説明

撮像装置及びその制御方法

【課題】撮影状況に応じてRAWデータを最適な分解能に変更して記録できる技術の実現。
【解決手段】撮像装置は、画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された画像から画像データを生成する画像データ生成手段と、前記画像データを記録媒体に記録する記録手段と、前記撮像手段により撮像された画像のノイズ量を推定する推定手段と、前記推定手段によって推定されるノイズ量に基づいて、前記記録手段によって記録される前記画像データの情報量を設定する情報量設定手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の撮像装置における画像データの記録技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の撮像装置においては、撮像素子によって撮像された画像をデジタル化することによって得られたオリジナルの画像データ(RAWデータとも言う。)をJPEG形式又はRAW形式で記憶媒体に記録することができる。JPEG形式の場合、RAWデータは、所定の画像処理(ホワイトバランス等)が施される。更にベースラインJPEG(ISO/IEC 10918−1:1994、ISO/IEC 10918−2:1995等参照)等の非可逆圧縮方式で圧縮され、記憶媒体に記録される。
【0003】
一方、RAW形式は、撮像後にホワイトバランス等を自由に調整することができる有益な記録形式である。尚、RAW形式に係わる発明を開示したものとして、例えば特許文献1,2がある。
【特許文献1】特開2001−060876号公報
【特許文献2】特開2004−260813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の撮像装置では、RAWデータをRAW形式で記憶媒体に記録する場合、RAWデータを最大のデータ分解能で処理して記憶媒体に記録していた。そのため、撮像素子のA/D変換器の分解能の向上等に伴い、RAWデータのデータサイズが増大するので、記録できるRAWデータが減少するという問題がある。
【0005】
また、RAWデータのデータサイズが非常に大きい場合、RAWデータに対する処理時間も増大するため、画像を撮影してからその画像のRAWデータを記憶媒体に記録するまでの時間が増大し、連続撮影の間隔を短くすることができないという問題もある。
【0006】
そのため、これからの撮像装置には、撮影者に対して、画質の劣化を感じさせることなく、極力データサイズを縮小したRAWデータを記録できるようにすることが望まれている。
【0007】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされ、その目的は、撮影状況に応じてRAWデータを最適な分解能に変更して記録できる技術を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、目的を達成するため、本発明の撮像装置は、画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された画像から画像データを生成する画像データ生成手段と、前記画像データを記録媒体に記録する記録手段と、前記撮像手段により撮像された画像のノイズ量を推定する推定手段と、前記推定手段によって推定されるノイズ量に基づいて、前記記録手段によって記録される前記画像データの情報量を設定する情報量設定手段とを有する。
【0009】
また、本発明の撮像装置は、画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された画像から画像データを生成する画像データ生成手段と、前記画像データを記録媒体に記録する記録手段と、前記撮像手段の連続撮影数を設定する連続撮影数設定手段と、前記連続撮影数設定手段によって設定される連続撮影数に基づいて、前記記録手段によって記録される前記画像データの情報量を設定する情報量設定手段と、を有する。
【0010】
本発明の制御方法は、撮像された画像から画像データを生成して記録媒体に記録する撮像装置の制御方法であって、撮像された画像のノイズ量を推定する推定する推定ステップと、前記推定ステップによって推定されるノイズ量に基づいて、前記記録媒体に記録する前記画像データの情報量を設定する情報量設定ステップと、を有する。
【0011】
また、本発明の制御方法は、撮像された画像から画像データを生成して記録媒体に記録する撮像装置の制御方法であって、前記撮像装置の連続撮影数を設定する連続撮影数設定ステップと、前記連続撮影数設定ステップによって設定される連続撮影数に基づいて、前記記録媒体に記録する前記画像データの情報量を設定する情報量設定ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、撮影状況に応じてRAWデータを最適な分解能に変更されるため、画質を大きく損なうことなくデータ量を削減することが可能となり、撮影者の操作性を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0014】
