説明

撮像装置及びこの撮像装置を用いた表示方法

【課題】2系統以上の光学系を搭載し、一方の光学系を広角画像に対応させ、他方の光学系を望遠画像に対応させ、表示部のモニタリング画面上に広角画像と望遠画像との関係を表示する構成とすることにより、高倍率撮影時における所望の被写体を画角範囲内におさまるようにすることを支援する撮像装置を提供する。
【解決手段】本発明の撮像装置は、第1の被写体画像を取得する第1撮像光学系2、第2の被写体画像を取得する第2撮像光学系3、第1の被写体画像の映像信号を第1画像データに変換する第1撮像部18、第2の被写体画像の映像信号を第2画像データに変換する第2撮像部19、第1の被写体画像と第2の被写体画像とを表示する表示部20、表示部20に表示された第1の被写体画像に第2の被写体画像の撮像範囲を表示枠で表示する制御部11を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパクトデジタルカメラ等の撮像装置及びこの撮像装置を用いた表示方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光学ZOOMが10倍を超える高倍率ズームのコンパクトデジタルカメラが開発されて市販されている。
また、例えば、3Dカメラや位相差AFセンサを搭載したカメラのように、2系統以上の光学系を搭載するデジタルカメラも開発されている。
ところで、高倍率ズームのデジタルカメラでは、最大望遠付近にしたときに、所望の被写体の全てを画角範囲内におさまるようにするのが難しいという問題がある。
【0003】
そこで、ズーム撮影時において、特定の被写体(撮影したい主要被写体)をユーザが撮影する際の操作を容易にするために、広角画像と望遠画像(ズーム画像)とを同時に取り込んで、表示部に広角画像全体を表示し、望遠画像(ズーム画像)に対応する撮像範囲を表示枠で囲んで示すようにしたデジタルカメラが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
なお、光学式ファインダーを覗いて望遠側で撮影するときに、撮影したい主要被写体を見失うのを防止するために、デジタルズームの作動を禁止する撮像装置も提案されている(特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
その特許文献1に開示のデジタルカメラによれば、ズーム撮影時に被写体の追跡の容易化を図ることができるという長所がある。
しかしながら、その特許文献1に開示のものでは、光学系の駆動機構が複雑化するという問題がある。また、特許文献2の開示のものでは、デジタルズーム機能が損なわれる。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、2系統以上の光学系を搭載し、一方の光学系を広角画像に対応させ、他方の光学系を望遠画像に対応させ、表示部のモニタリング画面上に広角画像と望遠画像との関係を表示する構成とすることにより、高倍率撮影時における所望の被写体を画角範囲内におさまるようにすることを可能とした撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の撮像装置は、第1の被写体画像を取得する第1撮像光学系と、第1撮像光学系により取得された第1の被写体画像よりも望遠側の第2の被写体画像を取得可能な第2撮像光学系と、第1撮像光学系により取得された第1の被写体画像の映像信号を第1画像データに変換する第1撮像部と、第2撮像光学系により取得された第2の被写体画像の映像信号を第2画像データに変換する第2撮像部と、第1画像データによる第1の被写体画像と第2画像データによる第2の被写体画像とを表示する表示部と、表示部に表示された第1の被写体画像に第2の被写体画像の撮像範囲を表示枠で表示させる制御部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高倍率撮影時における所望の被写体を画角範囲内におさまるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は本発明に係る撮像装置に用いる3Dカメラの一例を示す外観図である。
【図2】図2は図1に示す3Dカメラの制御回路ブロック図である。
【図3】図3は実施例1に係る撮像装置の説明図であって、図1に示す3Dカメラにより取得された広角画像と望遠画像との関係の一例を示す説明図である。
【図4】図4は所望の被写体としての望遠画像を示す説明図である。
【図5】図5は実施例2に係る撮像装置の説明図であって、図5(a)は図1に示す左側撮像光学系により取得された広角画像の中のターゲットをロックした状態を示す説明図であり、図5(b)は図1に示す右側撮像光学系により取得された望遠画像に所望の被写体が存在しない場合の指示マークを表示画面の隅に表示した例の説明図であり、図5(c)は図1に示す右側撮像光学系により取得された望遠画像に所望の被写体が存在しない場合の指示マークを表示画面の中央に表示した例の説明図である。
【図6】図6は実施例3に係る撮像装置の説明図であって、望遠画像が表示されているときに広角画像を子画像として表示しかつ子画像が表示されている領域内に望遠画像に対応する範囲を表示枠により表示した例を示す説明図である。
【図7】図7は本発明に係る撮像装置に用いる位相差方式のカメラの一例を示す外観図である。
【図8】図8は図7に示す位相差方式のカメラの制御回路ブロック図である。
【図9】図9は第1撮像光学系の光軸中心と第2撮像光学系の光軸中心とのずれの説明図である。
【図10】図10は広角画像の画角中心と望遠画像の画角中心とのずれ量を示す説明図である。
【図11】図11は本発明の実施例に係る設定メニュー画面としての選択メニュー画面の一例を示す説明図であって、(a)は選択メニュー画面の項目の一例を示し、(b)は(a)に示す選択メニュー画面において「F補助」の項目を選択した状態を示す説明図である。
【図12】図12は本発明の実施例5に係るデジタルカメラの説明図であって、(a)はそのデジタルカメラの正面図、(b)はその上面図、(c)はその背面図である。
【図13】図13は図12に示すデジタルカメラのシステムの構成の概要を示すブロック図である。
【図14】図14は図12(c)に示すLCDの表示画面上に主要撮像光学系によるモニタリング画像と補助撮像光学系によるモニタリング画像とを同時に表示している例を示す説明図であり、(a)は主要撮像光学系の焦点距離と補助撮像光学系の焦点距離とが同程度の場合のモニタリング画像を示す図であり、(b)は主要撮像光学系の焦点距離が補助撮像光学系の焦点距離よりも長い場合のモニタリング画像を示す図である。
