説明

撮像装置及びそのプログラム

【課題】 笑顔検出によって自動撮影をおこなう撮像装置において、より最適なタイミングかつ撮影者が意図した撮影条件で撮影されることを可能にした撮像装置を提供すること
【解決手段】 撮像装置であって、撮像素子と、前記撮像素子を用いて被写体を撮像する撮像制御手段と、被写体の中から顔を検出する顔検出手段と、前記顔検出手段によって検出された顔から表情の変化を検出する表情変化検出手段と、前記撮像装置の設定を変更するための設定変更手段と、を有し、前記表情変化検出手段によって検出された被写体の表情の変化に応じて被写体画像を自動的に撮影すると共に、前記表情変化検出手段によって被写体の表情が変化したと判定された際に、前記設定変更手段によって前記撮像装置の設定変更がおこなわれてから所定時間を経過していない場合は、自動的に撮影をおこなわないことを特徴とする構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に人物の撮影をおこなう撮像装置及びそのプログラムに関し、特に被写体の表情の変化を検知して自動的に撮影をおこなう機能を有した撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラにおいて被写体の顔の表情の変化を抽出して自動的に撮影をおこなう機能が知られている。この機能によって、従来は撮影者の判断によって撮影されていた撮影タイミングを、被写体の方から、たとえば笑ったりウインクすることによって意図的に設定することが可能となり、被写体の意図通りの最適な撮影タイミングを計ることができる。
【0003】
例えば特許文献1では、被写体が所定の撮影条件を満たしたときに自動撮影するカメラが開示されている。また特許文献2では、自動撮影がおこなわれる際のシャッターレリーズタイムラグを軽減するため、事前にユーザがシャッターボタンを全押しすることでフォーカスやアイリスを固定し、その後被写体の笑顔を検出すると自動撮影するカメラが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−347278号公報
【特許文献2】特開2009−005316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年デジタルカメラでは、ストロボやAF、露出補正等の、撮影に関する多くの設定を撮影者が変更することが可能である。前記特許文献1に記載されている手法をデジタルカメラに適用した場合、撮影者が上記デジタルカメラの設定を変更している最中であっても、被写体の笑顔を検出した場合は撮影がおこなわれてしまうため、最適な条件で撮影がおこなわれない可能性がある。またユーザがボタンを押下しながら設定を変更している場合、その最中に自動撮影がおこなわれると大きく手振れした画像が撮影されてしまう恐れもある。
【0006】
また、特許文献2に記載されているデジタルカメラでは、ユーザがシャッターボタンを全押しした後で笑顔検出をおこない自動撮影が実行される。すなわち笑顔検出の間、デジタルカメラはセルフタイマーモードとなっているので、撮影者による設定が受け付けられないため上述した問題は発生しない。しかし特許文献2による手法では、シャッターボタンを全押しした後に露出やAFが撮影者の意図通りでなかった場合には再度シャッターボタンを全押ししてセルフタイマーモードを解除することでしか設定を変更する術がなく、使い勝手にかけてしまう。また、特許文献2による手法では笑顔検出による自動撮影を解除するには再度シャッターボタンを全押しする必要があるため、たとえば笑顔検出中に、被写体が笑顔ではないが撮影者が最適だとおもったタイミングでは撮影することができず、この点においても使い勝手にかけてしまう。
【0007】
本発明の目的はこのような事情を鑑みてなされたものであり、笑顔検出によって自動撮影をおこなう撮像装置において、より最適なタイミングかつ撮影者が意図した撮影条件で撮影されることを可能にした撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、撮像装置であって、
撮像素子と、
前記撮像素子を用いて被写体を撮像する撮像制御手段と、
被写体の中から顔を検出する顔検出手段と、
前記顔検出手段によって検出された顔から表情の変化を検出する表情変化検出手段と、
前記撮像装置の設定を変更するための設定変更手段と、
を有し、
前記表情変化検出手段によって検出された被写体の表情の変化に応じて被写体画像を自動的に撮影すると共に、