尚、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものであり、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0015】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の撮像装置を適用した第1の実施形態のデジタルカメラの主要な構成を示すブロック図である。
【0016】
図1において、101は撮影レンズ、102は、撮影レンズを介して被写体像を受光し、その被写体画像を光電変換するためのたとえばCMOSセンサ等の撮像素子(イメージセンサ)である。
【0017】
103は、撮像素子102によって撮像された画像をデジタル化してオリジナルの画像データを生成するA/D変換器であり、本実施形態では、14bitのデジタルデータへの変換機能を有する。また、A/D変換器103から出力されるオリジナルの画像データであって、ホワイトバランス、コントラスト、シャープネス、色の濃さ、色あい等を調整していないデジタル画像データをRAWデータと呼ぶ。
【0018】
104は、A/D変換器103から出力されたRAWデータをメモリ105に格納するためのメモリコントローラである。本実施形態においては、メモリコントローラ104は、後述の画質の良否を示す指示フラグに応じて、RAWデータの分解能を変更してメモリに格納する機能を有する。即ち、図5に示すように、A/D変換器103からの14bitの出力データを全bit有効としてメモリ105に転送するか、あるいは、上位12bitだけ有効にして12bitのデータとしてメモリ105に転送を行うかを選択することが可能である。
【0019】
105は、複数画像分のRAWデータを保持する記憶容量を有するメモリである。
【0020】
106は、RAWデータに対してキズ補正処理を施す画像処理部である。撮像素子102上のキズ、撮像素子102に付着したホコリ等によって欠損した部分を補正する処理のことをキズ補正処理と呼ぶ。また、画像処理部106は、RAWデータをJPEG形式で記録する場合、RAWデータに対して所定の画像処理(ホワイトバランス、コントラスト、シャープネス、色の濃さ、色あい等を調整する処理)を施す。
【0021】
107は、ランダムアクセスが可能であり、デジタルカメラから取り外し可能な記憶媒体(例えば、不揮発性の半導体メモリを内蔵したメモリカード)である。
【0022】
108は、デジタルカメラの動作を制御する制御部である。
【0023】
109は、RAWデータの圧縮を行うRAW処理部であり、所定の可逆圧縮方式(独自の可逆圧縮方式、JPEG2000又はTIFFで規定された可逆圧縮方式等)に従って可逆圧縮をおこなう。
【0024】
110は、記録形式がJPEG形式である場合に画像処理部106から出力されたデジタル画像データをベースラインJPEGに従って圧縮するJPEG処理部である。
【0025】
111は自動で焦点を検出するためのAF回路であり、112は撮影画像の露出を決定するためのAE回路である。113は各種撮影条件を設定するための操作スイッチであり、ISO感度、その他の撮影条件の設定が行われる。
【0026】
114は第1、第2のストロークを有するレリーズスイッチであり、第1のストロークでSW1がONするとAF、AE等の撮影準備動作が開始される。第2ストロークのSW2がONすると、撮影動作が行われる。115は撮影時のデータ記録形式を設定するための記録形式設定スイッチであり、画像データをRAW形式あるいはJPEG形式で記録するかの設定を行なう。
【0027】
図2は、第1の実施形態に係るデジタルカメラの動作を説明するフローチャートである。尚、図2のフローで実行される処理は、制御部108で実行可能なプログラムによって制御することも可能である。
【0028】
図2において、S201で不図示の電源スイッチで電源を投入することでカメラが起動すると、S202ではバッテリチェックやレンズが装着されているかの確認等の初期動作が行われる。次に、S203において操作スイッチ113、記録形式設定スイッチ115の設定を読み取り、制御部108はカメラの記録形式及び各動作モードを決定する。
【0029】
次に、S204において、レリーズスイッチ114の第1ストロークスイッチSW1がオンすると、S205において、制御部108によってAE回路111が動作して測光動作が行われ露出値が求められる。更にS206では、制御部108によってAF回路112が動作して測距動作が行われる。
【0030】