【図15】図15は主要被写体の方向表示手順を説明するためのフロー図である。
【図16】図16はその主要撮像光学系のモニタリング画像に対して、主要被写体がどちらの方向にあるのかをガイド表示する一例を示し、(a)は主要被写体が主要撮像光学系の画角内に収まっていて、ガイド表示がされていない例を示す図であり、(b)は主要被写体が主要撮像光学系の画角に収まっていないため、主要被写体の存在する方向が矢印によりガイド表示されている例を示す図、(c)は(b)に示す矢印の代わりに表示画面の右端を帯状に色づけすることによりガイド表示する例を示し、(d)は補助撮像光学系のモニタリング画像をLCDの表示画面に表示せずに、主要被写体が主要撮像光学系のモニタリング画像から外れたときに、ガイド表示としての主要被写体の存在する方向を示す矢印のみを表示画面にガイド表示する例を示す図である。
【図17】図17は人物の顔が複数個検出されている場合のガイド表示の一例を示す説明図であって、(a)は主要被写体としての顔が主要撮像光学系のモニタリング画像内に収まっている場合を示し、(b)は主要被写体でない顔が主要撮像光学系のモニタリング画像内に収まっているが、主要被写体としての顔は画角内に収まっていない場合を示している。
【図18】図18は本発明の実施例6に係るデジタルカメラの動作を説明するためのフロー図である。
【図19】図19は本発明の実施例5に係るLCDの表示画面に表示されるモニタリング画像の説明図であって、(a)は、ユーザーが主要被写体を選択操作していないときに補助モニタリング画像がLCDの表示画面の隅に小さく表示されている状態を示し、(b)はユーザーが主要被写体を選択操作することにより、補助モニタリング画像が大きく表示されている状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0010】
以下に、本発明に係る撮像装置をデジタルカメラに適用した実施例を図面を参照しつつ説明する。
(実施例1)
図1は本発明の実施例1に係るデジタルカメラ1の外観図を示している。ここでは、このデジタルカメラ1は3Dカメラにより構成されている。
【0011】
このデジタルカメラ1は、第1撮像光学系としての左側撮像光学系2、第2撮像光学系としての右側撮像光学系3、フラッシュ装置4、シャッターボタン5、モード切替ボタン6、ズームレバー(ZOOMレバー)7等から概略構成されている。
【0012】
左側撮像光学系2と右側撮像光学系3とは、同一の光学構成である。
シャッターボタン5、モード切替ボタン6、ズームレバー7、図2に示す操作キー7’、確定ボタン7”等は、図2に示す操作部8を構成している。
【0013】
シャッターボタン5は、撮影の実行時に用いられ、モード切替ボタン6は、例えば、静止画撮影モード、動画撮影モード等のモード切替えに用いられる。
【0014】
ズームレバー7はズーム倍率の変更に用いられ、操作キー7’は、メニュー画面の表示、記録画像の再生その他の各種の操作に用いられ、例えば、後述する表示部20の表示画面GUにおいて、カーソルを移動させる際にも用いられる。確定ボタン7”はソフトウエアプログラムによる実行結果を確定させるのに用いる。
【0015】
ここでは、左側撮像光学系2はWIDE端に固定されて第1の被写体画像としての広角画像の表示に用いられ、右側撮像光学系3は第1の被写体画像よりも望遠側の第2の被写体画像としての望遠画像の表示に用いられる。しかしながら、左側撮像光学系2を望遠画像の表示に用い、右側撮像光学系3を広角画像の表示に用いても良い。
いずれにしても、第1撮像光学系の画角は第2撮像光学系の画角よりも大きい。
【0016】
図2はそのデジタルカメラ1のブロック回路図である。
このデジタルカメラ1のブロック回路は、制御部としての演算部11、音声部12、水準器用加速度センサ13、手ぶれ補正用ジャイロセンサ14、外部記憶部(SDカード)15、内部記憶装置(RAM)16、フラッシュ(Flash)メモリ17、第1撮像部18、第2撮像部19、表示部20から概略構成されている。
【0017】
音声部12、水準器用加速度センサ13、手ぶれ補正用ジャイロセンサ14、外部記憶部(SDカード)15、内部記憶装置(RAM)16、フラッシュ(Flash)メモリ17等には公知のものが用いられる。
【0018】
第1撮像部18は、第1撮像光学系により取得された第1の被写体画像の映像信号を第1画像データに変換する役割を果たす。
第2撮像部19は、第2撮像光学系により取得された第2の被写体画像の映像信号を第2画像データに変換する役割を果たす。
【0019】
表示部20は、デジタルカメラ1の本体の背面に設けられている。この表示部20には第1画像データによる第1の被写体画像と第2画像データによる第2の被写体画像とが表示される。
演算部11は、被写体のモニタリング中、表示部20の画面に表示された第1画像データによる第1の被写体画像に第2画像データによる第2の被写体画像の撮像範囲を表示枠により表示させる制御部としての役割を果たす。
【0020】
すなわち、演算部11は、被写体に対するモニタリング中、表示部20の表示画面GUの全体に図3に示すように第1画像データに基づく広角画像WGが表示され、表示部20の表示画面GUに第2画像データに基づく望遠画像TIの範囲を示す表示枠MIが表示されるように、表示部20を制御する。
【0021】
演算部11は、ズームレバー7のズーム操作によって、その表示枠MIの大きさをズーム倍率に対応する大きさに変更制御する。ここでは、表示枠MIの大きさはズーム倍率9.1倍に対応し、ズーム倍率が大きくなるほど、表示枠MIは表示画面GU上に小さく表示される。
【0022】
広角画像WGの表示から望遠画像TIへのモニタリング画面表示への切り替え設定については、図11に示す設定メニュー画面のうちの選択メニュー画面GU’により行う。表示部20の表示画面GUには設定メニュー画面としての選択メニュー画面GU’が表示されている。
【0023】
ここでは、選択メニュー画面GU’には、図11(a)に示すように、画質サイズ、フォーカス、プレAF、F補助、測光、画像設定等の各項目が表示されている。操作キー7’を操作して図11(b)に示すように「F補助」の項目を選択すると、選択メニュー画面に「OFF」、「ON」」、「矢印左下」、「矢印真中」、「PIP」の各文字が表示される。
【0024】