前記表情変化検出手段によって被写体の表情が変化したと判定された際に、前記設定変更手段によって前記撮像装置の設定変更がおこなわれてから所定時間を経過していない場合は、自動的に撮影をおこなわないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば笑顔検出による自動撮影において、最適なタイミングで自動撮影がおこなわれる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】デジタルカメラの外観図
【図2】デジタルカメラの構成ブロック図
【図3】デジタルカメラ100の全体的な動作のフローチャート
【図4】デジタルカメラ100の撮影モードにおける一連の処理を示すフローチャート
【図5】デジタルカメラ100の顔検出の処理を示すフローチャート
【図6】デジタルカメラ100の撮影時処理を示すフローチャート
【図7】デジタルカメラ100の記録媒体200に対する記録シーケンスを示すフローチャート
【図8】デジタルカメラ100の笑顔検出による自動撮影シーケンスを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図を参照しながら、本発明による装置、方法の一実施形態について説明する。
【0012】
以下に説明する実施の形態においては、この発明による装置、方法を静止画像と動画との撮影が可能なデジタルカメラである撮像装置に適用した場合を例にして説明する。
【0013】
(全体構成)
図1に本発明の撮像装置の一例としてのデジタルカメラの外観図を示す。
【0014】
図1において28は画像や各種情報を表示する表示部。72は電源オン、電源オフを切り替える電源スイッチ。61はシャッターボタン。60は各種モードを切り替えるモード切替スイッチ。具体的には、静止画記録モード、動画記録モード、再生モード等のモードの切り替えが可能である。111はデジタルカメラと外部機器を接続するための接続ケーブル。112は接続ケーブル111とデジタルカメラとのコネクタ。70はユーザーからの各種操作を受け付ける操作部。操作部70は各種ボタンやタッチパネル等の操作部材からなる。具体的に例示すると以下の通りとなる。消去ボタン、メニューボタン、SETボタン、十字に配置された4方向キー(上ボタン、下ボタン、右ボタン、左ボタン)、ホイール73など。200はメモリカードやハードディスク等の記録媒体。201は記録媒体200を格納して通信するための記録媒体スロットである。
【0015】
図2に本発明の撮像装置の一例としてのデジタルカメラの構成例を示すブロック図を示す。
【0016】
103は撮影レンズ、101は絞り機能を備えるシャッター、22は光学像を電気信号に変換するCCDやCMOS素子等で構成される撮像部である。23はアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器であり、撮像部22から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する場合に用いられる。また、音声制御部11から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する場合にも用いられる。バリア102は、デジタルカメラ100の、レンズ103を含む撮像部を覆う事により、撮像部の汚れや破損を防止する。
【0017】
12は、撮像部22、音声制御部11、A/D変換器23、D/A変換器13にクロック信号や制御信号を供給するタイミング発生部であり、メモリ制御部15及びシステム制御部50により制御される。24は画像処理部であり、A/D変換器23からのデータ、又は、メモリ制御部15からのデータに対し所定の画素補間、縮小といったリサイズ処理や色変換処理を行う。画像処理部24ではまた、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてシステム制御部50が露光制御、測距制御を行う。これにより、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理が行われる。画像処理回路24では更に、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行っている。
【0018】
A/D変換器23からの出力データは、画像処理部24及びメモリ制御部15を介して、或いは、直接メモリ制御部15を介して、メモリ32に書き込まれる。メモリ32は、マイク10において録音された音声データ、静止画像、動画像および画像ファイルを構成する場合のファイルヘッダを格納するためのメモリである。このメモリ32は、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像および音声を格納するのに十分な記憶容量を備えている。