次に、S207において測光、測距等の撮影準備完了後、SW1がオン状態に維持されている場合、測距情報及び露出値データを保持したまま、レリーズスイッチ114の第2ストロークスイッチSW2の投入待機状態となりS208へ進む。一方、SW1がオフ状態であるとS203へ進む。
【0031】
S208において、SW2がオンになったとき、S209にて後述の撮像・記録動作が行われ、ユーザーが選択したJPEG又は、RAWの記録形式にて記録媒体107に記録され、一連の動作が終了する。
【0032】
次に、図2のS209における撮像・記録処理について説明する。
【0033】
図3は、デジタルカメラの撮像・記録処理を示すフローチャートである。
【0034】
処理が開始されると、S301において、制御部108は、測距結果に基づきシャッタ機構(不図示)を開閉動作させ撮像素子102を露光することで、被写体の光学像を光電変換させる。
【0035】
次に、S302において撮影前にユーザーにより設定された画像の記録形式がRAW形式であるか否かを判定する。画像記録形式がRAW形式であると判定された場合にはS303に進む。画像記録形式がRAW形式でなくJPEG形式であると判定された場合はS315に進む。
【0036】
S315では、S301にて露光され、光電変換された画像をA/D変換器103にて14bitのデジタル画像データに変換し、メモリコントローラ104を介してメモリ105に格納する。
【0037】
S316では、画像処理部106がメモリ105に格納されたオリジナルの画像データに対してキズ補正処理を施す。
【0038】
S317では、画像処理部106がキズ補正後のRAWデータに対して所定の画像処理(ホワイトバランス、コントラスト、シャープネス、色の濃さ、色あい等を調整する処理)を施す。
【0039】
S318では、JPEG処理部110が画像処理部106で処理されたRAWデータをベースラインJPEGに従って圧縮する。
【0040】
S319では、JPEG処理部110でベースラインJPEGに従って圧縮されたRAWデータ(以下、JPEGデータとも言う)がメモリ105に格納される。制御部108は、メモリ105に記憶されたJPEGデータを含むJPEGファイルを生成し、生成したJPEGファイルをメモリ105に格納する。JPEGファイルには、撮影条件に関する情報、デジタルカメラに設定されている現像条件に関する情報、JPEGデータに関する情報(解像度等)等を示すデータも含まれている。
【0041】
S309では、制御部108がメモリ114に記憶されたJPEGファイルを記憶媒体115に記録する。JPEG形式に関しては、従来技術と同様である。
【0042】
次に、RAW形式が設定された場合について説明する。
【0043】
S302にて画像の記録形式がRAW形式であると判定された場合には、S303に進む。S303では撮影画像の画質の良否判定が行われ、画質良否の指示フラグが設定される。画質良否判定の詳細について、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0044】
図4において、画質良否判定処理が開始されると、S401において撮影前にユーザーにより設定されているISO感度を判定する。ここで、ISO感度が高い場合には一般的に画像のS/Nは悪化する。従って、ISO感度が高い場合にはS405に進み、画質を示す指示フラグに1を設定する。指示フラグが1に設定されている場合は画質としてノイズが多いことを示す。
【0045】
S401において、ISO感度が低い(例えばISO800未満)と判定された場合にはISO感度の設定値としては、ノイズが軽微である撮影条件と判断してS402に進む。
【0046】
S402では、測光動作により決定された露出時間が所定時間(例えば1秒)以上であるか否かの判定が行われる。ここで、露出時間が1秒以上であると判定された場合には、撮像素子102の暗電流等によりノイズが増加すると考えられるため、S405に進み、画質を示す指示フラグに1を設定する。
【0047】
S402において、露出時間が1秒未満であると判定された場合には露出時間の設定値としては、ノイズが軽微である撮影条件と判断し、S403に進む。
【0048】
S403では、撮像装置に搭載された温度計測センサ(不図示)からの温度データが所定値(例えば40℃)以上である否かの判定を行う。ここで、撮像素子102等を含む撮像装置の温度が高温である場合には、暗電流等によりノイズが増加する。従って、40℃以上であると判定された場合には、S405に進み、画質を示す指示フラグに1を設定する。
【0049】
S403において、撮像装置の温度が40℃未満であると判定された場合には撮像装置の温度としては、ノイズが軽微である撮影条件と判断してS404に進む。
【0050】