この文字が表示されている状態の選択メニュー画面GU’において、操作キー7’を操作して、「ON」を選択し、確定ボタン7”を操作すると、実施例1において後述する機能が実行され、「矢印左下」又は「矢印真中」を選択すると、実施例2において説明する機能が実行され、「PIP」を選択すると、実施例3において説明する機能が実行される。
この実施例1では、選択メニュー画面GU’において、「ON」が予め選択されているものとする。
【0025】
この実施例1では、更に詳細には、演算部11は、倍率1倍では広角画像WGを表示画面GUに表示するように表示部20を制御しており、ズームレバー7のズーム操作によって例えば倍率5倍を超えると、その表示枠MI 内の第2画像データに基づく第2の被写体画像が表示部20の表示画面GUの全体に表示されるように、表示部20を制御する。
【0026】
ここでは、図4に示すように、第2画像データに基づく第2の被写体画像としての雲の一部が表示部20の表示画面GUの全体に表示される。
この実施例1によれば、望遠時には画角内におさまるようにすることが困難な被写体でも、広角時にはその被写体を画角範囲内に容易におさまるようにすることができるので、広角時の画像を見つつ所望の被写体を容易に画角範囲内におさまるようにすることができる。
【0027】
(実施例2)
この実施例2では、演算部11は、第1画像データにより第1の被写体画像の中に存在するターゲットをロックしかつ第2画像データによる第2の被写体画像に表示部20の表示を切り替えたときにターゲットの存在する方向を指し示す指示マークを表示部に表示させる構成としたものである。
この実施例2では、図11(b)に示す選択メニュー画面GU’において、予め、「矢印左下」又は「矢印真中」が選択されているものとする。
【0028】
図5はその実施例2の広角画像の表示の一例を示すもので、被写体のモニタリング中、図5(a)に示すように、表示部20の表示画面GUの全体に第1画像データに基づく広角画像としての第1の被写体画像が表示されている。
【0029】
すなわち、この実施例2では、第2画像データに基づく望遠画像TIが表示部20に表示されている状態において、Fn(ファンクション)ボタン(図示を略す)の長押し操作により、演算部11は、第1画像データに基づく広角画像WGが表示画面GUに表示されるように、表示部20を制御する。すなわち、演算部11は第1撮像光学系により取得された第1の被写体画像の中からターゲットとする被写体を特定する被写体特定手段としての役割を果たす。
【0030】
その演算部11は、ターゲット追尾中、図5(a)に示す表示部20の表示画面GU上でカーソルCLを移動させる機能を有し、被写体追尾(プレAF)と同様に、シャッターボタン5を長押しすると、カーソルCLにより指定された位置にターゲットObが存在するものとして、ターゲットObをロックする機能を有する。
【0031】
ここでは、このターゲットObとして、図5(a)に示すように、小鳥が指定されている。また、ターゲットObが枠で囲って表示されている。
【0032】
ターゲットObがロックされると、演算部11は、その表示部20の表示画面GUの全体に第2画像データによる第2の被写体画像が表示されるように、表示部20を自動的に切り替え制御する。
【0033】
演算部11は、その表示部20の表示画面GUの全体に広角画像が表示されている状態から望遠画像が表示されている状態に切り替えたときに、ターゲットObが存在しないときには、図5(b)に示すように、ターゲットObの存在する方向を示す指示マークとしての矢印ZOを表示する機能を有する。
【0034】
すなわち、演算部11は、ロックされたターゲットObがその表示部20の表示画面GUの広角画像WG内に表示されている場合には、右側撮像光学系3により得られた望遠画像TIの中心座標からの向きを矢印ZOで表示画面GUに表示させる。
【0035】
右側撮像光学系3により得られた望遠画像の中にターゲットObが存在する場合には、ロックされたターゲットObが望遠画像中に存在する旨を知らせるターゲットロックの英文字を、広角画像が表示されている表示部20の表示画面GUに表示するか、又は、矢印ZOを表示しないようにする。
【0036】
その矢印ZOは、選択メニュー画面GU’において、「矢印左下」が選択されている場合には、図5(b)に示すように、表示画面GUの隅に表示され、選択メニュー画面GU’において、「矢印真中」が選択されている場合、図5(c)に示すように、表示画面GUの中央に表示される。表示画面GU上での矢印ZOの表示位置は、これに限るものではなく、要するに、ターゲットObの存在する方向にカメラを向けることができれば良い。
【0037】
所望の望遠画像が表示画面GUの全体におさまるまで、どのくらいカメラを移動させる必要があるかを視覚的に認識させるため、所望のターゲットObに対するカメラの移動関係を矢印ZOの長さを変えて表示するのが望ましい。
【0038】
また、デジタルカメラ1が、追尾オートフォーカス機能を有する場合において、一旦ロ
ックされたターゲットObが追尾エリアから消失した場合には、そのロックされたターゲットObが追尾エリア外に出た旨をユーザーに伝えるメッセージを表示部20の表示画面GUに表示するか、又は、表示部20の表示画面GUに表示しないようにしても良い。
【0039】
更に、一旦ロックされたターゲットObが追尾エリア外に出た場合には、最後にロックした方向を表示部20の表示画面GUに表示する構成としても良い。
更にまた、一旦追尾エリアからターゲットが消失して再度追尾エリア内に侵入した場合には、矢印ZO又はターゲットロックの表示を再開する構成としても良い。
【0040】
この場合、ターゲットが鳥や飛行機等で、追尾エリア内に複数の同種のターゲットが存在する場合、一旦追尾エリア外にターゲットが出て再び追尾エリア内にターゲットが入ったとしても、同一のターゲットであるか否か、判断するのが難しい。
従って、このような場合には、ターゲットが同一であるか区別できない旨を表示しても良い。
【0041】
(実施例3)
この実施例3では、演算部11は、表示部20に第2画像データによる望遠画像が表示されているときに第1画像データによる広角画像を子画像として表示しかつ子画像が表示されている領域内に望遠画像に対応する撮像範囲を表示枠により表示させる構成としたものである。
この実施例3では、図11(b)に示す選択メニュー画面GU’において、予め、「PIP」が選択されているものとする。
【0042】
図6は、その実施例3の望遠画像の表示の一例を示すもので、被写体のモニタリング中、表示部20の表示画面GUの全体に第2画像データに基づく望遠画像としての被写体画像が表示されている。
