング信号に従って、垂直方向画素選択回路21および水平方向画素選択回路22に対してそれぞれ出力される。垂直方向画素選択回路21は、垂直位置信号Vが入力されるとこの垂直位置信号Vによって特定される1本の垂直信号線LVに接続する増幅器32をアクティブ状態にする。水平方向画素選択回路22は水平位置信号Hによって特定される1個のゲート素子33をONにする。これにより、画素選択情報で特定された1つの画素20aから画像信号が出力される。受光部20から出力された画像信号は、画像信号補正部23に送られ、ここで黒色レベルや感度レベルなどの補正処理が行われるとともにデジタル変換処理される。
【0025】
次に画像認識ユニット7aについて説明する。カメラ8より出力されたデジタルの画像信号は、画像記憶部26に送られ記憶される。画像処理部29は画像記憶部26から読み出された画像信号を画像処理することにより、撮像対象の電子部品を認識する。この認識により電子部品の有無、識別、位置検出などの認識結果が機構制御部12に出力される。機構制御部12では、この認識結果を用いて移載ヘッド5や基板位置決めステージ2を制御し、電子部品搭載時の位置合わせを行う。またカメラ8によって撮像された画像データが画像処理部29から表示部10に送られ、表示モニタ上に画面表示される。
【0026】
画像取込エリア情報記憶部28は、画像取込エリア情報、すなわち撮像視野内での画像取込対象となる特定の領域の位置や大きさ、形状を表す情報を記憶する。画像取込エリア情報は、操作部13によって操作処理部30を介して画像取込エリア情報記憶部28に入力されるほか、外部装置によって予め作成された画像取込エリア情報をコピーしてもよい。前述の画素選択情報は、画像取込エリア情報に基づいて生成される。記憶アドレス生成部27は、画像取込エリア情報に基づいて画像記憶部26の画像メモリに書き込まれる画像信号の記憶アドレスを生成する。
【0027】
次に図4〜図5を参照して画像取り込みエリア、画素選択情報および記憶アドレスについて説明する。図4(a)に示す矩形枠40はカメラ8の撮像視野を示しており、サイズLX,LYの矩形範囲が撮像可能な最大範囲となっている。この撮像視野内に、電子部品6を認識するための画像データを取り込む対象としての画像取込エリア41が設定される。この設定は、認識対象の電子部品6のサイズや撮像視野内での位置に基づいて、電子部品を囲む矩形領域を指定することにより行われ、対角位置にある2点A,Bの座標(X1,Y1)、(X2,Y2)が入力される。
【0028】
次に画素選択情報生成部25によって画素選択情報を生成する方法について説明する。図4(b)において40’は受光部20において画素20aが配列されている範囲を示す画素配列枠であり、図4(a)に示す撮像視野40と対応している。撮像視野40内に設定された画像取込エリア41から画像を読み取る際には、受光部20に設けられた512×512個の画素のうち、画像取込エリア41に対応した画素出力対象範囲41’内の画素からのみ画像信号が出力される。
【0029】
画素選択情報生成部25は、画像取込エリア情報記憶部28より画像取り込みエリアの位置、大きさ、形状に関する情報(画像取り込みエリア情報)を読み取って、この画像取り込みエリアに対応する複数の画素の位置座標を求め、これを画素選択情報として出力する。具体的には、撮像視野40内の点A、点Bに対応する画素PA,PBの位置座標(PX1,PY1)、(PXm,PYn)を求めてこの2つの位置座標に囲まれた矩形領域内の画素の位置座標を画素選択情報として出力する。この画素選択情報が出力されると前述したように画素PAを先頭とし画素PBを終点とする(m×n)個の画素から画像信号が出力される。すなわち画素選択情報によってX方向に配列されたm個の画素が、左側から順に出力対象として1個づつ選択され、これをn回反復することにより全ての画像出力対象の画素から画像信号が出力される。
【0030】
次に記憶アドレスについて説明する。記憶アドレスは、上記のようにして設定された画像取込エリアと、この画像取込エリアから読み取られた画像信号が書き込まれる画像記憶部26のメモリの記憶領域とを対応させる情報である。すなわち、記憶アドレスは画像取込エリアに関する情報に基づいて生成され、この記憶アドレス生成により、画像取込エリアから読み取られた画像信号が書き込まれる画像記憶部26の記憶領域が特定される。
【0031】