【0019】
16は、適応離散コサイン変換(ADCT)等により画像データを圧縮伸張する圧縮・伸張部であり、シャッター101をトリガにしてメモリ32に格納された撮影画像を読み込んで圧縮処理を行い、処理を終えたデータをメモリ32に書き込む。また、記録部19などからメモリ32に読み込まれた圧縮画像を読み込んで伸張処理を行い、処理を終えたデータをメモリ32に書き込む。圧縮・伸張部16によりメモリ32に書き込まれた画像データは、システム制御部50のファイル部においてファイル化され、インターフェース18を介して記録媒体200に記録される。
【0020】
また、メモリ32は画像表示用のメモリを兼ねており、13はD/A変換器、28はLCD等からなる画像表示部であり、メモリ32に書き込まれた表示用の画像データはD/A変換器13を介して画像表示部28により表示される。
【0021】
10はマイクである。マイクから出力された音声信号は、アンプ等で構成される音声制御部11を介してA/D変換部23においてデジタル信号に変換された後、メモリ制御部15によってメモリ32に格納される。一方、記録媒体200に記録されている音声データは、メモリ32に読み込まれた後、D/A変換部13を介し音声制御部11において制御された信号がスピーカー39において音声出力される。
【0022】
不揮発性メモリ56は電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばEEPROM等が用いられる。システム制御部50の動作用の定数、プログラム等を記憶する。ここでいう、プログラムとは、本実施形態にて後述する各種フローチャートを実行するためのプログラムのことである。
【0023】
50は、デジタルカメラ100全体を制御するシステム制御部である。システム制御部50は、上述した不揮発性メモリ56に記録されたプログラムを実行することで、後述する本発明の実施形態を実現する。52は、システム制御部50の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ56から読み出したプログラム等を展開するシステムメモリである。
【0024】
第1シャッタースイッチSW1(62)、第2シャッタースイッチSW2(64)、操作部70はシステム制御部50に各種の動作指示を入力するための操作手段である。
【0025】
60はモード切替スイッチであり、システム制御部50の動作モードを静止画記録モード、動画記録モード、再生モード等のいずれかに切り替えることができる。
【0026】
第1シャッタースイッチSW1(62)は、デジタルカメラ100に設けられたシャッターボタン61の操作途中(半押し)でONとなり、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の動作開始を指示する。
【0027】
第2シャッタースイッチSW2(64)は、シャッターボタン61の操作完了(全押し)でONとなり、撮像部22からの信号読み出しから記録媒体200に画像データを書き込むまでの一連の撮像処理の動作開始を指示する。
【0028】
操作部70の各操作部材は、表示部28に表示される種々の機能アイコンを選択操作することなどにより、場面ごとに適宜機能が割り当てられ、各種機能ボタンとして作用する。機能ボタンとしては例えば終了ボタン、戻るボタン、画像送りボタン、ジャンプボタン、絞込みボタン、属性変更ボタン等がある。例えば、メニューボタンが押されると各種設定が可能なメニュー画面が画像表示部28に表示される。利用者は、画像表示部28に表示されたメニュー画面と、4方向キーやSETボタンとを用いて直感的に各種設定を行うことができる。
【0029】
電源スイッチ72は、電源オン、電源オフを切り替える。
【0030】
39は電源制御部で、電池検出回路、DC−DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成され、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行う。
【0031】
また、検出結果及びシステム制御回路50の指示に基づいてDC−DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体200を含む各部へ供給する。
【0032】
30はアルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池、ACアダプター等からなる電源部である。33及び34はコネクタであり、電源部30と電源制御部39とを接続する。