【0043】
その表示部20の表示画面GUの一部には、第1画像データによる広角画像が子画像guとして表示されている。その子画像guの領域内には望遠画像に対応する範囲が表示枠MIにより表示されている。
【0044】
このように、この実施例3では、第2画像データに基づく望遠画像TIが表示部20の表示画面GUの全体に表示されている状態で、いわゆるピクチャーインピクチャ(PIP)の手法により第1画像データに基づく広角画像が表示される。
【0045】
この実施例3では、望遠画像TIのモニタリング中に、望遠画像TIと広角画像WGとの関係を表示枠MIにより表示する構成としたので、ユーザーは表示部20のモニタリング画面上であっても広角画像WGと望遠画像TIとの関係を直接かつ分かり易く認識できる。
【0046】
(実施例4)
この実施例4では、デジタルカメラ1は位相差方式のカメラである。このデジタルカメラ1は、図7に示すように、第1撮像光学系としての測距用光学系30、第2撮像光学系としての主撮像光学系31、フラッシュ装置4、シャッターボタン5、モード切替ボタン6、ズームレバー等から概略構成されている。
【0047】
シャッターボタン5、モード切替ボタン6、ズームレバー等は、図8に示す操作部8を構成している。そのシャッターボタン5、ズームレバー等の機能は実施例1と同様である。
モード切替ボタン6は、例えば、静止画撮影モード、動画撮影モード等のモード切替えに用いられる。
【0048】
測距用光学系30は、CCD撮像素子、CMOS撮像素子等の2個の撮像素子(エリアセンサ)からなる位相差方式の測距センサ32(図8参照)の一部を構成している。
測距用光学系30は被写体までの距離の測定と広角画像の表示とに用いられ、主撮像光学系31は、主撮像部34(図8参照)を有し、広角画像の表示と望遠画像の表示とに用いられる。
図8はそのデジタルカメラ1のブロック回路図である。
【0049】
このデジタルカメラ1のブロック回路は、図2に示す制御回路ブロックと同様に、演算部11、音声部12、水準器用加速度センサ13、手ぶれ補正用ジャイロセンサ14、外部記憶部(SDカード)15、内部記憶装置(RAM)16、フラッシュ(Flash)メモリ17、表示部20を備える。
【0050】
音声部12、水準器用加速度センサ13、手ぶれ補正用ジャイロセンサ14、外部記憶部(SDカード)15、内部記憶装置(RAM)16、フラッシュ(Flash)メモリ17等には公知のものが用いられる。
【0051】
測距センサ32は、測距用光学系30を介して得られた被写体の映像信号を第1画像データに変換する役割を果たす。
主撮像部34は、主撮像光学系31を介して得られた被写体の映像信号を第2画像データに変換する役割を果たす。
【0052】
演算部11、表示部20は、実施例1と同様の機能を有する。
その測距用光学系30には、既述のように2個の撮像素子が用いられているが、いずれか一方の撮像素子を第1画像データに用いれば良い。
【0053】
ところで、測距用光学系30の光軸O1(図9参照)と主撮像光学系31の光軸O2(図9参照)とは、図7に示すように、測距用光学系30と主撮像光学系31の配置が水平方向、垂直方向にずれているので、図10に示すように、広角側に用いる画角エリアの中心O1’と望遠側に用いる画角エリアの中心O2’とには、水平方向ずれΔX、垂直方向ΔYのずれが生じている。
【0054】
従って、主撮像部34に近い側に配置されている撮像素子を第1画像データを取得するのに用いることが、望遠側の画角エリアの中心O2’に対する広角側の画角エリアの中心O1’の中心ずれを小さくするうえで望ましい。
なお、その図9において、符号35は主撮影レンズ、符号36は測距用レンズ、符号ω1は広角側の画角、符号ω2は望遠側の画角を示している。
【0055】
なお、ユーザーに近い被写体を高倍率で撮影する場合、カメラ本体からの主撮像光学系31の鏡胴の突出量が大きくなるので、近距離に存在する所望の被写体を高倍率で撮影する場合、広角画像を取得する際に対象とする所望の被写体が鏡胴により蹴られるおそれがあるので、遠距離に存在する所望の被写体を高倍率で撮影するのが望ましい。
【0056】
このように、これらの実施例によれば、市販の3Dカメラ、位相差方式のカメラにソフトウエアプログラムを後から追加することにより、高倍率ズーム撮影の場合でも、例えば、空を飛んでいる鳥や航空機等の飛翔体を容易に捕捉して画面内におさまるようにすることができる。
【0057】
また、いわゆる市販の3Dカメラや位相差方式のカメラにソフトウエアプログラムを実装することにより、高倍率撮影時における所望の被写体を画角範囲内におさまるようにすることができるので、機械的構成、光学的構成等のハードウエアの構成を変更することなく、すなわち、専用のカメラを開発しなくとも、高倍率撮影時における所望の被写体を画面内におさまるようにすることができる。
【0058】
以上、実施例1ないし実施例4においては、左側撮像光学系(第1撮像光学系)2、右側撮像光学系(第2撮像光学系)3を光学式ズームレンズを備える構成として、左側撮像
光学系2を固定するものとして説明したが、少なくとも第2撮像光学系が光学式ズームレンズを備えていれば良い。
【0059】
また、左側撮像光学系(第1撮像光学系)2、右側撮像光学系(第2撮像光学系)3を倍率固定の撮像光学系から構成し、少なくとも第2撮像部19(図2参照)により得られた第2画像データがデジタルズームにより拡大された画像であっても良い。
【0060】
(実施例5)
図12は本発明の実施例5に係るデジタルカメラの説明図であって、図12(a)はそのデジタルカメラの正面図、図12(b)はその上面図、図12(c)はその背面図である。
図13は図12に示すデジタルカメラのシステムの構成の概要を示すブロック図である。
【0061】
(デジタルカメラの外観構成)
図12において、符合41はデジタルカメラを示している。このデジタルカメラ41の上面側には、レリーズボタン(シャッタボタン)42、電源ボタン43、撮影・再生切替ダイアル44が設けられている。
【0062】
デジタルカメラ41の正面(前面)側には、撮影レンズ系45を有する鏡胴ユニット46(後述する主要撮像光学系の一部を構成する構成要素)、ストロボ発光部(フラッシュ)47’、実施例4の測距用光学系30に相当する光学ファインダ48、補助撮像光学系47が設けられている。
【0063】