S404においては、S401、S402、S403のISO感度設定判定、露出時間判定、撮像装置の温度判定のいずれにおいてもノイズが軽微な条件であると判定されたことから、画質を示す指示フラグを0を設定する。指示フラグが0に設定されている場合は画質としてノイズが軽微であることを示す。
【0051】
以上説明したように、図4のフローに従って画質の良否判定が行われ、指示フラグに値が設定されると、図3のフローのS304に進む。
【0052】
図3の説明に戻り、S304では、画質の良否を示す指示フラグがノイズが軽微であることを示す0が設定されているか、ノイズが多いことを示す1が設定されているかを判定する。画質良否の指示フラグが0である場合にはS305に進み、1である場合にはS311に進む。
【0053】
S305では、S302にて露光され、光電変換された画像をA/D変換器103にて14bitでデジタル画像データに変換し、メモリコントローラ104を介してメモリ105に格納する。すなわち、S304においてノイズが軽微であり、画質が良好な撮影条件であると指示されているのでA/D変換器の出力データを高い分解能のままでメモリへ格納する。
【0054】
S306では、画像処理部106がメモリ105に格納された14bitのオリジナルの画像データに対してキズ補正処理を施す。
【0055】
S307では、RAW処理部109が画像処理部106で処理された14bitのRAWデータを所定の可逆圧縮方式(独自の可逆圧縮方式、JPEG2000又はTIFFで規定された可逆圧縮方式等)に従って可逆圧縮を行う。
【0056】
S308では、RAW処理部109で圧縮したRAWデータを含むRAWファイルを生成し、生成したRAWファイルをメモリ105に格納する。RAWファイルには、撮影条件に関する情報、デジタルカメラに設定されている現像条件に関する情報、RAWデータに関する情報(分解能等)等を示すデータも含まれている。
【0057】
S309では、制御部108がメモリ105に記憶されたRAWファイルを記憶媒体107に記録する。
【0058】
このように、画質指示フラグがノイズが軽微であることを示している場合には、14bitという高い分解能のRAW形式にて画像が記録される。
【0059】
一方、S304において画質指示フラグがノイズが多いことを指示している場合には、S311に進む。
【0060】
S311においては、S302にて露光され、光電変換された画像をA/D変換器103にて14bitでデジタル画像データに変換し、14bitの画像データの上位12bitをメモリコントローラ104を介してメモリ105に格納する。すなわち、S304においてノイズが多い撮影条件であると判定されているので画像データの下位bitの情報はノイズに埋もれてしまい有効な画像情報ではないと判断して、下位2bitを未使用とし、メモリに格納するデータ量の削減を実現する。
【0061】
S312では、画像処理部106がメモリ105に格納された12bitの画像データに対してキズ補正処理を施す。
【0062】
S307では、RAW処理部109が画像処理部106で処理されたRAWデータを所定の可逆圧縮方式(独自の可逆圧縮方式、JPEG2000又はTIFFで規定された可逆圧縮方式等)に従って可逆圧縮を行う。この際、12bitのRAWデータに対して可逆圧縮を行う。
【0063】
S314では、RAW処理部109で圧縮したRAWデータを含むRAWファイルを生成し、生成したRAWファイルをメモリ105に格納する。RAWファイルには、撮影条件に関する情報、デジタルカメラに設定されている現像条件に関する情報、RAWデータに関する情報(分解能等)等を示すデータも含まれている。
【0064】
S309では、制御部108がメモリ105に記憶されたRAWファイルを記憶媒体107に記録する。
【0065】
上記実施形態によれば、画像サイズが大きいRAW形式の記録を行う際に、撮影時のISO感度、露出時間、撮像装置の温度によりノイズが多い撮影条件であるか判定する。そして、ノイズが多い撮影条件と判定された場合には、メモリコントローラ104にてA/D変換後の出力データの下位bitを未使用とし、メモリ105へ格納するデータ量の削減が図られる。通常はノイズが多い撮影条件においては圧縮率が低くなりノイズが軽微である撮影時に比べると、記録可能枚数の減少、処理時間の増大、連続撮影可能枚数の減少等が発生する。ここで、本実施形態においては、12bitデータで扱うことにより処理データ量の削減が可能となるので、ノイズが多い撮影条件においても記録可能枚数、処理時間、連続撮影可能枚数の性能を改善することが可能となる。更には、ノイズが多い撮影条件でのみ下位bitを無効としているので、通常撮影における画質が大きく劣化することもない。
【0066】
尚、本実施形態においては、撮影時のISO感度、露出時間、撮像装置の温度それぞれに対して、画質の良否を判定する基準は独立であるが、それぞの条件を関連付けて画質の良否を判定する構成としてもよい。例えば、ISO感度がISO100の時とISO800の時で、露出時間や温度の判定値を異なる値に設定する構成としても良い。