図5において、42は画像信号を記憶するために画像記憶部26に割り付けられた記憶領域を示しており、44はデータが書き込まれる個別の記憶領域に付された番地、いわゆる記憶アドレスを示している。図4(b)に示す先頭画素PSにそれぞれ対応する記憶領域43(S)から終点画素PEに対応する記憶領域43(E)にかけて、512×512個分の画素の画像信号を記憶するための記憶領域が確保されている。
【0032】
次に記憶アドレスについて説明する。本実施の形態では、512×512個分の画素と1対1の関係で記憶アドレスを対応付けできるようにするために、18ビットのデータで記憶アドレスを構成している。すなわち、512個のデータは2進法で示すと9ビットのデータとなるため、上位9ビットを画素のY座標(PY)とし、下位9ビットをX座標(PX)とすることにより、図5に示すように512×512個のそれぞれの画素に対して専用の記憶領域を1対1で固定的に設定することができる。図4(b)に示す画素出力対象範囲41’の各画素から出力される画像信号のうち、第1番目の画素行(Y座標PY1に属するm個の画素)から出力された画像信号は、記憶アドレス44(1,1)から44(1,m)までの記憶領域43(G1)に連続的に書き込まれる。
【0033】
次いでアドレス領域44(1,1)に対応する記憶領域43から512画素分だけ隔てた記憶領域43(G2)より、第2番目の画素行(Y座標PY2に属するm個の画素)から出力された画像信号が、この記憶領域43(G2)に連続的に書き込まれる。以下同様に各画素行について画像領域が設定され、第n行目に対応する記憶領域43(Gn)が、当該画素出力対象範囲41’から出力された画像信号が書き込まれる最終の記憶領域となる。
【0034】
このように上述の記憶アドレスにしたがって画像信号が書き込まれた記憶領域42においては、先頭画素PS〜終点画素PEに対応する全ての記憶領域のうち、上述の記憶領域43(G1)、43(G2)、・・・43(Gn)以外の領域、換言すれば撮像視野内において画像取込エリアとして設定されなかった範囲と固定的な対応関係にある記憶領域は、画像信号が書き込まれていない空白領域となる。
【0035】
上記例で示す記憶アドレス設定によれば、記憶領域42上に空白領域が生じ記憶領域の有効活用の観点からすれば好ましくはないものの、各画素20aと記憶領域42とは1対1の対応関係にあることから、撮像によって得られる画像信号を記憶させる際に、撮像視野内における正しい位置情報がそのまま保たれるという長所を有している。すなわち、画素の位置と記憶領域の番地を示す記憶アドレスが1対1で対応しているので、記憶アドレスからこの記憶アドレスで示される記憶領域に格納されている画像信号の出力元の画素の座標を容易に特定することができる。このような記憶領域(記憶アドレス)の設定は、取り込んだ画像から撮像対象物の位置や姿勢を画像認識で求めるような場合に有利である。
【0036】
この撮像装置は上記のように構成されており、以下撮像方法について説明する。この撮像方法は、格子状に配置された画素20aを備えた受光部20に撮像対象物である電子部品6の光学画像を結像させ、撮像視野内に設定された画像取込エリアに対応する画素20aから選択的に画像信号を出力させるものである。
【0037】
(1)まず画像取込エリア情報記憶部28に予め記憶された画像取込エリア(図4(a)参照)に関する情報に基づいて、画像信号を出力させる画素20aを特定するための画素選択情報が、画素選択情報生成部25によって生成される。
【0038】
(2)次いで、記憶アドレス生成部27によって画像信号を記憶する画像記憶部26の記憶アドレスが、画像取込エリアに関する情報に基づいて生成される。画素選択情報を生成する方法と同様な方法を用いることにより、画像取り込みエリアから画像取り込みを行う画素20aのX座標PX、Y座標PYは特定できるため、このX座標値PX、Y座標値PYを使用して前述した18ビットの記憶アドレスを生成する。
【0039】
(3)次に制御部24によって垂直方向画素選択回路21および水平方向画素選択回路22を制御することにより、画素選択情報に基づいて特定される複数の画素から1つの画素を選択してこの画素から画像信号を出力させる。そして出力された画像信号は、(2)で生成された記憶アドレスに従って画像記憶部26の所定の記憶領域に記憶される。この画像信号の出力・記憶は、画素選択情報で特定された全ての画素(図4(b)に示す画素出力対象範囲41’内の画素20a)に対して行われる。これにより図4(a)の画像取込エリア41に対応する画素出力対象範囲41’の画素からのみ画像信号が出力され、画像記憶部26に記憶される。
【0040】