デジタルカメラ41の背面側には、液晶モニタ(LCD)49、光学ファインダ48の接眼レンズ部48’、広角側ズーム(W)スイッチ50、望遠側ズーム(T)スイッチ51、メニュー(MENU)ボタン52、確定ボタン(OKボタン)53等が設けられている。また、デジタルカメラ41の側面内部には、撮影した画像データを保存するためのメモリカード54(図13参照)を収納するメモリカード収納部55が設けられている。
【0064】
なお、レリーズボタン(シャッタボタン)42、電源ボタン43、撮影・再生切替ダイアル44広角側ズーム(W)スイッチ50、望遠側ズーム(T)スイッチ51、メニュー(MENU)ボタン52、確定ボタン(OKボタン)53等は、図13にユーザが操作可能な操作部として符合62を用いて示されている。その操作部62からの指示信号は制御部としてのCPU58に入力される。
【0065】
(デジタルカメラのシステム構成)
このデジタルカメラ41は、図13に示すように、撮影レンズ系45(撮影レンズ、絞りユニット、メカニカルシャッタユニットを含む)を通じて入射する画像形成光束を受像するセンサ部(固体撮像素子としての例えばCMOS)56’、相関二重サンプリング回路(CDS/PGA)、アナログデジタルコンバータ(ADC)、駆動部からなるブロック回路部(これらを含めて焦点距離が可変な主要撮像光学系という)、後述するデジタルRGB画像信号を処理する信号処理部56、モータドライバ57、CPU(制御部)58、画像データ等のデータを一時的に格納するメモリ59、カメラ外部との通信に用いる通信ドライバ部60、カメラ本体に着脱可能なメモリーカード54、信号処理部56からの画像信号をLCD表示可能な信号に変換する液晶表示コントローラ61、表示部としての液晶モニタ(LCD)49、補助撮像光学系47、CPU58からの制御信号により発光開始・停止が制御されるストロボ発光部47’、ストロボ発光用メインコンデンサ64、操作部62等を有している。
CPU58は、操作部62からの操作入力情報に基づき、ROMに記憶された制御プログラムに基づいてデジタルカメラ41全体を統括制御する。
【0066】
撮影レンズ、絞りユニット、メカニカルシャッタユニットは、モータドライバ57によって駆動される。モータドライバ57は、CPU58からの駆動信号により駆動制御される。
【0067】
CMOSは、2次元に配列した受光素子(画素)を有し、CMOSの受像面に結像した光学像を電荷に変換する。この電荷は、CMOSに隣接する駆動部から送信される読出しタイミング信号により外部に電気信号として出力される。このCMOSを構成する複数の受光素子上にRGB原色フィルタ(以下、「RGBフィルタ」という)が配置されている。これにより、RGB3原色に対応したアナログRGB画像信号(なお、アナログ・デジタル変換されたRGB画像信号をデジタルRGB画像信号という)が出力される。
【0068】
信号処理部56は、デジタルRGB画像信号であるRAW−RGBデータを取り込むCMOSインターフェース(以下、「CMOSI/F」という)、SDRAMを制御するメモリコントローラ、取り込んだRAW−RGBデータを表示や記録が可能なYUV形式の画像データに変換するYUV変換部、表示や記録される画像データのサイズに合わせて画像サイズを変更するリサイズ処理部、画像データの表示出力を制御する表示出力制御部、画像データをJPEG形式等で記録するデータ圧縮部、画像データをメモリカードへ書き込み又はメモリカードに書き込まれた画像データを読み出すメディアインターフェース(以下、「メディアI/F」という)を備えている。
なお、この信号処理部56は、後述する第1撮像光学系により取得された第1の被写体画像の映像信号を第1画像データに変換する第1撮像部と、後述する第2撮像光学系により取得された第2の被写体画像の映像信号を第2画像データに変換する第2撮像部としての役割とを果たす。
【0069】
SDRAMには、CMOSI/Fに取り込まれたRAW−RGBデータが保存されると共に、YUV変換部で変換処理されたYUVデータ(YUV形式の画像データ)及びYUV合成部で合成処理されたYUVデータが保存され、更に、データ圧縮部で圧縮処理されたJPEG形成などの画像データ等が保存される。
YUVデータのYUVとは、輝度データ(Y)と、色差(輝度データと青色(B)データの差分(U)と、輝度データと赤色(R)の差分(V))の情報であり、色を表現する形式である。
【0070】
(デジタルカメラのモニタリング動作、静止画撮影動作)
次に、デジタルカメラ41のモニタリング動作、静止画撮影動作について説明する。このデジタルカメラ41は、静止画撮影モード時には、以下に説明するモニタリング動作を実行しながら静止画撮影動作を行う。
【0071】
先ず、ユーザ(撮影者)が電源ボタン43をONし、撮影・再生切替ダイアル44を撮影モードに設定する。これにより、デジタルカメラ41が記録モードで起動する。電源ボタン43がONされて、撮影・再生切替ダイアル44が撮影モードに設定されたことをCPU58が検知すると、CPU58はモータドライバ57に制御信号を出力する。これにより、鏡胴ユニット46が撮影可能位置に移動される。これと同時に、CMOS、信号処理部56、SDRAM、ROM、液晶モニタ49等が起動される。
【0072】
撮影レンズ系45が被写体に向けられると、撮影レンズ系45を通じて入射する画像形成光束がCMOSの受光面上に結像される。
CMOSの各受光素子から被写体画像に応じた電気信号が、CDS/PGAを介してA/D変換部(ADC)に入力され、A/D変換部により12ビット(bit)のRAW−RGBデータに変換される。
【0073】
このRAW−RGBデータは、信号処理部56のCMOSI/Fに取り込まれ、メモリコントローラを介していったんSDRAMに保存される。そして、SDRAMから読み出されたRAW−RGBデータは、YUV変換部においてYUVデータ(YUV信号)に変換された後、再び、メモリコントローラを介してSDRAMに送られて、YUVデータとして保存される。
【0074】
そのSDRAMからメモリコントローラを介して読み出されたYUVデータは、液晶表示コントローラ61を介して液晶モニタ(LCD)49に送られる。これにより、撮影画像(動画)が表示される。液晶モニタ(LCD)49に撮影画像を表示するモニタリング時においては、CMOSI/Fによる画素数の間引き処理により1/30秒の時間で1フレームを読み出している。
【0075】
なお、このモニタリング動作時は、電子ファインダとして機能する液晶モニタ(LCD)に撮影画像が表示されているだけであり、いまだ、レリーズボタン42が押圧(半押も含む)操作されていない状態である。
【0076】