【0067】
また、ISO感度、露出時間、撮像装置の温度の1つのみ、又は、いずれか2つのみを用いて画質の良否を判定する構成としても良い。
【0068】
本実施形態では、A/D変換器の出力が常に14bitのデジタル画像データを出力する形態を説明した。しかし、A/D変換器の出力そのものを14bitと12bitに切り換えられるように構成してもよい。すなわち、撮影時のISO感度、露出時間、撮像装置の温度によりノイズが多い撮影条件であるかを判定して、その判定結果に基づいて、A/D変換器が14bitでデジタル画像データを生成するか、12bitでデジタル画像データを生成するかを切り換えてもよい。
【0069】
[第2の実施形態]
図6は、第2の実施形態のデジタルカメラの構成を示すブロック図であり、図1と同一の構成には同一の符号を付して示している。
【0070】
第2の実施形態は、連続撮影可能枚数設定部116を有している点以外は第1の実施形態と同様である。
【0071】
連続撮影可能枚数設定部116によって、撮影者は連続撮影可能枚数NをN1からN2の間で任意の値に設定可能である。ここで、N1は、想定されるいずれの撮影条件においても14bitのRAW形式にて連続して記録可能な値であり、N2は、想定される撮像条件において、12bitのRAW形式であれば連続撮影可能な値である。なお、N1<N2の関係を満たす。
【0072】
デジタルカメラの主要な構成及び動作については、第1の実施形態で説明した図1のブロック及び図2のフローと同様であるので説明を省略する。
【0073】
以下では、第2の実施形態の撮像・記録処理について説明する。また、以下では、RAW形式での撮像・記録処理について説明するが、JPEG形式での撮影処理については第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0074】
図7は、第2の実施形態のデジタルカメラによるRAW形式での撮像・記録処理を示すフローチャートである。
【0075】
処理が開始されると、S501において、制御部108は、測距結果に基づきシャッタ機構(不図示)を開閉動作させ撮像素子102を露光することで、被写体の光学像を光電変換させる。
【0076】
S502では、連続撮影可能枚数設定部116により設定された連続撮影可能枚数Nが所定値N1であるかどうかを判断する。S502において設定された連続撮影可能枚数NがN1である場合にはS503に進み、N1でない場合には、NはN1より大きな値に設定されていることになり、S509に進む。
【0077】
S503では、S501にて露光され、光電変換された画像をA/D変換器403にて14bitでデジタル画像データに変換し、メモリコントローラ104を介してメモリ105に格納する。すなわち、設定されている連続撮影可能枚数Nが14bitのRAW形式にて達成可能な値N1に設定されているのでA/D変換器403の出力データを高い分解能のままでメモリ105へ格納する。
【0078】
S504では、画像処理部106がメモリ105に格納された14bitのオリジナルの画像データに対してキズ補正処理を施す。
【0079】
S505では、RAW処理部109が画像処理部106で処理された14bitのRAWデータを所定の可逆圧縮方式(独自の可逆圧縮方式、JPEG2000又はTIFFで規定された可逆圧縮方式等)に従って可逆圧縮を行う。
【0080】
S506では、RAW処理部109で圧縮したRAWデータを含むRAWファイルを生成し、生成したRAWファイルをメモリ105に格納する。RAWファイルには、撮影条件に関する情報、デジタルカメラに設定されている現像条件に関する情報、RAWデータに関する情報(分解能等)等を示すデータも含まれている。
【0081】
S507では、制御部108がメモリ105に記憶されたRAWファイルを記憶媒体107に記録する。
【0082】
このように、連続撮影可能枚数NがN1に設定されている場合には、14bitという高い分解能のRAW形式にて画像が記録される。
【0083】
一方、S502において連続撮影可能枚数NがN1以外に設定される場合、すなわちN1より大きな値に設定されている場合には、S509に進む。
【0084】
S509においては、S501にて露光され、光電変換された画像をA/D変換器103にて14bitでデジタル画像データに変換し、14bitの画像データの上位12bitがメモリコントローラ104を介してメモリ105に格納される。すなわち、S502において14bitのRAW形式では連続撮影が困難であると判定されているので下位2bitを未使用とし、データ量の削減を図っている。
【0085】
S510では、画像処理部106がメモリ105に格納された12bitの画像データに対してキズ補正処理を施す。
【0086】