【0033】
40はRTC(Real Time Clock)であり、電源制御部39とは別に内部に電源部を保持し、電源部30が落ちた状態であっても、時計動作状態を続けている。システム制御部50は起動時にRTC40より取得した日時を用いてタイマー制御する。
【0034】
18はメモリカードやハードディスク等の記録媒体200とのインターフェースであり、35は該記録媒体200とインタフェース18との接続のためのコネクタである。98は、コネクタ35に記録媒体200が装着されているか否かを検知する記録媒体着脱検知部である。
【0035】
200はメモリカードやハードディスク等の記録媒体である。記録媒体200は、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される記録部19、デジタルカメラ100とのインターフェース37、及び、記録媒体200とデジタルカメラ100とを接続するためのコネクタ36を備えている。
【0036】
通信部110は、RS232CやUSB、IEEE1394、P1284、SCSI、モデム、LAN、無線通信、等の各種通信処理を行う。
【0037】
コネクタ(無線通信の場合はアンテナ)112は、通信部110を介してデジタルカメラ100を他の機器と接続する。
【0038】
(全体フロー)
図3に本実施形態のデジタルカメラ100の全体的な動作を説明するフローチャートを示す。
【0039】
電源スイッチ72が操作され電源がオンに切り替わると、S301でシステム制御部50はフラグや制御変数等を初期化する。続いて記録媒体200に記録されているファイルに関する管理処理を開始する(S302)。
【0040】
次に、S303でシステム制御部50は、モード切替スイッチ60の設定位置を判断し、静止画記録モードに設定されていたならばS304へ進む。このS304における静止画記録モード処理の詳細は図4を用いて後述する。S309で、モード切替スイッチ60が動画記録モードに設定されていたならば動画記録モードS310へ進む。また、S311で再生モードの場合、再生モード処理S312に進む。その他のモードに設定されていたならばS305へ進み、システム制御部50は選択されたモードに応じた処理を実行し、処理を終えたならばS306に進む。その他のモードとしては例えば記録媒体200に格納されたファイルの送信を行う送信モード、外部機器からファイルを受信して記録媒体200に格納する受信モードが含まれる。尚、本実施例では静止画記録モードを対象として説明をすすめるため、それ以外のモードに関しての説明は割愛する。
【0041】
S306で、システム制御部50は電源スイッチ72の設定位置を判断し、電源スイッチ72が電源オンに設定されていれば、S303に戻る。S306において電源スイッチ72が電源オフに設定されていたならば、S307へ進んで所定の終了処理を行う。終了処理には、以下のような処理が含まれる。表示部28の表示を終了状態に変更し、レンズバリア102を閉じて撮像部を保護する。フラグや制御変数等を含むパラメータや設定値、設定モードを不揮発性メモリ56に記録する。電源供給が不要な部分への電源を遮断する。終了処理が完了するとS308に進み処理を終了する。
【0042】
(静止画記録処理)
図4は前述したS304における静止画記録モード処理の流れを示すフローチャートである。
【0043】
システム制御部50は、静止画記録モードを開始すると、以下のいずれかの方法により撮影モードを確定する(S113)。不揮発性メモリ56より前回の静止画記録モード終了時における撮影モードを取得し、システムメモリ52に格納する。あるいは、ユーザーにより操作部70が操作されて撮影モードの設定入力があれば、入力された撮影モードをシステムメモリ52に格納する。
【0044】
ここで、撮影モードとは撮影シーンに適したシャッター速度や絞り値、ストロボ発光状態、感度設定等の組み合わせを組み合わせて実現されるモードのことである。本実施の形態のデジタルカメラ100は後述する撮影モードを有する。
【0045】