この撮影画像の液晶モニタ(LCD)49への表示によって、撮影画像をユーザ(撮影者)が確認することができる。なお、液晶表示コントローラ61からTVビデオ信号としてビデオケーブルを介して外部のTV(テレビ)に撮影画像(動画)を表示させることもできる。
【0077】
そして、信号処理部56のCMOSI/Fは、取り込まれたRAW−RGBデータを用いて、AF(自動合焦)評価値、AE(自動露出)評価値、AWB(オートホワイトバランス)評価値を算出する。
【0078】
AF評価値は、例えば、高周波成分抽出フィルタの出力積分値や、近接画素の輝度差の積分値を用いて算出される。被写体が合焦状態にあるときは、被写体のエッジ部分がはっきりとしているので、高周波成分が一番高くなる。
【0079】
これを利用して、AF動作時(合焦検出動作時)には、撮影レンズ系45の各フォーカスレンズ位置におけるAF評価値を取得して、その極大になる点を合焦検出位置としてAF動作が実行される。
【0080】
AE評価値とAWB評価値は、RAW−RGBデータのRGB値のそれぞれの積分値から算出される。例えば、CMOSの全画素の受光面に対応した画面を256エリアに等分割(水平16分割、垂直16分割)し、それぞれのエリアのRGB積算を算出する。
【0081】
CPU58は、算出されたRGB積算値を読み出し、AE処理では、画面のそれぞれのエリアの輝度を算出して、輝度分布から適正な露光量を決定する。決定した露光量に基づいて、露光条件(CMOSの電子シャッタ回数、絞りユニットの絞り値等)を設定する。
【0082】
また、AWB処理では、RGBの分布から被写体の光源の色に合わせたAWBの制御値を決定する。このAWB処理により、YUV変換部でYUVデータに変換処理するときのホワイトバランスを合わせる。なお、AE処理とAWB処理は、モニタリング時には連続的に行われる。
【0083】
そして、モニタリング動作時に、レリーズボタン42が押圧(半押しから全押し)操作されて、静止画撮影動作が開始されると、合焦位置検出動作であるAF動作と静止画記録処理が行われる。
【0084】
すなわち、レリーズボタンが押圧(半押しから全押し)操作されると、CPU58からモータドライバ57への駆動指令により撮影レンズ系45のフォーカスレンズが移動し、例えば、いわゆる山登りAFと称されるコントラスト評価方式のAF動作が実行される。
【0085】
AF(合焦)対象範囲が無限から至近までの全領域であった場合、撮影レンズ系45のフォーカスレンズは、至近から無限、又は無限から至近までの間の各フォーカス位置に移動され、CMOSI/Fで算出されている各フォーカス位置におけるAF評価値をCPU58が読み出す。そして、各フォーカス位置のAF評価値が極大になる点を合焦位置としてフォーカスレンズを合焦位置に移動させて合焦させる。
【0086】
そして、AE処理が行われ、露光完了時点で、CPU58からモータドライバ57への駆動指令によりメカニカルシャッタユニットが閉じられ、CMOSの受光素子から静止画用のアナログRGB画像信号が出力される。そして、モニタリング時と同様に、A/D変換部(ADC)によりRAW−RGBデータに変換される。
【0087】
このRAW−RGBデータは、信号処理部56のCMOSI/Fに取り込まれ、YUV変換部でYUVデータに変換されて、メモリコントローラを介してSDRAMに保存される。
【0088】
そして、このYUVデータはSDRAMから読み出されて、リサイズ処理部で記録画素数に対応するサイズに変換され、データ圧縮部でJPEG形式等の画像データに圧縮される。
圧縮されたJPEG形式等の画像データは、SDRAMに書き戻された後にメモリコントローラを介してSDRAMから読み出され、メディアI/Fを介してメモリカード54に保存される。
【0089】
(補助撮像光学系47の説明)
補助撮像光学系47は、主要撮像光学系の撮像制御のために補助的に使用される第1の撮像光学系としての役割を果たす。
なお、主要撮像光学系は、第1撮像光学系により取得された第1の被写体画像よりも望遠側の第2の被写体画像を取得可能な第2の撮像光学系としての役割を果たす。
その補助撮像光学系47は、主要撮像光学系のモニタリングの画素数と同程度の画素数を用いて撮像が可能である。
【0090】
補助撮像光学系47の焦点距離は、焦点距離が可変の主要撮像光学系の可変範囲内である。
主要撮像光学系の焦点距離が補助撮像光学系47の焦点距離と同じである場合には、補助撮像光学系47の画角と主要撮像光学系の画角とが同程度となるようにされている。
【0091】
この補助撮像光学系47は主要撮像光学系とは別に連続的に撮像動作を行っており、デジタルカメラ41のLCD49の表示面上に補助撮像光学系47により撮像された被写体画像をモニタリング表示をすることが可能である。
補助撮像光学系47のモニタリング表示は、主要撮像光学系のモニタリング表示と同時に行うことが可能である。
【0092】
図14はLCD49の表示面上に主要撮像光学系による第2の被写体画像としてのモニタリング画像G1と補助撮像光学系47による第1の被写体画像としてのモニタリング画像G2とを同時に表示している例を示している。
この図14には主要撮像光学系によるモニタリング画像G1をLCD49の表示面の全体に表示し、補助撮像光学系47によるモニタリング画像G2はLCD49の角部分に主要撮像光学系のモニタリング画像G1に重なるように小さく子画像として表示されている。
【0093】
図14において、(a)は主要撮像光学系と補助撮像光学系47の焦点距離が同程度である時の表示例で、主要撮像光学系のモニタリング画像G1と補助撮像光学系47のモニタリング画像G2とは概ね同じであり、(b)は主要撮像光学系の焦点距離を望遠側に変化させた時の表示例で、補助撮像光学系47のモニタリング画像の画角よりも主要撮像光学系のモニタリング画像G1の方が画角が狭い。
【0094】
(主要被写体の方向表示の説明)
以下に、補助撮像光学系47のモニタリング画像G2から主要被写体としての人物の顔の位置を検出し、主要撮像光学系のモニタリング画像G1における主要被写体がLCD49の表示画面上でどちらの方向にあるのかを表示する手段について説明する。
【0095】
図15は主要被写体の方向表示手順を説明するフロー図である。
CPU(制御部)58は、補助撮像光学系47から得られるモニタリング画像G2から人物の顔G3を検出する処理を行う(S151)。ついで、CPU58は、顔が検出されたか否かを判断する(S152)。ここでは、CPU58は、補助撮像光学系47で撮像された画像の中から被写体を特定する被写体特定手段としても機能する。
【0096】