S511では、RAW処理部109が画像処理部106で処理されたRAWデータを所定の可逆圧縮方式(独自の可逆圧縮方式、JPEG2000又はTIFFで規定された可逆圧縮方式等)に従って可逆圧縮を行う。この際、12bitのRAWデータに対して可逆圧縮を行う。
【0087】
S512では、RAW処理部109で圧縮したRAWデータを含むRAWファイルを生成し、生成したRAWファイルをメモリ105に格納する。RAWファイルには、撮影条件に関する情報、デジタルカメラに設定されている現像条件に関する情報、RAWデータに関する情報(分解能等)等を示すデータも含まれている。
【0088】
S507では、制御部108がメモリ105に記憶されたRAWファイルを記憶媒体107に記録する。
【0089】
以上説明したように、ユーザーが設定した連続撮影可能枚数に対して、予測される連続撮影可能枚数が下回っている場合には、メモリコントローラ104にてA/D変換後の出力データの下位bitを未使用として、データ量の削減が図られる。これにより、ユーザーが設定した連続撮影可能枚数が達成可能となる。
【0090】
尚、第2の実施形態においては、14bit、12bitでの切り替えを行っているが、他のbit数への切り替えを行う構成としてもよい。
【0091】
[他の実施形態]
以上、本発明に係る実施形態について具体例を用いて詳述したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体(記録媒体)等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0092】
また、本発明の目的は、図示の機能ブロック及び動作において、いずれの部分をハードウェア回路により実現し、或いはコンピュータを用いたソフトウェア処理によって実現しても達成されることは言うまでもない。
【0093】
尚、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給することによって達成される場合も含む。その場合、システム等のコンピュータが該プログラムコードを読み出して実行することになる。
【0094】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0095】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であっても良い。
【0096】
プログラムを供給するための記録媒体(記憶媒体)としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク等がある。その他にも、MO、CD-ROM、CD-R、CD-RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD-ROM、DVD-R)等がある。
【0097】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのものをダウンロードすることもできる。また圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0098】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD-ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザが、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードすることもできる。この場合、ダウンロードした鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現する。
【0099】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS等が、実際の処理の一部又は全部を行うことによっても実現され得る。
【0100】
更に、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットのメモリに書き込まれた後、該ボード等のCPU等が実際の処理の一部又は全部を行うことによっても実現される。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の撮像装置を適用した第1の実施形態のデジタルカメラの主要な構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係るデジタルカメラの動作を説明するフローチャートである。
【図3】第1の実施形態のデジタルカメラの撮像・記録処理を説明するフローチャートである。
【図4】第1の実施形態のデジタルカメラの画質良否判定処理を説明するフローチャートである。
【図5】第1の実施形態のデジタルカメラのメモリへ記録するRAWデータのデータ幅を変更する処理を説明する図である。