オートモード/カメラの各種パラメータを自由に変更可能なマニュアルモード/撮影シーンに適したシャッター速度や絞り値、ストロボ発光状態、感度設定等の組み合わせが自動で設定される各種シーンモード。シーンモードには以下のようなモードが含まれる。背景をぼかして人物を浮き立たせるようにして人物撮影に特化したポートレートモード/人物にストロボ光をあて背景を遅いシャッター速度で記録することにより夜景シーンに特化した夜景モード/広がりのある風景シーンに特化した風景モード/三脚なしで夜景と人物をきれいに撮るナイト&スナップモード/よく動き回る子供やペットをシャッターチャンスを逃さず撮影可能にしたキッズ&ペットモード/新緑等の木々や葉を色鮮やかに撮影する新緑&紅葉モード/蛍光灯や電球のもとで、手振れを抑えて被写体に忠実な色味で撮影するパーティーモード/雪景色をバックにしても人物が暗くならず、青みも残さず撮影するスノーモード/太陽光の反射の強い海面や砂浜でも、人物などが暗くならずに撮影可能なビーチモード/打ち上げ花火を最適な露出で鮮やかに撮影する花火モード/屋内の水槽内の魚などを撮影するのに適した感度、ホワイトバランス、色味を設定する水族館モード/水中に最適なホワイトバランスに設定し、青みを押さえた色合いで撮影する水中モード/被写体から顔を検出し、笑顔を検出することで自動的に撮影をおこなうスマイルモード。
【0046】
撮影モードが確定すると続いて撮像部22からの画像データを表示するスルー表示を行う(S115)。続いて電源制御手段80により電池等により構成される電源30の残容量や記録媒体200の有無や残容量が画像処理装置100の動作に問題があるか否かを判断し(S116)、問題があるならば表示部28を用いて画像や音声により所定の警告表示を行った後に(S114)、静止画記録モードの先頭に戻る。
【0047】
電源30や記録媒体の状態に問題が無いならば、スルー表示される画像信号中に人の顔が存在するか否かを検知する顔検出を行う(S118)。この顔検出処理S118については図5を用いて後述する。S118において人の顔を検出した場合、顔情報として画像信号中において検出した位置座標、サイズ(幅、高さ)、検出個数、信頼性係数等をシステムメモリ52に記憶する。また、画像表示部28にスルー表示されている画像信号に重ねて顔枠を表示する。検出しなかった場合はシステムメモリ52内の位置座標、サイズ(幅、高さ)、検出個数、信頼性係数等の領域に0を設定する。
【0048】
続いてシャッタースイッチSW1が押されていないならば(S119)、顔検出処理S118を繰り返す。
【0049】
シャッタースイッチSW1が押されたならば(S119)、S122に進む。
【0050】
システム制御部50は、測距処理を行って撮影レンズ103の焦点を被写体に合わせ、測光処理を行って絞り値及びシャッター時間を決定する(S122)。測光処理に於いて、必要であればフラッシュの設定も行う。この時S118において顔を検出していれば、検出した顔の範囲で測距を行うことも可能である。
【0051】
測距・測光処理S122を終えたならば、S125に進む。
【0052】
シャッタースイッチSW2が押されずに(S125)、さらにシャッタースイッチSW1も解除されたならば(S126)、S117に戻る。
【0053】
シャッタースイッチSW2が押されたならば(S125)、画像表示部28の表示状態を固定色表示状態に設定して(S128)、S129に進む。
【0054】
S129でシステム制御部50は、以下のような撮影処理を実行する。撮像素子22、A/D変換器23、画像処理回路24、メモリ制御回路15を介して、或いはA/D変換器から直接メモリ制御回路15を介して、メモリ32に撮影した画像データを書き込む露光処理。メモリ制御回路15そして必要に応じて画像処理回路24を用いて、メモリ32に書き込まれた画像データを読み出して各種処理を行う現像処理からなる撮影処理。この撮影処理の詳細は図6を用いて後述する。
【0055】
システム制御部50は、画像表示部28に対し撮影画像データのレックレビュー表示を行う(S133)。レックレビューとは、撮影画像の確認のために、被写体の撮影後記録媒体への記録前に、予め決められた時間(レビュー時間)だけ画像データを表示部に表示する処理である。
【0056】
レックレビュー表示後、システム制御部50は撮影処理で得られた画像データを画像ファイルとして記録媒体200に対し書き込みを行う記録処理を実行する(S120)。
【0057】
この記録処理S120の詳細は、図7を用いて後述する。
【0058】
記録処理S120が終了した際に、シャッタースイッチSW2が放されるまで画像表示部28におけるレックレビュー表示を継続して撮影画像データの確認を入念に行うことを可能とすることが出来る。
【0059】
記録処理S120が終了した際にシャッタースイッチSW2が放された状態であったか、シャッタースイッチSW2を押し続けてレックレビュー表示を継続して撮影画像の確認を行った後にシャッタースイッチSW2を放した状態であったならば(S135)、S137に進む。S137では予め定められたレビュー時間が経過したか否かを判断し、レビュー時間が経過していればS139に進む。
【0060】
システム制御部50は、画像表示部28の表示状態をスルー表示状態に設定して(S139)、S141に進む。