CPU58は、顔が検出されるまで、S151、S152の処理を実行し、顔G3が検出された場合、検出された顔G3が複数か否かを判断する(S153)。CPU58は、検出された顔G3が1つの場合、その検出された顔G3を主要被写体として確定する処理を行い(S154)、検出された顔G3が複数の場合、表示枠G4(図16参照)の大きさで顔の大きさを判断し、検出された表示枠G4が最も大きいものを主要被写体として特定する被写体特定手段としての処理を行う(S155)。
【0097】
ついで、CPU58は、主要撮像光学系のモニタリング画像G1内に主要被写体が収まっているかどうかを判定する(S156)。
主要被写体が収まっているかどうかの判定は、以下に説明する手段により判定する。
【0098】
CPU58は、主要撮像光学系の現在の焦点距離と補助撮像光学系47の焦点距離との比から主要撮像光学系のモニタリング画像G1が補助撮像光学系47のモニタリング画像G2のどの領域に相当するかを算出し、補助撮像光学系47のモニタリング画像G2内の主要被写体の位置が主要撮像光学系のモニタリング画像G1のどの領域に相当するか否かを判定する。
【0099】
ついで、CPU58は、補助撮像光学系47では主要被写体が画角内に収まっており、主要撮像光学系では主要被写体が画角内に収まっていない場合、主要撮像光学系のモニタリング画像G1に対し、主要被写体がどちらの方向に存在しているのかを、LCD49の表示画面上にガイド表示させる(S157)。
【0100】
すなわち、CPU58は、第1の被写体画像の画角と第2の被写体画像の画角とを比較して第2の被写体画像の画角が第1の被写体画像の画角よりも狭いときに、LCD(表示部)49に表示された第1の被写体画像に第2の被写体画像に対応する撮像範囲を表示枠G4を用いて表示する制御部としての役割を果たす。
【0101】
図16はその主要撮像光学系のモニタリング画像G1に対して、主要被写体がどちらの方向にあるのかをガイド表示する一例を示している。図16(a)は主要被写体が主要撮像光学系の画角内に収まっているので、ガイド表示はされていない。
【0102】
図16(b)は主要被写体が主要撮像光学系の画角に収まっていない。このため、図16(b)では、指示マークとしての矢印G5により主要被写体の存在する方向がガイド表示されている。
【0103】
この図16(b)では、モニタリング画像G2により主要被写体が右側に位置していると判定されるので、矢印G5は、LCD49の表示画面上に右側に主要被写体があることを示すため、表示画面の右側に右向きに表示されている。
【0104】
図16(b)においては、ガイド表示に矢印G5を用いることにしたが、ガイド表示は矢印G5に限る必要はなく、図16(c)に符合G6を用いて示すように表示画面の右端を帯状に色づけすることによりガイド表示してもよい。
【0105】
これらの図14(a)、図14(b)、図16(a)〜図16(c)の例では、CPU58により、主要撮像光学系のモニタリング画像G1と補助撮像光学系47のモニタリング画像G2とをLCD49の表示画面に同時に表示させる構成とした。
【0106】
しかしながら、補助撮像光学系47のモニタリング画像G2は必ずしも同時に表示させる必要はなく、モニタリング画像G2をLCD49の表示画面に表示させず、図16(d)に示すように、主要被写体G3が主要撮像光学系のモニタリング画像G1から外れたときに、ガイド表示としての主要被写体G3の存在する方向を示す矢印G5のみをLCD49の表示画面に表示させる構成としてもよい。
【0107】
図17は、人物の顔G3が複数個検出されている例を示している。この図17では、2人の顔G3、G3’が検出されているが、このうちの大きい方の顔G3、この例では、正面を向いている顔G3を主要被写体とする。
【0108】
この図17においては、(a)に示すように、顔G3が主要撮像光学系のモニタリング画像G1内に収まっている場合には、矢印G5はLCD49の表示画面上に表示されない。
しかしながら、図17(b)に示すように、2人のうちの1人の顔G3’が主要撮像光学系のモニタリング画像G1内に収まっているとしても、主要被写体とする人物の顔G3が画角外にあるときには矢印G5によりガイド表示される。
【0109】
以上説明したように、主要撮像光学系のモニタリング画像G1から主要被写体が外れてしまった際に主要被写体が存在する方向をガイド表示することにしたので、主要撮像光学系の焦点距離を望遠側にしている時等に主要被写体を再度画角内に収めることが容易になる。
また、被写体特定手段は、人の顔を特定する機能を備えているので、被写体が人の顔である場合に、撮影が容易である。
【0110】
(実施例6)
図18は、主要被写体をユーザーが設定する例を説明するフロー図である。
このデジタルカメラ41は、主要被写体を指定する指定手段としてのメニューを有する。このメニューは、実施例1ないし実施例と同様にLCD49のメニュー画面に表示される。ユーザーはメニューを選択することにより主要被写体を選択操作するか否かを設定できる。
【0111】
ユーザーがメニュー選択し、主要被写体の選択操作をすると(S181)、CPU58は補助モニタリング画面を拡大させる(S182)。図19は補助モニタリング画面を拡大した例を示す説明図である。
【0112】
通常、図19(a)に示すように、補助モニタリング画面はLCD49の表示画面の隅に子画像として小さく表示されている。
ユーザーが主要被写体を選択操作すると、図19(b)に示すように、補助モニタリング画面が大きく表示され、ユーザーが被写体を選択操作し易くなる。
【0113】
主要被写体の選択手段は、例えば、補助撮像光学系47のモニタリング画像G2上に被写体を指定するための十字カーソルG7等を表示し、上下左右キー55’(図12(c)参照)を押すことにより十字カーソルG7等を動かすことにより選択する(S183)。
ユーザーの被写体の選択操作が終了すると、補助モニタリング画面表示が図19(a)に示す元の大きさに戻される(S184)。
【0114】
ユーザーが主要被写体を選択した後は、CPU58は主要被写体G3が補助撮像光学系47の画角内に収まっている間は、主要被写体をロックしてその位置を取得し続ける。そして、CPU58は実施例5と同様の処理により主要撮像光学系のモニタリング画角内に主要被写体G3が収まっているかどうかを判定する(S185)。
【0115】
ついで、CPU58は、補助撮像光学系47において主要被写体G3が画角内に収まっており、主要撮像光学系では主要被写体G3が画角内に収まっていない場合、主要撮像光学系のモニタリング画像G1に対し、主要被写体G3がどちらの方向にあるのかを矢印G5によりガイド表示させる(S186)。