(実施の形態2)
図6は本発明の実施の形態2の撮像装置の構成を示すブロック図である。図6に示すように、撮像装置は図2に示す構成例と同様の構成要素を備えている。そしてこの実施の形態2では、記憶アドレス生成部27によって記憶アドレスを生成する際に、画像取込エリア情報を画像取込エリア情報記憶部28から読み出す替りに、画素選択情報生成部25によって生成された画素選択情報、すなわち図4(b)に示す画素出力対象範囲41’内の画素20aの位置を示す画素座標を用いて、図5に示す画像記憶部26の記憶アドレスを生成するようにしている。
【0041】
(参考例)
図7は本発明の参考例の撮像装置の構成を示すブロック図である。図7において、参考例に示すカメラ8’では、図2に示すカメラ8から画素選択情報生成部25を除いた構成となっており、制御部24によって垂直方向画素選択回路21および水平方向画素選択回路22に画像信号出力対象の画素を選択させる際に、記憶アドレス生成部27によって生成された記憶アドレスに基づいて、垂直方向画素選択回路21および水平方向画素選択回路22を制御するようにしている。
【0042】
すなわちこの構成においては、図4(a)に示す画像取込エリア情報から直接図5に示す記憶アドレスが生成され、画像記憶部26における記憶領域が設定される。実施の形態1で説明したように、受光部20の各画素20aのX座標値とY座標値は、このようにして設定された記憶領域、すなわち記憶アドレスと固定的な対応関係にあることから、記憶アドレスを生成することにより、垂直方向画素選択回路21および水平方向画素選択回路22を制御する画素選択情報と等価の情報が生成されたことになる。したがって、この等価情報を用いて垂直方向画素選択回路21および水平方向画素選択回路22を制御することにより、画像出力対象として特定された画素を選択することができる。
【0043】
このように上記実施の形態2および参考例においては、画像記憶部26において受光部20の各画素20a毎に固定された記憶領域が設定されるような記憶アドレスの形式を用いることにより、各画素20aと記憶領域42との間に1対1の対応関係が成立する。これにより、画像信号を出力させる対象として画素を選択するための情報と、出力された画像信号を書き込む記憶領域を設定するための情報とが等価となり、図6,図7に示すような構成例を採用することが可能となっている。
【0044】
以上説明したように、各実施の形態に示す撮像装置は、格子状に配列された複数の画素20aのうち画像信号を出力する画素をランダムに選択可能なカメラ8からの画像信号を、記憶アドレスで設定された記憶領域に書き込むようにしたものである。これにより、カメラ8の撮像視野中の必要範囲からのみ出力された画像信号を、所望の記憶アドレス領域に書き込むことができる。
【0045】
そしてこの撮像装置が組み込まれた電子部品実装装置では、撮像装置7による認識結果に基づいて各電子部品の位置ずれが検出され、移載ヘッド5を基板位置決めステージ2上へ移動させて基板3上に電子部品を実装する際には、位置ずれを補正した上で各電子部品を基板3上に搭載する。この実装動作において、前述のように撮像が効率的に行われることから高速の画像認識が実現され、実装効率を向上させることができる。
【0046】
なお、本実施の形態では電子部品実装装置を例に説明したが、この撮像装置は電子部品実装装置以外の組立装置や各種検査機等、画像を撮像する全ての装置に対して適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、画像の取り込みエリアに関する情報に基づいて、画像を出力させる画素を特定するための画素選択情報および画像信号を記憶する画像記憶部の記憶アドレスを生成し、この記憶アドレスで指定された記憶領域に画像信号を記憶させるようにしたので、画像の読み取り時間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0048】
7 認識装置
7a 画像認識ユニット
8 カメラ
20 受光部
20a 画素
21 垂直方向画素選択回路
22 水平方向画素選択回路
24 制御部
25 画素選択情報生成部
26 画像記憶部
27 記憶アドレス生成部