【0061】
この場合、画像表示部28でのレックレビュー表示によって撮影画像データを確認した後に、次の撮影のために撮像部22からの画像データを逐次表示するスルー表示状態にすることが出来る。
【0062】
シャッタースイッチSW1が押された状態であったならば(S141)、システム制御部50は、S125に戻って次の撮影に備える。
【0063】
シャッタースイッチSW1が放された状態であったならば(S141)、システム制御部50は、一連の撮影動作を終えて撮影待機状態に戻る。
【0064】
(顔検出)
次に、S118において前述した顔検出処理に関し、代表的な顔検出アルゴリズムを図5を用いて説明する。
【0065】
画像信号(S150)に水平(S151)及び垂直方向(S152)のバンドパスフィルタをかけ、エッジ成分を検出する。その後、検出されたエッジ成分のパターンマッチング(S153)を行い、目及び鼻、口、耳の候補群を抽出する。
【0066】
S153にて抽出された目の候補群の中から、予め設定された条件(例えば2つの目の距離、傾き等)を満たすものを、目の対と判断し、目の対があるもののみ目の候補群として絞り込む(S154)。
【0067】
前記絞り込まれた目の候補群とそれに対応する顔を形成する他のパーツ(鼻、口、耳)を対応付け、また、予め設定した非顔条件フィルタ(S155)を通すことで、顔を検出する。検出結果に応じて顔情報を出力し、処理を終了する。
【0068】
このようにスルー画像として表示される画像データを用いて、画像データの特徴量を抽出して被写体情報を検出することが可能である。本実施の形態では被写体情報として顔情報を例にあげたが、このような被写体情報には他にも赤目判定等の様々な情報がある。
【0069】
(撮影処理)
図6は図4のS129における撮影処理の流れを示すフローチャートである。
【0070】
システム制御部50は、撮影開始時にその日時をシステムタイマより取得し、システムメモリ52に記憶する(S3000)。続いてシステムメモリ52に記憶される測光データに従い、絞り機能を有するシャッター101を絞り値に応じて開放して撮像素子22を露光する(S3001、S3002)。
【0071】
システム制御部50は、測光データに従って撮像部22の露光終了を待ち(S3005)、シャッター101を閉じて(S3006)、撮像部22から電荷信号を読み出し、A/D変換器23、画像処理回路20、メモリ制御回路22を介して、或いはA/D変換器23から直接メモリ制御回路22を介して、メモリ32に撮影画像データを書き込む(S3007)。
【0072】
システム制御部50は、メモリ制御回路15そして必要に応じて画像処理回路24を用いて、メモリ32に書き込まれた画像データを読み出して圧縮伸張部16を用いた圧縮処理等の画像処理(S3008)を順次行った後、メモリ32に処理を終えた画像データを書き込む。
【0073】
システム制御部50は、メモリ32から画像データを読み出し、メモリ制御回路15を介して表示画像データの転送を行う(S3009)。
【0074】
一連の処理を終えたならば、撮影処理ルーチンS129を終了する。
【0075】
(記録処理)
図7は、図4のS120において前述した撮影シーケンスにおいて生成された画像データの記録処理を示したものである。
【0076】
記録処理を開始すると、後述するファイル名生成ルールに則りファイル名を生成し(S402)、S3000において撮影シーケンスの中でシステムメモリ52に記憶した日時情報を取得(S403)する。その後、生成したファイルを格納するディレクトリが記録媒体200に存在しない場合(S404)、格納するディレクトリ、例えば100CANONを作成する(S405)。
【0077】
続いて前述した撮影処理においてメモリ32に格納された画像データに対し、撮影日時や撮影時条件等から構成されるファイルヘッダを作成する(S406)。ヘッダ作成の完了後、S402で取得したファイル名、およびS403で取得した日時情報からディレクトリエントリを生成し、画像データを記録媒体200に記録し(S407)、記録処理を終了する。
【0078】
(自動撮影フロー)
続いて、本発明における自動撮影のシーケンスに関して図8を用いて説明する。尚、本実施例では撮影までの待機状態や撮影処理は、シャッターボタンによる撮影とほぼ同様のシーケンスなので、必要な箇所以外説明を省く。
【0079】
ユーザが操作部材70によって、撮影モードをスマイルモードに設定した場合、システム制御部50は撮像部22からの画像データを表示するスルー表示をおこなう(S501)