【0116】
この実施例6によれば、ユーザが補助撮像光学系47で撮像されたモニタリング画像の中から所望の被写体を選択して指定できるので便利である。また、ユーザの被写体選択中は、そのモニタリング画像がLCD49の表示画面に拡大表示されるので、被写体の選択操作が容易である。
【0117】
このように、この実施例5、実施例6による表示方法によれば、第2撮像光学系により取得された第2の被写体画像を表示する表示ステップと、第1の被写体画像の中から被写体特定手段によりターゲットとする被写体を特定する特定ステップと、ターゲットの少なくとも一部が第2の被写体画像から外れたときにターゲットの存在する方向を指し示す指示マークを表示部に表示させる指示マーク表示ステップとが、少なくとも実行される。
【符号の説明】
【0118】
1…デジタルカメラ
2…左側撮像光学系(第1撮像光学系)
3…右側撮像光学系(第2撮像光学系)
11…演算部(制御部)
18…第1撮像部
19…第2撮像部
20…表示部
WG…広角画像
TI…望遠画像
GU…表示画面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0119】
【特許文献1】特開2009−244369号公報
【特許文献2】特開2003−274253号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の被写体画像を取得する第1撮像光学系と、
該第1撮像光学系により取得された第1の被写体画像よりも望遠側の第2の被写体画像を取得可能な第2撮像光学系と、
前記第1撮像光学系により取得された前記第1の被写体画像の映像信号を第1画像データに変換する第1撮像部と、
前記第2撮像光学系により取得された前記第2の被写体画像の映像信号を第2画像データに変換する第2撮像部と、
前記第1画像データによる前記第1の被写体画像と前記第2画像データによる前記第2の被写体画像とを表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記第1の被写体画像に前記第2の被写体画像の撮像範囲を表示枠で表示させる制御部と、を備える撮像装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記表示部に前記第2の被写体画像が表示されているときに前記第1の被写体画像を子画像として表示しかつ該子画像が表示されている領域内に前記第2の被写体画像に対応する撮像範囲を表示枠により表示することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1撮像光学系により取得された前記第1の被写体画像の中からターゲットとする被写体を特定する被写体特定手段を更に有し、
前記制御部は、前記被写体特定手段により特定された前記第1の被写体画像の中に存在する前記ターゲットをロックして該ターゲットの少なくとも一部が前記第2の被写体画像から外れた時には前記ターゲットの存在する方向を指し示す指示マークを前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1撮像光学系と前記第2撮像光学系とのうち、少なくとも該第2撮像光学系が光学式ズームレンズを備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1撮像光学系と前記第2撮像光学系とが倍率固定の撮像光学系から構成され、少なくとも前記第2撮像部により得られた第2の被写体画像がデジタルズームにより拡大された画像であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1の被写体画像の画角と前記第2の被写体画像の画角とを比較して前記第2の被写体画像の画角が前記第1の被写体画像の画角よりも狭いときに、前記表示部に表示された前記第1の被写体画像に前記第2の被写体画像に対応する撮像範囲を表示枠で表示することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記被写体特定手段は、前記第1撮像光学系により撮像された第1の被写体画像の中から人の顔を検出して、該顔を前記ターゲットとして特定することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記被写体特定手段は、前記第1撮像光学系により撮像された前記第1の被写体画像としてのモニタリング画像の中からユーザが前記被写体を指定する指定手段を有することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記ユーザが前記指定手段を操作中に前記第1撮像光学系により撮像された前記モニタリング画像を前記表示部に拡大表示させることを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
第1の被写体画像を取得する第1の撮像光学系と、該第1撮像光学系により取得された第1の被写体画像よりも望遠側の第2の被写体画像を取得可能な第2撮像光学系と、前記第1撮像光学系により取得された前記第1の被写体画像の映像信号を第1画像データに変換する第1撮像部と、前記第2撮像光学系により取得された前記第2の被写体画像の映像信号を第2画像データに変換する第2撮像部と、前記第2画像データによる第2の被写体画像を表示する表示部と、前記第1撮像光学系により取得された第1の画像データの中からターゲットとする被写体を特定する被写体特定手段とを備えた撮像装置に用いる表示方法であって、
前記第2撮像光学系により取得された第2の被写体画像を表示する表示ステップと、
前記第1の被写体画像の中から前記被写体特定手段によりターゲットとする被写体を特定する特定ステップと、
前記ターゲットの少なくとも一部が前記第2の被写体画像から外れたときに前記ターゲットの存在する方向を指し示す指示マークを前記表示部に表示させる指示マーク表示ステップと、を備えていることを特徴とする撮像装置の表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−13050(P2013−13050A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−7770(P2012−7770)
【出願日】平成24年1月18日(2012.1.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】