【図6】第2の実施形態のデジタルカメラの主要な構成を示すブロック図である。
【図7】第2の実施の形態のデジタルカメラの撮像・記録処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0102】
101 レンズ
102 撮像素子
103 A/D変換器
104 メモリコントローラ
105 メモリ
106 画像処理部
107 記憶媒体
108 制御部
109 RAW処理部
110 JPEG処理部
111 AF回路
112 AE回路
113 操作スイッチ
114 レリーズスイッチ
115 記録形式設定スイッチ
116 連続撮影可能枚数設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された画像から画像データを生成する画像データ生成手段と、
前記画像データを記録媒体に記録する記録手段と、
前記撮像手段により撮像された画像のノイズ量を推定する推定手段と、
前記推定手段によって推定されるノイズ量に基づいて、前記記録手段によって記録される前記画像データの情報量を設定する情報量設定手段と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記情報量設定手段は、少なくとも前記画像データ生成手段によって生成される前記画像データの全てである第1の情報量と、前記画像データ生成手段によって生成される前記画像データの一部を破棄した第2の情報量とを設定可能であって、前記推定手段によってノイズ量が少ないと推定される場合には、前記第1の情報量を設定して、前記推定手段によってノイズ量が多いと推定される場合には、前記第2の情報量を設定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記推定手段は、前記撮像手段の温度、ISO感度、露出時間の少なくともいずれかに基づいて前記画像のノイズ量を指定することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記推定手段は、前記撮像手段の温度が規定値より高い場合、ISO感度が規定値より高い場合、露出時間が規定値より長い場合の少なくともいずれかの場合に、撮像された画像のノイズ量が多いと推定することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された画像から画像データを生成する画像データ生成手段と、
前記画像データを記録媒体に記録する記録手段と、
前記撮像手段の連続撮影数を設定する連続撮影数設定手段と、
前記連続撮影数設定手段によって設定される連続撮影数に基づいて、前記記録手段によって記録される前記画像データの情報量を設定する情報量設定手段と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
前記情報量設定手段は、少なくとも前記画像データ生成手段によって生成される前記画像データの全てである第1の情報量と、前記画像データ生成手段によって生成される前記画像データの一部を破棄した第2の情報量とを設定可能であって、前記連続撮影数設定手段によって設定される連続撮影数が規定値より小さい場合には、前記第1の情報量を設定して、前記連続撮影数設定手段によって設定される連続撮影数が規定値より大きい場合には、前記第2の情報量を設定することを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
撮像された画像から画像データを生成して記録媒体に記録する撮像装置の制御方法であって、
撮像された画像のノイズ量を推定するの推定する推定ステップと、
前記推定ステップによって推定されるノイズ量に基づいて、前記記録媒体に記録する前記画像データの情報量を設定する情報量設定ステップと、を有することを特徴とする制御方法。
【請求項8】
撮像された画像から画像データを生成して記録媒体に記録する撮像装置の制御方法であって、
前記撮像装置の連続撮影数を設定する連続撮影数設定ステップと、
前記連続撮影数設定ステップによって設定される連続撮影数に基づいて、前記記録媒体に記録する前記画像データの情報量を設定する情報量設定ステップと、を有することを特徴とする制御方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の制御方法を撮像装置のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−180615(P2007−180615A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−373520(P2005−373520)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】