28 画像取込エリア情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子状に配置された複数の画素を備えた受光部に撮像対象物の光学画像を結像させて画像を読み取る撮像装置であって、前記複数の画素のうち画像信号を出力する1つの画素をランダムに選択可能な画素選択手段と、前記画像信号を記憶する画像記憶部と、撮像視野内に設定された画像取込エリアに関する情報を記憶する画像取込エリア情報記憶部と、前記画像取込エリアに関する情報に基づいて選択すべき画素を特定するための画素選択情報を生成する画素選択情報生成部と、前記画像取込エリアに関する情報に基づいて前記画像記憶部の記憶アドレスを生成する記憶アドレス生成部と、前記画素選択情報に基づいて前記画素選択手段を制御することにより選択した画素の画像信号を出力させる制御部を備え、前記画像記憶部は出力された画像信号を前記記憶アドレスで指定された記憶領域に記憶し、前記画素と前記記憶アドレスが1対1の関係で対応付けされていることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
格子状に配置された複数の画素を備えた受光部に撮像対象物の光学画像を結像させて画像を読み取る撮像装置であって、前記複数の画素のうち画像信号を出力する1つの画素をランダムに選択可能な画素選択手段と、前記画像信号を記憶する画像記憶部と、撮像視野内に設定された画像取込エリアに関する情報を記憶する画像取込エリア情報記憶部と、前記画像取込エリアに関する情報に基づいて、選択すべき画素を特定するための画素選択情報を生成する画素選択情報生成部と、前記画素選択情報に基づいて前記画像記憶部の記憶アドレスを生成する記憶アドレス生成部と、前記画素選択情報に基づいて前記画素選択手段を制御することにより選択した画素の画像信号を出力させる制御部を備え、前記画像記憶部は出力された画像信号を前記記憶アドレスで指定された記憶領域に記憶し、前記画素と前記記憶アドレスが1対1の関係で対応付けされていることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
前記画像記憶部には受光部の各画素毎に固定された記憶領域が設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
格子状に配置された画素を備えた受光部に撮像対象物の光学画像を結像させ、撮像視野内に設定された画像取込エリアに対応する画素から選択的に画像信号を出力させて記憶する撮像方法であって、(1)前記画像取込エリアに関する情報に基づいて画像信号を出力させる画素を特定するための画素選択情報を生成する工程と、(2)前記画像取り込みエリアに関する情報に基づいて画像信号を記憶する画像記憶部の記憶アドレスを生成する工程と、(3)前記画素選択情報で特定される複数の画素から1つの画素を選択してこの画素から画像信号を出力する工程と、(4)前記(3)で出力した画像信号を(2)で生成された記憶アドレスに従って前記画像記憶部に記憶する工程とを含み、前記画素と前記記憶アドレスが1対1の関係で対応付けされていることを特徴とする撮像方法。
【請求項5】
格子状に配置された画素を備えた受光部に撮像対象物の光学画像を結像させ、撮像視野内に設定された画像取込エリアに対応する画素から選択的に画像信号を出力させて記憶する撮像方法であって、(1)前記画像取込エリアに関する情報に基づいて画像信号を出力させる画素を特定するための画素選択情報を生成する工程と、(2)前記画素選択情報に基づいて画像信号を記憶する画像記憶部の記憶アドレスを生成する工程と、(3)前記画素選択情報で特定される複数の画素から1つの画素を選択してこの画素から画像信号を出力する工程と、(4)前記(3)で出力した画像信号を(2)で生成された記憶アドレスに従って前記画像記憶部に記憶する工程とを含み、前記画素と前記記憶アドレスが1対1の関係で対応付けされていることを特徴とする撮像方法。
【請求項6】
前記画像記憶部に、受光部の各画素毎に固定された記憶領域を設定することを特徴とする請求項4又は5に記載の撮像方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−183639(P2010−183639A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97752(P2010−97752)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【分割の表示】特願2000−303368(P2000−303368)の分割
【原出願日】平成12年10月3日(2000.10.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】