スマイルモードでは待機状態には笑顔検出をおこなう(S502) ステップS502において笑顔検出があると判定された場合(S503)、システム制御部50では自動撮影をおこなうために、デジタルカメラ100が撮影可能な状態かどうかを判定する。ステップS504では、ユーザによってボタンが押下されてから所定時間が経過したかどうかをシステム制御部50で判定する。すなわち、ユーザが上下左右キーやSETボタン等を押下してデジタルカメラ100の様々な設定をおこなっている最中や、設定を終了した瞬間(ボタン押下から所定時間経過していない場合)にはステップS503で笑顔検出が判定されていてもすぐに撮影をおこなわない。これによって撮影者が撮影パラメータを変更している最中に勝手に自動撮影がおこなわれることを防ぐことが可能となる。また、撮影者が撮影パラメータを設定した直後の手振れが発生しそうな状態での自動撮影を防ぐことも可能である。
【0080】
ステップS504でボタン押下後、所定時間が経過していると判定された場合は、同様にステップS505にてズーム操作後所定時間経過しているかどうかを判定する。ステップS505で所定時間が経過していると判定された場合は、同様にステップS506にて、ダイヤル操作後所定時間経過しているかどうかを判定する。これらステップS505、S506の判定理由は前述したボタン押下によるものと同様である。また、その他の部材であっても、デジタルカメラ100の設定を変更したり、操作することで手振れが発生する要因となりうる操作においては、笑顔検出がおこなわれた後上記判定をおこなってもよい。また、本判定の目的の一つは自動撮影における手振れの発生を防ぐことであるため、たとえば、デジタルカメラ100が手ぶれ検知手段を供えている場合、手ぶれ評価値が所定の値を超えている場合は撮影をおこなわないという判定を同様に追加してもよい。
【0081】
さて、ステップS506にて所定時間が経過していると判定された場合はステップS507にて撮影処理をおこなう。この撮影処理は図6に示したものと同様である。
【0082】
またステップS504〜ステップS506にてシステム制御部50にて、撮影者が操作をおこなってから所定時間経過していないと判定された場合は、システム制御部50では所定時間待機して( S508)その後再度S502からの処理を実行する。こうすることで、撮影者によって連続的に操作がおこなわれている場合は、笑顔検出されても自動的に撮影はおこなわずに、設定が終了してから笑顔が検出されていれば、安定した状態で自動撮影がおこなわれる。
【0083】
また、スマイルモードではシャッターボタン61を押下することでユーザによる通常の撮影をおこなわせてもよい。この場合、ユーザがシャッターボタン61を半押ししている状態で笑顔検出通知があれば、自動的に撮影をおこなわせてもよい。従ってあらかじめユーザがシャッターボタン61の半押しを保持しておけばより、笑顔が検出された際に、より短いシャッターレリーズタイムラグで自動撮影がおこなわれる。
【0084】
またシャッターボタン61がユーザによって全押しされている場合は、笑顔検出による自動撮影で判定していたS504〜S506はおこなわない。これは撮影者が明確な意思を持って撮影をおこなおうとしてシャッターボタンを押下しているので、撮影処理を優先しておこなわせるためである。
【0085】
以上、自動撮影において、より最適なタイミングかつ撮影者が意図した撮影条件で撮影するための手法について説明した。本実施例では、笑顔検出を例に説明したが、他にもウインクや顔の傾き等、デジタルカメラ100において被写体の変化を認識できる要因であれば本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0086】
100‥‥デジタルカメラ
39‥‥スピーカー
10‥‥マイク
11‥‥音声制御部
12‥‥タイミング発生部
13‥‥D/A変換器
28‥‥表示部
102‥‥バリア
103‥‥レンズ
101‥‥シャッター
22‥‥撮像部
23‥‥A/D変換器
24‥‥画像処理部
15‥‥メモリ制御部
32‥‥メモリ
16‥‥圧縮/伸張部
70‥‥操作部
61‥‥シャッターボタン
62・64‥‥シャッタースイッチ
60‥‥モード切替スイッチ
72‥‥電源スイッチ
39‥‥電源制御部
33・34‥‥電源コネクタ
30‥‥電源部
50‥‥システム制御部
40‥‥RTC
98‥‥記録媒体着脱検知部
52‥‥システムメモリ
56‥‥不揮発性メモリ
110‥‥通信部
112‥‥コネクタ(アンテナ)
111‥‥接続ケーブル
18‥‥デジタルカメラ側記録媒体I/F
35・36‥‥デジタルカメラ・記録媒体コネクタ
37‥‥記録媒体側記録媒体I/F
19‥‥記録部
200‥‥記録媒体
201‥‥記録媒体スロット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子と、
前記撮像素子を用いて被写体を撮像する撮像制御手段と、
被写体の中から顔を検出する顔検出手段と、
前記顔検出手段によって検出された顔から表情の変化を検出する表情変化検出手段と、
前記撮像装置の設定を変更するための設定変更手段と、
を有し、
前記表情変化検出手段によって検出された被写体の表情の変化に応じて被写体画像を自動的に撮影する撮像装置において、
前記表情変化検出手段によって被写体の表情が変化したと判定された際に、前記設定変更手段によって前記撮像装置の設定変更がおこなわれてから所定時間を経過していない場合は、自動的に撮影をおこなわないことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記表情変化検出手段によって被写体の表情が変化したと判定された際に、前記設定変更手段によって前記撮像装置の設定変更がおこなわれてから所定時間を経過していない場合は、所定時間経過後に自動的に撮影をおこなうことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記表情変化検出手段とは、人物の笑顔を検出する手段であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像装置はさらにシャッタースイッチを有し、
前記シャッタースイッチが全押しされた場合は、前記設定変更手段によって前記撮像装置の設定変更がおこなわれてから所定時間を経過していない場合であっても、すぐに前記撮像制御手段によって撮影をおこなうことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記撮像装置はさらに手振れ検出手段を有し、
前記表情変化検出手段によって被写体の表情が変化したと判定された際に、前記手振れ検出手段によって検出された手振れ評価値が閾値以上だった場合には自動的に撮影をおこなわないことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮像装置において、
前記表情変化検出手段によって被写体の表情が変化したと判定された際に、前記手振れ検出手段によって検出された手振れ評価値が閾値以上だった場合には前記手振れ検出手段によって検出される手振れ評価値が閾値以下になってから自動的に撮影をおこなうことを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記撮像装置はさらに、前記表情変化検出手段による自動撮影が有効かどうかをユーザに報知する自動撮影有効報知手段を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記自動撮影有効報知手段は、前記表情変化検出手段による自動撮影が有効な場合、前記撮像装置が有する表示手段に、前記顔検出手段によって検出された顔に重ねて顔枠を表示することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記撮像装置はさらに、前記表情変化検出手段によって被写体の表情が変化したと判定された際に、前記シャッタースイッチが半押しされている場合は自動的に撮影をおこなうことを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記設定変更手段はボタン部材によるものであり、前記ボタン部材が押下されることで前記設定変更手段によって前記撮像装置の設定を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記設定変更手段はズームレバーであり、前記ズームレバーを傾けることにより前記撮像装置のズーム駆動をおこなうことを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記設定変更手段は電子ダイヤルであり、前記電子ダイヤルを回転することにより前記撮像装置の設定を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載の撮像装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−124793(P2012−124793A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275259(P2010−275259)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】